税金で買った本
石平紀一 × 朝野亜沙子
本作品には寝取り描写があります。
目の前で、少年が切ない顔をしながら本日一回目の放出をした。
身体が一瞬強張り、私を抱きしめる腕に一層力が籠められる。
その息苦しさを、好ましいと思ってしまう私がいた。
いや、違う。その時の私の顔には、きっと満足そうな艶笑が浮かんでいたことだろう。
そして、放出の余韻から解放された目の前の少年……石平少年と、私、朝野亜沙子は、視線を絡み合わせていた。
夜。自宅。明かりは少し。
本来は夫婦のためにある褥の上で、二人共、一糸纏わぬまま。
「な、なんすか、亜沙子サン……」
「なんでもないよ。石平少年」
普段と違い、名前で私を呼ぶ彼のその言葉は、いつもと違ってどこか照れているように聞こえた。
ほんの数か月前のことだ。
職場近くのスーパーで、割引された揚げ物のみというド少年なセレクトの買い物をしている彼を見かけた私は、何の気なしに彼を家に誘い、ご飯を食べさせた。
誓って言う。本当にその時は、背の割に肉のついていない様に見える彼に食育指導をしてやるつもりで、家に招いただけだ。夫は短期の出張、子供は実家に預けていたので、たまの独り身もどきの余興……の様なものだった。
あとは、まあ、なんやかんや。
今のこの状況に繋がるといえば、これ以上の説明は要らないのではないだろうか。
初めて買ってみた無暗に度数の高い酎ハイと、どうやらまだ青少年に通じるらしいカラダと、私のからかい癖が、悪い。
それからズルズルと関係が続き、なぜだか、本当になぜだろう。今日は私から「また家で夕飯でも食べないか」などと声をかけてしまった。
本当に、なんでだろうね?
「亜沙子サン」
「なに?」
一回目の処理だけはして、汗も拭かぬまま並んで仰向けに寝転んでいると、そう声をかけられた。私の言葉に答えることなく、彼は身体を丸めるようにして私にすり寄ってくる。
先ほどまでの激しい行為も合わせて、どこか犬のような印象を抱かせる彼だった。
私も、そちらへごろんと倒れる。すると、石平少年との間には私の乳房が横たわる形となった。
無造作に、彼は下から私のおっぱいをやんわりと握る。
そう。揉むというより、好奇心の向いたものにちょっかいをかけてみる。そんな様子である。
たぷ、たぷ、と自分の物が弄ばれるのは、嬉しいような恥ずかしいような。
夫とは違うタイプの行為は、罪悪感を覚えさせると共に、私の中に新しい回路を開発していた。
そして、彼の身体の下方で、堅く熱いモノが起き上がった気配があった。
男の子はやはり好きなのだろう。この仕事には邪魔なサイズの物体が。
はぁ、はぁ、はぁ、と、彼の吐息が敏感な私の先端をなぜる。
いい? と言った石平少年を、無言で私は抱き寄せる。すると、彼は私の身体に唇を這わせ、ち、ち、ち、と、甘くキスを浴びせる。しこった乳首や、胸元。その周りを啄むように。
しかし……。
「コラ、少年。跡は残さないでって言ってるじゃないか」
と、その行為が徐々に強くなり、胸元に及ぼうとしたとき、私は彼を押し返し、思わずキツめに注意する。
近頃は夫と行為をしなくなって久しいが、肌を見せないほど冷え切ってもいない。
授乳もしないのにそんなところに何か跡が残っていようものなら、言い逃れは出来ないのだ。
「はは、ごめんごめん。つい、柔らかくて……」
猶更、この子は犬か? という思いが強くなるが、伸びてきた腕を拒むことなく、今度は私が彼に抱き寄せられ、唇と唇とでしっとりとしたキス……接吻をする。
ずるい。こうされると、頭の後ろがジンとしてスキを晒してしまうことを、早くも知られてしまっていた。
そして、指の腹でなでるように。そしてそのまま押しつぶすように。私の乳輪の周りを絶妙な加減で愛撫する。摘んで軽く持ち上げるようにして、私の胸のサイズを自覚させるようなハズカシメをするのだ。この少年は。
んくゥ……
喉の奥から妙な声が漏れる。ああ、白状しよう。それは私の発情した声だった。
しかしそれに反応することなく、反対側の胸に、石平少年のあたたかな舌が這わされる。
逢瀬を重ねるごとに、石平少年は私の反応したポイントを記憶し、更に進化させてゆく。
指で私の乳頭をこしゅこしゅとしごき上げ、私も知らないくらい堅く硬く先端が尖ってゆく。乳首の色など、夫は覚えていまい。そう言われるように、赤く腫れあがってしまうほどに、強くこね回されると、何も考えられないほど私は高まってしまっていた。
そして、私の乳房の先端を弄んでいた手が、だんだん下へ伸びる。手で私の身体を探検するかのように、乳房の裏、肋骨の連なり、お腹の峰を、じれったいほどゆっくりと動かす。
……さては、わざとだな? そんなちょっとした反意が芽生えるが、しっとりと濡れそぼった陰毛の茂みをかき分けるようにしたとき、私は呆れたような目を彼に向けた。
犬改め、おっさんか? キミは。
焦らす様に私の秘所の周りを形に添ってさするその手つきは、わたしの”かたち”を知っていることのアピールに思えたのだ。
そして同時に、この目の前の小憎らしい少年は、生意気にも主導権を握ろうと画策していることに思い至る。
ならば、と私は、身体を反転させて彼のまたぐらへ顔を潜り込ませた。
「次は口でシてあげる」
「ええー、そのあとキスしずらくなるんだよなあ」
「文句言わない。ほら、もうこんなに元気じゃないの」
そう言って私は、すでに隆々と勃起し始めていた彼のペニスに指を這わせる。その熱い塊は、まだ本気で回復していないというのに重力に逆らって身をもたげていた。
先端には肉色が見え隠れする。これが全て露わになれば、私は……。
そう考えたところで、知らず私はその肉棒の至近距離まで顔を近づけていたことを自覚する。
はしたない。心の奥の声がそう吐き捨てるように呟く。
そう。悪い? とそれに私は返した。
私は、彼のものを口腔一杯に頬張った。
んぐ……んちゅ……ちゅ…
それなりの長さの物体に奉仕すれば、喉の奥からエゲつない声音が出てしまう。もう気にしないことにした。
私は彼の腰をまたいで肘をつき、髪をかき上げながら頭ごとゆっくり動かすと、逆さまにぶら下がる私の乳房が揺れてしまっていることに気付く。少年は反応して、ペニスが震えて血流が流れ込む気がした。
そうだね。好きだもんね。おっぱい。
そう可笑しくも愛おしく思うと、彼のものを深く深く咥えこむ。一瞬の嘔吐反射。大丈夫。これは大丈夫。そう思うと自然とそれは止んだ。
そうしていると、彼が私を導いて私の下に上半身を滑り込ませる。どうやら、石平少年も私を好くさせてくれるようだ。
いや、私が主導権を握られまいと動いていることに気づかれたか?
むむ、と心の中で唸る。
そう益体もないことを考えていた途端、私の濡れそぼった穴に石平少年の指がするりと滑り込んだ。反応はこれまた一瞬だった。
クリトリス。陰核。その根元付近がそれであるという。
Gスポット……なるものの存在があることを、私は彼との行為で見つけ出された。
「あぃ……いっ……ぁっ……」
声が出る。恥ずかしい。恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。
「石平……少年……! んンっ……」
私は恨みがましい気持ちを込めてそう彼に言うが、指先一本で黙らされる。
「亜沙子サン、まだだよ」
「もう……っっ」
完全に挑むような心持で、私は彼のペニスに再びしゃぶりつく。すると対応するように、彼は私の股間に顔をうずめ、ドロドロになった私の……おまんこ……を刺激し始めた。
若い頃にもしなかったような、露骨に愛を貪る行為。シックスティ・ナイン。
彼の行為は、啄むようなソフトタッチだ。指でコリコリと”スポット”を弄り回しながら、舌で私の”ひだ”を一枚一枚ほぐす様にキスを浴びせてゆく。
一回戦目で私を泣かせた少年のひどく丁寧な奉仕は、更にほぐされたそのいやらしい所を猶更ぐちゃぐちゃにさせる。
しばらく粘着質な音が静かな部屋の中に流れる。裏腹に、私の中ではどんどん情欲の炎が大きくなっていっていた。
トクン、トクン、と、甘い電流が私の背骨をゆったりと流れる。そして、彼のものも完全に隆起し、準備は万端といったところだった。
そこでだった。
「亜沙子サン、いい?」
……まあまあ最悪だった。
「少年、ものには趣というものが……」
下腹部を絞られるような切なさを抱えながら、私は石平少年に向かってそんな小言じみたことを口にする。
「口でする途中だというのに人の股間を好き勝手弄り回して邪魔をして……。回復したと思ったらすぐそんな……」
「亜沙子サン、亜沙子さん。顔、顔。目、目」
からかうような様子の石平少年にそう言われて初めて、私は彼に向けて完全にとろけ切った顔をしていたことに気づいた。
「~~~~~っ!」
とっさに私は顔を隠す。普段から垂れ気味の目じりは更に下がり、興奮で鼓動が早まり呼吸が浅くなると共に口元は物欲しそうに緩んでいた。しかし、そんなことを石平少年は気にすることなく、ベッドの端に腰をかけて、自分のカバンをあさって何かを探していた。
そこで彼は「あ」と声を出す。
「やっべ、亜沙子サン。ゴム切れたかも。予備ある?」
私は、腹立ちまぎれに無言で彼の股間にまたがると、宣言した。
「君のナマの初めて、貰うからな」
そして、「ええ!?」と情けない声を上げる彼が逃げられないように首に手をまわし、屹立し続けていた彼のペニスに、腰を下ろした。対面座位というやつ。だったと思う。
「な、朝野サン、ゴムないとだめで……んっ……」
「お約束したとおり、亜沙子。って呼ぼうねェ……」
何の抵抗もなく呑み込んだことに我ながら密かに恥じ入りつつ、異物に下腹部が貫かれる感触が再び甘やかな電流を私の神経網をかき乱す。
あえて、ピルを服用していることは言わないでおいた。
「大丈夫。大丈夫だからねぇ」
「え、なんで急にそのモード……?」
「うるさい。恥ずかしいことくらい、分かりなさい」
そして、私と彼の腰は完全に密着し、その時点で私の中のイイ所に彼の柔らかい先端部が触れていた。彼の首を支えにして少し背を反って、そこをぐりぐりと自ら刺激してやった。細く吐いた私の息遣いを耳ざとく彼は聞きとがめ、それ以上追及はしないようにしたようだった。
私の動きに合わせて彼は腰を突き出し、あるいはえぐり、天井知らずに性感が高まってゆく。ちょっとだけ……あくまでちょっとだけだが……柔らかい私の腰に手を添えて、ストロークの軌道を修正してくれる。
その細やかさを普段から出せ! と奇妙なムカっ腹が立つと共に、正しく彼のペニスが私の女性器を抉り抜いてゆく。
あ とか う とか、声以下の音が私の喉から漏れる。
「亜沙子サン……」と言って抱き寄せられるまま、私は彼に身体を預ける。頬と頬とを寄せ合うような状態でしばらく上下運動に集中すると、石平少年の柔らかな唇が私のうなじ近くをまさぐる。
「石平……ううん……紀一……こっちだよ」
キスマークを付けられたら困る。困るからだから。と誰に向かってか内心で言い訳をしながら、私は紀一の口吸いを口吸いで受け止め、そのままロックをかけるように舌を絡ませる。クロスした頭をそのまま抱える。
ああ、そうだ。私はこの少年に、紀一に、どうしようもなく欲情して、もう離れられないほど拘泥している。
彼の腕が私を包み込み、腰の更に下、お尻を支えて上下運動を助けてくれる。華奢にすら見えた彼の身体に意外と筋肉が纏われていることを身体と身体を密着させることで知る。
やわらかな”わたしの”からだが紀一のからだと密着して、ぬめった体液がその間を潤滑させる。おっぱいが押しつぶされ、ぐにぐにと変形する感触が愛おしい。
一つになる。という比喩を具象化させるように、私と彼とは一緒になって揺れ動き、しかし股間だけは浅くも激しいピストンを数えきれないほど繰り返す。
息が苦しい。胸が苦しい。いったん顔を顔を離し、至近距離で私は彼と見つめあう。
彼は……そしてきっと私も……ぎらぎらと瞳が照り光って物語っていた。
目の奥で会話をした。のだと思う。無言で再びディープキスをし、同時に絶頂へ達した。心と身体がシンクロして迎えたそれは、笑っちゃうくらい気持ちが良かった。
どくどく、どくどくと、二度目とは思えない勢いで温かなものが私の胎内に満ち広がってゆく。
やがてその温度は、私の愛し合うための部位を超えて、全身に伝播していく。
私はこの関係を終わらせたいと思いつつも、この行為を終わらせたくないと願ってしまっていた。
【おわり】