男は浮気をしていた、一度目は妻にバレたが、それからは注意していたのでバレていなかった。
 その日、男と愛人が一緒にいるとき部屋に数人の男たちが入ってきた。
 驚く男に、あなたはウィルスに感染していますと告げられて男は驚いた。
 それだけではない、彼と関係を持った女性が亡くなったという。

 「奥さんの承諾があれば今すぐ、ご主人は」
 病院の部屋に隔離された男は自分の状況が理解できない。
 だが、それは仕組まれた身売りだった。
 男は自分の両親に妻に。
 そして妻に恋した医者に。


「笑う人々(モニター越しに)そして夫婦と愛人と親子のざまぁ」
を医者の恋を絡めて書き直しました。



1 / 1
妻に、両親に見放され売られた男と医者の恋 

 モニターを見ながら、女が楽しそうに笑っている。

 独房という部屋に案内されたときの男の表情は見物だった、最初は出してくれ、説明させてくれ、家族や友人が心配している筈だと繰り返し叫んでいた。

 隔離されて一週間が過ぎた、白衣の医師が部屋を尋ねてきた。

 「亡くなりましたよ、あなたの恋人が」

 恋人と言われても男は不思議そうな顔をした。

 「ああ、そうでした、恋人ではなく、愛人でしたね」

 その言葉に男は信じられないという顔で医師を見た、嘘だと小さい呟きを漏らしたが、では確認しますかと医師は数枚の写真を胸ポケットから取り出し、ベッドのそばのサイドテーブルの上に置いた。

 「嘘、だ」

 信じられないという顔で写真を見た男は医師を見ると、こわごわと尋ねた、自分も死ぬのかと。

 「今、あなたの症状は薬の投与で押さえています、二日に一度、ですが、それがなくなれば症状は進みます、確実にね」

 「そんな」

 「ここから出たいなら止めません、ですが警察に掴まるてだしょうね」

 「牢に、閉じ込められるのか」

 とんでもないと医師は首を振った。

 「射殺でしょう、接近しウィルス感染したら大変ですから」

 

 

 大丈夫だ、妻は僕たちのことには気づいていないし、今日は夕方までは帰ってこないからね。

 男の言葉に愛人は安心したように、服を脱ぎ、ベッドに潜り込んだ、続いて男も裸になると女の体に抱きついた。

 付き合い始めて半年程が立つがたつが、体の相性は抜群だ、それに美人だ、妻との離婚を考えてしまうのも当然のことかもしれない。

 行為の後、彼女は自分を誉めてくれるのも今まで付き合った男とは違うと、そんなところも気に入っていた。

 

 「あらっ、今、物音がしなかった」

 男は驚いた、まさかと思いながら服を着ようとしたとき、いきなりドアが開いた、だが入ってきたのは妻ではない、数人の男性だ。

 「な、なんだ、君たちは人の家に、勝手に」

 「いました、行為に及んでいたようです、今からレベル確定を」

  若い一人の男がいきなり男に向かってベッドに腰掛けるようにと声をかけた、女にもだ。

 もしかして泥棒かと思ったが、違うと思ったのは態度と服装だった、裸のまま、ベッドに腰掛けた二人の男女は困惑したのはいうまでもない。

 

 そのとき、どうぞ、奥さんと男が部屋の外に声をかけた。

 部屋に入ってきた妻の姿を見て夫と愛人の二人が顔色を変えたのはいうまでもない。

 だが、浮気の現場を見て普通なら怒る、泣く、罵倒するなどの感情表現がないことに男は驚きというよりも不気味さを感じた。

 入ってきた妻に男性が話しかける。

 「奥さん、あなたの許可と承諾さえいただければ、今からご主人を、その際の手続きもこちらで行います」

 「な、何を言っているんだ」

 男は妻と話している白髪の男性に向かって叫んだ。

 「ああ、失礼」

 妻と話していた男性は男に向かって軽く手を振った、すると男のそばにいた若い男性が我々は管理局の者ですと説明を始めた。

 「あなたは以前、外国人の女性と関係を持ちましたね、企業接待という名目ですが」

 愛人と妻のいる前で、その質問はと思ったが、部屋の中の空気と自分に向けられた視線に耐えられなかった。

 「実は、その外国人、あるウィルスの保菌者なんですよ、そしてあなたは、今の愛人と出会うまでにも他の女性と関係を持ったようですね」

 名前を出されて男は渋い顔になった。

 「夫の会社で働いていた女性だと思います」

 そのとき、妻の言葉に男は、何故、口を出すんだと言わんばかりの表情になった。

 「亡くなりました、あなたとの接触が原因です」

 ご覧になりますかと男が胸ポケットから一枚の紙、写真を取り出したが、それを見た男と覗き込んだ愛人の顔色が変わった。

 「濃厚接触で感染するんです、このウィルスは海外から持ち込まれたものですが、どうしました」

 あたし、死ぬのと愛人が叫んだ

 

 一体どういうことだ、自分がウィルスの保菌者、そして感染した女性は死ぬだと、信じられない、男は呆然とした。

 目の前で起きている、自分に降りかかった出来事が信じられなかった、まるで自分が映画、ドラマの主人公になった、そんな気分だ。

 離婚はまぬがれないだろう、別れた後、自分はどうなると思い、妻にこえをかかけた。

 自分を、夫を見捨てるのかと。

 すると、そんな選択はないですと白髪の男が言った。

 「あなたは、これから病棟に隔離されます、このウィルスの存在を世間から消す為に」

 「家族は、両親がいるんだ」

 すると男は首を振った、答える気はないらしい。

 

 「あ、あたしはどうなるの感染してるの、死ぬなんて嫌よ」

 「どうでしょう、先生」

 若い男が女性を見る、その表情、視線に女の顔色が一層、青くなった。

 「私たちの仕事は保菌者の確保だよ」

 それ意外は関係ないというより、興味がないと言いたげな男は、奥さんと声をかけた。

 「奥さん、ご主人に最後に何か言いたいことは、最後ですから」

 男の言葉に妻はそうなんですかと不思議そうに尋ねた。

 「ええ、病棟施設に入ったら出ることはないんです」

 

 この瞬間、男の体、足が震えた、妻を見る視線は助けてくれといわんばかりの、すがりつくような視線だ。

 突然、叫び声を上げて女が部屋から飛び出した、若い男が慌ててた追いかける。

 「可哀想に」

 妻の呟きから感情が読み取れず、自分の膝が震えていることに気づいた男は唇を噛んだ。

 言葉が出てこなかったのだ。

 

 

 「ニュースに出てたよ、飛び込みらしい」

 その日、病室に運ばれた男は自分の元愛人が自殺したことを知って驚いた。

 信号待ちの歩道で、突然、奇声をあげて車の前に飛び出したというのだ。

 「女性が感染すると脳に異常をきたすんです」

 説明されても頷くしかできなかった。

 自分は、ここから出る事はできない、ずっと、一生、いや、死ぬまでだ。

 

 「あたし達、悪いことをしたのかしら、たった一人の息子を」

 「やめろ、会社には大勢の人間、社員を犠牲にはできないだろう」

 夫の言葉に妻は頷いた、自分の一人息子が外国の公人に見初められて、欲しいと言われた時は驚いた。

 現在、夫の会社は経営が苦しい、家族経営、小さな会社なら諦めもつくが、そうではない、大きな会社だ、社員だけではない、取引先にも色々と世話になってきた。

 そんなとき、援助するという話を持ちかけられた、その見返りとして息子が欲しいと言われたのだ。

 息子と結婚したいというなら話はわからないでもない、だが、相手の女性は笑った。

 「彼とのセックスは刺激的だったけど、ああいう男が」

 英語ではない、どこの国の人間だろうかと夫婦は通訳の人間に何を言っているのかと尋ねた。

 だが男は答える代わりに、この取引はあなたの会社だけでなく、あなた自身にもプラスになる筈ですとにっこりと微笑んだ。

 「実は息子さんの奥さんにも話を通してあります、承諾してくれましたよ」

 結婚して半年後に浮気、最初の一回目は許したらしい、だが、その後も隠れて息子は数人の女性と関係を持っていたらしい。

 妻である彼女も愛想が尽きたのだろう。

 

 「ああ、信用して貰うのが先ですね」

 二ヶ月あまりで会社の運営、下り坂を滑るように落ちていた業績が立ち直ったときは信じられなかった。

 そして目の前に積まれた代償に二人は驚いた、人世の半分をすぎた老夫婦には十分、使いきれないほどの金だ。

 これは自分が見せる誠意なのだから遠慮しないで受け取って欲しいと言われて老夫婦は驚いた。

 そして、もし息子をくれるなら、これ以上のものを用意すると言われて無言になった。

 二人の背中を押したのは息子の嫁だ。

 息子一人、でも会社で働いている人たち全員と引き替えにしたら、どちらが大切です。

 義理の娘の言葉に夫婦二人が決断を下したのは当然かもしれない。

 

 浮気者の男だが、ウィルス感染、病気などの言葉をあんなにも簡単にあっさりと信じるとは思わなかった。

 だが、これも日頃の行いのせいだろう。

 性病にかかったこともあるようなので無理ないのかもしれない。

 海外出張でも、あちらの女性と楽しんでいたらしい。

 そんな男を愛せるだろうか、いいや。

 モニターに映る部屋の中、元、夫の姿を見ながら女はなんともいえない気分になった。

 愛していたから結婚した、それなのに今、自分の心の中にはわずかな愛情さえも。

 

 部屋に入ってきた男がモニターを見ている事に気づき苦笑した。

 「気になるのかい」

 少しだけと女が呟く、それは嘘ではなかった。

 静かな声で呟いた男は尋ねた。

 「抱きしめてもいいかな」

 ほんの少しの沈黙の後、女は返事の代わりに頷いた。

 

 白髪の男、医師は彼女が訪れた産院の医師だ。

 医師は恋をした、一目惚れといってもいいだろう。

 子供ができないことを気にして訪れた女性にだ。

 だが、彼女が通院、子供ができないこと、悩みを聞くうちに気持ちは傾いていく。

 医者という仕事は様々な職種、色々な人間と繋がりがある。

 好きな女性ができた、だが人妻だと悩みを知人に打ち明けた。

 

 しばらくして知人が連絡してきた、彼女の夫という男のことを調べたらしい。

 妻に隠れて浮気、あれは病気だ、どうしようもない男だと。

 結託、共謀、力を合わせれば可能だと言われて医師の心は傾いた。

 

 最近、若者だけでなく、梅毒が流行っている、薬を作るためにもサンプルは必要だ。

 死なせるのは簡単だが、それでは医師である自分の気持ちが許さない、だから薬、役にたってもらうのだ。

 そうすれば自分の、いや、彼女の気持ちも楽になるだろう。




以前書いたものですが、タイトル、設定、内容を変更。
恋愛に書き換えました。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。