有償依頼97件目です。ご感想くださるとうれしい です。
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ご参考→https://skeb.jp/@freege_affected/works/34

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鷺沢文香さんと淫魔(ショタのすがた)の堕とし堕とされ

「んっ、ふ……だ、め……っ……」

 

 “彼女”の素っ気ないほどシンプルな秋物のトップスを、“彼”はめくりあげている。見えたフルカップのブラジャーにはもう少し飾り気があって、純白に花や蔓(つる)のレースをあしらっている。

 しかし彼にとってそれらは添え物である。

 

(見た目だとEカップぐらいだったのに、もうひと回りは大きく重く感じる……気のせいか……いや、もしかして)

 

 ブラジャーに包まれた肌が、秋雨に降られたようにしっとりしている。その乳房が大きく豊かで、彼の指をいっぱいに伸ばしてもとても覆いきれない。ずっしり重い。興奮とともに、畏敬のような感情まで催す。

 

「絵よりもずっときれいだよ、文香……文香お姉ちゃんっ」

 

 彼は“文香お姉ちゃん”と呼びなおした彼女の乳房のふもとを、アンダーバスト側からぐるりと指先で回っていく。手のひらを寄せる。ブラジャーの生地ごしにもむっちり柔らかい。言葉にならない声が重なる。

 

「ん、ぁ……っ、いけません、こんな……っ……」

 

 彼女はぴくりと身じろぎする。カップに包みきれない乳房の鎖骨側がわずかに波打つ。数十分前まで、和室でちゃぶ台のかたわらに座布団を敷いて行儀よく――やや猫背ぎみだったが――正座して、画集を広げて“彼”に西洋絵画のことをやさしく説明していた。いまやちゃぶ台へ苦しげにヒジをついて、足を崩して、閉じきれないくちびるから湿った声と吐息を漏らしている。

 

「文香……お姉ちゃんは、“僕”にこうされるの、いやなの?」

「女性の胸を、触るなんて……ぃ、いけませ……んんんっ……!」

 

 彼は手のひら全体に意識を集中させる。彼女の乳房の重さをどうにか受けて立つ。軽く揉むだけでもちょっと気合いがいる。女の乳房なら何百人と触れてきた彼でも、こんな手応えは初めてである。ほんのり温かくしっとり柔らかい重さに押しかえされながら、彼女の反応をうかがう。

 

「気持ちよさそうに見えるけれど?」

「っ……!? 気のせいで……ぁ……っ!」

 

 抗弁を塗りつぶすように、彼が彼女の乳房の頂点を親指でくりくりとこする。ブラジャーごしでも、ぷくりとした乳首をかすかに感じ取る。乳房が手のひらからあふれてこぼれ落ちないよう注意しながら、さらに執拗に乳首をくすぐる。

 

「あっ、ゃ……あ、んんっ……ひ、ぅ……!」

「くりくり、ってやつ……もうちょっとゆっくりしたほうがいい?」

「え、ええと、そう……いや、そういう問題ではなく……えぅ、うううーっ……!」

 

 彼女がまた肩をぴく、ぴくとうごめかす。それが乳房へぷるん、ぷるんと伝わってさっきより大げさに波打つ。彼の手は波に揺れるイカダかサーフボードのようにあおられる。彼女が胸を守ろうと腕をたたむだけで乳首愛撫は中断させられそうだが、どうにか続けられる。

 

「ぇ、あっ、んくっ……そこ、とめ、て……っ」

 

 彼は彼女を“発見”したときを思い返す。彼女は都内の某国立大にある図書館の閲覧テーブルの一角を占めていた。最初に目に入ったのはまっすぐな黒髪に覆われた肩だった。肩が細く丸く、対して髪が豊かでつややかすぎてずっしりした印象さえ抱いた。女子大生として見ると『とても清楚』か『ひどく野暮ったい』か評価の分かれそうな後ろ姿だった。

 彼がそっと近づくと、彼女は紙の端がキツネ色に日焼けしているほど古めかしい本を何冊か広げていた。といって、近くに座るほかの学生と違い、本のそばに文房具やタブレット端末などを並べていなかった。どうも試験準備やレポートのための作業ではなく、純然たる趣味で読書にふけっているらしかった。

 彼女は顔と手もと以外は地味な服装で肌を隠していて、その肌の生白さがいっそう目立った。シミ一つないものの、血の気が周りの学生より一段か二段薄く、健康的とは言い難かった。彼がこっそり見ていると、本の内容に何か心を動かされたか、目を細めながら口元をふっと緩めた。目は前髪に半ば隠れていた。まつ毛が長く黒目が大きく見えて、白い肌との対比がモノクロームにもかかわらず鮮やかだった。鼻と口は控えめに収まって引き立て役を演じていた。つまり顔立ちが整っていた。いっぽう、目元や口元の動きが小さくぎこちなく、まるで顔立ちに遠慮するようで、魅力をそれなりに打ち消してしまっていた。

 彼女はいい意味でも悪い意味でも人形のようだった。

 

 それが彼の好みであった。

 

「ぁ、きゃんっ……!? だ、めぇっ……ナオヤ、くんっ……!」

「……あ、うん、ええと……それなら、こうしたらどうかな?」

 

 彼は淫魔である。

 

(俺、ナオヤなんて名前じゃないんだけどなぁ……でも訂正して、めんどうなことになったら……)

 

 名前はナオヤではない。

 どこで生まれたかとんと見当がつかない――彼自身にさえ――が、人間とのセックスを通して活力を得て、文香が生まれる前から生きながらえてきた。

 

「んんっ……そ、そこ、ばかり……ぇふ、ぇう、あ、うっ……!」

「文香お姉ちゃんは……自分で、ここ、いじったりする?」

「ちくび、だめ、です……あ、ぅ、あぁああぁっ……!」

「俺……いや、ちが……っ……ぼ、僕がいじってるのと、自分でいじるの、どっちが気持ちいい?」

「っ……っっうぅー……ぅ……!」

 

 そんな彼は文香の乳房を発見したその日にでももてあそびたかったが、そしてもてあそべる心づもりだったが、いまこうして実際にもてあそぶまで数週間ほどを要した。

 

※

 

 淫魔たちはセックスから活力を得る。しかしそれぞれセックスに好みがある。人間が食事によって栄養を得つつ、味を選り好みするさまに似ている。

 彼にとって文香は“大好物”で、数週間前に図書館で彼女を見かけてすぐ男子大学生ふうの美男子に変身し、読書にふける文香に話しかけた。

 すげなく断られた。

 

(……志賀直哉、って読んでたページに見えて、つい『俺もナオヤって言うんだ、偶然だね』って名乗っちゃって……まぁ武者小路実篤よりマシだろうけど)

 

 彼ら淫魔にとって変身は常套手段だった。

 淫魔、とりわけサキュバスとインキュバスについて、中世カトリックの某神学者は、サキュバスもインキュバスも同じタイプの淫魔が別々の姿に変化した存在、という説を唱えた。その説の概要は――まずサキュバスが人間の男を誘惑し精液を奪う。するとサキュバスはインキュバスに変化する。インキュバスは人間の女を誘惑し精液を注ぐ。するとインキュバスがサキュバスに戻る――といった。深遠な神学というより、父親の名前を明らかにできない子を妊娠してしまった女を「悪魔に犯されたのでしかたがない。しかし子種は人間の男だから人間の子である、堕胎しないように」と取り扱う方便だったらしい。

 淫魔たちは自身の好みの性行為を味わいやすい姿に変身できるよう工夫している。中世カトリックの方便が部分的に正しかったことになるだろう。

 

 その方便を文香が知っていたかどうかはともかく、“ナオヤ”としてアプローチを続けると、文香にますます警戒された。

 そのまま数週間が過ぎようとしていた。

 彼はアプローチの方法を変えた。

 

『ぼ……僕は……ナオヤといいます、よろしくおねがいしますっ』

 

 彼は男子大学生ナオヤから外見年齢を半分以下に若返らせ、かわいらしい男の子の姿に変身しなおした(ナオヤの姿を若返らせたのは、一から美少年の姿を形作る負担を省くためと、ナオヤとして拒絶されてかえってナオヤとして文香とセックスしたい気持ちが高まったせいであった)。アプローチしているあいだ、文香が東京・神保町で古書店を営む叔父の家に下宿しているとこっそり調べていた。そこで男の子の姿に変身したあと文香の叔父を淫魔の力で操って、彼は親戚の男の子であり家庭の都合で数日間だけそこで暮らす、と信じこませた。

 その数日間は、文香の叔父が地方の古書市を回るため店を閉め、文香が留守番する予定であった。これも調べをつけていた。

 

『ごめんね文香ちゃん、子供のお守りを押しつけてしまって。バイト代につけておくよ』

『……私がお守りだと、その子を退屈させてしまいそうですが』

『だいじょうぶだよ、大人しそうな子だし』

『はぁ……』

『本、読むほうみたいだよ』

『なるほど』

 

 彼は文香との対面のとき、恥ずかしそうに顔をうつむけながら内心でほくそ笑んでいた。すぐにでも文香をむさぼりたいのをこらえて、紅顔の美少年の姿をがんばって保ちながら無邪気かつちょっぴり気弱そうな男の子を演じて、文香と並んで叔父の出発を見送った。

 

『ふみ……文香お姉ちゃん』

『……お姉ちゃん、と言われると面映ゆいですね……あ、構いませんが……』

『これ、いっしょに読んでほしいな。読みたいけど、難しそうだから』

 

 その後、彼は書棚から美術書をどうにか引っぱりだして――自分が頼りなく見えるよう、B4版のハードカバーの美術書を選んだら、ずっしりした重さ、大きさ、分厚さに驚いて、彼は子供の体の小ささ、非力さをようやく実感しはじめた――文香に「いっしょに読んでほしい」とねだった。文香がうなずいて、2人で叔父宅の和室の畳に座布団を並べて、ちゃぶ台を書見台代わりに美術鑑賞を始めた。

 

『……なるほど、ルーヴルですか』

『すごいっ、文香お姉ちゃんは外国語も読めるんだねっ』

『フランス語は……えぇと、その……あ、よかった、対訳も……』

 

 彼が苦労して引っぱりだした美術書は、ルーヴル美術館の解説書で、主な所蔵品の写真が掲載されていた。いくつかの写真について彼は文香に解説や感想をねだった。『サモトラケのニケ』や『モナ・リザ』のページで、文香は小さいが気楽そうな声音で語ってくれた。『ミロのヴィーナス』や『アモルの接吻で蘇るプシュケ』のページとなると、少々ぎこちなくなった。

 さらに『ガブリエル・デストレとその妹』のページで彼が「なんで左の女の人が右の女の人の乳首つまんでるの?」と不思議そうに聞くと、文香はくちびるをぱくぱくさせながら何か声を絞り出したが言葉になっていなかった。ハードカバーの小口に指をかけたまま動かしかねていた。強引にページを繰ってその絵を彼から隠したそうだったが、できていなかった。書を乱暴に扱うのをためらっているらしかった。

 彼は興奮で頬が火照った。変身による演出か、反射的にそうなったのかわからなかった。

 

『わ、ぁ……文香、お姉ちゃん……』

 

 さらにページを進めて、アングルの『グランド・オダリスク』や『トルコ風呂』が載っている見開きで彼は意を決した――『文香お姉ちゃんの体も、こんな感じなのかな……?』――無邪気さの中に恥じらいを忍ばせつつ、文香の顔に目いっぱいの視線と邪念を注いだ――『わ、私は、こんな、絵に描かれるような人とは……』『でも文香お姉ちゃんのほうが顔とか髪とかきれいだよ』『……! 大人を、からかわないで……』――ナオヤとして文香と話して怪しまれたとき、彼女が自身の容姿を過小評価しつつも褒められるのはまんざらでもない、と察していた。

 

『ぁ、ナオヤ、くんっ……』

 

 彼はそっと手を伸ばして、隣に座る文香の頬に触れた。ほんのりとした温かさが、その奥にある緊張と興奮とが、変身や催眠で疲れた淫魔の心身にじんわりしみた。文香が彼の手を押しとどめようとして手のひらを握ってきたが、押しのけようとしてためらう気配があった。

 男の子の姿である彼の手は、ほっそりした文香の手よりも小さい。

 

『……文香は……ぁ、ええと、文香お姉ちゃんは、どうやって触ってあげたらいいの?』

『触って、ほしくは……ぁ……んっ……』

 

 彼は口八丁手八丁と淫魔の力で、文香の抵抗を弱め、彼女の乳房を軽くつついたり撫でたりしつつ、ついに服をたくしあげてしまった。

 

※

 

(……乳首オナニーで気持ちよくなったことはあるけど、イくのは未経験ぐらい、かな……?)

 

 彼はそれから文香が乳房をもてあそばれてどう感じているか、彼は心身のすべてで探り、味わっている。恥じらい、戸惑い……しかし相手が幼く、まだ彼がおっかなびっくりなようすを見せているためか、恐怖が薄い……むしろ純朴に見える男の子の早すぎる性的関心を、広げっぱなしの本に見える裸婦画と自分の体で煽ってしまったか、という焦り、気まずさ、罪悪感……それと生理的な興奮が混ざっている。

 

(男の子の姿だと、文香みたいな警戒心の強い子でもいけるかな……それは、いいんだけど)

 

 彼は文香の乳房を刺激しながら、『じゃあ、いい感じの触り具合だったら、声を聞かせて、ね』と誘導して、文香に自分の口を抑えさせた。これでは乳房が無防備である。力加減はじれったいほど優しく、それでいて邪念は狂おしいほど濃く込めて、乳首を中心にじっくり刺激する。

 

「乳首、すりすりってするぐらいがいいのかな」

「そんな、こと、言ったら……ひふっ、きゅ、ぅ……っ!」

「文香お姉ちゃんが好きな触り方、知りたいんだ」

 

 そっと触れる彼の指を押しかえすように、文香の乳房の頂点近くがぷっくりと主張を強めていく。もはやブラジャーがあってないぐらいの羞恥と快楽を感じているらしく、文香の脇腹やヘソ近くがぴくりと引きつったり、ぺこぺことへこんだりする。そのありさまが彼を興奮させる。

 

(……これじゃ、俺も生殺しされている気分だ)

 

 淫魔の邪念によって女の抵抗を剥ぎ、快楽漬けにして、堕落させる。そのセックスの過程で活力を味わう。彼がこれまで人間でいう食事のようにしてきた行為である。

 しかし男の子の姿でそうするのは初めてである。文香のことを調べたり叔父を催眠でごまかしたりの負担も加わってか、事前の予想よりもずっしり負担がかかっている。その状態は人間の空腹に近い。文香を追い詰めるとますます渇望してうっかりすると化けの皮が剥がれてしまいそうに危うい。手中のごちそうを早くぱくぱくむさぼってお腹いっぱいになりたい。しかしごちそうをじっくり味わいたい。生きるために女をむさぼっているのか、女をむさぼるために生きているのかわからない。

 

(文香をイカせたい、イカせまくりたい、じゃなきゃ死にそうだ……こんなことなら、てきとうな女で準備しておくんだった)

 

 しかし後の祭りである。文香を発見して以来、彼の意識が文香以外の女性をほとんど素通ししてしまっている。

 

「胸、触っては、ダメ……女の、人に、こんなことを、したら……」

「……したら?」

「ナオヤくんが、嫌われてしまいます……」

「文香お姉ちゃんは、僕のこと、嫌いになっちゃった?」

「……いま、やめてくれれば……んひゅっ!? は、ぉ、ァ、あ……ッ!!」

 

 文香の目が一瞬だけ丸々と見開かれたあと、すぐ首と背中をそらして彼から見えなくなる。鼻やくちびるの呼吸がふぅはぁと荒く、肌がますます熱くなる。彼が勢い余って注ぎすぎた邪念のせいで、文香はブラジャーを脱がされる前に乳首絶頂を迎えてしまっている。すぐそばにいる彼には、文香のねっとりとした心地が、甘く透き通った羽衣をまとっているように思える。このままそれを剥ぎとるほど乱れさせてしまえば、文香は彼の手中に堕ちる。

 

(……文香をイカせちゃえば、こっちは一息つけるけど……)

 

 絶頂が収まった文香は、がっくりとちゃぶ台に突っ伏す。しかし美術書に思い切りヒジを突いてしまったり黒髪を垂れさせてしまったりが気になったらしく、息も落ち着かないうちに再び顔とヒジを上げる。彼はそっと美術書を脇に除ける。

 

「文香お姉ちゃん、気持ちよかった?」

「……だめ、です……こんなの……忘れて……」

 

 彼は密かに感嘆する――(初めてイカされた直後なのに……見た目の割に一皮剥くと強情だな……そういう女、俺は大好きだけど! だけど!)――ますます期待と興奮が高まる。

 

「イッちゃったでしょ?」

「……え」

「もう濡れ……あっ」

 

 彼は言い終えてから気づき、失言してしまった、という後悔を表情に出さないよう必死でこらえた――(つい、男子大学生ナオヤみたいなことを……!)――文香の目を見返すと、明らかに疑念が浮かんでいる。

 半ばやけになって文香のブラジャーをずらす。

 

「んあぅ!? ひぅっ、ひぃうっ……! やあっ……!」

「やっぱり文香……お姉ちゃんのほうが、きれいだっ」

 

 文香の胸からブラの支えが外れて、彼の手にEカップはあろうかという乳房がまともにのしかかる。しっとり色づきぷっくりふくらんだ乳輪と乳首を見た感動と、ずっしりした重さがない交ぜになる。

 気合いを入れなおして乳房を揉みほぐし、ぴん、ぴん、と勃起した乳首を弾く。文香が手を口で抑えながらヒジを振って彼の手をどけようとすると、彼はますます乳首を責めたてる。

 

「あ、くっ、んふっ……んやっ、あ、ぅ……! ま、また……」

「文香お姉ちゃんって、乳首のほうが敏感なんだね」

「ひっ、ひぅ……こんな、こと、私、知らな……やぁっ、んあぁ……!?」

 

 文香が手と口で乳凌辱を拒んでいるが、それ以外がすべて彼をせがんでいる。顔は紅潮して汗ばんで、艶っぽい黒髪がしどけなく乱れている。目とくちびるはすっかり潤んで、よだれのあとまでちらつく。背筋や腰がびくびくと震え、地味なロングスカートの張りつくお尻がぺたんと座布団に落ちて、ふくらみが力んだりゆるんだりしている。

 

「ああぁああ……っ!? あ、ぅ、あぁあぁっ……!」

「声、聞かせてくれるってことは、気持ちいいんだね~」

「やぁ……違っ、ぁ、んっ……んきゅっ、ふ……!?」

 

 抗弁を捻じ曲げるように、彼は文香の乳首をきゅっとひねり上げる。小さな手のおかげで文香の乳首がいっそういやらしく肥大化して感じられる。もっとぐりぐりしたくなるのをどうにかこらえる。

 

「気持ちよくなると、イッちゃうんだね、文香お姉ちゃんは」

「イク、なんて……ひっ、ひぃぃっ、やぁっ、んあぁ……!」

「イヤだったら、僕のことぶってもいいよ。でも、イヤじゃないんなら……」

 

 文香が子供に手を上げはしない、と彼は見くびっている。

 実際に文香は体をよじったり首を振ったりするぐらいにとどまっている。それでいて、未経験の乳首快楽、絶頂に流されて、そんな子供に身を委ねてしまっている自分を恥じる理性も残っている。

 彼の興奮と渇望は天井知らずである。

 

「はぁっ、あぁっ、あっ、んぅっ……♥」

「ごめんね文香お姉ちゃん、気が付かなくて」

「……あっあ……ぁあっ♥ な、なんで、やめ、て……」

「優しく、すりすりって乳首されるのが、好きなんだね? 僕がんばるよ」

 

 彼は乳首への愛撫をゆるく控えめに続けながら、言葉で羞恥心に訴えかけ興奮を促すよう切り替える。指で文香をイカせるのは心地よいし活力を得られる。しかし未開発の文香を強引に絶頂させると淫魔としての力を使うため、回復がそれなりに相殺されてしまう。彼が一息つくまでに文香が何回イカされているか――(乳首絶頂のことしか考えられない女になってしまったら終わりだ……もっとじっくり味わいたいのに)――と慎重になる。

 

「やめないよ、文香お姉ちゃん……すごく、うれしそうなんだもん」

「私、そんな……恥ずかしくて、たえ、られ……ん、ダメ、んっ、はぅ、んっ……んぅうっ……!」

「恥ずかしくなんかないよっ」

 

 彼はひたすら文香の体を褒め称えた――「文香お姉ちゃん、あったかくていい匂いがする」「乳首がこりこりしてるのも、おっぱいふわふわなのも、かわいいっ」「もっと声、聞かせて、きれいだもん……」――男の子の姿らしくしなければ、と気をつけたので、似たような語彙をいくつもループさせることになったが、1ループごとに文香は声を高くして、胸や腹をぴくぴく感じさせる時間と頻度が増えて、恥じらいながらすすり泣いて頬がますます濡れさせる。

 さらに文香の体が快楽になじんで、絶頂しやすくなっていく気配も感じる。女の絶頂で活力を得る彼は、その気配をすっかり見通せる。そのぶんだけ期待もふくらみ、彼のわずかな余裕を圧迫する。

 

「おっぱいすりすり、好き?」

「ちがっ……ちがうぅ……んぅ……! っん、ふ……ぁ、あ、あっ……♥」

 

 やがて文香が何度目かの乳首・羞恥絶頂に至ったかというタイミングで、ぎゅうぎゅうと固く閉じられてスカートをしわくちゃにしていた太ももが、ひときわびくびくと震える。スカートや座布団にじわじわとシミが広がっていくのが、彼にも目視できる。

 

「不思議だね……おもらししちゃってる文香お姉ちゃんも、素敵」

「や、ぁ……みない、で……」

 

 彼にスカートをめくられながら、文香はまだわなわなと震えながら淡い絶頂感に包まれている。ブラジャーと揃いの白い下着が、女性器の形を浮き出させるほどべったり張りついて濡れている。やがて痙攣が収まると、彼の視線に耐えられなくなってか、彼に背中を向けるようにごろりと転がる。

 

「……む、むり、です……っ……」

「むり?」

「……これ以上、されたら……耐えられ、ません……っ……」

「何に?」

 

 彼は文香のふっくらした尻肉に手のひらを添える。乳房より大きくむっちりとしているが、乳房よりずっしり感が控えめでじっくり揉んでいられそうである。

 が、すぐに身をよじられ引き離されてしまう。

 

「あっ、く、う……だめ、です……ナオヤ、くん……」

「何が?」

「忘れ、なさい……女の人に、こんなことをしていたら、あなたは……」

 

 潤んだ目と湿ったくちびるで説教されて、彼は文香のことをまぶしいと思う――(子供相手だとしても、ここまでされれば立派なレイプだろう)――それでもなお相手のため、と説得しようとする態度に舌を巻く。

 どこまでそれが続くか味わいたくなってしまう。

 

「どうしよう……文香お姉ちゃんとこうしてると、おちんちんが、苦しくなって……」

「ぅ、そ……そんな、だめ、それは、ほんとう、に……っ……!」

 

 彼は最後の切り札を見せる。勃起した男性器を文香に示す。巨根とは言えないが、文香の膣肉を割り開くにはじゅうぶんな硬さと大きさを誇っている。

 彼がこれまで味わってきた女のなかには、狂う寸前まで快楽・絶頂を与えられても、気丈に凌辱を拒んだり、いまの文香のように一種の健気さを見せる者がいた。そうした女も膣内射精されながら膣イキを繰り返されると、すっかり堕落した。どんな心持ちであろうとも射精されれば妊娠してしまう可能性が生じる。膣イキさせられれば体が心を裏切って妊娠を望んでいる、と錯覚させられる。それを繰り返されて耐えられる女はいない。

 

「だ、だめ、子供が、できちゃ……あ、あ、ぃ……やぁっ……!」

 

 堕落した女は、彼にとって果実を食べ尽くして皮や種だけになってしまった果物のようなもので、すべて捨てて忘れてしまっている。淫魔の射精で妊娠するのかどうか、実際に誰か妊娠したかどうかすら無関心である。

 

(なんだかいつもよりきつい……男の子のままじゃ無理があるのか……!?)

 

 とはいえ、いまの彼も瀬戸際に近づいている。幼い姿で勃起ペニスだけ成熟させる奇妙な変身のせいか、さらに負担が増している。腰砕けの文香に後ろからのしかかって強引に挿入しようとして、ぐらりとよろけて尻の谷間にペニスをこすってしまう。

 

「はあっ……はあっ……」

「も……やめ、やめ、て……! ひふっ、きゅ、ぅ……っ!」

 

 文香の背中に張りつくようにして後ろから胸をまさぐり、乳首をつまんでこねる。後ろ髪がたっぷり甘い汗の匂いをはらんでいて、思わぬ反撃にめまいを起こす。それでも乳首を離さず追い打ちし、繰り返しイカせる。

 

「きゃ、あ、あっ……ま、またイくっ……イ……っ……♥」

「文香……こんなの、はじめてだから……いまさら退けるか……!」

「あっ……ひぁっ……んんぅ……!」

 

 文香の乳首絶頂を味わって気力がほんのり回復する。その勢いで文香の腰を抱えこむ。後背位でねじこもうとして、また文香の尻の豊かさ――彼が幼い男の子に変身しているせいもある――に圧倒されかける。

 

「んひっ……くふあっ! んひぃいいッ!」

 

 どうにか挿入を果たすと、文香が理性を吹っ飛ばされたような悲鳴をあげ、髪がぐしゃぐしゃに乱れるほど背中や肩を反らせる。処女を奪われた瞬間に膣イキさせられている。直前まで乳首絶頂を重ねられていたせいか、処女血が本気汁のような白濁液で赤白斑になっていて、淫魔のペニスが勝手に大きく硬くなる。

 

「だめっ……だめぇ……っ……おねがい、やめ、わた、し……あぃっ、ひ、ぁ、おぉぉ……っ♥」

「文香……文香、お姉ちゃん、ごめんっ……!」

 

 文香の膣イキで回復したそばから、それを射精衝動で持っていかれる。変身の産物である淫魔ペニスは人間のそれより融通がきくのだが、大好物の処女膣の前では融通どころではない。射精して、文香の血と愛液と混ざって、じゅぶ、じゅぼ、と結合部からどろどろの体液が垂れて、それがほとんど文香の太ももを伝って垂れていく。

 

「あひっ、んひぃぃっ、ああっ、おねがい、やめっ……ああああっ、い、いく、ぅ……♥」

 

 文香の膣肉は、彼のペニスを受け入れると言うより、腟絶頂の痙攣のなかでぐりゅぐりゅとペニスを吸って絞って、精液を放出させ膣奥まで送りこもうとしている。文香の意志というより本能で、そうすれば処女喪失の痛みを淫魔による快楽で上書きできる、と理解しているようにも思える。彼はそれに応えてさらに精液を――注ぎ込もうとして――それ以上に文香に吸いこまれる。

 

「ハッ、ハッ、はっ、ハッ、はぁっ……!」

「んひゃあ! ひああっ! くひぃ……も……だっ、やぁっ……んひ、ひゅ……♥」

 

 文香の秘所が腰や尻ごとがくがくと浮き沈みしたあと、ためにためたものが決壊したように、ぷしゅ、ぷしゅと勢いよく潮がほとばしって、座布団や和室の畳を濡らしてしまう。文香の激しい絶頂と痙攣に見舞われ、彼はどうにか挿入を保つのがせいいっぱいになる。

 

「んあぅ! ひぅっ、ひぃうっ…… あ゙あっイグ……ま、またっ、あ゙、あ゙っ……!」

 

 彼にもう言葉責めする余裕がなく、手を伸ばしても乳首に届かず、どうにか文香の秘所をまさぐって陰核を捉える。かろうじて優しい手つきで、しかし加減も何もなく邪念を叩きこむ。腟内絶頂だけでもう前後不覚なのに、さらに陰核までイカされ、文香がいよいよケダモノじみた嬌声をばらまく。ふたりの結合部から、ぶちゅぶちゅ、ぬぷぬぷと重く粘っこくなってきた体液が処女血やイキ潮を上塗りするようにあふれる。

 文香の膣肉は、彼がこれまで味わってきた女のなかでもっとも強烈に締めつけてきている。彼はその快楽に耐えて射精をこらえるのに必死で、それでも彼が思うよりずっと早く限界に連れて行かれる。

 

「お゙っ、ひ……う、お、お、く……ぁ、あ、い゙っ、イって、ぅ、ぁ、あ゙あ……!」

 

 文香にできるだけ深くねじこんで、吸い付くような膣奥を狙って精液を放つ。文香の声や呼吸器がもうぜぇぜぇと喘ぐだけになっていたが、子宮まで絶頂しているのを感じる。それで彼は一気に回復するが、またも射精で搾り取られる。

 

「……も、ぅ……むり、むぃ、です……ゔっ、ゔっあ、いっ、イク、ううゔ……っ!」

 

 彼もちょうど無理だという具合になって、押し出されるようにずるりとペニスを引き抜いた。

 

「文香……おねえ、ちゃん……」

 

 四つん這いのままの文香は、ウエストから太もも、足先までを汗や愛液でびっしょりとさせ、長いあいだ細かく痙攣させていた。髪を振り乱したまま、畳に上半身を突っ伏して両腕で顔を覆っていた。

 彼は文香の顔を見ようとした。まだむさぼれる余地が残っているか確かめようとしたが、はかどらなかった。ほとんど活力を使い果たしていた。

 

※

 

 数カ月後。

 

(あぁ……気持ちいいぃいぃ……男の子どころか、赤ちゃんになりそう……)

 

 彼はかつて文香をレイプした和室で、文香にヒザ枕してもらいながら、頬でむっちりとした下乳を感じながら、骨抜きにされかけていた。

 

「ナオヤくんも、意外と見た目相応なところがあるんですね……?」

「あぁ……うん、うん……はぃ……あ、頭、なでないで……」

「あら、すみません、つい……かわいらしかったので」

「……って、なんでだよーっ!」

 

 さすがに淫魔としての誇りが揺らぎ、文香のヒザ上と乳下からどうにかこうにか這い出した。

 

「なんで、と言われましても……何か、気に入らなかったのですか?」

「いや、別に……そういうわけじゃ、ないんだけれども……けれども……」

 

 きょとんとした顔で彼を見つめる文香は、オフショルダーのトップスにロングスカートを合わせていた。顔立ちはそのままだが、表情はだいぶ柔らかく、髪や肌はだいぶ艶っぽく、乳房や尻が服越しにも大きく弾力を増して見えた。

 

(……なるほど、アイドルになって調子がいい、ってのもうなずける)

 

 これまで彼がむさぼってきた女と文香が何か違ったせいか、彼が不慣れな男の子の姿でむさぼったせいか、その両方か、ともあれ文香はさんざん乳首や膣奥で絶頂させられても、それなりに彼の好む清楚さや恥じらいを保っていた。それでいて女の悦びを常人の数十倍も覚えた文香は心身ともにこなれて、美しい処女の床上手のような雰囲気が出て、なんとアイドルにスカウトされ異例の速さでデビューした。すでに期待の新人として一目置かれているという。

 

「私がお仕事の話をしているのに、いたずらしてきて……かまってもらいたかったのかと、子供のように」

「それは、その……文香……文香お姉ちゃんが、なかなか……」

 

 彼と文香はそのあいだもセックスを重ねている。アイドルはいろいろ気疲れする仕事らしく、文香はセックスを気晴らしと見なしているのか、仕事が増えるほどセックスに積極的になっている。仕事で外出が多くなってセックスのチャンス自体は減り、彼にとっては一得一失である。

 文香が『お仕事の話をしているのに、いたずらしてきて』とこぼしたのは、ヒザ枕される前に彼女が叔父宅で叔父と担当プロデューサーとアイドル活動について話し合っていて、それが長引いてじれた彼がこっそり文香に近寄って乳房や尻をもてあそんだことを指している。

 

「私が不在で寂しかったのですか?」

「それは……その……まぁ……」

「そう言ってくだされば、私もうれしいですね」

 

 なお彼は、文香が感じすぎて打ち合わせを中座しようかと思ったころ痴漢を中断してしまった。文香が人前で激しい羞恥心にかられていたのはよかったが、それ以上に叔父とプロデューサーと催眠でごまかす相手が余計に増えて厳しかった。

 

(……文香と2人きりのときなら、この姿でも前より楽になったんだけどなぁ)

 

 彼はさっきまでヒザ枕をしてくれていた文香が、そのままの正座で彼を見つめている姿に相対する。親戚の優しくて楚々としてきれいなお姉さん、といった理想を絵に描いたような姿である。彼の大好物のままである。

 

(そんな顔して……さっき人前で俺におっぱいとか尻とか触られて、マンコ濡らしてたくせに)

 

 そう毒突きたくなるが、どうにかこらえた。言う前から、文香が「それはあなたのせいでは」と返されるのが想像できてしまった。

 

「あとは……」

「何?」

「ナオヤくんも、優しくしてもらうほうがいい、って少しでもわかってもらえたら」

「……本当にそう思う?」

 

 彼はかすかにいらだつ。

 文香は処女喪失のときのようなレイプより、甘ったるい睦言を交わしながら絶頂まで昇る和姦のほうを好んでいる。それは彼にとっても悪くないが――(そりゃ、ささやくだけでイッてくれるなら俺は助かるんだが)――なじみの薄い味である。

 

(俺……本当に男の子にされちゃったらどうしよう)

 

 自分がセックスで変えられてしまった……しかもこのあいだまで処女であった文香に……と思うと、彼は淫魔として自意識の根底を揺るがされる。しかしずっと女たちをむさぼって生きていて、その不安にほとんど無自覚である。

 

「ちょっぴり強引にされるほうが、文香さん好きでしょ。ハーレクインみたいな」

「あら……ここでそういった本は扱っていないはずですが」

「口じゃ負けちゃうから、ふさいじゃうよ」

「これは勝負では……ぁ、ナオヤくん、だめ、ですよ……?」

 

 文香の肩をつかみ、抱き寄せる。キスを迫ると“キスできなくもない”程度に顔をそむけられる。

 

「ふぇぷっ、ふぁ、なお……あ、んぷっ……れりゅ、んぅうっ……♥」

 

 彼が文香のくちびるのあいだに割りこみ、舌先で歯列と口蓋をなで、唾液を塗りつける。文香の抵抗が一気に弱まる。入れ替わって、肌の奥でじんわり肉欲が高まっていく。文香の手も、彼の背中をそっと抱いてくる。

 

(こういう儀式みたいなの、文香さんにとって重要らしい。これサボるとなかなかイッてくれない……僕も付き合っちゃうけどさぁ……)

 

 ほどなく、文香からも彼のくちびるを吸ったり、舌先どうしをこすったりしてくる。舌を絡ませたり、彼の口中に入れ返してきたら……と彼が思うが、そこまでには至らない。反撃の余裕がないのか、あえて手控えているのか迷う。

 

「んぅ、んっん……ぅぷ、あ、ふぁあ……っ……」

「……文香お姉ちゃん、好き……」

「……っ……ぃ、言わない、で……そ、れ……ぁ……っ♥」

 

 キスのあいまに文香の耳元で“文香お姉ちゃん”とささやく。文香が感極まったように眉根を震わせる。汗か涙か、長いまつ毛に雫さえ乗っている。彼が注ぎこんだ唾液か、文香自身のそれか、ノドをこくんと鳴らして飲みこむ。座って閉じたままの太ももがじりじりと座布団をこする。秘所はもっと露骨にもぞもぞじれったく悶えている。甘く淡い絶頂を迎えている、と彼にはわかる。

 

(……いままでイかせてたとき、いつも文香お姉ちゃん、って言ってたせいだろうけど……)

 

 そうした反応は彼にとって堕落である。大好物の果実についてしまった虫食いのようで、以前の彼なら不愉快さで顔をしかめてしまうし、いまの彼でもそうなる。しかし、語りかけるだけでこんな幸せそうな反応を返してくれるなら、とも感じてしまう。

 

「僕……文香お姉ちゃんと、えっちなこと、したいよ……!」

 

 文香がいきなり彼を強く抱きしめてくる――(あ、いま見られたくない顔してるんだ)――耳をくすぐりながらささやきを追い打ちする。快楽でスキのできた文香を押し倒し、すっかりとろけてしまった表情を見つめる。

 

「や、ぁ……見ない、で……♥」

「だめ、見たい……文香お姉ちゃんの顔……とっても、いやらしくて、きれいだよ」

 

 アイドルになってからいくぶん軽く仕上げるようになった文香の前髪が、ぺったり額に張りついている。彼と出会ったころの分厚い前髪よりいっそうみだらに見える。涼やかだった目が極度の興奮を表すように瞳孔を開ききって、彼は自分の視線がそこに吸いこまれる錯覚に陥る。整っていた顔立ちがだらしない快楽で緩んで薄化粧も乱れている。もともとの美貌の面影が残っていると、崩れかけの印象も強くなる。ちょうど古代の彫刻がところどころ朽ちていっそう荘厳に見える――彼に、文香をレイプする前『サモトラケのニケ』や『ミロのヴィーナス』について話した記憶が湧きあがった――ことに似ている。

 

「ふぁあ、はぁ、ッ、くぅ……い、いきなり、だめ、ぇ……♥」

「じゃあ、してもいいって思ってくれたら、脚、広げて?」

 

 彼は強引にオフショルダートップスをたくしあげブラジャーをずらして、文香の胸をわさわさと揉みほぐす。文香は太ももを拒むように強く閉じるが、胸愛撫にはびくびくのけぞったりゆさゆさ震わせる以外まったく抵抗を放棄している。

 

(たくさん乳首イキさせられたあとだと、たくさん精液を注いでもらえる……って、覚えられちゃったかなぁ)

 

 胸の先端がいかにも触れてほしいという風情でぷっくりふくれている。乳輪の周りをするするなぞると、文香が恨みがましい目つきで見上げてくる。

 

「はぅ、ほぁっ、はぁっ……い、いじわる、しないで……あああっ!」

「いやなの?」

「……それ、は……ぁ、ああっ、う、く、ぐぐ、ふぅううっ……♥」

 

 乳首をこねられ、ねじられ、目を悩ましげに閉じて喘ぎを噛み殺す。どこまで本気なのやら、彼の邪念を通してもぼんやりして読みかねる。あいかわらず細いウエストがぴくぴく震える。初体験のころと似ている。しかしあのころただ戸惑って揺れていただけの体が、いま快楽をねだって媚びているふうに見える。

 彼は文香の処女を奪ってしばらくしたある日、「食欲がわかないのでセックスしたい」とねだられて驚いたときを思い出す――「ナオヤくんとしたあとだと、食欲が湧いて」「その食生活……っていうか意識で、よく……」――その食の細さに相応の細いウエストと、明らかに不相応に豊かな乳房や尻を見比べる。

 

(文香こそ、淫魔に生まれるはずが何かの間違いで人間に生まれてしまったのでは)

 

 彼は体を前傾させて文香にのしかかる。文香のとろけた表情が近づいて、甘酸っぱいのにねっとりした文香の汗やよだれの匂いにくらくらしかける。歯を食いしばって気を引き締める。勃起ペニスを作りあげて、文香からスカートと下着を脱がせ――彼の小さな手であっさり脱がされてしまうことが、彼女の答えだった――へこへこ揺れていた下腹に押しつける。

 

「あっ……う、ぅ、ナオヤ、くん……♥」

「誰がいじわるだって?」

 

 文香の背中か腰がぴくりと弓なりになって、彼のペニスに柔肌を押しつけかえす格好になる。すでに膣肉が引きつったりにちゃにちゃ水音をささやかせたりしている。なおも拒もうとしている太ももの痙攣は、何かの発作に襲われているようにひどい。

 

「気持ちいいだろうなぁ……きゅっ、きゅって締めつけてきて、僕のおちんちん、すぐどぴゅって出しちゃうんだ……」

「な、中出し、ダメ、ぇ……そんなこと、されたら、私……子供、できちゃ……ぁ……♥」

 

 いつからか、文香が示す妊娠の危惧が形だけになっていた。彼の精液では妊娠しないと信じているのか、単にピルでしっかり調整するようになったのか。

 

「っきゃあっ♥ ち、ちくび……ンああぁああ……っ♥」

「子供できたら、お乳、飲ませてね」

「き、きもひ、ぃ、イク、いっちゃう、のぉ……だめ、だぇですぅ……!」

「……あんまり拒まないで、本当にいじわるしたくなっちゃう」

「や、やらぁっ……あ……あ、あっ、あ、だ、めぇっ、来るっ……」

 

 彼がゆっくりと文香の両ももを開けさせ、ペニスで恥丘をぐにぐにこすりつけて焦らしてから挿入する。

 

「あっ……ぃ……お゙ぉ、おぉぉぉっ……♥」

「やば、もう、すぐ、出ちゃ……イッて、文香お姉ちゃんもっとイッて……!」

「や、ぁ……これ以上……お、おかしく、なっちゃぃ、ます……」

「そしたらもっとお腹いっぱいにしてあげられるから……!」

 

 正常位で見下ろす文香は、がくんとおとがいを反らせたり、あまりに強い快楽から逃げるようにぶんぶん首を振ったり、まぶたの裏に瞳を見え隠れさせている。けれど彼を受け止める体温や匂いがますます熱く甘く強くなる。

 

「あ゙っ、お゙ぉおっ♥」

 

 彼が絶頂の勢いに張り合うよう強く奥深く射精すると、文香がひときわ大きく体を波打たせながらのけぞる。膣肉が彼の精液をごくごく飲み干すように蠕動する。彼はペニスを奥に押しこんだまま腰を震わせて、何十秒もかけて精液を次々と流しこむ。人間の男ではとてもまねできない芸当だが、人間の女である文香が嬌声を乱高下させながら受け入れる。

 彼は息を荒くしながら、ぐったりした文香にのしかかる。汗でべとつく体をすりつける。どうにか硬いままに保っているペニスに、膣肉がきゅんきゅん吸いついてくる。

 

「んぢゅ、んぷ、ちゅう、んぷ、ぱぁ……ぁ、ああっ、ふみっ……ナカ、しま、ぁ……!」

「キス、しながら、おく……ぃ、いけません、から……ぁ、き、きもひ、ぃ……♥」

 

 キスしてきたのは文香だろう、という反駁が、絶頂と締めつけと体格差で封じられる。くちびるを奪われながら、文香の膣奥にペニスをむさぼられる。

 

「こ、この……いい加減に……僕……ぉ、俺を、なめるんじゃないぞっ……!」

「んひゅ、かは……ふ、ふか……ぁ、あッ、は、ぅ、ぁあぅ……っ!」

 

 さすがの彼も意地と活力が戻ってきて、文香の膣奥を小突き回す――「子宮までイカせまくって……きょうというこそ、俺なしでいられなくしてやる……」――文香が目を白黒させながら首をぶんぶん横に振る――「おっ、おぉ゙っ……♥ い゙っ……イクイクイクぅ゙……♥」――膣奥を隷従の快楽で灼かれながら、断末魔の声のように嬌声を吐き、愛液か失禁か何かで彼と彼女自身をぐしょぐしょに濡らす――「子宮だけじゃないぞ……そのインテリ気取りの頭も、イクことしか考えられないように……」――膣肉に引っぱられるように、腰も腹も胸も四肢もひっきりなしに跳ねて揺れて、彼とのあいだで汗がべちゃべちゃ鳴る――「ひゃひっ、くうっ……んひっ、もっ♥ もう、む、むりっ♥ おかしく、なっちゃ……!」――文香の哀願がむしろ彼に拍車をかける。

 

「ぁ、あ゙あっイグ……ま、またっ、あ゙、あ゙っ……♥」

 

 文香を狂わせんばかりに絶頂させて、彼はめでたく元気いっぱいになった。

 その元気でまずしなければならなかったことは、文香の壮絶な嬌声や淫臭について叔父や近隣住民の記憶を改ざんする催眠であった。

 

※

 

「……声が」

「何?」

「がらがらです……」

「うん、がらがらに聞こえる」

「どうにか……できませんか」

「……むり」

 

 どうにか意識を取り戻した文香は、まるで処女喪失の直後のようなおぼつかない足取りでシャワーを浴び、着替えて、化粧を直し、アイドルらしい体裁を取り戻した。しかし声はなかなか戻せないらしかった。

 

「イカされまくっちゃうの、きつい?」

「……肉体的には」

「じゃあ……文香さんに誰か代わりを連れてきてもらおうかな、なんて」

 

 彼は自覚していなかったが、ここで彼は文香に「他の女を見ないでほしい」とほのめかしてもらうのを期待していた。

 

「みなさんもっとお忙しいですよ……アイドルですから」

「……文香さんってお仕事関係以外に友達いないの? 大学で何してるの?」

「田舎のおじさんおばさんのようなことを言わないでください……」

 

 自覚しないまま期待外れを食わされ、彼の言葉がとげとげしくなった。

 

「……アイドルだとごまかす必要のある人目も増えて、ナオヤくんが余計に疲れますよ」

「あーそれキツ……えっ」

 

 とげの先がぽっきり折れた。

 

「それに……うっかり事務所に近づこうものなら、芳乃さんや茄子さんにお祓いされてしまうかも」

「えっえっ」

「もしかして、神田明神やニコライ堂にも近づかないほうが……」

 

 彼は文香と2人きりなら“この姿でも前より楽”になっていた。その一因が、文香からそういう存在であると見做されて――つまり、淫魔と知られて――いたことだと気づいた。

 

(おしまい)


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