学校の中で手コキしてお金を稼いでる女子生徒に何度も搾精してもらって最後には貢ぎ奴隷に堕ちた教師の話 作:どなべ。
オリジナル:現代/ノンジャンル
タグ:R-18 手コキ 言葉責め 貢ぎマゾ 女性上位 嘘喘ぎ
人生は、ほんの些細な偶然で、思いがけない方向に転がることがあると知ったのは、高校生の頃だった。
目覚まし時計のセットを忘れて寝坊して、通学のバスをタッチの差で逃したと思ったら、そのバスが事故を起こして翌日の朝のニュースに流れていた。
もし寝坊していなかったら、バスの乗車に間に合ってしまっていたら、と考えると、今でも背筋が凍る。
おかげで今でも公共交通機関は苦手で、バスや電車に乗ると落ち着かない心地がするようになった。
進路を決めかねている中、なんとなくつけたテレビでやっていた教師もののドラマに影響されて、気づけば教師になっていた。
スーパーでたまたま流れていた曲が気になって、調べてみたらアニメの主題歌で、そこからそのアニメにハマって原作漫画を全巻揃えたりもした。
そして、ほんの些細な偶然で。
確か、授業で視聴覚室を使ったあと、うっかり忘れ物をして、そのことを退勤寸前になって思い出して取りに行った。
そんなどうでもいいようなことをきっかけに。
「遅いよ、先生。いくら持ってきたの?」
――俺は、ひとりの女子生徒に言われるがままに金を貢ぐ、奴隷となっていた。
「せーんせ?ほら、お金出して」
目の前の、人を舐め腐ったような笑みを浮かべた少女に金をせびられ、いそいそと財布を取り出して中身の紙幣を数枚差し出す。
彼女はそれを受け取ると、学生の制服とは不釣り合いなブランド物の財布にしまい込んだ。
「はーい、まいど。んじゃ」
「ま……待ってくれっ、今日はなしなのか!?」
金を貰うだけ貰って立ち去ろうとする彼女を、思わず呼び止める。
必死になるあまり声が裏返ってしまった。
「えー?なに、抜いてほしいの?前の時に抜いてあげたでしょー」
「そんな……」
「ってか、あたしの顔見た瞬間からギンギンにしてさあ。今更だけど、よくそれで教師できてるよね。どうやって変態なの隠してんの?」
言葉でなじりながら、細指がズボン越しに怒張を撫でると、ぞくっとした快感が全身に走る。
足が子鹿のようにがくがく震え、喘ぎの混じった熱い息が口から漏れる。
「あはは、もうこれでいいよね?今のでシコれば?」
「あ……っ、金、金出すからっ!」
閉じかけの財布からさらに紙幣を取り出して、彼女に捧げて縋り付く。
頭だけでなく身体も、彼女の奉仕を渇望している。ズボンの中がはち切れんばかりだ。
はあ、とひとつ溜息をついて金を取り上げると、面倒そうにズボンのチャックを下ろし、いきり立った男根を取り出した。
「……しょうがないなあ。さっさと出してよね」
男根を強く握った彼女の手が、乱暴に上下する。
雑、あるいは投げやりとしか形容できない適当な手淫。
だというのに、腰が引けて、膝が笑うほどの快感が股間から齎されてしまう。
何度も何度も彼女の手に吐精させられてきた身体は、彼女の手淫を受けているという事実を認識するだけで、ひどく昂るようになっていた。
「っあ゛……きもぢいっ♡」
「わかったから早く出して」
より強く握り込まれ、火がつくようながしがしとした刺激を受けると、背筋を反らして悶えてしまう。
気遣いのない、ただただ射精させるためだけの動作。
大金を差し出してなおぞんざいに扱われ、無遠慮の搾精を受けている。
そのように強い屈辱を覚えた途端、倒錯的な快感が脳から湧き上がって、腰の奥をびりびりと震わせる。
「は、あうっ!イっ……」
せめて一秒でも長く、と全身を強張らせて快感に抗う。
手の動きがまだ早くなる。男根が焼けるように熱い。
「ぐ、う、……あ……っ♡」
無駄な抵抗、というのはきっとこういう事を言うのだろう。
股間から迸る放出欲に、もう全身を支配されている。
腰が彼女の手さばきに合わせて、細かく前後し始めた。
「も、出っ……♡」
「そういうのいいから早くして。あ、床汚さないでよ。ここ部室なんだから、先生の臭いつけないで」
白いうねりが根本で渦巻いて、今にも飛び出そうとしている。
びっくん、と身体ごと男根が跳ねて、鈴口が彼女の胸元を見上げた。
「服にかけたらチクる」
身体中の体温が一瞬で冷え込む。
それだけは。
腰だけは温かい。
その温かさが、体外に出ていく感覚。
汚す。
汚してしまえば、終わる。
それだけは。
「っ、あああっ……!」
熱を放った。
身体中が真っ青になる。
「ふう、はあ、はあ」
両手に生暖かい、どろつきを感じる。
咄嗟に前に出した両手で、精液を受け止めていた。
彼女の制服は、汚れていない。
安堵と疲労感で力が抜けて、膝を折った。
「……じゃ、戸締まりよろしく」
部室の、視聴覚室の鍵を放り投げると、彼女は足早に去っていった。
両手にべったりと付着した、自分の精液。
それを呆然と見つめながら、ふと思い返す。
なぜ、こんなことになってしまったのか。
きっかけは、そう、本当に大したことのない、ほんの偶然で――
****
自前のメモ帳がないことに気づいたのは、退勤直前になってのことだった。
視聴覚室での映像鑑賞の授業中、合間を縫ってメモを見返していた記憶がある。そのまま置き忘れてしまったらしい。
メモくらい明日でいいか、とも考えたが、授業の予定とかテストの出題とか、いろいろと見られたらまずいものが書いてあったのを思い出したので、やむなく回収に向かった。
扉を開くと、防音仕様の部屋に遮られていた音と声が鼓膜を揺らした。
ちゅこちゅことした水音と、男の上ずった声。
不審に思ってドア越しに中を覗き込むと、一組の男女の生徒らが寄り合っているのが見えた。
「……何してんだ、あいつら……?」
男子生徒の方は、身体をビクビク震わせながら、時折喘ぐような声を出している。
女子生徒は男子の影に隠れていてよく見えないが、右肩が小刻みに動いているようだ。
(マジかよ……やってんな……)
人並みの性知識を持つ成人なら、状況証拠だけで察しが付く。
女子生徒が男子に手コキしている、まさにその現場だった。
「やば、気持ちいっ……♡出る、出るっ」
「はーい、どうぞー」
「あ、イっ、イくっ♡……あ〜〜〜……♡」
「もっと出していいよー。びゅっ、びゅっ。びゅるるるるる〜っ、びゅーっ」
「あ、うあ〜〜……♡あ〜〜〜……♡」
射精を煽られ、蕩け切った声で悶える男子生徒。
……最後まで見届けてしまった。
「あ、ありがと……これ……今日の分……」
「じゃあ、また……」
着衣を整える仕草の後、何かを女子生徒に差し出すような素振りが見えた。
背中が相変わらず影になっていて、何を渡したかは見えない。
立ち去ろうとする雰囲気を感じて、慌てて扉を閉める。
閉めた扉がすぐに開いて、男子生徒が足早に去っていく。
それから少し間を置いて、今度は女子生徒が出てきた。
ついにこちらに気づかなかった男子とは異なり、俺の存在をすぐに認めて近づいてきた。
「まさか、見てたのが先生とはね」
「……そりゃこっちもだ、部室で何してた、音無」
――音無美咲。
この女子生徒の名前で、映画研究部の部長。
部の活動拠点は視聴覚室。たまに職員室に鍵を返しに来る際に対応するので、名前と顔くらいは知っていた。
「何してたって、見てたんだからわかるでしょ?」
「というか、何してたっていうのはどっちかっていうとあたしの台詞だよね、先生」
音無が距離を詰めてくる。
前後に振られた手がぶつかりそうになる。
「……なんで、止めなかったの?生徒が学校の中でエッチなことしてたのに、さ」
「それ、は……」
咄嗟の言い訳が出ず、口ごもる。
確かにそうだ。
あの行為が手コキだと気づいた時点で、すぐに止めに入るべきだった。
そうしなかった理由は。
「わかるよ」
「……興奮、しちゃったんだよね?」
音無の手が股間を撫でる。
ズボンの中で腫れ上がった男根に刺激が伝わり、ぞわっと背が震える。
興奮したと身体が言っていたとしても、言葉で言う訳にはいかないと、そっぽを向いた。
「……あの男子から何を貰ってた?」
「話反らした。教師のくせに」
まあいいか、と呟いた音無は、ポケットに手を突っ込んで、中にあった札状のものをぴらぴらと見せびらかした。
「一万円……!?」
高校生が現実的に可能なアルバイトの時給と労働時間では、かなりの大金であるはずだ。
……成人の自分でも安い金額だとは口が裂けても言えない。
「先生は男だから知らないかもしんないけど、女の子ってさあ、結構お金要るんだよね。服も高いし、インスタ映えする店とかも高くって。だからああいう男子に援助してもらって、その代わりに抜いてあげてんの」
「自分がなにやってんのか、わかってるのか」
「ま、バレるとちょっと面倒になるってことは、わかってるつもりだけど」
「……わかってんならなおさらだ。生活指導の先生んとこに行く。着いてこい」
話を打ち切って強引に手を引こうしたその時に、掴もうとした腕がするりと逃げて、俺の股間に張り付いた。
張り付いた手がすりすりと、未だいきり立ったままの男根をズボン越しに弄ぶ。
反射的に身体が硬直し、詰まった息が一拍遅れてどっと吐き出される。
「先生……?見逃してくれない……?」
「見逃してくれたら……先生のおちんちんも、手で抜いてあげるんだけどなあ……?」
服の上から何度も撫で回しながら、媚びるような甘い囁き声で誘惑してくる。
自分の意志や動きに関係なく男根を刺激される、という未知の快感が、思考を混線させる。
生まれてから20と数年、一度も他者に触られたことがなかった場所を、一回りも年下の女子生徒に触れられている。
「考えてみて?先生……お金に余裕のない高校生が、一回抜いてもらうだけなのに大金払っちゃう意味を……」
「それはね、お金払っちゃってもいいやって思えるくらい、気持ちいいってこと……だよ?」
爪を立てた指がかりかりと、ズボンの膨らみの頂点を引っ掻く。
思わず声が漏れて、頭をクラリとさせてしまう。
「タダでいいよ……今回は特別。さっきのことを黙っててくれたらね」
「お金取れるレベルの気持ちいい手コキで……びゅるびゅるびゅる〜〜……ってさせてあげるんだけどなあ……?」
親指と人差し指で作った輪っかを、手首のスナップで振って挑発してくる。
手コキを受けていた男子生徒と自らを重ね合わせた妄想が、不意に頭の中で膨らんでしまう。
音無の手の中に男根を包まれ、蕩けた声で悶えさせられ、ついには精を吐き出す。
教師と生徒という関係性で、あってはならないシチュエーションを妄想したその果てに――
「ぷぷっ……。いいんだ、それで」
呆けた頭で、首を縦に振っていた。
「いーよ。じゃ、部屋戻ろ」
音無の手を引くはずだった腕を逆に引かれ、視聴覚室へ連れ込まれる。
先程の男子生徒が立っていた扉の遠くの隅で、ズボンをパンツごと下ろされた。
露わになった男根は、既に床との水平よりも高く頭を上げていた。
「うーわ、ガッチガチじゃん。手コキ見てただけでこんなになってたの?」
勃起を笑いながら、右手で男根を握る。
自分のゴツゴツした手とは全く異質の、すべすべとした絹のような感触に包まれる。
その感触が、男根を前後に行き来する。
「く……う……」
出すまいと勝手に我慢していた声が、意に反して漏れ出てしまう。
漏れる度に、声の塊を噛み殺すように口を閉じる。しかし、すぐにまた開いてしまう。その繰り返し。
「声、我慢しなくていいのに。ここ防音だから」
手の動きが少し勢いづくと、それに従って快感が強まる。
声を押し殺そうにも、口の閉まりが緩くなる。
「ほら、ほら。声出しちゃえ。あんあん、あーんって」
鈴口から分泌された透明な液が音無の手に絡んで、ちゅくっ、と水音を立てる。
絡んだ液を擦り付けるように手が前後に動き、塗り拡げるように指が這い回る。
音無の手から自分の手慰みとは比較にならない快感を受容し、身体が総毛立つ。
「あ、は、あうっ!」
腰から登ってきた快感が、歪んだ調子の声を形作って口から発せられてしまう。
快感を堪えきれていないことを自覚させられる。
「そうそう、我慢しないで声出したほうが気持ちいーよ」
粘ついた水音が激しくなる。
それに比例して、ただでさえ堪えきれていなかった快感が、もっと強い勢いで襲いかかってくる。
必死に押し留めようとして、それでも抑えきれずに、うめき声となって発せられる。
「ぐ、ううううっ」
「そうじゃないって。我慢しないの。気持ちいいのを素直に受け入れて」
手の動きを維持したまま、音無の唇がそっと耳に寄せられる。
「……いいから、力抜いて?」
吐息混じりの囁きを聴いた身体が、一際大きくびくんと震える。
耳元から鼓膜を震わせた言葉がそのまま脳に届いて、顔の力が抜ける。
頬が落ちるような感覚がして、それから、強張っていた身体が、全身に駆け巡る快感にほだされていくのを感じる。
どことなく、浮ついた心地になる。
「はあ……ふ、うあ……♡」
「そうそう、そういうの。もっと出してこ」
ちゅこちゅこ、くちゅくちゅ。
手の動きが、わざとらしく音を立てるものに変わる。
顎が脱力して、口を閉じていられない。声がどんどん漏れる。
声が漏れる度に、手コキで感じていると脳が実感してしまって、抑えが効かなくなる。
「ふう……♡うあ……♡あ〜〜〜……♡」
いつしか、手コキの快感に夢中になり、我慢をすっかり溶かされてしまう。
直立するだけのわずかな力だけ残して、手の動きで与えられる快感を受けるだけになっている。
快感への抵抗はまるでなくなっていて、男根に与えられた快楽をダイレクトに脳で受信して、蕩けた声として出力していた。
「凄いでしょ、あたしの手。もう骨抜きだね?」
「す……すごい……♡やば、い♡きもちいい……♡」
「……くすっ。あたしを突き出さなくてよかったね?」
教師としては間違ったかもしれない。
ただ、あくまで個人としてならば、この選択は間違いではなかった。
そう思わされてしまうほどに気持ちがいい。
「あ、ああ……♡ぁはあ……っ♡」
身体中を流れる手コキの快感に溶かされて、酔いが回ったようにふわふわとした心地になる。
全身でくの字を作るように、腰を突き出している。
というより、腰を差し出して、快感をおねだりしている。
「あ、もうイキそうでしょ。身体が勝手に『イかせてくださ〜い』ってなってる」
「……じゃ、イかせるから」
「あ、待ってっ……はうぁっ♡」
根本からぎゅっ、ぎゅっ、と強くひねり出す、搾乳のような動きで手を動かされる。
放出感を強烈に煽るその動きに、溶けた身体では到底抗えない。
全身が甘く、がくがく、ぶるぶると震える。膝が笑って立っていられなくなりそうになる。
「出る、出る、出る。ほら……びゅーー……」
耳から脳に突き刺さる甘ったるい刺激が、身体を強く痙攣させる。
一際強く締め付け、ぎゅううっと引き抜かれる刺激に、精液を搾り出される。
「ふあ……♡あああ〜〜……♡♡」
蕩けた身体で搾精の快感を味わい、脱力しながら裏声で歓喜の嬌声を垂れ流す。
「どぷ、どぷ、びゅー……ぶぴゅるるる〜〜……」
「ううあ……♡ふ、うう〜〜っ……♡♡」
射精を表す卑猥なオノマトペの囁きに合わせて、搾精の手が男根を虐げると、その一回一回ごとに精液がびゅっと溢れた。
溢れた精液は、いつの間にか鈴口の目の前に晒されたティッシュにぶつかって、白い紙を濁った別の白で汚しに汚した。
「……出し切った?」
「あ……♡あ、ああ……。出た……」
「ヤバすぎでしょ、先生。出しすぎ」
何枚重ねにもなったティッシュが、夥しい量の精液でドボドボになっているのを見せつけられた。
オナニーではこんな量は出したことがない。
「あたしの手、最高だったでしょ?バカみたいにあんあん声出して、顔もへにゃっへにゃにさせてさぁ」
「……こんな射精させてもらったんだから、ちゃんと約束守ってよ?」
約束。
手コキをタダでする代わりに、彼女の校内での淫行を見逃す、そういう約束。
……射精で冷えた頭で考えてみれば、生徒の誘いで手コキをされた時点で、報告できようはずもない。
「あ、そうだ。あたしの手コキ気に入ったなら、またしてあげてもいいよ」
「ま、次からはお金もらうけど」
それだけ言い残して、音無は視聴覚室の鍵を押し付けて去っていった。
その場にひとり残された俺は、当初の目的だった忘れ物のメモ帳を回収し、鍵を返して退勤し、家につくなりベッドに身を投げて――
音無の手コキを思い出して、オナニーに耽った。
視聴覚室での一件から数日が経った。
音無との約束を守り、結局あの件は誰にも報告していない。
仮に約束を破って報告をしたら、音無は俺が視聴覚室で彼女の手コキを受けたことを白状するだろう。
その選択肢は自爆ボタンを押すことと同義だった。
その件さえ除けば、今までと変わりない生活に戻る。
あれを忘れてさえしまえれば、何事もなかったのと同じになる。
そう思っていた。
そうはならなかった。
あの一件は一向に脳内から排出されないでいる。
それどころか、日を追うごとに、より強く意識してしまうようになっている。
――音無が、誘ってきているのだ。
校舎内ですれ違う度に。
授業中に目が合う度に。
指で作った輪っかで扱く素振りをする。
口元に手をやって囁く仕草をする。
下半身をそっと手で撫でていく。
音無の誘いを受ける度に、音無の手コキを思い出して勃起してしまう。
家では毎日のように、音無の手コキを妄想してオナニーしている。
あまりにも我慢が効かなくなって、日中から校舎内のトイレで処理してしまったこともある。
――あたしの手コキ気に入ったなら、またしてあげてもいいよ。
音無が最後に残した言葉が、ずっと頭に残っている。
また、音無に手コキしてもらいたい。
思い出しオナニーでは満足できていない。
あの甘く溶け落ちるような搾精を、もう一度味わいたい。
そこまで懸想していながら踏みとどまっているのは、音無が残したもうひとつの言葉によるものだった。
――ま、次からはお金もらうけど。
何も懐事情を心配しているのではない。
余裕がある訳では無いが、そういうことではない。
生徒に金を払って性的な奉仕を受ければ、教師として戻れないところまで行き着いてしまうのではないか。
そういう畏れがあと一歩のところで、視聴覚室への足を止めていた。
……既に教師にあるまじき判断と背信を、働いていながら。
受け持ちの移動教室での授業を恙無く終えた。
……恙無く、というのは嘘だ。室内には音無がいる。
何度も誘惑を受けて、勃起を隠しながらやり過ごした。
授業を終えた生徒が、ぞろぞろと元の教室へ戻っていく。
その流れに逆らって、ひとりの女子生徒が、ノートを携えながら教壇に近づいてくる。
……音無だった。
「……なんだよ」
「なんだ、って何?先生に聞きたいことがあったから来たのにさ」
「なら、そう言えよ……で、何が聞きたい?どのへんがわからなかったんだ?」
「えっとねー」
「――なんで、ずっと勃起してんの?」
あの日と同じように、服の上から勃起を撫でられる。
ずっと思い返していた音無の搾精が、男根への刺激によって強烈に呼び起こされる。
教壇の影になっていて見えないのをいいことに、くるくると円を描くように手のひらが這う。
「音無、やめっ……!」
「あたしの手コキ忘れらんなくて辛いなら、来ちゃえばいいじゃん、部室」
「……今日、あたししか来ないよ?」
耳元でぽそりと呟くと、音無は教壇を離れて足早に部屋を出ていった。
音無が教室に残っていた最後の生徒だったようで、あとには俺だけが残された。
呼吸が荒い。
びきびきと張り詰めた股間が痛い。
衝動的にトイレに駆け込んで、興奮を扱き出した。
放課後になってすぐに、俺は視聴覚室の扉の前に来ていた。
トイレで処理しても収まりがつかず、その後の授業にも身が入らずに生徒に不審がられた。
強烈に劣情を煽られたせいで、いよいよ抑え込めないところまで、音無に懸想してしまっている。
ギリギリのところで踏みとどまっていた教師としての一線とやらは、あの時既に踏み越えてしまったようで、頭の中からすっぽり抜けている。
そんな事を気にしていられないほどに、音無への劣情は高まりすぎている。
男根はずっと勃起しっぱなしで、これをどうにか抑えなければ、教師としての顔すら保てない。
音無の搾精に植え付けられた、膨らみ過ぎた劣情は、音無の搾精でしか処理できない気がした。
「……先生?なに、もう来てたの?」
部屋のドアノブに手をかけて捻ろうとしたその時に、鍵を携えた音無が現れた。
「ってか、本当に来たんだ?……まあいいや、入んなよ」
解錠した音無に続いて、視聴覚室に入る。
振り返った音無が、口を開いた。
「さ、先生。何しに来たのか、言ってみてよ」
この場に誘ったのは音無のくせに、わかりきった事を聞く。
言わせようとしている。
「……音無、に、……抜いてもらいに来た……」
「ふーん?忘れてないよね、お金貰うって」
「わかってる、金なら……持ってきた……」
「お金払ってまで、あたしに抜いてもらいたいの?そんなに気持ちよかったの?」
「気持ちよかった……それに、お前が誘うから、忘れられなかった……!自分の手じゃ満足できない、音無に、音無の手で……!抜いてほしい……!」
「ふふ、ぷふふっ。必死じゃん」
小馬鹿にしたように笑いながら、音無が近づいてきて、
「いいよ?抜いてあげる……」
「……あ……♡」
耳打ちされただけで、脳が悦びに震えた。
先生はお金あるんだから先払いと言われ、財布を開いて一万円札を一枚抜き取らせた。
そうしてから、自分から下半身をさらけ出す。
幾つも筋が浮き出た男根を、音無の手が包む。
前と同じ絹のような感触が、これから受けるであろう快感を否応無しに予感させる。
「あ、ああっ……♡」
最初から抵抗なく、手コキの快楽を受け入れる。
もとよりずっと待ち望んでいたものなのだから、拒む理由はなかった。
手の動きで与えられる快感を身体中に回して、全身で陶酔する。
「……始めたばっかなのにもう臭うなぁ」
「あぁ……そういうこと。先生、今日もう抜いたでしょ?」
「う、う……♡抜いた……♡」
「へぇ……やっぱりあの後?服の上から触られただけで我慢できなくなって学校の中で抜いて、それでも収まんなくてあたしに抜いて欲しくなったんだ」
思考と行動を全部見透かされている。
男根だけでなく心まで握られている心地がした。
「先生も他の男子と変わんないね。自分でシコるんじゃ満足できなくなって、お金払って抜いてもらおうとするの、皆とおんなじ」
彼女にとっては、俺も他の生徒も同じ。
文字通りに、手のひらで踊らされる存在。
一回りも年下の女子生徒の、子供の手で、いいようにされている大人。
それを自覚すると、酷く惨めで情けない気分になる。
悔しい、不甲斐ないという敗北感が、胸の奥から湧いてくる。
叫びだしたくなるようなやりきれない黒い感情が全身を巡る。
「先生、泣きそうな顔してどうしたの?」
「生徒のおててなんかに好き勝手されて、気持ちよくされて、悔しくなってるの?」
顔を覗き込んできた音無が、意地悪くにやけた顔で問い詰めてくる。
「……逆なんだよ、先生」
「先生は気持ちよくさせられて悔しいんじゃないよ。……悔しいから、気持ちいいんだよ」
「自分よりずっと年下の女の子の、それもおててなんかで好き勝手されてるから、気持ちいいんだよ」
音無の言葉を受けた途端、身体中に巡っていた黒い感情が、一斉に裏返る。
悔しい、不甲斐ない、情けない。それらが全部ひっくり返って、「気持ちいい」に変わる。
胸を締め付ける感情が、そのまま快楽に変換されて、身体の芯がぞくっと揺れた。
「あー……いい顔。悔しいけど気持ちいい、悔しいのが気持ちいい……ってわかってきた顔だね」
「先生、わかってる?今先生は生徒にお金払っておちんちん抜いてもらってるんだよ?」
「あたしの手が忘れられなくて何度もシコって、それでもダメだからおちんちん抜いて、抜いて〜って頼み込んでさあ……すっごい情けないよね」
「……悔しいよね?」
「あ、ああ〜〜……♡悔しい、悔しいっ……♡♡」
今の状況すべてが「悔しい」。
生徒に縋り付いて、金を払って、棒立ち状態で男根を手で虐げられているのが、この上なく悔しい。
けれどもそれが、「気持ちいい」。
「そうだよね……じゃ、もっと悔しくなること、してあげる」
そう言うと、音無は急に手の動きを早めた。
既にダラダラと垂れていた先走りが激しく泡立てられて、ぢゅくぢゅくと大きな音を立てる。
突然の刺激に対応しきれなくなった脳が過負荷を起こして茹で上がり、次いで全身が同じように熱を持った。
「あ、ふあーー……!?♡」
どぎつい性感とのぼせた身体に中てられて、茹だった脳が絶頂の予感を感じ取る。
急速に放出感を覚え、腰の奥が疼き、男根が疼きを吸い上げていく。
「あ、あ、あ♡イく、イくイくイくっ……♡♡」
絶頂を確信した身体がぷるぷると震え、口から裏返った嬌声を放つ。
しかし、その確信は裏切られた。
登りつめる間際に快感が途切れてしまった。
梯子を外され宙ぶらりんになった身体が、困惑するかのようにびくんと跳ねている。
「え……な、なんで……」
「言ったでしょ、先生。もっと悔しくなることするって」
「イキそうだったのに、イかせてもらえなくて……悔しかったよね?」
「あ……ああっ……♡♡」
動きを止めていた音無の手が、また動き出す。
絶頂に追い詰める動きとは正反対の、いたぶるような動き方。
指を鈴口や傘の裏にそっと這わせて、絶頂を許さないまま刺激だけを与える、意地の悪い動き。
「気持ちいいのにイけないの、つらいね……?悔しいね……?」
「うう〜♡あうああ……っ♡」
「先生、イキたい?あたしの手でイかせてほしい?」
「い……イきたい……♡イかせて、イかせて……♡♡」
「そっか。……じゃあ――」
もう何度目か、音無の唇が耳元に寄せられる。
「お財布の中のお札、全部出してくれるなら……イかせてあげる……」
「ぜんっ――!?」
「さっき見たけど、お金、だいぶ持ってるでしょ」
財布の中の紙幣を全部。
行為の前に先払いで抜かれた一万円札を除いても、まだ4万円ほど入っていたはずだ。
合わせて5万円。他の紙幣の入り具合によってはもっと。
勢い任せにポンと払うには高すぎる。
「あ、うう……」
「……出さないなら、イかせないで終わりだよ。先払いの分も返さない」
尻込みしていると、音無が追い打ちをかけてくる。
射精直前になって、こんな。
イきたい。イきたいに決まっている。
音無にイかせて貰いたかったから、金を払って手コキを受けているのに。
でも、もっと金を払わないとイかせてもらえない。イかせてもらえないのに、金を返してもくれない。
なんで。どうして、こんな意地の悪いことを。
「先生――」
「――悔しい、よね?」
「あ――……♡」
悔しい。
「イきたいのにイかせてくれなくて、悔しいね」
悔しい。
「イきたかったらもっとお金払えだなんて言われてさ、悔しくなったよね」
悔しい。
「先生」
「お金払っちゃったら、きっともっと悔しいよ……」
悔しい。
「射精するためだけに大金出したら、きっとすごく情けなくて、惨めな気持ちになっちゃうよ」
「……と〜〜〜っても、悔しくなっちゃうよ……」
悔しい。
「ね、先生」
「お金、出して?」
ぷつん、と頭から音がした。
「……金払う、金払うからっ」
気持ちいい。
「財布の金全部出すから、頼む、頼むっ、お願いだから……っ♡」
気持ちいい。
「出したい、イきたい……♡出させて……♡イかせて、ください……♡♡」
気持ちいい。
惨めで、情けなくて、悔しい。
それが、気持ちいい。
「……ん。全部貰ったから」
差し出した財布から紙幣を全部抜き取られ、財布は投げ捨てられた。
惨めだ。
「じゃ、イかせてあげる」
射精を焦らしていた手の動きが、元の激しい動きに戻る。
寸前のところで留められていただけの絶頂は、あっという間に堰を切ったように押し寄せて、鈴口から放たれていく。
「あ、あはああっ♡ふわああああっ♡♡」
絶叫とともに撃ち出した白濁は、音無の手を汚すことはなく、ティッシュに吸い込まれていっている。
「せっかくのお射精、全部ティッシュの中だね。……どんな気分?」
「うああ〜〜……♡あ、あふあぁあ……♡♡」
射精のためだけにあれだけ払ったのに、手を汚すことすらできなかった。
それが悔しくて、また、精液がどっと溢れ出た。
事が終わると、音無はさっさと帰っていった。
財布の金をほとんど持っていきながら一顧だにせず、投げ捨てた財布もそのままで。
ぞんざい極まりない扱いに腸が煮えくり返った。
同時に、股間が熱く滾っているのを感じていた。
音無が誘惑してくることはなくなった。
……それは彼女が諦めた為ではなく、誘惑の必要がなくなったからだ。
音無にモーションをかけられるまでもなく、腹が減り眠気を催すのと同じのように、音無を想って男根を勃たせるようになっていた。
それによってもたげてくる劣情を抑えることができなくなれば、自分から音無に声をかけ、放課後に扱き抜いてもらう。
……当然、金は払って。
音無との行為は、自分で処理するよりもずっと快感が強い。
彼女の手管がその一因であることに疑いはないが、もうひとつ大事なファクターがある。
行為の為に、毎度毎度金を払っていること。
……有り体に言えば、貢いでいるということ。
音無との行為で植え付けられた、「悔しいことは気持ちいい」という認識。
射精を懇願するあまりに有り金を差し出すという、「悔しさ」にまみれた出費の体験。
それらが掛け合わさって、いつしか音無に貢ぐという行為そのものに、快感を感じるようになっていた。
「……先生、また?いいけどさ、お金くれるし」
そして、今日もまた、音無の手に男根を差し出していた。
これで何度目になったのか、もう覚えていない。
「先生が来る頻度が一番高いよ。教師失格のくせに、財布の中身だけは大人なんだ」
罵りを受けて心を震わせながら、手コキで身体を震わせる。
音無に貢ぐことに慣れてしまった今でも、与えられる快感にだけはずっと慣れない。
その日の彼女の機嫌次第で、まるで別人の手技のように性質が変わる。
機嫌がいい時は甘く溶かすような柔らかい手つき。
機嫌が悪い時は握り潰すような乱暴な手つき。
そして、今日の手つきはそれらのどれでもない、最初からスパートをかけて早抜きするようなものだった。
扱き方についての選択権はこちらに無い。すべて音無の思うままに搾られ、金を貢ぐだけだ。
「……先生、イキそうだね」
射精の直前になって、音無は手の動きを止めた。
「な……っ、止めないで、くれ……♡イきたい……♡」
思わず不平の声を上げた俺を「まあまあ」と窘めて、音無はお決まりのように耳打ちした。
「このままイかせてあげてもいいけど、学校の中から誰もいなくなるまで待ってくれたら――」
「――エッチ、してあげる」
「は……!?」
瞬間、脳内に巡る妄想の数々。
あられもない姿でベッドに寝転ぶ音無の腰に、怒張を突き入れる。
高い声で喘ぎ、シーツを掴んで堪え、最奥に白濁を叩きつけられて登り詰める音無の姿が朧気に浮かぶ。
「……どうする?」
返答の代わりに首を縦に振る。
「……最低だね、先生」
「そういうとこ、嫌いじゃないけど」
職員室でのデスクワークに耽るうちに、他の職員は皆いなくなっていた。
音無の所へ何度も行っていたせいで残務が溜まっていたのは、時間潰しの良い言い訳になったかもしれない。
……そもそも音無との関係がなければ、こうして遅くまで残務処理をする必要はなかったのだが。
音無が指定した場所は保健室だった。
ベッドがあるからだろう。
鍵を持って保健室へ向かうと、彼女はそこで待っていた。
保健室のベッドにぼふっと飛び乗った音無が、スカートの中に手を入れてパンツをするっと取り出す。
隠しがなくなった秘所に指を潜らせて、くちゅくちゅと掻き混ぜるような仕草をする。
どう動かしているのかはスカートに隠されて見えないが、それが逆にそそられて、股ぐらを痛くする。
「音無……まだか……?」
「ん……まだ、もうちょっと待ってね……」
前戯は無し。
挿入までの準備が整うまでは接触禁止。
そういう取り決めだった。
しばらく待っていると、音無が平べったいものを差し出してきた。
それが何であるか、という知識だけはあるもの。
避妊具だった。
無い見栄を張って自分で取り付けようとしたが上手く行かず、結局音無に任せてしまった。
「……締まらないなあ」
「ま、いいよ。しよっか」
スカートの裾を手で摘んで、奥に隠れていた女陰を露わにする。
「……どこに挿れるかわかる?先生」
くすくすと馬鹿にしたような笑みを浮かべて、挑発的な視線で見上げてくる。
「馬鹿にすんな……っ!」
血が通ってじんじんと疼く男根を、一直線に突き入れる。
きつい肉の壁をかき分けて、腰と腰がぶつかるまで深く沈めた。
「はうっ……!?」
そして、それきり身動きが取れなくなった。
女陰の中が幾重にも締め付け絡みついて、じんわりとした快感を与えてきている。
そしてここから引き抜けば、男根を覆う肉が一斉に扱いてきて、快感が襲ってくるだろう。
未経験の身ではそれがどれほどになるか、想像がつかない。
「先生、動かないの?……あ、動けないのかな?下から動いてあげよっか?」
「っ……!いい……俺が動く……!」
ムキになって腰を引き抜くと案の定、吸い付いた女陰の肉が摩擦の刺激を与えた。
全力で腰を引いたせいで、腰から男根を引っこ抜かれそうなくらいに強く引き止められ、結果として一擦りとは思えない電撃が走ったような快感を与えられてしまう。
今の一瞬で身体のあちこちが焦げるように熱い。
そして、想像を遥かに超えた快感をモロに受けてしまった腰は、自身を持ち上げるだけの力を失う。
重力に従って腰が落ち、再び奥へと突き入れられる。
引き抜きで敏感になった男根に、今度は迎え入れる刺激が襲ってきて、大きく息を乱されてしまう。
「あ、はぁ……♡なんだ、これ……♡」
「えー……もう動くの終わり?」
ならばと今度は小刻みに動こうとしたが、これも失敗だった。
腰を細かく振動させると女陰がさわさわとくすぐってきて、それはそれで得も言われぬ快感を味わわされてしまう。
「ほーら、頑張れ、頑張れー」
弱々しくゆっくりとした動きで、おっかなびっくり腰を前後させる。
ぱん、ぱん、ぱん、と、腰のぶつかる音が小さく鳴る。
欠伸が出るほど遅い速度で、単調に腰を振るだけ。
それでも、もう、達してしまいそうになっている。
「あ……もう……♡出そう……♡」
「……えぇー……あたし全然なんだけど……」
はあーっと深い深い溜め息を吐かれ、惨めな気持ちに襲われる。
「もういいや、あたしが動くから」
そう言い放った音無は、仰向けに寝そべった状態から腰を揺らし始めた。
こちらの動きに対して快感を与えてくるだけだった女陰の中が、自発的に快感を送り込んでくる。
前後左右に動き、咥え込んだ男根を不規則にもみくちゃにしてくる。
それを受けて、俺は快感に蕩けて喘ぐだけにされてしまう。
「あのさあ、正常位で下の女の子に動かれるってどうなのよ、先生」
「あ、あふ♡はふ……♡」
「女の子組み敷いてるのにろくに腰も振れないなんてどういうことなのって聞いてんの、ねえ」
「うあ♡れ、でもっ♡気持ちっ♡よすぎてぇ……♡」
「……はぁ〜〜〜〜〜……」
心の中は惨めさと情けなさ、自分への悔しさでいっぱいになっていた。
上を取った体位なのに、女子生徒ごときをを全く感じさせられていない。
それどころか数度のピストンで一人だけ達しそうになって、あまつさえ下に敷いた女子生徒から腰を振られて喘がされている。
まずもって、避妊具の装着のところから、年下の音無にリードされっぱなし。
何一つ良いところのない初体験。
空想の中で描いた、喘ぎ仰け反り達する音無の姿は、到底見られそうにない。
話に乗った時は、こんな惨めな思いをするだなんて考えもしなかった。
だからこそ、こんなにも気持ちいいのだろう。
惨めで情けない、悔いしか残らないような初体験だから。
それが気持ちいいのだと教えてきた、彼女との交わりだから。
「あ、はあ……♡くぁ……もう、イく……♡♡」
「もう、ほんとにさあ……」
「先生、どうせイくんだったら最後くらい思いっきり腰振ってみてよ。ちょっとくらいでも感じさせて」
挑発するように揺らされている音無の腰を両手で掴み、快感の反動を意に介さずに腰を大きく前後させる。
それは一矢報いたいというプライドの産物というよりは、オナニーのラストスパートで手の動きが激しくなることに近いものだった。
「あは……やれば、んっ、できるじゃん……せんせ……」
普段より少し高い詰まりがちの声で、音無が褒めてくる。
それに勢いづいて、より強く腰を突き入れ、引き抜く。
「ふう、ふうっ♡音無、音無っ♡」
「そ、いいよっ、その調子っ……もっと激しくっ」
音無の声に従って、腰の速度のギアをもうひとつ上げる。
腰に全力を込めて今にも出てしまいそうな精液を必死に押し留めながら、一心不乱に音無を突く。
普段の飄々とした顔とは似ても似つかない切なげな面持ちで、甘く高い嬌声を上げている。
「音無っ……♡イく、出すぞ……っ♡♡」
「んっ、出して、せんせ……出してっ、あたしも……」
溜まりに溜まった性感が臨界点を迎える。
最後の力でずぶんと最奥を深く突いて、絶頂を遂げようとした。
「……な〜んちゃって。やっぱり全然ダメだね」
快感に歪んでいたはずの音無の表情が、元の調子にすんと整った。
「は……?あ、あっ!?♡」
呆気に取られたのも束の間、男根に精液が上るのを感じる。
既に射精するつもりで腰を突き入れてしまった後だ。
今更射精したくなくなっても、もう止められない。
「……一人でイっちゃえば?」
「や、イキたくな……っ♡あ、あああああっ………!♡」
真っ青に冷めた身体の、男根だけが熱く滾って、どくどくと劣情を吐き出していく。
演技に騙されて勝手に燃え上がって、最後までろくに相手を感じさせられないまま、ひとりで望まぬ射精を遂げる。
セックスとして、これ以上に情けない形はあるだろうか。
「あ、うぅ……♡ふううぅ……っ♡♡」
そのザマを自覚していてなお射精が止む気配がないのは、ある意味でこれが理想のセックスであったからだろうか。
音無に教え込まされた、惨めさと悔しさを糧とする倒錯的な快感を味わう体験としては、これ以上にないものだった。
――ばしゃり。
「――え」
不意に鳴ったシャッター音に驚き、反射的に頓狂な声を出す。
発生源を目で追うと、音無がスマホをこちらに向けていた。
「写真……?」
カメラのシャッター音だったと思う。
今写真なんか撮って何の意味が――いや。
……まだ、音無の中に挿れているままだ。
全身の血の気が引いて、寒気がした。
三日月のように口を頬まで吊り上げた音無に、撮られた写真を突き出される。
快感に歪んだ顔で音無を上から貫いている自分の姿が、そこにはあった。
ご丁寧にも、保健室の風景の一部が背景として入り込んでいる。
「この写真をあたしが持ってるってことが、どういう意味がわかるよね、先生」
「――あ……」
どう見ても、俺が保健室の中で生徒を襲っている写真にしか見えない。
犯されている最中に咄嗟に撮ったなどと適当に理由をつけて出すところに出せば、それで俺の人生は終わるだろう。
「黙っててほしかったら、あたしの言うことは全部聞いて」
「あたしが金出せって言ったらいつでも金出して、買いたい物があったら全部買うの」
「人生終わりたくないでしょ?……せーんせ?」
――いや、もう既に、今しがた、人生は終わった。
なぜこんなことになったかなど、愚問と断じられるくらいに、間違えていた。
どこで間違えたと言われたら、最初から間違えていた。
きっかけは些細なことであったとしても、間違った選択肢を選び取ったのは、他でもない自分自身だった。
致命的な過ちを犯したその報いとして、人として生きる道は閉ざされた。
音無に全てを捧げる、奴隷の道を進むしかなくなった。
……その道を選んだのは、俺自身だった。