※この作品はR-18です。

オリジナルエロ話   作:歩輪気

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久々の投稿です。
今回は描きたいエロ描写を中心に書いてます。
登場する人物、団体、その他のものは全てフィクションです。


シンバとフウ

 ◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 その日、シンバは近所の公園で友達と一緒に遊んでいた。隠れんぼから鬼ごっこ、公園の遊具を使った謎の遊びまで、只管体を駆使する遊びをやった。たまに些細なことで喧嘩したり、直ぐに仲直りして遊びを再開したりと、砂にまみれながら自由気ままに遊び尽くした。

 

 本来なら、親の付き添いなしで遊ぶのは許されていない。しかし、来年からは小学校に入学するうえ、幼稚園と違ってバスや親なしでの登下校も始まる。心配なのは勿論だが、いつまでも親達が付きっきりになる訳にはいかない。

 そういうこともあって、シンバと愉快な仲間たちは、親達が決めた公園限定で、自分達だけで遊ぶことを許された。もう1つ遠くの公園が良いのに、こんなんじゃ親が居ても居なくても同じじゃないかと不満を漏らす子もいる。しかし本心ではみんな、自分達だけで好きに遊べることが嬉しかった。

 

 そんな時間もあっという間に過ぎ、門限近くになると、みんなはそれぞれの家に帰っていく。

 

 夕方の5時、防災無線を通して聞き馴染んだ音楽が流れるその前に、シンバは帰宅しないといけない。

 

 しかし、今日のシンバは違った。

 今日はいつもより早めに終わった。まだ時間はある。

 

 いつもの帰路とは反対方向の道を行き、最寄りの川に向かった。万が一落ちたり自転車に轢かれたりしたら危ないからと、小学校に上がるまでは一人で来たらダメと親には言いつけられている。

 けど、別に川に入るわけじゃない。ただ堤防の道を歩いて景色を楽しむだけ。

 それならバレないし問題ないだろうと、シンバは軽い気持ちで足を運んだのだ。

 

 シンバは堤防に続く階段を登り、天端に敷かれた黒い道路を歩いた。堤防からは、向こう側の街に向かって沈んでいく太陽がよく観えた。高い建物の間にスッポリと収まる太陽は、見蕩れるくらい大きく燃えていた。

 時季もあって、堤防脇に生える雑草は茫々と茂っている。傍を通ると留まっていたバッタやら羽虫やらが暴れ回り、ここを住処にしている猫達がザワザワと音を立てて逃げ出した。あちこちに蚊柱ができていて、空の青にホクロができているように見えた。

 

 来年からは、向こう側の街にある習い事の教室に通うことになる。自転車も買って貰えるし、早く色んなところに行って遊びたい。シンバは想いを馳せた。

 

 途中、道端にポーチらしきものが放置されていることに気が付いた。可愛いキャラクターの絵が表面に描かれている。同じ幼稚園の女の子達も似たようなものを持っていた。捨てられたにしてはまだ新しい。開いたチャックからは、猫の絵が描かれたスティック状のおやつらしきものが半分ほど出ていた。

 

「どこぉ……」

 

 誰かの落し物かな? 

 そう思っていると、河川敷から誰かの声が聞こえた。初めは猫の鳴き声か何かかと思ったが、再度聞こえてきた声は、間違いなく人間のものだった。

 

「どこぉ……どこぉ……どこなのぉ」

 

 シンバは手で草を払い、覗くように河川敷を見下ろした。地面いっぱいに敷き詰められた緑の中で、小さな背中が蠢いていた。

 

「ぐすっ……どこいったのぉ……でてきてよぉ」

 

 その声は、あきらかに泣いていた。時折、洟を啜る音もしている。頭を上げる度に髪がふわっと浮いた。

 

 シンバは訝しく思いながら斜面になった堤防脇を慎重に下り、あのー、と恐る恐る声をかけた。小さな背中はビクリと跳ねて、くるりとこちらを見た。

 相手は女の子だった。そして予想した通り、泣き顔を浮かべていた。拭ったときについたのか、頬は土で汚れている。鮮やかなショートヘアには枯れた草と小さな虫が乗っかっていた。

 なにか探してるの、と尋ねると、女の子はシンバに体を向け、右手で左手をぎゅっぎゅっと握りながら「……人形」と応えた。

 人形? とオウム返しをすると、女の子は頭を微かに縦に振った。

 

「ポーチに付けてたの。それで、ネコちゃんにおやつあげてて……ヒモが切れちゃって、ここのどこかにおとしちゃった。それでさがしてて……でも、ぜんぜん見つからなくて……どうしよう」

 

 そんなに大切なものなの? 

 そう訊くと、女の子はこくんと頷き、俯いたまま涙を流した。

 シンバはズボンのポケットから子ども用端末を取り出して時間を確認した。もうそろそろ戻らないと、門限を過ぎてしまう。そうなると、お母さんからお叱りを受けることになる。けど、だからといって女の子をこのままにしておくわけにはいかない。困っている人を目の前にして逃げるなんてできない。もはや、天秤にかけるまでもない。

 

 シンバは女の子に、僕も探すよ、と申し出た。

 

「え?」

 

 唖然と首を傾げる女の子を横目に、早速雑草の海へと足を踏み入れる。短パンの裾から伸びる膝下がチクチクと痛む。

 

 どんな人形なの? と女の子に顔を向けた。

 

「えっとね……ピンクで、目が青くて、手のひらにのっかるサイズだよ」

 

 シンバは腰を屈め、教えられた特徴を元に人形を頭に思い浮かべながら探索していく。1歩踏む度に草が軋んで、ぎゅうっと音を鳴らす。たった1歩踏んだだけで、隠れていた虫が四方八方に飛び散り、たまに頬や唇に体当たりをかました。澱んだ水気が草の中に籠っていて、掻き分けた瞬間に破裂して顔を覆う。草の臭いが鼻を突く。

 

 ここの河川敷は、座ってボーッとするにはちょうどいいが、野球とかサッカーとかが遊べる程には広くない。おまけに整備もされていない有様なので、大人でも立ち入るのを拒むだろう。

 

 しかしシンバは迷わず、草むらの中に手を突っ込み、根元に向かって払いのけていく。意外と固くて鋭い雑草が、ときどきスッとナイフのように肌を切った。たまに触角の長いゴキブリっぽい黒い虫が腕を這い上がると、ゾワゾワとした気持ちの悪い感覚が走って鳥肌が立った。気持ち悪さに叫び、泣きそうになるのを、グッと唾と一緒に呑み込んで耐えた。

 

 そのまま探し続けた。だが見つからない。女の子のいる場所から半径数mの範囲で探しているが、それっぽいものはなく、出てきても、劣化して朽ち果てかけたペットボトルだったり、深い草の束に溜まった湿気で酷くぐちゃぐちゃになったチラシだったり、虫の群がる食品の袋だったり、眉を顰めるようなゴミばかりが出てきた。

 

「ぐす……見つからないよお……」

 

 また、女の子が声をあげた。

 振り返ると、ちょうど顔を上げた女の子と目が合った。変わらず不安そうに表情を曇らせているうえに、目尻からまだ涙を流していた。

 

 大丈夫だよ、ぜったい見つけるから。

 

 シンバは女の子に笑顔を向けて、もう一度草むらに向き直った。それっぽいものを見つけては落胆し、また見つけては残念そうに肩を下ろす。街に響く音楽にも気付かず、ひたすら探し続けた。

 

 そしてしばらくして、草と草の間に挟まるようにそれらしき物が出てきた。頭のヒモはちぎれていて、細長い四肢があって、体がピンクで、目が青い。湿気のせいか、少しだけ湿っていた。

 シンバはそれを手に取り、試しに女の子に見せた。瞬間、女の子の泣き顔がパッと明るくなり、「それ!」と声を上げた。女の子は両手で受け取ると、大事そうに胸の中に抱きしめた。

 

「ありがとう! ホントにありがとう!」

 

 目を腫らしながらも、彼女は満面の笑みを浮かべてありがとうと繰り返した。

 

「ホントにたいせつだったから、見つからなかったらどうしようって、ほんとにこまってたんだ。ありがとう」

 

 ありがとう。また言われて、シンバは照れくさくなって後頭部を掻いた。本当に大切なんだねと、照れを誤魔化すように人形に視線を向けた。

 

「これね、友達からもらった人形なの」

 

 女の子曰く、この人形は、園でも1番の仲良しだった友達から貰った大切なプレゼントだという。

 

「その子、この前ヒッコシしちゃってね。だから、これ、カタミなの」

 

 カタミって、そういう意味だったっけ? シンバは疑問に思いつつも、見つかったことに心の底から嬉しさを溢れさせる女の子を見て、まあいいかと言葉を呑み込んだ。

 

「でも、ホントによかった。見つけてくれて、ホントにありがとう」

 

 もう何度目のありがとうか分からない。けど、女の子にありがとうと言われることは純粋に嬉しいから、シンバはどういたしまして、と心をフワフワ浮かせた。

 

 浮いた心を断ち切られるように、ポケットの端末から着信音が鳴り響き、シンバは我に返った。返った途端に、頭の隅に追いやっていた諸々のことが中心に戻り、全身に鳥肌が立った。

 恐る恐る端末を確認すると、お母さんの名前が表示されていた。一緒に表示された時間は、門限をとっくに過ぎている。空を見上げると、いつの間にか暗くなりかけていた。さっきまでの幸福な気持ちがどこかへ逃げて、全身が芯から冷めていく。血の気が引いて、見る見る顔が青ざめていく。

 

 それじゃあ、という言葉も言わずに、シンバは勢いよく堤防を駆け上がった。草に足を奪われ、滑って膝をぶつけても走る。雑草でつけた切り傷に痛みを感じつつ、シンバは女の子に背を向けて、ひたすら走り続けた。

 

 結局、帰って早々にお母さんに雷を落とされた。しかも土だらけ草だらけで、虫まで着いてきて、おまけにGPSなんてもので川に行ったことがバレてしまった。本物なんて比じゃないくらいの、呑気なお父さんでさえ縮こまるほどの稲妻が頭のてっぺんに落ち、心も体も真っ黒焦げになった。

 

 

 そういった日も、いつの間にか記憶の片隅に追いやられていた。

 

 

 あれから時が経ち、シンバは無事に入学式を迎えた。満開の桜、とはいかなかったものの、綺麗な葉桜が入学生達を迎え入れた。

 

 今日のために両親も休みを取って、家族総出で一番のおめかしをした。高めな新品の背広を着て、色つきの蝶ネクタイでお洒落にキメて、大きな桜の木のある校門の前で家族で写真を撮った。初めて見る校舎は、入学したてのシンバにとっては巨大な城のように見えた。

 

 その後は、なんか色々あって、他の子達と一緒に先生の長々とした話を聞かされて、教室に移動して教科書やらなんやら受け取って────まだ幼稚園の感覚から抜け出し切れていないシンバにとっては、半日でも疲れ果ててしまった。明日からなんだからシャキッとしなさいと言われても、はーいと俯き加減に答えるしかなかった。

 

 色々終わって、帰る間際。保護者が集まって挨拶を交わす。これからよろしくお願いしますとか、こちらこそとか。しかしシンバを含めた子ども達にとってはどうでもいいことで、みんなが適当な場所に視線を向けたり、早速仲良くなってつつきあったりしていた。

 

 遊び友達の大半は引っ越したり、他の学校に進学したりして、ここにはいない。つまり、ホントに一から始めることになる、

 

 新しい友達、目指せ100人、学校生活、給食、体育、算数、英語、悪魔の跳び箱、加えて習い事云々……これから新しい生活が始まると思うと、シンバは軽く目眩を覚えた。疲れもあって、危うくランドセルに体を持っていかれそうになった。

 

 不意に、頭の上からお父さんの声が聞こえた。見上げると、お父さんが顔を向けて、もう終わったから帰ろうか、と話しかけてきた。いつの間にか終わったらしい。頷くと、頭を掌で優しく撫でられた。今日はご馳走ね、とお母さんが言い、そのまま並んで校門を潜った。

 

「ねぇ!」

 

 突然、後ろから声が聞こえた。

 

 体を捻って振り向くと、黄色い帽子を被った女の子が立っていた。同じく今日入学したばかりの女の子で、ショートヘアの毛先がふわふわと靡いていた。その後ろには、母親らしき女の人が困った顔でその子を見ていた。

 

「きみ、だよね?」

 

 女の子が小走りでシンバに近づく。どうやら自分に話しかけていたようで、一体誰なんだとシンバは唖然としたまま固まった。

 

 女の子は目の前で止まると、顔を近付け、

 

「人形、見つけてくれた子だよね?」

 

 と、キラキラな瞳とお日様のような笑みを向け、ほら、と体をひょいと捻ってランドセルを見せてきた。なすかんには、細長い四肢の生えたピンクの人形のストラップが付けられていた。

 

「川で、一緒に探してくれた男の子だよね?」

 

 そう言われて、シンバは頭の隅っこにある記憶を引っ張り出した。

 

 川、人形、女の子────あっ! と声を上げた。

 

 間違いない。この子は、あの日の女の子だ。

 

 まさか、こうやって再会するなんて。

 

「すごいすごい! うれしい! おんなじ学校だったんだ!」

 

 女の子は無邪気にシンバの両手を握り、「わたし、フウ」と名乗った。そして、君は? と目で訊ねてきた。

 

「そっか、シンバくんっていうんだ。じゃあ、シンちゃんって呼んでいい?」

 

 良いも悪いもなく、シンバは反射的に頷いた。

 

「これからよろしくね! シンちゃん!」

 

 ぺかぁっと、眩い笑顔がシンバを照らした。あまりの眩しさにシンバの目はやられ、しばらく世界が真っ白になった。

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 目を開くと、いつもの部屋の壁が映った。既に朝なのか、部屋の中は白くぼんやりとした明るさに包まれていた。

 体を横に向けて寝ていたせいか、マットレスに押し付けるように沈んだ左腕が痺れている。ゆっくりと仰向けになると、塞がっていた血流が一気に流れ出し、ジンジンとした痛みが肩から手首にかけて襲ってきた。痛いような擽ったいような、動かすのももどかしい。

 

「おはよー、シンちゃん」

 

 柔らかい声がして、伊森真葉(いもりしんば)は頭を捻った。ベッドの傍、つまりすぐ目の前の、制服姿の彼女が寝ぼけた眼に映った。表情は穏やかで、透き通った2つの瞳が細めた眼瞼の奥からこちらを覗いていた。ふわっと浮かせるようにウェーブさせた長髪がなんとも可愛らしい。

 フウちゃん、とシンバは喉の嗄れた声で名前を呼んだ。のっそりと上半身を起こして、おはよう、とペタンと床に座るフウに返した。朝一番のお迎えだから、朝食は伊森家で一緒に食べていくようだ。

 枕横の端末を手にし、電源を入れる。プリで撮影した2人の写真に重なるように時刻が表示された。いつもアラームをセットしている時間よりも5分進んでいた。どうやら、ほんの少しだけ寝坊したらしい。

 

「アラーム? うん、鳴ってたよ。でも、シンちゃんがすっごく気持ちよさそうに寝てたから、あとちょっとならいいかなぁって思って切っちゃった。添い寝も考えたけど、流石に遅刻しちゃうから」

 

 ベットの端に両肘をつき、花のように開いた両掌に顎を乗せながら、フウはうふふっと微笑んだ。目立たない程度に薄く化粧をしているのもあって、魅力は倍以上に映る。彼女を見ながら、シンバも伝染したかのように微笑みを浮かべた。

 フウが意地悪で止めたわけでないことも、眠る自分を微笑みながら横で見つめていたことも、眠る自分を好いてくれていることも、シンバは分かっている。むしろ、朝からこうして部屋に来て、朝一番のお日様を向けてくれる彼女に、自分自身も癒されていた。添い寝してくれても良いよ、と言うのは我儘すぎるから、流石に言えない。

 

「シンちゃん」

 

 フウは立ち上がるとベッドにのっかり、シンバに体を寄り添わせながらよしよしと頭を撫でた。寝癖で荒れた髪の毛を、彼女の細い指は櫛のように梳いた。

 そして頬にキスをすると「早く行こ? 朝ごはん、もう出来てるって」と耳許で囁いた。シンバは寝ぼけながらこくりと頷いた。

 

 制服に着替え、朝食を食べ終え、普段通りに支度を終えると、フウと共に家を出た。

 

 シンバは通学路として使っている舗道を進みながら、手で庇を作って空を見上げた。真上には薄く澄んだ空が広がっている。長い季節外れな残暑がようやく終わりを告げ、代わりに秋を匂わせる風が吹き始めている。あんなにも受験関連で色々あった夏休みが、遠い昔のように感じる。

 

「シンちゃん、みてみて」

 

 フウが見せるように肩に下げたスクールバッグを掲げた。スクールバッグには、沢山のぬいぐるみストラップが付けられている。その中に、昨朝はなかった新しい仲間が加わっていた。

 

「昨日、帰りに友達と一緒に買い物した時に、偶然見つけちゃったんだ」

 

 シンバは、可愛いね、と言い、もしかして一目惚れ? と続けた。

 

「あ、分かる? うん、この子とっても可愛くて、一目惚れしちゃった」

 

 フウは嬉しさが溢れんばかりに表情を綻ばせながら、新たな仲間に軽いキスを交わした。シンバも無垢に喜ぶ彼女の姿に心を癒された。

 

 シンバは、フウの笑顔が好きだ。作りものでもなく、愛想笑いでもなく、ぱぁっと輝きを放つ彼女のスマイルは、小学生のときからキラキラを保っている。

 

「シンちゃ〜ん♪」

 

 溢れる気持ちを分かち合いたいのか、笑顔のフウはシンバの左腕に自分の腕を絡めた。両腕でぎゅっと体をくっつける。二の腕にフウの胸部に実った柔らかいものがぽふりと押し付けられた。

 

「シンちゃんシンちゃんシンちゃん、えっへへ、呼んだだけだよ♪」

 

 声を弾ませるフウの頭に、シンバは頬を当てた。彼女の髪から香る甘い匂いが鼻を擽った。

 

 フウは、シンバの恋人フィルターを抜きにしても整った容姿を持っている。小学生のときは可愛い女の子で、中学になると成長して美人が加わった。本人の明るさと分け隔てない性格もあって、周りの人間は自然と彼女を輪の中心にして集まっていた。中学時代は、彼女に惚れて告白をし、見事玉砕した男子が何人もいた。

 

「あ、オッドアイだ! 珍しい!」

 

 あ、ホントだ、とシンバも駐車場に目を向ける。青い左眼と黄色の右眼を持つ猫が、ブロック塀を腰掛けならぬ足掛けがわりにして、至福を味わうような表情でリラックスしている。首輪をつけているから、誰かの飼い猫だろう。

 

「おーい、チュチュッ、おはよー……あ、こっち向いた!」

 

 シンバは、フウという大切な人と一緒に居ることに心地良さと癒しを感じている。自分へ向けられる様々な感情を孕んだ視線など、何の意味もなさない。容姿ではなく、常にフウという存在を、浮守(うきもり)芙愛(ふう)という女の子を見ているシンバは、他人からの目など気にもとめないのだ。

 

 

 2人はそのままくっつきながら歩き、時間通りに到着したバスに乗車した。人がまあまあいる中で、フウはシンバの腕にくっつき続けた。傍から見ると随分と青々しい光景で、頭に『バ』が着くほどのカップルな2人でなければ、恥ずかしさで5分も持たなかっただろう。

 

 目的地の駅前ロータリーで降りると、フウはようやく絡めていた腕を解いた。ここからシンバは東方向に走る電車に、フウは西方向に走る電車に乗車し、それぞれの高校に向かう。ここで一旦お別れになる。

 

「ねえねえシンちゃん」

 

 駅の出入口前で、フウはシンバの両手を握りながら、「今日、うちにお泊まりしてって?」とぷらぷら左右に振った。今日は土曜で、どっちも午前中に授業が終わる。そのまま家に集まり、勉強会をしたいという。

 

「最近、ずっと画面越しでしかしてなかったでしょ? だから、久々にお泊まりで勉強会がしたいなって。その方が進めるところは進めると思うし、どうかな?」

 

 シンバは、いいけど、フウちゃんママは大丈夫なの? と訊いた。

 

「全然大丈夫だよ。お母さん、久々に友達と遊びに出かけてて、明日の夜までかえって来ないから、心配ないよ。それに、もうお母さんにはおっけー貰ったから、ね?」

 

 そっか、じゃあ泊まろうかな、と返すと、フウは「やったー」と嬉しそうにしつつ、顔を近づけてヒソヒソと囁いた。

 

「そしたらね、今日は、久々にイチャイチャしよ? ちょっとでいいから、私はしたいな」

 

 細めた眼で見つめるフウに、思わず息を呑んだ。間近で誘惑するフウの可愛さに、喉仏が無意識に上下した。その喉仏を、フウの吐く息が撫でるように掠める。

 多分、イチャイチャがメインになるだろうし、フウも勉強よりもそっちがしたいのだろう。じゃあ断るのかと言われれば、断るはずがない。勿論、シンバの答えはOKだった。

 

「じゃあ、今日の帰り、駅前(ここ)で待ち合わせしよっか。先に帰ったらやだよ?」

 

 シンバは小刻みに頷いた。するとフウは両手を離し、「じゃあ、行ってらっしゃい」と爪先立ちでシンバの唇にやや長めなキスを交わした。唇を離すと微笑み、背を向けて構内へ入る。

 ルンルンと今にも飛んで行ってしまうかのように、プリーツスカートを揺らして歩くフウ。彼女の背を、シンバはしばらく放心したように眺めた。

 フウの歩みに合わせて、バッグの人形達が踊る。ランドセル時代は、あの人形もああやって踊っていた。

 

 ようやく見えなくなったところで、シンバも歩き始めた。端から見ると気分が浮いているのが丸わかりだが、それも仕方ない。

 久々の恋人との勉強会という名のお家デートを行うのだから、胸が高鳴らないわけがなかった。

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 入学式での再会以来、シンバはフウと友達になり、時間を共にした。休憩時間に遊んだり、近所の催し物に出かけたり、着々と友人としての関係を築いていった。残念ながら、小学校では一度もクラスメイトになることはなかった。しかしそんなことが気にならないくらいに、シンバとフウは一緒に遊んだ。

 お互いの家にもよく遊びに行った。フウが伊森家を訪ねると、シンバの親はフウの好物を棚から出していた。それはフウの親も同様で、シンバが来ると、まるで分かっていたかのように手作りのお菓子をご馳走してくれた。

 また、学校が個別登校を採用していたため、毎朝のようにフウがシンバを迎えに行った。やや距離があるのもお構いなしに、フウは朝早く伊森家を訪ねた。「シンちゃ〜んっ!」という溌剌とした声に誘われ、シンバはランドセルを背負って玄関を潜った。そしてフウに競り合うように、シンバも彼女を迎えに浮守家に出向いた。「フウちゃーん」という呼び声と共に、笑みを浮かべたフウが玄関から駆け出す。ランドセルを揺らしながら、おはよう! と一番の挨拶を交わした。

 下校も当然一緒で、お互いに習い事や塾のない日は好きなことをして遊んだ。ただ隣で座って過ごすこともあった。恐らくこの時期の2人は、友達の誰よりも長く時間を共にしていた。そして誰よりも、自分達のことを親しく近く感じていた。

 

 高学年になると、心身の発達の関係で、比較的同性同士で連むようになる。プライベートが生まれ、やれることも増え、どちらかの家で遊ぶことは滅多になくなった。が、以前と変わらず一緒の登下校は続けていて、ときには2人でどこかへ遊びに出かけた。夏休みに図書館で宿題を進めることも、近所の神社のお祭りや花火大会に浴衣と甚平を着て出かけることも、ファストフード店で勉強することもあった。少なくとも、この時期の2人には、男女の差という意識は然程なかった。中学になったら同じクラスになれるといいねと、卒業式間近に語り合った。

 

 

 …………しかし、実際に中学生になるとそうはいかなくなった。

 

 

 本格的な第二次性徴を迎えるという意味でも、シンバの心に複雑なものが生まれ、絡み合っていた。環境の激変、小学生では感じなかった周りとの違い、嫌でも抱いてしまう劣等感、思春期特有の性への興味と異性との距離感、謎に漂うクラス内での目に見えない階層、そういったものが一気に襲いかかり、気が付けばシンバはフウとの間に距離を置いていた。

 

 意識していた、というよりは、新たな人間関係を築いていくなかで自然とそうなってしまった、と言った方が正しいだろう。2年生で同じクラスになれても、短い挨拶を交わす程度で、基本的に他のクラスメイトと時間を潰し、他愛もない会話で盛り上がった。互いに仲良しなグループとの付き合いもあったため、登下校や教室でも各々で別れていて、時間を共有することはない。プライベートな会話すら交わさなかった。おまけに呼び方も、伊森くんと浮守さんに変わっていた。態とではなく、自然と『ちゃん』を付けて呼ばなくなった。

 

 それに、中学に上がってからのフウは明らかに変わった。

 

 性徴によって小学校高学年から既に大人へと熟し始めていたフウは、中学で注目を集める存在になっていた。可愛くて、クラスでも明るい存在で、誰とでも仲良くなれて、自然と皆から囲まれ、輪の中心になる。身に纏うオーラに誰もが惹き付けられていく。いるだけで空気が変わる存在、みんなが惹かれるクラスのアイドル、学校に一人はいる可愛い女の子、という言葉がまさに当てはまっていた。フウちゃんと名前を呼ばれる度に、可愛いと言われる度に、彼女は嬉しそうにしていた。男女関係なく、恋愛友愛含め、沢山の子がフウに対して好意を向けていたのだ。

 

 シンバの心の中で燻るフウへの気持ちは、中学に上がってからは明確になり、自覚もしていた。

 

 本当は、フウと前のように普通に話したい、友達として接したい、そしていつか、気持ちを伝えたい。

 

 でも、小学校とはあまりにも環境が違う。周囲の空気も違う。価値観も違う。その中でも特に彼女は違った。シンバでさえ、彼女の放つオーラには気がついていた。

 

 誰かが言っていたように、彼女は住む世界が違うのだと怖気付いた。

 卑しい感情を向けてはいけないと自身を叱咤した。

 自分なんかが釣り合うわけがないと、告白してはいけないと罵った。

 

 なのに、彼女が誰かに告白される度に不安になって、フラれたと知るとほっと胸を撫で下ろす。自分は告白すらできないでいる臆病者なのに。そんな自分に嫌悪感を覚え、しかし彼女にバレたくなくて、無意識に距離を取っていた。

 

 

 ──そして、遂に迎えた卒業式当日。

 

 各々が最後の思い出に涙と笑いを浮かべて会話を交わすなか、校庭に卒業生達が集まっていた。集合写真の撮影は既に終え、帰宅していいと担任達からは言われていた。生徒達が独断で集まったのだ。

 人を集めろ、囲めと、複数の生徒が他クラスに声をかける。その集まりは、教室からもよく見えた。人の輪が広がり、厚さを増していく。その中心には、フウと見覚えのある男子生徒が立っていた。桜が花弁を散らしているのもあって、広がる光景は様になっていた。

 

 これから何が始まるのか、予想はつく。隣の窓から眺めているクラスメイト達も、多分あれだろうな、勇気あるよな、もう何人目だっけか、なんて笑っていた。誰が見てもそうとしか思えない。あの輪にいる大半の生徒は、それを間近で見ようという見物客だ。

 

 予想は着く。だから、見たくない。

 

 シンバは鞄を持ち、早々に教室を後にした。フウとともに囲まれていた男子は、彼女と同じクラスで、運動部キャプテンを務めていた石部だった。生徒会長も兼任していて、行事でもバラバラになりやすいみんなを常に引っ張っていた。彼を慕う同級生は多く、シンバも好感を持っていた。

 彼もフウのことが好きだったのかと驚くと同時に、納得もしていた。フウと仲良く話している姿をよく目にしていたからだ。彼なら、きっと彼女と釣り合うだろう。彼のような人なら、きっと彼女を笑顔にできるだろう。

 

 校門を出たところで、わあっ! と歓声が沸いた。1つの終わりを感じながら、シンバは振り向くことなく帰路に就き、帰宅して早々に、失恋に浸るように自室のベッドに寝転がった。

 

 結局、思いを伝えることはできなかった。けれど、これでよかったのだ。自分がフウと付き合えるはずがない。

 

 茫然と天井を眺めながら、フウの幸せを願いつつ、胸に穿たれた空洞に虚しさを覚えた。彼女のことを引きずっている未練がましい自分に、激しい嫌悪感を覚えた。自分から離していたくせに、気持ち悪い気持ち悪いと、醜い自分を胸の内で何度も何度も罵倒した。

 

 

『今からあの川に来て。橋のところで待ってるね』

 

 フウからメッセージを受け取ったのは、夕方近くだった。太陽は既に西の空に沈みかけていた。フウからこうしてメッセージを貰ったのは、クラスでのちょっとした確認事項以来だった。

 ベッドから起き上がり、急いで川橋に向かうと、セーラー服姿のフウが、向こう岸を繋ぐ橋の途中に立っていた。腰まで伸ばした長髪をポニーテールに束ねていて、紺色のスカートの裾と一緒に風にそよいで揺れている。

 

 欄干に肘をつきながら川を眺めている彼女のもとへ、シンバは呼吸を整えてからゆっくりと近づき、声をかけた。フウが首を捻る。相手がシンバだと分かると、顔を綻ばせて手を振った。こっちこっちと、小さく手招きした。

 

 緊張しながらも、シンバはフウの隣に立ち、橋から見える風景に目を向けた。

 

 数年前に大規模な整備されたのもあって、昔のように雑草が茫々とした光景はなく、河川敷は程よく緑草が生えた地面へと変わっていた。時々、親子連れがここに来てレジャーシートを敷いて遊んでいるのを見かける。少し先にはベンチも設けられていて、お年寄りや野良猫が日向ぼっこに使っている。そんな光景は、幼稚園の頃は想像もできなかった。

 

 少し先で、猫がのんびりと草道を歩いている。ちょうどその対岸では、天端と河川敷を繋ぐ階段の途中で、別の猫が体を横にさせて寝転んでいた。

 

「昔はよくここに来て、2人で猫ちゃん達にこっそりおやつあげてたよね」

 

 あの子達って子孫かなにかかな? フウが2匹を順に指さしながら言った。突然の声掛けに、シンバは一瞬茫然とし、すぐに、多分、と返事をした。

 久々の会話で声が上擦った。それがおかしかったのか、フウは口許を抑えて微笑した。初めは頬を歪まさただけのシンバだったが、恥ずかしさと嬉しさが込み上げ、同じように笑う。笑いながら、そうだったね、と改めて返した。

 

「うん、それで、知らない人に見られて、勝手にあげちゃダメでしょって怒られたね」

 

 そうそう、それであんまりにも大きな声で怒るから、フウちゃん、泣いちゃったよね。

 

「だって、クマみたいにガーッて怒るから、怖かったんだもん。シンちゃんだって、泣いてたときあったもん」

 

 フウは唇を尖らせながら頬を膨らませる。その姿に、シンバも思わず吹き出した。

 

 フウちゃん、シンちゃん、苗字じゃない久々な呼び方。

 上擦っている声が、少しずつ戻っている。

 ここに来るまで残っていた緊張が、思い出を口にしていくうちに、少しずつ解れていくのを感じた。

 

 こうしてまともに話すのは、入学依頼かもしれない。あんなに距離を置いていたのに、いざ話すと恥もなにもなく、中学以前の頃と変わらず接している。これが在学中にできていたら良かったのにと、心の中で靄が生まれる。

 

 暫く、目の前に広がる景色を無言で眺めた。

 

 両側の河川敷に挟まれる形で、幅広な川が中央に流れている。ときに底が見えるくらいに透き通るこの川は、沈みかけた夕陽によってほんのりと茜色に染まっていた。小さな波によって白い線がいくつも引かれ、時折魚が跳ねて小規模な波紋の群れが川面に広がった。

 

「きれーい」フウが景色に目を遣りながら口を開いた。

 

「こうやってシンちゃんとお話しするの、久々だね。中学に上がってから、全然話せなかったから、寂しかった」

 

 嬉しさと悲しみを半々に抱えたような声色に、シンバはごめん、と謝った。

 

「ううん、私も、自分からシンちゃんと話さなかったもん。ただ、てっきりシンちゃんに嫌われちゃったのかなぁって、不安で不安で」

 

 違うっ! シンバはフウが言い切る前に声を張り上げた。あまりの大きさに自分でも驚き、ごめんと俯きながら、自分も本当は話したかったと、溜めていた想いを零す。

 フウは口をぽかんとさせたが、すぐに破顔した。良かったぁ、嫌われてなかったぁ、と欄干に載せていたシンバの手を握った。

 最後に握ったのは、小学生以来。久々な感触は、手を繋いでいた頃よりも大きく細く滑らかで、しかし変わらぬ彼女の熱を放っていた。

 

「実はね、シンちゃんに大事なお話があるんだ」

 

 フウの言葉に、シンバの背中に冷たい汗が流れた。肌に沿って、ゆっくりと舐めるように滑り落ちる感覚に不快感を覚える。

 一体何を言われるのか、状況的に別れの言葉なのか、シンバは密かに心を緊張させた。

 

「……今日、式の後、石部君に告白されたんだ」

 

 やっぱり、と胸の内で零す。それを誤魔化すように、シンバは、知ってる、と素っ気なく返し、夕焼け空に目を向けた。あの光景は、誰がどう見てもそういう場面だと理解できる。

 

 良い奴だよね、石部君って。

 

 そんなつもりはないのに、ちょっとだけ放すような言い方になる。本当に、良い奴なのだ。フウと話して、ちゃんと関係を築いて、そのうえで告白をしたのだから、自分とは比較すらできない。

 

「じゃあ見てたの?」と聞かれ、途中で帰ったと話した。

 だから、返事を知るはずがない。

 

「……私、告白、断っちゃった」

 

 そう告げたフウを目で見た。そして見ながらゆっくりと、顔を向けた。フウは、真っ直ぐとシンバを見つめていた。

 

 シンバは細かく瞼を瞬いた。握られた手の指先で欄干の表面を擦ると、冷たい感触が走った。

 

 どうして、告白を断ったの? 

 

 たった一つ、沸いた疑問を、少しの間を置いて投げかけた。

 

 フウは目の端に皺を作り、白い歯を見せた。

 

「……好きな人、いるから」

 

 放たれた言葉に胸が嫌に跳ねた。

 意識しない突然のことに、シンバは彼女の瞳を見つめた。微かに揺らぐ瞳は、間違いなく自分の姿が映っている。スカートが風を孕んでふわりと膨らんだ。

 

「……その人はね、私にとって、すごいすごい大切な人でね……昔、大切な人形を落としたの。でも、見つからなくて。そしたらその人が…………ううん、その子がね、一緒に探してくれたんだ」

 

 ほら、あの辺だよ、とフウは指差した。確かに、あそこで人形を探していたフウと自分は偶然出会った。

 

 それじゃあ、好きな人って。

 

 そんなセリフが喉を這い上がり、吐き出さずに口の中で消える。言わずとも、シンバにはそれが誰なのかは分かった。

 分かってしまった。

 いや、分からないはずがない。

 そして分かった瞬間に、胸の鼓動が速まり、胸元を内側から殴った。今度は、違う意味で胸が跳ねる。ごくりと唾が咽を通る。顔が上気して赤くなっているのが汗で分かる。熱は当然フウにも伝わり、フウもまた陽のオレンジに紛らすように顔を赤くしていた。

 

「……その子のこと、ずっと好きだったんだ。ずっと、ずっとだよ。お友達になって、女の子の気持ちが分かるようになって、夏祭りとか一緒に行って、いつも隣にいてくれて、それで気づいてから、ずっと。それからはもうドキドキしてて……ね、今も、目の前にいるから……すごくドキドキして……」

 

 フウの掌がさらに強く握ってくる。

 気が付けば、向き合って見つめ合っていた。

 

「でも、上手く伝えられなかった。気持ちを伝えようとすると、どうしても怖くなっちゃって。だから、ね。全然話さなくなって、嫌われたかもって…………でも、違ってよかった」

 

 視線をシンバと絡めたままに、フウはもう一方の手も合わせる。指の1本1本を隙間に搦めていく。

 

「今日を逃したら、もう二度と伝えられない気がして……だから、呼んだの」

 

 フウは息を吸った。そして深く吐き出し、口を開いた。

 

「シンちゃん…………私ね、シンちゃんのこと、ずっと、好きだったんだよ」

 

 爽快な空気を孕んだ風が吹く。緊張から湧き出た汗を乾かして肌を冷やす。胸の鼓動が速さを潜め、けれど一つ一つを力強く打つ。

 

「だから、私、伝えたい……いい?」

 

 シンバは頷く。

 そして溜め込んだものを吐き出すかのように、フウは噤んだ口を解いた。

 

「……私と、お付き合いしてください」

 

 夕焼けがさらにフウを照らす。それでも誤魔化しきれないくらいに、フウの顔は秋の葉のように紅潮している。口許は笑みを浮かべているように見えて、どこか歪んでいる。他人では気付けない僅かな違和感を、シンバは感じ取った。

 答えは、考えなくとも出ている。こちらもずっと秘めていたのだから。

 穿った空洞に温かなものが注がれていく。

 ブクブクと浮泛していた無数の嫌な泡が、パチパチンと気持ちよく弾ける。

 

 シンバは、彼女に告白の返事をした。

 

 そして、改めて自分からも、ずっと秘めていた思いを告げた。

 

 フウの表情から歪みは消えて、ぱあっとお日様のような明るさが灯った。瞳の煌めきは、川面に反射する空の景色のように、今までの中で一番の輝きを放っていた。

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 窓の外の色は、いつの間にか黒くなっていた。

 外ではさっきまで、午後五時を告げる音楽が流れていた。あれを聞くと、大半の子どもは何故かお股の辺りがきゅうっと縮こまるらしい。シンバも、昔はこの曲を聞く度に門限が近いと思ってきゅうっとなって、モジモジとした。母の雷が怖かったのが原因でもある。

 しかし、門限も殆どない今となっては、それも懐かしい思い出になっていた。

 

「ここってどうやって解くの?」

 

 フウが問題集を横にスライドさせて、問題の箇所を指先で示した。シンバは問題文を読み上げながら、ここはこう解くんだよ、パターンとしてはこの問題と似てるよ、とノートに書きながら詳しく教えた。

 

「あ、そっかぁ、そういうことかぁ」

 

 フウは教えてもらったことを参考に問題を解いていく。詰まっていたものが取れたかのようにスラスラとペンを走らせる彼女の横顔を眺めながら、テーブルの真ん中に置かれた皿からチョコ菓子を一つ摘んで口に放った。

 

 フウの部屋で受験勉強を始めて早くも数時間。駅で待ち合わせをして、近所のモールのフードコートで昼食を済ませて、浮守家に到着してから、あっという間に時間が経っていた。

 こうやって彼女の部屋で勉強するのも、かなり久々だった。1年、2年のときは、毎日のようにお互いの家に入り浸っていて、疎遠だった中学の3年間を埋めるかのように、お家デートからお外デートからお泊まりデートまで、常日頃からイチャイチャしていた。それこそ友人との時間を削ってまで──とまではいかず、きちんとそれぞれの交友関係も充実させつつ、可能な限りイチャついた。

 

 しかし3年生ともなれば、流石に受験に向けて生活を改めなければならない。受験対策の予備校や高校独自の補講も受ける必要がある。だから、デートもイチャイチャも受験が終わるまでの我慢と、自分達でルールを作り、勉強に集中できるよう自制していた。

 

 ……が、流石にそんな生き地獄のような環境に1年弱も耐えられるわけがないので、結構な頻度でビデオ通話でのお勉強会を拓いていた。そしてたまに、こうしてお泊まりも実行している。今日は本当に久々なので、ウキウキが止まらない。

 勉強もする、イチャイチャもする、追い詰めの時期も、焦らずに。

 

「できた」

 

 フウは顔を上げ、書いたものを見せる。書かれた内容に目を通し、完璧、と言うと、「やったー!」と嬉しそうにはしゃいだ。

 

 それからまたしばらくしてから、ふと、シンバは可愛い形をした置き時計に目をやった。6時をとうに過ぎていた。どうやらいつの間にか時間が進んでいたようだ。

 

「つかれたぁ」

 

 一息つくと、フウはそのまま前のめりになってテーブルに突っ伏した。胸を卓上に乗せて、腕を伸ばして「きゅ〜け〜い」と息とともに吐いた。始めてから休憩を挟まずやっていたから、シンバもそろそろと思っていた。

 

「やっぱり、こうして一緒にいる方が勉強捗るね。映像もいいけど、生のシンちゃんの方が分かりやすいもん」

 

 フウは皿の菓子を摘み、口の中へ放った。もきゅもきゅと咀嚼しつつ、ゆるりと体を横に反らして、隣に座る彼氏の肩に頭を乗せた。彼女の甘えに応えるように、左腕を彼女の首後ろに回し、頭髪を抱えて撫でる。満足満足と、フウはふふんと息を洩らし、ミニテーブルの上で指をトントンさせた。

 

「ねえ、夜ご飯何食べたい? 私ね、結構レパートリー増えたんだ」

 

 ビーフシチュー、エビチリ、ハンバーグ、中華とか洋食云々。新メニューの一つ一つを、フウは褒めて褒めてと強請るように発表する。フウちゃんの作る料理なら何でも美味しいと返すと、フウは「じゃーマーボーどーふ〜」と歌うように声を弾ませた。

 

 それぞれ、別の大学を目指している。しかしどちらも始めは実家から通う予定なので、離れ離れになることはない。大学に入学してからも、こうやってイチャイチャするのは目に見えていた。大人としての責任が伴うと同時に、やれることも増える。イチャイチャのその先のことも、多分。いや絶対、やる。実家を出たら、もっと積極的になる。

 

 疚しい妄想に、シンバはフウに悟られぬように微かに首を振った。なによりも、まずは合格しなければならず、そのためには一時期の邪欲は抑えなければならない。

 しかしそれはそれとして、今はフウとのかけがえのない時間を味わおう。

 

「シンちゃ〜ん」

 

 すりすり、すりすり。フウが猫のように女体を擦り寄せる。すっかり勉強モードが消えていた。このまま夕食過ぎまで戻らないだろう。

 

「ねーねー、そういえば由美っちがね、また新しく撮ったんだって」

 

 じゃあ来月に? と訊ねると、フウは多分、と上目で返した。

 

 由美っちはフウの通う女子校の友達の1人だ。SNSにしょっちゅう写真を上げていて、日常のちょっとした出来事の愚痴や友達とのツーショットなど、様々なツールを駆使して自己発信している。一度、フウと待ち合わせをした際に偶然顔を合わせたが、所謂モデル体型で、キリッとした顔立ちをしていた。気さくな性格で、初対面のシンバ相手にもフレンドリーに接していた。

 

 そんな彼女は、現在とある事務所にモデルとして所属している。昨年、学校案内のパンフレットで表紙を飾り、それを偶然見た事務所が是非うちにとスカウトしたのだ。

 かなりの人気で、少なくとも、女子校内で由美っちの名前を知らない者はいないという。その姿を見ようと、態々遠方から足を運ぶ他校の生徒もいるとかいないとか。この前も配信系の番組に出演したとの事で、人気はうなぎ登り間違いなしとのことだった。

 

「今度のも結構いい感じだから、絶対に見てねって念押されちゃった」

 

 また菓子に手を伸ばし、口へ放り込みもきゅもきゅと咀嚼する。

 友人の朗報を嬉しそうに語るフウだが、実を言うと、フウも由美っちを通して事務所からスカウトされていた。容姿は言わずもがな、人を惹きつけるオーラに彼らも目をつけた。是非君もモデルにならないかと、若干懇願するように頭を下げられた。

 

 だが、フウは断った。シンバとのデート中にデリカシーなく話しかけてくる輩をあしらうよりも丁寧に、笑顔で「ごめんなさい」と頭を下げ返した。何故だ、君ほどの子なら絶対売れるのにと相手が食い下がるのも無意味に、彼女は振ったのだ。

 

 その知らせを後から聞かされて、シンバは驚くよりも納得していた。フウだったらスカウトされるのも当然だろうと確信していた。でももしそうなったら二人での時間が減るだろうから、それはそれとして寂しいとも思った。正直に言うと、断ったことにほっとしていた。

 

 …………でも、と時々思う。

 

 もしもフウがモデルデビューしたら、どんなふうになるのだろう、と。

 

 フウは魅力的な女性だ。彼氏だからこそ、彼女の魅力については誰よりも良く知っているつもりだ。

 

 もしかしたら、由美っちのように人気者になっていたかもしれない。そしたら自分は……フウの良さがみんなに知られることに嬉しさが止まらないだろう。

 純粋に彼女が褒められることは嬉しいし、好きな人が増えるのも嬉しいし、フウが活躍姿も見てみたい。

 そしたら、自分は恋人として隣で支えたい、1番のファンとして応援したい。うちのフウちゃんはサイコーでしょ! とみんなにフウの素晴らしさを伝えたい。

 

「ねぇ、なにか考えてるの? 目が遠いよ?」

 

 すりーっと頬と頬をくっつけようとするフウに、シンバは意識を部屋の中へと戻した。そして間近で見つめる彼女に、今さっき思っていたことを話した。話しても大丈夫だろうか、怒られないかと不安半分だったが、意外にもフウは平気そうだった。ふんふんと頷きながら、たまに照れくさそうに微笑んだ。

 

「でもね、いいんだ」

 

 フウは頭を微かに動かすと、シンバの耳許で息を吹きかけるように囁いた。

 

「だって、シンちゃんとの時間が一番大切だから」

 

 今みたいにね、という後付けが鼓膜にくっつく。

 ゾクゾクっとしたものが全身に奔った。

 

「私にとって、シンちゃんとこうして一緒にいる時間が、1番幸せだよ……だから、その時間を削られるのは、やなの」

 

 フウは身動ぎ、緩慢な動きでシンバの体に凭れる。ゆっくり両手を回して、力を込める。シャツとブラウスが衣擦れを鳴らして、収められた膨らみが押し付けられ、シンバの体に密着する。いつも以上に押し付けられている気がする。緊張と面映ゆさが混ざり合う。

 

「シンちゃん……シンちゃんは私のこと、好き?」

 

 覗き込むように窺うフウ。好きって言って欲しいと唇が妖しく濡れている。

 

 シンバは刹那、フウへの想いを巡らせた。

 

 フウから告白をされたとき、両想いであったことへの嬉しさと同時に、自身の醜さを見た。

 

 あの頃は、中学に上がりたてなのもあって、序列だとかカーストだとか男女だとか、そういう目に見えない概念的なことばかり気にしていた。

 

 その中で、フウを突き放していた。自分とは住む世界が違う、自分が釣り合うわけがない。そうやって言い訳を並べて、彼女を遠ざけていた。嫌われるのが怖くて、ずっと怖気付いていた。

 

 3年間ものあいだ、いや、それ以上の期間、フウが自分のことを思い続けてくれたことにすら気付かずに、自分勝手な行動ばかり取っていた。

 

 挙句、他の男子に告白されるのを見て、お似合いだとか、1人で勝手に自己完結したうえで、勝手に自己嫌悪して。フウの気持ちなど、一切考えていなかった。

 

 なにが序列だ、なにが釣り合わないだ、結局は自分自身が意気地無しだっただけで、フウという女の子の気持ちを知ろうとしなかっただけだ。

 

 フウという女の子を見ようとしなかっただけだ。

 

 自分がフウを受け入れなかったのだ。

 

 シンバは自分こそが真の愚者であることを、あの瞬間知った。今も自覚している。自覚しているからこそ、フウという存在自体を愛し好きでいられているのだ。それはこの数年で、ハッキリとしたものになっていた。

 

 フウはこの世に1人しかいない。浮守芙愛という存在は1人しかいない。自分はフウが好きだ、異性として、恋人として、愛する人として、フウが好きなのだ。

 

 だからこそ、本心から、フウの問に、大好きだ、と返すことができた。目を逸らすことなく、瞳の奥を覗きながら、自分の気持ちを真っ直ぐと伝えた。

 

「えへへ、私も、シンちゃんのこと、だーい好き♪」

 

 フウが飛ぶように抱きつき、そのまま後方へと共に倒れ込んだ。桃色のカーペットの上で2人は寝そべるような姿勢になった。

 仰向けのシンバの傍らで、フウはぎゅうぎゅうと柔らかい肉体をくっつけて猫を真似るように喉を鳴らした。そしてシンバも飼い猫を愛でるように、フウの髪を愛しく撫でた。撫でると、甘い香りが漂った。

 

 いや、この部屋全体が、フウの匂いに包まれている。家具もインテリアも、ふわふわーっとした柔らかなもので彩られていて、その領域にシンバは包み込まれている。この空気に一種の安心感を覚えている。

 

 シンバはフウを見た。

 フウは今、学校指定のストライプ柄の臙脂色のネクタイを緩めていて、ブラウスは第二ボタンまで外している。おかげで、中の谷間が丸見えになっていた。白い肌に浮き出た鎖骨も相まって、黒い溝のような隙間に吸い込まれてしまうような幻覚を与えてくる。

 

「どうしたの?」

 

 小首を傾げるフウに視線を遣って、シンバは作り笑う。今、自分の中の邪な欲が、彼女の肉体に反応して固くなり始めただなんて、口が裂けても言えるはずがない。

 

「なんだかすごく顔が赤いよ?」

 

 熱? とフウは顔を近付ける。体を匍い、シンバの上に軽く乗っかるようにしてシンバの額に掌を当てた。別に、こうやって顔を近付けたり手を当てたりは日常茶飯事だからいい。問題は、この体勢のせいで股間部の固いモノが彼女の脚に当たってしまっていることだ。

 

「…………あっ」

 

 案の定、フウは気付き、自分の脚に、そして自然とシンバの下半身に視線を向けた。モジモジと脚を微動させる。間違いなく固くなっていることを確認すると、頬を赤くしながらシンバに視線を戻し、ゴクリと小さな喉仏を動かした。

 

「……興奮、してくれたの?」

 

 興奮しただなんて、直球で言われて恥ずかくないわけがない。しかし恥ずかしいのは、直球で言ったフウ本人だろう。

 

「……そっか……そうなんだ」

 

 下半身を動ごかそうとするも、フウが脚元を絡めているため叶わない。胸の中が一層気忙しくなる。

 

「うん、私だって、女の子だから知ってるよ。男の子がエッチな気持ちになったら、あそこが硬くなることくらい。シンちゃんだって、女の子があそこを弄るの、知ってるでしょ? それと同じだよ。私も……知ってるんだよ?」

 

 フウはより紅潮としつつも言葉を止めない。切り上げるタイミングなど与えないように、この先を望んでいるかのように話を続ける。

 

「……たまにね、周りのみんなが、顔から下をじーっと見てくるの、気づいちゃうんだ。男の人に声をかけられたときなんて、胸しか見てなくて…………だからね、シンちゃんが私のこと、体じゃなくて、フウを好きになってくれてる事、すっごく嬉しいよ」

 

 だからね、と腕に力を込める。

 

「我慢しなくていいよ。いっぱいいっぱい、私の体に、興奮していいよ……私も、シンちゃんになら、いいよ」

 

 すぐ間近で、フウが媚びたっぷりな瞳で見つめる。息が吹きかかるくらいに近くて、目奥の揺めきが覗ける。

 

「……チュー、しよ?」

 

 蠱惑的な誘いにシンバの理性は枷を1つ外し、彼女の体を抱きしめ、唇を重ねた。

 

「んんっ♥……ん、んちゅっ、ちゅ♥」

 

 薄く、しかしぷるぷると潤いを持つフウの唇は柔らかくて温かい。キスならもう何度もしてきたけど、フウの唇は、いくら重ねても飽きない味を持っている。口の動きは止まらない。貪り啖うように、シンバの唇はフウの唇を吸い上げる。

 

「ちゅる、ん♥……んちゅう、んん、んれぇ♥」

 

 吸い上げながら、シンバは舌先をフウの中にねじ込んだ。勉強のお供にと食べていた菓子の味が残っており、チョコの甘みが仄かに舌に広がった。舌先が歯茎と白い歯を撫でるように舐め上げ、ときにフウの舌と絡まり舌表と舌裏を刺激し合う。舌先を吸い合い、唇を窄め合う。次から次へと唾液が分泌されていく。

 

「んちゅ、ぢゅる♥んっ゙♥ンッ、っっ゙♥れろ、んちゅ、むちゅ、れろっ♥」

 

 普段の軽いキスとは違い、今日はどこまでも深く探ろうと舌を滑り込ませる。分泌し合う唾液と唾液の絡み交わる水音を唇の隙間から洩らしながら、ときに抑えた声もあげる。濃いキスに浸るように、シンバもフウも目を細めている。フウの前髪が肌を擽る。

 

 むぎゅっ♡むにゅっん♡むにゅ♡

 

 モジモジとフウが身動ぐ度に、体の間で膨らみが柔く潰れる。シンバの胸元に広がる感触は、余計に陰部の充血を加速させた。

 

「ん……♥ねえシンちゃん、おっぱい、気持ちいい?」

 

 フウに訊かれ、シンバは素直に、フワフワしてて気持ちいい、食べてみたい、と答えた。

 フウの胸は、衣服越しに見ただけでも結構『有る』と分かるので、つい視線を下げてしまう輩が多いのも頷けてしまう。

 

「私の胸……好き?」

 

 シンバは首肯した。より食べてみたい、貪りたいと妄想した。

 

「じゃあ、どうしよっか……このまま、やっちゃう?」

 

 首を傾げるフウに、シンバは興奮を覚えつつ、一旦の冷静さを取り戻す。

 

 やる、この先を、してみたい。フウも同意してくれているから、今すぐにでも始めることはできる。弾けそうな欲を解放したい。

 

 しかし、だ。もしここで始めてしまったら、自分は溺れる可能性が高い。受験のことも忘れて、大好きなフウと目合うことに夢中になるかもしれない。追い込みをかけるこの時期に、そうなるのは非常にまずい。いま性に爛れた生活を送っては、自分もフウも、どちらの努力も水の泡になるかもしれない。

 

 その旨を、批判覚悟でフウに伝えた。しかしフウは不機嫌になることはなく、むしろそう答えると分かっていたかのように、「私も、勉強そっちのけになるかも」と恥ずそうに笑った。

 

「でもねシンちゃん……私は、大好きなシンちゃんとエッチばっかりになっても、それはそれで嬉しいよ」

 

 フウの誘う眼差しは逸れない。シンバの意見という名の都合のいい断りを、意気地無しな台詞を見透かしたかのようにさらりと受け流している。

 

「それにね。私達なら、そんなことにはならないと思うよ。なんでって? もう3年もお付き合いしてるんだから、分かるもん……ううん、小学生の時から見てたんだから、分かるよ」

 

 誘うと同時に、その眼差しは真っ直ぐとシンバを射貫く。

 

「だから、ね? 自分のこと、もっと信用して? 私は、シンちゃんのこと、信じてるから」

 

 射貫きながら、フウは微笑んだ。微笑みの中には卑しさと覚悟を孕んでいる。

 非常に苦しい。自分のギンギンと漲り張り詰めたものは、その気満々といきり立っている。早くイかせてくれと吼えている。シンバの理性は、フウの誘惑に意図も容易く傾いた。

 

「シンちゃん? ……あんっ♥」

 

 シンバは片手をフウの背中に這わせながら、そのまま彼女の下半身へと持っていき、スカートの中に潜らせ、ショーツのクロッチ部分に触れた。突然のことにフウは嬌声を上げた。その声にシンバの鼓膜が震え、興奮させ、ショーツのさらついた表面をさらに愛撫する。

 

「ん、シン、ぁ゙♥……ダメ、んん、ふぅ♥ふぅ♥ん、んぁ♥……んちゅ、れろっ♥じゅるるっ♥んむっ、ちゅっ♥」

 

 フウの声を塞ぐように、シンバは再度唇を重ねる。今度はフウも積極的に啄み、唇を唾液で濡らしていく。

 スリスリと下着を擦る音は、やがて湿り気を帯び始めた。くちゅり、くちゅり、と布地に粘着いたものが染み込み、熱が指先に温く伝わる。

 フウは脚を閉じて悶々としながらもそれを受け入れ、自身もまた、シンバの下半身に腕を伸ばしてまさぐった。ゆっくりと、探るように股間部へと指を這わせ、固い部位に触れると、一段と膨らんだ丘稜を爪でカリカリと引っ掻く。ズボン越しでも伝わる擽ったさにシンバは悶えつつ、フウと目を合わせた。フウは妖艶な笑みを浮かべながら唇を舐め、舌を突き出してシンバの口元を塞いだ。

 

 シンちゃんだから、いいんだよ。

 フウの息がシンバの耳朶を弄る。指で陰部を何度か撫でたあと、ズボンのジッパーを摘み、ゆっくりと下ろした。抑えられていたものが少しずつ解放されていき、開いた隙間から青いパンツの一部が盛り上がった。

 凄い、ホントに硬い、とフウは洩らしながら、パンツのざらつく表面を擽る。蕾のように窄めた指が、浮き出た筋を擦り、シンバを低く吼えさせる。そして開いたジッパーに手をねじ込み、ゴムを下ろし、内部へと侵入した。

 

 ピトッとしたものが触れる感覚。ヒンヤリとしているかと思えば、雄の熱に合わせて肌が火照る。自分の触覚を、5本の細いものが包んでいる。

 

 今が現実なのか分からなくなった。あのフウの指が、自分のモノを触れて擦っている。いつも繋いでいた手が、恥部を奉仕している。それだけでも、先端から粘り気のある汁が溢れてくる。穴からぶくりと滲み出るのが見ずとも分かる。

 

「じゅる、れりゅ、レロ♥ンチュっ、んん゙♥……んんっ!」

 

 ならばと、シンバもスカート内でまさぐる指先をショーツの隙間にねじ込んだ。ツルツルではない、陰毛の感触がある。そして下着に隠されていた恥部の、縦に割れた肉唇を直で触れた。ぬるりとした液体が、指先にまとわりつく。まとわりつかれた体液によって動きはより滑らかになり、フウの喉をか細く鳴らした。

 

 クチュ♡くちゅ♡ぬちゅ♡ぬちゅ♡くちゅ♡

 

「んへ、シン、ひゃ……ぇ゙♥ぇ゙ぁ゙♥ちゅ、んにゅ♥んんっ、あ、っ、ん! ……っ♥」

 

 ようやくお互いのものを捉えた。そうなると、あとは絶頂点を探すだけだ。

 シンバは、フウの割れ目を探り続けた。秘裂内部にある2つの穴と、最前部にある核、見えぬ代わりに想像で補う未知の感触に、不器用ながらも弄り続けた。それはフウも同じで、彼女の指はシンバを包みながら扱く。根元や膨らみの顎を、先走った汁を塗りたくりながら夢中で探っていた。こそばゆさと引っ掻く痛さに、己はさらに充血した。

 

 自分で弄るのとはわけが違う。オナニーとは違う。他人から、しかも恋人からしてもらうことが、こんなにも感情を昂らせるとは。

 

「ぁ、ぃく……ん゙っ♥んっ♥」

 

 絶頂は既に近い。互いの動きが激しさを増す。確実に絶頂させようと、全身が強ばり力が入る。

 

 ────ぐちゅっ♡♡

 

「ん゙ん゙んっっっ゙♥♥」

 

 そして唇を隙間なく密着させたまま、2人は同時に絶頂を迎えた。フウの到達は喉を這い上がり、繋がれたシンバの中へと送り込まれる。内臓が震え、睾丸が震え、脳が揺れる。白くなりかけた意識の中で、シンバは眉を顰めて喘ぐフウの姿を見た。

 

 自分の指に、股下から沁み出た粘液と潮が降りかかる。

 そして陰部が跳ねて、脈動と共に迸り、フウの手を汚す。

 

 あっ、と息を洩らして口を離す。荒く息継ぎをしつつ、下着から手を引っこ抜き、互いの目の前に持ってきた。シンバの手は女性器の愛液で、フウの手は白濁色の体液がべとりと付着していた。

 

「すごい、これがシンちゃんの」

 

 フウは指を含み、白濁液を頬張った。

 

「苦い……でも、不思議。美味しい気もする」

 

 クチュクチュと色っぽく精液を転がすフウに、シンバも試しにと指先の愛液を含んだ。酸味の強い、しかしどこか仄かに甘い味が口の中に広がった。これは癖になる、と苦笑した。

 

 本番を迎えていない、前戯にも満たない行為で、自分達は絶頂した。しかも絶頂したというのに、雄は萎びる様子もない。むしろ次の行為を求めて硬さを保っていた。

 

「……本番、やる?」

 

 やる、やらない。頭の中で天秤が左右に揺らぐ。しかし、格好つけているだけで答えは既に出ている。シンバは、小さな声で、やる、と答えた。

 

「じゃあ、せっかくだから、寝るときにしよっか。お腹空いたし、ご飯もちゃんと食べて、お風呂もきちんと入ったあとで、ね?」

 

 チュ、とフウは唇を尖らせた。シンバは彼女に覆いかぶさり、押し付けるように唇を重ねた。愛液と精液がごちゃ混ぜになった味がほんのりと香った。

 

 それから2人は、夕食時までキスを交わした。舌が疲れなど忘れて、只管唾液を絡め合った。

 

 早くしたい、夜の妄想を膨らませながら、シンバはフウを吸った。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 十分にキスを堪能し、後始末を終え、フウ特製の甘辛い麻婆豆腐を食べ、暫しイチャついた後、入浴を済ませた。シャワーを浴びながら、勉強のことは一旦脳の端っこに追いやり、この後のことを想像しながら、シンバは自身の陰部を丹念に洗い流した。こんなことなら剃り落とせば良かったと縮れ毛を摘んで引っ張りながら独り言ちた。

 

 そして夜半、シンバは己の呼吸を聞きながらベッドの脇に腰を下ろしていた。パンツ一丁の上に浴衣のような青いバスローブを纏い、ベッドサイドのランプの灯りをちらりと一瞥し、フウの登場を逸る気持ちで待っていた。

 

 今頃、フウは入浴を済ませて同じようにバスローブを着ているだろうか。本番までのお楽しみ、と囁かれたのもあって、シンバの頭の中は煩悩に塗れ、フウの裸でいっぱいになっていた。

 

「シ〜ンちゃ~ん」

 

 部屋の外から向こうからフウの声が聞こえた。入るよぉ、と言われ、どうぞ、と反射的に答えた。

 扉が開く。開いた隙間から、ひょこっとフウが顔を見せた。そのままシンバと目を合わせながら、滑り込むように体を潜らせて、後ろ手で扉を閉めた。

 

「おーまーたーせ♥」

 

 卑しい笑顔を向けられつつ、シンバは現れたフウの姿に目を奪われた。

 

 下ろした長髪は毛の先まで濡れていて、薄暗い暖色をキラキラと跳ね返している。お湯で火照った顔はポカポカと穏やかに紅くなっていて、潤っている。

 そして体は、普段のパジャマ姿ではない。色違いの、桃色のバスローブに身を包んでいる。

 

「どうかな? 似合う?」

 

 フウは軽く前のめりになり、顎に指先を当てて首を傾げた。胸元の谷間と、身につけた黒の下着が覗いている。潤んだ上目遣いを向けられ、シンバは唾を呑み込み、とっても、と息と共に吐いた。フウは口元を弓なりにしつつ、隣に座った。

 

「これねぇ、お父さんとお母さんが結婚したてのころに買ったやつなんだ。でも、全然着てないから、私にくれたんだ」

 

 貰っておいて良かったぁ、と言い、フウは胸の中心に両手を当てた。

 彼女の体からは、花の香りに似た良い匂いが漂っている。ライトの灯りが明暗を生み出し、フウの色白を艶やかにさせている。

 

 今から、本当にやる。さっきのようなイチャイチャの延長戦のような、前戯に毛の生えたものとはわけが違う。未経験者なシンバとフウにとっては未知の領域だ。

 

「緊張、しちゃうね」

 

 うん、と頷く。いざ本番となると、どちらも顔を赤くしていた。

 緊張はある。だが不思議と、不安や初めてのことへの恐れはない。ずっとこういうことをしてみたかった。恋の先をしたかった。

 

「シンちゃん」

 

 フウに呼ばれ、大きく唾を呑み込んだ。互いにベッドに乗り上げ、向かい合う。フウがシンバの膝に手を置く。シンバは彼女の手に自分の手を重ね、そのまま自身へと引き寄せ、体を抱きしめた。

 

「んっ♥……んちゅっ♥……ん゙っ、んふぅ♥」

 

 抱き寄せる勢いのまま、フウの唇を自分のもので塞ぐ。ゆっくりと唇の溝と溝を塞ぎつつ、その口内では、舌先を忍びこませて暴れさせている。舌同士を絡ませ、唾液で肉を潤わせる。ぬちゅぬちゅと粘ついた音が不規則に奏でられ、2人の情欲をより燃やした。

 

「ん、ぢゅる……シ、んンッ゙♥……っ、あっ゙♥」

 

 唇を吸い、深くまで押し込み、舌肉を啜る。口許を濡れ濡れにさせながら、シンバはフウの体を抱きしめ、女体に手を這わせた。

 腹部を触り、乳を軽く掠め、肩甲骨をなぞり、バスローブの肩部分を肌蹴させる。骨格の関係で男子よりも華奢に見える彼女の白い肩は、風呂上がりなのもあってほんのりと火照っている。触れてみると、掌に温かさが伝わった。

 

「ん、れろっ゙♥……っ、んっ、んふっ、ふふ、ん〜♥」

 

 擽ったいのか、フウは時折息を洩らして笑う。笑いつつも、舌先の畝りを辞めない。

 シンバの口の中は、甘い唾液の味に包まれている。キス前に口腔ケアをしたのもあって、初めはミントの爽快な匂いが広がったが、それもほんの一瞬で、直ぐにフウの味が染み出して広がった。お菓子のような甘さやフルーツに似た甘さとは違う、そしていつものキスとも違う、セックス時に湧き出る唾液の味に、シンバの鼻腔は熱を帯び、瞼の下辺りをクラクラとさせた。

 クラクラした思考は手先を独りでに動かし、桃色の帯を掴んでゆっくりと解いていく。フウも応えて、青色の帯を引っ張った。

 

「んぁ゙……シンちゃん」

 

 口許を離し、フウは潤ませた双眸を向けた。すぐ間近にある瞳は、艶やかに煌めいている。視線を下ろすと、深い谷間が露わになっていた。

 

「おっぱい、欲しい?」

 

 そう訊かれ、シンバはすぐに頷いた。それじゃあ、とフウが一旦離れる。そして自分のバスローブを摘むと、そのまましゅるりと、衣擦れの音を鳴らしながら脱いだ。

 

 現れたのは、黒のブラジャーとショーツだった。上下合わせてのセットのようで、どちらにも白く鮮やかな花の刺繍が施されている。中心部には綺麗なIの字の乳溝が描かれており、滲み出た汗玉が滴って落ちていく。この光景だけでも、シンバの欲は燃えるように熱をあげた。

 

「じゃあ、脱ぐね?」

 

 そう言ってフウは後方に両腕を伸ばし、ホックを外した。

 

 全てのホックが外れた途端、胸元が大きく膨らんだ。まるで乳に直接空気でも注入されたかのように、ボンッという擬音を立てて突き出した。

 

 そして肩からブラ紐を下ろした瞬間、フウの双丘がポヨンっ♡と弾みながらその姿を現した。出るところは出て、控えめな箇所は控えめな、バランスの整った体型だからこそ、2つの乳房はよりその存在を際立たせていた。

 

「えへ、こうやってちゃんと見せるの、初めてだね♥」

 

 フウの胸は、ブラウスや私服越しでも結構『ある』と分かる。その丸みに多くの者は中身を妄想し、各々の想像の中で曝け出された物を思い描いていた。おそらく、多くの男子が爆ぜるためのオカズにしたことだろう。

 

 だが、所詮それらは単なる妄想でしかない。

 

 今、シンバの目の前に晒されているフウの乳房は、紛れもない『デカパイ』である。男なら誰もが夢見ると言っても過言ではない『巨乳』である。普段は乳を目立たなくする下着をつけているおかげで誤魔化せているが、いざこうして解放されると、その恥体をだらしなく揺らす。

 

 そして、それはただ単にデカイというわけではない。大きな膨らみを持ちつつ、形は崩れず綺麗な丸みとハリを保っている。クーパー靭帯がしっかりとしており、重力に逆らうように胸先の隆起は垂れることなく正面を向いている。じわりと流れる水滴が、乳房の緩やかなカーブ伝っている。

 

 至極の宝玉に、シンバは喉を鳴らした。

 

 間違いなく、前よりも確実に大きくなっている。修学旅行の写真で水着姿を見せられた時よりも、数ヶ月前に聞かされたサイズよりも、明らかに膨らんでいる。尚も成長を続けているようだった。

 

「膨らんでるでしょ?」

 

 両手を太腿に添えながら、フウはかくりと首を傾げた。

 身長は止まったのに、胸の成長は続いている。中学のときに着てたブラはとっくの昔に合わなくなった。

 恥ずかしさの孕んだ笑み。

 シンバは鼻穴を広げた。

 

「おっぱいって、大きいと不便なんだよ? 熱もこもりやすいし、重いし、下着もないし……でも、シンちゃんが喜んでくれるなら、おっきくても良かったって思う♥」

 

 フウは両手で下乳を持ち上げ、綺麗な円を描く淡い乳輪と大きめな峰先を震わせる。シンバを誘うかのように、ふるふると掌で躍らせて波を打たせた。

 

「はい、シンちゃん。お待ちかねのおっぱいだよ。たーんと、召し上がれ♥」

 

 誘惑が鼓膜に響き、シンバの心と体を引き寄せる。ローブを脱ぎ、上半身を露わにしながら、フウの体に抱きつき、吸い寄せられるように魅惑の谷間に顔を押し付けた。

 

 押し付けた途端に顔面全体が湿り気に包まれた。汗と湯気で濡れている。顔を左右に揺らして擦ると、水気のある雫が肌に染み込んだ。人肌よりもこもった熱が眼球に沁みる。

 

「あん♥そんなにがっつかなくても、私のおっぱいは逃げないよぉ♥」

 

 あまりの猛攻にフウも宥める。

 だが収まらない。

 谷間に顔を沈めたまま、ときに舌先を突き出して玉になった汗を舐めとる。ボディーソープの香りでは誤魔化せない、体液特有の酸っぱい味が広がる。舐めれば舐めるほど谷間は唾液で汚れ、汗は溢れる。このまま溺れてしまう幻覚さえ感じてしまう。

 

「もう、シンちゃんの甘えんぼさん」

 

 そう言いながら、フウは両乳を持ち上げて谷間をさらに深くする。耳許辺りまで沈めさせて音を遮る。フカフカふわふわとしたものに包まれる快感に、シンバの脳は早くも白く茹だった。

 動きを止め、フウを見上げる。彼女は微笑みを浮かべて見守っている。乳を寄せながらよしよしと頭を撫でる。フウの母性溢れる仕草に、シンバの根っこに残っていた赤子心が擽られた。

 

「きゃっ……!」

 

 体重をかけてフウを押し倒す。頭を打たないように、後頭部が枕に沈むようにゆっくりと寝かせた。

 

 むぎゅっ♡もにゅっ♡むにゅんっ♡むにゅむにゅっ♡むぎゅうっ♡

 

 動けないフウの豊乳をシンバは両手で揉み遊ぶ。重力で左右に広がる豊乳を掴み、円を描くように揉みしだく。張りを保ちつつ、もちもちっ♡とした柔らかな弾力を持っており、その大きさと包容力でシンバの掌を沈ませた。

 

「や、乳首つまんん゙♥ぁ、ふぁ♥ふぁ、んふぅ♥」

 

 指先で固い乳頭を摘むと、フウの体が微かに跳ねる。捏ねるように指の腹で回すと、彼女の口から甘い声が洩れた。痛みつつも、尖端から下半身にかけて悦びが巡っているらしい。

 

 シンバは情欲のままに乳房を揉みしぼり、乳頭と乳輪を中心に寄せる。

 

 …………ぢゅるるっ♡ぢゅるるっ♡ぢゅぼぉっ♡

 

 そして口を大きく開いて、両峰先に啖いついた。唇で覆いながら、口の中へと深く吸い上げて、搾るように吸引した。

 

「やあんっ♥」

 

 吸い込んだ瞬間に、甲高い悲鳴が上がる。悲鳴というが、歓喜に近い。嫌がる素振りなど全くない声は、喰われたことを喜んでいる。たとえ本人でなくとも、爛れた思考に切り替わったシンバには分かってしまう。

 

 ぢゅるる♡ちゅうっ♡じゅるるるるるっ♡

 じゅるるっ、ちゅうぅ♡ちゅぼっ♡ぢゅぼぼっ♡♡

 

 卑猥な音を立てながらシンバは貪り食らう。唾液を口の中で滴らせながら、歯を立ててカリカリと挟み、舌先でにゅるにゅると撫でる。口から滑り落ちそうになれば、両房をたぷたぷと揺らしてカタチを整え、また貪る。そう繰り返していくうちに、フウの悲鳴は嬌声に変わり、股下を悶々と擦り合わせる。擦る音はやがて水気を帯び始め、ぬちゅりという粘着したものへと変わった。

 

「ふ、ふぉ、んぁ゙♥……そんな、伸びちゃう、んぅ♥んぉ゙、んんっ゙、あぁん! ぁあ♥」

 

 頭を上げると、頬を火照らせながら見守るフウの顔が映った。目元は蕩け、口元はだらりとヘラり、熱を帯びた吐息が洩れる。濡れた髪が額に張り付いていて、玉のような粘る汗が流れている。

 

「おっぱい、美味しい?」

 

 こくんと、素直に頷く。食べ物ではないのに、このまま飲み込んでしまいたいくらいの甘い柔らかな感触に、陰部は充血しきっていた。このまま朝までおっぱいにしゃぶりついてもいいと思えてしまう。

 

 しかしそれでは自分だけしか満たされない。

 

 ちゅうぅっ、と勢いよく一吸いしてから、じゅば、と栓を抜く音を立てて唇を離した。薄い乳輪と乳頭はすっかりベトベトに濡れ汚れてしまった。

 

「シンちゃん?」

 

 小首を傾げるフウに、シンバは、フウちゃんのマンコを舐めたい、挿入する前にフウちゃんのマンコの味を確かめたい、と思い切って告白した。

 

 フウは困惑した。胸はいいけどあそこは汚いからと恥じらった。が、本音では彼女も欲しているようで、拒否することなく、「いいよ」と頷いた。

 

 シンバは胸元から離れ、体を後ろに退いた。唾液の糸を滴らせて女体を濡らしつつ、綺麗に窪んだ臍の穴を舐めてから、フウの股下に顔を持っていった。

 

 黒いショーツの底に、一際黒い色のシミができている。試しに人差し指の先で撫でてみると、ねちょりとした生温いものが肌を刺激した。

 

 最早、躊躇する必要もない。シンバはショーツを掴むと、そのまま自分へ引き寄せるように彼女の脚からするりと脱がせ、脚を開かせて股先を覗き見た。

 

 初めて目にしたフウの女陰。

 髪と同じ色の陰毛は程よく生い茂り、汗と愛液で濡れている。しかも割れ目は淡く充血してふっくらと膨らんでいる。触覚の情報で描いていたモノよりも何百倍もエロティックで、誰も手をつけていないとひと目でわかる。思わず口端から涎を垂らしてしまう。

 

「ねえ、シンちゃん、フウのオマンコ、綺麗かな? 汚いかな? お風呂でちゃんと洗ったんだけど……全部剃った方が良かった、かな?」

 

 フウの問いかけにシンバは応えない。代わりに、愛液の伝う太腿を左右に開脚させ、淫唇に指を添えて開かせた。

 

 内側は、陰唇よりも赤く肉々しい色をしている。菱形に広がった肉弁は紅い花である。

 上部の端に生えるぷりぷりな陰核と、点のような尿道、そして小さく窄んだ膣穴。

 膣穴からは、透明な愛液がどろぉ〜っと垂れている。僅かな照明に照らされているのもあって、粘液は白く輝いている。シンバは目を瞠りながら、開いた恥唇にキスを交わした。

 

「あんっ♥」

 

 汚い、汚くない、そんなことは関係ない。フウのマンコを貪りたい。実物を目の前にしたシンバの思考はただその一点だった。

 

 じゅるるっ♡ぢゅるるっ♡ぢゅずずっ♡

 

「ひゃあっ♥あぁ♥んんっ゙、ん゙ぁ……っ!」

 

 啖う。啖いつく。口の中に含んだ瞬間、酸味の強い味が口腔内に広がる。吸い出すと愛液が口の中へと注がれ、舌の上にのっかり、全体が痺れるような感覚が走る。呑み込むと咽の奥にねっとりと貼り付き、ゆっくりと食道を下っていく。陰毛を歯で挟んで軽く引っ張ると、割れ目は火照るように熱くなった。

 

「し、シンちゃん、すごい、積極的ぃぃ゙んっ!?」

 

 舌先を膣穴へと挿入した途端、フウの下半身が跳ねた。ビクビクと体が震える。濡れた陰毛が鼻先を擦ってこしょぐる。

 半分ほど舌を潜らせて、シンバは一気に暴れさせた。

 愛液は言わば樹液である。シンバはさながら蜜を啜る虫の1匹である。唯一違うのは、蜜を独占しているという点である。

 シンバは無我夢中に肉舌を暴れさせ、無花果のような粒の群れを擦った。処女膜と思しきドーナツ状の襞に触れると、穴は微かに窄む。

 

「はぁ、ああっ♥あぁ゙♥、あ、いやぁ♥ん、んんんっ゙! ふぅ、ふぅ、ぅゔっ♥」

 

 フウは喘ぎ、息を乱れさせる。背を跳ねて、下半身を悶える。

 だが、シンバに押さえつけられているから動けない。

 ただ自分の陰部が貪られるのを傍観するしかない。

 目の前で好き勝手に乱されているのに手出しできないことに顔を歪ませながら、媚びの効いた声をあげるしかない。

 

「や、あ、ぃ……す……ァ゙……んぁぁぁぁ゙っ♥♥」

 

 一呼吸置いた後、突然下半身を仰け反らせた。仰け反ったために陰部がシンバの顔に密着し、そのまま勢いよく潮を吹かせた。プシュッ♡という活きのいい音とともに、顔面が濡れる。一部は目に入り、若干染みた。

 

 ガクガクガクガク、激しく痙攣する。痙攣が収まると、フウは顔を背けて肩で息をした。

 

「はぁ、はぁ…………い、ちゃ、た……♥」

 

 フウが蕩けた笑顔を向ける。息で胸元が膨らむ度に、乳輪がふるんと震えた。

 体を起こし、秘部を眺める。赤い肉花は、見事なまでに濡れそぼっている。肉穴からとめどなく淫汁が溢れ出し、だらりと尻穴を伝ってシーツに染み込んだ。

 

「シンちゃん……♥」

 

 フウの全身が、吹き出た汗に塗れている。額、二の腕、首元、豊乳、臍、太腿、尻肉、至る所の汗腺から粘った汗玉が吹き出している。鎖骨の窪みにそって滴るものもあれば、臍の窪みに溜まるものもある。さっきまで香っていた風呂上がりの香りは、すっかり酸っぱい人間特有の臭いへと変わっていた。

 

 だが、それでいい。それがいい。フウの本当の臭いは、そしてこの淫靡な姿は、シンバの逸物をいきり立たせるためには必須だった。

 

「ふふ、すごい……もっこりしてる♥」

 

 バスローブの中で細く青い山を造るシンバの分身。先端の丸みから根元にかけて見事な尾根と谷が生み出されている。

 

 シンバは唾を一呑みし、下半身を覆うローブを脱ぎ捨てた。下半身を覆う前部は、既に立派な盛り上がりを生んでいる。特に先端の突き出た部分は、フウと同様濃い紺色のシミができている。

 

 ゴムを掴み、パンツを引き下ろす。

 

 ────ぶるんっ! 

 

「は、わぁ……♥」

 

 脱いだものを放り、見せつける。初めて見るシンバの男根に、フウは驚愕と悦びを混ぜた笑みを浮かべた。

 陰毛生い茂る根元から伸びる、見事なまでに反り立つ黒ずんだ肉幹。竿部分には幾つもの青い血管が筋ばしり、皮膚に黒子が点々とできている。一際膨らむ亀頭の先端からはカウパー液が垂れ流され、ビクンと脈打つ度に、ぶわっと溢れる。鰓は深々と怒り張っていて、相手を確実に穿いてやろうという意志を形に表していた。

 

「シンちゃんの、こんなに大きかったんだ。さっき触ったときは分からなかった……ちょっと、怖いかも」

 

 陰部というよりは最早凶器。生で拝めるのは今日が初めてなのだから、フウが怖がるのも無理はない。

 しかし、笑っている。怖いと言いつつ、開けた膣穴はヒクヒクとさせている。胸先がムクムクと盛り上がり、固く充血している。フウの雌としての生殖本能が、シンバという雄を欲しているようだ。

 

 大丈夫だよ、とシンバはフウの目を見ながら優しく声をかける。自分もこんなことをするのは初めてだし、大切なフウを傷つけないようにすることが第一だ。

 

 シンバは腰を前に出して、秘裂に添うように逸物を乗っける。裏側の太い筋が脈を打ち、熱を陰唇の外側に伝える。ビクビクと弾む度に、フウのマンコをペチペチと叩く。

 

「ふぅ〜♥……ふぅ〜♥……ふぅ〜♥」

 

 煽るだけ煽ってなかなか挿入してくれないもどかしい光景を、フウは尖らせた唇から荒く息を吐(つ)きながら見守る。獰猛なケダモノ臭いフェロモンを放つ雄亀の矛先が、我慢汁を垂れ流しながらフウを向いている。

 今からお前を犯すのだとチンポが自己主張している、自分はこの雄チンポに貫かれてぐちゅぐちゅに犯されるのだと、フウの目が恐怖と興奮で見開いている。目が離せない、挿入するその瞬間を見るまで離すわけにはいかない。

 

 シンバは指でフウの割れ目を開き、膣穴を曝す。先走り汁が肉花の中心部にとろりと糸を引いて垂れ落ちる。

 目標を探し当てると、入口付近を軽く解し、酸蜜をべとりべとりと溢れさせ、滑りをよくする。ある程度濡れたら、指にまとわりついた液を亀頭と竿に塗りたくり、雄の先を穴にあてがう。

 

 コンドームは、ない。

 フウのリクエストで、今日は生で初体験を迎える。

 安全日であることを踏まえても、本当はある方がいいに決まっているし、2人も十分に理解している。

 だが、性欲は理性に勝る。

 学生でのセックスはこの瞬間しかない。

 互いの欲望を抑えてまで常識やら理性やら道徳やらを優先する必要はあるのか。

 そんなもの、欲望が勝つに決まっている。

 

 ぴとり、と敏感な部分が淫穴と接吻する。

 フウは口を結び、見開いたままその瞬間を待つ。

 シンバはそのまま腰を突き出し、肉棒をフウの中へと挿入していった。

 

 じゅぶぶっ♡じゅぶぶぶっ……♡

 

「ふっ!? うぅ゙……! ぅぐぅぅ……!」

 

 亀頭が潜り込み、処女膜を押し広げる。

 シンバがフウの中へ潜っていく。

 その痛みに、フウは顔を顰め、鈍い呻き声を上げた。

 彼女には今、激痛が走っている。男のシンバでは味わえない痛みに襲われているのだ。だから、傷つかないように、少しずつ中へと沈めていく。その間も、シンバはあまりのキツさに早くも吐き出しそうになる。が、そこは意地で耐えた。全身に力を込めて、股間部に力を入れて、爆ぜるのを必死に止めた。

 

 じゅぶぶっ♡ブチブチ……♡

 

 処女膜が破れる音が響く。物理的に破けた音が鼓膜に届いたわけではなく、内側から破れる肉感が伝わっているのだ。ドーナツの穴が広がり、伸ばされ、細かな裂け目が生まれる。血がじわりと染み出す痛みを味わいながら、フウは歪みと笑みを混ぜた。

 

 ずぶぶぶっ……♡じゅぶっ♡

 

「ぁ……全部、入った?」

 

 そして時間をかけ、シンバのモノはフウの中に根元まで埋まった。亀頭は奥の方まで収まり、股間と股間がくっついている。縮れた陰毛同士が絡んでいる。結合部からは、僅かに血が滴っていた。

 そして驚くべきは、その締め付けだ。円筒状に肉壁がぎゅうぎゅうと肉棒を圧迫し、潰す勢いで喰らっている。あまりの力に、思わずシンバの腰は抜けそうになる。

 

「えっへへ……♥シンちゃんと、繋がっちゃった♥実はね、シンちゃんとこうしたいなぁって、ずっと考えてたんだ♥」

 

 フウの告白に、シンバも自分もそうだと返した。いつかは、イチャイチャの先のこともやりたいと考えていたと。ただ、それが今日になった。先ではなく、今になった。

 

「痛い? うん、痛いよ。おっきくて、ぎゅうぎゅうってされて、苦しい。でも、なんだろぉ、お腹の中が満たされて、とっても気持ちいい〜♥こういうのって、好きな人とやるのも関係するのかなぁ?」

 

 笑うフウ。こんなにも淫らなのに、フウの笑顔は変わらない。

 

「いいよ、動いて♥」

 

 シンバはフウの腰を掴みながら、ゆっくりと腰を引き、押し込む動作を繰り返した。

 

 じゅぶっ、じゅぶ、じゅぶ♡じゅぶんっ♡

 

「あ、ぅ、んんぅ゙っ♥あっ、ア゙ッ、ア♥」

 

 ゆっくりと、キツキツな蜜壷を解すように雄棒を往復させる。亀裂した膜が引き攣れ、竿の動きに合わせて引っ張られる。意外と厚く丈夫なのもあって、痛みはそうそうに引かない。ぐちゅぐちゅと愛液と血が交じる水音が、薄暗い部屋の中で鳴る。結合部から溢れた分は、薄赤色の液体となってシーツに染みた。

 

「んん、んぁ、あ゙ぅ♥ひ、ぐぅ゙♥」

 

 フウの口から喘ぎと呻きを織り交ぜた悲鳴を洩れる。今まで誰も受け入れたことのない狭隘な蜜膣の洞が、赤黒い凶器にも似た肉茎によって貫かれ、何度も往復している。膜だけでなく閉じていた肉襞の一つ一つが解されていき、痺れるような不可思議な感覚が彼女を襲う。

 

 すぶっ、すふっ! すぶっ! ずりゅっ♡

 

「あ、うぅ、あ゙♥シンちゃんの、す、ごいっ♥ふぁっ♥」

 

 生暖かい膣内、壁には無数の肉襞が細かく生え、一つ一つが舌肉となってそのままレロレロと蠕き、肉茎を包み愛撫する。腰と腰が深く接吻する度に、蜜壺はフウの感情と連動するように歓喜し、その身を窄める。

 

 あまりの快感に、シンバは早くも白く跳びそうになる。

 挿入した瞬間から我慢汁が止まらず、今もビュクビュクと動く毎に亀頭先から搾り出している。おかげで膣内は2つの淫汁と血によってヌルヌルに満たされ、滑りをよくしている。

 

「あ♥……ん、うん、もう平気、痛くなくなってきた」

 

 慣れてきたのか、フウの表情から苦痛が消えていた。結合部からの出血も収まり、狭隘な蜜壺の締めつけも若干余裕が生まれた。

 じゃあ、もう少し早く動いていい? とシンバは訊ね、フウはいいよ、と返した。

 シンバは太腿から手を離し、フウの腰を掴んだ。程よく肉のついた腹回りは、汗でぬるぬるとしていた。

 

 じゅぶ、じゅぶ……ずりゅっ♡ぶちゅっ♡ぶちゅ♡ぶちゅっ♡

 

 そして腰振りのペースを上げ、肉茎を中で暴れさせる。処女膜は綺麗に破れ、獣を咥える媚肉の1つになった。2人の性行為を阻む要素はもうない。シンバは思いのままに、腰を揺らしてフウに食らいついた。

 

「や、あぁ゙んっ! シン、あぅ♥あ、あっ、あ゙♥ぉ゙♥」

 

 加減という思考の箍が外れ、激しさを顕にした獣の猛攻に、フウは先程以上の善がり声を上げる。肉穴の内部を獣は容赦なく擦りあげ、深い鰓で掻き出そうと引っかける。その度にシンバの陰部に快感が走り、精巣を唸らせた。

 

 破瓜を終え、シンバを受け入れる体勢を整えた秘肉は、まるで人肌のように、否、人肌以上に熱く、トロトロと蕩け、黒ずんだ雄を溶かすような幻覚を与える。

 

「い、らめ……こ、これ、っ、しゅご♥……お゙っ♥おっ゙は♥っ! ああんっ♥」

 

 亀頭が敏感な箇所を擦り突き上げ、その都度フウの体は跳ねる。特に腹部側にあるGスポットを突くと、彼女の喉から淫猥な濁った善がりを上がった。

 シンバ自身もまた、呻いた。Gスポット特有のザラついた面が雁裏を刺激し、快を与えてきた。

 

 ぶるんっ♡ぶるんっ♡ぶるんっ♡♡ぶるんっ♡♡

 

「ん、ンンンッ゙♥っ、ぁ゙ぁ♥ぁ〜♥」

 

 フウの滲み出た汗が、彼女の体を艶やかに光らせる。揺れに合わせて2つの豊乳が躍動感を持って乱れ、乳先から粘った汗が飛沫する。飛んだ一部はシンバの腕にかかり、ヒヤリと冷やす。

 

 ……こんなにも乱れるフウは、初めて見た

 

 いつも明るさと眩い笑顔が絶えないフウが、今は善がり、身を捩らせ、アクメ顔を晒している。緩んだ口からだらしなく舌を出し、端から涎をだらりだらりと垂らして悶えている。

 

 こんなあられもない姿は、僕しか見たことがない。

 

 こんなにも可愛いフウちゃんを知っているのは、僕だけなんだ。

 

 むぎゅうぅぅ♡♡♡

 

「あ、お゙♥……し、ん♥ちゃっ、ぁん♥……っ、ぃくっ♥んん゙ンン♥あぁん♥」

 

 シンバは体を倒し、フウにのしかかる。逞しい男体と華麗な女体が重なり合い、間で乳袋を挟み潰す。互いの粘ついた汗が絡まり合い、べとつきあい、混ざりあう。

 

 ばちゅっ♡ばちゅっ♡ばちゅっ♡ばちゅっ♡

 

 腰を上げて落とす。動作に合わせてフウ愛用のベッドが不慣れな軋みをあげ、卑猥な水音とともに部屋の隅に響く。

 抽送の度に亀頭が奥深くのスポットを擦り上げ、フウの膣腔を強制的に締める。締めたことで肉幹は強く狭窄され、摩擦を生み出し、愛液は泡となって辺りに飛び散り、ベッドの白に黒く染みた。

 

「お、おっ♥ぉ゙〜、ぉ゙、ぉぉ゙、っ、おゔ♥しゅ、ごい♥おく、とどいてりゅ、のぉ、ぉ゙っ♥ぉ゙♥ぉぉ゙♥」

 

 フウの雌声が響く。喉を激しく震わせ、口から発するその濁った声は、シンバの鼓膜を劈く。

 

 ぶるり、と陰部全体が震えた。

 逸物に筋ばしる血管が激しく脈動し、充血し、その身を一回り大きくしていく。とうとうそのときを迎えるのだと、主であるシンバは迫り上がる下半身の疼きで察した。

 

 そしてそれは、フウにも伝わっている。肉幹の増した熱さを感じ取り、彼女は小絶頂に喘ぎながら口を開いた。

 

「はぁ、ぁ、シンちゃ、んんっ♥でる? でちゃう?」

 

 もう出そう、と淫猥に煌めく瞳を見ながら告白する。

 フウはシンバの背部に腕を回し、善がりを挟みながら耳元に顔を近づけた。

 

「シンちゃん……ぁ、びゅ〜したい?」

 

 ふぅ〜、と息を吹きかけるような甘いセリフが心地好く耳中を掠める。びゅ〜♥なんて単語は、フウの口から初めて聞いた。

 シンバは剥き出しかけた性欲を抑えようと目を揺らす。が、シンバの表情に微かに過ぎったものを、フウは見逃さなかった。

 

「いいよぉ、んん♥びゅ〜♥して、我慢せずに、私の中にぃん♥たくさんたくさん、いっぱいいっぱいびゅ〜びゅ〜してぇ♥フウのおまんこの中、シンちゃんのびゅ~びゅ~ザーメンでいっぱいにしてぇ♥」

 

 びゅ〜びゅ〜、びゅ〜びゅ〜、びゅ〜びゅ〜。

 

 フウのセリフを頭の中で反芻するうちに、シンバの中にフウへの独占欲が湧いた。絶対に離したくない、誰にも大切なフウを渡したくない、このままずっと繋がっていたい。

 ではどうする、中に出してマーキングする、フウの中に自分を吐き出す、自分たちの証を注ぎ込む。

 生まれた欲は、やがて思考のみならず全神経を犯していき、体を支配し、半ば無意識に動かした。

 

 ばちゅっ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡

 

 絶頂に向けてシンバの腰の振りが速まる。汗と愛液に濡れた肉と肉がぶつかり弾ける瑞々しい音がより大きく響き、ずるりと膣穴を出入りする肉幹の打ち付ける激しさが、結合部から漏れて飛び散る体液とともに増していく。

 自然と、体もさらに密着し、片腕で姿勢を支えながら、もう片方でフウの頭部を抱きしめ、自身の顔の横にくっつけた。

 

「ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、あ゙っ、らめ、ら゙め、イ゙グッ♥ イ゙グッ♥ イ゙グゥッ♥ンア゙♥ンオ゙♥ォォ゙お……♥」

 

 シンバの熱い猛撃に応えるように、フウは白く目を剥きながら、シンバの背部に手脚を回した。腰周りに両脚を絡め、両腕をシンバの脇下に通して肩甲骨辺りにしがみつく。ぬるりと滑る肌に爪を食い込ませ、ぐうっと深く刺す。

 

 バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡♡ バチュ♡バチュ♡♡バチュ♡♡バチュッ♡──────ぶちゅぅぅ゙!!! 

 

「あ、あぁぁ゙♥ふぐぅぅぅ♥♥うぅぅ゙♥」

 

 数回の往復の後、シンバは腰を深く押し込み、フウの奥深くの子宮口を突き上げた。丸々と充血しきった亀頭に深い接吻をされたことで、性感帯を中心にフウの全身に快感が伝播する。異常なまでの、自慰行為では味わえない快楽に、フウの全身は激しく痙攣した。

 

 ──びゅるるるぅ〜〜♡びゅうぅぅ♡どびゅるる゙る゙る゙♡

 

 そこへ追撃するように、亀頭先からザーメンが放たれた。手で出した量とは比較にならない、半固形のドロドロプリプリとした濃厚な白濁液が、溶けるような温もりの膣壁を震わせながら吐き出される。睾丸が脈打つ度、細い尿道にザーメンが押し出される。

 

 ぶびゅうぅ〜〜♡どびゅる゙ぅ゙ぅ゙ぅ゛うう♡♡ドビュウゥゥゥゥ゙♡♡

 

「おぉ゙っ!? んおぉ゙ぉぉ゙♥ん゙ゔ〜〜♥♥」

 

 灼熱のザーメンを吐き出しながら、尚も子宮口を突き続けられ、フウは嗚咽とも呻きとも悲鳴とも似つかない嬌声を上げる。快楽の伝播は収まらず、必死にしがみついていた脚がピンと伸び、天井に向かって爪の先まで綺麗な直線を2本も描いている。

 

 ごきゅっ♡ごきゅっ♡ごきゅっ♡ごきゅっ♡

 

 膣肉もまた、熱々な肉幹に啖いついている。

 秘穴を塞ぎ、根元までみっちりと咥え、漏らさぬよう膣肉で肉杭を包み込む。そして無数に生える肉襞を駆使して、脈に合わせて一回り以上も膨らむ竿全体を絞り上げる。離さぬよう吸い付く、蚯蚓の蠕動の如く蠢く媚肉の鳴動は、一滴も逃さんというフウの生殖的本能を体現していた。

 

 ドビュ♡…………ドビュ♡…………びゅる♡びゅるる♡♡

 

「んん…………ふぅ♥……ぅぁ゙♥ぁぇ♥」

 

 シンバの体から、一気に力が抜ける。落ちた体はそのままフウに全体を預け、挟むようにベッドに沈んだ。

 荒い息が幾度も喉を出入りする。少々枯れている気もする。室内は熱気が籠り、湿気で深く淀んでいる。酸っぱい獣の臭いが鼻の奥を満たす。

 

「シンちゃ……んん……♥」

 

 耳元で、フウの呻きが上がる。吐息が耳穴に入り込み、鼓膜に水滴のように張り付く。

 フウの体からも力が抜け、背中に食い込む爪が抜ける。そして労わるように、彼女の掌が爪痕を愛撫する。

 

「たくさん……びゅ〜♥できたね……♥……ううん、いいんだよ。シンちゃんのせーしなら、いっぱいびゅ〜ってして……今日は、せっかくの記念日なんだもん、たくさん出して♥」

 

 艶かしい声色の誘いに、シンバの肉茎は再び硬くなる。精液に満たされる子宮にさらに注ぎ込もうと、陰部を中心に全身が気力で横溢する。

 

「まだ、でる?」

 

 シンバは頷いた。出る、まだ足りない、出し足りないと譫言のように口にする。フウはシンバの背中を愛撫し続けながら、求めるように抱きしめた。

 

 情炎は、まだ冷めない。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 ばちゅっ♡ばじゅ♡ばじゅんっ♡ばちゅ♡♡

 

「ふっ、ぶっ♥ぅ゙♥ん、っうぅにゅ♥ふじゅ♥」

 

 性欲の炎の燃えるままに、2人は交わりを続けた。

 ベッドの上で、フウが前腕と下腿で四つん這いになりながら、臀を上げて突き出した姿勢を取っている。肉付きのいい雌臀を両手で掴みながら、シンバは膣穴を激しく擦り上げる。出すものを出したというのに、肉幹はフウの膣肉に熱く襲いかかる。

 

「おぅ゙、ふぅ♥んうぅ〜!? シン、んん♥おぉ゙♥」

 

 肉棒が潜り込み、膣の奥を突き上げる。敏感な部位を鰓の張った肉先に刺激され、フウは声帯を鈍く震わせた。それは妄想するような可愛い声、などというものではなく、雄との交わりに性を謳歌する雌の濁声であり、フウに隠された淫乱な部分が晒け出されていた。

 

 ばちゅんっ♡バチュッ♡バチュッバチュッ♡♡バチュッ♡バチュッ♡♡バチュン♡

 

 震える声を彩るのは、尻肉の弾ける音。

 腰が衝突する度に、フウのスベスベとした臀肉に波を打たせる。内側ではごりゅっ♡ごりゅっ♡と肉弾が撃ち込まれ、外ではぱちゅんぱちゅん♡と皮膚が弾ける。2重の刺激に両者は共に悦を吼え、唇から涎を垂らした。

 

 どちゅっ♡どちゅ♡ドヂュドヂュ♡どちゅん♡ぶちゅっ♡♡

 

「ふ、うぅぅ゙♥ぉ゙ッ♥ぉぉ゙、ッッ♥イグッ゙♥ぉぅ゙♥」

 

 なによりフウを喘がせたのは、執拗なポルチオの突き上げだった。初めての時点で、シンバは彼女の弱点を陰部で感じ取った。それもあって、シンバの肉茎は的確にポルチオの膨らみを狙って押し突く。突き突きとつつかれ、生まれる快楽は臓腑を震わせ、フウから思考を奪う。

 

「ぉ、シ、ンんんぅぅ゙♥んんゅぅぅゔ♥」

 

 そして快楽は、淫らなフウを見下ろすシンバの思考すらも奪っていた。

 乱れる長髪と、綺麗に部位が浮き出た背中とそこに張り付く毛先、じわじわと出る粘った汗、そして叩きつける臀部。目の前のフウの全てが淫らに映り、一層種付けへの欲求を強めた。

 

 バチュッ♡バチュ♡バチュ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡♡

 

「んぐぃ♥あ゙ぅ♥んんぅ♥ぅ♥ん゙♥ん゙♥ん゙♥ぅ、い♥ぐぅぅ♥」

 

 肉の衝突が小刻みになり、激しくなる。

 シンバはフウちゃんと叫んだ。頭の中で脳髄液がグツグツと煮え滾るような幻覚を浮かべながら、獣の咆哮に似た獰猛な声を上げた。

 

「あ、い、いぐ、いぐ、いぐ♥い゙ぃぃ〜ぐぅぅ〜♥♥」

 

 フウが叫ぶ、伸ばすように喘ぐ。

 トドメをキメるかのように体を倒し、フウの上にのしかかる。

 フウの豊乳が潰れ、シーツに広がる。そこに素早く手を差し入れ、支えるように掌で揉みしだきながら、下半身の動きを激しくしていく。

 

 グチュッ♡グチュッ♡グチュッ♡グチュッ♡グチュッ♡グチュッ♡

 

 ──ぶちゅんっ♡♡

 

 ────ブビュ~~~! ブビュルルゥゥゥ゙!! びゅるるるっ!! ビュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!! 

 

 そして絶頂を迎えたその瞬間、シンバは股間部を思い切り打ち付け、肉を波打たせ、みずを鳴らし、最奥を突き上げながら雄を叫んだ。管には這い上がった子種が溜まり、塊となって白濁色に吐き出されていく。前戯を含めれば3発目だというのに、その量は衰えていない。

 

「おぉぉ゙! おほぉ゙! おっ、っ! ぉぅ゙、んんんんっ!」

 

 またも来る快感にフウは声を上げた。悦びは臓物を震わせ、乳頭を痺れさせる。喉頭に張る声帯が震え、悶絶としたものもなって口から洩れた。体重がのっかっているのもあって、肉先は容赦なく奥の奥まで潜り込む。やがて悦びは実体となり、陰部から潮水として吹き出した。

 

 ──ぐにっ♡

 

「ぉ゙っ…………♥」

 

 射精しながら、シンバはフウのポルチオに亀頭先を押し付け刺激する。腰を動かし、肉幹を畝らせ、コネコネとマッサージでもするかのように弄る。腰を左右に振り、ポルチオだけでなく、膣全体をグリグリと捩らせた。

 

 ぐにっ♡ぐにゅっ♡ぐにゅん♡

 

 グリグリッ♡グリッ♡グリッ♡グリッ♡グニュッ♡

 

「ぉ゙、ぅ゙、あ゙……ぉ、お゙っ、おぉ゙〜゙♥」

 

 フウは解読不能な声を上げる。気持ちいいかどうかは言わない。代わりに肉襞を締めることで答えた。捏ねる度に強く肉マンコを締まらせ、嚥下音を鳴らして肉幹とザーメンを呑み込む。呑み込まれる感覚にシンバは呻き声を上げ、管の残滓を吐液した。

 

 ……ずるんっ♡♡

 

「ぉ゙ふ……っ゙♥」

 

 射精が収まり、体がズレ、肉幹がずるりと膣穴から身を出した。栓が抜けたことで、たっぷりと吐き出されたザーメンがブリュリュ♡と排泄音を立てながら蜜穴から漏れ出し、多量にシーツへと滴り落ちた。

 

「ふぅ、ふぅ……あぅ♥」

 

 荒い息を吐きながら、フウは女体を上下させる。その浮き沈みを肌で感じながら、シンバはフウの乳を揉みしだいた。掌にやわもちな質感が広がり、固くしこる乳頭の凹凸に指が擽ったくなる。蒸れたおかげでシーツに挟まれながらも、スベスベと掌を滑らせる。

 

 フウちゃん、まだ。とシンバはフウの耳元に囁いた。乳頭を軽く抓り、捏ねてしこる。自分の逸物が萎え萎えにならず求めていることを伝える。

 フウは震え、ゾクゾクとしたものが駆け巡り、ビクンと背が跳ねる。肉ついた割れ目の間には、硬直した逸物が押し付けられている。

 

「……うんっ♥」

 

 埋める頭を微かに動かすのを見て、シンバは体を起こした。フウはガニ股気味に脚を広げて体を微痙攣させている。股の間から漏れ出た精液が膣穴からドボドボと漏れ溢れ、シーツの白に澱のように溜まっていた。

 

 シンバは尻肉を掴んで、割れ目を左右に開いた。股下の肉花がぐぱぁ♡、と愛液と白濁の糸を引いて開花し、蜜と白泥を溢れさせた。

 

 さっき開いた時よりも、肉々しさが増している。体液によって粘つきギラつき、グロとエロスを兼ね備えている。

 なにより、あんなにも、こんなにも、擦り上げ吐き出したというのに、膣穴は欲してヒクヒクと疼いている。試しに右人差し指を挿入させると、膣肉は瞬時に収縮し、赤子のように指に吸い付いた。

 

「ふ、んんっ……♥」

 

 軽く探る。顔を埋めるフウが悶える。悶えに合わせて中の襞が収縮と弛緩を繰り返し、出るはずもない精を絞り出そうと画策する。搾り取る狭窄は、シンバの指をチロチロと舐めて腹を擽る。擽りは神経を通じて脳に伝わり、陰部への血の巡りを促した。

 

 指を引き抜くと、穴と先で糸を引いた。そして両手で割れ目を広げながら、シンバは肉幹を秘裂にあてがい、腰を思い切り突き出した。

 

「ぉ!? おぉ〜っ♥お゙ぅ、ん゙ぅぅおぉ゙♥」

 

 また潜り込む肉幹、だがその硬さは衰える様子を見せず、むしろ肉々しく漲っていた。その硬さに部位を内側から圧迫され、フウは喘いだ。喘ぎながら、追加の潮水を噴き出した。

 

 ずちゅっ♡ぱちゅっ♡ずちゅっ♡ずちゅっ♡ぱちゅん♡♡

 

「ふぅ、んぅ♥や、あ゙っ、あっ、アッアッ♥んぉ゙、おっ、ひ、っぐ♥」

 

 今度は速めに腰を揺らす。吐いたばかりなのにすぐさま勃起させたばかりなので、若干の鈍い痛みが雁裏に走る。だが、全体を包まれる快感が勝っているため、腰振りは止まない。

 

「あ、ふぐ、ぅぅ♥……んん、ン、ン゙、ンン♥ンンンッ♥あぁ、っ、あっ♥」

 

 膣の中は、出したてほやほやのザーメンによって恐ろしい程に滑らかで、破瓜したときの摩擦が嘘のようにシンバを受け入れている。腰を引く度に中から愛液とともにずるりと漏れ出し泡を立てる。加えて、全体を余すことなく吸い付き包み咥えてくる。媚肉の抱擁に、シンバは脳汁が絞り出される感覚を味わった。

 

 ふと、シンバは尻肉をさらに左右に開かせた。

 肉茎を受け入れフェラチオのように秘裂を広げるその上で、一層色の濃い部位が蠕いている。

 秘部のようにふっくらとした肉が着いているのではなく、肉が皺を寄せて形成されている、菊の花を思わせる形をしているそれは、人間がもっとも見られたくない秘部、すなわちアナルである。どんな人間でさえも穢れていると言われている箇所で、要らぬものをひりだすためにある、一方通行の部位である。

 しかし、シンバはある欲を沸かせた。尻肉に隠れていたこの菊門を、この手で弄ってみたいと考えたのだ。

 

 フウちゃん、ここ、指、入れたい。

 

 腰をぶつけながら、シンバは指で触れた。触れた瞬間に花はヒクヒクと微動した。

 フウは善がりながら首を捻った。さっきから小さな絶頂を繰り返しているせいで、口から涎が絶えない。シンバに向けた横目はアクメで焦点が合わない。シンバの後ろを見ているような、何も見ていないような、すぐに前に向き直ってしまった。

 

 だが言葉は届いているらしく、微かに腰を左右に揺らした。皺を窄ませた。欲しいと答えた。

 

 シンバは淫液でたっぷりとぬめった右手人差し指の爪先を中心に当てた。腰の振りをゆっくりとさせ、爪で傷をつけないように、探るように穴の外側をほじくる。

 

 指先の狙いが定まると、シンバはそのまま潜り込んだ。潤滑油をまとっているおかげで、指は一気に数cmまで進み、皺が指の太さに合わせて伸びた。

 

「んん゙っ♥♥」

 

 瞬間、フウの背中が大きく撓み、放射状の穴が締まった。蜜穴よりも狭く、キツくシワシワとした肉壁の締め付けは、指を潰してしまう程の圧迫だった。

 

 ぎゅううぅぅ♡♡

 

 そしてアナルが締まると、膣穴も力強く窄まった。柔らかな媚肉による狭窄は、絶頂のモノよりも暴力的で、心地良さと痛みを与えてきた。

 

 ──びゅるるるっ♡びゅる〜〜♡♡びゅるる♡♡

 

 あまりの快にシンバは呆けた声を上げた。口を開けたまま、喉と体を震わせた。頭がスパークして白くなる。

 体の力が抜けて、天井に目を向ける。尿道を通って精が搾り取られる。蠕動とともにザーメンが呑み込まれる。人が飲料を飲むのと同じように、膣があるはずもない喉を鳴らしている。出したばかりなためか、抜けてしまうような脱力感が陰部を中心に広がっていった。

 

 ごきゅっ……ごきゅっ……ごきゅっ♡♡……ずぽんっ♡

 

「ぉほ……♥」

 

 射精が止み、萎み始めたところで肉幹が抜け、シンバは体を後方へ倒しかける。その勢いで指先がアナルから抜け出し、透明な粘液の糸を引いた。

 

 ごぼっ♡どぼっ♡と鈍い音を鳴らしながら、ザーメンが膣穴から溢れ出る。先程から出しているのに、こんなにも溢れるものなのか。シンバは意識を宙に浮かせながら、己の性豪ぶりに一種の恐怖を抱いた。

 

 互いに肩で息をしている。ひと足先に動いたのはフウの方で、痙攣する身体をゆっくりと起こし、ペタペタと方向転換をして、放心するシンバに密着した。

 

「シンちゃん……♥」

 

 しっとりとした吐息を吹きかけつつ、フウの柔らかな唇がシンバに重なった。咽が乾いているのか、細い舌肉全体が粘ついた唾液で包まれている。ただの唾液と違って粘つきが強く、口の中に潜った途端、シンバの方へ強い苦味とともに移った。

 

「ん、んちゅ♥ちゅ……っ……ん、ちゅ゙♥ちゅ♥」

 

 フウが只管に唇を動かし、シンバに吸い付く。そのまま喰い取ろうとするかのように勢いよく頬を窄めて吸う。

 唾液を吸いつつ、フウの手が萎みかけたペニスを掴み、上下に扱く。プニプニとふやけた竿を、親指、人差し指、中指の先が包み、皮をだるだると嬲る。徐々に血液が巡り硬さを増し始めると、指は末節、中節、基節と広がり、やがて1分も立たぬうちに再勃起し、手の平全体で包むほどの太さを蘇らせた。

 

「んんっ♥……ねえ、子宮、すっごくキュンキュンしてる♥シンちゃんのザーメン、もっと欲しいんだって」

 

 ちょうだい♥と媚び媚びとした声色で強請るフウに、シンバは早くも昂った。昂りは鈴口先から粘り玉になって溢れた。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 夜半を過ぎ、時刻は丑三つ時に差し掛かる。

 この時間帯になると、外は意外と肌寒く、雑草が夜露に濡れる。辺りから生活音がなくなり、閑静な地には早くも秋の虫のさざめきが聞こえていた。

 

「ん、んふっ♥ん゙ぐっ、じゅる、ぢゅる♥んぶ♥んじゅる♥」

 

 そんな外とは反するように、部屋の中では卑猥な水音が奏でられていた。

 幾度もの射精と絶頂を繰り返し、爆ぜに爆ぜた。しかし2人の興奮は一向に醒めない。精は絶えず生成され、愛は膣壁から次々と沁み出す。

 醒めぬ勢いのままに、フウはシンバの肉幹を口淫で嬲る。ベッドの縁にシンバが座り、脚を広げ、その間にフウが正座で跪き、股間に顔を埋めている。両手をカーペットにつき、フラフラと頭を揺らして出し入れさせている。

 

「ん、ぉ゙っ、ふ、んふっ♥ぅ゙、ぢゅる♥じゅるるる♥んっ〜♥んん、んぅ、じゅぅ♥」

 

 フウの口の中で、シンバが口いっぱいに詰まっている。太さと長さ、彼女の口の広さもあって、隙間は殆どなく、息もかなりし辛い。

 

「う、んん、っ♥……ふっ、じゅる♥、れろっ、レロっ♥ぢゅう♥ぢゅうう♥ぢゅる♥」

 

 フウは、しかし夢中で頭を前後に揺らす。唇を尖らせ、頬を窄めて肉幹を扱く。何度も膣肉を擦ったのもあって、肉幹全体が愛液という名のローションに包まれているため、出し入れは滑らかだった。

 

「う、ふぅ、っ……っ゙♥んぢゅ♥ンン♥ヂュルルッ♥オゴッ♥オッ♥ぉぶッ♥んんっ♥ォェ♥ンゥ♥」

 

 喉奥に先端が当たり、口蓋垂を押し潰す。鰓が硬口蓋を擦り、薄い凹凸を擽る。息苦しさと擽ったさを口腔に感じ、フウは微笑むように細めた上目で向けた。どう? 気持ちいい? と訊いているかのように、舌肉を走らせてベロベロと肉竿を舐め撫でた。時々、唇と竿の隙間から舌先がぴょろりと姿を覗かせた。

 

「おっ、オ゙ェっ♥んっ、ふっ゙、お゙ふっ♥んふっ♥ぶっ♥」

 

 頭髪と共に顔を乱れさせるフウの姿に、シンバは体の芯を疼かせた。肉頬の粘膜が肉幹全体を濡らし、引き抜かれる度に明かりで鈍く光る。黒く燻んでいるのもあって、テカりは一層目立つ。そして、それをごもった嬌声を上げながら咥え込むフウが、媚びた眼差しを向けている。

 陰部に張る神経がビリビリと震え、自然と腰が揺れる。小さくベッドを軋ませながら、管に走る快感に浸った。

 

「れろ、ぅ゙ん゙ぅ、れ、ぢゅるっ♥じゅぼっ♥じゅぼっ♥ジュボッ♥ぉ゙ふ、ん゙ん゙っ」

 

 芯の硬さが増し、海綿体が強ばる。

 きつく張り詰めるのを感じ取り、フウも頭の揺れを激しくさせる。溢れる唾液が唇と肉幹の結合部から漏れ出し、雫となって顎先を滴り、落ちて桃色に黒ジミを作る。

 精管に液が迫り上がる。収縮するような悦びが陰部に集中する。

 

 ──びゅ〜〜〜っ♡びゅるる〜〜〜♡びゅ〜〜〜♡びゅるる〜♡びゅるるるっ♡

 

 肉幹が最硬直し、喉奥に向かって熱いものを迸らせた。

 口腔内は膣内よりも過敏なため、熱さと苦さを直に襲う。フウは揺れを止めて呻き声を上げた。シンバもまた、駆け巡る悦びに脚を伸ばし、小刻みに腰を震わせた。

 

「ん゙ん゙ん゙っ♥……んぅ、ぢゅる、じゅる♥じゅる♥んん、んぶっ♥んぅ♥ん~……♥」

 

 瞼を閉じ、吐き出されるザーメンの味と血管の脈動を感じながら口淫を再開する。舌で裏筋を愛撫しつつ、いきり立つモノを根元まで呑み込み咥え込んだ。

 ノドの奥の奥まで肉冠が埋まり、咽喉が完全に塞がる。息を止め、開けた咽に雪崩れる白い粘液を嚥下する。口端を窪ませ、黒々と濡れる茂みに鼻先を埋め、ゴクゴクと鈍く喉を鳴らし、涙を浮かべた眼差しを向ける。

 粘液で濡れたピンク色の胃袋の中へ、白いザーメンがトクトクと溜められていく。

 膣だけでなく、内臓にも自分が染み込んでいく。

 肉幹を咥えるフウと目を合わせながら、シンバは身を震わせた。

 

「ん…………ぷっ♥」

 

 フウが唇を離す。精液の糸が尿道口と唇を繋ぐ。

 顎を上げ、見せつけるように口を開く。

 赤い口腔内に収まる舌肉の上に白濁液が乗っている。

 はぁはぁと細い吐息の生臭さがシンバの鼻頭を掠め、鼻梁を伝う汗を乾かす。

 

「へへ、こひの、ひっはいれはね♥……ほっふんひへひぃ?」

 

 シンバは頷く。フウは端に陰毛の縮れ毛を貼り付けた口元をへの字に噤むと、ごくりと大きく鳴らした。粘ついた白濁液が咽にへばりつき、唾液とともにゆっくりと落ちる。落とし切ると「ご馳走様ぁ♥」と言い、フウは唇に舌を這わせて舐め、微笑んだ。精液の糸を引く歯がなんともいやらしい。

 

「苦い? うん、苦いよ。でも、さっき舐めたときよりすごく美味しい気がする。きっと、シンちゃんのザーメンだからだね♥ぷりぷりしてて、熱々で、今ならコップにいっぱい溜めたのも飲めちゃうかも♥」

 

 本音にしては生々しく、お世辞にしては嘘が見えない淫猥な台詞に、そして彼女の妖艶な姿に唾液で濡れた肉幹が天井に向かって反り立ち、フウの鼻を掠める。もはや萎むことすら忘れているかのように、独立した1つの生物のようにフウを求め、ペチンと鼻先に乗っかった。

 

「わあ、すっごい♥おちんちん、すっごく熱々で、もうビンビンしてる〜♥」

 

 自身の顔に影を作り張り付く肉幹にフウは陶酔した表情を浮かべた。

 

「まだまだ元気いっぱいなんだぁ。私、朝まで持つかなぁ……んれぇ♥」

 

 不安を口にしつつ、フウは舌を伸ばす。白い歯を見せながら、愛撫するようにぬらつくペニスの両側面をベロベロと舐め上げた。舐め上げ、舌先で血管をなぞりながら、陰毛に顔を埋める。陰嚢を唇で優しく咥え、空気とともに吸い込み頬張る。そして離すとまた竿を舐め上げ、また玉を皮ごと吸った。

 

 半開きの瞼に収まる瞳が、ギラギラと煌めく。口では不安を吐いているが、目は欲に燃えている。こうすることで、シンバの中にある加虐心を煽ろうとしているようだった。朝まで持つかどうかではない、朝までこの体を屠って欲しいと、更なる雄を求めている。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 ドチュッ♡ドチュッ♡ドチュッ♡ドヂュッ♡♡ドヂュッ♡♡

 

「ア゙ッ♥アッ゙♥あぁ♥ぉ、んぁ゙~♥ぉ、おぉ♥おぉ゙!? お♥お゙っ〜〜っ゙!?」

 

 ならばその願いに答えなければと、シンバは腰を振るった。

 

 丁度部屋の中心辺りで、東向きに嵌め込んだベランダ窓に体の正面を向けながら、2人は立ちバックをキメる。フウが腰をカクっと曲げて、卑猥な悲鳴を上げながらガクガクと脚を震わせる。それを支える、というよりは、その場で倒れるのを妨げるように、後ろからシンバが両手首を掴みながら、足腰を器用に駆使して尻肉に劣情をぶつけていた。

 

「あ、あ゙♥あ゙゙♥あぐ♥ぁ゙っ、ぁ~゙♥お、ぉあ゙♥っ、ぐぅ♥ふ、お゙♥ぁ、あ♥」

 

 隅から隅まで染み付く勢いで、天井を震わせるかのように、フウは雌の遠吠えを上げている。シンバも荒らげた枯れ声を上げて振り続ける。もしここが吹き曝しの小屋であったなら、2人の艶声は周囲に響き渡っていただろう。

 

「あ、あぅ♥シンちゃ、いい♥いいの゙ぉ゙♥もっと、つよ、ぅくぅぅ゙!! んんんぅ゙!!」

 

 欲しがるフウに答え、男の分身は膣深くを突き上げ、ポルチオをどちゅどちゅと押し潰す。かれこれ数時間は突きあい愛であいを繰り返しているので、シンバはすっかり性感帯をピンポイントに狙うことに慣れていた。奥だけでなく、蜜穴のどの面が気持ちいいのか、どうすればフウが悦ぶのか、弾ける肉音と白く飛ぶ意識の中で、自然と脳の回路に刻まれていた。

 

 パンッ♡パンッ♡パンッ♡パンッ♡パンッ♡パチュン♡パチュンッ♡パチュッ♡

 

 ぺニスがヴァギナを擦りあげる淫音も、初さは既になくなっている。幾度もザーメンを吐き出し、愛液を沁み出し、ぐちゅぐちゅにシェイクされ、引いた際に結合部から漏れ出して滴り落ちる。処女膜は完全に裂け、もう血は出ていない。キツさも不快な痛みもなく、あるのは快の痛みのみだ。

 

「ぁ、ぁぁ゙♥ぁ♥~~゙っ、っ゙、ぅうんん♥ぉぅ♥あぁ、んっ゙♥ぁ、っ゙! あっ、あ゙ぁぁ〜♥」

 

 シンバは膝で上手く可動させながら、弾みを利用して肉襞をこそぎ落とす。バチュンと突き上げ、フウの尾骨に腰をぶつけ、脊柱を下から上にかけて軋ませる勢いで猛撃を喰らわせる。

 ゴツっとポルチオに撃つ度に、肉穴が締まってシンバを呑み込む。呑まれる感覚に痛覚はなく、このまま溶かされて持って行かれるかもしれない幻覚が襲う。

 しかしそこに恐怖は感じない。

 温もりに女陰とぶつかる睾丸が身震いする。唇から力が抜けて涎が垂れ、細い体に掘られた腰椎の窪みに溜まる。

 

「シンちゃぁん、シン、あぁん、あっ♥あふっ、♥ぁ゙っ♥ぁ、あ、んおぉ゙♥ジン゙ぢゃ゙ぁ♥」

 

 割れた臀部の脂肪が潰れ、皮膚が波を打つ。

 シンバの燃え滾る攻めに、陰部が潮水をぷしゅぷしゅと噴き上がる。

 

 だぽっ♡だぽっ♡だっぽっ♡だぽっ♡だっぽっ♡

 

 重力に従って垂れる双丘が前後にブルンブルン♡と躍動感溢れる乱れ方を曝す。項や腋窩から出た汗が表面を伝い、荒れ狂う乳頭に集まり雫となって飛び散る。酸っぱい汁は蒸発し、臭いとなって部屋に籠る。籠ったものは空気に溜まり、熱気とともに澱ませる。獣の臭いを撒き散らし、2人の鼻腔を刺激し、より性に命を注ぐ獣へと近づける。

 

「おふっ、お、あ、ぁぅぁ゙♥あ〜、っ、っづ、あ、ぐ、きてる……から♥あぁ゙っ、お、く♥いグっ♥おま、ご、ぉ゙♥はぁー、ぁあ♥イグッ♥イグッ♥イグウゥゥゥゥゥゥゥ゙♥♥」

 

 絶頂のあまり、フウは自分の力では立てない。手と肉幹で支えられながら、シンバのなるがままにされる。舌をだらんと垂らし、舌先から濁った涎を垂れ流しにさせながら、目元を蕩けさせて悦に甘んじるしかない。それが、フウの望んでいることでもあった。望んでいるか否か、そんなものは腟の狭窄と善がりで訊かずとも分かる。

 

 フウちゃん。

 

 囁きと同然な声で呼び、手を自身へ引き込み、フウの上半身を起こして後ろから抱きしめた。睦みあいでベタついた長髪が彼女の背中と自分の胸板の間に挟まる。蒸れた中からメス臭さがむわりと昇った。

 

「おほおぉぉぉ゙ぉ!?」

 

 右腕を上乳に、左腕を下乳に伸ばし、挟み込む。両腕の中でフウの艶やかに実った果実がぐにゅりと柔らかく歪み、乳先の乳輪と乳首を強調させる。

 

「お、だ、らっ゙、めっ♥ご、ごれ゙、ぉ♥いぐ、いぐ♥おんっ♥お、おちんぢん゙♥おぢ、おぉ♥あた、ま、こ、お゙ 、ァァァ゙!?」

 

 腰振りは止まぬ。あとは欲の導くままに腰を揺らす。抱きしめながら子宮の唇を捏ね上げ、子種を注ぎ込むことを考える。

 

 バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡

 

 バヂュ゙ン゙ッ゙♡♡

 

 ──ビュルルルル〜♡♡びゅるるる〜♡♡びゅぶぅゔ♡♡ビュブルルル゙ッッッッッッ♡♡

 

「ぉおぉ゙、おぉお〜゙♥」

 

 そしてシンバのモノが二回りも膨張し、白濁が炸裂した。尚も量は絶えず、白濁色のザーメンが子宮底にその身を叩きつけながら内部に溜まっていく。

 快楽にフウは喉を反らした。小ぶりな喉仏が目立つくらいに腰から首にかけて仰け反っている。小出しだった潮水が一気に噴き出し、カーペットにべちゃりと染みた。

 

「あ、ぁぇ……ぁ♥」

 

 シンバは背後から肩に歯を立て、咬んだ

 咬む、噛むのではなく、咬む。愛咬を咥える。

 シンバは意識のままに、流れるように咬んだ。

 誰にも渡したくないと、湧いた欲を表すために。

 

「ぁ、あふ……あ、あ゙ッ♥」

 

 雄の愛咬に、フウはか細く呻いた。肩の肉にめり込む痛みに、子宮がキュンキュンと鳴る。肉襞がぎゅるりと絞り、肉幹を搾る。残滓の一滴すら逃さないと、一つ一つが意志を持っているかのように襞が畝り、ごきゅり♡とザーメンを呑み込む。

 

「は、はぁ…………ぉ♥」

 

 2人は密着しながら、暫しガクガクと身体を震わせあった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「ふ、んん、あん、ぁ、っん♥あんっ♥」

 

 流れるような交わりも、数回の後に落ち着きを見せ始める。先程まで荒々しい声をあげていたのが嘘のように、シンバもフウも安らいだ声を出していた。

 

 ずぼっ♡ずぼっ♡ずぼっ♡ずぼっ♡ずぼっ♡じゅぽっ♡

 

「ん、シンちゃん、気持ちぃ? あん♥」

 

 対面座位の姿勢で、フウはゆっくりと腰を振りながら訊ねる。シンバはとってもと答えながら、腰が浮いた際の、襞が亀頭の顎を引っ掛ける快感に浸った。両手を後ろにやって足を投げ出して座るシンバの股座の上で、フウが仰向けの四つん這いの姿勢を取りながら腰を揺らす。

 

「ふ、んん゙♥うん♥シンちゃんのおちんぽ、おまんこぎゅっぎゅして、きもちいいよぉ♥あぁ♥ンン゙♥」

 

 腰を前へ出すと肉幹が潜り込み、後方へ引くと身を抜ける。体位の関係もあって、動く度に肉幹は根元から持っていかれ、前後に撓む。背伸びをさせられているようで、下手に力を加えれば痛いかもしれない、その絶妙な刺激にシンバは安らいだ快感を獲た。そしてフウもまた、亀頭が性感帯をぬるりと押し、クリトリスが擦れる度に喉を震わせた。

 

 じゅぶっ♡ずぶっ♡ずぶっ♡じゅぼっ♡

 

 ずっと一方的に受けの立場だったフウが、今度は攻める立場になって肉幹を媚肉で愛撫する。畝畝と体を揺らしながらアクメ顔を浮かべ、蕩けた視線を向けてくる。艶やかで淫靡な姿に、シンバは緩やかに、少しずつ泡を吹くように性を沸かせていた。

 獣のような生殖を目的とした速さ重視の交尾ではなく、人間特有の、人間だからこそできる遊びを含めたセックス。

 フウの腰揺れは、まさに互いに性行為を楽しむためのものである。

 

「ふ、んんう♥……はぁ、はぁ♥きゅうけぇ〜い」

 

 数十分して、フウは動きを止めて浮かせていた腰をシンバの下半身に下ろした。胸元が呼吸で浮き沈みを繰り返し、左右に流れた豊乳がふるんと揺れた。

 お疲れ様、と声をかけ、フウの腰に腕を回して抱きしめるように支える。抱擁に甘えるように、フウは体を起こし、シンバの肩を掴んだ。掴んで、そのまま肌を愛おしく擦りながら首から背中に腕を回して抱きつく。たわわに実った豊乳が胸板に広がる。表面を結露のようにへばりついていた玉の汗が粘り、糊のように2人の胸元をベタベタとくっつける。

 

「シンちゃんどう? 腰、痛くない?」

 

 鼻先が触れ合う距離で訊くフウに、シンバは素直に首を振った。疲れるどころか、まだまだ物足りないくらいだった。確かに1回の絶頂毎に倦怠感は襲ってくる。肩も重くなる。だが、そんなものはほんの数秒で、すぐさま雄は漲り屹立していた。

 フウちゃんはどう? と今度はシンバから口を開いた。

 

「うーん、ちょっと疲れたかなぁ……ふふ、でもキモチーから、まだまだ大丈夫だよ♥アソコも乳首もすぐに固くなっちゃうんだから」

 

 ふふんと返され、胸が高鳴った。薄暗い中で、体を汗で濡らして艶やかに光るフウの姿に、思わず視線をずらしてしまった。直視できないほどに、彼女が眩しかったのだ。

 ずらした視線の先には白い肩があり、そこには愛咬の痕が残っていた。点々と、1本1本の短い歯の痕で楕円の形を形作っている。情炎に任せて噛み付いたせいか、若干赤く腫れている。

 

「どうしたの? ……噛み痕のこと? うん、ちょっと痛いかな」

 

 フウは笑い、でも、と繋げた。

 

「こうやってシンちゃんの痕が体にあるって思うと、痛いよりも嬉しいっていう気持ちの方が強くなるんだ。私も、シンちゃんと繋がれてるんだなぁって、嬉しくなるの」

 

 フウの腕に力が加えられ、より密着する。男らしい角張った肩に顎を乗せながら、

 

「ねえ……私もシンちゃんに、痕、つけていい?」

 

 と耳許で囁いた。シンちゃんを私のモノにしていい? と続ける。囁きは空気を伝い、外耳道を通って鼓膜へ届く。耳を愛撫されるような感覚は、通り道を伝って陰部を脈打たせる。

 ゆっくりと頷き、肩の力を抜いた。大切な彼女からのお願いを断ることなどできるはずもない。いや、違う。シンバ自身もフウの痕をこの体に残したいという欲が生まれていた。

 

「……ぁむ゙♥」

 

 フウは小ぶりな口をいっぱいに開き、シンバの肩に歯を立てた。脂肪が薄く、食い込む歯が痛い。おまけにかなり強く噛み付ているので、皮膚を破く勢いだった。

 シンバは、肩に鋭く肉を千切られそうな小さな激痛を覚えた。しかし同時に、脳は興奮物質をドバドバと分泌させている。噛まれた箇所を中心に、痛みという名の快が体を駆け巡り、やがて陰部と集結し、充血と勃起と脈動となって現れ、膣肉の締めつけを押し返す。溶けそうな頭内部は、頬に触れる冷たい耳輪の感触でなんとか正気を保っている。

 

 チューチューと血を吸い出すように吸ったあと、「あっ」と消えそうな嬌声を上げてフウが離れた。再び向き合う彼女の口は半開きになり、肩から口元にかけて唾液の糸を引いている。

 

「えへへ、これでお揃いだね♥」

 

 笑みを浮かべながら、フウが噛み痕に手を伸ばす。擦れた瞬間に痣を押されるような痛みが走り、しかし同時に悦びも巡った。

 自分達は、お互いに自分の痕を残した。この傷は、暫くは消えることはないだろう。

 自分はフウのモノに、フウは自分のモノに。

 互いの証を刻むことで、内なる独占欲が満たされ、更なる欲情を促した。

 

「シンちゃ〜ん、だーい好きぃぃぃ゙!? ぃ、いき、な、ぉお゙♥おぉ、んあ、っ、あぁ゙ぁ゙♥」

 

 フウを押し倒し、シンバは腰を上下に振るう。プレスの姿勢でピストンを加え、ベッドを壊す勢いで悲鳴に似た軋みを上げさせる。

 収まる様子のないボーイフレンドの獰猛さに、フウは喘ぎながら小絶頂を繰り返した。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 カーテンの隙間から、青々とした光が射し込む。外は既に夜明けを迎えようとしており、静かな住宅街に烏達の鳴き声が響き渡っていた。

 

 ぱちゅん♡ぱちゅん♡ぱちゅん♡ぱちゅん♡

 

「あ、ふぅ゙♥あ、あ〜♥ぁ゙♥ぉ、んぉ゙……ぁ゙♥ぁ゙っ、ぁ♥」

 

 そんな野鳥に負けじと、フウも姫声を上げる。かれこれ数時間叫んでいるせいか、喉は若干枯れている。

 部屋の中は、精液と愛液、そして蒸発した滂沱の汗によって蒸れに蒸れている。完全に閉め切り、空気すら入れ替えていないため、思わず鼻を抑えてしまいそうな生々しい臭いが閉じ込められ、より獣臭さが立ち込めていた。

 

 だが、そんなことはお構い無しに、シンバはフウを抱き続けた。椅子に座りながらフウを太腿の上で跨がせて、背後から腕を回して豊乳を揉みしだく。根元から乳先にかけて、牛の乳を搾るように揉み搾る。体液によって艶艶としているのもあり、掌はぬるりと胸の脂肪を掴んで滑った。

 ふわふわ、もちもち、指を沈ませ、しかししっかりと跳ね返す。

 揉むだけで性欲を刺激する手触りを掌に広げながら、項に顔を埋めて髪をかき分け、汗の張り付く肌を嗅いだ。嗅ぎながら舌で舐め取り、髪のザラつきと潮っぽさを味わった。

 

「あ、へ、へぁ♥あぁん♥はぁん♥ぁ、ぁ♥」

 

 フウは女体を揺らし、リズムよく体に軋みを刻みながら、充血を増す色黒の棒を肉襞で扱く。もう何度も何度も擦られ突かれ、吐き出された。既に蜜壷はシンバの硬さと太さと熱を記憶し、形に合わせて肉壁を絞らせる。単なるキツさによる締め付けではなく、シンバを絶頂させるための圧を与えている。

 

 ぱちゅん♡ぱちゅ♡ぱちゅ♡ぱちゅ♡ぱちゅ♡

 

「ひゃあ♥シンちゃん、シンひゃん、あふ♥」

 

 濁った愛液が結合部から漏れ、股の回りをべとりと濡らして飛び散る。シンバは時々液体を掬い上げ、沁み込ませるようにデカパイに塗り伸ばした。そうすることで表面は更に艶と滑らかさを増し、搾りを良くする。ヌメるままに両峰を摘んで左右に引っ張ると、フウは「ひぎゅ♥」と悲鳴とも悦びとも捉えられる声を漏らした。

 

「シンひゃ、シンひゃあん♥」

 

 フウちゃん、フウちゃん、フウちゃん。

 

 2人はお互いの名を呼びあった。

 脳が湯気を上げて蒸発してしまいそうな、体が溶け合って細胞単位でぐちゃぐちゃに癒着し合ってしまいそうな、甘い甘い幻覚へと堕ちていく。

 呼び合えば呼び合うほど、相手のことが欲しくなる。

 シンバはフウが欲しい、手に入れて満足するレベルではない、フウと一体化したい、共存したい、愛したい、大、大、大好きだ。

 

「ん、ぁ、♥……はぎゅ!?」

 

 腰揺れが激しくなる中、シンバはフウの太腿に手を滑り込ませると、そのままグイッと女体を持ち上げた。世に言う背面駅弁という持ち方で、自分の体を背もたれのようにさせて彼女を受け止めながら立ち上がった。

 

「んぎゅ、こ、あぁ♥やぁ♥っ、だっ゙、んあぁ♥ぁああ゙♥あぁあ゙ん♥」

 

 シンバがフウの体を揺らして上下させる。肉幹の先は腹天井の膣襞を擦り上げ、Gスポットをグイグイと押し潰す。姿勢もあって動こうにも動けず、フウは電気のように奔る快感に一方的に喘いだ。

 

 パンッ♡パンッ♡パチュ♡ブチュッ♡パンッ♡パンッ♡パンッ♡パンッ♡パンッ♡ブチュッ♡

 

「ふ、ふぎゅ、ぁ、ぉ゙♥んん゙、おぉ♥ぉ、お、おっ、ぉ♥」

 

 フウの体が宙で揺れる。青い血管の筋を浮き上がらせる踝をグラグラとさせている。たわわに実った豊乳がたゆんたゆんと乱れている。

 

 シンバはその場で足で踏ん張りながら抽送を繰り返す。ただ只管、フウを求める。彼女を求める。打ち明けたい、玉袋のようにパンパンに張り詰めた気持ちを伝えたい。

 

 シンバは烈しい抽送を続けながら、ヨタヨタと歩く。抜けるよう落とさぬように、足に力を入れながら慎重に移動した。

 

 そして止まったのは姿見の前。朝陽の入り込む薄暗さの中でフウのアクメ顔が映っている。フウは白目を剥きかけながら、鏡に目を向けて恥ずかしそうに喘いだ。

 

「や、これ、やら♥んにゅ、んぎゅ♥」

 

 パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! ……ブチュンッ♡♡♡♡

 

「ふぎゅううゔぅぅっ♥」

 

 両手を滑らせ、腕で膝窩を持つとそのままグッと抱きしめ、フルネルソンの体位で女体を拘束する。

 フウは宙でマングリ返しに似た姿勢を取らされ、恥部を曝す。黒黒としたペニスがぶっ刺さった肉マンコが、撒き散らす飛沫が、どろりと滴るラブジュースが、青々とした黒毛の生えた恥丘が、一切の遅れなく反射される。

 

 ばちゅ♡ぶちゅ♡ばちゅん♡ばちゅん♡ばちゅんっ♡

 プシュッ♡プシュッ♡プシュッ♡プシュッ♡プシュッ♡♡

 

「ぁ、らふ、っ♥……ふ、んぎぃ♥ひゃ、んお゙♥うに゙ゅぅ♥ふぎゅ♥こ、れ、ダメ、らめ♥ついちゃ゙♥ぁあっ! ぅに゙ゃ、に゙ゅうぅ♥これ、らめぇ♥いぐ、いぐ、い、ぎゅふぅ♥」

 

 反ったペニスが中を突き上げる度に、フウは活きのいい潮を噴き出し、善がり続ける。

 痛みは快感に、恥は興奮に。

 枯れ枯れな声を更に震わせ、下品な嬌声を上げる。可愛らしさとか、平静とか、そういったものを無意識に保とうという気はなく、声も表情も、全てが快に浸るままに晒け出している。

 

「あぁ、あぁ、あぁっ♥シン、ぉ、おっ♥あ゙ぁ♥ぁ、っ゙♥ぁ、あっ、あ、ぉ、ぁ゙♥ぁ゙♥ぁ♥あっ♥あ゙♥」

 

 快感が走る。脳の芯が焼き切れるように頭の中が白くなる。罪悪感とか理性とか、そういった無駄なものが省かれて研ぎ澄まされていく。

 

 そしてシンバは、秘めていた想いを、愛の弾ける音よりも大きな声で叫んだ。

 

 フウちゃん、大好きだ、大大大好きだ、ずっと一緒に居たい。ずっと愛したい。ずっと抱きしめたい。ずっとエッチしたい。だから、僕のお嫁さんになって。赤ちゃん作って、みんなで幸せになろう。

 

「ゔんんっ! なりゅ、なりゅ♥♥♥シンひゃんのおよめひゃんなりゅ♥♥♥シンひゃんのあかひゃんはりゃむ゙♥♥♥あぁん! シンひゃんのおちんぽみりゅくで、フウのしきゅーはりゃまへてぇぇ♥♥♥」

 

 鏡に映る、舌を垂らした恍惚としたフウの悦顔。

 普段の様子からは想像も出来ない卑猥なセリフ。

 飛沫を増す体液。

 

 グツグツ、どくどく、びくびく、びゅぐびゅぐと、袋の中で揺れる睾丸が煮え滾る。どっぷりと膨らむ重い玉の中で、数億の精子が早く外に出たい、目の前のフウを孕ませたいと犇めき合いながら暴れている。耳元に近づけたならハッキリと聞こえてしまうくらいにえげつない脈動を鳴らす。

 

「ぉ゙♥しゅき、しゅき、しゅぎ♥しゅぎっ♥しゅぎ♥ぉ♥ぉ♥んぉ゙♥ぉほ♥ぉ゙♥しゅぎ♥しゅぎぃ゙♥」

 

 一回りも二回りも、限界のまで充血し剛直した肉茎は、暴れる精子達を送り込もうと媚肉を内側から圧迫した。隙間なく吐き出そうと、子宮口を幾度も幾度も突き上げ押し捏ね上げる。

 

「お、お゙っ♥お゙♥でりゅ、でりゅ♥またザーメンでりゅ゙♥またイグっ♥シンひゃんのおちんぽにおまんこじゅぽじゅぽされて、またイッチャぅ♥オマンコやけりゅ♥ドロドロざーめんでオマンコまたやけどしゅりゅ♥ぉ、ぉ゙♥ぉ♥ぁ、あ゙」

 

 ばちゅんっ♡ばちゅんっ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡バチュッ♡

 

「あ、あ゙、あ゙っ、あ゙、あっ、あ♥イグ♥イグ♥イグ♥イグ♥イグ♥」

 

 ──ばっちゅんっ♡♡♡

 

「い゙ぐうぅぅぅぅぅ゙ぅ゙ぅ゙♥♥♥」

 

 シンバはフウの体を強く抱き締め、彼女の頭を両手で挟む。そしてトドメの一撃を加えるかのように、己を根元まで深々と突き刺し、肉先で奥口に濃密な接吻を交わした。

 力強く、手加減のない一突きは、フウの体の中心部に溜まりに溜まっていた疼きを解放するには十分で、喉が破裂するような絶頂声が部屋中に轟いた。カーペットが、家具が、壁が、あるもの全てが震えた。

 

 ──びゅるるるるる~♡びゅるる♡どびゅっ♡どびゅ゙ぅ゙~~♡♡

 

 瞬間、精巣で暴れていた子種達が駆け昇る。管を驀進し、精嚢液をたっぷりと纏いながら、鈴口から白濁のザーメンとなって、シンバの咆哮とオーガニズムと共に一気に炸裂した。

 炸裂によって膣肉と子宮はドロドロとした灼熱で埋まっていく。既にとぷとぷと溜まっていた分など知らんぷりで、新たな子種が子宮口を通過し、赤子部屋を熱で包む。

 

「んぁ、んん゙っ! ぁあ、あぁぁぁ゙♥ほおぉんんんっっっ!!」

 

 フウの嬌声とともに、曝した陰部が喘ぐ。今までの中でも一番の潮水は勢いをつけて穴から吹き出し、目前の鏡に無数の水滴になって張り付く。張り付いたものは鏡の表面に跡を付けながらダラダラと下へと滴る。映る2人の姿が濡れてボヤけた。

 

 びゅうぅぅ♡びゅる゙る゙る゙る゙っ♡ドビュッ♡とびゅうぅ♡どびゅうぅぅ♡♡

 

 秘芯が引き締まる。柔らかい肉襞の舌先のような尖端が肉幹に吸い付き、根元から亀頭にかけて搾り呑み、弛緩と収縮を繰り返す。

 フウからの熱烈な愛撫に、シンバは子種を吐き続ける。既に子宮は白濁に満たされているのに、射精はまだまだ収まらず、入り切らない分が肉幹と膣肉の合間を縫って逆流し、結合部から漏れて滴り、尻肌を滑っていく。

 

「ん、んぉ、ぉほ♥ぉぉ゙……♥ぁ、ぇ、へ♥」

 

 脈動に合わせて、フウの体が痙攣する。その度にフウの喉から嬌声の残滓のような艶声が洩れる。目尻から涙が溢れ、殆ど白目を剥いて、しかし艶やかさの増した表情は、最上の悦びを味わっているかのように恍惚としきっている。

 心が溶けていく。自分の身体の熱がフウの身体の熱とひとつになって、心が繋がっていく。

 

 どびゅっ♡とびゅっ♡びゅ~~っ♡♡ …………ずぼんっ♡

 

 肉幹が蜜穴から抜け出し、身を勢いよく振りながらだらんと垂れ下がる。シンバをかれこれ数時間は受け入れていた肉マンコはしっぽりと、淡い色の肉ビラの内側まで濡らしている。

 そして抜けてから1秒もしないうちに、膣穴から大量のザーメンが漏れ出した。濃厚な白濁色をした粘液が、トクトク♡と穴から溢れ、臀溝を濁流のように伝い、太い糸を引いて真下へと滴り落ちる。偶に塊が来ると、どぼっ♡どぽっ♡と音を立てて穴から排泄され、ぼとっ♡と重さを持ってカーペットに落下した。

 

「はぁ、あ、ぇ、へぁ♥へぇ、ぇ゙♥」

 

 聞き取れぬ譫言を繰り返すフウの姿を鏡越しに見ながら、シンバは彼女の首に顔を埋めた。鼻を刺すような体臭を嗅ぎながら、舌先で肌を舐め上げた。

 しょっぱい、髪の毛が舌に絡む。セックスをする女性でしか味わえない旨みに幸福を膨らませ、ずっと愛していたいと願望を湧かせながら、アヘるフウを眺め続けた。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 夜が明け、休日の朝になった。窓外は白く光っている。カーテンを閉めていても、隙間からの外光は部屋の中を明るく照らす。この時間にもなれば、大半の人間は目を覚ましている。今も外から近所の住人の大きな話し声が窓越しに聞こえていた。

 

 にゅぷっ♡にゅぷっ♡にゅぷっ♡にゅるっ♡ニュプッ♡

 

「はぁ♥はぁ♥はぁ♥どう? ぱいずり、気持ちいい?」

 

 吐息を洩らしながら訊くフウを見下ろしながら、シンバは頷いた。

 激しい交わりも終わりを迎え、今は余韻に浸るようにフウの豊乳に肉幹を挟んでいた。

 仰向けのフウの体に馬乗りになり、両手で乳房を寄せて谷間を作りながら、下乳から逸物を挿入させている。腰を前後に揺らす度に、谷間の上側から亀頭が出たり引っ込んだりを繰り返す。たっぷりと濡れた肉棒とおっぱいの蒸れた谷間に溜まる汗によって、チンポは滑らかに抽送していた。

 

「ん、ふぅ、んん♥シンちゃんのおちんちん、凄く熱い♥びくびくってしてるの、おっぱいの中でも分かっちゃう」

 

 肉襞はないし、根元を締め付ける膣穴も、奥で待ち構える子宮口もない。だが、フカフカ、フワフワ、モチモチとしたフウの乳マンコは、優しく抱擁するようにシンバを包み込んでいる。膣肉とはまた違った肉の感触に、シンバは頬の筋肉を緩めた。

 緩む表情とは対照的に、陰部は硬さを増して血で身を満たす。出しても出しても止まらない勃起。おそらくだが、脳の性欲を司る部位が壊れてしまっているのだろう、自分の欲が、本来分泌されるだろうホルモン的なものを遮っているのだろう。

 

 にゅぶ、ずりゅ、ずぽっ、ズポッ、ズポッ♡♡

 

「シンちゃん、もっと強く揉んで? …………あぁんっ♥」

 

 シンバは乳を揉んでいる掌に力を加え、指を脂肪の中に沈ませた。ピンク色の乳輪がぷくっ♡と聞こえない音を立てて膨らみ、乳頭をピンと尖らせた。尖った部分を爪で引っ掻いてやると、フウは息と共に喘いだ。抗うこともせず、手伝うこともせず、両腕を上にやって腋窩の窪みを曝しながら、一方的に屠られる双丘と必死に屠るシンバを恍惚とした火照り顔で見守る。

 

「はぁ、はぁ、ぁ♥〜〜っ゙♥ンンゥ♥んぁ♥、はぁん♥」

 

 峰先をカリカリと爪で引っ掻かれ、フウは下半身を悶えさせる。足先がシーツを擦る音はシンバの耳にも届く。悶えているのだ、きっと割れ目からはまた愛液がたっぷりと溢れている。そう考えただけでも気持ちは昂り、絶頂へと昇った。

 

「あん♥シンちゃん、おっぱいの中でまた硬くなってる♥出そうなんだよね?」

 

 シンバは頷いた。また出そう、このまま出したいと答えた。

 

「いいよぉ♥このままびゅ~♥って出して、フウの顔、ぷりっぷりでノーコーなざーめんで、ドロドッロに汚して♥」

 

 フウは妖艶に微笑みながら、誘惑するように言った。

 そんなことを言われては、睾丸は震えざるを得ない。

 たわわの中で、シンバは怒張する。飛び出した頭が充血して赤く変色し、竿と共に漲り張り詰める。その瞬間に合わせて、乳房を思いっきり両側から挟み、外から圧をかけた。

 

 ────びゅるるるっ♡びゅる~♡びゅぶうぅ♡びゅるっ♡びゅるっ♡

 

 そして根元が下乳まで深く刺さり、亀頭が雁首の下まで飛び出たところで、シンバは欲望と想いを乗せて炸裂させた。濃厚な白濁の熱望は一筋の線を描きながら、フウの整った顔にべちゃりとぶっかかった。

 むろん1度では収まることはなく、繰り返し繰り返し、射精の咆哮に合わせて短長ランダムに線を描く。鼻先、鼻筋、頬、前髪、瞼、眉毛、口許、顎、首元から首の根と鎖骨の窪みと、フウの顔周りの部位の全てに自分の生臭い子種でマーキングをしていく。

 

「きゃ……んは、ぉ♥ぁあん♥んぁ、れろっ、ぁ♥」

 

 続くぶっかけに顔を顰めつつ、フウは口許に張り付くザーメンを舌舐りで絡めとっていく。苦い、美味しい、殆ど聞き取れない声で息を吐きながら、口の中へ溜めていく。たまにシンバが両手で胸を圧迫して管の残り滓を跳ねさせると、不意打ちを食らったときのような悲鳴を上げて、子種を溜め続けた。

 そしてある程度口の中が満たされると、フウは「あっ♥」と唇を開き、嗽するかのように口腔内のザーメンを泡立てた。

 

 ガラガラガラガラ、ブクブクブクブク。

 

 白濁の中から無数の気泡が生まれ、直ぐに弾けては新しく薄い膜を張る。ときおりパクパクと口を開閉させて泡を塊に戻すと、また泡立てて音を奏でる。

 最後は喉を鳴らして、一気に呑み込んだ。

 

「んぷっ、んくっ……ん、いっぱいいっぱい出たね♥」

 

 白濁色の泥を顔面に被りながら、フウは微笑んだ。

 また来る一瞬の倦怠感。

 射精を終えて逸物が萎縮し、胸の中へと沈んでいく。

 シンバが両手を離すと、豊乳が左右に垂れて谷間が開いた。谷間の中にもたっぷりとザーメンが溜まっており、左右の乳房の間で粘ついた白濁のブリッジを掛けていた。

 

「わあ、まだこんなに出るんだぁ……♥」

 

 顎にザーメンを滴らせながら、フウは胸元にべちょべちょに貼り着く熱液に、困惑と歓喜を混じらせた。

 

 フウちゃん。シンバは萎んだ自分に目を向け、首を傾げるフウにすぐさま視線を切り替えた。

 さっきの言葉だけど、僕、本気でフウちゃんとずっと一緒にいたい。こんな体勢で言うのも変だけど、と苦笑を付け加えながら、心臓を早く打ちながら言った。

 

 フウは手を伸ばし、シンバの掌と自分の掌を重ねた。そして微笑みを携えたまま、「いいよ♥」と唇を動かした。

 

「私もね、シンちゃんのお嫁さんになりたいなぁって、考えてたんだ……だからね、さっきの私の告白も、本心だよ? それで、お嫁さんになったら……今日みたいにいっぱいエッチして、いっぱい赤ちゃん作ろ♥」

 

 どくんと心臓が唸る。淫蕩で、真っ直ぐで、危ない煌めきを放つ眼差しを向けてくるフウの姿と言葉に気持ちが昂る。彼女の告白に心の底から喜びが湧き上がり、自然と笑みが浮かぶ。

 

 自分でも呆れる、呆れを通り越して恐怖すら覚える。ここまで出すと流石に痛い。しかしそれとは裏腹に、袋に走る血管が滾り、また漲り始める。皮の弛みを引き伸ばし、引っ込んでいた幹先をムクムクと伸ばす。

 

「まだしたい?」

 

 訊かれて、シンバは素直に頷いた。あーだこーだと言い訳を並べて切り上げようだなんて考えもしない。もっとフウに啖いつきたい、フウを抱き締めたい、抱き締めてもっとフウを満たしたい、フウに満たされたい。

 

「うん、じゃあ、もうちょっと楽しもっか♥」

 

 あともう少しだけ、そう思いつつ、シンバは頷き、フウに己を擦り付けた。

 

 あともう少し、あと少し、もうちょっと、あと1回、お昼ご飯まで、夕食まで、お母さんが帰ってくるまで、お母さん遅くなるらしいからあともう少しだけ。

 

 終わろうとする度に、2人は互いに代わる代わるそんなセリフで強請り、受験勉強のことも忘れて、肉欲をぶつけ続けた。「あの頃はまだ若かったから、今と違って全然拙かったね」と長い年月が経ってもたまに語り合うくらいに、粗くも烈しいマグワイを交わし続けた。

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

『今からあの川に来て。橋のところで待ってるね』

 

 メッセージを打ち終え、ボタンをタップした。シュッという音が鳴る。緊張が抜けて、フウは安堵した深いため息を吐いた。この文章を考えるだけでも、相当な時間がかかってしまった。

 

 たったこれだけ、しかしフウにとっては、これだけのものを彼に送るのは勇気がいることだった。

 

 フウは端末をセーラー服の胸ポケットに仕舞い、そのままスカートのポケットに手を伸ばす。取り出したのは、四肢のついたピンク色の手のひらサイズの人形だった。所々劣化しているが、まだきちんと形を保てている。途中から持ち歩かずに大切に保管していたことが幸をそうした。

 

「(シンちゃん、来てくれるかな……)」

 

 不安が胸に積もる。少しでも晴らそうと、フウは人形を指先でニギニギと握り、空いた手を欄干に置いて顔を上げた。オレンジ色の空の下、茜色に染まる川面は遠くまで続いている。景色を眺めながら、フウはそよ風が項を撫でる感覚を静かに味わった。

 

 意識したのは、小学5年生のとき、だと思う。

 

 一緒に神社の夏祭りに出かけて、人混みの中で迷子にならないようにと、彼の方から手を繋いでくれた。昔から手を繋ぐのはよくやっていたのに、その瞬間は何故か胸がドキッと跳ねて、最後まで跳ねっぱなしのままだった。

 あれから、彼と会うときは色々と意識し始めた。髪型とか服とか、気に入ってくれるかなと、バレないように密かに気にし始めた。友達と恋愛についてあれこれ話すようになって、自分が彼に抱いている感情が『そういうこと』なのだと気がついた。いつか、気持ちを伝えられたらいいなと思った。

 

 けれど、中学に上がった途端、彼との関係は途切れた。途切れたと言っても、喧嘩したとか決して悪いことがあったわけではないし、完全に断ち切った訳でもない。ただ、新しく友達もできて、環境も変わって、自分達の時間が生まれて、同級生達と中学生活を送っていたら、いつの間にか疎遠になってしまっていたのだ。

 

 フウは何度も話しかけようとした。昔みたいに話したいと思っていた。そして、この気持ちを…………でも、どうしても言葉は喉元でつっかえてしまい、出てこなかった。挨拶を交わすのがやっとだった。話しかけようとすると、その場で止まってしまい、別の子に話しかけられて結局出来ずじまいだった。

 

 そのうち、呼び方も他人行儀になった。2年で同じクラスになったとき、シンバは「浮守さん」と呼んだ。どうしてと思いつつ、フウも名前で呼ぶことができず、彼を「伊森くん」と呼んだ。視線で追うことはあっても、こちらから話しかけることはしない。いや、出来ない。みんなとは普通に話せるのに、なぜかシンバだと緊張してしまった。メッセージでのやり取りすらごく稀になってしまい、3年になるとパッタリとしなくなった。

 

 それから時が経ち、高校受験に本腰を入れ、忙しない毎日を過ごし、気が付けば、卒業式──今日を迎えてしまった。

 

「あっ」

 

 胸元の端末が震えた。咄嗟に確認すると、『元』クラスメイトの石部からメッセージが届いていた。文章はなく、動物のスタンプが1つだけ。両手をぐっと握って、『ふぁいとぉ〜!』と色文字を頭の上に浮かべている。

 

「……ありがとう、石部君」

 

 石部からのエールに、フウは感謝の念を込めるように端末を胸元に押し当てた。

 

 石部から連絡を受けたのは、最後のクラス会を終え、クタクタに疲れながら帰宅してすぐのことだった。今まで友達としてメッセージで軽いやり取りをすることは多々あったが、声で話がしたいと言われたのは初めてだった。

 

 通話越しに、石部はゴメンと昼間の件を謝罪した。

 実は本当は一人で告白するつもりが、どこで洩れたのか、友人達にフウが好きなことが知られてしまい、気がついたらあんな大事になって迷惑をかけてしまったこと。

 フラれたというのに、クラス会でみんながフウと石部をくっつけようとして色々と迷惑をかけたこと。

 簡潔に纏めるとそういった内容だった。

 フウ自身はもう気にしていない、むしろ石部に謝らせてしまって申し訳ないと返した。

 

『浮守って……好きな人、いる?』

 

 唐突な質問に、フウは思わず「えっ!?」と声を上げた。むしろ、彼が連絡を寄越したのはこのためではないかと、後になって思った。

 

『その人って……伊森君?』

 

 間を空けずに畳み掛けられ、フウは通話越しに狼狽した。違うとは言っていないが、しどろもどろする声は明らかにそうだと答えていた。

 

「……知ってたの?」観念したフウが恐る恐る訊く。

 

『好きになった相手のそういうのって、結構気づきやすいんだ』通話越しでも苦笑が伝わった。

 

『浮守、ずっと伊森君のこと、目で追ってたんだ。みんなで話してるときも、彼が傍を通ると、君は必ず目を向けてた。みんなは気が付かなかったけど、彼を見る君の目は、いつもキラキラしてたんだ。それで、もしかしてって思った。でも、俺も君のことは好きだから、だから気持ちを伝えたんだ……けど、フラれたとき、やっぱりなってなったよ。そして今、君の気持ちを聞いて、ようやく納得できた』

 

 笑っているのか、顔が見えないから分からない。けれどスピーカーの向こうから聞こえてくる声は、どこか吹っ切れたように軽やかな気がした。

 

「……小学生のときからなんだ」

 

 気がつくと、フウはそのセリフを口にしていた。小学校の頃から好きだった、今も好き。その先のことは、言わない。

 石部は間を置いて、『そっか』と呟いた。

 

『……俺の告白、覚えてる?』

「……今日しか伝えられない、だよね」

『うん、そう。今日でみんなバラバラになる。連絡先は知ってても、話す機会はない。それぞれでまた忙しくなるから、密接な間柄じゃないと集まることもない。だから、俺は今日が気持ちを伝える最後のチャンスだと思った』

 

 一呼吸吐く音が聞こえてから、石部の声が再び響いた。

 

『……浮守も、もし伊森君に気持ちを伝えたいなら、早く伝えた方がいい。我慢なんてする必要ないよ……フラれた後のことなんか、フラれてから考えればいいんだ』

 

 フウはその場で頷いた。石部には見えないが、フウが頷いたのは伝わっただろう。

 

 通話後、フウはしばらくベッドに寝転がった。ただ何をする訳でもなく、仰向けに、窓から入る光に白く照らされた天井を見るともなく見続けた。

 

 自分は、伊森くんが……シンちゃんのことが好きだ。ずっと好きだった。話したかった、仲良くしたかった、なのに好きだと自覚した瞬間から、言葉が塊のまま固まって喉でつっかえるようになってしまった。

 

 このまま終わるのか? 

 

 このままシンちゃんに気持ちを伝えずに、疎遠のままでいいのか? 

 

 嫌だ。絶対に嫌だ。

 

 シンちゃんのことが好きだ。好きなんてもんじゃない。大がいくつも付くくらい好きなのだ。それこそ、だれかがシンちゃんに片想いしてたら、私の方が好きだと独占したいくらいに。

 

 でも、好きだからこそ伝えられなかった。好きと伝えて、もしダメだったらどうしようと不安になった。彼から嫌われていたらどうしようと怖気付いた。

 

 私は、このままでいいのか。彼に思いを告げることもせずに永遠と喚き散らすこの気持ちに蓋をするのか。

 

「嫌だ、ぜーったいにやだ」

 

 天井が薄くオレンジになり始めたころ、フウは勢いよく体を起こした。着替えも何もせずに、あれやこれやと頭を捻った。

 

 そして今、フウはこの橋の上で彼にメッセージを送った。

 来てくれるかどうかは分からない。でも、来てくれると信じて待っている。

 

 ……今まで告白してくれた男の子達も、こういう気持ちだったのだろうか。フラれたらどうしようと、不安になりながら気持ちを伝えてくれたのか。

 

 だとしたら、みんなは勇気を振り絞ってくれた。秘めた好意を伝えてくれた。告白って、本当に凄いことなんだ。

 

「大丈夫、大丈夫、大丈夫……」

 

 同じ言葉を反芻しながら、人形を手ごとポケットに突っ込み、中でもう一度握った。園で1番の仲良しだった子がくれたこの人形は、『持っていると願いが叶う』という効果がある土産物らしい。嘘か本当かは分からない、けど、フウは本当だと信じている。

 

 ……初めは、声をかけようか迷っていた。

 

 直感ではそうだと思ったものの、目と鼻の先に立っている男の子が、人形を探してくれたあの男の子なのかどうか、確信を持てなかった。そうだとしたら話しかけてお礼が言いたい、そして友達になりたい。でも、もし人違いだったらどうしようという不安が足枷になって、踏み出したい一歩が踏み出せなかった。

 

 そのとき、フウはランドセルにぶら下げていた人形を掌で包んだ。どうかあそこにいる子が、あのときの男の子でありますように、友達になれますように。

 

 ……そして今日、フウはまた人形に願いを込めていた。

 

 どうか、シンちゃんが来てくれますように。

 どうか、私の気持ちが伝わりますように。

 

 人形から手を離し、欄干に肘をつく。不安と緊張で落ち着きのない内心を落ち着けようと、楽な姿勢を取ったつもりだった。

 

 来る、来てくれる、来たら、この想いを伝えよう。もう何もせずに逃げのは、嫌だ。

 

 春の風が吹いて、スカートとポニーテールを揺らした。

 

 ──浮守さん

 

 風に運ばれるように、耳元に彼の声が聞こえ、フウの胸が高鳴った。

 

 ゆっくりと首を横に捻る。声の主が視界に入った瞬間、フウは顔を綻ばせ、めいいっぱいに手を振った。

 

 

 




初めはその他の要素とかストーリーがあったんですけど、上手く纏まらず、没にしていった結果、今回の話になりました。
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