彼女の首には光る傷跡があった。
ジェーナスと提督が、その傷を分かち合うお話。
※首絞めや火傷などの描写があります
※pixivに投稿しているものと同一の内容になります
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深夜二時、枕元に置いた電話機の迷惑な音で目が覚める。布団を捲り、上体を起こした。
電話機が発する光に目を凝らし、発信元を確認する。液晶画面には、Janus、とだけ表示されていた。
受話器を取り、耳に当てる。誰かのか細い呼吸音のみが聞こえてくる。
「どうしたんだい、ジェーナス。」
私は電話先の少女、ジェーナスに声をかける。返ってくるのは呼吸音だけだった。
「大丈夫か?」
答えはない。
「そっちに行く。鍵を開けておいてくれ。いいね?」
トントン、と受話器を2度タッチする音が聞こえる。声が出せなくなった場合に使う、Yesの合図。
私は受話器を下ろし、寝間着のまま部屋を出た。
薄暗い廊下に光るものは、足元にあるいくつかの非常灯。目的地までの道を照らしている。
私が目指したのは、少女の自室。同じフロアの反対側で、廊下をそのまま進めばたどり着いた。
その部屋には、Janusと名前の書かれた札がかかっている。かつては札ではなく、宿直室のプレートが掲げられていた。
本来、少女が住まうべきはこの建物ではなく、別の棟だった。しかし、ある事情から宿直室を改装し、今は少女のための個室となっている。
軽くノックをして、声をかける。
「ジェーナス、私だ。入るぞ。」
この行為は少女の許可を得る目的ではなく、少女を怯えさせないための行為だった。今まで一度も、少女が声を返したことはなく、かといって黙って入ると急に怯えだす。それを防ぐための、ただの儀礼的手段。
扉を開け、中に入り、扉を閉める。後ろ手で鍵も回しておいた。
カーテンは閉じられ、明かりはついていない。それでも、微かに光るものがあった。
「提督?」
光るものから、声が聞こえる。電話口で話していた、いや、こちらから一方的に声をかけていただけの少女。
ジェーナス、イギリス海軍出身、J級五番艦。
光っていたのは、彼女の首元にある傷だった。
私が指揮を取るこの鎮守府にジェーナスが着任したのは一年程前である。その着任は唐突なものだった。
イギリスから駆逐艦が一隻、日本に移籍するという話が来ており、その受け入れ先がここだったのだ。
しかし、妙な話ではあった。まず、この鎮守府に海外からの移籍者を受け入れる環境などなかった。私は英語に堪能と言えるほどの能力は持ち合わせていなかったし、工廠にも英国製艤装の整備経験はなかった。
彼女の能力傾向も、この鎮守府に求められるものとは異なっていた。日本海に面するこの鎮守府での主な任務は、日本海に散発的に出現して通商破壊を行う深海棲艦の相手である。
しかし、日本海に出没する深海棲艦は駆逐艦、巡洋艦級のものがほとんどであり、潜水艦の活動は見られず、対潜を得意とするJ級のスペックとは合致していなかった。
とはいえ貴重な戦力が増えることには変わりなく、上がそう配置すれば私はそれに答えるしかなかった。
彼女がここに配属された理由は、当日に知らされた。
「J級駆逐艦、ジェーナスです。よろしくお願いします。」
そう自己紹介をした彼女の首には、コルセットが巻かれていた。首の事を尋ねると、彼女は黙ってコルセットを外し、その首を私に見せた。
そこには、うっすらと光る傷があった。歪に刻まれたそれは彼女の首を一周しており、その傷が本物であれば間違いなく致命傷と言えるものだった。
当然、彼女が負傷しているなどとは聞いておらず、大本営に確認の電話を入れようとしたが彼女が制した。
そして、少女は自分の身に起きた今までの事を語り始める。
最初の記憶は、見知らぬ少女達と戦う自分。殻のようなものに入った自分。けたたましく笑う自分。
次の記憶は、誰とのものともわからない血で、自分の手が染まっていた光景。
その次は、ベッドで目覚めてから、今に至るまで。
少女はジェーナスと呼ばれていた。
ベッドの上で、将校らしき女性…後の彼女の担当教官からありとあらゆる事を聞かれた。
記憶はあるか、自分が誰だかわかるか、ここがどこだかわかるか。彼女はわかることには答え、わからないことにはわからないと答えた。
艦娘のジェーナスとしての日々が始まる。座学、訓練、演習。同僚のはずの少女達は、どこか彼女を恐れるような目で見ていた。
ある日、鏡を見ると自分の首が光っていることに気がつく。教官を問いただすと、教官は彼女に真実を教えた。
彼女はもともと深海棲艦であり、一度は艦娘に鎮められ、艦娘として蘇ったと。それ自体は珍しいことではないが、彼女の場合、深海棲艦の時に持っていた首の傷がそのままであることは特異なケースだった。
彼女は、自分にだけ担当教官がついた理由、同僚達が自分を恐れる理由を理解した。
自分の首の傷について考えを巡らせたり、感情が高ぶったりすると、なぜだか首が熱くなった。夜になると、それがより強く光っているのがわかった。
訓練期間を経て、実戦に出るとその光が何なのかはすぐに気がついた。深海棲艦の灯す憎しみの光。それが自分にも流れていると。
それからは彼女の目に映る全てが、彼女を追い詰めているように思えた。首は常に熱く光っていた。
ある日、同僚が自分の首の事について言及していた、気がした。同僚を問い詰めたが、同僚はそれを否定する。その後、その同僚は彼女の事をますます恐れるようになった。
異動の申請をして、別の鎮守府に行ってもそれは変わらなかった。
教官は繰り返し彼女を慰め、励まし、いくつもの質問にも答えた。彼女もまた、一定の信頼を置いていた。
しかし、彼女が教官を一つだけ信用しなかった事があった。それは『自分は誰かを沈めたのか』という問い。
教官はその答えにすぐに答えた。誰も沈めていないと。そう答えた教官の目には、涙が浮かんでいた。
彼女はそれからすぐに海外への移籍を要求した。英海軍本部はこれを承認し、彼女は英国を離れる。
そして英国から最も離れた、何のつながりも見出だせないこの鎮守府に一人でやってきたのだった。
真っ暗な部屋の中で、光がゆらゆらと動く。目を凝らすと、ジェーナスは保冷剤を自分の首に当てていた。
「どうした?熱くて眠れないのか?」
彼女は首を縦に振る。頭の動きは見えなかったが、首の光がそれを示していた。
「電気、つけるぞ。」
壁に手をやり、照明のスイッチを探す。指先がスイッチにかかった所で、ジェーナスが叫んだ。
「待って!付けないで!」
彼女はいつもこうだった。首の光が全ての原因であるはずなのに、それをかき消してくれる部屋の電気をつけることは頑なに拒んだ。
私は腕を下ろし、手探りでベッドに近づくと、ベッドの上に腰を下ろした。
電話を掛けてきたときより落ち着いたようで、もう話も出来るだろう。
「どうして付けないんだ?その傷、暗闇の方が目立つだろう。」
「だって、提督がもし、あんな顔してたらって思うと…」
あんな顔。彼女の過去を顧みれば、それがどんなものかは想像がつく。
「傷が光るのなんて何度も見てる。今更どうってことない。」
実際、私は彼女の首の傷を何度も見ている。
ジェーナスを何度か出撃させたものの、彼女の反応は芳しくなかった。深海棲艦と対峙すると、嫌でも思い出してしまうという。
彼女の過去を知らない日本の駆逐艦達は、彼女の傷に対して嫌悪感を持つことはなかった。しかし、彼女の奇妙な移籍の経緯と、その待遇はやはり不思議に思われているようで、彼女はあくまでも嫌われていない、というだけに過ぎなかった。
完全な孤立はしないまでも、彼女の持つ悩みを打ち明けられる存在はいなかったのである。
そのような事情もあり、この鎮守府に着任してからのジェーナスの仕事は、もっぱら秘書艦業務だった。
日が出ている頃の彼女の勤務態度に問題はない。首の傷も、見られることはさほど気にしてないようだった。
しかし、夜は違った。否応もなく首の傷が存在を主張し、自己嫌悪に陥る。感情が高ぶり、さらに熱と光が増す。その繰り返し。
不眠症というわけではなかったが、時折悪い夢を見ては、こうやって起きてしまうのだという。悪夢にうなされた後は、起きてから光にうなされる。
どうしてもそれに耐えられない時は、私に直通の電話をかけるよう伝えておいた。それが今だった。
「ねえ、提督。」
「なんだ。」
「わたしを、抱いて。」
年端もいかない少女が、私を誘惑する。私はこの誘惑に何度も屈していた。
彼女の弁で言えば、これは証明らしかった。自分が、あの深海棲艦とは違うことへの証明。人の子を宿せばそれが成せると。
私は、彼女の望みが限りなく薄いものであると知っている。
艦娘は、人間との間に子供が出来る可能性が限りなく低い。ここ日本でも、数えるほどの実例しかない。原因はわからないが、事実として存在している。
彼女がそれを知っているかはわからない。教えたとして、どうにもならないだろう。もしかしたら彼女の微かな希望までも打ち砕いてしまうかもしれない。
もっとも、彼女が妊娠出来る肉体年齢かもわからない。この行為には、彼女を慰める以上の理由はないと言っていい。
それでも、私は彼女の誘惑に抗えなかった。
今、彼女の心は私の元にある。いや、私の元でしか存在出来ないといった方が正しい。そんな少女の、柔らかな肉体までをも支配する感覚。そこに興奮を覚えてしまうのは否定できない。
寝間着を脱いでいく。この原動力が、愛情なのか憐憫なのかはわからない。わかっているのは、彼女がそれをすると喜んでくれるという事だけだった。
横からも、スルスルと布の擦れる音が聞こえる。彼女もまた寝間着を脱いでいた。
「ジェーナス、いいか?」
寝間着を床に脱ぎ捨て、彼女に尋ねると、何かが飛んできた。背中にぶつかったそれはキンキンに冷えており、思わず叫ぶ。
「うおっ!今何を投げた!?」
「保冷剤よ。ふふっ。」
くすくすと彼女が笑う。それが強がりなのか、素なのかはわからない。
「来て。」
ベッドに仰向けになった彼女の体を、黄色い光が照らす。起伏のなだらかな、少女のシルエットが浮かんだ。
私は、照らされた太もものシルエットに手をやり、根本へと持っていく。ぴたりと閉じた割れ目に指を這わせた。
「あっ…♡」
ジェーナスのそこは、既に少し濡れていた。後は指で満遍なくほぐしてやればいい。
指を少しずつ彼女の中に埋めていき、引き抜いては出てきた蜜を割れ目に塗りたくる。その度に彼女の首の光はゆらゆらと強弱を変えた。
光は下腹部まで届くことはない。しかし、暗闇の中での愛撫にはもう慣れてしまった。
準備が終わった後、彼女の唇にキスをする。いつもの合図。
彼女は私の首と頭に手を回し、唇に吸い付いてくる。私はそれを受け入れた。ほんの僅かに、彼女が寝る前に飲んだであろうアールグレイの香りがした。
首の傷は、いつにもまして光を放っている。キスの間も、私の顔にまで熱が届くのがわかる。
ジェーナスは、名残惜しそうに頭を離した。私は彼女の両足を持つと、自分を両足を下に滑り込ませて正常位の体勢を取る。
そして、仰角しきったペニスを掴むと、彼女のヴァギナにあてがう。ゆっくりと、腰を押し付けた。
「あ、あ、あぁ…♡」
ペニスで押し出すと、空気が漏れるかのように彼女の口から喘ぎ声が漏れる。
暗闇に浮かぶ、一輪の光。その光は大きく収縮し、少女の呼吸と声を運んでいた。
彼女の腰をつかみ、ゆっくりと揺らす。同時に、自分の腰も前後させる。
「はっ、提督、あっ、はぁっ、もっ、もっと…」
少女の小さな膣口が、ペニスを粘っこく包んで離さない。はじめに彼女としたときは、全く入らなかった。
それでもなんとか繰り返し、今ではすっかり成人のペニスにも耐えうる体になっている。
不意に、私の両手が掴まれる。ジェーナスだった。
「どうした?」
「もっと、激しくして欲しい…。」
そう呟くと、彼女は私の手を掴んだまま、両手を上半身に持っていく。
「熱っ!」
彼女に導かれるまま、私の手が首の傷に触れた。それは妖しく光り、むき出しの電球のように熱を振りまいている。
「ジェーナス、首は大丈夫なのか?火傷しそうなくらいに熱いぞ。」
「わたしは…大丈夫。熱くないわ。提督と繋がってる所のほうが熱いもの。でもー」
彼女は言い淀む。そうして暫く考えた後、ゴクリと唾を飲み込む。喉の様子が、光を通して私からも見えた。
「熱くないわ、大丈夫。でも、光が怖いの。あなたを怖がらせるんじゃないかとか、あなたが私を怖がっているのが見えちゃうんじゃないか、とか。」
彼女の声は震えていた。
「だから、だからー」
ジェーナスはひときわ強い力で私の手首を握り、自らの首に押し付けた。私の手のひらに、首の傷から熱がジリジリと伝わってくる。
「あなたの手で、消して欲しい。」
そうして彼女は、更に私の腕を自らの首に押し込んだ。手のひらが焼ける感覚と共に、彼女の頸動脈に流れる大量の血液を感じ取る。
彼女の望みを察した私は、そのまま体重をかけた。
手のひらで彼女の首を全て覆う。少女の柔らかな肌と、それに反する焼け付く熱。指の間から漏れ出る光は見たこともないほど強い。
「ガッ…ア…」
ジェーナスは酸素を求めて、口の中に残った空気を吐き出した。しかし、どれだけ吐こうとも吸おうとも、それが頭に届くことはない。
彼女の首を絞め上げるほど、下の口も締まる。最初に入れたときより、ずっと狭い。首を持ったまま、乱暴に腰を打ち付けた。
「カッ…ハァッ…」
痛みか、苦しみか、それとも快感か。彼女の体は流れ込んでくるものに耐えられないのか、足をバタバタと動かして何かを訴えようとしている。
だが、今はそのような動きですら快感に変わっている。彼女がなんとかして下半身を動かそうとする度に、そのもがきが私のペニスに伝わってくる。
指の間から漏れ出るもの以外、この部屋に光はない。彼女がどんな顔をしているか、私にはわからなかった。
しかし、彼女の両手は未だ私の手を掴んで首に押し付けている。それが答えだった。
最初に握った時に感じられた頸動脈は、もう反応がない。代わりに、首全体が一つの血管のようにドクドクと動き、なんとか血液を巡らせようとしている。
彼女の微かな声は、肉同士がぶつかり合う音でかき消されている。今の私に感じられるものは、両手の熱さ、淫猥な音、下半身の快楽だけだ。
両手に少女の命を握りながら、少女に命を宿そうとするその行為は、あまりにも自然に反している。しかし、私とジェーナスの心は何故か踊っていた。
焦げ臭さが鼻につく。首のほうに目を向けても、火は見えない。燃えているのはベッドではなく、私の両手のようだ。
ゆっくりと、彼女の手から力が抜けていく。それに反して、ヴァギナは固く引き締まり、痙攣を始めた。
私は腰を大きく打ち付け、奥深くでその痙攣を味わった。
すると、両手の焼ける感覚が一瞬だけ強まった。指から漏れた光が、部屋を照らす。咄嗟に目を閉じて横を向いた。
彼女の両手からだらんと力が抜けるのと同時に、ヴァギナが引き締まる。私はそのひと押しで絶頂を迎えた。
目を瞑ったまま、射精の感覚に身を委ねる。一瞬だけ引き締まったヴァギナは弛緩を始め、私の放ったザーメンを全て受け入れた。
ヴァギナがザーメンを全て飲み込んだ後、今度は放出を始めた。アンモニア臭と共に、私の腹に生暖かい液体がかかる。
はっと気がつく。手を離していない。
急いで両手を離すと、何かが剥がれるような感覚を両手が襲ったが、不思議と痛みは少なかった。
さっきまで強い光を放っていた傷は、もう一切見えなかった。
手探りで、ジェーナスの体を触る。発達途上の胸にたどり着き、その中心に手のひらを置く。痛みと熱さで何も感じられず、手を返して手の甲で胸を撫でた。心臓は、ゆっくりとだが動いていた。
今度は、彼女の顔に手の甲をやる。唇と鼻の上にかざすと、息をしていたのがわかった。ほっと腕を撫で下ろす。
そのまま眠るジェーナスにキスをした。少女の汗と焼き付いた自分の皮膚の臭い。忘れそうにない。
「ん…」
私の腕の中で眠っていた少女が、目を覚ました。
「起きたか、ジェーナス。」
「わたし…」
彼女がベッドの大半を濡らしてしまったので、私は今、ベッドに面した壁に寄りかかっている。
ジェーナスを両足の間に抱え、同じように私に寄り掛かる形で寝かせていた。
眠りから覚めたばかりの彼女は、ぼうっと前を見つめている。
「提督?」
私はあの後、照明を付けて現状を確認した。彼女の首に絞め跡はついていたが、熱による損傷はなかった。顔色も最初は悪かったが時間が経つにつれ、もとの白く美しい肌に戻っていった。
私の方はと言うと、両手が酷い事になっていた。手のひらは、彼女の首の傷がそっくりそのまま火傷として残り、手のひらの一部は皮膚まで剥がれてしまっていた。水でよく洗い、消毒をして今は保冷剤で冷やしている。
ジェーナスの目が、保冷剤を握る私の手を捉える。彼女は思い出したように私の手を握り、保冷剤をどかせた。
「提督、わたし…」
火傷痕を見た彼女が振り返って心配そうな目つきで私を見上げた。いや、恐怖の方かもしれない。
「構わないよ。私がやったことだ。」
「ごめんなさい!わたし、こんなに熱いなんてー」
火傷をしたその手で、彼女の口を塞いだ。
正直、火傷などどうでもよかった。いや、むしろしてよかったと感じ始めている。
彼女の傷を、少しでも共有出来た気がするから。気がするだけで、私の自己満足かもしれない。
何も言わない私を見て、彼女はゆっくりと私の手を口から剥がし、自分の頬を撫でさせた。
私の手は彼女の頬を感じられないが、彼女の頬は私の手を感じられているのだろう。
もう片方の手を、彼女が握る。ゆっくりと自分の目の前にかざし、火傷痕を観察している。
後ろから彼女の綺麗な金髪を眺める。ジェーナスがどんな顔をして火傷痕を見ているのかはわからない。
でも、多分きっと笑っているのだろう。
私がそうなのだから。