妖精との混血ゆえ、人里離れて暮らしていた美少年タカノ。強大な魔物に捕らえられ、淫乱な躰に改造されていくうち、彼は取り返しのつかない倒錯に足を踏み入れてしまう。
男性でありながら少女のような、淫らな身体に変えられていく美少年の末路は――


※この小説はノクターンノベルズに「鉄錆虫」名義で投稿されています。

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ハーフエルフ美少年メス化調教

 

 

 

 

 

長く続く回廊の上を、一人の若者が歩いている。

美しい少女だった。

肩口まで伸された髪は、薄墨を流し込んだような黒。涼やかな目元から桃色の唇まで、非の付け所のない端整な顔立ちだ。

 

その白い肌は木目が細やかで、つるつるとしていた。

腰から下を覆う布きれこそ分厚いものの、上半身には何も着ていない。

おかげで彼女の乳房は丸見えだが、それを気にするような素振りは彼女になかった。そろりそろりと歩くたび、ふっくらと盛り上がった胸の脂肪がふるふると揺れている。

 

大きさこそささやかなものの、膨らんだ乳房は少女の瑞々しさを漂わせている。

だが彼女の肩や足、ややくびれに乏しい腰は、いささか年頃の娘にしては骨張っていた――見るものが見れば気付く程度に。

目的の部屋についた。慎重に、不躾と取られぬよう、そっと扉を開く。

真っ先に鼻をつくのは、甘ったるい香のにおいだ。

 

「ヒラニヤ、さま」

「あら、よく来たわねえ……タカノ」

 

部屋の中央、ふかふかとした布団にとぐろを巻いて、女は猫なで声を上げた。おのれの躾けた犬を愛でるように、ねっとりと見つめている。

部屋の主は、上半身こそ若い女の姿だが、その下半身は人型からかけ離れたものだった。

肩幅よりも大きな腰から下は蛇のような蛇体、その側面から生えた八対一六本の節足は、その一本一本が人間の足ほどもある太さ。

巨大なムカデの下半身を持った美女である。紅を差したように赤い唇が、下僕を屈服させる愉悦に歪んでいた。

 

「あら、あなた。興奮しているの? 下の衣も脱ぎなさい」

 

口答えは許されていなかった。そんなことをすればどうなるか、身を以て知っている。

腰で結ばれた布きれをほどく。はらり、と躰を隠す最後の衣が床に落ちた。

躰の他の部位と同じく、股間にも体毛は生えていなかった。まつげや頭髪を除き、肉体のほとんどが永久脱毛されたからだ。

 

露出したタカノの股間には、軽く勃起した男性器がそそり立っていた。

華奢な体つきに似合わない、成人男性の平均ほどはある逸物だけが、辛うじて彼が男性だと知らせてくれる。

少女ではなく少年。タカノはのど仏も見えない、中性的に過ぎる少年だった。

否、正確には――ヒラニヤによってそうのように改造されている最中なのである。

 

「期待してるのね……ずいぶん可愛らしくなったじゃない」

 

ぎゅっと下唇を噛み、タカノは俯いた。本当に興奮している。この香のにおいを嗅ぐと、必ず、調教の時間だと体が覚えてしまった。

ヒラニヤの嘲るような視線に晒され、ますます男根に血流が流れ込んでいく。

少しずつ硬くなっていく陰茎を感じ、羞恥心のあまり頬が熱くなった。どんどん手を入れられていく肉体の中、そこだけが手つかずの生殖器。

そのだらしなさに涙が出そうだった。

 

「こっちに来なさい、お尻を確かめてあげる」

 

目を合わせないよう、うつむき加減に歩くたび、肛門の中の異物を嫌でも意識した。

出来る限り力を抜いて、ヒラニヤに尻を向ける。

脂肪の少ない貧相な臀部(でんぶ)だった。胸板を失い、文字通り乳房が膨らみつつある上半身とは大間違いだ。

ヒラニヤの手が、尻の穴に埋まった張り型に届いた。敏感にさせられた粘膜で、その振動を感じ取る。

 

「ん……」

 

ぬちっ、と粘液質な音。

肛門に埋まっていた張り型を引き抜かれ、タカノは艶めいた声を上げた。かくかくと両足が震える。排泄器官への刺激に合わせ、少年の肉竿はその硬度を増しぴくぴくと痙攣。

ほんのりと赤く色づいた頬、ゆるんだ口元、濡れた瞳。

少年らしさの欠片もない凄絶な色香を放ちながら、ずるずると異物を引き抜かれる。

 

「ん、ふ……あふぁ」

 

思わず吐いた息は、鼻に抜けるような甘い響きを孕んでいた。

タカノの気が緩んだ隙を見逃さず、ヒラニヤの優美な指が尻たぶに潜り込む。

その感触に、ぞくっと背筋が震える。人差し指と中指が、つうっと蟻の戸渡りをなぞり、陰嚢から肛門まで撫で上げていく。

 

「あら、あなたのお尻の穴、ふわふわで吸い付いてくるわよ。ふふっ、嬉しい?」

「ひゃうっ!」

 

柔らかくほぐれ、広がりきった肛門を撫でられ、情けない喘ぎ声をあげる。尻穴がきゅっとすぼまり、優しくヒラニヤの指に食いついた。

言われなくてもわかるほど、彼の尻の穴は変貌している。大便をひり出すための穴が、今では敏感で柔らかい肉に変えられてしまった。

この女の手で、はらわたの奥深くに埋め込まれた生き物のせいだ。

 

「あなた、もう何日、まともに排便していないのかしら」

「と、十日、です……ぅう」

 

ぐちゅり、と。

肛門を弄られるうちに、ぐちゅぐちゅと水音が響き始めていた。

タカノの躰の奥深く、ちょうど大腸と小腸の境界付近に、液状の魔法生物を詰め込まれているのだ。

まるで女陰のごとく、とろとろと潤滑液を垂れ流す肛門を見て、ヒラニヤが満足げに溜息を吐いた。

その熱を帯びた息を浴び、タカノの白い尻がぶるぶると震える。

 

「よしよし、ちゃんと寄生体は機能しているようね。あなたの腸管はね、もううんちをしなくていいのよ、お腹の奥のスライムが絞りかすを食べてくれてるから……嬉しい?」

 

主人の方へ振り向いたものの、タカノは無言。

精一杯の敵意を込めて、涙に濡れた瞳でヒラニヤを睨み付けている。しかしその抵抗も長くは続かなくなった。

 

「あうぅっ、ふぅんっっ」

 

ちゅぽん、と潤滑液に濡れた右手の指が引き抜かれ、そそり立つタカノの男根に触れる。

その繊細な手つきの心地よさに、タカノの亀頭はぴゅっと先走りをにじませる。

ぎゅっと竿を扱くように掌を滑らせ、陰嚢に押し当てながら、ぞっとするほど冷たい声でヒラニヤは言った。

 

「感謝しなさい。これを去勢しないのは、あのスライムが躰を作り替えてくれるからなのよ?」

 

女の子みたいにねえ、と言うなり、陰茎の代わりにヒラニヤの手が少年の胸へ伸びた。

躰の内側から作り替えられ、筋肉の代わりに脂肪を実らせた乳房。敏感になった乳首をつままれ、感じるのは背筋を駆け抜けてはいけない悦楽。

 

「ん、んんぅ、ふぅう、、んんひぃん!」

 

たまらず嬌声を上げた。

もう片方の手で乳房を揉まれ、情けない痴態を見せるタカノへ、女がそっとささやいた。

 

「もっと可愛い躰にしましょう?」

 

ヒラニヤの下半身、ムカデのような蛇体が絡みつき、床へ押し倒される。

これから始まる施術に思い至り、身をよじった。

悲鳴のような哀願がもれた。

 

「い、ひっ……もう、やめっ、やめてくださいぃ……!」

「あなた、まだ元に戻れると思っているの? お馬鹿さん……だぁめ、口答えなんていけない子ね。今日は肩と足の骨を弄りましょうねえ、泣いても叫んでもいいのよ」

 

節足のいくつかが、容赦なくタカノの肩へその切っ先を差し込んだ。痛みに呻いた少年に取り合わず、ヒラニヤはくすくすと笑い続けている。

もっと骨格を女らしくするのだ、と言って。

 

目地通り肉体を切り刻まれる激痛の中、少年は床を見た。血とは違う匂いのせいだ。

いつの間にか射精していた。床に出来た白い染みに絶望した。

無駄だ、何もかも無駄なのだ――舌を噛み切ろうが、頸動脈を掻き切ろうが、心臓を一突きしようが、すぐに蘇生させられる。

遠のく意識の中、懐かしい夢を見た。

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

まだ朝日も拝めぬ、夜闇の気配が色濃い早朝。

空を見上げれば数多の星々、黄金色の月がくっきりと目に入る。沈みかけの月と入れ替わりに、太陽が昇るまで一刻とあるまい――少年はやや浅く溜息をついた。

妖精の血が混じっているためか、夜目が利く彼には、この程度の薄明かりでも問題ない。

美しい若者だった。日差しに色づく小麦色の肌、あどけない顔立ちは少女めいており、線の細い繊細な造形だった。

 

短く乱雑に切りそろえられた頭髪は、夜を閉じ込めたような漆黒。

すっと涼やかな目元には、青く燃える理性の色。なめらかな頬から赤い唇まで、何もかもよくできた絵巻物のように端正である。

まるで幽きものたちの耽美さだ。

 

とはいえ、首から下の体つきは細いばかりではなかった。野山を駆け抜け、よく鍛えられたしなやかな足腰に、きゅっと絞られた二の腕の筋肉。

分厚いが軽く、決して汚れない生地で出来た衣服。その無骨な衣越しにもわかる、若々しい男の躰。

確かに存在する胸板は、男性的というほかない力強さに満ちている。

よく鍛えられた肢体には、逞しさと健やかな生の息づかいが感じられる。

 

奇跡のような造形美が同居する少年は、名をタカノという。

妖精の母親と、短命に終わった人間の父親。二人の愛し子として生まれ、隠者に育てられた若人(わこうど)である。

出立の準備を進めたとき、背後の庵(いおり)から、ぬっと、大きな影が現れた。

山の隠者である。

 

「――行くのか、タカノ」

「はい。お師匠、今までお世話になりました」

 

養い親である隠者は、この世のものではない。

灰色の裾の長い外套を目深に被り、わずかな隙間から、何もかもを見透かすような瞳で覗き返してくる。

食事時、盗み見た彼の口元は鈍い銀色――現世のものではあり得ない、熱を帯びて脈動する竜の鱗だ。

 

「……この住まいを離れるならば、心するがいい。お前の未来に安穏はない、お前の望む栄達はない。それでも行くのか?」

「お師匠。俺は、あなたから知恵を学びました。学問を授かりました。剣術を教えられました。ですが……ここにいては、すべて、活かす機会がないのです」

 

恐ろしい魔術を使うという、師の言葉に嘘偽りはない。ならば苦難が待ち受けているのは、間違いないのだろう。

しかし好奇心には勝てなかった。

おのれの耳目(じもく)で下界を知らぬがゆえに、少年はその恐れにすら心沸き立っていた。

その無謀を感じ取ったのか、師は何も言わずに一歩、二歩、とタカノへ歩み寄る。

少年の双眸を見つめ、口を開いた。

 

「私はお前が長じるまで育ててきた。そういう契約だ。これでお前の母御の願いは果たされた……止めはすまい」

 

煌めく瞳は、どんな宝石よりも複雑に光を孕む紅玉の色。

 

「忘れるな、妖精の子よ――お前は運命に飲み込まれる。嵐の海の只中で、泳ぎ切れる魂などありはしない」

 

タカノは無言で隠者に背を向けた。

自分自身の生を切り開くため、庇護下から巣立とうという若者である。

陰々滅々(いんいんめつめつ)とした師の言葉を、聞こうともしなかった。

 

 

 

◆

 

 

 

山を下りてからこっち、タカノは拍子抜けする日々だった。何故かと言えば、あまりにも物事が平坦すぎたからだ。

一言で言えば、事件がない。

どうやら隠者が山へ引っ込む前から、世相は大して変わっていないらしく、世はまさに太平の真っ直中。

大きな戦乱や病疫はとんと聞かぬし、例年、不作で飢餓になったという話もない。

まず治安がいい。となると剣術の類の出番がなかった。山で想像していたような、切った張ったなど到底あり得なかった。

 

何より単純に金回りがいいのである――タカノの学んだ知識程度でも、一人分なら十分な路銀が稼げた。

面食らったのは、思いのほかタカノが女人に色目を使われたことである。どうやら世間的には、自分が美男子であると知るのに時間は要らなかった。

 

女でも抱けばこの退屈も紛れるのだろうか、とも考えたが、すぐにそれはないと気付く

 

第一、もし彼の出自を知れば、あの女どももいい顔をしたかどうか。妖精とは、当世においてはお伽噺の類である。

狂人と思われるのがオチだろう。

そもそも彼が求めているのは、非凡な出自――妖精と人間の混血――を飲み込むための通過儀礼なのである。

 

自分の才覚の証明をもって、普通ではないことに折り合いをつけたいと願ったから、隠者の警告を振り払って下界に来た。

だというのに。

この分では、師のいう過酷な運命とやらも眉唾なのではないか。そう思い始めた時分だった。

その怪異の噂を聞きつけたのは。

 

――酔客曰く。

 

街から見て南の山に古城があるのだという。今では住まうものもなく、神代の戦で使われたなどと謳われるような遺跡だ。

最近、その城の近辺で人が消えるのだ、と。

命からがら逃げ延びたものの話では、とてつもなく大きな獣が徘徊しているのだ、とも聞いた。

興味をそそられた理由は、そこに非日常を感じ取ったからだ。駄目元でタカノが旅立ったのは必然であった。

 

 

 

 

明け方に歩き始めたというのに、目的地までには三日三晩、山を歩きつめる必要があった。

その甲斐あってか、ようやく見えてきた古城は、むしろ尖塔と呼ぶべき形をしていた。

特筆すべきはその大きさである。どんな貧相な砦跡かと思えば、天を突くような白亜の塔が、沈む太陽を背にそそり立っている。

 

ざわざわと揺れる木々に挟まれ、山の斜面をものともせず直立している――継ぎ目の見あたらない城壁といい、どれほど高度な建築技術の産物なのか検討もつかない。

その威容に見惚れていたタカノの背後で、人ならぬ影がうごめいた。

木立から飛び出した鋭いかぎ爪。

 

殺気に気づけたのは、師の薫陶の賜物だった。咄嗟に身をかがめながら、右手で腰の剣を抜き放つ。

しゃおん、と小気味のいい音がして、殺意の塊を切り払った。短剣ほどもある長さの爪が、ぼとりと土の上に落ちた。

その根本は到底、野生の獣のものには見えなかった。ぬめぬめとした触手が束になって絡まった、薄気味悪い異形の手首だ。

 

「何者だ」

 

白い頬をやや上気させ、タカノは木立を睨み付ける。

だが、返答があったのは彼の真横、すぐ耳元からだった。

絡みつくような女の声。

 

「――あなた、人間にしては臭くないのねぇ」

 

即座に、肘鉄を喰らわしてやった。相手の側にある左肘を叩き込むなり身を翻し、一飛びで距離を稼ぐ。

思った通り追撃が来た。くるっと向きを変えた途端、剣の死角を縫うように鋭い刺突。

鞭のようにしなる触手を次々と切り落とす。一つ、二つ、三つ、四つ、五つ……

ちっ、と舌打ち。

 

躰をひねって首を狙った刺突を避け、左手で空の鞘を握った。さながら二刀流の構えで、致命傷になりそうなものだけを弾き落としていく。

 

全身の筋肉が躍動し、くるりくるりと踊るように跳ね、接地の度に触手が切り落とされる。

タカノの修練を積んだ剣術と、優雅な容姿と合わさって、舞のように美しい光景だった。

だが、同時に襲い来る触手が一〇を超えたあたりで、さしものタカノの剣技にも限界が来た。

背後から伸びた一撃。

 

捌ききれなかった触手が、脇腹に突き刺さった。

不思議と痛みはなかったが、どんどん意識がぼやけて、手足に力が入らなくなっていく。

かたん、と剣を取り落とす。

なんだろう。

躰が熱い。

 

 

「気に入ったよ。お若いの、あなたは人間だけじゃなくて、妖精の匂いもするし――飼ってあげよう」

 

 

目蓋が重い。しゅるしゅる、と空気を引き裂く擦過音。

夕闇に溶け込むように、恐ろしい影を持っていた。無数の触手を節足のように生やした巨大ムカデが、ずるずると地面を這いずり回っている。

今までタカノが風に揺れる木立一帯が、化け物の庭だったのである。

どうっと前のめりに倒れる直前、蕩けるように甘いささやきが聞こえた。

 

「ちょうど、男娼が欲しかったしねえ」

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

目覚めると、自分にあてがわれた部屋の中だった。

躰の節々が痛み、軋むようだった。あれから――前回の調教からどれほど時間が経ったのか、タカノには想像もつかなかった。

姿こそ見えぬものの、この城の中にはヒラニヤの使用人、ないし使い魔の類がいるらしく、寝床の横には温かい食事が置かれている。

 

しかも、味も量も十分だった。これだけを見るなら、むしろ待遇はいい方だ。

タカノに割り当てられる仕事などはなく、ただひたすら、城の主の"躾"を受ければいいだけなのだから。

だが、とタカノは自分に言い聞かせる。決して心だけは屈してはならない。タカノは断じてあの怪物の男娼なんぞに成り下がるつもりはなかったし、いずれ逃げ出すつもりだった。

 

寝台から身を起こし、そっと地面に足をつけた。

ん、と眉をひそめる。どうやら衣服はすべて取り上げられてしまったようで、タカノは全裸である。

そのせいか、躰全体の感覚が敏感だ。

特に、尻に違和感があった。あの女に魔法生物を仕込まれて以来、タカノの躰は見る見るうちに変わってしまったが、張り型を入れられていたときのような異物感とも違う。

まるで尻の内側に、今までにないものがあるような――

 

 

――もっと可愛い躰にしましょう?

 

 

ヒラニヤの言葉を思い出し、ぞっとした。恐怖が勝り、寝台の傍にある姿見へ足が向かった。

いつもなら絶対に見はしない、大きな鏡の前。

姿見の前に立ったとき、一瞬、タカノはこう思った――誰だこの少女は、と。

 

大鏡に映っていたのは可憐な少女だった。

色が白すぎる肌、背中まで伸びた黒髪は艶ややかで、ほっそりした小さな肩に張り付いている。

どこか男性らしさを残していた肩は、華奢な印象をもたらす幅に縮んでおり、辛うじて、二の腕の筋肉が在りし日の面影をとどめているだけだ。

 

かつてささやかだった乳房は、大きくなった乳輪共々、決して無視できない存在感を放っていた。

最も変わってしまったのは腰から太股にかけての滑らかさである。がっちりと筋肉と骨の詰まっていた腰は、今ではすっかりくびれ、張りのある大きなお尻に向けて絶妙な曲線を描いている。

丸々と太った臀部同様、太股はむっちりと肉付きがよくなり、たっぷり乗った脂肪を若い肌と筋肉が支えていた。

むっと甘い香りがした。あの香と同じにおいだった。

 

「う、あ……え?」

 

心なしか高い声が、喉からこぼれ落ちた。

むくり、と異物が股間に現れる。鏡に映った容姿端麗な美少女の股ぐら、太股に挟まれるようにぶら下がっていた逸物が立ち上がった。

タカノの中の雄が、姿見に映った極上のメスを犯したいと欲情しているのだ。

その反応に羞恥心を刺激され、頬が熱くなった。

すると鏡には、白い肌をほんのり赤く染めた少女が映る。今にも射精せんばかりに屹立し、お腹にくっつきそうなほど硬くなった男性器。

自分自身に興奮して、彼の股間で男性器が勃起している。

 

「ん……はぁ、はぁ……」

 

心臓がとくんとくんと脈打ち、呼吸が荒くなっていく。

どうすればいいかわからない。思考がまとまらない。こんな、こんな、まるで――

 

 

「本当に、可愛くなったわねえ」

 

 

耳元で、あの女の声がした。背後からヒラニヤの節足が絡みつき、腰でがっちり固定される。鏡の中では、ほとんど密着するような姿勢で少女が――タカノが持ち上げられていた。

咄嗟に払いのけることも出来なかった。蕩けるような背徳感に頭がいっぱいで、何も考えられない。

ぐったりと持ち上げられたタカノを見て、ヒラニヤは紅を差したような唇をつり上げた。

 

「もう気配にも気付けなくなっちゃったの? それともあんまり可愛い躰に見とれちゃったのかしら、どのみち剣士失格よね」

「きゃふ、ふうぅううん」

 

女の指がタカノの躰を這い回る。

へその下からすっかり柔らかくなった乳房、太股から盛り上がった尻肉、二の腕から肩の上、肩胛骨からうなじまで、なめ回すような愛撫だった。

 

真っ白な初雪に足音をつけるように、丹念で執拗な指使いである。

その繊細な刺激を前に、タカノは愛くるしい声で鳴き続けた。抵抗の意思どころか、もっと触ってと哀願せんばかりの媚びに満ちた声になっていることに、彼は気づけていない。

 

「うぅう……ふぅうう」

 

体中をまさぐられること十分、少年は完全に発情していた。

瞳は潤み、半開きの口からは唾液が垂れ、抜けるように白い肌はすっかり色づき、桜色の乳首が両胸の頂点でぴんと立ち上がっている。

しかしヒラニヤが目をつけたのは、股間で所在なげに立ち尽くしている男根だった。

一度も手を触れて貰えなかったタカノの亀頭は、ぴくぴくと痙攣しながら先走りで濡れている。

くすっ、と失笑。

 

「かわいいわね、もうすぐ男の子失格になるのに」

 

ヒラニヤのほっそりした指が、そっと少年の肉棒を握った。

触られただけで限界だった。

 

「あっ……んっ」

 

ぼびゅっぼびゅ。

亀頭から勢いよく迸ったのは、青臭い精液の塊だ。長いこと射精していなかったため、ぷりぷりとした白い塊になっている。

 

入道を駆け上がってくる子種の感覚に、思わず満足そうな溜息。

鏡の中では、タカノが蕩けきった表情で脱力している。射精が終わり、あれほどはち切れそうだった男根が萎えても、甘ったるいにおいは消えなかった。

娼婦たちの傍を通るときの、あのにおい。雄を誘う雌の香り。

ヒラニヤが嬉しそうに口を開く。

 

「ほら、いやらしいにおいがするでしょう? あなた、自分の体臭に興奮してたのよ」

「そんな、わけ」

 

これは香のはずだ、と。口を開いた瞬間、自分の頭髪から、汗ばんだ腋から、むっとあの甘いにおいがすることに気付いた。

慣れ親しんだ自分の汗のにおいではなかった。

 

「諦めなさい、躰の隅々まで手を入れてあげたんだから。もう、元には戻れないわよ。剣を振るうことはできない、知恵なんてなくおちんちんに媚びなさい」

 

ずぼっと尻穴にヒラニヤの指が入り込む。同時に三本、易々と飲み込んでしまった肛門に恐れを感じるよりも早く、快楽の波が来た。

陰茎の心地よい虚脱感と、不浄の穴の効用が入り交じりタカノの脳が混乱する。

かくかくと足が震える中、ヒラニヤの指が何度も肛門をなぞり、蹂躙してきた。

 

「あなたは自分に価値があると思っているのよ。この生意気なおちんちんもそう、妖精なんて逞しい雄に抱かれるためにいるのにねえ?」

「ひぅん」

 

口をついて出たのは、反論ではなく嬌声。

尻穴に突っ込まれた指をかき回され、目の前が真白になった。

 

「ほっお、ふぁああ、んぅ」

 

ちゅぽ、とヒラニヤの指が抜かれた。ねっとりと潤滑液が糸を引き、タカノの丸い尻との間でアーチを結ぶ――濡れた指先が、ヒラニヤの下半身へ向かった。

蛇体の表面がめくれると、そこに収納されていた、大きな棒状の何かを股間から引き出した。

熱く硬い肉棒が、タカノの尻たぶに触れる。タカノの位置からは躰が影になって見えなかったが、今の接触でわかった。

 

「な、なんで……」

「私、あなたに男か女かなんて言ったことがないのだけれど? さあ、お目覚めなさい」

 

どす黒く硬い陰茎は、タカノのそれより一回り大きく、陵辱の期待にはち切れそうになっている。

ぺろっ、と口の端を舐め、ヒラニヤは笑った。

 

 

「――精を搾り取る男娼にねえ!」

 

 

ぐちっ、と。

尻穴に、肉棒が突き入れられた。たっぷり染み出した潤滑液に支えられ、何の抵抗もなく侵入してくる異物。

 

恐ろしい熱の塊だった。とてつもなく逞しい肉欲の化身だった。

ヒラニヤの男根が肛門の奥深く、ちょうど亀頭を迎え入れやすそうな肉襞に受け止められる。

寄生体によって増築され、盛り上がった性感帯だ。タカノの腸壁は、とっくの昔に排泄器官ではなくなっていた。

 

目の前が真っ白になる。こひゅっ、と息を吸い込んだきり呼吸が止まる。足の感覚がなくなった代わり、尾てい骨から腰椎まで、得も言われぬ電流が駆け上がってくる。

口は半開きになり、あふれたのは掠れた悲鳴ではなくて。

 

「んぎっ、い……んお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛♥♥♥」

 

獣のような絶叫だった。

性感帯として改造された腸壁は、嬉しげに男根を締め上げ――まるで膣のように作り替えられ――て、初めて挿入された男性器に媚びている。

わずかにヒラニヤの腰が動き、腸壁を擦られる度、タカノは無様な鳴き声を漏らしていた。

腸管の奥に寄生したスライムによって、彼の肛門からは蜜があふれ出し、じゅぷじゅぷと水音が響く。

彼の股間にそそり立つ男根は、指一本触れられぬままむくむくと大きくなり、亀頭を真っ赤に腫れ上がらせている。

 

「さっき出したばかりなのに、いけない子ね」

「いっっぎ、んぎぃ、い゛い゛い゛♥♥」

 

じゅぽじゅぽと肛門に肉竿が抽挿される度、尻の端からうなじまでを電流が走る。

ぴんと立った乳首は空気に触れるだけでぴりぴりと心地よい刺激を送ってくれるし、ヒラニヤの指がつまんでくれたときなどは筆舌しがたい。

きゅっと右乳首をつままれ、少年は可愛らしく鳴いた。

 

「きゃひっ、いぃいいっ」

 

その痴態に興奮したのか、ヒラニヤの腰がひねりを利かせ、すりこぎを回すように半円を描いた。

今までにない刺激に無様な声がもれる。

 

「ほ、おぉ、ほひっ!」

 

屈辱よりも先にうれしさが先にやってくる。

きもちいい。なにも、かんがえなくっていい。

それは最早、ただの交尾。肛門陵辱と言うには、あまりにも自然すぎる光景だった。

何度か尻奥をこづき回され、乳房を揉まれ、尻肉を撫で回され――喉が枯れそうなほど喘ぎ続けたタカノの耳に、ささやき声。

 

「受け取りなさい」

 

どろり、と。

熱い。重い。

熱く粘る精液を受け止めた瞬間、タカノの中で何かが壊れた。

見開かれた瞳に知性の光はなく、半開きになった口から赤い舌にも言葉はなく――

 

 

「ほほおぉお、お゛お゛お゛お゛ん、あ゛あ゛あ゛ぁあぁあ゛あ゛あ゛♥♥♥」

 

 

改造された括約筋が、きゅんきゅんと愛おしげに男根を貪る中、どうしようもなく射精した。

尿道から魂が抜けていく。誇りが汚らしい子種汁と一緒に逃げてしまう。

きもちいい。

 

姿見に映る少女のような少年が、自分の精液で汚れていく。

だらしなく法悦に溺れた顔が、たぷたぷと揺れる乳房が、素早く野を駆けることなど夢のまた夢の太股が、精液塗れになってしまう。

 

興奮した。タカノは今、自身の痴態に発情していた。鏡に映る雌顔に種付けしたいと感じていた。

真っ白な快楽の中、タカノは生まれ変わる。みっともない射精を終えたとき、彼は、お尻を犯されることを受け入れていた。

 

女の子みたいな顔も躰も、きっと、このためにあるのだと思った。

ようやく男根が引き抜かれたとき、タカノの肛門はすっかり変わり果てていた。

ぱっくりと割れた入り口からはとめどなく蜜があふれ、肉棒との別れを惜しむようにぱくぱくと開閉を繰り返している。

 

「子を孕むでもなく、こんなに搾り取るなんて。恥を知ったらどうなのかしら」

「はひ、んぅうう……」

 

ヒラニヤの侮蔑をぼんやりと聞き流す。背中に当たっている乳房が鬱陶しかった。

肛門をなぞる肉棒の堅さに興奮しながらも、今までの反抗心とは別種の感情に心がざわついた。

そして口を開こうとした瞬間。

 

 

「ぎっぎいいいい!」

 

 

甲高い絶叫。ヒラニヤの悲鳴だ。

腰に絡みついた節足がほどかれ、タカノの肢体が投げ出された。精液がたっぷり吐き出された床に、くたくたとへたり込む。

 

億劫な気持ちを押し殺し、ようやく背後を振り返ったとき――ヒラニヤは瀕死の重傷を負っていた。背後からの一太刀のあと、さらに斬りつけられたらしい。

あれほど巨大な蛇体も、今では長さが半分ほどになってしまっている。

 

「弱(・)い(・)も(・)の(・)い(・)じ(・)め(・)にご執心か、化け物」

 

背筋がゾクゾクと震える。タカノを弱いものと呼んだ声、低くよく通る戦士の言葉。

声のした方に、ぼんやりと目を向けると、そこには一人の剣士が立っていた。

年若い男だ。まだ青年と言っていいかもしれない。精悍な顔立ちに、鍛え上げられた筋肉、そして右手に握られた一振りの魔剣。

妖精の加護が重ね掛けされた、いにしえの剣だ。

 

「使い魔連中なら、全部潰した。貴様のような害虫は、目も耳も遠いらしいな」

 

ちがう、とタカノにはわかった。少年の美貌に狂わされ、常にないほど夢中になってしまったばかりにヒラニヤは致命傷を負ったのである。

ヒラニヤお得意のしなるような触手の連続も、この男の前では児戯に等しい。

いにしえの剣は刃の風で触手を切り刻み、男の目と耳は、決して死角からの一撃を見逃さない。

油断なく慢心なく、一分の隙もない立ち回りだ。

 

「ぎ、が……」

 

とどめの一撃。

ヒラニヤの上半身を両断した一振りは、そのまま刃の風で全身をずたずたに切り裂いた。

あれほど強大だった魔物は、あっさりと絶命していた。

タカノは、それを惚けたように眺めるだけだった。

 

それどころか、男の隔絶した強さに、得体のしれない高揚感を味わっていた。ヒラニヤよりも強い雄が目の前にいるからだ。

しばらく死骸を見聞した後、剣士の目がこちらに向く。

タカノの姿――全裸で肛門から体液を流している――を目にして、男は一瞬、眉をしかめた。

だが、彼は努めて優しい声音でこう言った。

 

「……そこの君、喋れるか?」

 

その声に、タカノの陰茎が震えた。ちらり、と男の目がタカノの股間に向く――見られてしまう、きっと蔑まれる。

その恐怖と背徳感に、いけないとわかっていても少年の男根は反応してしまった。

だが、予想を裏切ることに。

魔物に犯されていたのが、少女ではなく少年だと知っても、男は顔色一つ変えなかった。

 

「もう大丈夫だ」

 

ただ、本気でタカノの身を案じていることだけが伝わってきた。

その優しさに胸を打たれた。

 

「……あ、はぁぁああ♥♥♥」

 

胸が高鳴る。ヒラニヤに屈するのは嫌だと思っていたのに、今は違う。

こんなに強い人になら、屈服してもいい。

あいつの汚い精液は早く出さなきゃ、と力む。すると、腸管の奥のスライムがこぷこぷと洗浄液を出してくれた。

 

先ほどまで肉棒をくわえ込み、愛おしげに腰を振っていたというのに、今はもう目の前の男に媚びることしか頭にない。

まだ見ぬ奉仕すべき男根を思うと、いくらでも勃起できる気がした。

はぁぁ、と熱い吐息。犬のように四つん這いのまま、英雄の足下へかしずく。

 

「だいじょうぶ、です。ありがとう、ござい、ます」

 

むっちり膨らんだお尻を揺すりながら、喘ぐように感謝の言葉。

汗一つ書いていないのに、この人からは逞しい雄の香りがした。自分とは違う生き物、剣を振るって知恵を振り絞る英雄殿。

 

 

「おねがいです……ゆーしゃさま……おれを、だいて、ください♥」

 

 

タカノの白い頬を、よろこびの涙が滴り落ちる。そっと目線をあげたとき、確信した。

この人が相手なら、きっと、自分は幸せになれる。

肉欲を喚起されながらも、慈悲の心が勝る男の中の男。労るように頭を撫でられた瞬間、ぶるっと震えながら絶頂した。

 

きゅっと尻穴がすぼまり、びゅっびゅびゅっと体液が吹き出す。

先ほどから分泌され続けた潤滑液が、精液ごと肛門から排泄される。

肛門絶頂の余韻と、鈍くなっていく感覚に自分の疲労を知ったが、もうどうでもよかった。

 

 

隠者の言う運命とはこれだったのだ。

望まぬものを、心から欲するようになる星の巡り。

 

 

それはきっと、今このとき、雌のように愛されたいと思ってしまったことだ。

心地よさに包まれて、タカノは意識を失った。

 

 

 

 

 

 

















人生で初めて書いたオリジナル・エロ小説をさらすタイプの苦行で徳を高めています。



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