飲み屋で馴れ馴れしく声を書けてきた男は女が一人暮らしだと知ると、アパートまで着いてこようとした。

女がタクシーに乗ると当然のように乗り込んでくる。
「お客さん、気をつけてください」
最近、起きている事件のことが話題になり男はスマホで調べようとするがスマホは使えなかった。

運転手と女の会話が進むうちに男は違和感を感じていく。





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タクシーに乗らなければ、犯罪者にならないこと(男は世間に公開される)

 コンパで偶然、隣になった男の言葉は時間がたつとだんだんと馴れ馴れしくなってきた。

 飲んでいる酒、食べ物の好みが自分と同じだね、趣味はと聞いてくるので適当に答えると僕たち気が合うんじゃないと言われてしまった。

 そろそろ帰ろうかと女が席を立ったとき、もう帰るの、送るよと男もついてきた。

 一見、親切そうに見えるが、女にしてみれば選択は良い、悪いの二つしかない、そしてこの場合、答えは。

 

 「ねえっ、私、一人暮らしなんだけど」

 男はそうなんだ答えたが、タクシー乗り場まで着いてくるところを見ると飲み屋に戻る気もないらしい。

 「君の部屋、興味があるな」

 笑顔で答える男に女は内心、だから、駄目なんだと思った。

 それは自分が、ではない。

 

 タクシーに乗ろうとすると、当然のように男は自分の隣にぴったりと身を寄せてきた。

 

 走り出してから、お客さんと運転手が声をかけてきた。

 気をつけてください、その言葉に女は何がと尋ねた。

 「先日もアベックを乗せたんです」

 「もしかして、あの事件」

 「おや、ご存じですか」

 女は頷いた、すると会話が気になったのか、男が尋ねた。

 「あら、知らないの、最近、多いのよ」

 女の言葉が途切れた、すると運転手が大丈夫ですよと言葉を続けた。 「お客さんは」

 そう言ってミラー越しに運転手はチラリと見た。

 何かあっただろうかと男は思い出そうとしたが、TVは殆ど見ていない、胸ポケットのスマホを取り出した。

 ところが、画面は真っ黒だ、何故だ、男は驚いた。

 飲み屋に入る直前まで使えていた筈だ、何の不具合、トラブルもなくだ、すると。

 「お客さん、スマホは使えませんよ」

 運転手の言葉に男は驚いた。

 「もしかして、ご存じないんですか」

 知っていて当たり前、当然というような言い方だ。

 「なんのことだ」

 「最近、多いんですよ、こういう事件、アベックのふりをしてタクシー強盗とか、ですから、乗車するとスマホは使えないんです」

 男は驚いた。

 「あと、酔ったふりをして女の家に押し入って強姦だけではなく殺人、盗みを働くという不届き者もいますからね、だからうちの会社は提携しているんです」

 「警察じゃないわよね」

 女が尋ねると、ええと運転手が答えた。

 「最近は警察に知りあいがいるなんて、罪を逃れようとする人間もいますからね、だから、丸投げというか、後処理も任せるようになったんじゃないですか、でも、そのほうが安心ですよ、でなければタクシー運転手なんて仕事は危ないですいからね」

 女と運転手の会話が何を言っているのか、はっきりとわからない、いや、理解できないといったほうがいいかもしれない。

 ただ、警察という言葉で思い出してしまった、以前の出来事を。

 「そういえばお客さん、以前も、乗られましたよね、女性連れで」

 運転手の言葉、いや、ミラー越しの視線は男を捕らえていた。

 

 何故か気分が悪くなった、もしかして酔ったのだろうか、男が運転手に声をかけようとしたとき車が止まった。

 

 女が料金派と尋ねると、後で伺いますと運転手が答えた、支払いはと男が尋ねようとすると女が車から降りたので慌てて男も降りようとしたが、いきなり腕を捕まれた。

 

 「全く、とんでもないことをしてくれたな」

 父親の言葉を男は黙って聞いていた、昔の半年も前のことだ、自分は言われるまで思い出すこともなく、忘れていた。

 それが、こんなことになるなんて、コンパ帰りに仲良くなった女性との、ちょっとした喧嘩、そう痴話喧嘩みたいなものだ。

 「相手側は訴える事はしないと言っているが、大学には行くんだ」

 自分は強姦されたと女は言っているそうだ、だが、警察に訴える気はないと言っている。

 良かったと男は安堵した、だが、父親は苦渋の顔で男を見た。

 「おまえは監視下に置かれた、警察とは関係のないところだ」

 意味がわからなかった、詳しい事を気候とすると父親は首を振り出て行けと首を振った、家から出て行けと。

 

 男の住居はマンションになった。

 スマホ、ネットも使える、以前と変わりない生活に思えた。

 だが、大学に行くと友人達は自分に見向きもしない、挨拶をしてもだ、まるで異質なものを見るような目つきでちらりと見るだけだ。

 何故だと思ったとき、大学の講師が声をかけてきた。

 「がんばりたまえ」と。

 

 どういう意味だ、まるで自分が犯罪者のようではないかと思ってしまった。

 

 警察に逮捕され、監獄で過ごすより、一般生活をすることによって自分の罪を認識させる更生システムは、まだ試験段階。

 殺人などの犯罪の大きさによっては当てはまらない場合もあるだろう、だが、この男は女性に薬を使った、薬局で売っている市販薬を複数、混ぜ合わせたものだ。

 一歩、間違えれば女性は死ぬ危険、いや、可能性もあった。

 本人は気づいていない、事の重大さに。

 

 大学を辞めたい、自分は孤独だと思ったが、それは許されない、休みたいと思い、ずる休みをしようとするとすると、すぐに医者が派遣される。

 気分がよくないというと、カウセリングを受けることになる。

 どうしようもなかった。 何故なら大学を卒業したら就職先も決まっているのだ。

 病気になることも休むこともできず、生きていくことに男は疑問を抱く事も許されなかった。

 




 ザマァ系です。
 読み切りなのであっさり読んでください。

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