ワダツミという海上都市は、不思議なところだ。
メガフロートによる海上都市の実現やUMIマシンによるジェットバトル、果てはアイネスやナハトのようないわゆるアンドロイドの存在など根拠を示そう思えば枚挙に暇がないが、それにも加えてなんか世界線がトチ狂ってる、という点も無視できない。
KIRISHIMAのコーチとしていろんなチームやそれ以外女の子たちとの交流がある俺だが、現実としてそれ以外の子たちとの関わりもそれなり以上にある。
……「それ以外の子」というのが一般ワダツミ女子だったら何の問題もないのだけど、なんかあからさまにそうじゃない子たちもそれなりに出くわしているのだから処理に困る。
ニンジャだったり、リゾート島でビーチバレーとかしてる子たちだったり、三国武将の魂を宿した子たちだったり、悪魔だったり奏者だったり悪魔みたいな名前の宇宙人だったり、みたいな子たちがポンと現れることもある不思議な都市だ。
そういう訪問者の子たちもなんだかんだでワダツミでの滞在を楽しんでジェットバトルも嗜んだりしてくれてきたから別に問題は何もないのだけれど、この調子だとこれからもいろんな子たちがこの都市を訪れることになるんじゃないかな、というのはさほど突飛な発想でもないだろう。
だから、その中に錬金術士が加わっても何ら不思議なことはなく。
これまでの女の子たち同様、この世界の基準に沿った、いわゆる貞操逆転女子だったとしてもなんらおかしくはないわけで。
◇◆◇
「わぁ……! コーチさん、アレなに!?」
「えーと、アレはだね……」
ワダツミは、人類の最先端と言っていい都市だ。
技術的には安定に至ったものが使われている部分も多いが、海上に人の生存圏を一から作るという、地球ではなく文明そのものに由来する土地というのは十分すぎるほどに新しい。
多くの人が生活するために必要なものは大体揃っていて、しかも割かし新しい。
それは、数百年レベルで昔の文明の世界からやってきた人の目から見れば、とんでもないものに映ることだろう。
「なるほど、決められた道の上を人や物を乗せて走る、鉄道……! 便利そう!」
「便利だよー。早くたくさん運べるからね」
KIRISHIMAのコーチ業がない日に、ワダツミの街並みを案内しているこの少女。
過去に何度かあった別の世界から迷い込んだというタイプの子であり、例によってKIRISHIMAで面倒を見ることになっている。
名前は、ライザリン・シュタウト。通称はライザ。錬金術士だという。
これまた例によって元の世界では普通に使えていた特殊な力が使えなくなっているとのことだが、それでもめげることなく一緒にこの世界を訪れた友人のクラウディア・バレンツとともにたくましくワダツミ生活を楽しんでいる。
これまでの例からしても、数日ワダツミに滞在したらなんだかんだで元の世界へ戻れるだろうとは思うが、そこは錬金術士のサガというか。この世界のことをできる限り学びたいと申し出てきたので、俺がこうしてワダツミを案内することに相成った。
ライザの元いた世界はいわゆる中世的というかファンタジー的なところらしいのに加え、錬金術士として色々なものを作ることができる力を持つためにこの世界の文明に由来するあれこれに対する好奇心がとても強い。
なので、街中をあちらこちら巡りつつ目に入って気になったものを聞かれては答えていく。そういうことを、何度か繰り返していた。
「……あっ、ごめんなさい、コーチさん。私、つい夢中になっちゃって」
「大丈夫大丈夫。ライザと一緒にいるのは楽しいから」
「ふえっ!?」
錬金術というのがどういうものなのか、についてはライザの元いた世界による部分もあるだろうなと思っていたが、どうやら巨大な鍋に素材を放り込んでぐるこんぐるこんすると目的のものができるらしい。ぐるこんとは一体。
ともあれそういう、職人というか技術者というかそういう側面が強いようで、この世界のものを見聞きすることは錬金術の参考にもなるらしい。あちらこちらをめぐっては、目に映る未知のものをすいすいと吸収して帰ってからの糧とする。そのための解説会が、このお出かけだ。
「ま、またまた~。そんな、デートみたいな……」
「俺は、ライザとデートしてるつもりだよ?」
「……ぐぅっ!」
ただまあ、一つ。
ライザはもちろん、これまでワダツミを訪れた異世界からの来訪者たちがことごとくそうであったように。
……どうも、向こう側の世界も貞操逆転してるっぽいんだよね。
今も、こうして一緒に出掛けるライザの挙動のなんとも言えない童貞ならぬ処女臭さ、まるでワダツミに来たばかりの頃のドルフィンたちのようだ。
「し、信じられない……! 入華たち、こんなエロい男の人と一緒にいてどうして平気なの……?」
「ライザ、どうしたの?」
「う、ううん、なんでもないなんでもない! ……あっ! あの建物は何!?」
時折ぶつぶつと小声でなんか言ってるのも、出会ったばかりのころの杏里さんを思い出すムーブだ。
ともあれ、そんなライザのワダツミ滞在が少しでも楽しく良いものになるように、俺はできることを最大限やってあげたいと思っている。
気になると言ったことは調べてでも教えて、美味しいものを食べてもらって、ここでしかできない体験もたくさんしてもらえたら、それが一番うれしい。
だから。
「あの建物は……うん、ちょうどいいかな。せっかくだし、行ってみようか。結構歩き通しだったし、あそこで少し『休憩』しようか」
「へー、休めるところなんだ? うん、行ってみたい!」
知らずに指さしてしまうほど、目に付くのもむべなるかな。
一見普通のビルのようで、でも看板がついていて、それ以外にも色々と、「お城みたいな装飾」がついているホテルにも、やっぱり一度くらいは行ってみるべきだろう。
◇◆◇
「らぶほてる?」
その建物は、コーチたちが住んでいる部屋の集合、アパートやマンションと呼ばれるものに似た構造をしていた。
大きな建物の中にたくさんの部屋があり、ベッドや風呂場など寝泊りに必要なものが一通り揃っている。
それでいてキッチンなどはなく、生活を営めるほどではない。要するに宿屋のようなものなのだということは入ってすぐに知れた。
ここ数日ライザとクラウディアが泊めてもらっているところも同じようなものなのでその点については理解に苦しまなかったが、とはいえ同じものとは思えなかった。
受付から部屋に至るまで、誰にも出会わない。無人のままにやり取りが完結するようになっていたのは、どこか秘密の匂いがする。
部屋に入ってからも、ライザたちが寝泊まりしている部屋とは明らかに空気が違う。
ランプもなしに照明が使い放題なことにはいまさら驚かないが、どこか控えめな光量と大人しい色合いからは、部屋の雰囲気をしっとりと落ち着かせるような気遣いが感じられた。
それでいて、部屋の作りと家具にはどこかちぐはぐさがある。
部屋の片隅にシャワールームがあるのはいい。お湯を使い放題というこの上ないありがたさはここでも健在で、しかしどういうわけか壁がガラス張りだった。あれではシャワーを浴びている姿が部屋から丸見えになってしまうだろう。
では、複数人が使うことを想定していない部屋なのかといえば、それも否定される。
ベッドが、大きい。
おそらくあれがこの部屋の要。明らかに一人で寝るのには大きすぎるベッドに枕も2つ。
どう見てもこの部屋は一人で使うものではなく、事実ライザはコーチと一緒に入ってきた。
その疑問をそのまま問いかけると、帰ってきたのが先の言葉。この建物は、そう呼ばれているのだという。
「平たく言えば……子作り用の宿、かな」
「ああ、子作り用。だからあんまり人目につかないようになってて、部屋も……二人で……使うベッド、が……!?!?!?」
錬金術は、ライザの世界においても稀有な技術だ。
そもそも実行のためには生来の資質が必要とされる上、それを持つ人の総数が少ないため教わることも難しい。
ライザはアンペルという得難い師匠との出会いがあったから錬金術士になれたが、直接教わったことはほとんどない。
錬金術士に必要なのは、思考と閃き。
普段から目に映るあらゆるものを素材として捕らえ、観察する。
作りたいものをイメージし、それを実現するために必要な素材の組み合わせをつなぎ合わせる閃き。それこそが錬金術士の本質だ。
そしてライザはまだまだ成長途中とはいえ錬金術士。
「明らかに他の建物とは違った風情の外観」。
「入口から部屋に入るまで人との接触が最小限になる構造」。
「普通に寝泊まりするためではありえない部屋の作り」。
「コーチの言葉」。
錬金術のレシピを思いつくときにも似て、電流のような閃きがライザの脳裏を駆け抜けた。
この部屋に男女で入ったからには、ヤるべきことをヤらなければ出られない、と。
「あっ、あ、え……そ、そうなん、だぁ~。へぇ~!」
その瞬間、跳ねる心臓と暴れる血潮。
胸の中がバクバクとうるさく、絶対に顔は真っ赤になっていると、鏡を見るまでもなくわかった。
ライザは田舎育ちだが頭は決して悪くない。
「そういう」宿にコーチを、男を連れ込んでしまった形になっている今と、この世界のことを知らないとはいえ女である自分を平然と連れ込んだコーチという一人の立派な男性。それが何を意味するのか、意味していると期待していいのか、すぐに思いつく。
部屋の扉を開けたのはコーチ。ライザに先に入るよう促してくれて、自分が入ってから扉を閉めたのもコーチ。今は、ライザの後方にいる。その気になれば逃げだすこともできる位置で、しかしそんな気配は全くない。
「合意」の二文字が頭の中をびゅおんびゅおんと駆け巡っているのを感じる。
どうしよう、と迷う。
このままコーチに背を向け続けるというのも不自然な話。振り向いて話を続けるのが当然のこと。
だがその時、コーチの顔にはどんな表情が浮かんでいるのか。
ゴリゴリの処女であるライザには想像の遥か彼方にあって迷いが晴れず。
「――ライザ」
「ひぅんっ!? コ、コーチさん!?!?」
コーチが動く方が早かった。
肩越しにライザの前へと伸びる腕。そのままライザの体を抱きしめる力は優しく、しかしたくましく。
背中に感じる体温の温かさと耳の奥へ注ぎ込まれるような囁き声は、決して大きく強くはないはずなのにずくんと下腹に響いてきた。
「心配しなくていいよ。俺だって、何も考えずに女の子と『こういうところ』に来たわけじゃないから」
「ほ、ほんとに……?」
コーチの声は、決して大きくない。
だが密着と言っていい距離感であれば関係ない。
男性の低い声が、ライザの聴覚全てを揺らす。
その言葉の意味するところは、何もかもが女にとって、ライザにとって都合のいいもの。
言われるだけなら疑うしかないそれも、しかし後ろから、コーチから抱きしめられて言われるのであれば期待の深さが違う。
「本当に。……教えてほしいな。最初は、なにからしたい?」
「最初、は……」
ライザの脳裏をめぐる、いくつもの候補。そんなことを言われて期待するなというのが無理な話だ。
当然、年頃の女たるもの妄想力はたくましい。ワダツミに来て、コーチと出会い、想像を膨らませたこととて既に一度や二度ではない。
そもそも、コーチという男はよろしくない。何もかもが不用心に過ぎる。
ジェットバトルチームという女所帯にただ一人の男として属しながら、その若さ、鍛えた肉体のたくましさ、そして水上競技のコーチであることからくるだろう水に濡れることへの抵抗のなさ。
ライザもUMIマシンに乗ってジェットバトルの体験はさせてもらったが、コーチの指導の熱心さたるや、客席最前列から身を乗り出す勢いで声を張り上げてくるほどだった。
当然ジェットマシンが巻き起こす水しぶきを浴びることもあるが、そんなことにはかまわない。
その結果。
滴る水滴の眩しさ、肌に張り付く透けた布に浮き出る筋肉の起伏、口元をぺろりと拭う舌の赤さに何度目を奪われたことか。
濡れた前髪をかきあげるのは無限に見ていたいが真剣にやめてほしい。うっかり見惚れてUMIマシンの操縦を誤りかけたし、入華たちに「たぶん無理だけど集中しろ」と言われた意味を魂から理解した。
そんなコーチがこう言っている。
なに「から」したいかた聞くということは、「次」もあるということか。邪推は留まることを知らず、それでも万が一を考えて。
最初は絶対にして欲しくて、なおかつドン引きされなさそうな願いを口にした。
「キス、させてほしい……かな」
おずおずと振り向き、わずかに見上げるコーチの目。
嫌悪の色がどうかありませんように祈ったそこに恐れていたものはなく。
「いいよ」
「んんっ♡」
ジェットバトルのトレーニングで褒めてくれる時のような笑みと、唇の感触が返ってきた。
「んっ、んちゅ♡ れぇろ♡ はぁんっ♡」
いつ、コーチと向き合ったのか覚えていない。
だがそんなことはどうでもいい。コーチの首に回した両手を、少しも緩めたいと思わない。
背伸びをするのが辛いとか、疲れるなど欠片も思考に上らなかった。
ライザの、ワダツミ基準で見てもそれなりにある胸が当たってもぐにゅううぅと潰れても気にしないでいてくれる密着を、少しでも長く味わっていたい。
既に二人の間で交わされるキスは深く、一度も唇を離さず言葉も交わしていないのに当たり前のように舌を絡めるものになっている。
コーチの舌が歯列をなぞれば、ライザは歓喜に喉をならす。
唇を離し、舌だけを伸ばして空中で絡め合うのは楽しい。思わず笑いがこみ上げると、すぐ目の前でコーチも同じように笑ってくれていた。
それがあまりにも嬉しくて、離れていたくなくて、再び唇を重ねた。
お互いの口内で唾液の泡立つぐちゅぐちゅという音が頭に響いて愛おしい。
いつまでも聞いていたくて喉から甘えたような声が出てしまう。
コーチもコーチで、そんなライザを甘やかすように手で頭を撫で、腰をさすってくれるのだからよくない。そんなことをされれば、女としてはもう「全部イケる」と考えるしかなくなるのだから。
「ぷはっ♡ ……コーチさん、コーチさぁん♡」
「うん、いいよ」
コーチの体をまさぐりながら、甘えた声で名前を呼んだ。
シャツの下に指を這わせ、素肌の下で張り詰める筋肉の感触を楽しんでいるのに少しも嫌がる様子がない。マジでイケる。その確信がいよいよ固まり、ライザはコーチに全体重を預ける。
その先にはベッド。期待を裏切らず、二人そろってラブホテルの大きなベッドにぼふんと飛び込んだ。
「ねえっ、シたい♡ させて、コーチさん♡ 私の、お口でっ♡」
れぇろ♡ と口を開け、舌を伸ばして見せる。普通の男なら下品と目を逸らすだろうそれを、この人ならば喜んでくれるだろうと信じられるから。
「――脱ぐのを見たい? それとも、ライザが脱がせたい?」
「~~~~~♡♡♡ 脱がすっ♡」
それにしても、サービスがすぎる。
キスしている間中、服ごしに腹を突いてきていた熱を、好きにしていいと言ってくれるのだから。
絶対食べる♡ 全部飲む♡ という本能がハートの形となって目に浮かぶライザはもはやケダモノで。
「ああでも、せっかくだから」
「♡♡♡?」
目の前にぶら下げられた極上のエサを得るためならなんでもしてしまうだろう。
◇◆◇
「え、えっと……ほ、ほんとうにいいの……?」
「うん、いいよ。どーんときて、どーんと」
はぁ、はぁ、とライザの唇から熱と湿気を大量に含んだ吐息が止まらない。
目の前にあるのは、むき出しになったコーチの肉棒。ライザの顔より長いかもしれない。見ているだけで硬いのがわかる。頬が火照っているのは興奮だけでなく、コーチの放つ熱にあてられているからであることは、ライザにとって疑う余地がない。
女の人生を腹の底から全て塗り替えるだろう最上級が、触れることも貪ることもできる場所にあり、許されているというシチュエーション。早く味わいたいが、いつでも味わえるというこの瞬間をもっと楽しみたいとも思う。
しかし、そうとだけ思っていられない理由もあった。
ライザの目の前には、確かにコーチの肉棒がある。
だがさらにその先にあるのはコーチの腹と胸と顔ではなく、足。
物事には因果というものがある。
水が低きに流れるように、コーラを飲んだらゲップが出るように、ライザから肉棒と足が見えているのなら、ベッドの上で仰向けになっているコーチの目に映るものは。
「うおっ、でっか。むっちむち」
「ごっ、ごめん! 重かった!?」
「ううん、全然。気持ちいいよ。――逃げちゃダーメ」
「ひゃうんっ♡♡♡」
ライザだけで埋め尽くされる。左右の逃げ道すらありはしない。視界を埋め尽くす、メスの肉。
普通の男であれば悲鳴を上げて逃げ出す牢獄と言っていいそこを、コーチは楽園であるかのように楽しんでいる。
慌てて遠ざけようとするライザの尻に両手の指をぐにゅうと食い込ませて掴み、引き寄せる。
コーチの顔が、ライザの秘部で覆われる。
ライザはそれだけで腰が震える。喉の奥の奥から低い音を立てて息が漏れる。
触れたところから迸る快感、だけが理由ではない。
男の手で、むき出しの尻肉に触れられ、掴まれ、顔に向かって引き寄せてもらえる。それが意味する「肯定」が、女の欲望に火を点ける。
それこそ今日に限らず、コーチがライザたちにずっと示し続けてくれていた優しさと寛容。感謝しつつ享受していたそれが、よもやこれほどのものだったとは。
歓喜の震えが留まることはなく、ならば更なる最高を、目の前で天を衝く至上を、味わおう。
「あー……んむっ♡ ……んんんーーーー♡♡♡ じゅぶっ♡ じゅぶっ♡ ちゅううっ♡ ……ん、ん゛ん゛ん゛ん゛ーーー♡♡♡」
遠慮も様子見も、もはや不要だと信じた。
欲望の赴くままに大口を開け、口いっぱいにコーチの肉棒をくわえこむ。
話に聞くのでも、実物を見るのでもない。口内という自分の中へそれを導くという経験は、あまりにも多くの情報となって脳を焼いた。
形、熱さ、匂い、味。
口の中がいっぱいになってもまだ半分も収められていない。喉を鳴らしながらもっともっとと飲み込んでいくたびに苦しく、しかし幸せだった。軽くイくほどに。
「口の中も、舐めてくれる舌も気持ちいいよ、ライザ。ありがとう。……こっちもお返ししないとね、れえろ」
「♡!♡?♡!♡?♡!♡?」
そんな夢見心地に、追い打ちをかけられた。
コーチの声に続いて生じた快感は鈍く、重く、長くライザの中を襲う。
温かく、やわらかく、敏感なところだけを愛するそれがコーチの舌だと気付いてしまえば、そんなことまでしてくれる愛おしさが大きく弾け、処理しきれない混乱の末に涙となってぽろぽろと溢れる。
もう、どうしようもなかった。何もかもが気持ちいい。
腰の奥が熱くて、口の中は蕩けそう。
舌を這わせるたびに硬く張り詰めながらも歓喜に踊っているのがわかる。
コーチの指は尻肉を握り潰す勢いで抱き寄せて自分の顔に密着させ、ライザに負けず劣らず舌で弄んでくる。
もう、もたない。
先端から溢れてくる雫を音を立ててすすりながら、だんだんと濃くなる味に終わりの近さを感じ取る。
どうか全て余すことなく、受け止められますように。ただ心からそう願い、コーチの肉棒の根本まで唇を埋めて飲み込んだ。
首を左右にひねって、喉の奥まで全てを使って奉仕する。舌で先端をぐりぐり♡とほじくれば、にじむ先走りの匂いと味が一生ものの記憶として刻まれる。
「っちゅううううぅぅぅぅ~~~~~♡♡♡ じゅっ♡ じゅぞぞぞぞぞぞっ♡♡♡」
「んっぐぅ……んんっ!!」
どっぷ♡ どくどくどくっ♡ どびゅううううう♡
「んんんん~~~~~♡♡♡♡♡」
男をイかせ、そして同時にイかせてもらった。
口内に弾ける精液の匂いと味はひたすらに濃く、舌にねばつき歯の隙間すら通れないほど。
同時にライザも絶頂に達し、それを一番近くで知っているコーチの舌がクリトリスを小刻みに震わせて更なる高みへ押し上げる。
跳ねる腰が逃げようとする力など、コーチの腕力の前では子供だまし。イっている間中ライザの秘部は常にコーチの口の中に捕らえられたまま、限界まで高められた性感が頂点を極めたあともクリトリスを優しくしかし休みなくねっとりとした唾液を絡められ、降りてこれない。
天上の快感が引き延ばされる。いつまでも終わらない、終わらせてもらえないのではないかと思うその時間の中で、せめてコーチにもお返しをしたいと必死にのどを鳴らし、注いでもらった精液の全てを飲み込んだ。
「……っはああぁぁぁ~~~♡ はーっ♡ はーっ♡ こ、コーチさぁん」
「気持ちよかったよ、ライザ。ありがとう」
もはや身体に力が入るわけもない。重たいかもしれない、などと気を遣う余裕すらなくコーチの身体の上で寝そべり、自身の唾液に濡れ光るコーチの肉棒を目の前にしながら息を整える。
それでもコーチは感謝の言葉すら口にして、優しく撫でてくれている。ただし尻を。それだけでぞわぞわして喉から声が漏れるので正直勘弁してほしい。このままでは、またヤりたくなってしまう。
とはいえ、ライザは思う。自分は女で、コーチは男。
女の性欲を受け止めてくれるだけでもありがたいのに、これ以上を求めるのは酷を通り越して暴力に近い。
男性の性欲は女性と比べて淡白なのだから、一度射精した以上今日はもう終わり。これまででも十分感謝に値するのだし、小さくなった肉棒を労わって……。
「……へ?」
あげようと、うっすら開いた目の先に。
コーチの太ももに頬を乗せたライザのすぐ目の前に。
目線を隠すがごとく天井を向いて屹立する、あるいはさっきまで口に収めていた時よりも大きさを増した肉棒があれば、言葉の一つも失うというもので。
「な、なんで……? 男の人って、一回射精したらしばらくは無理だって……」
「普通はそうらしいね。でも、ライザがかわいいから、つい」
「ひうっ♡ えっ、あ……コーチさん!?」
そんなことを言われてしまえば、お世辞混じりでも首筋がゾクゾクと興奮してしまう。
しかも、言うが早いか体をひっくり返された。
ベッドの上、さっきまでのコーチと同じように仰向けに。
違うところがあるとすれば、コーチはまっすぐライザと向き合い、鼻先が擦れるような顔で微笑まれるとそれだけでキュンとする。
「あ、これ何しても全部許してもらえるヤツだ」という確信を抱いたのは、今日だけで何度目になるか。数えておけばよかったなとライザは思う。
「だから、ね。いいかな、ライザ」
「ひゃあぁ♡ コーチさんの……お、おっきい♡」
どしり、という実感を伴って、硬さを取り戻したコーチの肉棒がライザの胎の上に乗る。
腰と腰を密着させる、実質本番と同じような状態。そうすると、コーチの先端はライザのへそすら穿ちそうな位置にある。
それを、全てねじ込み、容赦なく蹂躙すると、コーチの目に宿る獣じみた光が言っている。
そうされたいと、ライザの瞳に映るハートマークが、伝えてくれているはずだ。
「……きてください、コーチさんっ♡」
「……ライザッ!!」
ただ名前を叫ぶ。それは何より雄弁にライザを求める欲望の強さの表れのようで、一瞬も止まることなく容赦なく、一気に全てを膣奥まで押し込む力強さには惚れずにいられない。
「あっはぁ♡ ほおおおおっ♡? おほっ♡ おぐっ♡♡」
何が起きたのかわからない。
ただ、自分の中の何かが間違いなく変わり果てたことだけは、ライザにとって明らかだった。
コーチの背中に回して抱きしめる手から、コーチの震えが伝わってくる。
自分に挿入することでコーチもまた快感を得てくれているのだとわかり、泣きたくなるほど嬉しくなるし、ライザ自身全てが人生で初めて味わう衝撃で涙が止まらない。
コーチは、ライザを求めてくれている。
さっきまではずっと気遣い、労わってくれていたのが伝わってきたのに、挿入してからは雰囲気が違う。
伸ばされた手は他のドルフィンと比較しても十分豊かなライザの胸を掴み、ぎゅうと強く揉みしだいてくる。わずかな痛みとともに上げた声は舌を絡めた激しいキスに飲み込まれ、くぐもった吐息にしかならない。
それが、最高に燃える。
コーチほどの男に、ここまで貪られる自分。それは最高に気分がいいもので。
ぱぢゅぱぢゅ、と重い水音を響かせながら引いては突き、子宮口周りをこね回しては抜いていく腰使いにメロメロになりながら、ライザは最高に幸せだった。
「んんんん~~~~♡♡♡ ああっ♡ あんっ♡ はぁんっ♡ コーチさん……コーチさんんんん♡♡♡」
ベッドとコーチの体に挟まれたわずかな空間の中で背を反らす。
お互いの腹同士が密着するのが温かい。コーチが力いっぱい背中を抱きしめてくれるから不安は一つもなく、最高にイった。
――ずんっ!!!
「んぎっ!?☆ コーチさん!? な、なにを……♡」
「なにって……続き? まだ終わりじゃないよ。ライザにはもっと気持ちよくなってほしいし、俺はまだイってないし」
一瞬、何を言われているのかわからなかった。
絶頂の極みで子宮をたたき起こされるような衝撃が脳まで走り、目の前には変わらず微笑むコーチの顔。
そして、たしかに自分の膣内でいまだ熱く激しく存在感を主張する、いままでで一番大きく硬いとすら思える、コーチの肉棒。
終わっていない。終われない。そう言われたわけで。
「んひいいいいっ♡♡♡ コーチさんっ♡ 待って♡ 許してっ♡ ……も゛う゛イ゛った゛! イ゛って゛る゛か゛ら゛あ゛あ゛あ゛あああああっ♡♡♡♡♡」
「ライザ……! もう、射精るっ! 中に射精していい!?」
「いぐううううう! いいからっ♡ 全部、くださいっ♡♡♡ 私の、膣内にっ♡♡♡」
びゅううううううう~~~~~~♡♡♡ どぷどぷどぷ……どっぷうううう♡♡♡
◇◆◇
「……コーチさんの、ケダモノ」
「お互い様だと思うけどなあ」
ライザとクラウディアには仮の寝起きする部屋として、KIRISHIMAの選手寮の一室が提供されている。
というか、度々ワダツミを訪れる異邦人たちの受け入れ先として半ばゲストルームとして定期的に稼働しているみたいなところがあるのだが、まあそれはそれ。そういうのがあるからこそ、こうして割と自由に出入りできる。俺が同伴して、というかライザが腕にしがみつくような状態でエスコートしても、特に見咎められたりはしない。
ライザとは、あの後も終わりにはならなかった。
「……コーチさんっ! 次は、私の番だよね?♡」
長く長くイったあと。限界まで反らした背から力が抜けてベッドに沈み、粗い呼吸を何度も吸っては吐いて息を整えるのを眺めていたら、急にライザが俺の上にのしかかってきた。
まあ、割とよくあることだ。
ここは貞操逆転世界。女性の性欲は一度や二度イき散らかした程度で萎むようなことはないし、男にイかされたままではいられない的な対抗心が湧くケースも多い。
ライザもその例に漏れず、さんざんヤられたあとは騎乗位で俺から搾り取ろうとしてきたわけだ。
「すうううぅぅぅっ。……はあ、いい匂い。柔らかいし温かいし、ずっとこうしてたいよ、ちゅうううっ」
「ひぃんっ♡ あひっ♡ な、なんでそんなにおっぱいに顔を埋めるの!?♡ ……やああっ、先っぽ吸ったら……くふんっ♡♡」
そうなると両手も顔も自由になるからね。ついつい目の前で揺れるおっぱいに甘えたくなるのは仕方ないことなんだよ。ライザもなんだかんだ言いながら、俺の頭を引き離そうとはせずになでなでしてくれたし。
「お、お風呂でだって、何度も……♡」
「パイズリ、すっごい気持ちよかったよ」
その後、さすがに二人とも全身ぐちょぐちょだったので一回シャワー浴びないとね、となったのは自然な流れ。
そして、そうなったとき順番に済ませるとか素直に体洗うだけとかならないのもまたお約束なわけで。
「ふふっ♡ コーチさん、こんなのが好きなんだ? ほ~ら、もっと気持ちよくなっちゃえ♡ ぎゅうううう~~~♡♡♡」
ライザはドルフィンたちに負けず劣らずのスタイルをしている。
当然胸も余裕でパイズリできる水準で、貞操逆転女子は一方的に男を攻められるこのプレイを好むことが多い。
たぱっ♡ たぱっ♡ たぱっ♡
柔らかい乳肉に隙間なく包まれることも、肌と肌がぶつかる音がリズムよく響くのも最高に興奮する。最後はライザが自分で自分の胸に指を食い込ませて強く胸を寄せてきて、本番に負けないくらいの圧迫感の中でぶびゅぶびゅと射精するのは下半身から力が抜ける心地よさだった。
「そ、そんなこと言って……! お、お尻、いっぱい叩いたくせに……♡♡」
「ごめんごめん。叩くたびにイってるみたいだったから、喜んでるのかと思って」
パシンッ! パシンッ! バチィィーン!!
「ひっぐううううう~~~~~♡♡♡♡♡ ひいっ♡ ひいいっ♡ お尻っ、叩かないで♡ らめえっ♡♡♡」
バックで挿入すると、自然とライザの巨尻が目に入る。
アスリートとして鍛えているドルフィンすら凌駕する勢いでむちむちの足を支えるだけあって、大変目を引く存在感を誇る。
貞操逆転女子は抱え込んだり自分でも自覚できていない性癖があったりするからね。機会があればいろいろ試してみることは重要なのです。
で、ライザ。スパンキングするたびにイくレベルでした。ドルフィンの中でもそこまでの子は何人もいない逸材だよ。
そのあとスパンキングしながら素股してるときもイき続けてたみたいだし。むっちむちの太ももに挟まれる素股は、正直これまで経験してきた中で一番気持ちよかったかもわからんね。
「ライザがされたくないことはしないよ。だから、お尻を叩くのは、もう二度としないほうがいいかな?」
「……ううううぅぅ~~♡♡♡」
その辺を踏まえて。
ライザの部屋の前までたどり着き、エスコートは終わろうとしている。
最後の確認、とばかりに顔を覗き込むと、かわいらしく上目遣いに睨んでくる。
だがそれでも胸の間に俺の腕を挟んだまま離れようとしないし、きゅっと掴んでくる手もそのままで。
「もうっ! ……送ってくれてありがと! おやすみ! ……またね!」
「うん。『また』ね」
「~~~~~~♡♡♡」
勢いがなければ無理だった、とばかりにライザは部屋に飛び込み、そう言い放つ。
その、「また」の意味するところが「また明日」なのか「またシてほしい」なのか。
言いたいことは全部わかってるよ、という心が透けて見えるだろう笑顔で手を振ると、悔しさのにじむ赤い頬をしたライザもぱぱっと手を振って部屋の扉を閉めたのだった。
「……ふう」
「お疲れ様です、コーチさん♡」
「……クラウディア」
パーフェクトコミュニケーション、かどうかはさておき悪くない交流ができたんじゃないかな、と安堵した俺にかかる声。そのきれいな声はライザと同じく最近聞きなれた清楚なもの。
ライザと同じ世界からやってきた、彼女の親友にして大商人の娘というクラウディアだった。
ライザの隣の部屋を提供されてはいるものの、よく一緒の部屋で泊まったりもしているくらいに仲の良いクラウディアが、いつの間にか自室を出て俺の隣でニコニコとほほ笑んでいた。
「ライザを送ってくれたんですね。ありがとうございます」
「いやあ、お礼を言われるほどのことじゃないよ」
丁寧に手入れされた長い金髪がさらりと揺れる、本当にお嬢様という感じがして癒される。
こうしてクラウディアとも話をできる辺り、今日は本当に運がいいなあと俺は思う。
だって。
「――じゃあ、次は私の番ですね?♡」
「もちろん。クラウディアさえ、よかったら」
細められたその目の奥には、大好きな親友に負けず劣らず、激しく燃える性欲の炎が燃え盛っているのがわかるから。
「ライザとシてきたホテル、よく使うから色々と融通利かせてもらえてね。さっきまでと同じ部屋をまだ使えるんだけど……行く?」
「ライザがした後の、同じ部屋で……!? ぜひっ♡ お願いしますっ♡」
さっきまでのライザと同じように腕を組んでくるクラウディア。
ライザとはまた違った柔らかさを二の腕に感じながら来た道を戻っていくのは、中々に贅沢な気分だった。
◇◆◇
ドルフィン紹介!!!
ライザリン・シュタウト
錬金ドスケベ。錬金術の存在する世界からの来訪者。錬金術は使えなくなっているが、観察眼や好奇心は損なわれず、文明レベルが大きく違うワダツミの諸々を吸収するべく日々町を出歩き、解説がてらついてきてくれるコーチとデート半分で楽しんでいる。
好きなプレイは道具を駆使したもの。拘束具やらバイブやら、この世界の人はよくまあこんなに作るもんだと思いつつ、自分の体で実践している。そういうものを使って散々ぐちょどろにされたあとでコーチが優しくしてくれるのも好きで、キスの時間が長くなる。とりあえず、元の世界に帰ったらコーチの形と大きさに合わせたバイブ的なものを作ろうと思っている。
元の世界に帰って再開した冒険の中で異世界と行き来する方法が存在することを知り、そのうち錬金術でワダツミとも行き来できるようにして改めてコーチに孕ませてもらうつもりでいる。
クラウディア・バレンツ
強かドスケベ。商会を率いる父について各地を回る中で、ライザの住むクーケン島を訪れた商人の娘。父譲りの商才はのちに経営の一部を任されるほどに至り、今の時点でもその片鱗を発揮してライザの冒険を支えている。ワダツミを訪れてからも大きく動じることはなく、ライザよりは冷静に、しかししっかりと異世界の情報を吸収することに努めている。
コーチとならヤれるということは割と早い段階で気付いていたが、ライザに先を譲ろうとコーチとワダツミ探訪デートをするよう仕向け、二人がヤったなこれと察するや否や間を置かずに自分もコーチとホテルに行く観察眼と行動力を持つ。
好きなプレイはライザを交えた3P。ライザと一緒にコーチを攻めるのも、コーチと一緒にライザを攻めるのも、コーチとライザに一緒にぐちょんぐちょんにされるのも好き。特に好きなのは、コーチにハメられながらライザに顔面騎乗してもらい、そのまま自分をのけものに二人がラブラブべろちゅーするプレイ。痛みとも快感ともつかない謎の衝動が脳をバチバチに焼いたらしい。