時期は1stシーズンのどこか。
西暦2307年、地球。
ユニオン・人類革新連盟・AEUの三大国家群が凌ぎを削る新世代の冷戦。
その最中、突如として表れた私設武装組織「ソレスタルビーイング」。
彼らは「武力による戦争根絶」を標榜し、各国の紛争に次々と介入。その存在感を高めていった。
とある国のとある地方都市。
日が暮れ、空が星々を映し出した頃。
二本に結んだピンク色の髪を靡かせながら荷物を携え、一人のうら若き女性が寂れた町を歩いていた。
彼女の名はフェルト・グレイス。
ソレスタルビーイングの構成員二人の子であり、産まれながらの構成員でもある。
そして彼女は輸送艦「プトレマイオス」のオペレーターをも務めている。
「(もう…クリス、どこに行っちゃったの…)」
彼女は同僚のクリスこと【クリスティナ・シエラ】の買い物に付き合っていた。
しかし日が暮れ、セーフハウスに戻る最中にいつの間にかはぐれてしまったのであった。
「クリス〜?」
声を掛けるが何処からも返事が無い。
「(本当にどこに…)」
その瞬間、フェルトは【最悪】を想定する。
「(万が一、誰かに拉致されてたとしたら……クリスだって訓練は受けてるとはいえ、不意討ちを受けてしまったらどうしようも無い……)」
そんな最中、物陰からぬるりと
「(ッ!?何!?)」
思わず視線を向けるフェルト。
その先には、中肉中背かつ陰茎を模したかの様な奇妙奇天烈な頭部を持ち、腹に大穴の空いた奇怪な巨人が悪臭を放ちつつズンと立っていた。
すぐさまフェルトは音も無く拳銃を引き抜き、年齢に似つかわしくない正確な構えで狙いを定める。彼女はソレスタルビーイングで産まれ育っただけあり、オペレーターとはいえ下手な兵士以上の訓練は受けているのだ。
すぐさま巨人は前屈みになりフェルトに勢い良く突進を仕掛ける。
瞬間、引鉄が引かれた。
パシュパシュと減音器に掻き消された発砲音が僅かに響き、薬莢が金属音を立てて地に落ちる。
全弾命中。
しかし巨人はそれに構わず、勢いを止めぬまま更に距離を縮め続ける。
フェルトは咄嗟に左に転がり込み、巨体を回避しようと試みた。
が、それこそが罠だった。
転がりこもうと重心を傾けた瞬間、彼女の身体を大きな右手が捉えた。
「なっ……!」
フェルトの華奢な身体を巨人は容易く掴み上げ、月明かりの下、高々と掲げた。
「くっ……離せっ……!」
その最中でもフェルトはもがきながら銃を巨人目掛けて撃ち続ける。
しかし何発当たっても怯む様子すらない。
そうこうしているうちにあっという間に弾切れとなってしまい、破れかぶれで拳銃を投げつけるももはや到底威力は無く、フェルトは手の打ちようが無くなってしまった。
「(どうすれば抜け出せるの……手をこじ開けようにも力が強過ぎる……気を伺うしか……)」
抵抗しようにも手段が無くなった今、無闇に動いては徒に消耗するだけ。
フェルトは相手の様子を伺おうとしたその時、巨人は腹の大穴にフェルトを顔面からグイと勢いよく挿入した!
「ごぷぅっ!がっ、げふっ!」
ビヂャアッ、と粘り気のある音が響き、巨人の体内にフェルトの首から上がすっぽりと収まった。
当然フェルトは引き抜こうとするも、うんともすんとも言わぬ程にガッチリと頭部は固定されていた。もし無理矢理引き抜こうとしたなら首がちぎれかねないであろう。そして問題は他にもあった。
「うっ……!(な、何この臭い……臭すぎる……!鼻がおかしくなりそう……!)」
腐敗したアンモニアの様な異臭がフェルトの鼻腔に襲いかかり、脳内に嫌悪感を染み込ませていく。
堪らず鼻を手で摘もうとするも、生憎両腕は巨人の身体の外、頭が収まっている穴に腕を入れる事が出来ればと試みるも、どうやっても中には入らなかった。
「(どうしようも無いって事……?やだ……助けてクリス……)」
自らの身に降りかかる絶望感。もはや彼女は力なく項垂れるしか無いのか?そんな思考が頭をよぎる中、変化は訪れた。
にゅるり、にゅるりとフェルトの顔の前に謎のホースの様な器官がピクリピクリ痙攣しながせり出して来たのだ。
「えっ……?」
思わず一瞬思考が固まるフェルト。
しかし瞬時に思考は変わる。
無意識の内に確信した。
もはや残されたチャンスはこれしかない。
「(……やる!)」
意を決し、フェルトは全身全霊の力を顎に篭め、器官に勢い良く噛み付いた!
ゴリュリ、と激しく変形する感触が顎を通して伝わる。
手応えはアリ、そう思いかけた次の瞬間。
濁流が如き勢いで彼女の口腔に突如巨人の放った体液が流れ込んだのだ。
「ごぇっ!げっ!ごぽがぷっごぼぐっ!!」
ただで限られた空間の口腔内は噛み付いていた事で更に空間が狭くなり、フェルトが望むか望まぬかに限らず彼女の胃に多量の体液が注ぎ込まれた。
もはや吐き出す余地も無く、口腔内に残っていた分も飲み込んでしまった。
体液はどんどんフェルトの身体に浸透していき、彼女の身体を変質させる。
「うぷ……(気持ち悪い……手足の感覚も無くなってきた……なんなのこれ……毒……?)」
フェルトは気付いていない。
彼女の身体がどんどん変質している事に。
臀部は赤みを帯び始め、乳房は膨らみを増し、手脚はみるみる内に縮んでいく。
察しの良い方はお分かりだろう。彼女の身体はどんどん巨人の【陰茎】へと変質しているのだ。
もはや既にその変貌っぷりは取り返しもつかない程であるが変化はそれだけではなかった。
「(なんだろうこの毒……毒のはずなのに……美味しく感じ……♡飲まなきゃ……♡)」
彼女の思考も既にねじ曲がり始めていた。
体液に対する抵抗感を薄れさせ、更に体液を取り込ませるのだ。
それを知らない、否、上書きされたフェルトは体組成その物が陰茎へと変じている。
つまり血流、身体の流れ、四肢の動作(もはや形骸化しているが)、何もかもが彼女の脳髄に快楽を与えるのだ。
「(んっ♡あっ♡気持ちいい…♡何か可笑しい♡変なはずなのに♡)」
だがそれをもはや疑問として捉える事は出来ない。
彼女にとってそれが正常な状態と認識する程に知能は汚染されていた。
そして、その時は早くも訪れた。
みちちちち……ぶりゅっ!どびゅるっ!びちゃっ!たぱぱぱぱっ!
フェルトのアナルから勢いよく糞便が吐き出され、続け様に大量の白い液体が床を白く濁らせる勢いで放出された。
同時にフェルトの身体を今まで経験した事の無い快感が全身に駆け巡った。
まるで自分の意思とは関係無しに勝手に絶頂を迎えてしまった様としか例えようがない、そんな気分だった。
数秒後、彼女の意識はパタリと途絶えた。
――フェルトが意識を取り戻した時。目の前の光景は何も変わっていなかった。
相変わらず巨人の体内に挿入されたまま、しかし彼女は酩酊しながらも違和感を覚えていた。
「(おしりが熱い……それに胸も張ってる……手と足の感覚も無いし……私の身体どうなってるの……?)」
フェルトは知らない。彼女の手足はとうに退化しきり、手羽の様にも見えるささやかな痕跡器官としか言い様がない姿まで短くなっている事を。
また先程の排泄、いや【射精】によって彼女は巨人の一部分としての再構成が進んでいる事も。
「(私……このまま死んじゃうのかな……何も出来ずに……)」
もはや諦めの思考になりつつあったその時、突如フェルトの臀部を粘り気のある感覚が襲うと同時に、彼女の脳内を快感で上塗りした。
「あひぃ♡(何っ♡やぁっ♡止まらなっ♡)」
突然の事であった。フェルトが気絶していた間、巨人は自らのつがいたるもう一体の巨人を見つけた上に今まさに交尾が始まった瞬間だったのだ。
マラリオン。それがこの巨人の名である。
彼らは交尾の際、オスが自らの腹部の大穴に人間(ホモ・サピエンス)の女性を宛てがい陰茎に変じさせ、メスと交尾するという奇妙な特徴がある。
そしてそれは当然フェルトも例外ではなく……
「(嫌っ……♡これ絶対ダメっ……♡どうにかしないと完全におかしくなるっ♡止めっ♡)」
為す術なく抽挿を続けられ、もはや彼女の臀部は亀頭とさして変わらない程にまで赤黒くなり、頭部は遂にマラリオンの体内と癒着し始め、
既にソレスタルビーイングとしてのフェルトの心は消えかかっていた。
そして、その時は来た。
前立腺としての機能と化した巨大な乳房から大量の前立腺液が、マラリオンから大量の精子が流れ込み、体内で混ざり合い、理性を全て押し流す勢いで……
ぶびゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅ!!!!!
「(あっ……♡ああああっ……♡)」
マラリオンの身体の一部、陰茎としての射精。
彼女の瞳からは一筋の涙が流れ落ち、癒着が進んでいた彼女の身体は完全にマラリオンの一部となった。
漸くメスの膣内から
れた前立腺液が滲み出し、意識は再び途切れかける。
だが、それでもまだ終わらない。
フェルトの
「(え……♡嘘……♡そんなっ……♡これ以上……♡)」
陰茎と化したフェルトを携えたオスのマラリオンの前には新たな個体が立っていた。
それも一匹ではない。
合計三匹ものメスのマラリオンが彼女を取り囲んでいた。
もはや殆ど癒着し原型も残り少ない
これから自分が何をされるのかは容易に想像がついた。
もはやフェルトは完全にマラリオンとしての思考に染まりきっている。
ならば、後は行為に耽るのみ。
その晩、街には叫び声とも喘ぎ声ともつかぬ声が響き渡り、ソレスタルビーイングの構成員が一人、行方不明となった。
とある国のとある地方都市。
そこではこのような噂が流れている。
曰く、巨大な影を見た。
曰く、空に白く濁りたつ何かが飛ばされたのを見た。
曰く、遠くの方から奇妙な呻き声を聞いた。
真偽は不確か、玉石混交な様々な噂が流れる中、ただ一つだけ共通している事がある。
それは、この街の何処かに人外の怪物が潜んでおり、何処かで繁殖を続けているという事。
「グゥゥ……くり……すぅ……♡」
怪物は今も尚、あの時はぐれた彼女を探している――