ここに置いておくぜ
他では読めない
わたしは大妖精。妖精の中でも破格の力をもつ存在だ。とはいえ氷の妖精チルノほどではないので、腹は立つがチルノに対してはいつも下手にでてやっている。
やることもないので湖の上をふよふよ漂っていたら、一緒にいたチルノの野郎が変なことを言い出した。
「ねえねえ、だいちゃん、こないだ蛙を凍らしてやろうと思ったらね、二匹が重なり合ってたの」
あーそうですか。馬鹿の相手は疲れる。
「だいちゃん、あれなにやってるか知ってる?」
まーいつものことだ。めんどくさかったので適当に答えてやるか。どうせ教えてやっても明日には忘れるんだ。ちょっとよそいきの声で可愛らしくにっこりとほほ笑んで、馬鹿に嘘を教える。
「あのね、チルノちゃん。あれはカエルがプロレスごっこしてるのよ」
「へープロレスごっこ!?」
「そうなの。だからあんまり邪魔しちゃだめなんだよ」
「ぷっ、クスクスクス、ゲラゲラゲラ」
あろうことか脳みそ氷漬けのこの馬鹿はわたしを指さして笑いやがった。
「だいちゃんもモノ知らないね―」
なんだと。おめーが知っててわたしが知らないことなんてこの幻想郷のどこにもねーわ。
まあ下手な口を聞くのはまずい。妖精としての力そのものはチルノのうすら馬鹿の方が強いから、考えなしに怒らすとわたしが氷漬けにされる。何度かやられたがあれは寒いわ冷たいわ屈辱的だわでご勘弁願いたいものだ。しょうがねー、話あわせといてやるか。
「えーそうなのー? プロレスごっこじゃなかったんだー」
ちょっと棒読みになったがあまり気にするまい。どうせ気付かん。
「だいちゃんは大妖精とかいっちゃって、脳みそはちいさいんだねー」
うわー煮えたぎったお湯の中に放り込みてー。地獄の温泉にでも叩きこんでやりたい。
馬鹿はけたけた笑っておなかを抱えている。くそが。
「だいちゃーん、あれはねー、コービっていって子供つくってるんだよー」
「へー」
あんまり真面目に相手することもあるまい。しかし誰から聞いたんだろう? 今まで聞かれるたびにプロレスごっこだの、お母さんが子供をおんぶしてるだの、思いつきのまま答えてやって、それで納得してたのに。
「チルノちゃん、それ、だれに聞いたの?」
興味が湧いたので尋ねてみた。
「今日ね―、あの、えーとなんだっけ、名前忘れたけど黒い衣装きた人間いるじゃん、ホーキに乗っているやつ。あいつに聞いた」
魔理沙か。ほんとろくなことをしない。チルノに知恵をつけるとたいていわたしが迷惑をこうむることになっているというのに。
「へー、あれって子供つくっているんだー。ところでチルノちゃん、また里におりて人間をからかおうよー」
話を変えないとどんな災難がふりかかるかわからない。
「だいちゃん、それよりもっとおもしろいことがあるよー。もしね、もし、あたいたちの間に子供ができたらすごいと思わない?」
ほーらそうくると思った。前にババア妖怪に嘘をふきこまれた時も同じようなことをいってわたしのファーストキスを奪いやがったんだ、こいつ。いや別に妖精だからそんなことはどうでもいいんだけどね。
「あのね、チルノちゃん、妖精同士は子供はつくれないんだよ。それに子供を作るには男と女がいるけど、わたしたち妖精にはそんな区別ないからだめだよー」
「ぷーくすくす」
またわたしを見下して笑いやがった。
「あたいは天才だから裏をとったんだよー。あの後、えーとまた名前忘れたけど、ちょうど湖のそばを歩いていた兎さんにきいたらねー、妖精同士でもコービすると子供が生まれるって言ってた」
てゐか。あいつは息を吐くように嘘をつくからな。あーほんとに面倒なことになってきたぞ、これは。なんとかごまかさないと。
「えーとね、チルノちゃん、実はわたし知っていたんだ。妖精同士の子供の作り方って、こうするんだよー」
わたしはそう言って馬鹿氷《ばかごおり》の手を握って握手してやる。
「こうやってね、三回振ると、五十年後に子供が生まれるの」
「ケタケタケタケタ。だいちゃんってほんとにおこちゃまなんだねー。なんにも知らないんだから」
腹抱えて笑ってやがる。うぜえ。
「へへーちゃんとやり方も詳しく聞いてきたんだ―。あの兎さん、とっても親切でね、手ごろな大きさの氷を作って練習してみなさいって。兎さんに会えてラッキーだったなーあたい。いろいろやり方聞いたんだよ―」
わたしに力があったらあの兎の皮剥いでやりたい。
「だいちゃん、まずね、あたいとだいちゃんとでくっつくの」
「駄目だよ、チルノちゃん、冷たいからわたし凍っちゃうよ。わたしたち友達じゃないの。友達を危険にさらしちゃいけないんだよ」
「兎さんは危険日の方が子供つくりやすいって言ってた! それに凍るほど冷たくしないよー。ちょっとひゃっこい程度にするから。ね?」
なに言ってるんだこの馬鹿。脳みそ溶けてるんじゃないのか。いや凍ってたんだった。くそ。いつか目にものをみせてやる、あのいたずら兎め。しかしこといたずらということになるとあいつの右に出るものはいねーからな。えーりんに告げ口するのが一番だろう。
「あのねー、チルノちゃん? き、今日はわたし体調が悪いからいやだなあ。また今度に……」
「イヤヨイヤヨも好きのうちなんだよー」
わたしはツンデレじゃない。いやまじでやめろこのすかぽんたん。
しかしチルノに力でかなうはずもなく、わたしはチルノの冷たい体に抱きとめられてしまった。
「まずね、ちゅーから!」
むりやり唇を奪われた。セカンドキスも……この子に、奪われちゃった……。 キスするならリグルちゃんって決めてたのに。馬鹿ぁ……。あ、舌が、入ってきちゃう……。やめてやめてやめて! でも、チルノに体の自由は完璧に奪われて、……わたし、されるがままだ。食いしばってた歯を緩めてしまう。チルノの舌を受け入れる。粘膜と粘膜が唾液にまみれてねっとりと絡み合う。
この舌の動き……躍動感を伴ってまるでわたしの口の中でダンスを踊っているよう。何このリズム感……ありえないよ……ひんやりとした感触がこの世に生まれてから初めての感覚をわたしにもたらす……。チルノの冷たい舌が、わたしの舌とからんで、くちゅ、くちゅ、といやらしい音をたてた。ん……体の力が抜けていく。やだ。なんか、下半身が、じんじんする。下着が、ぬれちゃうよお。
ぷはあ、とちチルノがわたしから口を離す。
「うーん、ちゅーって難しいねー息できなくなるもんねー」
感じてしまった。チルノの顔が、なんだか、今はとても愛おしい。
「ね、チルノちゃん、もう、やめよ。イケナイことだよ、これ。ね、これで終わりにして、人間たちをからかいに行こうって……」
「だいちゃあん、あたい、変な気分になってきて……駄目だよお、もう止まらない」
チルノはとろんとした顔でそう言った。そしてわたしにちゅ、ともう一度キス。あん、やばい、これ、そろそろやめないと。
「お願い、チルノちゃん、わたし、いやなの……ぐすん」
「だいちゃんの泣き顔ってかわいい……」
あ……。わたしのあそこが、じゅくじゅくしているのを感じた。
いやらしい氷の妖精はわたしの背中にまわり、力の限り抱きしめた。痛い、痛いというよりも冷たい。
「チルノちゃん、冷たい冷たい冷たいよ~~」
チルノはわたしの耳たぶをぱくりと噛む。チルノの舌先が、わたしの耳たぶをちろちろなめる。ぞくぞくっと震えがはしる。やだよお、わたし、今下着はいてるのに、きっともうびしょびしょに濡れちゃって、溢れてるよお。
気がついたらわたしの自慢の羽はすでに凍らされていて羽ばたくこともできない。チルノが手を離したら湖にまっさかさまだ。妖精だから死なないけど。それにしたってもうこうなると抵抗の仕様がない。ううん、本当は、もう抵抗する気なんて、なかった。
美しい氷の妖精は後ろからわたしの服の下に手をつっこんでいく。
「チルノちゃん、やだお~、冷たいよ~」
「へへへ、チルノちゃんは素手で『ないんは~ふごっこ』ができていいねって兎さんが言ってた」
チルノの手がわたしの乳房にさわる。ああ、ひんやりして、いい気持ち。初めて、他人に触られた。その手の動きはとても繊細で――
ぷにぷにぷに。
「も、もまないでぇ…… ふゃあああああ」
ほんとはもっと揉んでほしいの。その冷たい手で、わたしのおっぱいを、やさしく、やさしく揉んで。チルノの、好きなように、していいよ。
チルノの指先がわたしの乳首を弄ぶ。
くりくりくり。
その衝撃的な快感に、びくんと背中が反り返る。
「あん……だ、だめえ……。ん、うう、ふにゅううう」
もはやぶりっ子する余裕もない。時にはやさしく。時には強く。わたしの乳首はチルノにいいようにあそばれている。その刺激はわたしの脳みそをぐちゃぐちゃにかきまわし、その冷たさはわたしを快楽を求めるだけの淫乱妖精にしてしまった。もう、わたしはチルノの遊び道具になってしまったんだ。
「だいちゃん、ここ、かたくなってるよ」
「そんなこと……い、言わないでえ」
チルノに触られて……わたしの乳首は痛いほどかたくなり、そしてもっと、もっと、いじめてほしいと叫び声をあげていた。
チルノは次に、人差し指で、わたしの乳首を、まるで弦楽器を奏でるかのように強く早く弾《はじ》きはじめた。
ぴんぴんぴん。
痛い。痛いけど、気持ちいい。頭の中を快感の暴風が支配する。
「いや! そ、それは、だっめえ! だめ! だめ! 飛ぶ! 飛んじゃうよお!」
痛い。気持ちいい。痛い。気持ちいい。その痛みと快感は、わたしと世界を切り離し、わたしはただただ悦びの感情でいっぱいになる。
「へっへー。だいちゃん、なんか楽器みたい。さわるたびにいい声で鳴くんだもん。ふふふ今度はこっちー」
ついに、ついに氷妖精の手が今度はわたしの下半身に……。スカートをまくりあげ、下着の中へと……!
「や、やめてください、チルノちゃん。チルノさまあ。なんでも、なんでも言うこと聞くからあ、ひゃめてくだしゃいいい」
ぼろぼろと涙がこぼれる。だって、もう、ここは、びしょびしょで、下着なんかもうぐっしょりになっていて、わたしの中からあふれ出てきた液体は太ももまで濡らしてる。こんなとこ、さわられるなんて、だめ、だめ、だ、め、はずかしいよお……。
「うはああ、すごいよ大ちゃん……かわいいよ……すごい、びしょびしょ……かわいい……」
「かわいくなくてもいいから、や……め……て……」
あ、あ、ああ、あ、もう駄目だ、なんにも考えられない。
くちゅくちゅといやらしい音が湖上に響く。わたしの、お、おまんこの音が、湖に、響き渡ってるんだ。くちゅくちゅって。これじゃ、近くにいる妖精たち全員に聞かれちゃうよお。
「ほら。だいちゃん、ここ……すっごい溢れてる。おもらししたみたい。ぬるぬるだよ」
「ふぇええええ~~~~ん。うわああああああああん。にゃあああああああ」
熱くて熱くてやけどしそうなほど熱いわたしのおまんこを、チルノの冷たい指が擦り続ける。チルノが手を動かすたびに、わたしの身体はびくびくと跳ねる。
「あれ? だいちゃん、ここに、なんか、あるよ」
「そ、そこはだめ! そこだけはだめ! 死んじゃうから! わたし、死んじゃうから!」
「妖精は死なないんだよ、だいちゃん」
チルノはえへへ、と笑ってわたしのそこを――。
「いやあ。クリは、クリはいや、死んじゃうもん。わたし死んじゃうもん」
チルノの指が、やさしくわたしのクリトリスを擦る。
チルノはわたしのうなじをゆっくりと舐めながら、クリトリスをやさしく、でも突然激しく、リズムを刻むようにこすりつづけた。
「ね、だいちゃん、ここ、剥いて、いい?」
「いやあ、だめえ。やめてええ」
わたしの顔は涙でぐしゃぐしゃ、おまんこは愛液でびしょびしょだ。
チルノが指を器用に使って――わたしのクリトリスの皮を、剥いた。
「ひっ」
叫び声を一瞬あげて、けいれんする。もう、この身体はわたしの身体であって、わたしのものじゃなくなってしまった。――じゃあ、なに? チルノの、玩具だ。チルノが飽きるまで、もしかしたらわたしが壊れるまで、チルノのいいようにされてしまう。
わたしの愛液でぬるぬるになったチルノの指が、クリトリスをこまかな動きで刺激した。
「……っあ! あんっ! ……っあぁぁっ!」
わたし、ここをさわられると、こんな声を出すんだ。きっと、いますごくやらしい顔をしてる。
そんなわたしの耳元で、チルノはささやいた。
「指、入れるね」
「だめえええええ!」
かまわず、チルノの指はわたしの割れ目をまさぐる。そう、そこ……。そこに、指を、入れるんだよ……。
ぬるり、とチルノの指が、わたしの中へ入ってきた。
「ぁひい」
息がとまる。
「すごい、中指が奥まで入っちゃった……ぬるぬるで、あつくて、ぬめぬめしてて。こうなってるんだあ。ひだひだが指にからまって変な感じ……あたい、いまだいちゃんの内臓をかきまわしてるんだね……すごいよだいちゃん、すごい、だいちゃんのここ、あたいの指を食べちゃってる……おいしい? あたいの指、おいしいの?」
「お、おいひいです。おまんこでチルノちゃんの指……食べちゃってる……チルノちゃん、冷たくて、激しくて、おいひいよお……」
ちょぷ、ちょぷ、ちょぷ。
チルノが指をピストンする。わたしの愛液が奏でる音。
駄目! そんなに深く入れたら……わたしのちっちゃいおまんこは、子宮まで、かきまわされちゃう……。わたしの中を、チルノが、犯している。わたしは、ぐちゃぐちゃに、いいように、思いのままに、犯されている。
「ねえ、だいちゃん、あたい、ここ、舐めてみたい」
「いやあ。絶対、いや。やめて」
口ではそういっても、心は違う。
舐めて。わたしの汚いおまんこを舐めて。ねえチルノ、その冷たくて柔らかい舌で、わたしのおまんこを、ぐっちゃぐっちゃのぐっちょぐちょにして。
チルノは体勢を変えてわたしを逆立ちさせるようにして太ももを抱えると――わたしのあそこに口をつけた。下着越しにキス。
「ひっ」
声がでる。チルノは口と手を上手に使ってわたしの下着を、――するりと脱がせ、ぽいっと投げ捨てる。
「だいちゃん、だいちゃんのここ、よく見えるよ。次から次へといっぱいお汁があふれ出てるよ。すっごいぬるぬるで光って見えるくらい。――じゃ、いっただきまあす」
あ。ついに、わたし、おまんこ、なめられちゃう。
チルノの舌が、わたしのあそこをキャンディーのようにぺろりと舐めた。
「ぁぁああん!」
声が出る。ひんやりして、やわらかくて。
「おいしいよ、だいちゃん。もっともっと、だいちゃんのお汁、飲みたいな」
ジュルジュルジュルジュル。
ぴちゃぴちゃぴちゃ。
チルノの冷たい舌が、規則正しく、時には不規則に、わたしのあそこを刺激していく。
「んは、ぁ、ぁあ、ああ」
声がひとりでに出る。もう、わたしは、おまんこの快感だけを求める、おまんこ妖精になってしまった。
ごくり。チルノの喉が鳴る音が聞こえた。
……あ、わたしのおまんこ汁、チルノに、飲まれちゃった……。
「へへへー、だいちゃんのこのお豆も、おいしそう」
「だ、だからそこはだめぇぇ……。死んじゃうよぉぉぉ」
「死んじゃうくらい気持ちいいんでしょ? あたいにまかせて!」
チルノの舌が、わたしのクリトリスをつんつんとつっつく。
「いや、ひん、ひん、ひん、ひん、ひん」
そのたびごとにわたしは卑猥な嬌声をあげることしかできなかった。腰が、ぴくり、ぴくり、と反応する。
「吸ってあげるね」
やん! だめ! だめだってば!
もう、声にもならない。全身を駆け巡る快感は、もう、わたしの世界のすべてになってしまった。
わたしのクリトリスが、チルノに、吸われる。舌で乱暴にかきまわされる。舌が、おまんこの中に侵入して中をぐるぐるぐちゃぐちゃにする。
「……! ……! …………!!」
ふちょ、ぐちゃ、ぶちょ。
このいやらしい音はチルノの舌だろうか、わたしのおまんこだろうか。
――ああ、もう、だめだ。死ぬ。死んじゃう。天国に、天国に、イッっちゃう……。
ホワイトアウト。
わたしは意識を失ってしまった。
どのくらいの時間がたっただろう。十秒? 一時間? 一日?
気がついたとき、チルノはまだわたしの股間に顔をうずめて、わたしの味を堪能していた。まだ? まだなの? そんな、限界を超えてるのに、まだ、まだおわらないの? もうほんとにほんとに駄目だ。こんなの、拷問だよ。気持ちよすぎて苦痛で気持ち良くてつらくて気持ちがいい。もう、わたしは、わたしは ――。
「だいちゃあん、おいしいよ、だいちゃんのお汁」
「……」
うれしい、と答えようとしたけど、声、でないや。もう、動いているのは脳みその快楽中枢だけ。あとは、しびれて、じんじんして、快楽以外のなにも感じなくなってる。悦楽の世界だけが、ここにある。
チルノはやっとわたしのおまんこを攻めるのをやめ、顔を上げて、そしてくすくす笑ってこう言った。
「これであたいのおまんことくっつけると、こどもができるんだって」
チルノは片手で自分の下着を器用に脱ぐと、それも眼下の湖に投げ捨てた。
そして――。
おまんことおまんこがくっつくように……。
わたし、知ってる。これ、貝合わせっていうんだよね。
わたしのおまんこと、チルノのおまんこが、粘膜同士が、くちゅっという音をたてて触れ合う。
ぐっちゅぐっちゅぐっちゅ。
くっちゃくっちゃくっちゃ。
わたしのおまんこと、ちるのおまんこが、ぬるぬるって、にゅるにゅるって、擦れてる。
「へへ、だいちゃん、きもち、いいよ」
ちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷ。
わたしのクリトリスと、チルノのクリトリスが、擦れて、擦れて、あ、あ、あ、だめ。
もう、だめ。また、イッちゃう。飛ぶ。飛ぶ。飛ぶよお。
「チルノちゃん、わたし、し、しんじゃうかも」
「だいちゃん、あたいも、気持ちいい。なんか、どこかに、どっかに、遠くに飛んでいくよお」
「チルノちゃあん」
「だいちゃあん」
「イク! イク! いっちゃうよお!」
「だいちゃん、いっしょに、あたいもいっしょに、いこ? 飛ぼう?」
「…………………………!!!!!!!!!!!!」
そしてまた、ホワイトアウトした。
気がつくと、わたしたちは、気を失ったまま、湖のほとりに降りたち、抱き合っていた。
チルノも目を覚ましたようだ。
真っ赤にほてった顔で、口をだらしなくあけている。
「チルノちゃん」
わたしは言った。
「大好き」
「あたいもだよ、だいちゃん。元気な子供、生まれるといいね」
わたしは思わず笑ってしまった。なんてかわいいんだろう。不思議そうな表情をしているチルノの頭に手をまわすと、口づけをした。たっぷり愛情のこもった、素敵なキスだった。
がさり、と物音がした。はっとして辺りを見回すが、いるのは動物とチルノよりもっと頭がからっぽな妖精たちばかり。
毛玉に、カエルに、鳥に、ティッシュペーパー、野良犬に野良猫に、狐。
……ん? 狐? 遠くにいるあの狐、なんで野良猫の目をふさいでいるんだ? なんかこっちを睨んでいるし。あれ、あの目、すごく怖いんですけど。
ものすごく禍々しいオーラを見せていらっしゃいますし。
狐にしてはありえないほどいっぱい尻尾生えているし。
「天気が良かったからたまに湖畔の散歩でもしようと来てみたら……貴方達……私の大事な大事な橙の目の前で何やってるのかな? 橙はまだ子供なのだよ?」
結構距離があるのにドスの聞いた声がわたしにまで聞こえる。
「ちょっと! チルノちゃん! 離して! やばい! ほんとにやばい!」
「ん~なにが~?」
きづいちゃいねえ。ああ、これは、終わったかも。
八雲藍が、スペルカードを宣言した。
『式輝「四面楚歌チャーミング」』!!!!!!
私達は完膚無きまでに雲散霧消し、復活するまでに丸三日かかった。
†
今日もわたしたちは湖の上をふわふわ漂っている。平和な一日だ。
復活したチルノは、あの時のことをすっかり忘れてしまったようだ。⑨ってうらやましい。
兎の野郎のことは、けーね先生にお願いして、えーりん先生にちくってもらった。いまごろ新薬の実験台になっているはず。ざまあ。
「あ! だいちゃん見てみて!」
わたしのとなりで浮かんでいたチルノが湖岸を指さした。
「カエルが重なってるよ! あれ、なにしてるだろう」
「あれはね、組み体操の練習してるんだよ」
「へー、カエルも運動会やるんだー」
今日も平和だ。
〈了〉