二人組の冒険者、カイとミーナは討伐対象のサキュバスに惨敗してしまう。カイの命乞いを聞いたサキュバスは、交換条件としてカイにこの場でサキュバスをオカズにオナニーをするよう命じる。カイの無様な吐精と引き換えに生き延びた二人。屈辱をバネに発奮するミーナ。だが、カイの心は被虐的なマゾオナニーの快楽に侵されており……。

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サキュバスに敗北した冒険者がマゾオナニー中毒になって食料に堕ちるまでの話

 

俺の名前はカイ。幼馴染で恋人のミーナと組んで、フリーの冒険者をやっている。

自慢じゃないが、近頃は名が売れてきて、ギルドを通さない直接の依頼が舞い込むことが増えた。

そういう依頼はギルドに仲介料を取られず実入りが良いので、積極的に請け負うようになった。

今回の仕事もその類だった。依頼内容は森林エリアに潜むサキュバスの討伐。

 

正直、ボロ儲けができると思った。

サキュバスは催淫能力や誘惑魔術に長けるが、その分概して戦闘能力には劣る、どちらかというと戦闘力を持たない一般市民の脅威となる魔物である。

精神攻撃が厄介であることに変わりはないため単独での戦闘を避けることが推奨されているが、こちらは2人いる。しかも、幸いにしてミーナは解呪の術式に秀でた術師である。

ミーナのバックアップを受けながら、俺が近接戦で仕留める。それだけで終わるボロい仕事だと思ったのだ。

 

俺達は意気揚々と森林に乗り込み――――

 

 

(つ、強すぎる……!)

 

――――今まさに、返り討ちに遭うところであった。

 

聞いていない。聞いていないぞ。こんな、直接戦闘に強いサキュバスなんかいるか。

剣での攻撃はいくら振ってもひょいひょいと避けられてしまい、サキュバスの露出した肌に傷一つつけることができない。

そればかりか、こちらの攻撃の隙間を縫ってサキュバスが掌から魔力の衝撃を放ち、的確にダメージを与えてくる。

攻撃をしようとすればその分だけ、俺が一方的に傷を負う状況だ。

 

「カイ……く…………逃げ、て…………」

 

「ッ……バカ言うな! お前を置いていけるわけないだろ!」

 

頼りにしていたミーナは、戦闘開始とほぼ同時に殴り飛ばされ、そのまま起き上がれずにいる。

腹に強烈な一撃を与えられており、呼吸がひどく荒れ、魔法の詠唱がままならないようだった。

 

それに、ミーナの言う通りに逃げの一手を打ったとして、それが成功するかはわからない。

逃げられなければ二人とも死ぬ。よしんば俺だけ逃げられたとしても、ここに捨て置かれたミーナは確実に助からない。

それだけは、認められない。

……ここでこいつを倒さなければならない。

 

今の時点で、こちらはかなり消耗している。一方のサキュバスの方は余裕綽々といった表情であった。今のような持久戦では勝機がない。

ならば、全身全霊の一太刀で、一撃で倒すしかない。サキュバスが回避しそこねた最初の一撃だけでケリをつけるしか、この場を生き残る方法はない。

攻撃を当てられるかはわからない。当てたとして、一撃でサキュバスを葬ることが出来るのかもわからない。

ただそれでも、一か八かの賭けくらいにはなる。万に一つの勝ち目もないよりは、ずっといい。

 

サキュバスが大木を背にした。

ここだ。ここしかない。

限界以上の力を振り絞って土を蹴る。

大きく跳躍する。大上段に剣を構え、飛び込むように捨て身の一撃を繰り出す。

 

「うおおおおおおおおぉああぁああッッッ!!!」

 

剣の軌道にサキュバスの頭部がある。

いける。いける。いける。この一撃で――――

 

 

ぱしっ。

 

 

「………………え?」

 

 

 

べきり。

 

 

……折られた? 剣を?

まるで花の茎でも折るかのように、二本の指だけで。

それ以前に、受け止められていたのか?

持てる力を全て込めた、あの攻撃を、二本の指だけで?

 

勝てない。勝てるわけがない。

無理だ。

強すぎる。

 

膝の力が全部抜けて、その場にがくりとへたり込む。

体力はまだ一欠片くらいは残っているかもしれない。だが、心が完全に折れてしまった。

心が折れてしまえば、膝も折れてしまう。そのまま動かない。動けない。動こうとしない。

 

「たす……けて……」

 

出来ることはもう、真っ青な顔で、震えた声で、許しを請うことだけだった。

 

「……ぷぷっ」

 

戦士の尊厳をかなぐり捨てた、情けないとしか言いようがない命乞い。

それを受けたサキュバスは、心底馬鹿にしたように笑って、

 

「いいわよ。見逃してあげる」

 

 

いともあっさりと、受け入れた。

 

 

「ただし――――」

「あなたが今、この場でオナニーしたら、ね」

 

 

不可思議な交換条件を突きつけて。

 

 

「……どうしたの? 知らない? オナニーって」

 

「え!? いや……知ってる……けど……」

 

つい先程まで命のやり取り――というより、一方的に遊ばれていただけなのだが――をしていた相手の目の前で自慰に耽れ、という。

あまりにも落差の激しい状況に、混乱するのも無理はないと自分でも思う。

しかし、どうやら本気で言っているらしい。「しなければこのまま殺すわ」。そのように付け加えられた。

 

言われるがままにズボンを下ろす。そのまま下着も。

露わになった陰茎は、しかし縮み上がっていた。

無理もない。ついさっきまで、ずっと肝が冷えていた。

 

「手伝ってあげる」

 

その言葉とともに、顔のすぐ近くに豊満な胸が寄せられる。皮膚が触れないギリギリのところまで。

くっきりとした谷間に、艷やかで弾力の有りそうな白い肌。それと、ほのかに香る甘い匂い。

思わず顔を埋めようとしてみるが、すい、と避けられてしまった。手伝う、という言葉の意に、肌の接触は含まれていないらしい。

ただ、「手伝い」はこれだけで十分だったようだ。いつの間にか陰茎はむくりと起き上がり、びきびきと張り詰めている。

 

そのまま、陰茎に手を伸ばす。

しっかりと握る。冷えた手に、血の通った陰茎の温かみが伝播する。

命じられたままに、手を上下に動かしてオナニーを始める。

先程散々に意識させられたからか、視線がサキュバスの胸に吸い付く。間近で見たあの光景が思い起こされて、陰茎を責める手が加速していく。

 

「なに……してるの……?」

(ミーナ……!? そうか、見て……!!)

 

死の恐怖と、そこからの急転直下の快楽に押しつぶされて忘れていた。……ミーナはずっと俺を見ている。

俺が心を折られるのも、無様に命乞いするさまも、そして今の痴態も、すべて見られている。

 

「ミーナ、これは――――」

「目を逸らしたら殺すわ」

「――――っ!?」

 

背後に回そうとしていた視線を慌てて戻す。

寒気がするほど冷たい声色。恐らく、機嫌を損ねれば本当に。

また、サキュバスの胸を凝視してオナニーを続ける。

 

「やだ……なんでこんな……っ」

「あなたもよ、お嬢さん?」

 

冷たい視線と言葉が、俺の背後の存在を刺したのを感じた。

そちらに意識を向けることは許されていない。一心不乱にオナニーに耽ける。

 

「あなたがこの子のオナニーから目を逸らしても、この子を殺すわ」

 

「あ、あぁ……うう……なんでぇ………」

 

ミーナが泣いている。俺のせいで泣いている。

俺が負けたせいで。俺が他の女でオナニーしているせいで。

一段と陰茎に力が籠もるのを感じた。

 

「死んでほしくないでしょう?ならずっと見ていなさいな」

「あなたの大好きな恋人くんが……他の女でオナニーしてるところ……♡」

 

オナニーしている。恋人がいるのに、他の女に欲情して、あまつさえそれを恋人に見られながら。

ずっと見ている。見られている。俺がこうして陰茎を扱いていられていることそのものが、ミーナが俺の痴態を目に映していることを意味している。

彼女が目を逸らした瞬間に、俺は死ぬのだから。

……それを意識すると、また一段と、陰茎が滾った。

 

「もう、おっぱいばっかり見てないで」

「もっといろんなところ……見てもいいのよ?」

 

そう言うと、サキュバスは身体をくねらせて、自分の肢体を見せつけだした。

すらりとした脚、むちっとした太もも、魅惑的に踊る腰つきと尻。

引き締まってすべすべした腹。ゆさゆさと揺れる2つの胸。身体のラインからはみ出た横乳と腋。すらりとした長い指。

瑞々しい唇。そこから覗く、てらてらとした舌。切れ長の目。吸い込まれそうな黒の瞳。

その全てが、今までに見たことがないほどに煽情的で。全身くまなく、目移りしながら眺める。

視線を逸らしてはいけないことなど、すっかり忘れていた。目を離せない。離れない。離したくない。

 

ちゅこちゅこ。ちゅこちゅこ。

気づかないうちに、オナニーに水音が交じるようになっていた。

先走りがだらだらと溢れて右手を汚して、扱いた手が先走りを塗り拡げて、竿全体が濡れそぼっている。

 

「ぁ……イく……いく……♡」

 

身体が勝手に、射精に向かってスパートをかける。

ぐちゅぐちゅと下品な音が立つほど、陰茎を素早く扱きあげる。

鼻息を荒くして、目をひん剥いてサキュバスを凝視する。

 

サキュバスが近づいてくる。

一歩近づくことに手の速度が上がる。射精感が増す。

精液がかかる。かけたい。かける。

どこに?脚。腹。それとも胸か。いや、口か。

もうどこでもいい。

射精したい。

 

「あ……れ……?」

 

無我夢中で陰茎を扱いているうちに、目の前からサキュバスが消えていた。

いったいどこに――――

 

 

「……イけ♡」

 

 

耳元に吐息混じりの声。肩の後ろ。

甘い響きのたった2文字に、身体は総毛立って、がくがくと強く震えて。

それから、溜まりに溜まった劣情を陰茎から解き放った。

汚す場所を選り好んでいた精液は、結局、サキュバスのどこを汚すこともせずに、地面に落ちて死んでいった。

 

「楽しかったわよ、坊や」

 

くらくらとした頭に、射精で気の抜けきった身体。

 

「また、会いましょうね♡」

 

見逃されたことに気づいたのは、サキュバスが去ってからしばらく後のことだった。

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 

拠点にしている街に帰ってきたのは、日が昇ってからだった。

帰り道では、ミーナと一言も口を利くことはなかった。

こうして、無事に帰ってきてからも、まだ一言も言葉を交わせずにいる。

 

「……剣、買い直さないと」

「俺、買ってくるから……」

 

サキュバスに折られた剣を新調する。そんな適当な理由をつけて、彼女の側から離れようとする。

と、背後からぎゅっと抱きとめられるような感触を覚えた。

 

「ごめん……カイ」

「あたしが足引っ張ったせいだよ」

 

……確かにそれも敗因の一つだろう。

あの戦闘ではミーナが即座に戦線離脱したことで、俺は彼女の補助を受けることができなかった。

ただ、仮にそれがあったとして、俺があのサキュバスに勝てていたかと言われれば、答えはきっとそうではないだろう。

 

「いや……俺が、弱かったせいだ」

 

それから、二人して何も言えなくなって、ずっと押し黙っていた。

背中から腰に回された、ミーナの腕の力だけが、ぎゅっと強くなる。

 

「……強くなろうね」

「あいつを倒せるくらいに……」

 

「あぁ……」

 

「昨日のことは……あたし、忘れるから、さ。カイも気にしないで……ね」

 

「そうだな……」

 

抱きついていたミーナが、ぱっと背中から離れた。

努めて明るくしたような、作り笑顔が見え透いた顔で、帰路につくよう促してくる。

明日から頑張ろう。そんなことを言いながら俺の手を取って、大股で歩き出していく。

 

……それにしても。あの時見た、サキュバスの胸に比べると。

 

「……胸、小さかったな……」

 

「なんか言った?」

 

「……なんでもない」

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 

それから数日が経った。共に宿の朝食を摂ったところで、ミーナはすぐに出かけていった。

この数日はずっとこんな調子だ。新しい魔術をたくさん身につけて、俺の役に立つのだと躍起になっている。

街の図書館に籠もっては、魔導書を読み耽って夜まで帰ってこない。

そして、それは俺にとっては、とても都合のいいことだった。

 

宿の一室に引き返してきた。

……ここ数日、ずっと宿の外に出ていない。

買い替えると言った剣も、結局まだ買っていない。

ベッドに身体を投げ出して大の字になる。飯の時間だけ部屋から出て、あとはずっとここにいる。

ミーナには、ギルドの修練場で鍛錬していると言って誤魔化し続けている。

 

目を閉じると、たちまちあの夜のことが思い出される。

サキュバスに完膚なきまでに敗北して、あまつさえ自慰を命じられ、恋人の目の前で無様に吐精したあの夜のことを。

むくむくと、陰茎が立ち上がる。躊躇いなくズボンと下着を脱いで、手で握って、扱く。

 

……そう。俺は、この数日、ずっと部屋でオナニーしているだけだ。

脳に焼き付いてしまった、あの倒錯的な快楽を、どうしても振り払うことができない。

正確に言えば、初日に一度だけ、ギルドの修練場に出向いてはいた。だが、剣を持った瞬間に敗北の記憶がフラッシュバックしてしまった。

股間が痛いほど張り詰めて鍛錬どころではなくなってしまい、宿にとんぼ返りして、気を失うまで陰茎を扱いていた。……それから、ずっとこの調子だ。

 

このままでは駄目だと、こんなことをしている場合ではないとわかっているのに、どうしてもオナニーをやめられない。

あの時味わった快楽はあまりにも強すぎた。ミーナと交わったことは何度もあって、それに快感を覚えていたのは確かなはずなのに、あのオナニーはそれを遥かに飛び越えていった。

今だって、記憶を頼りに興奮を高めて独りで扱いているだけなのに、ミーナの奉仕を受けている時よりずっと昂っている。

 

「うっ……!はあ、はあ……」

 

我慢が効かず、びゅくっ、と精液が噴き出して、仰向けになった自分自身の身体を汚した。

……こんなものでは、一度だけでは収まらない。陰茎は物足りなさそうに、さらなる快感を求めてびきびきと屹立している。

数日間、ずっとこうだ。一度や二度どころか、三度四度と出しても収まらない。1日中自慰に耽り続けて、精魂尽きる頃にようやく収まるのだ。

 

射精が収まったら、すぐにまた陰茎を握る。

あの時散々に見せつけられた、サキュバスの肢体を思い浮かべながら、またオナニーを始める。

胸で。口で。脚で。膣内で。思い思いの手管で陰茎を責められ、耐えきれずに射精に至る。そんな妄想ばかりしている。

 

 

 

「どう?この胸……大きいでしょう?」

 

仰向けに寝かせられた俺の上にサキュバスが跨り、豊満な胸をさらけ出して見せつける。

自分の胸をむにむにと揉んで、柔らかさをアピールしてくる。

まだ性感帯に直接触れられてはいないのに、もう噴き出しそうなくらい射精感が込み上げてしまう。

 

「これで、坊やのおちんちんを食べてあげる」

 

俺の股の間に身体を収めたサキュバスが、がばっと谷間を開いて陰茎に近づいて、

 

「……ぱっくん♡」

 

文字通り、食べるように胸を閉じて、陰茎を閉じ込める。

咀嚼するように、互い違いに胸を動かして責め立てる。

 

「あっ……♡もう出る……っ」

 

「早いのねえ……? いいわ、出しちゃいなさい」

 

挟まれただけで射精感が込み上げてきていたのに、胸でもみくちゃにされればもう我慢なんて出来なかった。

早漏をなじりながら、しかし全く容赦のない胸の責めで、陰茎はあっという間に白旗を揚げた。

 

「あっ♡あっ♡あーーーー♡」

 

 

 

股間に顔を埋めたサキュバスが、陰茎の先端にちろちろと舌を這わせている。

先端が嬲られているだけなのに、全身が跳ねるような快感を味わっている。

亀頭の傘の筋を舐められ、舌でずるっ、となぞられると、体の芯がぶるぶる震えた。

 

「もう、弱いのね……舌だけで出しちゃいそうなのね」

 

「それなら、このまま出しちゃう?」

 

「や、やだ……っ♡咥えて……♡精液飲んで…………♡」

 

泣きそうな声で口への放精を懇願すると、サキュバスは意地の悪い笑みを浮かべて、

 

「だぁめ♡」

 

竿の根本から先端にかけて、ぬらりと舌で舐め上げた。

それがとどめになって、懇願虚しく精液が陰茎から溢れ出す。

 

「あっ♡やだ♡やだっ♡のんでぇっ♡うぅ〜〜っ……♡」

 

 

 

正座の状態でオナニーを強制されているところ、椅子に腰掛けたサキュバスが足を伸ばして陰茎を踏みつけた。

俺の太ももに陰茎を軽く押し当てて、足ですりすりと摩擦する。それだけの大したことのない動作で、激しい快感が後頭部を殴りつけるような衝撃で襲う。

何よりも、男性の象徴を踏みつけにされているという強い屈辱が、そのまま快楽に変換されて心を蝕む。

 

「変態ね」

 

変態。そう、変態だ。陰茎を踏まれただけで勝手に興奮して、射精感を催すのは弁解のしようもなく変態だ。

踏みにじるように、足でぐりぐりと刺激を加えられる。僅かに痛みの混じった、けれど凄まじい快楽が全身を覆い尽くす。

きっと、与えられている刺激そのものはさほどではないのだろう。この状況に酔いしれて、勝手に快感を強く受け取っているだけだ。

それでも、陰茎を踏まれてどうしようもなく感じてしまっているというのは、紛れもない事実だった。

 

「あ゛……♡うあっ♡でるっ……♡」

 

強く踏みにじられたわけでもないのに、勝手に精液が漏れ出る、文字通りの暴発射精。

呆れたような、冷たい目線で刺されながら、今度は本当に強い力でぐりっ、と踏みしだかれる。

 

「ひぐっ♡ごめんなさい♡ごめんなさい♡」

 

謝罪の言葉を漏らしながら、精液が一緒に漏れる。

それを見たサキュバスが、また強く陰茎を踏みにじる。

ループは延々と続いた。

 

 

 

たん、たん、たん、たん。

サキュバスが腰の上で踊っている。

一擦りごとにぬめった膣壁が陰茎を撫でて、甘く痺れるような快感が全身に行き渡る。

 

ぱちゅん、と一際強く腰を押し当てられる。

ぞぞっ、と擦り上げられた陰茎の感覚がそのまま全身に伝わって、頭の中が弾けた。

とくん。とくん。身体全体が脈を打って、眼の前の女体に性を注いでいく。

 

「あっ、な、とめ、へっ♡」

 

たん、たん、たん、たん。

止まらない。止まってくれない。

今イっているのに。落ち着かせてくれない。

登りつめたところから、戻ってこられない。

 

唇を奪われる。舌と舌で交尾するような激しい口づけ。

交尾ではないかもしれない。口も、陰茎も、サキュバスの思うままにされている。

 

「出せ……♡だーせ♡もっと出せ……♡」

 

精液が止めどなく溢れ出していく。

強請られるままに、何度も、何度も。

 

 

 

背中からぎゅっと抱きしめられ、ふにっとした柔らかい胸の感触を味わった。

背後から股間に手を回されて、陰茎を捕まえられる。

びくんと震えた身体を、密着した身体がしっかりと支えてくれる。

ちゅこちゅこ、と優しい手つきで刺激を与えられる。微睡むような快感に甘えて、全身の力を抜いて寄りかかる。

 

「あーーーー…………♡」

 

全身骨抜きになって、身も心もふやけていく。

陰茎を扱く手つきは変わらず、あやすように優しいもののままで。

真綿で首を締めるように、緩やかに追い詰めていく。

 

「ぴゅっ、ぴゅっ♡ぴゅーー……♡」

 

耳元で囁かれた卑猥なオノマトペに導かれて、ゆるゆるとした射精を迎える。

脱力しきった身体は、なおもサキュバスに抱きとめられていて、多幸感に包まれたままぼんやりと目が閉じた。

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 

ぱちり、と目が覚めた。

……自慰に耽りすぎて眠っていたようだ。

窓の外を見ると、すっかり暗くなっている。つけっぱなしのランプだけが部屋を薄暗く照らしていた。

ミーナはもうすぐ帰ってくるだろうか。それまでに部屋を整えなければ――

 

こん、こん、こん。

 

小さく扉を叩く音がした。

丸出しの下半身を隠すために慌ててズボンだけ履いて、扉を開ける。

 

「あんたは……」

 

フード付きのローブで全身をすっぽりと隠した女が立っていた。

……何を隠そう、俺たちにサキュバスの討伐依頼を持ってきたのがこの女である。

結果は無様なものだったが。

 

「悪いけど、あの依頼は失敗したんだ。見逃されたけど、俺たちじゃ歯が立たなかった。ほかを当たって……」

「……? あんた、聞いてんのか?」

 

女の様子がおかしい。

依頼に失敗したとなれば、失望したり、役立たずだと罵ったりされることはありふれたことなのだが。

目の前の彼女にそんな素振りは一切見られない。

 

フードで顔を隠したまま、つかつかと近づいてきて、

 

「――――――――」

 

「……!?」

 

耳元でぼそりと囁いて、それから踵を返して消えた。

 

その瞬間に、俺は全てを理解した。

あの依頼は――――

 

 

 

『あの時の場所で、待ってるわ』

 

『……坊や♡』

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 

フードの女が言っていた、あの時の場所。

サキュバスに敗れ、無様に精を吐き散らかしたあの場所に。

今度は独りで、丸腰のまま立っている。

 

「いらっしゃい……♡」

 

あの時の、そして、この場所へ再び誘った、サキュバスが出迎える。

妄想の中で何度も何度も何度も精を抜き取ってきた肢体が、今まさに目の前にある。

それだけで、もう吐精してしまいそうなほどに身体が張りつめて、熱く脈打ってしまう。

 

何度、あの胸に白濁を放ったか。

何度、あの口に精液を吸われたか。

何度、あの足に踏みにじられたか。

何度、あの中に精を搾り取られたか。

何度、あの手に射精に導かれたか。

 

全ては妄想の産物。けれど、サキュバスに劣情を催し続けて、精を放ち続けたのは現実だ。

負けて、負けて、負けて、負けて、負けて。妄想の中でずっと負け続けて、精を差し出し続けた相手が、今現実として目の前にいる。

そんな相手に望むことは、決まりきったたったひとつだけ。

 

「サキュバス……さま……♡」

「精液……搾り取ってくださいっ………♡」

「おねがい……♡します……♡」

 

「……イヤ♡」

 

がつん、と頭を殴られるようなショックを受けた。

なんで、どうして。こんなに苦しいのに。

精液出させてもらいたくて仕方がないのに。

出したい。出したい。出させて、出させて。

涙が目と陰茎から同時に流れる。

 

「やだっ……♡やだぁ♡だしたい♡だしたいです♡おねがい♡おねがいします♡」

 

「ぷぷぷっ……もう、必死ねえ……」

 

無様に懇願する俺の姿を見て、サキュバスがけらけらと笑う。

こんなことにも肥大した被虐心は反応してしまって、いっそう股間に血を巡らせて、頭を桃色に染めていく。

 

「そんなに出したければ、出せばいいじゃない」

 

「あの時みたいな――――」

 

「無様なオナニーで♡」

 

 

オナニー。

オナニーすれば出せる。精液出せる。

無我夢中でズボンを下ろして、投げ捨てる。

寒空の下に、痛いほど張り詰めた陰茎が露わになる。

 

両腕で胸を支えて持ち上げて、見せつけるようにゆさりとひとつ揺らして、

 

「……どうぞ?♡」

 

ぷつん、と理性の糸を切った。

 

握りつぶすほど強く握って、火を起こすようにがしがしと、乱暴に陰茎を扱く。

妄想とは比べ物にならない。現実にそこにある肢体は、妄想のサキュバスが身体を犯すよりずっと、興奮を掻き立てる。

ただ眺めているだけで、妄想なんかできないくらいに脳が焼ける。

目の前の肢体をあるがままに凝視して、自分の手で、陰茎を慰めているだけなのに。

今までに味わった性的快感の、どれよりもずっと気持ちがいい。

 

「あっ♡でるっ♡いく、いく、いくっ♡」

 

堪えきれなくなった性感が、陰茎より先に口から出ていって、それから間もなく。

 

「あ…………♡あ――――――♡♡♡♡」

 

頭の中が真っ白に染まって、甘えた喘ぎ声を無秩序に垂れ流して、迸る放出感に身を委ねて。

ちかちかする。ふわふわする。体を起こしてもいられなくなって、地面にうつ伏せに倒れ込む。

 

 

「……に……んの……」

 

「なにしてんのって聞いてんの!ねえ!!カイ!!!」

 

ぎゃいぎゃいと、躾のなっていない犬が吠えるような声がした。

うるさい。

こんなにもいい気持ちでいるのに。

 

「ぷふっ……♡射精、必死すぎ……♡」

 

「聞こえてんの!?ねえ!!」

 

「ね、坊や。聞こえてる?まだオナニーできる?」

 

出し切ったと思っていた劣情が、身体の奥からどくどくと湧き出てくるのを感じた。

あれだけ精を放ったのに、まだ飽きることなく、陰茎がぴんと立つ。

 

「でき……る……♡」

 

「……!?何よそれ…………!」

 

「それじゃあ、坊や?」

「その犬みたいな格好のまま、もう1回してみなさいな」

 

言うが早いか、四つん這いの状態で右手を股間に回し、乳搾りのように抽送する。

犬のように舌を出して、口で荒い呼吸をしながら、サキュバスを見上げる。

こちらを見下ろすサキュバスと目が合った。見られている。見下されている。

這いつくばりながら必死で自分を慰める、尊厳の欠片もないような無様な姿を、しげしげと。

 

「ねえ、あたし、ずっとあんたのこと気にしてたんだよ? ギルドの修練場にいるだなんて嘘ついて」

 

地面近くから見上げた視点だと、サキュバスの肢体にまた違った魅力が見えてくる。

下から覗く胸はずっしりとしたボリュームで、吸い込まれそうな谷間に目を奪われてしまう。

 

「ずっと気になってて……夜になってふらふら出てくから、心配になってついてきたら……!」

 

足が近くに見えるのも、たまらなく煽情的だ。一歩踏み出せば、顔を踏まれる位置にある。

思わず、顔を踏まれる妄想に耽ってしまう。そうなったら、押し付けられた足を舐めるだろうか。それとも嗅ぐだろうか。

はたまた、今のように何もできないまま、ただただ劣情を加速させるだけになるのか。

 

「なんでこうなるの……? なんとか言ってよ……こっち見てよ……!」

 

片腕で体重を支えきれなくなって、その場に転がる。

首を痛いほど上に向けて、必死にサキュバスを視界に入れ続けようとする。

手で扱くだけではもう我慢ならなくなって、筒状にした手のひらを雌穴に見立てて、へこへこと腰を振ってしまう。

 

「やめてよ……もう……やめて……」

 

腰が止まらない。このまま、犬のような射精を迎えたいという欲望に抗うことができない。

うわ言のような喘ぎで射精感を訴える。

 

「でる……♡でます……♡」

 

「違うでしょ? 」

 

上からの冷たい視線が胸を竦ませた。

なにか間違えてしまっただろうか。

ああ、でも、この視線すら心地良い。

 

「坊やは犬なんだから、出す時は……『ワン』♡……でしょ?♡」

 

「――――♡」

 

脳がじゅん、と音を鳴らして溶けた。

 

「ワン、ワン、ワン♡わんわん♡わん♡」

 

かくかく、かくかく。へこへこ、へこへこ。

でる、でる、でる。わん。わんわん。わん。

どく、どく、どく。びゅくびゅく、びゅくっ。

 

「わ――――――――♡」

 

どさり。

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 

「……あら、お嬢さん。まだいたの? あなたに用はないから、帰っていいわよ」

 

全てが終わったあと、呆然と、涙を流しながらへたり込むミーナにサキュバスはそう言った。

 

「なんで……なんでこんなことするの……」

 

ミーナはしゃがれた声でサキュバスに問うた。

彼女はカイが意識を失うまでの間、ずっと叫んでいた。

やめて、こっちを見て、目を覚まして、と。

その言葉が届くことは、終ぞなかったのだが。

 

「んー……この子、美味しそうだったから?」

 

サキュバスにとって、人間の男性とは食料のようなものである。

その精を啜り、力を奪うことで彼女らは生き長らえ、また力を増していく。

 

「私くらいになってくると、その辺の男だと栄養にもならないし……」

「その点、この子はとってもいいのよ。若くて、力もあるから」

 

特に、長く生き、多くの男の精を吸ったサキュバスを『エルダーサキュバス』という。このサキュバスもその一個体であった。

通常のサキュバスとは比較にならない力を持つ代わりに、その力を維持するためには強い男性の精が必要となる。

無論、そんな男性は世界にそう多くいるものではない。出会ったとして、それをただ食べ切ってしまえば、いずれ世界から彼女らの力を維持できるに足る男性はいなくなってしまう。

だから、お眼鏡に適う男性が見つかっても、すぐには食べない。その力と魔性をもって堕とし、食料として確保してから長い時間をかけて、ゆっくりと精を吸い取るのだ。

……ちょうど、カイが『食料』に堕ちたように。

 

「じゃあね、お嬢さん。もう会うことはないでしょうけど」

 

「やだ……かえして……返してよお……」

 

「見てなかった? この子、完全に精神壊れちゃったけど」

 

「もう射精のことしか考えられないようになってるわ。たぶん、あなたのことももうわからないんじゃないかしら? ……それでもいいの?」

 

「うぅ…………うああ…………」

 

頭をごん、ごんと地面に打ち付け始めたミーナを見ると、サキュバスはやれやれと肩をすくめて、気を失ったままの『食料』を担ぎ上げ、月夜に羽ばたいて消えていった。

たった独り、ミーナが残された。わずか数日にしてすべてを失った彼女は、それが永遠に戻らないとわかってはいても、

 

「カイぃ……やだぁ……うわあぁああああん………!」

 

泣き叫ぶことしか、できることはなかった。

 




今回もご覧いただきありがとうございました!
エロRPGでたまにある「敵の前でシコって敗北射精」みたいなのが好きなので、そんな漢字で書きました。
よろしければ感想等いただけると幸いです!

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