異世界『TS出産』レビュワーズ ~産んでたらなぜか『聖女扱い』されてくんだが~ 作:馬路まんじ……?
「ともかく数日後、司教のエルダーさんが大型馬車を用意してくれるんだと。それで半月かけて王都に向かうわけだが、数人くらいは誘ってもいいそうだ。トゥルーデとエリカは来るか?」
「わらわいくー! そしてイクーッ!♡」
「くたばれ」
トゥルーデは即頷いた。がしかし。
「王都、ですか……」
「エリカ?」
エリカはどうにも渋顔だ。すき焼きのコンニャクを摘まみながら唸っていた。
「嫌なのか? 俺たちと王都行き」
「あぁいえっ、レーテさんとはむしろ一度おでかけしたいほどです」
「わらわは?」
「しかし、王都というのが……」
「おい、わらわとはおでかけしたくないのか。おい」
ふむ、王都に行くのが嫌なのか。そりゃどうして……って、あぁ。
「そうか。エリカ、王都の騎士家を追い出されたんだったな」
「はい……。もしも身内と顔を合わせることになったら、どうしたらいいか……」
そっかぁ。それは気まずいよな。
「ですからレーテさん。今回はお二人だけでどうぞ。わたしは腕を磨きつつ、屋敷をお守りしてますので」
「ん、わかった。無理強いはよくないからな」
家族だろうと時には距離を空けることは大切だろう。時間が解決してくれる仲もあるさ。
「エリカと親御さん、いつか仲良くできるといいな」
「はいっ……!」
「おいわらわとは仲良くできんのか!? おい!」
こうして俺の王都行きが決まったのだった。
「すき焼き全部食べちゃうぞコラァ!?」
◆ ◇ ◆
かくして数日後。
「ごきげんよう、レーテさん。本日はわたくしのお誘いに応えて下さりありがとうございます」
「いやいやいいさエルダーさん」
糸目エルフシスターのエルダーさんと馬車駅で落ち合った。相変わらずの美人さんだな。
そして乗り場には、三頭立てのめちゃくちゃおっきな馬車が。こりゃすごいや。キャンピングカーみたいだ。
「本当にデッカいなぁ」
「はい。我らが『ゼヒレーテ教』が賓客を招く際の、遠出用馬車です。ご不便をおかけしないように備品も充実してますからね」
「至れり尽くせりだなぁ」
尽くしてくれるのは嬉しいよ。……けど、王都に付いたら宗教関係者の前で〝魔物の子産みまくって近親異種姦セックスしたことを称えます♡〟って褒められるんだよなぁ……。
はぁ、そう考えたらやっぱ憂鬱になってきたわ。しかも、
「おっほぉ~、相変わらずイイ身体しとるのぉ金髪シスター! おっぱいもみもみっ♡」
「ひゃっ!? お、おやめくださいトゥルーデさんっ!」
旅の友が淫乱ピンク魔女である。愉快なやつではあるんだが、半月も一緒となると疲れそうだ。
「げへへへへへ~! おんしも『出産レビュワーズ』に入れてやろうか~!♡」
「おいセクハラはやめろトゥルーデ」
「なんじゃ出産シルバー」
戦隊ヒーローみたいに呼ぶな!
「ごめんなぁエルダーさん。もし出産ピンクが――じゃなくてトゥルーデが目に余るようなら、置いていってもいいからさ」
「い、いえいえ。それにしても……わたくしも『出産レビュワーズ』に……」
「?」
「あっ、なんでもありません! それでは参りましょう!」
「お、おう」
こうして、異世界転生してから初めて遠出が。王都への旅が始まった。
◆ ◇ ◆
馬車の内装は本当にキャンピングカーみたいだ。
テーブルやベッドもあるし、ちょっとしたキッチンもある。これは快適に過ごせそうだ。
「揺れも酷くないしな。森の中つっきってるのにどうなってるんだ?」
「『トレントの生木片』を馬車の素材にしてるからじゃな。生体に近しいほどよい弾力があるため、衝撃を吸収してくれるんじゃ」
「へえ。ゴムみたいなもんか」
異世界といったら色々不便そうなイメージだったが、今のところ不都合はほとんどない。
トイレも水洗だしな。聞けば転生者の『女神ゼヒレーテ』がもたらした知識だとか。おかげで快適に過ごせてるよ。
「まあ、レーテさんはゴムをご存じで?」
「えっ、エルダーさん?」
「ゴムといえば、ゼヒレーテ様の元の世界にあったという伝説の物質ですね。散逸した石碑によると、ゼヒレーテ様はよく〝ゴムさえあれば、相手がゴムさえしてくれれば……〟とぼやいていたそうで」
「それ別のゴムの話してねぇか女神様!?」
何があったんだよ過去に!
「――ん……」
とそこで。御者台のほうから小さな声が漏れた。
「どうした?」
連絡窓を開く。そこには五歳くらいにしか見えない御者兼シスターの女性、
「ん、魔物」
「あ、ほんとだ」
数十メートル先には数匹のゴブリンが。俺たちを待ち構えているようだ。
「戦おうか?」
「ダイジョブ」
リーチェさんは揺れる御者台の上に堂々と立つと、自分の背丈にも近しい巨大ボーガンを構え、弦を振り絞った。
「第参級天技【波動一閃】」
そして射出。極太の矢は超高速でゴブリンの一匹に炸裂すると、爆弾のように衝撃波を出して周囲の連中も吹っ飛ばした! 『ゴギャ~!?』という情けない悲鳴が森に響く。
「わぁお。ちっちゃいのに強いなリーチェさん」
「彼女は教会のシスター兼御者兼、【ビッグシューター】の天職を持った護衛役でもありますからね」
隣に来たエルダーさんが説明してくれた。
「って、役職多すぎだろリーチェさん……!」
「ん、デキる女」
無表情ながら親指を立ててくるリーチェさん。感情のないロリにしか見えんが、内面は結構愉快なのかもだ。
「ありがとう。今度は俺も頼ってくれよな?」
こちらも親指を立て返す。こりゃ、楽しい旅になりそうだな。
赤ちゃん部屋がいっぱいだ…
◇↓皆様からのご感想&評価まっておるぞ~~!、活動報告にて『相手役になってほしい魔物』『理想のシチュエーション』もぜひ!(トゥルーデ)
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