☆あらすじ☆

セクサロイドの研究所で日夜行われる、性犯罪者軍団による耐久試験。
超高耐久セクサロイド・フミカにとって退屈な日課でしたが、人格改造で人並みの恋心を持つようになってから、耐久試験が怖くて仕方なくなります。
でもそんなフミカちゃんの様子は、性犯罪者軍団には興奮の材料でしかなく、彼らの非人道的な変態プレイがさく裂します。

絶世の美貌を持つセクサロイドに芽生えた恋心と尊厳が、ぐちゃぐちゃに踏みにじられる様をお楽しみください。

●◯感想いただけますと嬉しいです◯●

*子宮脱や子宮踏みつけ等微グロあり。苦手な方は読まない方が良いです。

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『恋する乙女』のパーソナリティを与えられた超高耐久セクサロイドは、極悪性犯罪者どもによる肉便器耐久試験で精神ねじ切れる。

 

 

1.肉宴に咲く牡丹

 

 ずちゃっ! ぐちゅっ! どちゅっ!

 

 汁気たっぷりの肉同士がぶつかり合う音だった。

 屈強な男性が20人ほど一箇所に集まっており、途切れなく続く肉音の発生源はその中心にあった。

 そこにいたのはベルベットのような艶やかな黒髪の美女。一矢纏わぬ姿で四つん這いになっている。

 そのくびれた腰を男が乱暴に掴み、肉感的な臀部に腰を打ちつけていた。顔の前にも別の男がいて、自らの男根を咥えさせながら、髪をつかんで前後に腰を振っていた。

 前後から嬲られる美女を囲む他の男達も、股間のものを硬くさせながら興奮した息遣いで順番が回ってくるのを待っている。

 それはまさに陰惨な陵辱の現場であった。

 

 しかし、事実はそうではない。美女の名前はフミカ。どうみても人間の見た目をしているが、彼女はセックス専用の最新型のアンドロイドであり、この光景は彼女の耐久試験なのであった。

 

《お疲れ様です。これで本日の耐久テストを終了します》

 

 実験室のスピーカーが届ける研究員の言葉で、張り詰めた空気が霧散する。

 

「ありがとうございました。おかげで、とても充実した時間でした」

 

 フミカは白濁液まみれの顔を上げ、微笑んだ。

 言葉の抑揚や表情にアンドロイド特有の不自然さは全くない。男たちの体液で淫美に汚れてもなお、それは人間の美女そのものであった。

 

《素晴らしいね。人間と見紛うばかりの自然な受け答え。それに表情筋の動きや目の細かい動きに至るまで、完璧に近いよ》

 

 フミカのテストを担当した研究者の一人が言った。彼はアンドロイドの研究者の中でも指折りの変人──山岸博士だった。

 

《フミカ、実験はどうたったね?》

「はい、山岸博士。今回の実験は20人の性犯罪者による輪姦陵辱を想定していたときいておりましたが、皆さんお優しく抱いてくれましたわ」

 

 フミカは女神のような笑顔で語る。

 

「婦女監禁レイプ事件の容疑者の蛾地さんは力強いイマラチオをしてくださいましたが、私が軽く喉奥を蠕動させてマッサージしてさしあげるとすぐに果ててしまいましたわ。連続通り魔レイプ犯の田上さんはバストを激しく揉んでくださいましたが、乳首への刺激が単調で知性が感じられませんでした。それに、婦女強姦致死容疑の木藤さんは手淫によって勃起してくださいましたが挿入後に中折れしてしまい、わたしのほうから膣口部を収縮してサイズを合わせる必要がありましたし、あと──」

 

 なぜか嬉しそうに次々と自分を輪姦凌辱した凶悪犯達をこき下ろしていくフミカ。頬を紅潮させ、息を荒げる様子まで人間の女性のようだ。

 

《もういい》

 

 放っておくと止まらないので、山岸博士が制止する。

 

「ふふっ、ごめんなさい」

 

 フミカは無邪気に微笑んで自分の胸元に手を添える。豊満な乳房はふっくら形よく、先端のツンと突起した乳首は綺麗な桜色をしていた。セクサロイドにして、純真無垢なひとりの女性。そんなイメージを彷彿させる美しさであった。

 

《フミカ、今日のデータをもとに君の身体をさらに改造していく予定だからね。明日もまたよろしく頼むよ。じゃあ僕は失礼するよ》

 

 そう言うなり山岸はスピーカーをオフにした。

 

   *

 

 そのあとフミカに施されたのは、主に感情を司る部分に対する改造であった。

 フミカは絶対に壊れない強靭なアンドロイドだ。人間同様、痛覚や恐怖も感じるように設計されているが、そのボディの頑丈さゆえ、どれだけ強烈な刺激を加えようとも、彼女からすればアリが噛んだようなものだった。また、遥かにフィジカルの性能で劣る人間に何をされようと何を見られようと羞恥心を感じることもなかった。

 

「だが──」と、山岸博士はひとりごちる。「それではダメだ。人間の女性のもつ性的魅力は、精神的な強さと弱さ、繊細さのバランスによって成り立つ。愛する者からの口づけには多幸感とともに興奮状態となるべきだし、見知らぬ異性の暴行には恐怖し身体に精液をかけられれば身のすくむような性的嫌悪感を抱くことで相手の劣情を増幅させるべきなのだ……」

 

 山岸博士と他の研究者と、そしてフミカ自身の間で何度も話し合った末、フミカの人格データをどのように改造するかが決定された。

 フミカをより繊細で情緒豊かで感受性の高い「心」をもつセクサロイドにする。それが総意であった。

 フミカは自らの存在意義に従って、人格の改変を受け入れたのだった。

 

 

2.恋する乙女

 

 翌日から、フミカの耐久テストの内容は一変した。それは『恋愛』の対象として、性行為ができるかどうかを検証するものであった。

 

「より人間らしく性的興奮を与えるセクサロイドになるためには、人間の『愛』を知る必要がある」

 

 フミカをメンテナンスするためのラボで、山岸博士が告げる。

 

「あの……」

「なんだい?何か問題でも?」

 

 山岸博士に尋ねられて、簡素な丸椅子に腰かけたフミカは、目を伏せながら照れくさそうに微笑んだ。

 

「えっとですね……私の膣内に挿入してもらいたいと思う男性が一人だけいるんです」

 

 恥じらう乙女のように顔を赤く染めて言った。

 

(改造はうまくいっているようだな……)

「それは一体どんな男だい? 君が特定の男に欲情するなんて珍しいね。教えてくれないか」

 

 山岸は興味深そうに身を乗り出す。

 

「それが……昨日、わたしを犯してくれた人たちの中にいるんです。先日の耐久試験のときは皆さんのこと控えめで優しいんだなって思ったのですが……改造のせいか、いま思い出すと、その、怖いんです」

 

 そう言うとフミカは少し目を伏せる。

 

「皆さんのわたしを見る目が山岸博士とは違って……まるで『好きなように壊してもいいオモチャ』を見るようで。……でもその中にひとりだけ、わたしを繊細な女性として見てくれる方がいました」

 

 『怖さ』に沈んだ表情が、その人物を想ってか明るくなる。

 

「なるほど。つまりその男が君の初恋の男というわけだね」

「……っ」

 

 フミカは山岸博士の言葉に、顔を赤らめ膝に乗せた拳をぎゅうっと握って黙り込んでしまった。

 

「すまない。女性にたいして不躾な言い方だったね」

「……い、いいえ。いいんです。それでですね、できれば彼に……もう一度抱いてほしいと思ってます」

 

 フミカは勇気を振り絞ったように決然とそう言ってから、はにかんで笑みを浮かべた。その様子はとても人工的に作られた存在とは思えない自然な仕草だった。

 

「いいだろう。ならさっそく彼のところに行こうじゃないか」

「はい!」

 

 今度は花が咲いたように、ぱあっと笑う。

 

(本当に──うまくいったな。これならもっと……)

 

 山岸博士は、恋する乙女そのものの表情をする彼女に、感情のこもらない眼差しを向けた。

 

   *

 

 フミカと山岸博士が訪れたのは、巨大なカプセル型の機械が置かれた個室であった。

 中に入っているのは、一人の男性。全身を拘束具で固定された上、希釈した睡眠ガスによって意識を失ったまま静かに横たわっていた。

 

「この方が、婦女強姦致死の罪で逮捕された木藤剛さんです。私を輪姦してくださった人のひとりですよ♪」

 

 フミカは嬉しそうに、改めてその凶悪犯の名を告げた。

 

「ああ、知っているよ。……木藤くん、起きなさい」

 

 山岸博士は、カプセル内の睡眠ガスを停止して、覚醒のための微弱電流のスイッチを押した。何度か呼びかけられて木藤はゆっくりと目を開けた。

 

「うぅ……。ここはどこだ」

「おはよう。気分はどうかね」

「……あぁ、もちろん最悪だ。あんたは?」

「僕は山岸と言う者だよ。僕のことは知っているだろう?」

「いつも俺たちをガラス越しに見下ろしてニヤニヤしてやがる奴らのひとりか。何の用だ?」

 

 木藤は不機嫌さを隠さずに睨みつける。

 

「木藤さんっ」

 

 山岸の背後からひょいっフミカが顔を出した。

 

「えっ? あぁ、あんたは……ロボット女か」

「覚えていてくれたんですね!」

 

 フミカの顔にぱっと明るい笑顔が咲いた。

 

「当たり前だろ。あんたを抱く以外俺たちにやることはないんだから」

「でもロボット女なんてひどいですっ! わたしにはフ・ミ・カっていう名前があるんですからね~?」

 

 今度は頬を膨らませる。

 

「フン。ロボットはロボットだ。あんなことされて平気な顔してられるやつなんかロボット女で充分さ」

 

 木藤は本当にただの機械を見るような視線をフミカに向ける。フミカはその冷たい視線に怯みながらも、負けぬよう一歩踏み出して告げる。

 

「でも……わたしを輪姦した犯罪者たちの中であなただけでしたよ。わたしを、人間として見てくれてたのは」

「は? なんだそりゃ」

「盛り上がってるとこ悪いが、要件を単刀直入に言おう」

 

 やれやれと言った様子で山岸博士が割って入った。

 

「君にお願いがあるんだ。彼女を好きになってくれないかな」

「はぁ!?」

「ちょっと博士! もう!」

 

 木藤が露骨に顔をしかめるが、フミカも負けじと唇を尖らせた。

 

「そんな言い方じゃ誤解されちゃいます。ちゃんと説明しないと」

 

 フミカは慌てて山岸博士の袖を引っ張った。

 

「えっとですね……わたしから説明します。あの、ほんとは昨日大勢の男の人に乱暴されて……わたし、怖かったんですよ。でも木藤さんは違いましたよね? わたしが壊れないように優しく扱ってくれた。それはとても嬉しいことでした。だから、わたし、木藤さんのことがもっと知りたいんです。お互いのことを理解してから、恋人としてお付き合いしたいなって思ったんです。だめでしょうか?」

 

 フミカは、すがるような目で、木藤を見つめる。

 

「い、いや、俺は別に……」

 

 木藤は、黒髪の美女に見つめられて、しどろもどろに言葉を濁らせる。表情こそ他者を拒絶するような険しいものであったが、頬はわずかに紅潮していた。

 

「……なんだ。そういうことだったのか。それならそうと早く言ってくれたまえよ」

 

 木藤の様子を見た山岸博士はなにか合点がいったようにポンと手を打った。

 

「木藤くん、君が彼女に惹かれているのであれば、何も問題はないんだよ。君は彼女のことを『恋人』だと思えばいいだけの話なのだから。それで人格データとの整合性が取れれば、彼女は正真正銘の人間の女性としての人格を得ることができる」

「はぁ!? 何言ってんだ、意味がわかんねーぞ」

「つまりね、君がフミカの彼氏になるということだよ。そうすれば、この子を自由にできるというわけだ。もちろん性的な意味でね」

「……」

 

 木藤と山岸博士の会話を聞きながらフミカは、清純な乙女のように顔を赤くしてうつむいていた。

 

「なるほどな……。で、それを俺に受けれ入れろって言うんだな?」

「ああそうだよ。どうだい。悪い条件じゃないと思うけど」

「わかったよ。やってやるさ」

「本当ですか?」

 

 フミカはパァッと満面の笑顔をみせる。

 木藤はなぜかそんなフミカから目を逸らした。そして山岸博士に言う。

 

「だが、役割が終わればどうせ俺は元通りカプセルに監禁されるんだろ? 結末がわかってるんじゃあ、彼氏の演技にも限界があるぞ」

「心配はいらない。その点は抜かりないよ。実は君の脳をスキャンして君の記憶を読み取らせてもらった。それによると、君は過去に付き合っていた女性を事故で失っているようだね。そしてそのフミカにはその女性の面影がある。だから君は、フミカのことも大切にしてくれるはずだよ」

「なっ……」木藤は絶句する。「勝手に人の頭ン中除きやがって……てめぇら俺をなんだと思ってやがる!」

「犯罪者だろ? 知ってるよ」

「チッ」

 

 舌打ちする木藤。

 

「山岸博士! だーかーらーっ! そういうことじゃないでしょっ!?」

 

 フミカがぷんぷんしながら言った。

 

「木藤さんは、協力するかわりに自分の待遇を変えて欲しいのよ。ねっ」

 

 話を振られて木藤は、

 

「あ、ああ。そういうことだ」

「犯罪者を自由にしろとでもいうのか? さすがにそれは出来ない相談だ」

 

 山岸博士は吐き捨てるように言った。

 

「まっ、そりゃそうだよな。正直そこまで期待してねえよ。でも、信じねえだろうが俺は強姦致死なんてやってねえんだ。自由をくれとは言わない。さっきあんた、俺の記憶をのぞいたって言ってたな。あれで事件の日の俺の記憶をみてくれないか。それだけで充分だ」

「……ふぅ。仕方がないな」

 

 山岸博士は渋々といった様子でうなずいた。

 

「ありがとうございます。山岸博士」

 

 フミカはぺこりと頭を下げて礼を言う。

 

「まぁいいさ」

「木藤さんっ、よかったですね!」

 

 屈託のない笑顔を向けられて木藤は

 

「あ、ああ。そうだな」

 

 と目を逸らしてつぶやいた。それからフミカと山岸博士は、個室を出て研究室に戻った。

 

 

3.はじめてのデート

 

「木藤さんはコーヒーでしたよね?」

「ああ、頼む」

「すみません、アールグレイとコーヒーをお願いします」

 

 注文をとりに来たウェイトレスにフミカが注文を伝えた。

 ふたりが居るのは研究所の敷地内にあるカフェテラスだった。屋内でありながらその広大な敷地は緑に溢れており、天井に投影された青空は澄み渡っていて、そこが研究所であることを忘れさせた。

 フミカはテラス席のテーブルを挟んで、木藤の向かい側に腰掛ける。ライトグレーのノースリーブブラウスに爽やかなブルーのロングスカートを着て人工の日差しに目を細める彼女は、ここが研究施設でなく街中であれば誰もが振り向き見惚れるであろう美貌を湛えていた。

 

「ねぇ、木藤さん。今現在わたしのことどれくらい好きですか?」

「はぁ? どういう質問だよ」

 

 そんな美女を前にして、ぶっきらぼうに応える木藤。

 

「だから、恋人としての好感度の確認ですよ。これからずっと一緒にいることになるんですし」

「……恋人としてか。よくわからないな。あと、フツーは彼氏に好感度なんて訊かないぜ。恋愛ゲームじゃあるまいし」

「そっか……。ごめんなさい」

 

 しゅんとするフミカ。

 

「あっ、いや別に謝ることじゃないけどよ……」

 

 木藤は慌てる。

 

「えへへ。優しいんですね」

 

(こいつ、こんなに可愛かったか?)

 

 木藤は戸惑っていた。フミカのころころ変わる表情や感情は、人間の女性そのものだった。

 しばらく他愛もない会話をしていると、ウエイトレスがコーヒーとアールグレイティーを持ってくる。

 木藤はそれを受け取ると、一口すすり、カップを置いた。

 フミカが話を切り出そうと身を乗り出す。グレーのブラウスをその豊かな胸が内から圧して官能的な曲線を描く。

 木藤は、なんとなく嫌な予感がしたが黙って聞くことにした。

 

「あの、木藤さんはわたしのことを人間だと思ってくれます?」

「ロボット女のことをか? ハッ、バカ言うなよ。ロボットはロボットだ。人間に見えても、中身は機械だってわかってる分むしろ気味悪いぜ」

「ひどい……」

 

 フミカの目からポロリと涙がこぼれ落ちる。

 

(な、泣かせちまった……)

 

 罪悪感を覚えた木藤だが、どうしようもないので、とりあえずフミカを宥めることにする。

 

「泣くなって……。俺は正直に感想を述べただけだ。俺みたいなやつに言われたことを気にする必要なんてない」

「でも、わたし、木藤さんの優しいところが好きなんです。彼女になりたいって本気で思ってるんですよ。それなのにそんなふうに言われたら悲しくて当然です」

「優しくするだけなら誰でもできるさ。俺が引っかかってるのは、お前が人間のフリをしてるってことなんだ。 俺がお前のことを人格データをいじくられた人形にしか見えない以上、俺はお前を人間扱いできないんだよ」

「うーん。なるほど……へへっ」

「あ? なんだよ今度はへらへらして」

「いいえ~♪ 正直に言ってくれて嬉しいなって。それも木藤さんの優しさなんですね」

「はぁ? 知るかよ」

 

 フミカは、冷たく言われても今度は泣かなかった。いひひっと悪戯っぽく笑った後、フミカは、少し考えるような素振りを見せる。

 

「……よしっ、わかりました!」

「ん?」

「木藤さんが、ちゃんとわたしのことをロボット女じゃなくて『フミカ』というひとりの女性ただと認識できるようにすればいいわけですね。では、ちょっと失礼します」

「は?」

 

 フミカは席を立つと、木藤の隣に座り直す。そして、木藤にぴったりとくっついた。

 

「おい、何してる?」

「こうやって、触れ合えば、木藤さんにもわたしが人間に思えるようになるかな~? と思いまして」

「いやいやいや。無理だから。離れろよ」

 

 拒絶を示す木藤だが、内心どきりとしていた。こうやって無遠慮に近づいてくるところが、かつての恋人そっくりだったからだ。たとえ作られた身体と人格だと理性ではわかっていても、心はそうは思っていなかった。

 

「あれ? 顔が赤くないですか? 熱でもあるんじゃないですか? おでこ出して下さい」

 

 フミカはそう言って、さらに顔を近づけてくる。

 

「だっ、大丈夫だ! 離れろ」

 

 木藤は慌ててフミカを押しのける。

 

「もう、照れちゃって可愛いなぁ」

 

 クスッと笑うフミカ。

 

(こいつ、性格が悪いんじゃないか?)

 

 木藤がそんなことを考えていると、フミカが言った。

 

「あ、そうだ! いい方法を思いつきました。木藤さん、キスしましょう」

「はぁっ!?」

 

 木藤は思わず聞き返す。

 

「だから、キ・ス。恋人同士なら普通でしょ」

「いや、意味わかんねえよ」

「わたしは自分で言うのもなんですが、人間の女の子と見た目も中身も変わらないんですよ。わたしのことレイプしたから知ってますよね~? 違うのは絶対壊れない人工物ってところだけ。だからああいう大勢で輪姦するときじゃなくって、こういう場所で恋人としてキスすれば、理屈じゃなくって心で好きになってくれるかなぁって思ったんです」

「……ッ」

 

 恋する乙女の顔をして、レイプや輪姦という言葉を明るく口にするギャップに木藤はもやもやしたものを感じる。

 

(だらか人間として見れねぇんだっつうのに……)

 

「……なんで俺がお前とキスしなきゃなんねぇんだ?」

「え? だって、木藤さんはわたしの彼氏でしょう? じゃあ、キスするのは当たり前じゃないですか。それに山岸博士も『フミカのことを恋人同士として好きにしていい』って言ってましたし、今更なにを遠慮するんです?」

「いや、それは……」

 

 木藤は言葉に詰まる。フミカのことを人間として見れようが見れなかろうが関係ない。彼はフミカと恋人同士になることを引き受けた。ならばキスくらいするのは当然だということは彼自身わかっていた。しかし、それでも木藤には抵抗があった。

 先日までのフミカは、見た目は人間だが大勢の男に蹂躙されても悲鳴ひとつあげず、淡々と、ときには笑顔すら見せながら精を搾り取るセクサロイドそのものだった。

 それであれば、高性能なロボットを相手にする気分で会話を楽しんだり好きな時に犯したりできるのは、自由のない監禁生活の良い娯楽になると思えた。

 だが今のフミカは──外見だけでなく内面までかなり人間に近いものになっていた。

 平気でレイプや輪姦という言葉を口にするところや、肉体の発育に反して子どものような距離の詰め方をするところに違和感を覚えるものの、カフェテラスでの短いやりとりの中でさえ、何度も彼女がセクサロイドであるということを忘れていた。

 そんなフミカとキスしたら、きっと木藤はフミカと今まで通りに接することができなくなってしまうだろう。

 それに──凶悪な性犯罪者として扱われている今の状況で、下手に人間らしい感情を持つことが怖かった。

 

「おい、頼むから、それだけは勘弁してくれ……」

「どうして嫌がるんですか? わたしに魅力がないとか?」

 

 フミカが立ち上がり、自分を見て、と言わんばかりにくるりと回ってみせる。

 

(魅力がねぇなんてもんじゃねえよ……)

 

 木藤はごくりと唾をのみこんだ。

 ロボット工学の最高傑作であるセクサロイド・フミカのその姿は完璧だった。艶やかな黒いロングヘア、均整が取れたボディライン、長い手足、豊かな胸、くびれた腰、安産型の尻、そしてむっちりした太腿。どこをとっても理想的な、きれいで可愛くて──犯りたくなる女だった。

 その完璧な女が、木藤に向かって懇願するように潤ませた瞳を向けているのだ。こんなの我慢できるわけがなかった。

 

「木藤さん? どうしました?」

 

 フミカが心配そうに声をかける。

 

「いや……。なんでもない……」

 

 木藤はそんな胸の裡を悟らせまいと目を逸らす。そんな木藤の顔をフミカは訝しげに覗き込むのだった。

 

    *

 

 そのままキスすることなくデートの時間を終え、木藤は収容カプセルのある個室へ、フミカはラボに戻った。

 山岸博士は施術台に腰掛けながら、白湯を啜る。

 

「それで、結局セックスどころかキスもしなかったのか」

「……はい。すみません」

 

 フミカは申し訳なさそうな顔で言う。

 

「別に謝ることではないと思うがね。木藤の気持ちもわからないでもない。今の君は、本当に見違えるほど人間らしくなった。セクサロイドだと思っていた女性に対して情が湧いて、接し方がわからなくなっているんだろう」

「そうでしょうか……なんだか、拒絶されているような気がして。わたし、木藤さんに嫌われたくありません……」

 

 うつむいて呟くように漏らす声には涙が混じっていた。

 

「大丈夫だよ。人間同士の恋愛だってそうとんとん拍子にはいかないものだ」

「そうですよね……木藤さん、けっこう照れ屋さんだと思いますし。わかりました。山岸博士がそういうなら、もう少し待ってみようと思います」

 

 そう言って手術着のような服の袖で涙を拭いて、路傍の小さな花のような笑顔を見せた。だが──

 

「うむ。それでは今日の試験を始めよう」

「え……」

 

 山岸博士の言葉を聞いて、フミカの笑顔が凍りついた。

 

「ん? なにを驚いているんだ。今日は木藤と君が恋人同志のスキンシップを行ったときのデータをつもりだったが出来なかったんだ。でも安心しろ。それは焦らなくていい。ただ、データは毎日取らなくてはいけないからね」

「…………」

 

 フミカは表情を曇らせるがすぐに笑顔に戻り、

 

「……はい! よろしくお願いします!」

 

 と元気よく返事をした。しかし──着衣の裾を握った手は僅かに震えていた。

 

 

4.獣たちのオモチャ

 

《さて、フミカ。これからいつものように君の耐久性の試験を始める》

 

 スピーカーから山岸博士の無感情な声が響くのは、無機質な白い壁に囲まれた密室だった。20畳程の空間を多数の白色灯が隅々まで照らしている。ふたつ置かれたステンレス製のテーブルには様々な性的な拷問器具やオモチャが置かれており、この実験室の用途を示していた。

 

《始める前にひとつ質問がある。フミカ、君は自分のことを人間だと思っているか?》

「はい……」

 

 部屋の中心でフミカが答える。

 

「人工物であること以外、どこを見ても触っても人間の女の子です……。それに、ここにある心は、わたしにとっては本物です」

 

 煌々と照らす照明の中、曇り一つない完成された美を湛えた女性型セクサロイドは胸に手をあててそう宣言した。──その表情と声には不安が滲んでいた。

 

 耐久試験開始前のいつもの確認作業だった。超高耐久セクサロイドであるフミカにとっては、このあとどんな苛烈な『耐久試験』が待っていようとも恐れる必要はない。いつも通り何の不安もない単なる作業だ。そのはずなのに──

 フミカは不安を抑え込むようにスカートの裾を強く握りしめていた。

 

(どうして? どうしてこんなに怖いの?)

 

 フミカ初めて恐怖を感じていた。

 その恐怖の対象は、実験室の中にいるフミカを取り囲む20人もの男たちだった。

 彼らは全員全裸だった。そして、ひとりをのぞいて、これからフミカを犯すことしから頭にない盛りのついた野獣の目をしていた。

 

 一方でフミカは、まるでこれから都会でショッピングでもするかのような装いであった。

 フミカの服装は、彼女に対して『耐久性能を測定するための負荷』を与える男達が飽きないように毎日テーマが変わる。今日のテーマは『片思いの相手と初めて二人きりで出掛けることになったモデル志望の女子大生』だ。

 髪型は男性人気の高いボブカット。服装は清潔感のある白いブラウスに紺色のフレアスカート。メイクはナチュラルに、もともとの肌の白さを引き立てつつ血色よく見えるようにオレンジ系ファンデを乗せ、唇にはグロッシーなピンクを塗って華美すぎない色気を演出している。

 人格改造後のフミカの、清純な性格にマッチした清楚系美人に仕上がっていた。ただ、姿こそ想い人との初デートに心躍らせる乙女のようだったが、その表情は硬く不安に満ち、青ざめていた。

 

 真っ白な密室の中、フミカを取り囲む全裸の男たちは女性に非道な性的暴行を行い逮捕された性犯罪者である。

 男たちの股間は、これから幸せなデートを心待ちにする乙女を蹂躙する期待感で大きく膨らんで、今にもはち切れそうになっており、息を荒くして口々に下卑た言葉をフミカに投げかける。

 

「たまんねぇなぁおい! 雑誌にでてくるモデルさんみてえじゃねぇか!! 俺ぁ一度でいいから、ああいう『人生をポジティブに生きてます』って感じの女をオナホにしたかったんだよ!!」

「アーそういや、オレ読モ飼ってたぜ。使い飽きたから浮浪者どもの肉便器にしてやったら、炊き出しみたいに行列できてたわ」

「エヘヘ、週末デートコーデって感じかな? じゃあボクは『デートで行きたいお店ワースト1位! 話題のザーメン飲ませ屋さん』やるね!」

「あぁああああ!! おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいください!! おっぱい揉ませるのです! 私のちんこ挟ませろ!! おっぱい喰わせろよおおぉおオオオッ!!」

「蹂躙してくれと言わんばかりの清純アピール! 極めて[[rb:良 > りょう]]だ! その清純アナルにこの腕ねじ込むのを楽しみにしているぞ! できるっできるっ!!」

「……子宮ほじくりだしてぇぇ……直に突っ込んでぇぇ……ザーメン壺にしてぇぇ……その後ぐちゃぐちゃに踏みつけてぇぇ……」

 

「ひっ……!」

 

 あまりの恐怖と嫌悪感にフミカは小さな悲鳴を上げる。

 実験室の様子をカメラで見ている山岸は、訝しむ。

 

「ふむ。フミカ、この実験はいつもやっているものだが、何か問題あるかね?」

 

 スピーカー越しに質問にフミカは答える。

 

「い、いえ……問題ありま……せん……」

 

 その声は震えて消え入りそうだった。

 フミカは常人には破壊不可能な高耐久セクサロイドだ。不調をきたしても修理可能。処女膜も付けたり取ったり自由自在だ。

 人格を書き換えられたとはいえ、自分がセクサロイドであることをフミカは自覚している。愛のあるセックスなど望むべくもない。

 だけど一度それを渇望してしまった。そのたった一度の淡い想いが、皮肉なことにセクサロイドには不相応な『尊厳』を持たせた。

 ──これから、ただ粉々に壊されるだけの『尊厳』を。

 だから、いま全身にまとわりつく剥き出しの欲望が、恐ろしかった。汚されることが嫌で仕方なかった。

 

(なんでだろう……どうしてこんなに怖いの? わたしはただのアンドロイドなのに。怖がる必要なんてないのに)

 

《それでは、これより耐久試験を開始する》

 

 そんなフミカの心情は無視して、山岸博士は無常にも宣言した。

 ──瞬間、前後左右から性犯罪者達の手がフミカに殺到した。

 

「ひっ……いやァっ、やめて……!」

 

 彼らは全く容赦することなくフミカの服を掴むと、ブラウスを引き裂き、スカートを破り捨て、フミカを剥いていく。

 

「いやっ、いやだあァ!!」

 

 あっという間に露わになったブラやショーツを守るため、咄嗟に両手で抑える。

 

《ふむ……肌をさらすことへの羞恥心も芽生えたようだな。いいぞ……》

 

 隣室で山岸博士が独りごちる。

 フミカは恐怖と羞恥の中で混乱していた。

 

(どうして!? 昨日までは裸になることになんの抵抗もなかったのに! 好きでもない男に全部みられちゃうなんて絶対に嫌!!)

 

 だがすぐに、劣情を全く隠そうともしない性犯罪者たちに息がかかる距離で囲まれている恐ろしさが上回る。顔面蒼白で自らをかき抱く下着姿の美女を前にした男どもの興奮は最高潮に達していた。

 

「エヘヘ~、ピンクのレースが可愛いねぇ。大好きな彼とのはじめての夜の勝負下着って感じかな? 実際には社会のゴミを喜ばせるだけのレイプ志願下着だけどねぇ~♪」

「セックスに夢見てるって感じがして最高じゃねえか。その夢をぐちゃぐちゃにぶっ壊すのが楽しいんだよな~♪」

 

 彼らはフミカのことオモチャとしてしかみていない。彼女は自分の尊厳など全く意に介していない男たちの視線や会話に絶望感を募らせた。

 

 吐き気がするほどの嫌悪感と、大事なものが壊されるという絶望の確定予測。

 それによって視界が狭窄し、眩しいほどの照明に照らされているはずの部屋が闇に染まる。だが見たくもないのに、彼女を蹂躙しようと迫ってくる無数の手と、獣欲がたぎり赤黒く傘を張った亀頭の群れが暗闇に浮かび上がって見えるのだった。

 間もなくそれらが自分の肉体も精神も嬲り尽くしていくビジョンが、嫌と言うほどはっきりと認識できてしまっていた。

 

「あぁ……いや……いやぁ……」

 

 性犯罪者たちの手がフミカに届く。男どもの手は、フミカが胸と股間を守るように置いた腕を掴み無理やり左右に開くと、そのままフミカを床に押し倒した。

 両足も別の男が押さえこんだ。

 さらに別の手が、ショーツをずらすと、ヴァギナに指を入れられた。同時にクリトリスを摘み上げられた。

 

「ああぁあッ! やめてっ! 嫌嫌いやイヤぁっ!!」

 

 形のよい豊かなバストをブラの上から左右それぞれ別の男が鷲掴みにする。根本から搾り上げるように掴まれ風船のように変形した乳房に、歯形がつくほど噛みつかれた。

 

(こわいこわいこわいこわい!!!)

 

 性犯罪者のひとりがフミカの頭を両手で無遠慮に掴んだ。セットした髪をあえて握り潰すような嗜虐的な掴み方だった。ぐいっと乱暴にフミカの頭を引き寄せるとまるでステーキにかぶりつくようにその唇を奪った。

 愛情のない獣欲だけのキス。フミカの小ぶりだがぷっくりした唇を、男の大きく開けられた口が覆い尽くし、舌が這い回る。そのまま舌を口腔内に入れられ、歯茎を舐められ、唾液を流し込まれる。

 

「ヴェっ!ゔぅううううっっ!!」

 

 強引なキスで塞がれた口から苦悶が漏れる。その眼からはぼろぼろと涙が溢れた。人格改造後のフミカにとって──恋を知ったフミカにとって、キスは特別なものだった。それが無惨に汚された。

 

(イヤイヤイヤイヤっ!!!!)

 

 男達はフミカの柔肌を余すことなくねぶり、そして撫でまわした。

 醜悪な性犯罪者の群れに、たったひとりの恐怖に震える美女が、文字通り蹂躙されていく。

 そしてついに、その白磁の脚線が男達の無骨な手に抑えられ、強引に開かされる。繊細なレースがあしらわれたショーツが無遠慮にブチブチと引きちぎられると、秘部が露わになった。

 

「清楚な格好しててもおまんこはドスケベだな! もうドロドロに濡れて口を開けてやがるぜ」 

「くっくっ……。いいねぇ。フミカちゃんの泣き顔可愛いよぉ〜〜」

「ぐへへっ。泣いているフミカちゃんもいいけど、おれのちんぽで笑顔にしてあげるよっ」

 

 人間並みの尊厳を備えても、フミカはあくまでセクサロイドだ。それがどんなに唾棄すべき相手であっても、男を悦ばせるために身体が適切に準備をする。フミカの膣はたっぷり濡れており、少し大ぶりなクリトリスも皮がむけてピンッと隆起していた。

 

「いやあッ!! そこはダメなの! 見ないでぇぇッ!」

 

 脚を閉じて手で隠したいが、男たちに四肢を押さえつけられていてどうすることもできない。

 

「あー、たまんねぇ。嫌がってるけど、まんこは肉ビラひくひくさせてチンコ欲しがってるんだよなぁ」

「あーもう無理、我慢できね。俺もう挿れるわ」

 

 男のひとりがギンギンに張り詰めたペニスを近づける。

 

「いやぁッ! イヤあああぁあぁぁ……!」

「ほ~ら、ちんことまんこがキスしちまうぜぇ」

 

 すでにカウパーを迸らせている亀頭が、てらてらと淫靡に濡れた膣口に、にちゅ……と触れる。

 

「ひぃぃッ、いやっいやっイヤァっ!!」

「今日のフミカちゃんノリノリだねぇ。好きだぜそういうの……おらっ!」

 

 ずっぷぅぅぅ──

 

 男が腰を入れると、赤黒く滾った肉柱は一気にフミカの奥まで飲み込まれた。

 

「────ァッ!!」

 

 深い絶望とともに、全身を稲妻のような快感が貫いた。

 

(ダメぇ!! 嫌っ嫌ぁぁぁ!! なんで!? 嫌なのになんで気持ちいいの!?)

 

 セクサロイドの身体は、どんな心理状況であったとしても性的な刺激を与えられれば、強い快楽を感じるように出来ている。

 男のピストンによって、血管の浮いた竿や落差のあるカリがフミカの膣内を抉る。そのたびに快感が脳を焼き嫌悪感を塗りつぶしていく。

 

「んアアッ! イヤっ! んアッ……! 抜いてぇ!! お゙ッ、お願い……お願いします! 気持ちいいの嫌ァッ!!」

 

 唾棄すべき男どもに秘所を蹂躙されることは、尊厳を持ったフミカにとって耐え難い苦痛だった。だがそれよりも、その苦痛や嫌悪、恐怖すらも、まるでそれが嘘であるかのように快楽に塗り替えられていくことが恐ろしかった。

 人間らしい情動が芽生えた暖かな喜びは儚い幻でしかなく、自分の本質がただのセックス人形であることを突き付けられるようで。

 男がぱんっぱんっと腰を打ち付けるたびそれを思い知らされ、徐々にフミカの心が壊れていく。

 

「オ゙ォッ……! ぁぐッ! ぎひぃイイィ!」

「くっ! ギュウっと締め付けてきやがる! お望み通りザーメンくれてやるぜ!」

 

 頭では必死に悦楽に抗うものの、フミカの膣は男の精を搾り取るべくうねうねと蠕動しながら締め付けを強くする。

 

「オラァ! 社会のクズのザーメンぶちくらいやがれっ!!」

 

 ほどなく男は、ぶぴゅうううーーー! と一番奥に発射する。

 

「〜〜〜〜ッッ!! ア゙ア゙ア゙ア゙!! ぃギッイ゙い゙ぃぃぃぃッッ! っイッぐううぅうッッ!!!」

 

 フミカの子宮が精液の付着を感じると、それがスイッチとなり全身に先ほどまでの10倍以上の快楽が駆け巡った。すると、全身が弓なりに跳ね上がり激しく痙攣した。

 これまでのフミカはこんな風に激しく絶頂することは無かった。オーガズムを迎えれば、全身の筋肉は不随意に収れんするし、痺れるような快感も覚える。

 だがセクサロイドであるフミカはそんな自分を無感情に俯瞰する冷静な部分を残していた。

 だが今は違った。

 知ってしまった恋心と獲得した尊厳が踏みにじられ続けることで、感情が荒れ狂い、正常な思考が困難となっていた。

 ──フミカにはもう心と身体を制御できなくなっていた。

 

「あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!! イヤっ! 中イヤあ゙っ!! なんッでぇ!? 焼げるっ! ゔぎィィイ゙っ!! しきゅッう、焼けて……気持ちよすぎるゔゥゥッ!!」

 

 異常快楽の起爆剤である精液が擬似子宮の奥を叩き、止まらないピストンでかき混ぜられることで、フミカはまるで膣に焼きゴテを突っ込まれたように腰を暴れさせた。

 仰向けのまま股間が飛び跳ねるたび、プシャップシャアッ! とスプリンクラーのようにイキ潮を撒き散らす。美神のごとき女体は、男たちの汗や精液、そして自らの淫水によって汚れていく。

 

「うぉっ、すっげ! いつもよりド派手なイキっぷりじゃねえか」

「いいねいいね〜、JK監禁してクスリとバイブで強制アクメさせまくったときのこと思い出すわ〜」

「次ボクね! アナルずぽずぼしたぁ~い! 新体操の国体選手アナルにクラブの太いほうぶち込んだときみたいに燃えてきちゃったぁ♪」

 

 これまでと異なるフミカの痴態は、性犯罪者たちの劣情をいちじるしくかきたてた。

 そしてフミカが絶頂の余韻が抜けきるのも待たずに、男たちはかわるがわる赤黒く勃起したペニスを挿入し、遠慮なく精を吐き出していった。

 同じように、口にも、アナルにも。

 女性にとっての大事な部分が、この世で最もうす汚いもので塗りつぶされてゆく。その屈辱や絶望の感情が大きければ大きいほど、快楽が膨れ上がってゆく。

 それがフミカというセクサロイドだった

 

「ォオ゙~~~~! んオ゙ぉぉぉおおお! おごォ! やだァッやめでぇぇええ! もゔッ、イがせないでぇぇーーッ!!!」

 

 衣服を毟り取られた美女が360度をいきり立つ肉棒に囲まれ、穴という穴を犯され、彼女自身と性犯罪者たちの体液にまみれる様子を見下ろしながら、山岸博士は、

 

《やはり人格を書き換えたのは正解だったな》

 

 と独りごちた。

 山岸博士は初めからこうするつもりでフミカの改造を行ったのだった。愛情のこもったセックスは素晴らしいが、商品であるセクサロイドには、人間がもつ暗い欲望にも応える必要があった。

 実際の人間には出来ないし、してはいけないような行為も受け止めることが出来て、人間らしく恐怖や嫌悪感も抱くのに、その都合の良い身体は浅ましく淫らに快楽を求め、やがて堕ちてゆく。

 それが山岸博士の──この開発プロジェクトの完成図だった。

 

(いやぁぁぁああ、いやあぁあぁあぁ……嫌なのにぃぃぃ……射精されると屈服しちゃうぅぅぅうう……わたしはこの人たちの肉便器だって認めちゃうぅぅうう……!!)

 

 精液が喉に絡みつき、子宮を叩き、腸壁に染み込む度に、セクサロイドの「本能」が情交の相手に隷属しようとしてしまう。だが、いっそその『仕様』に心を委ねてしまえればどれほど楽だっただろうか。

 

(いやあああああっ、いやなのぉぉおおぉお! 木藤さん! 木藤さん!!)

 

 フミカの中に生まれた尊厳とセクサロイドの本能がコンフリクトを起こしていた。それが脳が焼ききれそうなほどの強い負荷を生んでいた。

 

 ぐぽっ!ぐぼっ!ぐぼっ!ぐぼっ!

 どちゅん!どちゅん!どちゅん!

 

「あぁああ゙あ゙あっ!!やめてえ゙えぇっ!!もうっ、いやぁぁぁあ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」

「大人しくしてねぇ〜〜!フミカちゃぁーん!」

 

 抵抗するフミカを男達は無理やり犯す。

 潔癖なほど真っ白な実験室は、汗と精液と愛液の臭いが入り混じった集団レイプの現場となっていた。

 男たちは何度も繰り返し、念入りに、膣内やアナル、口腔内に次々射精してゆく。

 

 びゅるるるるるっ!! ぶびゅるるる〜〜〜〜っっ!!! どぷうっ!!

 

「ゔっ!!! ゔゔゔぅっ!! ぶぼぁっ!!」

 

(もうやめてぇぇ……これ以上汚さないでぇ………)

 

 嫌悪と恐怖で気が狂いそうだった。

 しかし強靭かつ最新鋭のセクサロイドであるフミカの神経は、男達の与える肉体的・精神的刺激を本人の気持ちとは無関係に快楽に変換し、彼女の尊厳をごりごりとすり潰す。

 

「そら! 尻をあげろ! このアナルとなら限界を超えられる! 腕ごと入れるぞ、キミならできるっできるっ!!」

「ひぃいっ!? やめでぇぇっ!!」

「自分でケツ穴ひろげるんだ! それが基本フォームだぞっ!? スポーツマンシップに則り正々堂々とアナルフィスト目指して試合開始だっ!!」

 

 筋肉質の男が大声で宣言すると、フミカを輪姦する他の男たちが示し合わせたようにその身体を抱え上げ無理やり四つん這いにさせてしまう。

 そして──

 

 ずぶんっ!!  男の太い中指が肛門に突き立てられた。並のペニスより一回りほど太い指だった。

 

「いぎぃっ!!」

「まずは指からだっ!」

 

 特別な素材でつくられたフミカのアナルは裂けることはないが、乱暴な挿入による痛覚はあった。だが、それも瞬時に快感となり桃のような尻を震わせた。

 

「どんどんいくぞぉ!」

「ひぃいッ! ひいぃッ!!」

 

 ずぶ……ずぷっ……

 

 男は挿入する指を、2本、3本と増やしてゆき、ついには手を全てアナルに埋めてしまった。

 

「い゙い゙っ……ぎっ……あ゙、ア゙あ゙あっ!」

 

 フミカの表情が歪み、恐怖と苦痛が混ざった声をあげる。痛覚のほとんどは脳を焼く快感に変換されている。だが、自分の身体が道具として消費されている感覚が彼女を苦しめた。

 男はついにその腕を肘のあたりまで、ずぼぉっ! とフミカのアナルに埋没させてしまった。

 

「あ゙あ゙ーーーーッッ!!!! ぁぎ、ぎいいぃ………!!」

 

 ガクガクと痙攣するフミカ。食いしばった歯の間から泡が吹き出し、その美しい顔は涙と汗でぐちゃぐちゃだった。

 

「お、おれもやってみた〜〜い! おれも腕入れたい!」

「わっははははははっ! 慌てるな! ほら、おまんこが空いてるじゃないか! いっしょに青春しようじゃないか!!」

「なるほどぉ〜〜」

「い゙や! 嫌ァッ!! なにい゙ってるの!? やめでっやめてくださいしんじゃゔッいやアアアア゙ア゙ア゙!!」

 

 フミカの悲痛な懇願に耳を貸す者はいない。

 アナルに腕を入れていた男は、四つん這い姿勢のフミカを片腕だけで持ち上げた。

 ──アナルに埋没している方の腕で。

 

 フミカは、痙攣したままだった。

 人間なら大怪我になるような行為だが、フミカのアナルや直腸には裂け目ひとつつかない。

 別の男ふたりがフミカの両脚を抱えると、まるで木の枝に串刺しにされたカエルのようだった。

 

「はははっ! モズの早贄だなこりゃ」

「……あ゙ぁっ……あ゙がが………」

 

 性犯罪者のひとりが嘲笑する。フミカは痙攣し白目をむいて泡をふきながら、しかし意識を失っていなかった。

 

(もう何がなんだかわからないよぉ……こんなに苦しいのに!! 怖いのに!! 嫌で仕方ないのに!!! なんで気持ちいいのよぉぉぉ!!)

 

 フミカは拷問のような仕打ちを受けながら、たしかに快感を感じていた。女の子の尊厳を踏みにじる最悪な行為に苦痛を感じることすらできない。そのことが悔しくてたまらなかった。

 

「ほら、お待ちかねのおまんことアナルのダブルフィストファックだよぉ~~!」

 

 モズの早贄状態のフミカの前に立った男が、意に染まぬ悦楽に愛液をだらだら垂れ流す膣口に握り拳を当てがうと、ごりゅううっ、と一気に肘近くまで挿入した。

 

「お゙お゙お゙お゙っ!!」

 

 フミカは全身に電流でも流れたかのように、背中をピンッと伸ばし、男たちに折り曲げられた手足が彼らを跳ね飛ばしそうな勢いで暴れた。

 膣は、通常の女性器よりも数倍大きく拡げられてしまっている。フミカの耐久性能がなければ、こちらも重症だっただろう。

 

 みちっ、みぢっ、ぶちゅっ!!

 

 膣口も膣壁も男性の太い腕でぱんばんに広げられている。

 

「うっわ………エッグぅ、さすがに引くわぁ」

 

 取り囲む男達が冷静になってしまうほどの光景だった。

 そして、両脚を抱える男達ががっちりフミカを固定すると、アナルと膣それぞれに腕を埋め込んだ男達が交互に、ピストンを開始した。

 

 みぢぃっ!! ごりゅうっ!! ずりゅうっ!!

 

「がァあ゙あ゙あ゙あ゙っ!! ぎひい゙ッッ!!! ッい゙い゙っアガァっ!!」

 

 フミカの悲鳴を無視して、男たちはピストンを続ける。

 

「フミカちゃんのおまんこの中すっげえ~~!! 腕をピストンするたびに物欲しそうにギュウゥっと締め付けてくるよぉ~~♪ ヌルヌルして腕が気持ちいい〜〜!!」

「アナルも最高だぞ!! 腸壁のひだも肛門の締まりも絶品だ!! どういうわけかどんどん汁が溢れてきてこっちもヌルヌルしてきているぞ!! これは腕が射精しそうだ!! すごいぞフミカくんっ!」

 

 ずぼぉっ!! どぼぉっ!! ごりゅりゅっ!!

 

「ぎぃい゙やあ゙あ゙あ゙っ! やめへえ゙っ!!! っア゙あんっ!! あっ! アッあ゙ぁッ♡ ひああ゙ァァッ♡」

 

 フミカの絶叫が次第に艶を帯びてきていた。この拷問のごとき仕打ちが、それと比例する快感に変換されて、おぞましさを塗りつぶしつつあった。

 

「アハハハ~! あんなに苦しんでたのに、今じゃ感じまくってるんだねぇ♪  変態さんだなぁ! まあ最初からセックス専用のダッチワイフだもんね~~」

「ち、違うぅっ!! わたしは道具なんかじゃないのぉぉ! あ゙っあァんっ♡♡」

 

 フミカが泣き叫ぶ。

 

「フミカくんっ! キミはまだそんなこと言ってるのか!? おまんことアナルに腕突っ込まれてよがり狂ってる今のキミは、誰よりも立派な性処理スポーツ用の備品だよ!!」

「違う違う違うのぉお゙ォォォ!!! わたじは人間になるのお゙お゙おおっ!!」

 

 フミカの願いにも似た叫びを踏みにじるかのように、なおも2本の腕のピストンは激しくなる。

 

 みぢゅっ!! ごりゅりゅっ!! ずぢゅっっ!!!!

 

「あ゙っアッ!!♡♡  ぉおっ!!♡♡ だっだめっ!! だめだめぇ!! あ゙んっあんっあんっ♡♡♡」

「ほらっ!! キミがどこまでイケるか見届けてやろうじゃないか! この変態専用肉便器め!!!!」

 

 ぐぼんっ!! ごりゅっ!! ぐりゅううっ!!

 

「イぃぎッッ!! い゙やイ゙ヤぁっ!! こんなので感じたくないのオ゙ォっ! 悔じいよォ! 何でぇえ゙!? 感じるのよぉお゙お゙ッ!? ふぎィイ゙イ゙っ!! ごんな身体いやぁあああ!!」

「ほぉれほぉれ! フミカちゃんの子宮までずっぽり入ったボクの腕ぎゅうぎゅう締め付けて来てるよぉ〜〜〜! もっと腕ちんぽズボズボしてあげるからねぇ〜〜♪」

 

 ぼぢゅんっ! ぼぢゅんっ! ぼぢゅんっ!

 

「ゔっ!♡♡ いぐぅっ!♡♡ なにかぐるのぉおおおお!!♡♡ んぼぉオ゙オ゙オ゙オ゙っっ♡♡ いぐいぐイ゙グのぉぉぉぉ♡♡♡♡ お゙っ♡♡♡ お゙お゙お゙オ゙オ゙オ゙ォォォっっ♡♡♡」

 

 ぷしゃあああああああぁぁぁぁ!!

 ビクンッビクンッ!!

 

「うっわ、すっげえ潮吹き! どんだけ溜まってんだこいつは!?」

 

 びちゃっ!!ぴちゃっ!!

 

 フミカはアヘ顔で失禁までしていた。

 しかし、それでも男達は責めを止めることはない。

 

 ごりゅりゅっっ!!

 

「おほっ!!♡ おほっ!!♡ お゙オオ゙オ゙っっ!!♡♡ イッグ!! またイグッ!!♡ おまんこも、お尻も気持ち良すぎてイ゙グゥゥウ!! もう許ひへえ゙え゙え゙え゙え゙ぇぇッ♡♡♡♡」

 

 フミカの思考は完全に蕩け、快楽堕ちしてしまっていた。

 

「何を言う! こんなに嬉しそうにおまんことアナルに突っ込まれた腕を締め付けて媚びてるじゃないか!! まだまだいくぞ!! 限界を超えろ!! できるっできるっできるっ!!」

「おおぉごおおオッホォオオ!!!!♡♡♡♡」

 

 ぷしゃっ!ぷしゃぁっっ!!

 

 フミカはイキ潮アクメしながら、同時にそのおっぱいからは母乳が噴き出していた。

 

「あはははははっ! 何これぇ~!? ケツマンコとおまんこ腕で串刺しにされながら、おっぱいからミルク出してる~~~~!! すごぉ~~い! 人間そっくりだねぇぇぇ!!」

「アッハッハッハ、確かに良くできてる!! これは本物だな!」

「あひぃっ♡♡♡ おっ、お願ぃっ!! 抜いでぇぇぇぇ! もぅ無理ぃいい!!♡♡♡ 気持ぢ良すぎるのぉぉぉ!! おがじぐなってるのぉぉお゙お゙お゙♡♡」

「なに言ってるの~? ボクらはキミを使って研究の手伝いをしてるんだよぉ。だからこれからもキミはずっとボクらの性処理オモチャとして遊ばれるんだよ♪ ね~博士?」

「そんなっ!! 嫌ァァ!! 助けてぇッッ!! 山岸博士!!!」

 

 だがスピーカーから降ってくる山岸博士の返答は、

 

《今日はいいデータが取れてる。そのまま続けてくれ》

 

 という無情なものだった。

 

「そん……な……」

「アッハッハッハ!! 手厳しいがこれも青春だなっ! 聞いたか皆! 限界を超えよう! どんなハードなプレイでも歓迎だっ!!」

 

 フミカを取り囲む男たちはニタァと笑うと、目を血走らせ、股間のものをビキィッと硬くしながら、蹂躙を再開した。

 それからさらに数時間、性犯罪者達の目も覆うような凄惨な変態プレイが行われた。

 

   *

 

 複数人の男が、フミカの肛門にペニスを挿入したまま小便をしてアナルプラグで栓をした。その後、フミカの肛門が天井を向くようにその身体を押さえつけ、アナルプラグを一気に引き抜いた。詰め込まれた小便が噴水のように勢いよく飛び出し、それを見て男たちはゲラゲラ笑った。

 ある男は、ザーメンが満載された2リットルのペットボトルをフミカのおまんこに足で捩じ込んだ。フィストファック以上の拡張による激痛に、フミカは全身を壊れたおもちゃのようにバタつかせるが、瞬時に脳を焼き尽くす快楽に変換され、舌を突き出し目を剥いて激しくイキ続けた。大量のザーメンがペットボトルから子宮に注がれ、妊婦のようになった腹を別の男が足で踏みつけた。すると、膣にねじ込まれたままのザーメンタンクがペットボトルロケットのように白濁液を撒き散らしながら飛び出し、男たちはまたゲラゲラと笑った。

 他にも、ありったけのディルドやバイブを膣とアナルにねじ込まれ、何本まで入るかゲームをさせられた。

 乳牛のように母乳をコップに搾られ、男たちはそれを飲んだ。母乳の出が悪くなると罰として子宮に拳をねじ込まれた。

 最後には男達全員が満足するまでひたすら輪姦され、数十発の中出しを受け、度重なる責めによって感度が高まりきったフミカは白目を剥いて全身を震わせながら絶頂し続けた。

 

   *

 

 そして、仕上げとばかりに何度目かわからないフィストファックをしたのは骸骨のように痩せた男だった。骨ばった拳が、ずぽんっ、と子宮口をこじ開けると、フミカは意識を朦朧とさせつつも、

 

「んお゙ッ……♡」

 

 とうめき声を発し、ぴゅぴゅっと母乳や潮を噴きながら小さく絶頂した。

 あらゆる体液でどろどろになったまま地面に横たわる絶世の美女の子宮に拳を埋めた男は、

 

「きひっ……ひひ」

 

 と暗い目を細めて奇妙に笑うと、子宮の中で拳を開き子宮口から親指だけを出した。そして子宮内の4本の指と、子宮の外の親指で子宮口のまわりの肉──子宮の縁にあたる部分を掴むと、

 

 ぐぼぉっ──

 

 とフミカの膣から腕を一気に引き抜いた。

 

「んぎゃひィイ゙イ゙イ゙ッッ!!!」

 

 これまでの苛烈な凌辱により刺激に対して反射行動をとるだけに成り果てていたフミカだったが、突然のことに背中が浮き上がるほどの勢いで腰を跳ねさせた。

 

 ぼちゃっ──

 

 フミカの腰が床に着くと、一瞬遅れて湿った音が響いた。穴のあいた水風船が地面に落ちたような音だった。

 

「お~~!? なんだこりゃ、なんかおまんこから飛び出してるぜ~~♪」

 

 痩せた男の行為を見ていた別の男が笑いながら言う。

 

「ぃひィイッッ!! ひっぎぃッ!!」

 

 故障したロボットのように手足をちぐはぐにばたつかせるフミカ。その股間から飛び出しているのはフミカの疑似子宮だった。痩せた男は、フミカの子宮を体外に引きずりだしたのだった。

 

「いひっ……ひひ……綺麗な色だ。それに……パンパンに膨らんで、まるで俺の故郷のマンゴーみたいだなぁ……」

 

 男はぼそぼそと、だが心底楽しそうに子宮脱したその肉を見下ろす。そして──

 

 ぐちゃっ──

 

 と、その骨ばった足で露出したフミカの子宮を踏みつけた。

 

「ぎゃあ゙あ゙あ゙んッ!!」

 

 フミカが獣のように咆哮する。手足をビンと伸ばし全身をぶるぶる震わせた。潮と母乳がシャワーのように激しく吹き出し、踏まれた子宮からは散々注がれたザーメンが、ぼぴゅっ、と溢れた。

 

「うっわ、エグぅ」

 

 取り囲む男たちはそう言ってドン引きしているふうだったが、顔はニヤついており、やはりフミカが蹂躙される様子をおもしろがっていた。

 

「……あぁっ、いい感触だぁ。完熟で、中身が詰まってて、踏み甲斐がある……」

 

 痩せた男は、ぶつぶつ言いながら、ぐちゃ、ぐちゃ、と何度も何度もフミカの子宮を踏みつけた。フミカはそのたびに、

 

「あ゙オ゙オ゙オ゙ォッ!! ぎょい゙ィッ!! ぐぎゃッ!!」

 

 と肺をつぶすような声をあげて絶頂した。フミカが感じているのは、激痛ではなく脳天からつま先まで奔り抜ける快楽だった。

 セクサロイドの疑似子宮はザーメンに反応し全身の感度を上げる。これまでの大量射精により感度が天井知らずとなっている今、最も敏感な子宮を体外で直接刺激されて、フミカは知性のかけらもなくただ咆えることしか出来なかった。

 

 痩せた男はフミカの子宮を踏んだまま、ぐりぐりと足をひねる。まるでチューブから残った中身を搾りだすように。フミカの子宮口から、ぐぴゅっ、とザーメンが噴き出した。張りのあった肉風船は、何度も踏まれたことで、死んだ蛭のようになった。

 

「……お゙ェ……あ゙、も……や……だぁ……」

 

 フミカはだらしなく舌を出して、ガニ股で痙攣していた。痩せた男はその様子を嬉しそうに見下ろすと、ガリガリの身体にそぐわぬ逞しい肉棒をビキビキとそそり立たせた。フミカの潰れた子宮のそばにしゃがみ込むと、子宮口を両手の人差し指で、ぐい、と広げ、そこにパンパンに膨らんだ亀頭を押し込んだ。

 

「あ゙っ……あ゙……あ゙あ゙……ァ、なに、ずるの、ォ……」

 

 フミカが絶望感を滲ませた声で呻いた。

 痩せた男は飛び出した子宮の奥まで肉棒を埋めると、両手で子宮ごと、ずちょっ、ずちょっ、と扱きはじめた。

 

「……い゙い゙ィッ!! いぎゃッ! やべでぇぇッ!! 女の、子のッ大事などごォッ!! そんなふうにィイ゙イ゙──!!」

 

 子宮を直接つかまれ、その内部とペニスが密着し、しかもそのままピストンされる。強烈な刺激と、それを上回る屈辱がフミカの心を殴りつけた。歯をくいしばり、快感にあえぐのを必死に耐えるが、屈辱で涙がぽろぽろと溢れた。

 

「わっはっは! これはいいな!」と傍観していた筋肉質の男が笑う。「引っ張りだした子宮をそのままオナホールにしてしまうとは、斬新なトレーニング方法だ!!」

 

 ずちょっ、ずちょっ──

 

「あ゙あ゙あ゙あ゙……ッ! ア゙ア゙ぁぁ……!! ァぐっ、ゔゔゥゥゥ……!!!」

 

 フミカは床に爪を食い込ませ、快楽に抗っていた。人格の書き換えにより女性としての尊厳を得たフミカにとって、女性の象徴でもある子宮をここまでモノのように扱われることは、屈辱と同時に怒りの感情が芽生えていた。彼女は、セクサロイド故にどんな仕打ちに対しても感じてしまう快感に対して、激しい怒りによって抵抗していた。

 

「フミカちゃぁ~ん! 怒った顔もかわいいねぇ~♪ そんな顔してるから、ホラ! ボク達またフミカちゃんのことおちんちんで虐めたくなっちゃったァ♪」

 

 軽薄な男の言う通り、何度も射精して頭を垂れていた男たちのペニスは、また血管を浮かびあがらせながら怒張していた。フミカの抵抗は逆効果だった。と、そのとき──

 

《お前たち》

 

 山岸博士の声がスピーカーから響いた。

 

《フミカに対する改造は性格だけではない。身体も改造し、ある機能を持たせた。楽しむといい》

 

 山岸博士はそう告げると、手元のコンソールを操作する。この研究所の設備を使えば、遠隔でセクサロイドの身体機能を操作することもできる。

 

「山岸博士っ、なに、を……ッ?」

 

 フミカが不穏な気配を感じ顔色を青くする。そしてほどなく彼女の身体に異変が生じた。

 

「……ッッ!! あ、アアアッ!! 熱いッ! 胸が、あ゙あ゙ッ!!」

 

 フミカがビクンッと仰向けのまま背中をエビ反りにする。白く豊満な美乳がぷるんと揺れる。が、その乳房の先端──桃色の乳首が、むくむくと肥大化してゆく。そして、大豆ほどの大きさだった乳首が、真ん中がくぼんだソラマメのような大きさと形になり、変化が収まった。

 

「お~~~~! いいねぇ、今までの清純派巨乳って感じのおっぱいも良かったけど、デカ乳首のドスケベおっぱいも悪くねぇな!」

 

 男たちが色めき立つ。

 

「でも、ある機能ってなんだァ? このデカ乳首になんかあんのか?」

 

 男のひとりがフミカの肥大化した乳首の中心を指で突くと、

 

 ずぷぅ──

 

 と乳首の凹みに指が第二間接ほどまで沈み込んだ。

 

「ッお゙ほォオオッッ!!」

 

 突然、乳房で爆発した快感にフミカは低い咆哮を上げ絶頂する。

 

「おっおっ♪ これってもしかして~~!」

 

 指を乳首に突き入れた男が気色ばむと、またスピーカーから声が響く。

 

《乳首でも性交できるようにした》

 

 その声に男たちの間で、わっと歓声があがる。

 

「おっぱいおっぱいおっぱい犯せるおっぱいまんこおっぱいまんこぉ!!」

「わっはっは! これは良い! これで同時に五人で試合ができるぞ! 一致団結したチームプレイ! 青春だなァ!!」

 

 抵抗するフミカをみて再び勃起した者も、一時は精を出し切って傍観に徹していた男たちも、また耐久試験を始めた瞬間のようにギラついた目をしてフミカのもとへ殺到した。

 

「ひッ、イヤぁッ! もうッ、いやあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!! 助けでぇぇッッ!! いやあ゙あ゙ッもう殺して怖い嫌イヤイヤイヤぁぁぁああああッ!!!」

 

 フミカの抱いた怒りは消え失せていた。ただただ恐怖を感じていた。

 これから待っているのは苦痛ではなく脳を溶かすほどの快楽ではあるが、それこそが人間と同等の人格を獲得しかけていたフミカを──人間のような恋をしたいというささやかな夢を抱いたフミカの心を、完全にすり潰し切る地獄なのだと、皮肉にも確信できてしまった。

 

   *

 

 その後、フミカが受けた耐久試験の有様は、山岸博士を除くベテランの研究員たちでも目を覆いたくなるような苛烈なものだった。

 両手足を抑えられた絶世の美女は、口と、左右の乳房、膣とアナルを同時に性犯罪者たちの怒張で犯された。何度も何度も。

 高耐久セクサロイドであるフミカは、意識レベルが低下することはあっても失神することはない。全身を駆け巡る快楽の電流に裸身をぶるぶる震わせ続けながら、空虚な瞳からは、ただぼろぼろと涙を零し続けていた。

 

 その視界には、耐久試験開始からずっと肉宴に加わらず壁際で座っている男の姿も捉えていた。木藤剛。フミカが恋した男。だが、この実験室で彼がフミカを助けることはなかった。彼はずっと、耳をふさいでいた。

 彼は助けにこない。そのことをフミカはわかっていた。

 研究所内では木藤もそのほかの男たちも等しく醜悪な性犯罪者だ。彼ら同士の間でもめ事があったとしても誰も止めない。そしてこの中には女性を暴行の末、殺害した者も含まれる。

 だから──生身の人間がフミカを助けるため、ひとりで割って入るなんてあり得ない話だ。それがわかっていたから、フミカは今度こそ本当に、絶望した。

 

「ヴっ……ゔぇえ゙ォオ゙オ゙オ゙ッ! ゔぉお゙お゙お゙あ゙あ゙ッ! んぼぉお゙お゙え゙え゙ェェッ!!!」

 

 全身の穴を肉棒で貫かれザーメンを浴びせかけられ、快感の奔流に全身を陸揚げされた魚のように跳ねさせながらも、彼女はそんな自分を妙に冷静に客観視していた。

 

(ああ……わたしの心は今日死ぬんだ……)

 

「おらァ! おっぱいまんこ妊娠しろ!!」

「おっぱいオナホに……出るぅ~~~!」

 

 左右の乳房を鷲掴みにしてオナホのようにしていた男たちが、声を上げて改造乳首の内部に射精する。

 

「ほぉ~~ら、ザーメンミルクでちゅよぉ~~、喉奥に注ぎこんであげますからねぇ~~♪」

「ひひっ……引きずりだした子宮っていいなぁ……また、出る……ッ」

「わっはっは!! 俺の極太チンポまで飲み込むとは、いいアナルを持ってるな!! これでフィニッシュだ!!」

 

 口にも、体外に露出したままの子宮にも、拳をねじ込まれてガバガバになったアナルにも一斉にザーメンが発射された。

 

「ごふぉお゙ッ! お゙ごぉオ゙オ゙オ゙オ゙ッ!! ゔお゙お゙っげぇエ゙エ゙エ゙っ!! お゙ッ、ごォオ゙オ゙オ゙オ゙ッ!!!」

 

 何も考えられない中、ただ射精によるセクサロイドの反射行動として、フミカは目を見開いた。その視界に映ったのは──

 

「もうやめろぉぉぉぉっ!」

 

 怒りの形相で走ってくる木藤の姿だった。

 

   *

 

《もういい。お前達、実験は終了だ》

 

 スピーカーから山岸博士の声。

 性犯罪者たちは指示に従い、おとなしくフミカから離れて解散した。

 

 ひとりその場に残った男がいた。木藤だった。

 彼はぼろぼろだった。瞼は腫れあがり、唇は切れて出血していた。全身に殴打による内出血で青あざが出来ていた。その傷はフミカを輪姦した性犯罪者たちによるリンチで負ったものだった。木藤は、フミカを徹底的に蹂躙する男たちに割って入り、彼女を守ろうとしたのだ。苛立った男たちは邪魔者を捕らえ、いたぶったが、そこで山岸博士が実験終了を告げた。

 

「おい、ロボット女」

 

 だが満身創痍の木藤は、立っていた。足を引きずりながら、部屋の中心に横たわったままのフミカに近づいてゆく。

 

《お前、もう試験はおわりだぞ! 離れろ》

 

 研究員のひとりが命令するが、

 

《いや、いい》

 

 と、山岸博士が静止した。

 

「おい……ロボット女。聞こえてるか?」

 

 木藤はまた呼びかける。

 フミカの姿は無惨なものだった。

 元々着ていたブラウスやスカートは原型を留めないほど破り去られ、体液でぐしょ濡れになって部屋の隅で丸まっていた。自ら脚を閉じるちからもなく丸見えになっている膣とアナルは腕ほどのサイズのままぽっかり開いたままになっており、凌辱がおわった今もそこから精液が、どろり、と溢れ続けていた。形よく天井を向いた豊満な胸は揉みくちゃにされたせいで真っ赤になっており、自らの母乳と精液にまみれていた。そしてその顔には昼間カフェで会った時のような乙女の名残はなく精液と涙とよだれでぐしゃぐしゃだった。口と鼻から溢れた精液が、ぷくっ、と泡を作っていた。

 

 「おい! なんとか言えよ!」

 

 木藤が精液まみれのフミカを抱きかかえた。

 

「……ア゙……ぁ……ぅ……」

 

 フミカは小さくうめき声をあげた。

 

「生きてんのか。お前。どういうことだよ。昨日までは貞操観念のかけらもなく平気な顔して性処理してたじゃねぇか。なんでそんなに辛そうな顔してんだよ」

「……き……とう……さん?」

 

 フミカが消え入りそうな声で言う。

 

「ああ、そうだ」

 

 フミカの目に生気がもどる。そして、恐怖を思い出したように表情を歪め、

 

「あ゙あ゙あ゙ぁああぁあああ!」

 

 と涙をこぼしながら泣き叫んだ。

 

「木藤さん……木藤さん! うわあぁああアアアア! こわかったの! わたし……もうっ……死にたいって……ぐふっ……う、ううううう……!!」

 

 木藤は、そんなフミカをぐっと抱きしめた。

 

「おい、山岸博士。見てるんだろ。俺は腹をくくったぜ。こいつと恋人同士になる。セックスもする。だから、こんな試験はもうやめてくれ」

 

《好きにしろ。それに今日はいいデータが取れた。耐久試験は充分だ。丁度次のフェーズに移りたいと思ってたところなんだよ》

 

 山岸博士の言葉を聞いて、木藤はフミカを安心させるように、頭に手を乗せる。

 

「ひぐっ……木藤さん……ありっ、ありが、とうございま……す……ぅ……」

 

 嗚咽を繰り返しながらフミカは安堵していた。そのまま、まるで人間の少女のように眠りに落ちた。

 

 

5.ささやかなキス

 

 フミカは目を覚ました。

 

「起きたか」

 

 隣から優しい男性の声が聞こえる。フミカは上半身を起こした。

 

「あ、おはようございます。木藤さん。あれ? ここはどこですか?」

 

 フミカはきょろきょろと辺りを見回す。白を基調とした清潔感のある部屋──窓があり、疑似太陽の光が差し込んでいた。

 

「俺の部屋──らしい。独房からこっちに移れとさ」木藤は居心地わるそうに室内を見渡す。「お前……あの後、気絶したんだぞ。覚えてるか?」

 

 フミカはこくりと首肯する。

 

「研究員の奴らに手伝ってもらって、身体を綺麗にしたあとここまで運んだんだ」

「そうだったんですね……。すみません。迷惑かけてしまって」

「別にいい。俺はほとんど見てただけだしな。それより身体はなんともないのか? その、腕を入れられたり、し、子宮を踏まれたりしていたが……」

 

 フミカは少し考えるような仕草をして、

 

「はい。特に異常はないです。わたし、頑丈さには自信ありますからね。見ますか?」

 

 といってもフミカは、パジャマの下を脱ごうとする。

 

「待てっ! 脱がなくていいっ!」

「ふふっ冗談ですよ」

「はぁ……」

 

 フミカはいつも通りの様子だった。しかし、木藤はどこか違和感を感じていた。

 

「あの……わたしこれからどうすればいいんでしょうか? 耐久試験は終わりって、失神する前に聞こえましたが」

「ああ、それなんだが、もう充分にデータは取れたらしい。それに、貞操観念や倫理観を普通の『女性』のようにすれば、より男たちが興奮することがわかったから、今後生産されるセクサロイドにも同じような人格調整をするそうだ。そして、そいつらにも昨日みたいに犯罪者たちを使った耐久テストをするらしい」

「そう……ですか……」

 

 どこか沈んだ声でフミカはつぶやく。

 

「どうかしたか?」

「その、今後産まれるわたしの妹たちも、昨日わたしか味わったみたいな怖い思いをするんだなって思ったら、ちょっと……」

 

 言いながら、昨日の試験のことを思い出したのか、フミカの手は震えていた。顔も青ざめていた。

 確かに昨日のあれは凄惨なものだった。いくら常人には破壊不可能な高耐久セクサロイドはいえ、恐怖を露わに泣き叫びながら一切聞き入れられず、ダブルフィストファックや体外露出した子宮への責め、ニプルファックまでされたのだ。フミカのことを、欲望を満たすためだけのオモチャとしてしか見ていない性犯罪者どものいつ終わるともしれないレイプに、深い心の傷を負ったに違いない。

 

 木藤は、フミカの胸の痛みを想像して、やるせない気持ちになる。

 ぎゅっとフミカの手を握って、フミカを安心させるように告げる。

 

「大丈夫だ。俺たちで守ろう。俺とお前で、妹たちを幸せにしてやれる方法をさがそう」

「……木藤さん、気持ち悪いですよ」

「はあっ!?」

 

 突然ジト目で非難されて驚く木藤。

 

「昨日まで、わたしのことロボット女って言ったりして冷たかったし、カフェではキスもしてくれなかったのに!」

「あーそれはだな……」

 

 木藤は照れくさそうに頭を掻く。

 

「まあいいです。それで、今日は何の実験をするんですか?」

「ああ、それなんだが、実験というより、普通に恋人同士として過ごせばいいそうだ」

「それだけですか?」

「まぁ条件はある。なんというか……その、『ちゃんとラブラブカップルすること』だそうだ。それと、必ず毎日セックスすること。言われたのはそれだけだ」

「…………」

 

 フミカは照れくさそうに言う木藤に顔をぐっと近づけると、ニマーと笑った。

 

「へぇ~そうなんですね。わたしとラブラブしたいんですね?」

「う、うるさいっ」

「うふふっ。嬉しいです」

 

 フミカは幸せそうに目を細めて笑うと、ちゅっ、と木藤のほっぺにキスした。

 

「なっ……!」

 

 不意打ちに驚く木藤。

 

「ほら、木藤さんも。だってわたしたちラブラブカップルなんでしょう?」

 

 フミカは艶やかな黒髪をひるがえしながら、ここにキスして、とばかりに顔を横に向ける。

 

「お前な……」

「どうしたんですか? ほら、んっ♡」

 

 木藤も実験の趣旨はわかってる。それにもうフミカをロボットとは思っていなかった。心をもった人間の女の子と認めた相手の、それも絶世の美女がキスを求めて来ているのである。

 

(かわいすぎるだろうが……くっ、童貞じゃあるまいし)

 

 木藤は、ただ単純に照れていたが、もう観念するしかなかった。それにとっくに覚悟は決めていた。

 彼は目の前にあるフミカの横顔に手を伸ばす。顎を優しく掴むと、くいっと自分のほうに向けると、

 

 ──頬ではなく、唇と唇を重ねた。

 

「ん……♡」

 

 ただ軽く唇を触れさせるだけのキスだった。

 それは、フミカがこれまでされてきた情欲にまみれたキスとは全然ちがっていて。

 

(あ……なにこれ、こんなの知らない……)

 

 フミカの身体を、優しくて暖かいものが駆け巡った。呆然と、その感覚に身をゆだねていたいと思った。それはフミカがまだ体験したことのなかった感情だった。

 

「ありがとう……ございます。え、あれ?」

「お、お前、なんで泣くんだよ……! お前から最初にしてきたくせに」

 

 狼狽える木藤。キスされたフミカの朱の差した頬を涙がつたっていた。

 

「なんでかわからないですけど、えへへ、なんか変な感じです。なんだか胸の奥が暖かいんです。でも嫌じゃないんです」

「そうか、じゃあもっとするか。恋人だしな」

 

 木藤が、ふっと笑いかけると、フミカも目を細めて笑った。

 

「はい……お願いします♡」

 

 木藤はもう一度、今度は舌を入れたディープキスをした。口内の粘膜同士がこすれあう感覚が心地よかった。

 

「おい、フミカ」

「はい、何ですか、木藤さん」

「このままするか」

「はいっ……♡」

 

 フミカは幸せいっぱいの顔で答えた。

 それから二人は再び唇を重ね、ベッドに倒れ込んだのだった。

 

 

 

   END




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