ゼロに負けた後、スクラップ処理場に投棄されたケルベリアン。
偶然にも電撃で復活したものの、肩の頭部はチルドレ・イナラビッタとキュービット・フォクスターの物に!
しかもボディが勝手にヘッドを交換してしまい、さあトンチンカン。
ここはネオ・アルカディア近くのスクラップ処理場。
イレギュラーとして処分されたレプリロイドなどの残骸が無造作に捨てられた、いわば彼らの墓場のような物である。
こう言うと罪人だけの場所だと思われるが……実のところ、それだけではなかった。
バイルが無理やり改造し、利用した「バイル八審官」。
ゼロに敗北した無能と判断され、バイルの手によって全員処分されてしまい。
ただのガラクタの集まりとなった彼らは意思もなく、打ち捨てられているだけ……のはずだった。
ある、天気の荒れた夜。
ウェザーチェンジングシステムの影響もあるのか、急に暗雲が立ち込め雨が降り。
貴金属やパーツを盗む輩が増えてきた対策として配備された、人型メカのバリアント。
感情はないらしく……そのボディを濡らしつつウロウロと監視を続けていた。
そんな彼らの監視エリアに囲まれた、無警戒なゾーン。
そこには、雨に打たれている大柄なボディが一つ見える。
トレテスタ・ケルベリアン。
その名の通り、三つの頭部を持ち各々が判断するレプリロイドだったのだが……
バイルの改造により、粗暴になり、知能も低下してしまい。
巨体を利用して暴れ回る、厄介な存在に成り下がってしまったのだ。
ゼロとの戦闘で傷ついているものの、原型はまだとどめている。
恐らく、その強固さゆえに完全にはスクラップにはできなかったのだろう。
びゅうと強い風が吹いた次の瞬間、稲光が空を切り裂いた。
激しい電光はケルベリアンのボディに直撃し、エネルギーとして全身を駆け巡る。
低い駆動音。
偶然にも再起動した回路がボディを動かす……のだが、今の彼には頭部が一つも無かった。
首に一つ、肩に一つずつの計三つ。
その頭部があってこそのケルベリアンなのだが、流石に一つもなければ頑丈なボディも役に立たない。
大きな爪が三つ付いた手がぎこちなく動き、大きな音を立ててスクラップの山にねじ込まれる。
しばらく金属音を響かせた後、思い切り引き抜かれた腕。
その手には、このボディの持ち主であるケルベリアンの頭部が確かに握られていた。
勢いよく首に叩きつけると、物理的なロック音が響く。
「ゴルゥウウウ、オレ、どうしたんだぁ……?」
エネルギーが巡り、頭部が機能を復帰させる。
「そうだぁ……ゼロの、ゼロのやつに負けてぇ、くそぉ……バイルのやつぅ!」
意識がなくなる前の記憶がぐるぐるし、頭を抑える。
改造のせいで処理能力が低く、まるで考えがまとまらない。
「ウ、ォオオオ、どこだぁ、ここはぁ、くっそぉ……」
大きな足を動かし、歩き出す。
だがしかし、電撃で無理やり再生したボディは思い通りに動かない。
「くそ、くっそぉ、二匹、どこ行きやがったぁ!? おい、来いっ!」
ケルベリアンは肩の頭部を二匹の部下として戦闘に参加させられるのだが……いない今、できるはずもなく。
「ガァアアア、腹が……たつぜぇ……!」
腕を振り、スクラップを殴りつける。
その破壊力は健在で、破片があちこちに飛び散って。
だが、それがよくなかった。
蘇るはずのないレプリロイドが突如動き出したことで、見張りのバリアントたちが感付いたのだ。
戦闘体制をとりつつ、集団で向かってくる。
「なんだぁ、テメエらぁ……! オレを、オレをぉ、ナメてんのかぁ!?」
大きな破片を掴み、力任せに投げつけ。
集団の一部がそれに巻き込まれ、爆散するのだが……その煙の中から、次々と兵士が飛び出してくる。
「くッそぉ、オレが、オレがぁ、テメエらみたいな格下にぃ、やられてたまるかぁあああ!!!」
どこか安定しない動きのまま、ケルベリアンは戦闘を続ける。
腐っても8ボスの一人、その性能は恐ろしいものがあった。
近づいてきたバリアントを掴み、他のバリアントに叩きつけ。
加減を知らない蹴り上げがスクラップと共に、雑魚兵士たちをまとめて吹き飛ばす。
相手の数が少ないのなら、ケルベリアンに負ける要素はないのだが……
「ぐ、ぉおおお!?」
背中にミサイルを当てられ、バランスが崩れる。
「て、テメエら、卑怯だぞぉ……!」
吠えたところで、相手は聞く耳も持たず。
巨体が災いし、簡単には体を起こせない。
図体の割に細い腰が悲鳴をあげ、ケルベリアンは苦痛に歯を食いしばる。
「おいっ、いるんだろっ、いるんなら、すぐ、戻ってこいっ、オレがっ、オレが、困ってるんだぞぉ!?」
いるのが当たり前だった、肩の二体に呼びかける。
ゼロのセイバーやバスターで破壊され、バイルの手でスクラップにされ。
もしいたとしても、この声が聞こえていたとしても反応できないであろう。
ところが、である。
彼の咆哮に呼応したのか……二本の稲妻が轟音と共に落ちてくる。
その次の瞬間、ケルベリアンは肩に何かが接続されるのを感じた。
「よっしゃあ、テメエらが戻ってくれば、こっちのもんだぜぇ! ん、んん?」
確かに、両肩に何かが接続された。
回路がつながり、エネルギーが巡り。
機能しているのは確かなのだが……いつもとまるで勝手が違うのだ。
「あれぇ……なんだぁ、こりゃあ?」
右と左で重さが違うし、伝わる信号も違う。
「お、おい、大丈夫かぁ、テメエら!?」
「おう、大丈夫だぜぇ……! オイラ、問題ねぇぞぉ!」
「グフフ、異常なしだぞぉ! わたしはいつでも行けるぜぇ……!」
「な、ん、喋っただぁ!?」
「オイラ、チルドレ・イナラビッタ……だけどよぉ、今は、ケルベリアンだぜぇ!」
「わたしはバイル・ナンバーズがひとり、キュービット・フォクスター……でもあるし、ケルベリアンの一部だぜぇ!」
「な、な、な!?」
「おい、ケルベリアン! よそ見してるとぉ、やられちまうぜぇ!」
「お、おう、なんだ、どうなってんだぁ!?」
肩からする声に従い、ケルベリアンが戦闘を再開する。
「ようし、右からもう三体、くるぞぉ!」
イナラビッタとフォクスターの声がすぐそばで聞こえる。
いや、本人より低い声なのだが……それでも、ケルベリアンはどこか落ち着かない。
「なんだ、なんだぁ、確かに、オレのパーツのはずなのにぃ、イナラビッタとフォクスターだってぇ!?」
幸か不幸か、先ほどの雷によってとんでもない事になってしまったのだ。
ケルベリアンの肩を担当していたパーツが再集結……したのはいいのだが、その際に付近のパーツまで取り込んでしまったらしい。
右肩には、キュービット・フォクスターの頭部。
左肩には、チルドレ・イナラビッタの頭部。
それぞれ、ケルベリアンの頭部パーツの形状にアレンジされてドッキングしているのだった。
両肩の目は、ケルベリアンと同じ色に輝いている。
「く、くそ、パワーは出てきたのに、落ちつかねぇ、ぞぉ……!」
知っているのに知らない頭部がアドバイスをくれるせいで、ケルベリアンは落ち着かない。
戦況自体は有利になっているものの、本人の焦りは大きくなっていく。
「おい、左から……」
「う、うるさいぞ、テメエ! そんな言うなら、テメエ、やれよ!?」
限界が来たケルベリアンがそう吠えた時だった。
「ようし、わかったぜぇ! ヘッド・チェンジ!」
「なっ、うおっ……」
突如右手がケルベリアンのヘッドを引き抜き、左手がイナラビッタのヘッドを引き抜く。
その状態でボディは器用にヘッドの位置を入れ替え、再接続し。
「よーし、トレテスタ・イナラビッタだぜぇ! お前らなんか、あっという間にコオリつかせてやるゼェー!!!」
ケルベリアンの代わりにメインになったイナラビッタヘッドが大きく吠える。
それに合わせ、ボディの色もたちまちにして彼のカラーリングが反映され。
「さーて、こっからオレの逆転だぜぇ!」
イナラビッタの目と同じ色の瞳になったケルベリアンヘッドが、左肩で大声を上げる。
「あなたたち、本当にノロいんだなぁ!? わたしに、ついてこられるかぁ!?」
同じく目の光が変わったフォクスターヘッド。
そう、メインの頭部が変わったことで……主導権がまるまる、変わってしまったのである!
ケルベリアンのボディを、イナラビッタが制御する。
彼の力を宿して変色したボディが、冷気を発し。
「そらぁ、これでも喰らいなぁ!!!」
耳から氷塊を飛ばし、誘導ミサイルがどこからか飛び出す。
先ほどまでとは打って変わって動きが軽くなり、バリアントたちは反応が追いつかない。
「オラオラどうだぁ、そんなノロマじゃオイラは倒せねぇぞぉ!!!」
ケルベリアンのパーツに組み込まれているせいか、口調も半端に混ざっている。
「おら、おらぁ!!!」
頭部が変わっただけでこうも変わるものか……と感心するほどの変貌っぷり。
ケルベリアンの巨体を利用し、イナラビッタヘッドは巨大な氷塊を次々に繰り出す。
見張りたちは数を減らし、どんどん押されていき。
「どうだぁ、オイラの強さ……グォおおおお!?」
イナラビッタが調子に乗った、その時であった。
遠距離からの攻撃が直撃してしまい、ヘッドが外れてしまう。
ボディの色は元に戻り、動きも一瞬止まり。
手が動き、ケルベリアンの頭部を掴む。
が、しかし。
それよりも早く、反対の手がフォクスターの頭部を中心にセットしてしまったではないか!
「ホホホホッ、わたしはトレテスタ・フォクスター! わたしに会ったことを、後悔しなぁ!!!」
ケルベリアンの肩に戻されたイナラビッタの目の色がフォクスターに連動する。
「あらあらぁ、オレが体を使いたかったのに……まあ、いいわぁ!」
「オイラに置いて行かれないように、気をつけることね!」
肩の二つの頭部が若干オカマのような口調になり、ボディも明るい色に変わり。
なかなか整った顔だったはずのフォクスターも、ケルベリアンのような不恰好なバランスになっている。
ところがそのせいか、顔は満足そうにニヤついて見えて。
「いくぜぇ、火焔車ァ!!!」
巨体から、大きな火の玉が九つ繰り出される。
そこまで大きいわけではないイナラビッタとフォクスターの技が、巨体によって増幅されているのだ。
ケルベリアンは次々に頭部を変更し、言うならばフォームチェンジをして修羅場を切り抜ける。
「ガァアアアアアア!!!」
ケルベリアンの渾身のパンチが、最後の一体を撃破する。
「グォオオオオオオオ、オレの、勝ちだぁ!!!」
「ノロマな奴らだった、ぜぇー!!!」
「わたし、興奮、してきちゃった、ぜぇ♡」
三つの異なる頭がそれぞれ、違う事を叫ぶ。
「ん、あれぇ……なんか、股間がぁ、変だぜぇ……?」
何気なく手を伸ばすと……そこには、棒状の何かが。
「な、なんだ、おっ、おおっ……!?」
ボディが雷を受けた時……起動の際に、いくつかのスクラップを取り込んだようだ。
その中にたまたま、人間の性処理用のレプリロイドでもいたのだろうか……
ケルベリアンは、己の大きさに負けないサイズのメカチンポが形成されていたのである!
生き延びた、と言う安堵感からだろうか……それは突如、しっかりと機能し始めてしまい。
「おっ、おおっ、これ、いい、いいぜぇ、あー、オレ、たまん、ねぇぜぇ♡」
にぎ、にぎと感覚を確かめるように、無骨な手で掴んでいく。
機械ながらも柔らかいそれは、人間のナニと同様の刺激をヘッドパーツに供給する。
「いいっ、いいぜぇ、こんなのが、オレ、オレに、あるなんて、よぉ♡」
全身の体温を高めつつも、初めての自慰を楽しんでいく。
いかつく凶暴な顔に、照れのようなものが浮かび……
が、次の瞬間。
空いていた手が、そのヘッドを外してしまい、代わりにイナラビッタヘッドを装着してしまう。
「この、ノロマぁ! おちんちん、気持ちいいんだから、さっさと絶頂、しやがれぇ♡♡♡」
焦ったくなったイナラビッタが主導権を奪い、高速で擦り始める。
「んっ、あっ、いい、いいぜぇ、オイラの、オイラの、おちんちん、もっと、もっと速く、あっ、あっ、あっ!?」
ボディの色が変わりきっていないのに、また外され。
「うふふ、わたしにおちんちん、なかなかいいじゃないのよぉ♡ もう、こう言うのは、丁寧にいじるものだぜぇ♡」
爪の先でくすぐるように刺激し、くすぐったさの中にある快楽を味わう。
「あらあら、結構、敏感じゃねぇか……♡ こ、こんなの、独り占めしちゃいたい、あっ!?」
「グォオオオオ! これ、これは、オレの体なんだぞぉ、オレの、チンポなんだぞぉ!」
ケルベリアンの頭部に戻り、乱暴なオナニーに切り替わり。
「そんなノロマなんじゃ、いつまで経っても気持ちよくならねぇだろ! オイラに任せろってぇ!」
すぐさまイナラビッタの頭部に交換。シュコシュコと、大きな腕が上下に動く。
「んもう、せっかくのわたしのおちんちん、ゆっくり楽しませろってぇ!」
またもやフォクスターヘッドになり、焦らすような動きに変わり。
頭部が変わるたびに全員のシンクロが行われ、体色が変わり。
陰茎も彼らのベースカラーに変わるせいで、コロコロと色が変わってしまう。
「オレのだぞ、テメエらみたいなノロマに触らせるものですか!」
「何言ってんだ、オイラの体なんだから、わたしのだぜ!」
「んもう、せっかくゆっくりとオナニーしてるのに、ノロマのせいで台無しじゃねーか!」
あまりに頻繁に頭部が変わるせいで、彼らにも影響が出始めているようだ。
「うるせぇ、オレはフォクスターだぞ! オイラの邪魔するなら、許さないわよ!」
「へへーんだ! オイラのオナニーが一番気持ちいいに、決まってるじゃないのよぉ♡ テメエは黙ってろ!」
「ゴァアアアア! わたしの体を使って、勝手に喧嘩するんじゃねぇええ! わたしはオイラだって言ってんだろぉ!」
そう、お互いにシンクロすることを繰り返しているせいでメチャクチャになってきているのだ。
右手はペニスを握ったままで、左手がどんどん頭部を組み替えて。
外す時、接続する時に起こる信号の断続すら、男性器が悦び、肉体が悦び。
繋がるなり、その頭のしたいオナニーを再開する……はずなのだが、いかんせんデタラメになっているせいで手の動きも安定しない。
「オレはテメエみたいなノロマと違って、ゆっくり楽しんでるのよぉ!」
そう言いながらも、手は限界近い速度でピストンし。
「オホホホ、オナニーってオイラ、大好きだぜぇ♡ 早く、絶頂しちゃいなぁ!!!」
口ではそう言いつつも、愛おしそうに眺めながら爪で皮を弄り。
「ダァアアアアア、めんどくせぇ! オレがわたしって、オイラ言ってんじゃねぇか!」
思考が混濁すると、手の動きもデタラメになる。
その度に、強靭なボディがビクビクと震え。
まるでペニスの刺激を最大限に引き出すために、ボディが勝手にヘッドを変えているかのようであった。
「オレが」「オイラだって」「わたしよ」「ノロマ」「邪魔だっ」「あっ、気持ちいいっ♡」
ジョイント部が壊れそうになる勢いで、三つの頭が席替えをさせられる。
その度に他の二人の思考が、肉体の快感が叩き込まれ、どんどんぐちゃぐちゃになっていき。
「あっ、オレがっ、」「わたし、いいっ、いいっ、これって、」「オイラの体、よぉ♡」
とうとう、三人の思考が統合され始めてしまう。
「オレ、オレ、オイラ、わたし♡」
「あっ、ノロマねぇ、もっと、オイラに、オレ、入ってこいよっ♡」
「わ、わたしが、オレに、なっち、まうぜぇ、うふ♡」
何が快感で、何がそうでないのかの区別がつかなくなる。
そのせいか三体のレプリロイドは、とうとう自我の融合に快感を覚え始めてしまい……
「オレ、あーっ、イナラビッタ、フォクスター、あれ、あれ?」
「んもう、オイラがフォクスターなんだから、ケルベリアン!」
「ホホホホッ、わたしがオイラで、オレなのよ♡」
誰が誰か、自分が誰か。
それすらも分からなくなり、ただただ気持ちよさに身を委ねていく。
その間にも自慰は続き、とうとう股間のキャノンにエネルギーが溜まりきる。
「あっ、オレ、オレ、」「オイラ、もう、もう、」「わたしに、なっちゃう、ぜぇえええええ♡♡♡」
三つの頭が同時に同じ事を叫び、亀頭が同調するように白いオイルを噴射する。
ケルベリアンのボディはいつの間にかずいぶんカラフルになり、恵まれた体力を活かしどんどん液体を出していき。
「おっ、おっ、おっ、おっ、おっ♡♡♡」
目がチカチカと点滅し、色も次々に変わっていく。
全身の力が抜け、ぐたりと倒れてしまい。
が、それもわずか数秒の事であった。
「うふふ、オレ、完全に一緒になっちゃったぜ、これで遅くてイライラすることはないわね♡」
「オイラ、もう一度絶頂したいわぁ、早くしようぜぇ♡」
「よっしゃ! 今度はもっと激しく、しこっちゃいましょうよ♡」
三つの頭部が、ぐしゃぐしゃの口調で幸せそうに騒いでいる。
肉体はそんな三体の意図を汲み取ってか、すぐさま二回戦を始め。
雷の偶然により、奇妙なレプリロイドに成り果ててしまった三体。
彼らは言うならば……トレテスタ・ケルラビスターとして共存し、生きていくことになってしまった。
「いくっ、いく♡」
「もっともっと♡」
「ああっ、最高♡」
が、彼らは幸せそのもの。
これはこれで、問題はない……のだろう。きっと。
おしまい