頬かむりをかぶって街中に潜入した後、ヴァーリンデンから貰った金で食料品をありったけ買いこんで山に戻った。
食べ物を彼の元に置くと聖者大公は目を輝かせて詰め込み始めた。とんでもない大喰らいだった。山のように買い込んだ食糧は、みるみるうちに半分に減ってしまった。
「……そんなに食べるんですね。驚いた」
「きみもどうだい? これから先は長い旅が続くだろう。今のうちに体力をつけておくといいよ」
「いえ。食べ物は狩りをして得ておりますから」
そう答えたものの実のところ、北の勇者の食べっぷりに食欲を無くしたからだ。こんなに食う奴だったとは。
(沢山食わねば強大な敵に勝てぬ、ということでもあるのか。しかし、こうまで早く食糧が減っていくのを見ると、どうにも真似をする気になれん。)
食い意地が汚いのには、体格のせいもあるだろう。ヴァーリンデンをよく見るとデリタより頭1つぶん背が高く、それでいて横幅が結構あった。顎もしっかりとしている。
ガツガツと食うこの男を見ていると、『前世』で目にしたとある人物のことを思い出す。隣国で最強の騎士と言われた若い騎士だった。映像で見ただけだが確かに、体格と雰囲気だけはこの男によく似ていた。
口にいっぱい頬張りながら、尚も新しいパンを掴む、欲深な聖者を見てデリタは尋ねた。
「お腹、痛くなりませんか? 腹痛を治す魔法も用意いたしましょうか?」
「大丈夫だよ。このぐらいいつも食べ慣れているし。きみも食べなよ。狩りでは炭水化物はとれないからね」
仕方なくデリタは黒パンを手に取った。ぼそぼそとかじりながら彼に尋ねた。この後はどうするのか。
「『
光が奪われたままなら闇の力を借りれば良いだろう。『
「その為にもきみには是非とも協力して欲しい。生きてバーフレアのところへ戻って欲しいんだ」
「もちろんです。バーフレア様のもとにだけでなく、南の大陸にも戻るつもりです。戦いが終われば。妻と子供達が待っているんです」
それと、腹が大きくなったバマとフラの顔も見たい。柔らかい肉がたっぷりとついた妊婦たちに、己のものをしゃぶらせたい。舌と唇で、子をひねり出す場所をたっぷりと愛でてやりたかった。
但し、とかくやかましいオベリアとは、金輪際寝たくないとは思っているが。
「ヴァーリンデン様も、奥様とお子様がいらっしゃるのですか?」
「聖職に就いているから妻帯は許されていないけれど……愛し合った人はいるし子もいるよ?」
ヴァーリンデンはしゃべりだした。案外に艶福で子宝に恵まれている事実をだ。北の大陸の他の領主の妾腹の娘や、旅先の大きな農家の娘とそうして契りを結んだ。彼女達は絆の証を産んでくれた。
旅を共にする女戦士のうち2人とも、そういう仲になって子を為した。産まれた子らは、領土の奥にある隠れ里で育てている。
「旅に出た13の歳からまる10年。ずっとこんな誇れないことばかりをしているよ。みんなからはもっと子供をと薦められて断れないんだ。私自身もついつい、楽しんでしまっているからね」
(なるほどな。いくら善人でもそうなるだろうな。女の股に挿れて放つことほど、男に産まれて良かったと思える瞬間は無いからな。こればかりは仕方が無いだろうよ。)
「聖者という称号はそろそろ返さなくてはいけないと思っている」
「でも、北の勇者の称号はそのままにしてください」
「それは返すつもりは無いが……そうなると魔光王のうるさい求婚が続くだろうけど」
例えではない。文字通りの求婚だとヴァーリンデンは答えた。軍門に降り、婿になれと。デリタは常々疑問に思っていたことを尋ねた。
「貴方を婿にとは……大体、あいつは女なのですか? 男なのですか? 『メテオティック=ブレイブ』の末裔の女達に子を産ませようとしていると聞きましたが?」
「女人だよ。魔光王ウルティーマは『女王』だ。でもね」
性別を変える、つまりは女を孕ませる器官を生やす魔法を知っているのだとヴァーリンデンは答えた。
□ □ □ □ □
同じ頃。
アルケデイアの王城の魔光王の寝所の控えの間では、魔光王が大鏡の前に立っていた。
その鏡だが、シミやひび割れが目立つくすんだ色合いの部屋の壁と同じ様に、古さとぼろさが目立っていた。
ところどころが割れ、しかも隅は剥げきっている。それをはめ込む木のフレームも、埃だらけで腐食が起きていた。
王は薄い湯あみ服をまとっていた。その場でそれを脱ぎ捨てる。艶めかしい白い肌に覆われた、整った肢体が現れた。
細すぎず太すぎず、かといって豊満は損なわれていない。盛り上がりかつ丸みに満ちた2つの乳の珠の下は引き締まった腹である。臀部は引き締まっていて張りがあった。
そして腰は大きく広がっていた。その下の太腿はふとましく美しく、足は駒かいところまで巧みに造形され、整っていた。
まさに、女の形の最高と呼べる造りを王は得ていた。汚物にまみれた都市、朽ちて崩れかかった城のあるじにふさわしくない美しさだった。
一度自分の裸身を見ると、自分の下腹の真下に目をやった。脚の付け根は全くの無毛である。産毛すら無かった。なだらかで吸いつきが良さそうな、瑞々しい『門の囲い』だった。
魔光王は大きな双眸を閉じ、肉の出入り口に右の掌をかざす。間近にいないと聞こえない小声で、呪文を唱え始めた。
「……余は光。そして闇。産み育てる者であり作り出す者なり」
即座に、ウルティーマの下腹に変化が起こった。淡い光の中で彼女の股の間の女のさねが、大きく長く膨れ上がった。
それは王の手から肘までの長さにまで伸びると、その真下には大きく膨れ上がる皮の袋が現れた。王の生命の出入り口の真上に、男の胤を造るところとまき散らす棒となった。長く太いそれは弓なりに硬直したままで、むき出しのそれは大きく紅く膨れ上がっていた。
魔光王は目を明けた。柔和かつ艶めかしい女人の身体に、猛々しいそれが生えているのを見た。
「誰か。余を
王の背後に、はい、と声があがった。魔導の装束に身を包んだ老いた男である。
魔光王の側近の魔道士、ザルモール=ルシアーダである。
「余の寝所に、娘達は望みで瞳を輝かせながら待っておるか」
「はい。魔光王様のお美しいお姿と、そのたくましい子種の棒を拝みたくて、股からつゆをこぼしながら待っておりますとも」
「では、そなたに侍る者も同じか?」
魔光王は鏡に映る、ザルモールの左隣にいる者に目を向けた。小柄な少年。何1つ身に着けておらず、骨ばった頼りない裸身を晒していた。だが、股間にぶら下がっているものは体格に比して、大きかった。
「これはこれは……できればこの者に褒美を与えていただきたいと思い、参らせた次第でございますよ。此度は陛下のご寝所に、この者をご同行なさいませ」
魔光王はその申し出を、嫌な顔をせず受け入れた。しかしその前に聞きたいことがあった。
「……もう1人いたと訊くが、いかがした?」
ザルモールは微笑んだ。
「『百合園』にて、今頃は『花の精』たちに胤汁を注ぎ込んでいることでしょう」
『百合園』はザルモールが部下を労う為に設けた慰安所だ。王都の東の山の中にある。
ここに呼ばれた者は皆、魔法で一年中咲き続ける百合の庭園で、『花の精』と彼が呼ぶ、若く淫らな娘達と裸で戯れ、出される馳走に舌鼓をうつ。およそ1週間、食欲と性欲を満たし続けるのだ。
その慰安所に入れるのは、男の部下のみ。女はただ、金貨を褒美として受け取る。男の部下はその園で楽しめればそれ以外の物を欲しない者ばかりだった。それだけ『百合園』の日々は、甘美だったのだ。
だが、この少年は『百合園』に行かなかった。功績を遂げたのならそちらで過ごした方が良いのにだ。彼の年頃ならば精通が始まり、女膣の快楽がどんなものかを知りたい、あるいは、貪りたいと思うはずだ。
しかし彼がここに来た理由のうち1つを、魔光王は知っていた。
「ザルモール。汝はいまだ、その娘に性別を変える魔法をかけたままとは、どういうことか?」
娘とは?
指摘を受けた老魔道士は、いひ、と笑って少年に目くばせした。男の子は後ろを向き、四つん這いになって尻をはっきりと見せた。
その窄まりだが、醜い盛り上がりと広がりが生じていた。男のものを咥え込み過ぎたのだ。酷使された菊門だった。
「おわかりでしょう? わたくしめは乙女の穴よりも、少年のはつらつとした尻のほうを好むのですよ。それと、この者にかけた生殖転換の魔法ですが、陛下とは違い、解く方法を存じておりませんゆえ……」
「なんと惨きことか。ならば、おのこの愉しみを共に味わうがよい。余と共にな?」
魔光王は少年を手招きした。彼は赤々とした巨陰を掲げる女王のもとに近づくと、主君に手を握られた。
「余の妻たちは皆が心優しい。そなたを受け入れてくれよう。特に、最も年若い妃は、近く余の子を産む時ではあるが、きっとそなたを心から愛でてくれよう」
少年はうなずいた。寝所への扉を開けた。その先にある寝所は、床が純白のシーツに覆われ、絹の艶やかな枕がそこかしこに並べられていた。
そして魔光王の12人の妃たちいた。皆が肌と乳房が見える絹の薄衣を羽織って待っていた。あちらこちらに女の体液がついた淫具が落ちていた。
魔光王が少年を伴って入って来ると、皆一斉に王の身体に縋りついた。
「魔光王様、是非とも先にお情けを!」
「昨夜からずっとこちらに入られるのを待っておりました。さあ、十分にほぐした
娘達の甘いにおいで生やされた巨根が反応する。だが、魔光王は彼女達ではなく、部屋の奥にいた一番小柄な娘に目を向けていた。
他の妃たちよりも肌黒くて、それでいて乳房と尻は豊かだった。入って来た自分に気づかずに、己の膣と肛門に薬で濡らした器具を深々と押し込んだまま、大きく膨らんだ腹の下にある淫肉を指でこね続け、喘いでいた。
「……あの人は?」
少年に問われて王は答えた。
「余が今、一番目をかけている妃なるぞ。名は……」
エムラ=デュライと言う。その声を聞いた幼い妊婦が手淫を止め、魔光王に目を向けた。いや、その隣にいる少年を見ていた。こうつぶやいた。
「あの子は……デリタを……」
陶酔した様子でじっとこちらを見続ける一番若き妃の元に、魔光王と少年は妃たちに纏いつかれながら近づいて行った。
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