仕事疲れで眠れないので妻に寝かし付けてもらったけどおやすみのキスでギンギンになって夜通しセックスしちゃった話 作:どなべ。
オリジナル:現代/日常
タグ:R-18 キス 手コキ 騎乗位 純愛 ラブラブ
ガラガラの電車の中で隅っこの席に座り、硬い仕切りに頭を預けているのは、まともに座っていられないからだ。
ぼうっとして霞んだ視界、車窓の奥では、真っ暗闇が広がっている。
がたん、がたん、と時折車内が揺れて、身体がずり落ちそうになると、重たい身体をどうにか動かして元通りの位置に戻す。
周りには誰もいないのに。
ぽこん、と小さな音が鳴った。
懐からその音を鳴らしたスマホを取り出すと、液晶にメッセージが出ていた。
『今日も遅くなりますか?』
妻からだった。
簡潔なメッセージを返す。
『今、帰ってるところ』
ぽこん。
『ごはんはもう済ませましたか?』
『まだ食べてない』
『何か食べたいものはありますか?』
……正直、思いつかない。
腹は減っているが、あまり重たいものは受け付けないかもしれない。
『特にないけど、油物とかは食べられないかも』
『わかりました。帰り道、気をつけてくださいね』
そこで会話が終わって、スマホを懐に戻す。
それから、電車が自宅の最寄駅に着くまでの間は、ずっと車窓の外を眺めていた。
家に着く頃には、既に夜の11時になっていた。
妻はもう寝ているだろうか、と思いこっそりと扉を開けると、まだ起きていた彼女がぱたぱたと寄ってきて出迎えてくれた。
「おかえりなさい。……今日も、お疲れ様です」
柔らかく温かい調子の声で迎えられる。
その声からは、未だに敬語が抜けない。
彼女が話しやすいならそれでいいと、もう好きにさせている。
「ああ、ただいま……ごめん、毎日遅くて……」
美人で淑やかで気配りもできる、自分には勿体ないくらいの妻だと思う。
だからこそ、多忙にかまけて彼女にずっと構えていない今の状況が、申し訳なくて仕方が無い。
「いいですから、お風呂入ってきてください。ごはんが冷めちゃったので温めておきます」
妻の言葉に従って風呂に入り、上がったら温め直された手料理を食べ、歯を磨く。
それだけで、日付が変わる時刻になってしまう。
明日は休みではないので、もう寝なければならない。
食器洗いをしている妻にひと声かけて、自室に入り布団を被る。
アラームを設定したスマホを、ベッドから少し離れたところに置いた。
二度寝と寝坊を防ぐ、ちっぽけな策だ。
ベッドに身体を横たえた途端、蓄積した疲労がどっと押し寄せてくる。
今日一日の労働の分、そして、それ以前から溜まって解消しきれていない分。
つまるところ、ここ最近はずっとこんな調子である。
大した理由ではない。
繁忙期に、同僚が数人流行り病に罹って病欠した。今の御時世ならありがちな話だ。
……穴埋めに回る方はたまったものではないのだが、かといって病欠した同僚を責めるのも酷だろう。
結果、不平を心の底に押し込んで、ただでさえ多い繁忙期の仕事を二人分、あるいは三人分こなさなければならなくなった。
手が回らなさすぎて、休日も家で持ち帰りの仕事をしているほどだ。身体も心も、休まる時がない。
「…………」
あとどれだけこの苦境は続くだろうか。
最初に病欠したあいつの出勤停止が明けるのはあと何日後だったろうか。
……病欠組に回ったほうが楽だったか?
いや、罹っている側もそれはそれで辛いらしいと聞くし、何より妻に心配をかける。
くだらないことばかり考えていて、眠れないまま時間がどんどん過ぎていく。
寝るまでにかかる時間が増えるほど、睡眠に充てられる時間は減る。その分抜けずに残る疲労は増える。
さっさと寝ろ、と心の中に言い聞かせて、目をぎゅっと瞑って、仰向けの身体を屍のようにだらんと脱力させる。
ネットで聞きかじった安眠の姿勢である。
……………………。
眠れない。
身体はもう動かしたくないくらいに疲労しているのに、眠りにつくことが出来ない。
どこかで聞いた、疲れすぎると逆に眠れない、というのはどうやら本当だったらしい。
そういえば、電車の中でもぼーっとしていただけで、結局眠ってはいなかった。
寝る方法を調べるために、せっかく遠目に置いたスマホを手繰り寄せた。
快眠のための習慣付け。……寝たいのは今なのに習慣の話をされても困る。
リラックスのツボ。……どこだ?
屍のポーズ。……それはさっきやった。
「……はあ」
ぽいっとスマホを投げて、姿勢を戻してだらんとした。
なんの意味もなかった。むしろ、スマホの光で目が冴えて状況が悪くなったまである。
このまま眠れなかったら、明日保つだろうか――などと、半ば諦めていた時に、部屋のドアが控えめに叩かれた。
小さく開いた扉の隙間から、廊下の照明が差し込んでくる。
そこから身体を滑らせて部屋に入ってきた妻が、顔を覗き込んでくる。
視線がぶつかる。
「……眠れないんですか?」
開口一番にそう言われて、頷いて肯定する。
ベッドに潜り込んでから、もう30分くらい経っていた。
「じゃあ、私が寝かしつけてあげます」
「え……」
思わず困惑の声が出て、次に遠慮が出た。
寝かしつけるだなんて、そんな、子供じゃあるまいし。
「寝られないくらい疲れてるのに、遠慮なんてしないでください」
「辛い時くらい、頼ってください」
「……心配なんです」
震えた声と曇りきった表情に押し切られるように、妻の言葉を受け入れた。
妻がベッドの中に入り込んできて、身体の横にぴとりとくっついた。
シングルベッドなので、随分手狭になった。
「よし、よし……」
耳元で囁かれながら、頭を優しく撫でられる。
本当に、子供にするような寝かしつけ方だ。
けれど、心が落ち着く。安心する。
ベッドの中で、手を握られる。
温かい彼女の手の温度が、じわりと伝わる。
「つめたっ……」
「あ、いえ……大丈夫です……」
こちらの手は思っていたより冷え切っていたようだが、それでも手を離さずにいてくれる。
繋がれた手を通して、暖かな熱が身体に広がる。
「ふふっ、お顔、ちょっと柔らかくなってきました」
「……安心します?」
「寝付くまで、ずっとこうしていますから……いつでも寝ちゃってくださいね……」
耳に寄せられた口から吐息とともに優しい言葉を流し込まれると、ふわりとした心地になる。
一人で寝付こうとしていた時よりも、ずんと心地良く力が抜けていく。
……寝かし付けられるなんて子供みたいだと思っていたが、もうそれでいいかもしれない。
視界が狭まり、時折明滅している。
「まぶた、ぴくぴくってしてます」
目蓋が重い。
目を開けていられない。
「……目、閉じちゃいましょう?」
言葉に従って、目蓋がすっと閉じる。
視界が一面の闇に染まる。
そのまま、落ちるような感覚。
「おやすみなさい……」
眠りに誘う言葉も、途切れ途切れに聞こえる。
「ん――」
唇に、柔らかく湿った感触を覚えて。
目が覚めた。
「……へ?」
もうギンギンに覚めている。
「あ、あれ……?なんでですか……?さっきまであんなに……」
さっきまでの眠気が全部吹っ飛んでいる。
「えっと、えーと、いいこ、いいこ〜……?」
狼狽えながらも、先程までと同じように頭を撫でられ、手を握られる。
まるで効果がない。
「……口……」
唇にあの感触があるまで、確かに眠気を覚えていて、間もなく入眠するところだったはずだ。
それが何だったのか、九割方寝ていたので把握できていない。
「さっき、口に何かした?」
「うぇ、……その……おやすみのキス……ですけど……」
「……ああ〜〜……」
おやすみのキス。
彼女の反応からして、無事に寝付きそうな自分を見て興が乗っただけで、「そういう」つもりでなかったことはわかる。
要するに、キスのひとつでこちらが勝手にその気になってしまっただけなのだ。
……本当に、子供のようだ。
「……勃っちゃった……」
「えっ、えぇ〜〜……」
多忙のあまり長期間処理していなかったからだろうか。
それとも、彼女との触れ合いに飢えていたからだろうか。
とにかく、身体がその気になってしまっている。
腰の一点に血が集まって、痛いくらいに腫れている。
「……一応聞きますけど、寝られそうですか?」
「目、バッチリ冴えてる」
「……明日、お休みなんてことは」
「普通に仕事ある……」
「……もう、ほんとに、もうっ」
可愛らしく唇を尖らせて、ぷりぷり怒る素振りを見せられる。
それから呆れたようなため息をひとつ吐いて、耳元でぽそりと声を紡ぐ。
「じゃあ、起きちゃったここ、落ち着かせてあげますから……」
繋いでいた手を解いて、腰に張ったテントを撫でる。
「そしたらちゃんと、寝られますよね?」
問いにこくりと頷く。すると寝間着の下に指をかけられ、被っていた布団を取り払われる。
天井を向いて起き上がる己の分身が露わにされた。
「ほんとはゆっくりしたいですけど、寝る時間なくなっちゃいますから……手早く済ませますね」
露出した男根に五本の指が絡んだと思うと、それらが一斉に上下に蠢き始める。
往復の摩擦音が絶え間なく聞こえるほどの速さで指たちが這い回り、突然にきつい性感に襲われる。
反射的に息が荒れ、浮ついた声が喉から飛び出す。
唇に指を当てる仕草で、声を咎められる。
「駄目ですよ、夜遅いんですから……近所迷惑になっちゃいます……しー……」
「あ……ご、ごめん……っあ♡」
「こーら……もう、悪い口は塞いじゃいます……♡」
言われたそばから声を上げてしまうと、紅潮した顔を近づけられ、甘ったるい声で叱られる。
禁止されているのに勝手に声を出す悪い口を、妻のぷるんとした唇で塞がれる。
声の代わりに、キスの破裂音がいくつも部屋に木霊する。
音が出ているのは同じなのだから結局近所迷惑なのでは……とは、塞がれた口では言えるはずもなかった。
「ん……ちゅ♡キスされながら、ちゅっ♡おちんちんちゅこちゅこ……♡気持ちいいですか……?♡」
妻の艶めかしい顔が何度も迫って、高い音と柔らかな感触がキスを実感させる度に、興奮が脳を満たす。
感じさせられた興奮は血の巡りを加速させて、細指に包まれている勃起をひくつかせることで、対外に表現されている。
「ふふ……♡おちんちんがぴくっ、ぴくっ♡て……♡かわいいお返事……♡」
「そうですよね……♡キス、好きですもんね……♡お疲れで寝ちゃいそうなのに、一回ちゅっ♡てされただけで興奮して、眠れなくなってしまったんですもんね……♡」
「あ、ごめんなさい♡キス、忘れちゃってました……♡あなたが早く気持ちよくなれるように、いっぱいキスしちゃいます♡……ちゅっ♡んちゅ♡はむ、ぢゅうう♡」
顔にキスの雨が降る。
唇を何度も塞がれ、興奮で呼吸が疎かになる。
息苦しさで口が半開きになると、その隙間に唇をねじ込まれて、口内を深く犯される。
体内に酸素が取り込まれなくなって、頭の中がぶわっと白で染まった。
身体が言うことを聞かなくなって、好き勝手に震えている。
そんな中でも肉棒は彼女の手の中で遊ばれて、腰の真ん中をどくんと重くさせた。
「ぶはっ!はぁ、はあ……♡」
息を詰まらせる唇からやっと解放され、体内に不足した酸素を補うべく、息を切らすような荒い呼吸をする。
潤んだ瞳で見上げると、べたついた唇を舌で拭いながら、うっとりした表情でこちらを見下ろす妻の顔があった。
「……かわいい……♡」
「ふかーいキスで息できなくなりながら、おちんちんちゅくちゅくされるのが好きなんですね……♡だってほら、おちんちん、私の手の中でさっきよりずっと大きくなってますから……♡」
「ほら、もうこんなに……私の手に収まらないくらいに……♡」
いつの間にか一回り膨張していた男根の、その先端からは透明な露が零れていて、妻の手をしっとりと汚していた。
手の動きに合わせて、くちゅっとした水音を立てて、透明な細糸が指先から伝う。
「じゃあ、あなたのだぁい好きな……♡息できなくなるくらいのキスで、頭の中どろっどろに溶かしながら……♡」
「あなたのおちんちんがべったべたにした、このおててで……♡おちんちんを本気でぐちゅぐちゅして……びゅ〜〜♡ってさせちゃいますね……♡」
「想像してください……♡」
「私の唇で呼吸できなくさせられながら、手でおちんちんをめちゃくちゃにされて、さっきみたいに全身びくびく……♡頭の中は苦しいのと気持ちいいので真っ白になって、何も考えられなくなって……♡びゅっ♡びゅるるっ♡ぴゅうう〜〜〜っ……♡」
艶めいた吐息を交えながら語られる未来の行為を想起してしまい、勝手に身体が昂ってしまう。
先程まで感じていた、深いキスと手淫の快感の、その先。
どんなに気持ちいいのかもはや想像もつかず、だからこそ早く味わいたくなって、口をぽかんと開いてねだるように舌を差し出していた。
「ああ、もう……♡そんなにかわいくおねだりしないでください……♡」
「……今から、味わわせてあげますから……♡」
差し出した舌がもうひとつの舌に絡め取られて、口の中に運ばれていく。
口に入れた舌をちゅるんと啜って距離を詰めてきた妻の唇が触れると、吸い上げられるように口を引っ張られ、むちゅっと音を立てて強く重なる。
がぷりと噛み付くように深く、深く唇を食まれ、口を完全に塞がれてしまう。
生暖かい彼女の口腔に攫われた舌が舐めしゃぶられていたぶられ、呼吸が全くできなくなる。
「ちゅく♡ちゅるるっ♡じゅずずっ♡」
その間ずっと、己の分身を握った手からじゅくじゅくと淫靡な水音が立って、腰を引き抜かれそうな性感を与えられている。
普段なら耐えきれずに喘いでしまうであろう快感を与えられて、しかし塞がれている口では声を出せず、声として発散するはずだった快感まで受けてしまう。
息を詰まらせ、声を奪われながら与えられる快楽としては、あまりにも強すぎる。
「れる♡れるれる♡ん、んちゅう……♡」
直前に彼女が甘ったるく囁いた言葉と、全く同じようになる。
苦しさと気持ちよさだけで脳内が全部埋まる。
思考がなくなって、本能的な解放の欲求だけが残る。
手足と腰がばたばたと痙攣して、目はぐりんと白目を剥きそうになる。
「んれぇ……♡」
全身が破裂寸前の風船になったようだ。
もう限界なのに口を縛られたまま、ずっと快感というガスを送り込まれている。
これが弾けたらどうなってしまうのか、と一瞬ぞっとして、そしてすぐに掻き消えた。
吐精したいという欲求にすぐさま塗り潰されて、それしか残らない。
「……らひて……♡」
口と結ばれたままの舌足らずの声で、最後の一押しをされる。
心臓が一際大きくどくんと跳ねて血流を強く巡らせたかと思うと、身体の奥から、ぱあん、と音がした。
「ん、――――っ!♡」
絶頂の嬌声を飲み込まれて、不格好な唸り声を上げる。
脈動に合わせて、びゅく、びゅくっ、と身体の中身が出ていく。
白一色の頭がまた別の白で重ね塗りされて、視界まで白に染められる。
「――ぷはっ♡」
ずっと奪われていた唇が、ようやく解放される。
散々弄ばれていながら、別れを惜しむように唾液の橋が唇を渡している。
「はーー……♡はーー……♡」
絶頂と酸欠が合わさって、熱の籠もった息が絶え間なく出てくる。
頭と視界が、まだぼうっとしている。
「ふふ……♡手がべとべとです……♡こんなに出して……♡」
真っ白に染まった手を眼前に差し出された。
夥しい量の精液が、先の絶頂の快感を言葉無く物語る。
仰向けの身体に覆い被さる形で抱きつかれる。
興奮で高められた自分の身体と同じくらい、妻の身体は火照っていた。
顔が林檎のように紅潮している。
「……これで、すっきりしましたよね?眠れますよね?」
しっとりとした吐息が交じる囁き声で、そんなことを言われる。
言葉の意味に関わりなく、浮ついた調子の声と吐息を耳に入れられることそのものが、頭の中を掻き回す。
「ねえ、だから……早くおちんちん小さくして、眠りましょう?」
現物を見なくても感覚で分かる。
自分の“男”の部分は、まだ硬く……いや、より硬くなって反り立ったままだ。
あれだけの量を放ったというのに。
「でないと、私――」
顔を上げた彼女が視線を合わせてくる。
その瞳に、光が無い。
「――あなたのこと、襲っちゃいそうなんです」
口元から涎を滴らせて、獣のような雰囲気を纏いながら、言う。
「私、今すっごく興奮しちゃってるんです。いっぱいキスして、あなたのかわいいところをたくさん見て、それに、こんなことするの久しぶりだったから」
「でも、わかってます。これ以上したら、明日に響いちゃいます。……だから、ここで終わりにしましょう?」
「続きはお仕事が落ち着いて余裕ができたら……ね?私も淋しいですけど、それまで待てますから……」
口ではもうやめようと言いながら、火照った身体をべったりと密着させてきて、腰を揺すって挑発してくる。
胸と、腹と、太もも。身体の柔らかいところを押し当てられて蠢くと、どうしても意識させられてしまう。
強烈に性欲を煽られて、勃起がびきびきとそそり立ち、密着した腹をぐいぐいと押し返す。
「あ……♡こらっ♡えっちなのは終わり、考えちゃダメ、です……♡だめ、だめ♡だ〜め……♡」
全身を使って誘惑しながら、それに乗るなと言う。
無理だ。
駄目だと言われながら絡み付かれたら、却って意識してしまうに決まっている。
あれで終わりにしなければならないことは、言われなくても分かっている。
手淫を受けている最中に何の抵抗もできなかったくらいに疲弊しているこの身体を、少しでも休めなければならないことくらいは。
そうとわかっていながら、身体と本能はこの続きを求めていて、待ったをかけている理性も弱まってきている。
……誘惑に負けてもいいじゃないか、と、思い始めている。
そして、それは恐らく。
目の前の、今にも襲いかかろうとしている妻も同じなのだろう……と、思う。
「ふーっ、ふーっ……♡がまん、しなきゃ……♡でも……♡」
見ると、発情した犬のような息遣いをしながら、うわ言のように呟いた言葉で踏み留まっているように思える。
が、その束の間にがばっと勢い任せに伸し掛られて、強く抱きすくめられる。
押し殺すような、切羽詰まった息遣いが耳元で吹く。
「ごめんなさい、もう、淋しくて、欲しくて……♡抑えきれない……♡」
「したい……♡えっち……♡ずっと我慢してた……♡」
肉棒の先端に唇のようなものが当たる。
それが何であるかは、過去の日にとっくに知っている。
交わる暇がなくなって久しいもの。
「だめ……♡いれちゃだめ……♡押し返して、お願い……♡」
つぷっと柔肉を掻き分けて、下ろされていく腰の中に納まっていく、己の分身。
彼女にはもはや止められない接続を、その言葉に従って止めるべき、なのだろう。
最初からベッドに投げ出しっぱなしの四肢を動かして、突き飛ばすべきなのだろう。
わかっている。
わかっていながら、そうできない。
彼女と同じように、自分も。
「入っ――♡あ……♡なんでっ♡」
――交わりたいと、望んでしまっていた。
突き放せという、彼女の言葉に逆らって。
繋がりたいという、彼女の本音に従って。
落とされていく腰に手を回して、そっと抱き寄せた。
自分を飲み込もうとしている秘所に、進んで自らを差し出す。
それで一番奥まで到達する。降りた子宮の入口に、こつんと頭がぶつかる。
薄皮の一枚すら隔てずに、完全に繋がっている。
ぬらぬらとした肉壁に、分身をきゅっと抱きしめられている。
ばん、ばん、と、強く叩きつける音が立つ。
勢い任せに杭を打つような乱暴な衝撃が、何度も腰に打ち付けられる。
下の口に飲まれた男根がぐちゅぐちゅとゆすがれ、そこから生まれた快感が全身をぞくりと震え上がらせた。
「ふう……♡うぅーーーっ……♡」
唸り声を上げながら身体を貪る妻の顔は淫らに歪みきり、平時の淑やかな面影はもはやどこにもない。
ほんの僅かに、一糸だけ残っていた理性すら断ち切られて、獣欲だけになって蹂躙の限りを尽くそうとしている。
そうなることを望んで、彼女の理性の糸を切ったのは他でもない己自身であった。
背中に両腕を回し、加減のない力できつく締め上げながら、好き放題に腰を踊らせている。
疲労と先の吐精の余韻、そして今まさに受けている騎乗位に気力を奪われ尽くし、力がまるで入らない。
無抵抗でひたすらに責められる。深く口付けされて、今度は口内を舌でべろべろと荒らし回られると、本当に食べられているように錯覚してしまう。
「あむ♡ちゅう♡じゅぞっ、れぇ……♡」
ぱんぱんと肉を打ち付ける音と、じゅぽじゅぽと女陰が男根を舐めしゃぶる音。
そして、もはや口付けとも呼べないような、舌による口腔の蹂躙が重なって、淫靡な音色が奏でられる。
「あ……♡ん、んぅ……♡ふ、〜〜っ♡」
閉ざされた口で絶え絶えに喘ぐ。
それが挑発になって性欲をより煽ってしまうのか、舌と腰の動きをさらに乱暴なものにされてしまう。
こちらのことなど何も考えていないかのような、ただ自分を満たすためだけのピストンとキス。
沸き起こる性欲を、沸いたそばからぶつけられるようなこの行為に、自分の心は不快どころか、悦びを見出していた。
「はふ……♡んっ♡すき、すきっ♡だいすきっ♡」
――求められている。
正気をなくして、性欲を剥き出しにして。
駄目だと分かっていながら、抑えられないくらいに強く。
求めてくれている。
それが嬉しくて堪らない。
だから、もっと、求めてほしい。
好き勝手に、この身に性欲をぶつけてほしい。
「はあ、ふう♡あ……♡」
息継ぎのために一時離れた妻の顔を、両手でそっと包む。
唾液にまみれた顔を横に通り抜けて、真っ赤に染まった彼女の耳元に口を寄せる。
「――」
小さく息を吸ってから、一言だけ紡ぐ。
彼女の心を、最も煽り立てるであろう言葉。
彼女を滾らせて、箍が外れてしまうであろう言葉を。
「――好き」
「あ――」
どちゅん。
「あ……♡あぁあああぁあっ♡♡♡」
震えた声が上がったかと思うと、肩を突き放されベッドに押さえ込まれ、腰を滅茶苦茶に叩きつけられた。
ばん、ばん、ばん、どちゅん、どちゅん。
理性の欠片も無い全力の腰振りを何度も何度も受けて、腹に鈍い痛みが響く。
肩を押さえつける手の爪が立って皮膚に食い込み、鋭い痛みと共に血が滲む。
それすらも、彼女に求められているからだと思えば愛おしい。
もっとだ、もっと。
もっと激しく、強く、痛いくらいに、自分を求めてほしい。
愛しい人に求められることを、求めていることを知ってほしい。
だから。
「……もう、イく……♡」
上ずった声に心を乗せる。
貴女に求められて、悦んでいるのだと。
「このまま……♡イかせて……ほしい……♡」
どうかこのまま、貴女の求めるがままに、絶頂まで貪り尽くしてほしいと。
もたげてきた射精の衝動を、愛しい彼女に差し出した。
「――――――っ♡♡♡」
ベッドのスプリングが悲鳴を上げた。
腰を打ち付けるというより、もはや飛び跳ねるといった方が適切なくらいの大きく激しい抽送を受ける。
口を開けっ放しの妻の口から唾液がぼたりと滴って、自分の口に落ちた。
「すき♡すきっ♡すきすきすきすきっ♡♡♡」
身体がくっついて離れなくなりそうなくらいに強くしがみつかれ、狂ったように愛を叫ばれる。
鼓膜がびりびりと震えて耳鳴りがする。頭が好きの二文字で埋め尽くされ、愛される悦びで全身が震える。
腰の根本の震えが一際強く、がくがくと細動する。
時折衝き動かされるように、どくんと突き上がる。
「イって……♡出して♡出して出して、出してえっっ♡♡♡」
甘くねだる声と、それに似合わない強請るようなピストンに晒されて、一欠片の我慢すら残さず奪われる。
男根の管を伝う放出感に身を委ねると、意識が一瞬飛んだ。
「イっ♡っっ♡♡うあ♡♡――――――――っっっ♡♡♡♡」
男根を包む秘肉がぎゅううっと窄まり、搾り取るように蠕動する。
管を通って飛び出そうとしていた精液がその動きで一層勢い付いて、どっくんと打ち上がった。
出し損なった精液も、蠕動に促されて残らず放出させられ、全て子宮に流し込まされた。
「はあ、はあっ♡♡ふぅっ……♡」
互いに最上まで達し、乱れきった息をお互いの顔に吹きかけ合う。
身体の上にへにゃりと倒れ込んだ彼女は、やがて上体を起こして離れようとする。
……その背に手を回し、優しく抱き寄せた。
まだ足りないのだと、泣きつくかのように。
「――――♡♡♡」
意を汲んだ妻の唇が落ち、舌が口を割って入り込んだ。
――夜は、まだ終わらない。
やらかした。
理性をぶち切って夜通し励んでいたせいで、目が覚めたら始業時刻をとっくに過ぎていた。
慌ててスマホを見ると、既に上司からの不在着信が山のように溜まっていた。
というか、いつ入眠したかの記憶がない。
腰が異様に痛くて所々にアザが出来ているし、肩に引っ掻き傷がいくつもあるし、背中がひりついている。
おまけにシーツがぐちょ濡れで、スキンがひとつもない。
……二人して正気でなかったとはいえ、さすがにこれはやりすぎだ。
起きぬけのくせにやたらと重い身体を起こそうとしたところで、全裸の妻に抱かれていることに気がついた。
安らかな顔ですうすうと寝息を立てている、その表情はとても幸せそうに見える。
頭をそっと撫でると、にへらと顔を綻ばせ、むにゃむにゃとまた眠りに落ちた。
愛おしさで、思わず頬が緩んだ。
スマホが上司からの着信で鳴動した。
応答して、体調不良だと嘘をついた。
……今の御時世だと、通じやすくて助かる。
通話を終えて妻を見ると、まだ目を閉じていた。
この顔を崩さずに済んだようで何よりだ。
寝顔の唇にキスを一つ落として、二度寝しようとベッドに身を沈めて。
「……え?」
上に乗られていた。
「……キス」
「お、起きてたの……?」
「キス、しましたよね」
「……しました、けど……」
目がギラギラしている。
「お休み、取ったんですよね」
「うん……」
ずいっと身体を近づけられ、迫られる。
「しましょう」
「え、ちょっと――」
「……します♡」
「あ、待ってっ……んむっ」
口付けされ、押し倒され、流され。
……その日は一日中、離してもらえなかった。