今回は、skebでの依頼品です。
依頼内容はこちら。
https://skeb.jp/@aikosyaHoKoku/works/39
ご依頼、ありがとうございました!
女性がイリュージョンで、ゾロアークに遊ばれちゃうお話です。

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【リク作品】ちょっと、私を同じ姿に変えないで! ~ゾロアークにイリュージョン!?~

「ゾロちゃーん、そろそろ寝る時間よ?」

 明日の用意をしながら、大人の女性・エリコさんが声をかけます。

 その視線の先にいるのは……子供、ではなくゾロアーク。

「ゾロぉ〜」

 返事はするものの、ゾロアークは手に持っている物に夢中なのか顔を動かしません。

「んもう、スマホばっかり弄っちゃってぇ」

 そう、なんとこのゾロアークは当たり前のようにスマートフォンを操作できるのです。

 そればかりかゲームもできるほど賢く、時々エリコさんと一緒に遊ぶほど。

 言葉は喋れないものの、ここまでいくともう家族のような物。

 まだ彼氏もできていないのに、もう子供がいるかのような気分になるエリコさん。

 時々イタズラをするものの……基本的にはお利口さんで、手がかからなくて。

 仕事に行く時も安心してお留守番を任せられるほど。

 たまに電話をかけてあげると、大喜びでゾロゾロ返事をするのがとても可愛らしいのです。

「ほらほら、寝る準備しなさい」

 近づいて画面を覗こうとすると、さっと隠してしまうゾロアーク。

「なになに、えっちな物でも見ていたの?」

「ゾロっ! ゾロぉ、ォオ!」

 少しからかうだけで、ちょっと怒ったような声をあげて。

「はいはい、ごめんごめん! でも、もうお休みの時間なのは本当よ。このタオルしまってきたら、おしまいだからね」

「ゾロぉ〜」

 気の抜けた返事に、つい笑ってしまい。

「ええっと、洗面所洗面所」

 数枚のタオルを片付けるためにその場を後にするエリコさん。

「ゾロぉ……ゾロ!」

 その後ろで、ゾロアークの声がしましたが特に気にすることもなく。

 ゲームに熱中している時によくこういった声を出すので、もう慣れているのです。

 明日も早いし、早く寝たいし。

 若干ウトウトしながら、ドアを開けたままの洗面所に入室。

「!?」

 と、次の瞬間エリコさんはびっくり仰天。

 洗面所には、ゾロアークがいたのです!

 違う部屋でスマホを弄っていたはずなのに、いつの間にか先回りしたのでしょうか?

「ゾロぉ……ゾロ?」

 声をかけようとしたのですが……あれあれ、なんだか声が変。

 よくよく見てみると、目の前のゾロアークはタオルを持っています。

 しかもそれは、今自分が持っているものと全くおんなじで。

「ゾロ? ゾロぉ?」

 自分の手元を見て、正面を見て。

 向こうのゾロアークも全く同じ動きをしてきて。

 ……嫌な予感がして、エリコさんはゆっくりとそのゾロアークに近づいていきました。

 そうすると、ゾロアークも近づいてきて。

 手を伸ばすと、向こうも伸ばしてきて。

 コツン、と固い物に当たる感覚。

「ゾロォオオオオオオオォォオ!?!?」

 鏡という認識、今鏡に映っているのは自分だという事実、鏡の中にはゾロアーク。

 そう、つまり……今のエリコさんは、ゾロアークの姿になってしまっていたのです!

 眠気も吹き飛び、大パニック!

 タオルを放り投げて、ドタドタとゾロアークのいる部屋に駆け込んで。

「あ、やっと気づいた」

「や、やっと気づいたって、何したのよ私に!?」

「ん、えーっとねぇ、ネット見てたら人間をイリュージョンでポケモンにできるって書き込みあったからやってみたの」

「や、やってみたって、私、人間なのにぃ!」

「うんうん、エリコ人間だから、一緒の姿になったら面白いじゃん」

「それはまあ、わかるけど! ん、あら、なんで私、ゾロちゃんとお喋りできてるの!?」

「え、だって同じゾロアークじゃん」

 同じポケモンになった事で、会話が成立。

 側から聞くとゾロアークが鳴き声で会話をしている状態ですが、ゾロアークになっているエリコさんは普通に聞き取れているのです。

「あ、そ、そっか、そっか、じゃないけど、うん……」

「ゾロアークになったエリコも可愛いじゃん、写真撮っちゃおっと!」

 どこか嬉しそうにしながら、ゾロアークがスマホでパシャリ。

「え、え、ちょっと、やめてよぉ!?」

「待ち受けにしちゃお」

「だ、ダメだってば!」

 手を伸ばして奪い取ろうとしても、ひょいとかわされてしまい。

「えへへ、エリコがゾロアークなの、面白いんだ! ねぇねぇ、お話しようよぉ!」

「ん、お話って?」

「えー? ゾロアの時から一緒にいるけど、こうやってちゃんと喋るのって初めてじゃん? オレ、一回でいいからやってみたかったんだぁ!」

「あー……それもそうねぇ。私の言う事は分かるみたいだけど、私はあなたの言う事分かってなかったもんねぇ」

「そう、そう! ね、ね、いいでしょ?」

「はいはい、分かったわよ。まあ……びっくりしちゃったけど、お喋りできるのはいいかもね。やってみてくれて、ありがと!」

「ちょ、ちょっと、今はエリコもゾロアークなんだから、そんな人間みたいな撫で方しないでよぉ〜!」

「あ、ごめんごめん」

 その夜、二人は和気藹々とおしゃべりに夢中になって。

 ひとしきり喋った後、そのまま眠ってしまうエリコさん。

 そして、翌朝……

「ゾロ、ゾロぉ!?」

「えへへ、今はオレが人間だから、何言ってるのか分からないよーだ!」

 ゾロアークが抗議するように鳴き声を上げ、それをエリコさんが笑いながら相手しているようです。

「ゾロ、ロォ!」

「エリコをポケモンにできるなら、オレがエリコの姿になるのもできちゃうんだもーん! いいでしょ、今日はオレがエリコでも!」

 なんと、姿はエリコさんでも中身はゾロアーク!

 イリュージョンを解かずに寝てしまったエリコさんがゾロアークの姿のままなのをいい事に、ゾロアークがエリコさんの姿にイリュージョンしてしまったのです。

 しっかりと仕事用の服も着て、準備万端。

 エリコさんはポケモンの鳴き声で文句を言っているのですが、伝わらなければどうしようもありません。

 ゾロアークはそれをいい事に、そのまま家を出てしまいました。

 追いかけようにも自分は今ゾロアーク、下手に追いかけてトラブルになっても困りもの。

 エリコさんは渋々、お留守番をする羽目に。

 とはいえ、突如降って湧いたお休みにどこか喜んでいるのも事実。

 いつもとは違う自分の体を色々と調べたり、なんとかできる家事を探したり。

 なんやかんやしている間に時間は過ぎていき……

「ただいまー!」

「ゾロぉ!」

 気づけば、もう自分自身が帰ってきました。

「よい、しょっと」

 カバンを置き、服を脱ぎ捨て。

 その間にもイリュージョンが解け、顔が伸び、黒くなっていき、髪が伸び……

「もう、大丈夫だったの?」

「えへへ、大丈夫大丈夫! 人間生活、結構面白いね!」

 ゾロアークの姿に戻った相方に、詰め寄るように近づいて。

「ダメとは言わないけど、いきなりこう言う事やらないでよね!」

「ごめんごめん! エリコ、いっつも大変そうなんだもーん。なんとかできないかなって思ったんだ!」

「んもう、気持ちはありがたいけど……あんまり、変な事しないでよね!」

「でも、エリコもポケモンになるの、悪くないんじゃないの? 結構ゾロアーク、似合ってるけど」

「えっ、そ、そう? でも、私、ゾロアークにしかなってないわけでしょ? それだけで似合ってるとかどうとか言われても、困っちゃうっていうか」

「へぇー、じゃあ今度、試してみる?」

「え?」

 ゾロアークがいたずらっ子のように笑っている理由がよく分からず、エリコさんはゾロアークの姿のままで首を傾げるのでした。

 

 それから数日後の、日曜日。

「この辺でいいかな〜」

 エリコさんがキョロキョロしながら、公園を歩いています。

 人があまりいない所でモンスターボールを手に取り、放り投げ。

 中から出てきたのはゾロアーク、ではなく……

「バン、バァン!?」

 逞しい図体の、バンバドロ。

「どう、エリコ?」

「バン、バン!」

 バンバドロ特有のどこか眠たそうな顔で抗議しますが、目の前のエリコさんは素知らぬ顔。

「えへへ、今日はエリコを色んなポケモンにしちゃうもんね。どれが一番気に入ったか、教えてよ!」

「バァアン!?」

 ゾロアークはイリュージョンできるのをいい事に、エリコさんの姿を色々変えてしまおうとしているのです!

 困惑しているバンバドロ……の姿のエリコさん。

 エリコさんに化けているゾロアークはひらりとその上に乗り、さあ行けと言わんばかりにお腹をペチペチと叩きます。

 どうする事もできず、指示されるがままに歩き出し。

 最初は恐る恐る、だったのですが強靭な足腰により安定しているのが分かると、少しずつその速度は増していきます。

「わ、わ、エリコ、ちょっと、大丈夫?」

 予想外の速度にゾロアークが驚くものの、徐々にテンションが高くなっているエリコさんには聞こえていません。

「バン、バァン、バァア〜ン!!!」

 大きく鳴き声を上げながら、ドッカドッカと足音が大きくなり。

 どすどす地面を慣らすかのような音を立て、広い公園を自由に走り回り始めました。

「わー、エリコ、とま、止まってってば、危ない、危ないってぇ!?」

 余裕振っていたゾロアークも、これには大慌て!

 何度もエリコさんの太い首を叩き、止まるように促して。

 ひとしきり走って満足したのか、やっと速度を落とすエリコさん。

「んもー、もっと嫌々走ると思っていたのに……もしかしてエリコ、本当はバンバドロだったりする?」

「バァン!」

 意外とノリノリで返事をするエリコさんに、ゾロアークはちょっと怯んでしまい。

「ま、まあ、いいや! じゃあ、次ね!」

 モンスターボールにエリコさんを戻し、その状態でイリュージョンをかけ直し。

「よーし、出てこーい!」

「ピ、ジョーォット!?」

 今度はピジョットの姿。

 馬ポケモンから鳥ポケモンに変えられて、急には感覚が掴めなかったのか……

 エリコさんはそのまま、どてりと頭から着地してしまいます。

「わ、大丈夫?」

「ピジョッ」

 びっくりはしているようですが、大きな問題は無さそう。

「もしエリコが飛べるなら、オレを運んでもらうとか出来そうだけど」

「ジョォー……」

 バサバサ、バサバサ。

 翼を羽ばたかせても、なかなか浮き上がりません。

「んー、難しいかなぁ」

 歩行とは違い、慣れが必要なのでしょうか。

 飛べないピジョッとになっているエリコさんの頭上を、平気な顔で飛んでいくポッポたち。

 なんだか様にならず、しまらない風景。

「ピジョ、ピジョぉーっ」

 エリコさんも無理だと感じたのか、自分の姿のゾロアークをつつきます。

「んー、そっかぁ。どうしようかなぁ」

 ボールにしまい、少し考え込み。

「じゃあ、こうだ!」

「フワァ!?」

 今度のエリコさんの姿は……

 口にバッテン印がある、風船のようなポケモン。

「ライ、ラァイ!?」

 そよ風に流されそうになるのに抵抗しながら、独特の感覚に驚いているようです。

「えへへ、どう? フワライドならずっと浮いているから、飛べるんじゃない?」

 ゾロアークは得意げ……なのですが、エリコさんはそうも言ってられない様子。

 自分の意思で浮いているのではなく、元から浮く体になっているせいで……どうにも、制御がうまくいかないようです。

「あはは、エリコったら慌ててるや。かわい〜い!」

 お気楽なゾロアークはポケモンになったご主人様を写真に撮ろうと、スマホを取り出します。

「ん、あれ?」

 ところが……充電を忘れていたせいで、真っ暗な画面のまま動きません。

「あ、いっけない。どうしよう、これ」

 ゾロアークの注意がスマホにいっている間に、エリコさんの体は少しずつですが……上へ、上へと上がっていってしまいます!

「フワッ、フワワァ!?」

「えーっと、電源ボタン長押し……ダメだよなぁ」

 必死に叫んでいるのに、ゾロアークは全然気が付きません。

 その名の通り、ふわふわ、ふわふわと空へ登っていき。

 降りるどころかどんどん高くなっていく視界に、エリコさんはどんどん怖くなっていってしまい。

「あ、そうだ! エリコ……え、エリコォー!?」

 何かを閃いたゾロアークがスマホから目を離した時……もうすでに、彼女はビルの三階ほどの高さまで上昇してしまっていたのでした。

「エレ、エレェ!」

「ごめんごめん、フワライドってあんなに簡単に浮かぶの、知らなかったんだってば」

「エレェ〜!」

「あはは、その顔で怒ったってそんなに怖くないよ! あ、よーし、起動できた」

 またもや違うポケモンにされたエリコさん。

 彼女が持っていたスマホが充電され、ゾロアークが写真を一枚。

「ほら見て見て? エレブーエリコ、可愛いよ?」

 まん丸お腹をさすりながら、画面をエリコさんに向けて。

 縦向きに撮影したせいで、横にはみ出している顔。

 自分がこんな滑稽な姿になっていると自覚させられて、少し恥ずかしくなってしまい。

「ね、ね、フル充電できるまで持っててよ」

「エレェ、ブゥ!?」

 どのくらい時間がかかるか分からないことをお願いされ、断ってしまい。

 こんな姿、一刻も早く戻りたいのですが……鳴き声しか出せない今、伝える事はできません。

「あれ、なんか嫌? うーん、じゃあ、レアコイルとかになる?」

 なぜそこでピカチュウと言ってくれないのか、といった表情になるエリコさん。

 流石に無機質すぎますし、複数頭部がある存在になるのはちょっと不気味ですし。

「エレ、エレェ」

「ん、あ、充電してくれるの? じゃあ、おねがーい!」

 仕方なくスマホを受け取り、大きな両手でぎゅっと握り。

 その間、頭を撫でられたり、お腹を撫でられたり……

 自分は人間なのに、ポケモンのはずのゾロアークにそうされているのがくすぐったくて。

 でもどこか、心地良くも感じてしまい。

 

「ふぅ、帰った帰った!」

「カイ、リュウぅ〜……」

 家に戻ってきたのは、エリコさんとカイリュー。

 もちろんイリュージョンにより変化した姿なのですが、大きなお腹のカイリューエリコさんはドアで突っかかってしまい。

「ねぇエリコ、結局どの姿が一番いいの?」

 イリュージョンを解き、元の姿に戻ったゾロアークが尋ねてきます。

「うーん、やっぱりゾロアークかしら。他のポケモンもいいけど、ゾロアークの時が一番うまく動けたっていうか」

「そうなの? エレブーの時、結構うっとりしてたじゃん。写真、いっぱい撮っちゃったもん」

「えぇっ!? 充電終わってもなかなか戻してくれないと思ってたらぁ!?」

 カイリューの大きな体のまま、暴れそうになるエリコさん。

「わ、待って待って! はいはい、オレと同じ姿にするから、ね?」

 たちまち、エリコさんはゾロアークに元通り!

 本当は人間なので、元通りというのも少し変なのですが。

「ふぅ、ありがとう。やっぱりこの姿が一番ね」

「えへへ、楽しかったー! エリコ、またやろうね?」

「えぇ、どうしようかしら……なんか、あんまりやっちゃうと人間だってこと、忘れていきそうで怖いんだもん」

「あはは、それもそっかー!」

 ゾロアークもやはりエリコはゾロアークの姿が似合うと思っているのか、少しリラックスした様子。

 エリコさんの色々ポケモン体験は、こうして幕を閉じるのでした。

 

 

「うふふ、今日はゾロちゃんが仕事行ってくれる日〜」

 堂々とおサボりをし、どこか上機嫌なエリコさん。

「そうだ、ゾロアークの姿でゴロゴロしちゃおっと!」

 そう言い終わるや否や、彼女の顔が前に伸びていき。

 あっという間に、エリコさんは自分の意思でゾロアークになってしまったではありませんか!

 あれから一ヶ月。

 しょっちゅうゾロアークの姿にされているうちに、体が徐々にゾロアーク基準になってしまっているようなのです。

 イリュージョンのようなものも使えるようになり、今では自発的に切り替えられるようになり。

「うーん、やっぱりお休みの日はゾロアークの姿が一番!」

 目を細め、部屋で寝っ転がり。

 と、その時……スマホの通知音。

「あら? 私のスマホ、ゾロちゃんが持っていってるはずだけど」

 音を頼りに探し出すと、それはいつもゾロアークが使っているスマホ。

 メッセージ着信通知が画面に表示されており、内容も書かれていて。

『まじ? そんなに好きならそのエリコって人間に告白しちゃえば?』

「……え?」

 操作していなかったために消えた画面を、もう一度オンにして。

 それでも、何度見ても、書かれている文章は変わりません。

 また通知音。

『俺もご主人様好きだけど、人とポケモンだからさぁ、言えないじゃん。でも、ゾロアークは同じ姿になれるんだろ? 言っちゃえ言っちゃえ!』

 ピコン。

『うまくいったら教えてくれよな! 俺も手伝ってもらって、告白してみたいし!』

 同じポケモン友達からでしょう、次々にメッセージが届いてきて。

「そ、それじゃあ、これ、本当?」

 急に頭がクラクラしてきます。

 ゾロアークはエリコさんが大好きで、告白したくって。

 ついついポケモンの姿にしてくるのも、きっとそれが理由なのでしょう。

 でもそのまま好きだというのはどうも恥ずかしくって、誤魔化すようにイタズラみたいな事ばかりして……

「わ、わ、わ」

 落ち着こうと、ゾロアーク愛用のベッドに腰掛けて。

 ……それがいけませんでした。

 そのはずみに、むわりと彼の臭いが立ち込めてしまったのです。

 ひく、ひく、と鼻がそれを感じ取り。

 好意を抱かれている、という認識とそれが噛み合い、急に心がときめき始めて。

「だ、だめよ、私、私、人間なんだからぁ……」

 ゾロアークの姿でそんなことを言っても、全く説得力がありません。

 全身が燃えるように熱くなり、ドキドキする音が聞こえてきて。

「んっ、あっ、だめ、私も、なんだか、ゾロちゃんの事、考えちゃうと、興奮して、あっ、あっ……♡」

 胸に手を伸ばし、股間にも触れ。

 人間の姿では何度もしている行為でも、ゾロアークの姿でやるのは初めて。

 羞恥心、背徳感、罪悪感。

 後ろめたさがぐるぐると回り始め、それがより一層イヤらしい感覚を高めていきます。

「んっ、あっ、ゾロちゃん、ゾロちゃん、ゾロちゃん、ゾロちゃあん……♡」

 名前を呼べば呼ぶほど、想えば想うほど、頭がぐつぐつと煮えたって。

「ゾロちゃん、ゾロちゃん、あっ、好き、好き、好き、好き、好きぃ……♡♡♡」

 手はどんどん動きが激しくなり、汗が出て、息が荒くなって。

 たちまち気が飛びそうなほどに気持ちが良くなり、よだれが垂れ、何も分からなくなり……

「あっ、あっ、あっ、あっ、あぁああああああああ♡♡♡」

 実際には、ゾロアークの鳴き声なのですが……彼女は大声を上げ、絶頂を迎えてしまうのでした。

 

「ただいまー!」

「お、おかえり! どうだった、今日は?」

 人間の姿に戻り、バレないように掃除をして。

 自分自身の出迎えをするのにももう慣れたもの、なのですが。

「うん、何もなかったよー。ねぇ、エリコ、ちょっと顔、赤くない?」

「そ、そう? 平気平気!」

 ゾロアークをオカズにオナニーしてしまったのが後ろめたく、ちょっと目を逸らしてしまい。

「んー? 変なの!」

 首を傾げつつ、エリコさんの姿のゾロアークが部屋へ。

 が、ドアを開けるなり……

「ん、ねぇ、変な臭いしない?」

「え、そう? 気、気のせいじゃない?」

「……ううん、えっと、その、なんか、臭うよ?」

「え、えぇ? ど、どんな臭い?」

 後に引くこともできず、とぼけるしかなくて。

「ん、え、えっと、え、えっちな臭い……」

 顔を真っ赤にしつつ、エリコさんの姿のゾロアークが言いました。

 それを見るなり、エリコさんもお顔が真っ赤っかに。

「あー! エリコ、えっちなことしたの!?」

「だ、だってだって、あなたのスマホにメッセージ来てて、その……」

「えっ、ちょ、ちょっと、えっ!?」

 動揺したはずみにゾロアークに戻ってしまい、飛ぶようにスマホを手に取り。

 通知で表示されたメッセージを読み……まずい、と言った顔に変わっていき。

「えっと、ごめんね? 読むつもりはなかったんだけど……」

 ゾロアークの姿に変わったエリコさんが、背中に声をかけます。

「あいつぅ〜……だから昼間にメッセージ送るなって言ってたのにぃ……!」

「ね、ね……」

「気持ち悪い?」

「え?」

 どう謝ろうか、とエリコさんが考えながら声をかけるのですが……予想だにしない発言に、きょとんとしてしまい。

「ぽ、ポケモンが人間に恋しちゃうの、気持ち悪い?」

「え、ええっと……」

 どう返せばいいか、何も分からなくて。

「オレさ、好きになっちゃって、言い出せなくって、言ったら色々おかしくなりそうで、言わなくてもオレがおかしくなりそうで、それでさ……」

 背を向けたまま、感情を吐露し始めるゾロアーク。

「わ、私の方が、気持ち悪いもん」

「え?」

「ゾロアークの姿で、ゾロちゃんの臭いに興奮して、オナニーしちゃった」

「……えっ」

「三回くらいイッちゃった」

「ええっ」

 こういう時は、自身の恥ずかしいエピソードを言うに限ります。

「こ、告白できずに悶々としているポケモンより、ポケモンの姿になって自分のパートナーの臭いで何度もオナニーしちゃう方が、き、気持ち悪くなあい?」

「え、えっと、そんなことないと思うけど……え、本当にしちゃったの?」

「ちゃんと消臭剤したのに、ゾロちゃんお鼻いいんだから」

「え、えっと、ご、ごめんなさい!」

 突然ゾロアークが振り返り、頭を下げ。

「え、なになに、どうしたの!?」

「じ、実は、エリコが寝た後、エリコの姿で、そ、その、えっちな遊び、何回かしたことがあって……」

「も、もしかして、それで臭い、覚えちゃったの?」

 ゾロアークは燃えるような赤い顔で、黙ってコクコクと頷いて。

「えー、ひどいわね」

「ご、ごめんな……んっ!?」

 ゾロアークの口にエリコさんの口が重なり。

「ねえ、ゾロちゃん? ゾロちゃんは、私が好きなの? 私の体が好きなの?」

「え、ええっと、エリコが好きで、だからあれだよ、オレがエリコとしてえっちなことしたんじゃなくって、エリコがオレの事好きオナニーしてるっていう、ええっと、そういうあれをしてたのであってぇ……」

「ふーん、こんな感じ?」

 わざとゾロアークのベッドに寝転がり、大股を広げ。

「あっ、あっ、ゾロちゃん、好き、好き、愛してるわぁ、あぁ〜♡♡♡」

 見られているのを意識しながら、自慰行為開始。

 たちまち体は燃え上がり、心も踊り。

 それを見ているゾロアークもどんどん落ち着きがなくなり、ウズウズし始め、とうとう……

「あ、あ、あ、ずるい、ずるいってばぁ!」

 勢いよく飛びつき、覆い被さってきて。

「えー、だって、私、ゾロちゃん好きだもん」

「お、オレだって、エリコ、好き……」

「どのくらい?」

「大好き」

「大好きじゃ、分からないわよ」

「せ、世界で一番好き」

「んもう、可愛いんだから」

 オナニーを止め、そっとゾロアークを抱き寄せ。

「わ、わ、わ、エリコ、エリコ、ドキドキして、あっ、あっ」

「ゾロちゃんも、すっごくドキドキしてる」

「ね、ねぇ、いいの? オレ、ポケモンだよ?」

「んー? 今の私、人間かしら?」

「あっ、えっと、えっとぉ」

「まあ、流石に私も、『エリコはエレブーの姿がえっちだから』ってエレブーの姿にされて、そのままエッチさせられたら怒るけど……私、私の意思でゾロアークになってるのよ? じゃあ、問題ないじゃない?」

「う、うん」

「うふふ、可愛いわね。ほらほら、おちんちん……触るわよ」

「あっ、んっ、んっ♡」

 勃起して大きくなったそれを、優しく撫でてやり。

「ねぇ、ゾロちゃん?」

「な、なあに、エリコ?」

「エッチ、する?」

「し、して、いいの?」

「ゾロちゃんがしたいなら」

「え、えへへぇ……♡♡♡」

 どこか甘えたような声を出し、ゾロアークが肩に甘噛みをする。

「あっ」

「好き、好き、好き、好きぃ……♡」

 そのまま逸物を入り口に持っていき、接続を始め。

「あっ、いいわ、いいわぁ、ゾロちゃん、入ってきて、入ってくる、あっ、あっ、あっ、あぁあっ……♡♡♡」

「エリコ、エリコ、エリコ、エリコぉ♡♡♡」

 二人が繋がったまま、体を動かす。

 うぶなゾロアークと、人間のはずのゾロアーク。

 二人はお互いの愛を確認しながら、何度も何度も仲良く快感に溺れていくのでした。

 

 

「ふう、お洗濯終わりっと」

「あ、終わった? お疲れ様!」

 エリコさんが振り返ると、そこにはどこか幼い顔つきの男性の姿が。

「ゾロちゃんも、お掃除終わった?」

「んもう、この姿の時にそう言わないでって言ったじゃんっ」

 不満げな顔が黒ずみ、鼻先が伸び。

「だってぇ、結婚式したいからってわざわざその姿になったの、可愛くってぇ」

 それにつられるように、エリコさんもゾロアークの姿に戻っていきます。

 そう、二人はあれ以来……まさに恋人の関係になったのです。

 そしてとうとう、ゴールイン。

 結婚して、一つの家庭を作り。

 友達からは「いつの間にあんないい旦那さん見つけていたの!?」と驚かれましたが……

 まさか、手持ちのゾロアークというわけにもいかず。

 ですから、ポケモンであること、ポケモンになれることは二人の秘密なのでした。

「ね、ねぇねぇ、エッチ、しよ?」

「こらこら、掃除したばかりでしょ?」

「だってぇ、この前のエレブーエッチ、すっごく良かったんだもん……」

「んもう、ゾロアークなのにそんなエッチにハマっちゃうの、どうなのよ」

「そんなこと言ったって、エリコも夢中だったじゃん! エレブー同士のエッチ、しようしよう♡♡♡」

「仕方ないわねぇ、一回だけよ?」

「わあい、やったー!」

 そう言いながら、二人の顔がエレブーに変化していきます。

 イリュージョンで何にでもなれる二人。

 それでも、お互いへの愛情は……決して、変わることはないのでした。

 

 

 おしまい


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