・設定は正確ではありませんが『百合』で『オメガバース』で、いわゆる『ふたなり』状態でもあります。苦手な方はお控えください。
☆あらすじ☆
ご当地アイドルグループとして軌道に乗ったフランシュシュは、各地でライブを開催し成功を収めていた。
そんなある日。
ライブ終わりのホテルで、3号こと水野愛は、同室の紺野純子の異変に気づく……。
◆Chapter01
ご当地アイドル・フランシュシュ。
それは、生まれも育ちも、そして死因もまったく異なる少女たちによるゾンビィアイドルユニットである。
アルピノでのライブを大成功させた彼女たちは、活動の場をさらに広げていた。
次は九州制覇――
その野望を胸に、佐賀県を飛び出してのツアーが始まった。
+ + +
「「「「「ありがとうございましたー!」」」」」
「うがー!」
この日、熊本県でのライブも大盛況のまま終了した。小規模ながらも熱気に包まれたステージだった。
今夜はこのままホテルに宿泊、明朝、次の会場である鹿児島へ向けて出発する予定だ。
「待て、3号」
伝説の平成のアイドルこと水野愛は、そのホテルのロビーでプロデューサーの巽から呼び止められた。
「何?」
「4号のことについてだ」
「……純子の?」
愛を始めとするフランシュシュのメンバーの中には、生前、世間に顔と名が売れていた者もいる。
4号――紺野純子もその1人。
愛が平成の世を席巻したアイドルならば、純子は昭和のスター。
普段は気弱な少女に見えることもあるが、彼女はたった1人で華やかな舞台に立ち、その戦場を戦い抜いてきた、紛れもない伝説のアイドルだ。
「純子、やっぱりどこか悪いの?」
先ほど、ライブが終わってすぐに純子は、他のメンバーより先に楽屋を出ていた。
――ちょっと調子が悪くて。
目も合わそうとせず、そう言い残して足早に去って行く純子の姿を、愛は思い出していた。
彼女たちはゾンビィ。
ある意味では生身の人間より無理が利く体をしているが、一方で、想定外のトラブルに見舞われることも多い。
愛は、純子のことが心配になって巽に尋ねるが、返ってきたのは予想外の言葉だった。
「4号は、部屋を変わる」
宿泊するのはツインルーム。
愛は、純子と同じ部屋に泊まる予定で、すでにライブ前にチェックイン済みだ。
だが本人からの申し出により、純子は別室に変わるという話らしい。
「なにそれ」
「お前とは一緒にいられない。そういうことだ」
「……はぁ?」
確かに、今日の純子は素っ気なかった。
ステージの上ではさすがに超一流のプロらしく愛に向けても笑顔を見せていたが、それ以外の場面では――特にライブ後は、愛や他のメンバーを避けているような様子すらあった。
なにか、自分がヘマをしてしまったのだろうか。
愛は自問自答する。
純子はああ見えて、アイドルとしてのプライドは相当に高い。
それは確固たる信念と努力に裏付けられた、まさしく自信そのもの。しかしそれゆえに、『平成』の価値観を持つ愛とは衝突することも珍しくない。
もしかしたら、愛も自覚のないうちに、純子の癇に障るような言動があったのかもしれない。
(でも、だからって……)
それならば、面と向かって言えばいいのに。こんな子ども染みた方法で抗議するなんて。プロとしても、メンバーとしても如何なものか。
……共に苦難を乗り越えてきた仲間なのに。
少なくとも、愛のほうはそう思っていたのに。
「4号は先に荷物をまとめて別の部屋に移っている」
「あっそ」
巽に背を向けてエレベーターへと向かおうとする。が、すぐに気づいて立ち止まる。
「……ねえ、鍵は? 私どうやって部屋に入ればいいのよ?」
オートロックのこのホテル、純子が先に上がっているというのなら、今は愛の部屋は施錠されているはずだ。
「問題ない」
巽はフロントに行くと、何かを受け取って戻ってくる。
「合い鍵だ。ここのホテルのオーナーには顔が利いてな」
「時々思うけど、あんた何者なのよ……」
問い詰めたところで真っ当な答えが返ってくるとは思えないので、愛はそのカードキーを受け取り、背を向けるが、すぐにまた巽から声がかかった。
「1つだけ言っておく。今はまだ4号も――純子も混乱しているだろうが」
「?」
「あいつの力になってやれるのは、たぶんお前だけだ」
+ + +
上階へと向かうエレベーターの中で愛は1人、悶々とした気持ちを抱えていた。
「……はあ」
少しは信頼されていると思っていた。純子とは衝突もするけれど、それは、互いに心を開いている証だと。
――自身の胸の内を、改めて眺めてみると。
純子の存在がずいぶんと大きくなっていることを再発見する。アイドルとしては『先輩』。スタンスこそ違えど、見習うべきことはたくさんある。
けれど普段はどこか頼りないところがあって、それが何だか可愛らしくて。なにやってるのよ」――なんて言いながら面倒そうな態度を見せてしまうが、それでも愛は微笑を漏らさずにはいられない。
純子のほうでも、そんな関係を心地よく思ってくれていると思ったのに。なのに、自分には何も言ってくれなくて。けれど、巽は何か事情を聞いているようで――
「ああ、もう。何考えてるのよ私……!」
これじゃあ、まるで嫉妬だ。子供っぽい嫉妬。純子にだって、思うところがあるのだろう。相談相手を彼女が選ぶのだって、当たり前のことだ。
たとえ親しい関係であっても、何でもかんでも全てを打ち明けるべきだとは限らない。
そう、愛にも――
「…………」
エレベーターが到着する。解錠装置にカードキーを押し当て、部屋へと入る。
「――――っ!?」
ドアを開ける途中で、人の気配に気づく。誰だろう。清掃員?
(……純子?)
かすかに、彼女の声がする。囁くような声。いや、これは……。
無意識のうちに愛は、息を殺し、足音を忍ばせていた。何も、盗み聞きをしようだとか、そういう意図はなかった。聞いてはいけないその声を、見てはいけないであろう姿を想像して、体が勝手にそのような行動をとってしまっただけだ。
そして――
「……ッあ、あんっ……! 水野、さん……っ」
ひときわ甲高い純子の声。彼女は、愛が使うはずだったベッドの上にいた。うつ伏せになり、セーラー服のお尻だけを突きあげて。
「だ、めっ……! もう、帰ってきちゃうのに……や、やぁっ」
ハンガーに掛けておいたはずだった愛のジャージで頭を包むようにして――そして、彼女の右手は自らの下腹部に伸びていて――
……バタンッ!!
愛の後方でドアが締まる。愛もビクリとしたが、驚きようならば当然、純子のほうが激しかった。
「――え、あッ!?」
ジャージから顔を覗かせ、振り向くその瞳には、強い怯えと狼狽が見て取れた。
「……純子、あんた何を」
「ご、ごめんなさっ――ごめんなさい……っ!」
切羽詰まった、ほとんど悲鳴のような声で純子は、恐怖に身を震わせた。
「…………っ!?」
だが、この状況への戸惑いよりも怒りよりも、愛は自身の体に走った、鮮烈すぎる感覚に困惑していた。
それは、鼻腔から侵入してきた。そして恐らく吸気からも。ベッドの純子から放たれる濃密なフェロモンが、愛の肉体を強く刺激していた。
ゾンビィの体になってまで感じるとは思わなかった、狂おしいほどの生殖本能が、愛の中で暴れ出した。
体中がバクバクと脈打つように興奮している。ライブのときとは違う、闘争本能にも似た、けれどもっとずっと抗いがたい、暴力的な感覚。
「あ、愛さん……っ?」
よほど表情や態度に出てしまっていたのだろう。ブルブルと怯えていた純子も、愛の様子を気に掛けて、おそるおそる尋ねてくる。
「だ、大丈夫ですか?」
――大丈夫じゃない。こんなの、抑え切れない。
見てしまった純子の痴態。純白のショーツの上で蠢いていた、彼女の細い指。スカートの腰がひくついていて、まるで誘うようにうねっていた。
そして、そこからまき散らされていた彼女のにおい。とても穢らわしくて、とても愛おしいにおい。
――純子の不調の原因は、コレだったのだ。
そう気づいたときには遅かった。知っていたらまだ対応できていたかもしれない。けれど、遅かった。
愛は飛びかかるような勢いでベッドに上がり、純子を仰向けに押し倒す。
「えっ? きゃぁっ――!」
頭がくらくらする。体が火照って熱い。熱くて仕方がない。
眼下の純子が――その怯えた顔すらも、愛おしく感じる。彼女のにおいがいっそう濃くなった。耐えきれない。
純子は突然のことに目を白黒させていたが、すぐに、
「な、何をするんですかっ!?」
パニックになって、手足をバタつかせた。
――そうだ、冷静にならなくては。
こんなことは、すぐに止めなければ。
頭ではそう思っていても、その思考すらすぐに灼かれて、ただれたように崩れ落ちてしまう。だから、喉から込みあげてくる言葉すら倒錯していて、
「あなたこそ、何してたのよ」
「そ、それは……っ」
純子の顔がふたたび罪悪感に染まる。
――ああ、そんな顔をさせたいワケじゃないのに。
「私のジャージ……」
「あ、あぁ……ごめんなさい、ごめんなさいっ……」
「あなたって『そう』だったのね。……私のことも分かってたの?」
「ど、どういう?」
――知らない?
愛の体のことも、純子自身のことも?
彼女が『そのこと』を知らないのなら、なおさらこんなことは止めるべきだ。取り返しが付かなくなる。でも。
「み、水野さん……っ!? あっ、やっ――いやっ」
純子の首元に顔を埋める。密着すると、渇きは満たされるどころか余計に酷くなる。
首筋へと乱暴に唇で吸いつき、舐め上げると、
「やっ、だめっ……!」
純子は抵抗するが、その声には恍惚とした響きが含まれているのを、愛は聞き逃さなかった。
彼女も悦んでいるのだ――そう考えると、高揚が止まらない。
「純子」
顔を上げ、彼女のことを見下ろす。
「水野さ……んっ!?」
眼を閉じて唇を重ねても、純子は顔を逸らさなかった。
「あ、むっ……んんんっ……、ん、むっ」
唇と唇が絡み合い、舌を押し入れると、戸惑いながらも感じてくれている。 受け入れてくれた。応じてくれた。
(私、いま純子とキスしちゃってるんだ……っ)
実感すると、劣情とは違う種類の感動が溢れ出てくる。脳裏には、まぶしいほどの純子の笑顔が浮かぶ。そしてステージに立つときの凜々しい姿も。そっと寄り添ってくる、子犬のような仕草も。
理性が、バチンと音を立ててはじけ飛ぶ。
突き入れた舌をうねらせ、戸惑う可愛らしい舌を捕縛すると、ジュルジュルと音を立てて吸い上げる。
「んぶッ!? は、ぷっ……! んんんっ!?」
キスだけじゃ足りない。
こんなものじゃ満たされない。
衝動に任せて、純子の体を貪り尽くす。
制服の胸元を揉みしだき、脱がせ、自分も上半身をはだけさせる。ツンと尖った純子の控えめな乳首を、指先で、舌で、そして自分の突起を合わせて存分に堪能する。
「きゃ、んっ!? い、いけません……わ、私たち、女の子同士なのにっ」
「――そうじゃなかったらいいの? 女ってだけじゃなかったら」
「っ?」
こちらの言葉が意図するところを理解できず、戸惑う純子。愛はそんな彼女スカートの中へと右手を潜り込ませる。
「あっ、やぁっ!?」
細いながらも柔らかな太腿。侵入を防ごうと健気に脚を閉じているが、お構いなしに太腿の谷間へと手のひらを滑り込ませる。
「……こんなに湿ってる。私の服でオナニーするの、気持ち良かった?」
「っっ! そ、そんなことっ!」
恥辱に塗れ、必死で否定する純子の顔すら可愛らしくてたまらない。
(全部、見せたい……純子に……)
無垢な彼女に、自分の真実を暴露してしまいたい。
その衝動に耐えきれず、愛はショーツを脱ぎ去り、純子に見せつける。
――男性と同じ形の性器を。
「え――、えっ!?」
純子の困惑はさらに深まり、今や怯えに近い表情すら浮かべている。
「私、こういう体なの」
「……り、リリィちゃんと同じ……?」
「あの子とは違う。あの子は男の子だったでしょ。私は『アルファ』だから。女の子の部分もあるけど……こっちもあるってこと」
「あ、ある……?」
やはり、純子は何も知らないようだ。
「仕方ないわよね、あなたの時代にはまだ認知が進んでなかったみたいだし……実際に、ほとんどの人が『ベータ』だったって言うし」
「な、なんの話ですか?」
「つまり私は女だけど、妊娠させられる体なの。……純子みたいな、オメガの子を」
「――――っ!?」
混乱しつつも、純子も今自分が置かれている状況を理解したらしい。
ベッドに押し倒され、体をまさぐられ、性器を見せつけられ――これから、何をされようとしているのかを。
酷いコトをしている自覚はある。罪悪感も。そして何より自己嫌悪の念を。
それでも愛はもう、本能を押さえ込むだけの理性を失っていた。
オメガの――純子が発するフェロモンに当てられてしまったせいで、愛の生殖本能が暴れ出している。
ただ単に発散したいワケじゃない。生理的に発散して、それで終わる衝動ではない。
(純子としたいっ……! この子に、私の――っ)
「……純子、お願いっ」
「み、水野さん?」
――させて欲しいだなんて。
なんて浅ましくて、卑怯なんだろう。
けれど、一度口にしてしまったら、自分の意志ではどうにもならなくなってしまった。
「純子の中に入りたい、一緒になりたいの、貴女のこと無茶苦茶にしたいっ――」
口に出してから、絶望に打ちひしがれる。
今まで築いてきた関係が崩れ去ることはもう避けられない。きっと純子は自分のことを軽蔑するだろう。
今すぐ飛び退いて、無かったことにしてしまいたいという思考と――けれど、その一方で、頑として動かない自分の体。このまま、純子を自分のものにしてしまいたいという強い欲望。
その2つが頭の中で衝突して、ぐしゃぐしゃになってしまいそうだった。
視界がにじむ。顔が、全身が熱くなる。
進退窮まった愛の頬に、しかし純子が優しく触れてきた。
「――水野さん。私のせいですか?」
穏やかな声。くすぐったい手のひらの感触。
愛は何か言葉を返そうとするが、うまく喋ることができなくて、ただ口をパクパクさせる。
純子は囁く。
「私があんなことしてたから……水野さんは、こんなふうに。もし……そうすることで水野さんが楽になるんだったら――どうぞ。私、経験がないから、うまく出来るか分かりませんけれど……」
純子が立ちのぼらせるフェロモンが、一段と濃くなり、愛の体が歓喜にびくりと跳ねた。
均衡を保つまで押し戻していた理性は――いま、完全に崩壊した。
「純子――っ」
彼女の湿りきったショーツ。そのクロッチに指をかけ、自身の怒張をそこに押し当てる。
「――ッ、やっ」
純子の短い喘ぎ。
亀頭に、くちゅりと触れる濡れた肉。
(ここが、純子の……っ)
背筋が興奮でゾクゾクっと震える。
「入れるからね……っ」
愛は倒れ込んで純子を抱きしめ、腰をぐいっと強く押しつける。膣口から押し入っていくペニス。純子の中は狭く、押し返されそうになるが、愛はびっしょりと汗をかきながら、その関門を突破する。
――破瓜の瞬間、
「は――、あ、ぐッッ!?」
純子は、愛の背中へとブラウス越しに爪を立て、悲鳴を上げた。けれど愛は、その苦悶を慮ることすらできず己の欲望を満たしていく。
(ごめんっ、ごめんね純子……っ!)
心の奥では詫びながらも、下腹部を痺れさせるとびきりの快感にのめり込む。
フゥフゥと荒く息を吐きながら、
「分かる? 私の……入っちゃってる、純子の中にっ」
「はい……、はいっ!」
そんな酷い問いかけにも、純子は懸命に答えてくれた。愛の背を掻き抱く腕には、いっそうの力が入っている。
「ごめん、痛い……っ?」
「い、いいえっ、――こんな体だから……でしょうか、……っ、痛くは……で、でも……苦しいっ……! 苦しいですけれど――」
純子の声がさらに切迫する。
「や、やめて欲しく、ないですっ……!」
目眩がしそうだ。こんな種類の喜びは感じたことがない。求めた相手とこんなにも身体の奥深い部分で繋がって、相手にも求めてもらえるなんて。
でも。
もっともっと深く繋がりたい。
もっと純子のことを満たしたい――愛したい。
そう強く望むのと同時、下腹部に、今までとは違う熱さが込みあげてきた。熱い塊。形になった欲望。一度弾けたら、決して止まらないであろう濁流。
孕ませたい――
そう叫ぶ本能が、熱い体液を押し上げてくる。
「あ、あ、あ――っ」
肉棒を出し入れするたび、ヌルッヌルッと擦れる蜜粘膜。その快感が、愛のことをそそのかす。
(このままじゃ、出ちゃう――っ)
腰が止まらない。純子の、キツくて柔らかな肉穴でペニスを扱いてもらうのが気持ち良くてたまらない。純子の甲高い喘ぎ声。細い肢体。
「純子、出すから――ッ!」
「え――、あッ!?」
叫ぶようにして、愛は純子の膣内へと射精した。
――びゅるるッ、びゅくッ、びゅくッッ!
愛の腰が痙攣するのに合わせて、純子も震える。ドクドクと迸る愛の欲望が、純子の下腹部に流れ込んでいく。
「やッ!? やああぁっ、あぁッ!?」
――どくどくんッ、びゅぅッ
「あ、う、止まんないッ、ごめん純子っ! あ、ぁああっ!?」
射精の勢いは、一向に衰えない。異常なほどの精液が溢れ出しているのが自分でも分かる。そして、純子の腹奥を満たしているのが。
(――こんなの、気持ち良すぎてッ!? お、おかしくなるッ)
さっきだって、性器同士で深く繋がっていたのに。そんなものが、まるで児戯に感じられるほどの一体感だった。孕ませるための体液が――孕むための器官を侵していく。
初めて知るその快感の前に、愛は我を忘れて腰を押しつける。一滴残らず彼女の中に注ぎ込みたい。
(もっと、もっと……!)
「はふッ!? あ、やぁっ、私……ん、んうぅッ!?」
言葉にならない嬌声を上げて純子は、愛の腕の中で強くのけ反る。
「お腹の奥までっ――、水野さんがっ……! あ、ァああっ!」
「純子――? 射精されて、絶頂しちゃってるのっ?」
「い、言わないで、言わないでくださ――ぁああっ! きゃ、んッ! んぅうッッ!」
恥じらいつつも激しい快感に抗えないその様子が、愛をまた興奮させる。
2人はまた唇を重ねて、そのまま何度もお互いを求め合った。
◆chapter2
――まさか、こんなことになるなんて。
長いセックスを終えて愛は、形容しがたい感情を覚えながらシャワーを浴びていた。
罪悪感はある。いくら純子の身体に誘われ、彼女に受け入れられたとはいえ、あんな乱暴な形で欲望を満たしてしまった。
けれど一方で、何物にも代えがたい幸福感もまた確かに、身の内に残っている。生物としての本懐を遂げた満足感とでも言うのだろうか。
(やっぱり……最低ね)
ため息が漏れる。
体を流し終えて鏡に向かう。
少女の肉体。けれど、下腹部には男性器。
アルファとして生まれた愛は、男女どちらの性器も有しており、生殖行為も可能だ。
一方の純子はおそらく――いや、間違いなくオメガ。
(発情期って……あんなに……)
アルファの自分が、オメガの発情フェロモンに晒されればどうなるのかは知っていた。かつて所属したグループにもオメガの少女はいた。彼女の発情期に行き合ったこともある。
――そのときも、強い興奮を覚えた。
けれど自制することはできた。
間違っても、さっきのように襲いかかることなんてなかった。
(純子が特別強い? それとも……)
悶々とした気持ちを抱えたままバスルームを出る。
ツインルームの窓側のベッドでは、先にシャワーを浴びさせていた純子が、バスローブに身を包み、こちらに背中を向けてちょこんと座っている。
愛が戻ったことに気づいても、無言のままだ。
まだしっとりと濡れている様子の洗い髪。
そして、細いうなじ。
「――――っ」
シャワーで鎮まっていた愛の身体が、またビクリと反応してしまう。自身の業を苦々しく思いながら、愛は純子とは別のベッドに、彼女とは背を向ける格好で座る。
「体、大丈夫?」
「たぶん……初めてでしたから、よく分からないですけど」
「そっか。私も初めてだったから」
「……そうなんですか? こういうこと、慣れているのかと」
「私のこと何だと思ってたのよ」
と、少し抜けた純子からの切り返しに苦笑いが漏れる。けれど、いつもと変わらない彼女の様子に安堵も覚えていた。
「あの、さっきのこともっとよく聞かせてください……」
と、純子は訊ねてきた。
愛の身体のこと。それから、彼女自身の身体のこと。
「――うん。純子の時代にはまだほんのわずかしか居なかったらしいんだけど……」
愛は、純子に話して聞かせた。お互いの身体の特性を。
――この世の中には、男女の性別だけでなく、また別の区分もあることを。
アルファ、ベータ、オメガ。
いまこの世界には、男女の区分に加えて、この3種類の性別がある。
ベータは、純子が認識している『普通』の男女。もっとも数の多い種別で、全人口の9割がベータだと言われている。ちなみに、6号ことリリィも、肉体的にはこのベータに属する。
アルファは、ベータと比べるとずっと少ない。
才能に恵まれることが多いと言われるが、一番の特徴は『女性であっても他者を孕ませられる』ということ。
愛もアルファの女性。
「そう、なんですか……」
説明を受けて、さすがに純子は衝撃は受けているようだった。しかしつい先ほど、身をもって思い知っているだけに、割とすんなりと理解してもらえた。
そしてオメガ。
もっとも数が少なく、アルファと対照的な特徴を有している。すなわち、『男女問わず孕むことができる体』を持っている。
オメガには『発情期』がある。
理性を忘れてしまうほど性的欲求が強くなり、しかもその状態に陥ると、周囲に強烈なフェロモンを周囲にまき散らすようにもなる。
――そのフェロモンは、特にアルファに効く。
普段は理性的なアルファを狂わせ、性欲を沸き立たせる。そうなるとアルファは、オメガの身体を強く求めるようになる――この場合の性交は非常に受胎率が高いという話だ。
「じゃあさっきの……いいえ。今の私って」
「発情期みたいね。あんなふうになったのは初めて?」
「ええ――」
「そっか」
思えば、きっと巽は純子のことに気づいたのだろう。
(先に教えてよ……)
そうすればあんな場面に行き当たらなかったのに。
胸の中で愚痴ってみるが、しかし、自覚のない純子にいきなり説明しても理解してはもらえなかっただろう。それより前に、彼女を隔離することを優先させたのかもしれない。
「……アイツに変なことされなかった?」
「はい?」
まったく心当たりのなさそうな返事が返ってきて、胸をなで下ろす。アイドルに手を出すようなタイプの男ではないとは思うが、オメガのフェロモンに晒されたら、たとえベータの人間でも自我を失い兼ねない。
純子が無事で良かった――
そう思うも、その直後に自分が襲ってしまったのだから、愛が心配するのなんてお門違いだろう。
改めて、愛は謝罪する。
「ごめんなさい――」
「そんな、悪いのは私なんです……! 部屋を変わるように言われてたのに、あんなこと」
愛の衣服を抱いて、ベッドの上で自慰を――
そのことを思い出して恥じているのか、純子の声は尻すぼみに小さくなっていった。
「そのせいで、水野さんを変えてしまったなんて……嫌でしたよね、私とあんなことするの」
「ううん」
小さな声で、けれどきっぱりと否定した。
「……私は、全然嫌なんかじゃなかった。確かに私たちの身体のせいであんなことになったんだし、純子にはつらい思いさせちゃったけど……私は――」
これ以上は言えない、と思い留まった。
純子のことを気遣いながらも――とても気持ち良かっただなんて。彼女と抱き合って、交わって、とても幸せだったなんて。
言えない。
傷つけるのも怖いし……何より、嫌われてしまうのが怖かった。
(全然ダメじゃない、私)
自然、俯いてしまう。
結局のところ、嬉しく思っているのだ。
巽に取られなくて良かったとも思っている。純子の初めてを奪うことができて、喜んでいる。愛の衣服にくるまって、自慰に耽っていたその姿にさえ愉悦を感じていた。
(最低だ……)
これまで、『アルファ性』であることなんて自分には関係ないと思っていた。
性欲に振り回されることもなかったし、トップアイドルの座に就けたのだって、努力の結果だと思っている。強い理性で自分をコントロールできていると思い上がっていた。
でも。
彼女のフェロモンを浴びただけでこの始末だ。
内側に隠していた欲望が、ひそかに彼女を恋慕していたその気持ちが、一斉に溢れ出してしまった。フェロモンのせいじゃない。それはただのきっかけだ。
「水野さん」
ふと、純子の声で我に返る。
次の瞬間、背側のベッドがたわむ感覚があり、純子がこちらに寄ってきたのだと知る。
振り返ると、彼女がベッドの上で正座していた。
「とてもビックリしました。色んなことを聞いて」
「……でしょうね」
「でも。あの、その」
「?」
「……でも、私も嫌じゃなかったんです。嬉しかった。水野さんとあんな風に……」
純子は頬を赤らめ、目を伏せる。
「えっと、水野さんとだから……だと思います。ずっと素敵だと思っていたから……さっき私が我慢できなかったのは体のせいなのかもしれませんが、でもきっとそれだけじゃなくて――」
上目づかいにこちらを見て彼女は、
「――私のそういう思いが、抑え切れなくなったんだと思います。体のことはきっかけでしかなくて……あう、変なコト言ってますね、私?」
「うん。言ってる」
「はうぅ……」
小さくなる純子を前に、自身の胸の内を告白できなかったことを恥じつつ、愛は言う。
「でもね、私も同じ気持ち。純子のことが好き……だから、すっごく嬉しかったの。――乱暴にしてごめん。でも、それくらい好き――なの」
「あ……」
顔を上げた純子のことを抱擁した。
「――好き」
「私も好きです。私も水野さんが……愛さんのことが好き……」
純子の両手も、愛の背中に回される。さっきとは違う種類の幸福感で胸がいっぱいになる。
自然と唇を合わせて、ゆっくりとひとつになる。
「今度は、私も愛さんにしてあげたいです――」
囁くように言って、純子が愛のバスローブの襟に手を掛ける。するり、と脱がされて、
「綺麗です――」
左の乳房を純子の右手が支えて、口づけてくる。
「んっ。ちゅっ――、ここ、コリっとしてますね」
「そ、そういうこと言わなくていいから……!」
「ふふっ。可愛いです、とても……」
ためらいもなく、純子が乳首を口に含む。
「は……むっ。ちゅむっ」
たどたどしい舌使いで転がされて、愛の突起が切なく疼く。
「んッ、やぁっ――」
思わず声を漏らす。純子は、チラリと横目でこちらを見上げてから、そっと愛のことを押し倒してきた。
「あ、んっ」
仰向けになって、されるがままに。
さっきとは反対の体勢。じゃれてくるような純子の動きがくすぐったくて、愛おしくて。
「愛さん……っ、んむっ、ちゅっ……」
あちこちにキスをされながら、いつの間にかバスローブの帯も外される。下着を着けずにいた下半身が露出して、
「また……大きくなってますね?」
「だから、そういうことっ――」
まじまじと見つめられると恥ずかしくて仕方ない。けれどそれとは裏腹に、勃起した性器は純子の視線を浴びて、ピクピクと快感に震えてしまう。
「もっと怖いものだと思ってました……でも、愛さんのだと思うと――ちゅっ。ちゅっっ」
「――――っ!?」
先端に、純子のキスが。
「待って、ダメ――」
「痛い、ですか?」
「そうじゃないけど……っ!」
「初めてなので上手く出来ないかもしれませんが……んちゅッ。ちゅっ」
何度も何度も、慈しむように唇で触れてくる。肉茎に触れる少女の指先。腹部を撫でる、純子の前髪。
本人は意図していないのだろうが、彼女の優しい愛撫はまるで焦らすようだ。
(……こんなの、生殺しっ……!)
快感に腰をひくつかせながら愛は悶える。満足できるほどの強い刺激を与えてもらうことも出来ず、さりとて懇願も出来なくて。
純子は、愛の勃起したペニスに両手を添えてくる。繊細なガラス細工を包み込もうとでもするかのような、慎重な手つきだ。
そうしておいて彼女は、少し舌を伸ばして、根元から先端までを丹念に舐め上げていく。
「――んっ、れろっ。れろっ……」
「やぁあっ、純子……っ!」
シーツを握りしめて、ぐっと耐える。
(腰、浮いちゃうっ……!)
物足りないと思っていた快感は、次第に蓄積していって、愛のことをそそのかす。
「それ以上、だめっ! で、出ちゃう……射精ちゃうからぁっ!」
「はい、どうぞ……んっ。れろ、れろっ――」
「っ~~!」
――びゅくぅ、ピュグッ
またたく間に決壊して、純子の鼻先で射精してしまう。
「やあぁッ、あッ……!」
「こんなに激しく……んちゅっ、はぷ……熱いです……っ」
亀頭や尿道口、さらには愛のお腹に飛び散った白濁すら、純子は舐め取っていく。
あまつさえ、
「こっちも――」
今度は、さらに下へと純子の顔が潜り込んでいった。
まだ射精の余韻で痺れている下腹部。
ペニスの根元。女性器。
「こんなに濡れて……気持ち良さそう」
「ちょ、ちょっと――ひぅッ!?」
「ジュプっ――、れぅっ、ちゅぅっ……こっちは、もう少し上手くできると思います……ちゅぷ、ぢゅうぅッ」
さっきまでの優しい愛撫より一段階、舌づかいが激しくなったクンニリングス。責めてくるところも的確で、入口を、そして中をかき回される。
「やんッ!? 待って待って、そんなにしたら――っ!」
「女の子の部分でも、イっちゃいますか?……ちゅぷっ、くぷっ、くぷッ」
「ッあ!? ~~~~ッ!?」
自分でも信じられないくらいに全身が律動して、頭が真っ白になる。
「愛さん、可愛い。……どっちでイクのが好きですか?」
「ひッう……! わ、分かんないわよ、そんなの――」
「じゃあ次は、一緒にいきますね」
「な、なにを――ひぅうッ!?」
純子はもう一度、愛の膣に吸いついてくる。と同時に、左手で、反り立ったままのペニスを握りしめ、扱きだした。
「んぷ、んぷっ――」
「や、やぁあっ!?」
女性器と男性器を同時に責められる。
純子の舌使いは、よりねっとりと執拗に。初めは拙かった手淫も、愛の反応を確認してツボを心得たのか、遠慮がちだった握りも、次第にギュッギュッと力強くなっていく。
膣内でグツグツと煮えたぎった女性としての快感が、そっくりそのままペニスに充填されて、牡の欲望として噴き出した。
――びゅぱッ、ぴゅぶッッ!
「ひぁあああッ!?」
熱い精液が、またしても自分の腹部にぶちまけられる。それでも純子はクンニを止めてくれず、ずるずると音を立てて蜜液を啜る。
「んッ、く……愛さんの、とても濃い……ん、じゅるるっ! 私、また頭がどうにかなっちゃいそうです――」
連続のアクメに全身が痺れている愛だが、彼女に切なげな声で甘えられると、すぐにでも襲いかかりたい衝動に駆られる。
――だが、もう我慢しなくていいのだ。
彼女もそれを望んでいる。
「純子、純子の中に……また入りたい」
「っ、はい……、来て、来てください――っ」
嬉しそうに、そして淫らな欲望を隠そうともせず、純子が即応する。
彼女はようやく愛の陰部から顔を離すと、前だけはだけていたバスローブを脱ぎ去って全裸になり、愛に背を向けた。
「あの、出来れば……」
そのまま向こうへと倒れてお尻だけを突き出し、
「こ、この格好で……して欲しいです」
小さくて丸い、可愛らしい純子のヒップ。その柔らかそうな尻谷間の付け根には、しっとりと濡れた花弁と、キュッと引き絞られた菊門。
およそアイドルが見せていい格好ではない。
これは、彼女が自分だけに見せる姿――。
純子は恥じらうように、けれど煽情的に、腰を小さくふりふりと振って、
「愛さんに、滅茶苦茶にしてもらいたい……身体のこととか、フェロモンだとか……そんなの関係なくて。愛さんにだからしてもらいたい……です」
刺激的すぎる体勢とは裏腹に、しおらしくて控えめな声。横顔だけで振り返った、潤んだ瞳で見つめられると、愛の男根がビクンと強く脈打った。
「分かった――」
膝立ちになり、左手で純子のお尻に触れる。
「ぁんっ」
それだけで、蠱惑的なあえぎが漏れる。
(っ! こんなの……我慢できるわけないじゃない!)
右手で膨張しきったペニスを握る。その硬さは、純子の花弁に角度を合わせるのに苦労するほど。前屈みになって腰の角度を変えることで、ようやく先端が濡れた陰唇に触れる。
粘膜がネトネトと貼りついてくる。膣口から漏れ出てくる愛液が亀頭をたっぷり濡らして、粘膜の感触はさらに甘美なものに。
(これだけで……射精しちゃいそうっ)
暴発しそうになる欲望を必死で耐える。
純子はというと、顔をベッドに突っ伏してしまい、フーフーと荒く息を吐きながら粘膜接触の快感に没頭していた。
「いくよ純子」
言うと、彼女は顔を埋めたままコクコクとうなずいた。
グイッと腰を押し出す。ペニスが陰唇の中に埋没していく。改めて、不思議な感覚だと思う。
(純子の中に、入っていくんだ……)
小ぶりなヒップの、小さな女の子の穴。その中に、自身の太くなったものが押し入っていく。亀頭が埋まって、カリ首が膣口を押し広げる。
「――ンぅッ!?」
苦しげな純子の嬌声も、もはや愛の衝動を煽るスパイスにしかならない。
(また犯しちゃうんだ――)
背徳感に背筋がゾクゾクとした。
こんなに嗜虐的な気分になるのは、相手が純子だからだろうか。ほんの少しだけ、さっきイジメられた仕返し――という気持ちも混じっているかもしれないけれど。
破瓜のときは愛にも余裕がなくて、やたらめったらと腰を押しつけるばかりだったが、この体勢は違う。
顎を引くと結合部がしっかりと見える。ピンク色の艶めかしい花弁が、膨れあがった男根を呑み込んでいく。
この細い身体には酷に思えるが、膣内は入口よりずっと潤っていて、ギチギチとした肉壁も、異物を拒む動きより奥へと誘う動きのほうが勝っている。
ずち、ずちっと音を立てて、ようやくペニスが半分ほど入った。
「ンぐッッ――!」
「平気? ゆっくりしようか?」
聞いてはみたものの、純子はこちらにも分かるように首を振って否定する。予想していた反応ではあったが――受け入れてもらえる喜びに、腰が震える。
「ん。じゃあ奥までいくね……」
挿入感をしっかりと味わいながら、ペニスを根元まで埋めていく。
「純子の中、熱い……っ。奥、届いちゃってるの、分かる?」
「は、い――ッ」
くぐもった声で返事があったのを確認してから、愛はゆっくりと、それでいて大きなストロークで純子と交わる。
最高の時間だった。
腰を引くと、ペニスを逃がすまいとして膣口がチュウチュウと吸いついてくるし、突き入れると、狭い膣道と柔らかな蜜肉が迎え入れてくれる。
引き抜いたときに男根がてらてらと濡れているのを見ると、彼女とセックスをしているのだという実感を得ることができた。
苦悶混じりだった純子の嬌声も、甘く蕩けてくる。
「ッあ、あんっ、――やんッ!!」
愛は生唾をゴクリと呑み込んで問いかける。
「……もっと激しくしてもいい?」
「はいっ、して――してください……っ、あっ、はあぁッ!?」
細い腰を両手で掴んで、ストロークの幅はそのままにピストンの速度を上げる。
「あッ、あ、あぁッ!! あぅっ、ンうぅッ……!」
腰がぶつかるたび、絶叫にも似た声で喘いで、性悦に身を震わせる純子。
一方の愛も、とびきりの快楽に悶えていた。
(こんな……こんなのッ、動物みたいなっ……!)
一心不乱に腰を振って、ひとつになろうとする。
体液が混ざり合った結合部からはムンムンと濃い性匂が立ちのぼってきて、むせかえりそうだ。
「気持ち――いいっ……!」
すぐにでも子種を注ぎたくなる衝動が沸き上がってくるが、この素晴らしい時間を少しでも長く味わうために、奥歯を噛んで必死で耐えた。
お互いの理性と本能、心と体。
恋慕の情と、はしたない獣欲。
それらがぴったりと噛み合って、触れ合った部分でドロドロと溶けて、混ざり合って。
まるでもとから一つだったみたいに、離れがたくなって。
「純子、純子っ、また出すねッ? 純子の中に……射精するからっ!」
ほとんど悲鳴のように搾り出した声に、純子も応じる。
「ッ、はいっ! んっ、あァッ!? あ、愛さんの精液っ、私の中にいっぱい、いっぱいくださいっ……! やっ、やっ、……あ、ァアっ!? い、いきますッ! 私もイっちゃう! い、いくっ、いくッッ――」
「私も――イクっっ!」
――ビュプっ、びくびくっ、ドビュッ!
射精の寸前、腰の動きを止め、純子のお尻にぐいっと押しつけた。
その一番深いところで、欲望を爆ぜさせる。尿道を押し広げて溢れ出た白濁が、ドクドクと純子に注がれていく。
「ンぅうッ!? あッ、ん!? き、きてますっ、愛さんのが――っ、あ、ぁああっ!?」
「純子……! ひっ、ぅうッ――」
密着した2人の腰が、まったく同じタイミングで、まったく同じ激しさで律動する。
愛は、涙や鼻水や唾液でグシャグシャになった顔で、その途方もない快感に打ちのめされる。
「ひぅっ! あッ、はぁあッッ……出るっ、まだ出ちゃうッ! 純子ぉッ――」
「ンうッ、ンぅうっ……! んぐぅッ――アアアっっ!!」
互いに余裕など一切無い。
それこそ獣になったような叫び声で、ブルブルっと身を震わせるばかり。
愛が思考を取りもどしたのは、その苛烈な快感の波が全てをさらっていったあと。それでもまだ、頭の中でも、そして視界いっぱいに火花が散っていた。
(これ……気持ちいいっ……!)
長い射精が終わりに差しかかるにつれて、足先から脳天まで、心地よい疲労感とともに温かく幸せな感覚が満ちていく。
「はあッ、はあっ、はぁっ……」
その幸福感に絆されて、全身の力が抜け落ちる。体を支えていられなくなり、そのまま純子の背中に覆いかぶさるように倒れ込む。
「はあっ、はあっ……、ごめん、重いよね? 汗も掻いちゃってるし――」
「いいえ。私も、背中ビショビショになっちゃってると思いますし……こうして愛さんと触れ合っていると、とても幸せな気分になるんです……」
「もう、すぐそういうこと言うんだから」
言いながらも愛は、純子の両手に自分の手を重ねる。手の甲の上から握って、指を絡ませ、ぴったりと。
互いに汗や体液に塗れているのに、肌を合わせてもまったく不快に思わない。いや、それどころかこの上なく心地良いとすら感じる。
「純子――」
抑え切れない愛しさを、キスにして浴びせかける。
彼女の柔らかな頬に。優しい目尻に。それから耳元に。
「んっ、……あん、んっ……」
純子も、その感触を楽しむかのように目を閉じて、幸せそうに悶えていた。
耳元から首筋。それから、おさげの根元、うなじにもキスを。たっぷりと汗を掻いて体温が上がっているからか、そこは一層フェロモンが濃いような気がした。
そこへ口づけしているうち――
「あっ? ご、ごめ、また出ちゃ――」
不意打ちの射精感が襲ってきた。
腰は動かしていなかったのに、ドクドクと勝手に精液が漏れ出して、またぞろ純子の膣内に溢れていく。
「――んぅううっ」
「やんっ――、ん……いいんですよ? お好きなだけ出してください……私も、愛さんに射精してもらえるのとっても気持ちいいですから……あっ、あっ……」
純子の囁き声をすぐ近くで聞きながらの蕩けるような連続射精。
――どくっ、どくっ……びゅうぅっ……ぴゅぅっ……
「は、ぁ、あっ……も、もうダメ……」
今度こそ完全にぐったりとして、純子の顔のすぐ横で、ベッドに顔を突っ伏せる。
「ふふっ。私たち、凄いことしちゃいましたね……」
「うん……」
夢見心地の気分だが、下腹部で確かに感じる粘膜の感触は、これが現実であることをしっかりと伝えてくる。
「皆にも報告しないとね」
「えっ? 性交したことをですか!?」
「……あのね。そうじゃなくて――」
さすがにそんな生々しい告白はメンバーも困ってしまうだろう。
「私たちが好き同士だってこと。付き合ってるって。……嫌?」
「い、いいえっ、全然そんなことは……! で、ですが」
「ん?」
「――ちょっとまだ、恥ずかしいかなって」
あからさまに照れる純子のことをからかいたくなる気もしたが――愛は、
「わかった。じゃあしばらくは2人だけの秘密にしましょう」
「――ナイショのお付き合い、ですか」
「うん。いい?」
「……はい。嬉しいです……。あの、愛さん」
「なに?」
聞き返すと、耳元で純子が囁いた。
「……大好きです」
「もう。すぐアンタはそういうことを――」
慎ましやかなのか、大胆なのか分からない。でも。
「――そういうところも。大好きだから」
彼女のほうに顔を向けて言い放ち、その反応を待たないまま唇を重ねる。
「んっ、う……」
「あむっ――。ん。これからもよろしくね、純子」
「……はい。よろしくお願いします……ん、んぅッ、んんッ……」
恋人同士の長い夜は、そうして更けていった。