噂話と後悔、代償は妻の笑顔で精算されてしまった(男は泣くこともできない) 作:木桜 春雨
オリジナル:現代/日常
タグ:R-18 主婦 噂話 ざまぁ 自業自得 取り返しがつかない
近所の主婦の噂、皆が知っているという。
自分のことではないということに、ほっとする男だが、後日噂の本人にあって驚いた。
怪我をしていたのだ。
そのことを妻に話すと、浮気するからという人場が返ってきた。
正直、気分がよくない、だが後日また男と出会い、そして妻と離婚したという話に男は驚く。
近所の主婦の噂話。
「奥さんを、あの駅で見かける、その言葉に夫の心がざわめく。
そして決心した愛人とは別れようと、ところが。
その日、妻から離婚を切り出されて男は拒否した。
「浮気をしているのは」
「ねえっ、あなた」
夕食後のことだ、妻からの質問に男は驚いた、あそこのご主人と言われて顔を思い出した、だが、挨拶を交わす程度で親しいという訳ではないので、いいやと答えることしかできなかった。
「浮気してるらしいわ」
妻の言葉にぎくりとする、だが、それは自分のことではないのだと思い、ほっとした。
まさかとは思う(ばれていない、いや、気づいている様子はない)
近所の人が噂してたのよ、続く言葉に話題を変えようと噂だろうと素っ気なく答えた。
憶測で、そんな事を言うんじゃないと。
「でも、皆、知ってるみたい」
あそこの奥さんが話してたから、その言葉にお喋り好きの暇な主婦、奥様かと内心、嫌な気分になってしまった。
しかし、近所の旦那が浮気、それを薄々、感づいている人間がいて話のネタにされているというのは正直、気分のいいものではない。
気をつけようと思った。
翌日、会社に行く途中のことだ、男は噂の人物に会って驚いた、右足に白い包帯、いやギプスを巻いていたからだ。
どうしたんですかと思わず聞いてしまった。
「駅の階段で転んでしまいましてね」
骨折ではない、筋を痛めただけだという、そのときはただ気の毒にと思っただけだ。
今朝、会ったよ、その日の夕食をすませた後、自分から話題をふってみた、脚を怪我したみたいだと。
その言葉に妻は軽く頷いただけだ、別にというか、驚いた様子はないのが、少しだけ気になった
「そうなの、自業自得ってやつじゃない」
冷静というか、まるで当然といわんばかりの言葉に正直、嫌な態度だと思ってしまった。
「脚を滑らしたって言ってるけど、皆、分かってるわ」
嘘だって、最後の呟きに、内心、むっとして妻を睨みつけた。
突き落とされたのよと、予想もしない言葉が返ってきた。
一瞬、どうしてそんなことをと聞き返しそうになり、言葉を呑み込んだ。
馬鹿馬鹿しい、まるで見たようなことをいうじゃないか、想像、いや妄想を膨らまして、そんな事を言っているんだと思った。
ところが、その後、噂の本人を見たのだ、今度は顔に怪我をしていた。
駅のホームで目があったとき、罰が悪そうにこちらを見る、どんな言葉をかければいいのかと迷ったが、聞いてしまった、どうしたんですと。
きまりを悪そうに浮気の結果ですよと、相手は呟いた。
「不満なんてありません、ただ、少しだけ、相手から声をかけられて有頂天になったというか、馬鹿ですね、離婚ですよ」
離婚という、その言葉に返事ができない。
子供は妻が引き取ります、自分は一人ですと呟く相手に思わず女性はと尋ねてしまった、浮気相手の女性はと聞いてしまったが、すぐに後悔した。
「妻に捨てられた男なんてと、言われました」
笑われたんです、何故でしょうねと言われて言葉に詰まる、力なく歩いて行く男の後ろ姿を見送ることしかできなかった。
その日の夕食の後、旦那さんに会ったよ、離婚するそうだよと妻に話すと何がと聞かれた。
あそこ夫婦、離婚するらしい、だが、妻の返事は返事は、そうと、うなずいただけだ、まるで関心がないといわんばかりだ。
それでと妻は続きを促した。
「貴方は何が言いたいの、他人の家庭の事が、そんなに気になるの」
いいや、噂してたのは、お前たち、近所の噂好きの主婦じゃないのかと言うと笑われた。
「良かったじゃない、怪我と離婚程度で済んで」
この時ばかりは腹が立った、思わず、言い返そうとしたとき、妻が視線を向けてきた。
「浮気、するからでしょ」
(まさか)
自分が浮気している事に気づいている、いや、うまく隠してきた、ばれてはいない筈だ、例え嘘だとしても、聞いてしまったら駄目だ。
「子供もいるのに奥さんを裏切って、ねえっ、もしかして、あなた」
ほんの少し、沈黙が続いた。
「馬鹿な事をいうんじゃない」
えっ、何、どういうことと言われてはっとした。
それから三日ほどが過ぎた。
あの人、亡くなったみたいと言われて男は聞き返した、離婚された男の人よと言われて返事ができなかった。
「駅の階段で転んで」
「打ち所が悪かったみたいで、意識が」
その日、家を出ると途中で数人の主婦とすれ違った。
「亡くなったんですってね、気の毒に」
「足も怪我していたから、そのせいもあるんでしょうね」
男の足が止まった、主婦達のの会話に思わず口を挟むというより、尋ねてしまった。
亡くなった夫の遺体の引き取りを元、奥さんは拒否しているという。 浮気していたからだという、そうですかと頷き男は通り過ぎようとした。
「ところで、貴方の奥さん、あの駅をよく、利用するのよね」
男は、えっと言葉を飲み込んだ。
主婦達は自分を見ている視線に、このとき気づいた。
(本当に知らなかったの)
そういわんばかりだ。
「まあ、昔から知らぬは亭主ばかりなりっていうしね」
「本当ね」
「仲良かったみたいだし」
誰のことを話しているのか、わからなかった。
誰が誰と、だが、聞く事ができない。
男は決心した、浮気相手と別れることを。
「別れましょう」
その日、夕食がすむと妻から離婚届を突きつけられた、男は驚いた。
拒否しなければと思った、だが、口から出てきたのは自身でも驚くような言葉だ。
「浮気をしていたからか」
何故、そう思ったのか、相手は誰なのか、自分は知っているんだと東風場を続けた。
「近所で噂していた相手は、そうなんだろう(おまえだ)」
否定しても無駄だ、だが、言い訳の言葉は妻の口からは出てこない。
呆れたわ、その一言にかっとなり、思わず両手を伸ばした。
「ええ、悲鳴を聞いて、驚いて主人と一緒に見に行ったんです」
「奥さんの首を両手で絞めようとしていたんだ」
「少し前から、変だったんです、あたし達のおしゃべりにいきなり割り込んできて、浮気がどうとか、わけのわからないことを」
「奥さんに注意したんです、旦那さんの様子がおかしいって」
警官は悲鳴を聞いて駆けつけた夫婦の言葉に頷いた。
少し前から、この近所では不審な事件が起きていた、駅のホーム、階段で突き落とされて男が怪我をした、犯人は捕まっていないのだ、あんな人の多い場所なのに目撃者もいないのだ。
そんなことがあるだろうか、もしかして怪我をした人間は犯人と顔見知りで庇っているのではないかと。
「この家のご主人の交友関係はご存知ですか、親しい人とか」
主婦が思い出したように、あそこのご主人と親しかったみたいと思い出したように呟いた。
「二人で駅の改札を出るところを見かけたわ、楽しそうに、怪我をしてからは」
「怪我、ですか」
「ええ、数日前、駅の階段で、それで困っているのを旦那さんは見かねて、親切な人だと思ったけど」
自分の奥さんを、主婦は人って分からないものねと戸惑いの表情で警官を見た。
男は妻の首を絞めて殺そうとした、いや、本気じゃなかった、ただ、かっとなってしまった、頭が真っ白になって、妻が叫んだ、その声を聞いて近所の人が飛び込んできた。
自分が何をしているのか、人殺しという言葉に慌てて外へ飛び出すと駅へ向かった。
眠っていたのか、目を開けると妻がにっこりと笑いかけてくる、ここはどこだと聞こうとして声が出ないことに気づいた、いや、それだけじゃない、起き上がろうとしても手が、体が、動かないのだ。
「駅の階段で転んだの、覚えてないの」
思い出した、浮気相手のところに行こうとしたのだ、だが、体が動かない、いや、それだけではない、感覚がないのだ。
麻痺しているらしい、リハビリを続ければいずれは治るだろう、だろうって、どういうことだ。
「浮気していた貴方の面倒なんて」
妻は笑った。
違う、浮気していたのは俺だけじゃないんだと言いたくても声が出ない、筆談をして知らせようとしたが、駄目だった。
「自分が浮気をしたのは妻もしているからだと、随分と想像力が、ああっ、ストレスのせいもあるかもしれませんね」
医者が説明している、その言葉にのょ有心は、あんなに良い妻だったのにと、こちらを見る、憎しみを隠そうともしない目で。
「浮気なんてするからよ」
ああ、そうだ、自分が馬鹿だった、だが、後悔して声をあげて泣くこともできなかった。
以前書いたものの、改訂版です。
内容、言い回し変わっていて、少し残酷度がUPしていると思います。