この世界の触手は種子を自分で作り出せるので、捕まえた女性の孕ませ方は卵を子宮に詰め込むだけとなります。
体温と母体の性的快楽を餌として育つ。触手という時点でファンタジーですがそんな感じです。
あと、触手が直接の原因で死ぬ女性はいません。暗くなーい、黒くなーい設定。
第一集落“スターホース”は“触手の森”攻略の最前線。
周辺集落全体の規模から見れば所属する木こりの数は多くはないが、その中でも特に腕利きの女性達ばかりが集まるのが第一集落だ。
毎日のように珍しい触手素材が運び込まれている。
そして……、腕の良い木こりが多いといっても、触手刈りに失敗して陵辱を受ける女性たちの数も少なくない。
最前線だけに、この第一集落から行く事になるのは触手の森の深部だ。
森周辺の集落は第一から第五まで、五つの集落が存在する。
その数字が小さいほど触手のレベルも高くなる。周辺集落で一番危険な場所こそが第一集落なのだ。
しかし危険だからと言って触手の森の拡大を抑えるだけでは触手の根絶は難しい。
触手が発生した原因を探るためにも、まだ見ぬ新たな研究材料を得るためにも、森の深部への調査は重要な仕事。
腕利きの木こり達には王や貴族といった連中が主に依頼を出している。
それが危険なだけに、どれだけ腕の良い木こり達が相当数の触手の餌食になるとしても。
触手は女性を決して殺さない。その隙を突くことで、人類は逆に触手を刈り取って素材を得ることが出来る。
故に木こりは女性がする仕事であり、女性だからこその苦しみを受けることになる。
それこそが木こり達のリスクだ。
触手は女を犯す。触手の種類によって犯り方は様々だが、触手どもは共通して媚毒を使ってくる。
喉から流し込んで理性を奪う媚毒を使う触手もいるし、針のようなトゲを刺して血管から直接快楽を流し込んで廃人にする触手もいる。
そして、第一集落から向かう刈り場に生息する触手達は、女性を丸呑みにして体内で苗床として飼育する種が多い。
万が一、助かっても木こりとして復帰できないほどの心の傷を負うことになるだろう。
まぁ、もっとも。触手に捕まり媚毒を体内に注がれた女性のほとんどが素面(シラフ)に戻ることなく狂って死ぬか、狂って生きるかのどちらかであるが……。
◆ ◆ ◆
第一集落“スターホース”役場前。
研究の合間に新たに運び込まれた触手素材が無いか、この場に訪れたグラン博士は何度となく目にしながら慣れることのない惨状に直面し、目を覆いたくなった。
「あ、博士……」
役場の職員が博士を目にして声をかける。
「……また犠牲者か」
「先日、第二集落“ダーゼブラ”から移ってきたチームだったのですが、このような結果となってしまいました。
チームのリーダーが無事で、仲間の女性たちも連れ帰ってくることは出来たようですが、全員孕まされております」
役場には、酷い有様の女性たちが次々と担架で運び込まれていた。
触手に犯され孕まされた女性は、あっという間に腹の中で成長されてしまい、ほとんどが堕胎する間もなく出産という形で触手を生み出すことになる。
現に、運び込まれた女性たちの腹はすでに臨月のように膨らみ、傍目から見ても危険なほどに蠢いている。
その出産こそが触手達の真の脅威なのだ。
「うあぁっぁぁぁぁーッ! お願い誰か助けてぇぇぇぇー!」
運び込まれた女性の一人が腹を押さえてのたうち回る。
苦痛と快楽が混ざった複雑な悲鳴をあげて喚き散らすが、自殺を防ぐためにも周りに居た役場の医師によって、すぐさま押さえつけられる。
ミチミチっと、肉を押し広げる音とともに産道を通って触手は顔を出し、待機していた医師がすぐさま引き抜いて頭を潰す。
触手の幼生はまだ触手としての能力も低く、人間を殺すことも犯すこともできないので人里で生まれれば即座に殺されるのだ。
「あ……ぐぅ……」
しかし母体となった女性もただでは済まない。
触手は生まれる瞬間、苗床となった女性たちの子宮内に自身が分泌する媚毒を大量に残して体外へと出てくる。
そもそも触手は、受精卵を自分で作り出しているため、母体となる女性の卵子を必要とせず、そのため子宮内に胎盤を作る必要も排卵を待つ必要もない。
それはつまり、胎盤や羊水などが無い子宮に直接媚毒を撒き散らすことになる。
触手を出産した女性は、小さなうめき声を漏らすとそのまま意識を失った。
毒によってさらに犯された子宮は、すぐさま医者によって洗浄されるが何の反応も返さない人形のような状態だ。
成体の触手は純粋に筋力や瞬発力の強さからか、快楽増幅効果の媚毒しか使わないが、幼生の触手は自分が育った母体の敵意に反応して“恐怖”という概念的な毒を分泌する。
その“恐怖”を植えつけられた女性たちは二度と触手に立ち向かうことは出来なくなる。
ほぼ例外なく、触手を孕むことが木こり生命の終わりを意味するのだ。
だからこそグラン博士は未来ある若い木こりの女性たちの行く末を思うと哀れみいを禁じえない。
「もう少し、ゆっくりと強くなっていればな……」
「これも仕方のないことでしょう。
触手は人間側の理由を慮ることはしませんから」
役場の奥へと運ばれていく触手被害者の女性たちを見送るグラン博士だが、やはり彼には何も出来ることはない。
木こりとしては引退だろう。
せめて日常生活に支障が無い程度には回復できれば、と祈る程度だ。
そんな時、役場の入口から入ってきたのは巨大な触手の死体を背負子に入れて担いだ小柄な少女の姿だった。
「ふーん、やっぱり彼女たちは触手被害に合ったのですね」
「キャロラインちゃん……」
キャロラインはこの場の慌ただしい雰囲気を気にするでもなく、担いでいた触手の死体をカウンターに下ろす。
グラン博士が役場に依頼を出していた特殊個体の触手である。
「そうか、君が依頼を受けてくれたんだね。
ところで先程運び込まれたチームについてだけど、やっぱりというのは……」
「森への入口で出会いまして、不相応な触手刈り依頼を受けたようなので注意をしたのですが、逆にこちらを馬鹿にしてきた方々です。
第二集落で活躍したそうですが、その程度の実力でいきなり第一集落の森の深部に挑むこと自体が命知らずですよ」
感情などまるでないかのように淡々とした口調で言うキャロライン。
だがそんな彼女が被害にあった女性たちに何も思っていないわけではないことを博士は知っている。
唇も眉も1ミリも動かさず冷酷なまでのポーカーフェイスでも、その小さな手はきつく握り締められ血が滴っていた。
触手被害の痛みを誰よりも知っているからこそ、助けられなかったことを悔やんでいるのだろう。
木こりという仕事は自己責任ではあるが、キャロラインは外見と精神年齢はまだまだ子どもなのだから。
「それよりも博士。博士がここに居るのならちょうど良いですから、このまま依頼書に完了サインをしちゃってください。
私は今日はもう帰って寝ます」
「あ、あぁそうだね。
それじゃ今日もお疲れ様、キャロラインちゃん」
「自分の仕事をしたまでのことです。
今回の触手は特異個体のようなので研究もきっと捗るですよ」
カウンターで受付の人から出されたミルクを一気飲みし、書類へのサインを確認したキャロラインはそのまま役場を出て行く。
「あぁ、それとキャロラインちゃん」
「なんですか、グラン博士?」
去りゆく背中にグラン博士は声をかけた。
「もうじき、新しい木こりがやってくることになっているんだ。
君と同じで、一度触手に捕まって身体改造を受けながらも森へ向かう覚悟を手に入れた子だ。
仲良くしてあげてほしい」
「……私と同じ、ですか。
あの快楽と恐怖を知って森に挑めるだなんて、珍しいこともあるものですね。
分かりました。会うだけ会ってみましょう」
それでもキャロラインは、自分と一緒にいられる仲間なんて出来るはずがないと言い残して去っていく。
グラン博士はそんな言葉しか言えなかった小さな背中を見送り、それでも、と思う。
「願わくば、今度来る新しい子がキャロラインちゃんの心を開いてくれると嬉しいんだけどね」
触手を刈り、森の拡大を防ぎ、触手の研究のための素材を集める職業“木こり”。
そんな危険な仕事を常にたった一人で行う孤独なキャロラインに、グラン博士は希望を与えてあげたいのだ。
そして日が経ち、キャロラインの孤独な日常は終わりを告げるだろう。
これからやって来る新たな木こりこそが、キャロラインの生涯のパートナーとなる少女なのだから。
触手の卵はきちんと子宮内に埋め込まれるため、子宮外妊娠なんでことはありません。
触手の幼生も形状的に逆子とかも関係なく、帝王切開なんて不要で自力でうねうねと出てきてくれます。
触手による行為と出産「では」、陵辱される女性たちは絶対に死なない割と明るい設定。
その後は狂って自殺するか、狂って植物人間めいて生きるか……。運良く日常生活が送れる程度に回復しても木こりは続けられませんね。
キャロラインは数少ない触手陵辱から素面に戻れた特殊な例です。