コミケ104新刊 グランブルーファンタジー グラブル
グラン× カタリナ&ヴィーラ ハーレム本のサンプル版です。
サンプル版 約22000字
本編 約36000字

コミケ104一日目 2024/8/11(日)
東u09a LifeOnDisplay
表紙:山本五郎左衛門様

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オンブラ・マイ・フにご招待

 

【挿絵表示】

 

 心頭滅却すれば火もまた涼し、たとえ両脇に座るカタリナ、ヴィーラの二人がグランを挟み込むようにしてぐいぐいと体を寄せ、フローラルな香りで鼻腔を支配しようとも、目の前の団長庶務に集中すれば決して耐えられぬ状況ではない。それでも、行き過ぎた快楽というものは苦痛と紙一重ということを、グランは身をもって実感していた。

「武器購入表のダブルチェックは終了した。さすがだな、グラン。君か追加した品の購入理由は的確だったし、今不明瞭な部分もわかりやすくまとめられている。私から指摘することは何もない。広い視野で細やかなところまで目が行き届いている。君が団長だからこそ、私や他の皆も安心して命を預けられるというものだ」

 右手側から送られてくるカタリナの微笑みは、グランの至近距離だった。隣り合って座る二人の肩は触れあい、彼女の唇は少し首を傾ければ、グランの頬、または唇にたやすく柔らかい感触を残せるほどに近い。

 であるにも関わらず、カタリナは頬の赤みにほんのりと異性間近の羞恥を残しつつも、彼女自らグランへアピールするかのように徐々に距離を縮めていた。

「あ、ありがとうございます、カタリナさん。でもラカムやオイゲンさんが教えてくれたおかげだし、カタリナさんだってフォローしてくれて……」

 そんなグランはあくまで皆のおかげという控えめな態度を崩さずにカタリナの方へ向き直ると、今度はあまりにもカタリナと顔が至近距離過ぎることを自覚し、固まった。

 今グランサイファーは航行中の平時、デスクワークということもあり、カタリナは鎧を着ずに白いシャツに白いズボンの軽衣、シャツは胸の形からへそのラインまではっきりとわかるほどにピッチリとした出で立ち、シャツは丈がズボンにギリギリ届かず、上下の衣の隙間で素肌がむき出しになっている。

 そんなカタリナはグランと目を合わせると、一度恥ずかしそうに目線を横にずらし、しかしすぐに戻して合わせなおし、

「君がひたむきに皆を想って、努力を積み重ねてきたからこそだ。剣技に魔法、指揮だけでなく、こういった庶務にも精通した。皆のために。そんな君が……私には誇らしくて、たまらないんだ……」

「カタリナさん……」

 ここまで言われては謙遜が失礼にあたる。グランは純粋に感動し、カタリナの気持ちに本能で応え始める。

「グラン……」

 二人の手がグランの膝の上で重なり、互いの吐息が唇に降りかかり、今にもゼロ距離になろうとしたその時、

「いくら恋人同士とはいえ、もう一人の恋人を忘れるような行いはあんまりではありませんか」

 グランの左手側から、ヴィーラが唇を尖らせながら体を密着させて顔を割り込ませてくる。ヴィーラはいつもの赤い服装でありながら肩当や剣などの貴金属は極力外しており、あまり人前では見せない格好をグランとカタリナへ見せている。

 ヴィーラは言葉とは裏腹に、その雰囲気は明るく軽い。

 カタリナも軽く「ふっ」と微笑みをこぼすと、

「忘れてなんていないさ。ただヴィーラだって、夢中になってグランと触れ合っている時もあるだろう?」

「それは……決してお姉様への愛を忘れているわけでは……!」

「ふふ、すまない。少しヴィーラの反応を見たかったところもある。嫉妬してくれる君も、愛おしいよ、ヴィーラ」

「まあ、お姉様ったら。うふふ、もちろん、私はお姉様がそういう考えであることはわかっていましたけどね」

「おいおい、本当かな?」

 気づけばカタリナの右手とヴィーラの左手が合わさり、交互に間断なく指を絡ませて密着し、カタリナとヴィーラの顔はキス寸前にまで接近して鼻先を触れ合わせている。

 まるで長年の夫婦のようなカタリナとヴィーラのやり取りをグランは眼前で見せられ、突然の置いてけぼり状態。

 しかし、ヴィーラはグランを忘れてなどいないと言わんばかりに、グランの左腕を自身の豊満な谷間で抱きながら、

「こちらの備品管理書類の確認も終わりました。問題はありませんでしたので、本日の団長さんの業務は終了ですね」

 ヴィーラがグランへと顔を向け、カタリナとじゃれ合っていた興奮そのままの微笑みを向けてくる。カタリナも同様だった。

 グランは二人の美女からの抱擁と微笑みを受け、声を上ずらせながらも団長としての責務をこなす。

「う、うん、ありがとう、カタリナさん、ヴィーラさん。手伝ってもらえて助かりました。島につくまでは魔物の心配もないし、その、ゆっくりしてもらえれば……」

「「ゆっくり、でいいのか(いいんですか)?」」

「!」

 グランの顔に降りかかるカタリナとヴィーラの桃色吐息。二人の頬は茹ったように紅潮し、薄着の体をグランへ擦り付け、服越しの乳房を形がつぶれるほどに押し付け、グランの右腕左腕を谷間に挟んで押し揉みしている。

 カタリナは愛情を欲する切ない表情をしながら、

「君とヴィーラと結ばれて、もう、私は変わってしまった……。せめて他に人目がないときはヴィーラと一緒に君に、グランに甘えさせてほしい……」

 媚びるように愛を懇願し、見る人の理性を破壊する魔性のカタリナ。こんなカタリナは、空広しといえどグランとヴィーラしか知らない。

「ああ、お姉様……私も同じ想いです……!」

 ヴィーラはグランを正面に見据えながら、隣のカタリナへ頬をつけあい、

「グランさん、あなたがもたらしてくれた変化は、とても愛おしくて我慢しがたいものなのです。お姉様は私の全て。グランさんは私に新しい世界を見せてくれる唯一の存在です。お姉様とこうして肌を合わせ、グランさんとも繋がり、愛しあえる……。あなたがくれた新しい世界、今日も、堪能させていただきますね」

「ああグラン。頼む、聞かせてくれ。今日も、君の言葉を……」

 明らかに発情したカタリナとヴィーラの表情、近づいてくる二人の唇の隙間から、赤い舌と糸を引いた唾液が確認できるほどの距離。

 グランとカタリナとヴィーラは、それぞれが恋人同士の現実。しかも三人は、日中にも関わらず三人きりのチャンスがあれば発情した獣のように盛っている。

 グランは喜びと共に、戸惑いもあった。

(まさか、カタリナさんとヴィーラさんと、昼間でも構わず、エッチなことができるなんて……! でも、こんな誘惑、耐えられるわけ、ない……! それに……)

 運命の告白から早一週間、青少年と妙齢の美女の欲望は、留まることを知らなかった。

「ヴィーラさん、カタリナさん」

 グランは二人の背に腕をまわして抱きなおし、片膝の上にそれぞれカタリナとヴィーラを乗せて態勢を整える。真剣な瞳でカタリナとヴィーラを見据えると、

「んあっ……!」

「んんっ……!」

 カタリナとヴィーラ、それぞれピクンと下腹から体を震わせて言葉を待った。

「愛しています。僕も、二人とこうするの、待ちきれなかった……!」

「グラン……♡」

「グランさん……♡」

 ぱあっと部屋が明るくなったような渾身の笑顔をカタリナとヴィーラが見せた後、一瞬で二人の瞳が子供には見せられない発情したものに変わり、尖らせたカタリナとヴィーラの唇が、グランの唇を飲み込んだ。

「んちゅうううう! グランっんちゅ、ちゅるちゅぱっ♡」

 カタリナはグランを掻き抱いてグランの唇を吸い取り、

「チュウウ、ぐらんっさんっあふっれろっ、あぁあんんちゅうっ♡」

 ヴィーラは擦り付ける様に、味わうように浅くねっとりと唇同士を絡ませる。

 カタリナとヴィーラは横に触れ合いながら競うようにグランの唇と触れ合い、時にカタリナとヴィーラは薄く目を開けて女同士で視線を交わすと、

「お姉様……んちゅうううっ♡」

「んちゅううっ、ヴィーラんちゅ、ちゅぱ……♡」

 カタリナとヴィーラの赤い唇が絡み合い、薄く開いた隙間から舌を絡ませ、唾液を飛ばす。そんな百合の口づけは、徐々にグランの唇を巻き込んでいき、

「れろちゅる、グラン、君の舌を……んっちゅ、もっとあふちゅるっ♡」

「ふふ、んちゅぱ、お姉様と一緒に、感じさせてください……れろちゅぷっ♡」

 カタリナとヴィーラの混ざり合った唇と舌、唾液と吐息に、グランの唇と舌がまぶされていく。

(二人のキスが気持ちよすぎて、口が……とけるぅ……!)

 グランの脳内が桃色一色になり、何も考えられなくなる。あの麗しき女騎士カタリナが、妖しき女騎士ヴィーラが、グランの事を一心に愛して口づけてくれる。

 グランは何も考えることはできずとも、彼女たちを愛する本能だけで動き出す。

 カタリナ、ヴィーラ、それぞれの背にまわされていたグランの腕が、二人の乳房を求め動き出す。カタリナには上衣のへそ下から手を入り込ませ、ヴィーラは露出している谷間から直接差し込んでいく。

「んん!? くぅああふっちゅるっんん♡」

 カタリナは一瞬目を見開き、体を強張らせたが、すぐに陶酔した表情でキスの愛撫を再開し、グランへ一層身を任せていく。

(ああ、グランの手が、私を求めて……!)

対してヴィーラの反応は瞳を薄く開いたのち、

「んふっ、んちゅ、ちゅるる、ちゅるる♪ ちゅるちゅぱっ♡」

 グランへ対抗するかのようにグランの舌を左半分唇で啄ばみ、舌先でくすぐってグランを喘がせる。

(ふふ、グランさん、あなたの愛撫にも、負けません……!)

 三人が深く口づけ合う中、グランの手のひらはカタリナ、ヴィーラ、それぞれの乳房を鷲掴む、手のひらの中心には、固くなった乳首の感触。

 唾液が乱れ飛ぶキスの中、グランは彼女達も気持ちよくさせたい一心で、言葉での愛撫も始める。

「んっはぁ、カタリナさんとヴィーラさんのここも、硬くなってる……」

 グランは手のひらの中心で円を描くように、二人の乳首をくすぐっていく。    

「ちゅるっはぁああっ♡」

 カタリナが喘ぎ声とともにグランの口の中で舌先を震わせ、

「んっあぁああんんっ♡」

 ヴィーラは喘ぎ声を我慢するように、グランの唇を唇で甘噛みする。

(カタリナさんの方が乳輪がちょっと大きめで、ヴィーラさんの方がちょっと乳首が長い、のかな。もっと、揉みたいっ)

 グランの日々の分析力と行動センスがいかされ、二人の性感帯はどこか、適切な揉む強さとタイミングを学んでいく。二人の唇と舌を、しごいて揉んで吸って震わせる。

 最初は捕食者の目をしていたカタリナとヴィーラも、グランの攻勢に対しては、

「あふっ!? らめあっ、ぐらんっ、そんなに、激しくもんだら……くっあむんちゅうううっちゅぱっんん♡」

 カタリナは乳輪を執拗に撫でられながら力強く揉みしだかれ、キスもグランへすがるように、甘えるように吸着して舌を絡ませるものに変わり始める。

 ヴィーラは優しくマッサージするかのように胸を揉まれ、かと思うと勃起した乳首をゴシゴシと指でしごかれる。

「あっひぃんんっ!? そんなっちくびっばっかり、らめれすっんむちゅうううはぁあああんんんっ♡」

 グランの愛撫でヴィーラの体がピクピクと震え、キスにも余裕がなくなりグランへ唇を密着させつつ、グランの口内へ舌を投げ出して嬌声をあげる。

 カタリナとヴィーラは、二人の体と唇を横から密着させながら、全体重をグランへ預け、グランの愛撫に喜び震えて、キスに溺れだす。

 グランがカタリナの乳房を揉みしだくたびに、カタリナは唇と舌から唾液が乱れ飛ぶのも構わず、

「れろっちゅるはあっ! もっと、もっとしてくれっ君の愛を、もっと私にっ……! んちゅうううう♡」

 グランが指でヴィーラの乳首をしごくたびに、ヴィーラは嬌声を抑えきれず、グランへ哀願するように唇と舌をすりつけて、

「らめぇっあひぃあああんっ!? こんなのっ知ったら、戻れなく……んんああっ! ちゅるれろっんちゅうううう♡」

 カタリナとヴィーラは頬と唇をつけあいながらグランの唇を吸い、グランの口内で三人の舌を絡み躍らせる。

 止まらない嬌声と乱れ飛ぶ唾液、乳房を愛撫するグランの手のひらの動きに合わせて、カタリナとヴィーラの体が震え、グランの膝で外衣越しに女の園をすりつけて湿らせる。

 グランも必死だった。あまりにも幸福過ぎた。キスの中で一瞬の隙間ができる度に、

「ぷはっ、好きだっカタリナさん、ヴィーラさん! 愛してる、んん、ずっと、このまま……!」

 カタリナとヴィーラの目じりに嬉し涙が溜まり出し、

「ああ、ずっと一緒だっんちゅちゅ、ヴィーラも、グランも、愛している、ずっと、ずっと! んちゅうううう♡」

「んんあっ!? らめっらめれす、おねえさまっぐらんっさん、ああっんちゅううう! あいしてますぅ、ちゅぱっ、しあわせすぎて、もうイっ!? んんちゅうううううううう♡」

 深々とヴィーラとカタリナとグランの唇が隙間なく吸着し、三人の舌が抱きしめ合うように絡み合った瞬間、

『んちゅううううううううう♡』

 ビクビク! ビクン……ビクン……。

 カタリナとヴィーラは薄く瞳を開き、同じく薄く目を開いたグランと見つめ合う。激しく求めあうキスはそのまま、グランの胸の愛撫はカタリナとヴィーラを包み込むような優しいものへと変わり、グランが手のひらと指に力を込める度に、カタリナとヴィーラはピクン、ピクンと体を震えさせて股下のグランの膝へ染みを広げていった。

 今度はグランから、唇と舌を引いて会話できるだけのスペースを空ける。

「その……カタリナさん、ヴィーラさん、どう、でした……んんっ!?」

 二人の返事は、唇で触れるだけの優しいキスだった。唇だけ触れ合いながら、カタリナは、

「はぁ、はぁ、はぁ……ちゅ……んん、ふふ、君には、いつも叶わないな。こうして君と触れ合うたびに、幸せな感覚が大きくなっていく……ちゅ……♡」

 エロティックでありながら、心からの安心と幸福を感じさせる微笑みを浮かべるカタリナのキス。

 ヴィーラも浅くカタリナの唇へ口づけた後、そのままグランの唇にも触れつつ、

「お姉様とともにしても、最後はお姉様と一緒に、あなたに寄りかかってしまいますね……。ふふ、それでこそ、私たちのグランさん……んちゅう……♡」

 発情していながらも穏やかさすらある微笑みのあと、ヴィーラは目を閉じてキスに浸った。

「んちゅ……ちゅ……グラン……ヴィーラ……ちゅ……ちゅううう……♡」

「お姉様……グランさん……ちゅっちゅ……ちゅぅう……♡」

(カタリナさん、ヴィーラさん……ずっと、このままキスしていたい……)

 グランは二人によって濡らされた膝を気にも留めず、ひたすらに唇を合わせ続ける。

 日中、部屋はグランの部屋で鍵こそかけているものの、廊下では団員達の足音や話声が時々聞こえてくる。それでもカタリナ、ヴィーラ、グランはキスの幸せ、体をすりつけあう快楽の沼に浸り続ける。

「ん」

「んっ」

「え?」

 しかし、カタリナとヴィーラが一瞬、凛とした顔に戻ってキスを中断すると、グランは訳が分からずキョトンとしてしまう。

 すぐにカタリナは安心したように表情を崩す。

「違ったようだ」

「通り過ぎましたね」

 カタリナとヴィーラは、グランの部屋を通過した誰かへの警戒を解いた。

 いくら鍵をかけているとはいえ、日中のグランの部屋には訪問客が多い。

今回の性愛行動は、あくまで三人で行った団長業務が終わったあとに時間が余ったゆえだった。

 行為の最中だったが、二人は警戒してくれていた。その事実にグランは自身を恥じる。

「ごめんなさいっ、二人は警戒してくれていたのに、僕はすっかり夢中で……」

 カタリナは優しさがこもった微笑みをしながらグランの頬を撫で、

「いいさ。誘ったのは私たちの方だからな。仮に誰か来ても鍵はかかっているから、ごまかす時間はあるだろう」

 ヴィーラはからかうようにグランの頬にキスしつつ、

「ちゅ、余暇に恋人と愛を育んでいるだけなのですから、後ろめたい想いを抱く必要なんてありませんよ。それにしても……」

 ヴィーラはカタリナと頬をつけあうと、流し目でグランを見つめて微笑み、

「周りへの警戒を忘れてしまう程に、私とお姉様に夢中になっていただけるなんて……恋人冥利につきますね、お姉さま」

 カタリナもヴィーラに倣ってグランへ流し目を送りながら、

「あ、ああ。その、私たちは慣れているだけだから、グランは安心して……ああ、いや! その、こういう行為に慣れているというわけではなく、なんと言ったらいいか……」

 カタリナが言いたいのは、こういった半衆目空間と言える場所で情事をしていた時に、ばれないように周りに気を配ることに慣れているわけではない、と言いたいのだろうと、グランは察した。

(カタリナさんとヴィーラさんはアルビオン出身だから、日常的に魔物が襲ってくるのは当たり前だったんだよね。こんなことに発揮してもらうとは……)

 時刻はそろそろお昼時、一度いやらしい空気が切れたものの、事実として対応しなければならない事があった。

 カタリナとヴィーラの視線が、グランの股間へと向く。

 そこには愛液に濡れ切ったグランのズボンと、ズボンを押し上げる男根。

 カタリナは「はふぅ……」と唇を尖らせて生温い吐息を漏らし、ヴィーラは「ちゅる……♪」と水音を出して舌なめずりする。

 グランは欲望に飲まれ理性が崩壊しかけたが、膝上の湿った感触を思い出し、

「着替え……ましょうか」

 と、二人の濡れた外衣の股間を見て言った。グランの部屋にて、たびたび三人で夜を明かすようになってから、三人の着替えは常備している。

「そうだな……」

 と、グランがカタリナから降り、ヴィーラも続くと、二人はごく自然な動作でグランのズボンを中のパンツごと指にかけて降ろしそうとしてきた。

「うっ!? …………」

 グランは驚いたが、見上げてくるカタリナとヴィーラから、色欲にとろけきった微笑みを向けられて、腰を少し上げ身を任せた。

 二人によって下げられたペニスは勢いよく反り返り、我慢汁を中空へと飛ばす。

 カタリナは「お……あ……すごい……!」と圧倒されたように感嘆の声を上げ、ヴィーラは「ああ……今日もたくましい……」と自身の頬に手を当てて吐息を漏らす。

 ごくんと唾を飲んだカタリナはそのまま男根の根元を掴むと、

「私たちだけ先に気をやってしまったから、君は楽にしていてくれ。君が望むままに、奉仕しよう」

 カタリナは包容力を伴いつつも凛とした微笑みで、グランの竿を軽く手コキしながらグランの頬と唇へ「ん、んちゅ」とキスを落とす。ヴィーラもカタリナと合わせ鏡のようにグランの竿を包み、カタリナと指を重ね合わせて手コキのオナホールを作り出す。

「希望はございますか? 私かお姉様の中か、このまま手でいたしても構いません。もしくは唇でも……ふふ……」

 ヴィーラもまた、竿を撫でるようにしごきながらグランの頬へキスし、カタリナと唇をつけあいつつ、「んちゅっちゅ」とカタリナと共に音を立てて軽く口づけてくる。

「あ、あう、く、あ、そ、それじゃあ……!」

 カタリナとヴィーラの絶え間ない口づけ、合わさった二人の手で竿をこすられながら、グランは本能に従って第一希望を発言した。

「カタリナさんと、ヴィーラさんの、手と、口で……! んんっ!」

 発声した途端、カタリナとヴィーラは深くグランの口内へ舌を差し込んで『ちゅるっちゅるる♡』とグランの唾液と舌を吸い込み、

「ちゅぷ、はぁ……。任せてくれ。私とヴィーラで、君の期待に応えてみせるよ」

「んちゅ、はぁ……。私とお姉様の愛のご奉仕、ご堪能なさってくださいね」

 グランの口からカタリナとヴィーラの唇へ伸びる銀色の糸。グランは二人の甘い味と、ふわふわでねっとりとした二人の唇と舌の感触が名残惜しかったが、亀頭に感じた二人の吐息で、今度は期待と興奮で頭がいっぱいになった。

「ヴィーラ……」

「お姉様……」

 麗しき美女二人、カタリナとヴィーラが、手のひらを合わせて指を交互に合わせて恋人繋ぎをし、二人のうるおいを持った瞳が閉じて、二人の光沢のある突き出た唇が正面から触れ合おうと近づいていく。この事実だけならば、背景には百合の花が咲き誇っていただろう。

 だが、グランの目の前の光景は、竿が二人の合わせた手のひらと指で包まれ、そして二人の唇が向かう先には、ドクドクと我慢汁を垂れ流す亀頭がある。

 カタリナとヴィーラはそのままゆっくりとグランの亀頭へ、

『ちゅうううううっ♡』

 左右から口づけし、下唇にカリ首をフィットさせ、上唇を鈴口で包み込んで吸引した。

「ぐっああああっ……!」

 百合キスにペニスを突き込むような暴挙に対して、グランは視覚的興奮と身体的快楽で脳が喜びではちきれそうだった。

 カタリナとヴィーラは薄く目を見開いて見つめ合ったあと、同時にグランを見上げてグランの反応を計りにくる。

 カタリナはムチュムチュと唇を脈動させて亀頭全体を揉みこみ、

(ああ、グラン、ヴィーラ……君たちの喜びに満ちた顔を、もっと見せてくれ……♡)

 ヴィーラはカタリナの唇と隙間なく触れ合いつつ、鈴口からチュウチュウと我慢汁を飲み込んでいく。

(お姉様、グランさん……愛するお二人が、私の手中……絶対に離しませんっ♡)

 カタリナとヴィーラは唇と舌を狂喜乱舞させ、愛する女性へのディープキスと愛する男性へのフェラチオ奉仕を同時に行う。

 カタリナが亀頭の頭頂部を咥えこんで「ちゅううううっ」と頬をすぼませ吸い込むと、ヴィーラはカリ首とカタリナの唇を舐めながら、グランへ愛の言葉を向けてくる。

「れろちゅぱっ、ふふグランさんったら、もうこんなに震えて、出すときはおっしゃってくださいね。れるちゅ、一滴も逃しませんから……はむんちゅう♡」

 そう言うとヴィーラは亀頭へカタリナの上唇ごとむしゃぶりついて、カタリナは呼吸を入れるとともにカリ首への舐めまわしに移る。

「グランっれるちゅる、君の精液を、私にらしてくれ、はむっちゅぱっ、君の愛の証を、わらひにっんむちゅううっ♡」

 カリ首から亀頭まで、二人の唇と舌で形を変えられてしまうのではないかと思ってしまう程の激しい吸引と舐めまわし。

 今度はヴィーラが呼吸のために、カタリナと亀頭とカリ首のポジションを交代すると、

「あぁんっんむちゅ、お姉様と私のキスに包まれながら、んむちゅるちゅぱ、ドピュドピュと白い欲望を、ちゅぱ、らしてくらさいっはむんちゅううう♡」

 亀頭全てにキスマークを残すがごとく吸引したあと、ベロベロと舌全体を使って舐めえぐってくる。

 二人の唾液とグランの我慢汁がペニス全体をビチョビチョに濡らし、カタリナとヴィーラの手合わせ手コキが、激しく上下に動いて水音を出し、唾液と我慢汁の混合液を泡立たせる。

 グランは、何も我慢できなかった。

「もう出るぅう! カタリナさんっヴィーラさん! ぐっああああ!」

 グランの下半身からペニスが振動し、射精寸前を察知したカタリナとヴィーラは、二人完全な均等配置で鈴口を分け合うように唇をつけあい、唇から頬をすぼめて、

(グランっ)

(グランさんっ)

『好きっ』

「んんむちゅうううううううううううっ♡」

「ちゅるんんちゅうううううううぅぅっ♡」

 ボビュルルルルルルル! ビュルルルルルルル! ドビュウウウウ!

「あっがっ」

 グランが半ばを白目を剥いてガクガクと痙攣する中、カタリナとヴィーラは一滴も逃すまいとひどいキス音を出しながら吸引し、ゴシゴシと二人での手コキも一切緩めない。

 ドビュドビュビュルルル! ドビュウウウウ!

 カタリナは瞳を恍惚でうるませ、

(ああ、君を喜ばせることができた……ねばっこくて苦い君のものが、今はこんなにも愛おしい……♡)

 ヴィーラは妖しく瞳をきらめかせつつ、

(ふふ、いつも私達を愛して包み込んでくれるグランさんが、私とお姉様のなすがまま……♡)

 グランは射精快感に耐え切れず、乾いた声を出しながらまともな思考もできていない。

(カタリナさんっヴィーラさんっ!? 二人の吸引と手コキが、とまらなっ)

「あっがっ!?」

 ビュウウウウウウウウウウ! ビュルルルル!

『ちゅううううううううううう♡』

 陶酔しきった表情のカタリナとヴィーラは射精によって愛撫を緩めるどころか、射精の勢いが少しでも衰えると、手コキと唇の吸引の圧力を強め、ポンプのようにグランの射精を継続させてくる。

 カタリナの無限の献身と、

(いつも行為が始まれば君にしてもらうばかりで、私は愛されるだけ愛されてなすがままだ……。だから今のうちに、お返しをっ)

 ヴィーラの少々の打算。

(グランさんの精力を考えたら、今のうちに絞れるだけ絞らないと。挿れてもらった時に、グランさんと少しでも長く抱き合えるように……)

 カタリナとヴィーラの大きすぎる愛情をそのまま体現するかのような、射精してからも決して終わることのない美女二人の吸引と手コキ。

 カタリナはゴクゴクと精液を飲み込みながら、肺活量を活かして吸引の力を弱めず、

「んちゅっちゅううううううう、ちゅううううううぅぅ♡」

 ヴィーラは呼吸の合間に鈴口を舌先でほじくって、器用に愛撫と休憩をしながら吸引に戻る。

「んちゅううう、れろっちゅる、ちゅうううううううううう♡」

 ビュクビュク……ブビュウウウウウウウウ………。

 射精中のペニスへの絶え間ない刺激と吸引で、グランは思考もできず、ただ脳内を快楽物質で支配され、何もできなくなる。

 そんなグランの状況を本能で感じ取ったカタリナとヴィーラは、

(グラン……君は私たちのものだ……だから、私とヴィーラを君のものに……!)

(あなたの白い欲望で、私とお姉様を……愛の沼に沈めてください……!)

 カタリナとヴィーラは激しい射精吸引フェラをこなしながら、同時にビクンと下半身を震わせた。二人の女の園が期待で洪水状態に陥り、グランの射精の脈動に合わせて軽い潮吹きすらしはじめている。

 ビュウウウウウ……。

 まだ、射精は収まっていない、しかし、

「ちゅぷはぁ……あっ……」

「んちゅる……ふふ……」

 カタリナとヴィーラはあえて唇を離し、手コキはそのままにして、二人の顔面でグランの精液を受け止めた。

『はぁああ……♡』

 まるでカタリナとヴィーラは聖水を受けているかのように蕩けきった笑みを浮かべ、鼻先、頬、唇をグランの白濁液で染めていく。

 グランはそれでも行われ続ける手コキで射精を継続され、神経がはちきれそうになりつつも、

(カタリナさんとヴィーラさんが、僕の精液まみれに……!)

 精液によるマーキング、圧倒的な優越感と満たされる性の所有欲。

 射精が小康状態に陥ると、カタリナとヴィーラは互いの精液にまみれた顔を見つめあい、

「ヴィーラ……♡」

「お姉さまぁ……♡」

『んちゅううっ♡』

 グランの目の前で行われる激しい百合のディープキス。

互いのキスは顔中に及び、カタリナの舌がヴィーラの頬の精液を舐めとり、

「ヴィーラぁんむちゅる、ちゅうう♡」

ヴィーラの唇がカタリナの鼻先の精液を吸い取り、

「お姉さまぁちゅるる、ちゅうちゅぱっ♡」

グランによって味付けされた互いの顔面を丹念に味わっていく。

 特等席で見せつけられるグランは、

(二人とも……エロすぎる……!)

 二人の手コキも柔らかくなり、暴力的な射精と快楽は終わりに向かっていたものの、いやらしく微笑む二人と、精液にまみれたレズキスを見せられて、男根が急速に硬度を取り戻し始める。

 そしてその硬度は、カタリナとヴィーラも手中で感じ取っていた。

『んちゅぱぁ……』

 カタリナとヴィーラは、二人の唇と舌をグランに見せつけながらキスを終え、立ち上がり、グランの前のテーブルへと腰かける。

 カタリナが上着をたくし上げ、豊満な素肌の乳房を披露する。下半身は全て脱ぎ去られ、トロトロとあふれ出す陰部を、足を広げてグランへ見せつける。

 ヴィーラもまた、赤い胸を覆う赤い外衣を下ろし、短いスカートから足を広げて内部を露わにすると、涎を垂らす、むき出しの陰部が現れる。

 二人の美女がそれぞれの女の園を、人差し指と中指で広げ、グランへ上と下の口で求愛する。

「グラン……♡」

「グランさん……♡」

『来て……♡』

 

 

 まだ駆け出しも駆け出し騎空士、エルステ帝国と敵対していたある日のこと。

「カタリナさんの後輩?」

「……ああ、君を見ていたら、ふと、思い出してな……」

 カタリナが憂いを持った表情で呟く。場所はアウギュステ・ユディスティラ島ビーチ。白ビキニ水着でありがながら帯剣して籠手は外さないカタリナと、トランクス水着のグラン。

 普段お世話になっているカタリナへ感謝の気持ちを込めてと、グランはかいがいしくパラソルを用意したり食べ物や飲み物を持ってきたりしていた。

 戦いの合間の中のバカンス、ルリアやビィはもちろんのこと、イオやロゼッタ、ラカムやオイゲン、ウェルダーなどの男性陣も思い思いに羽を伸ばしている。

 そんなバカンスを用意したのはグランだったから、カタリナも苦笑しつつグランの奉仕的行動を素直に享受していた。

「カタリナさん、喉乾いてないですか? 一緒に持ってきますよ!」

 カタリナの機微を感じ取り、欲しいときに声をかけてくる優しいグランの姿が、

「カタリナさん、パラソルと敷物は任せてください!」

「カタリナさん!」「カタリナさんっ」「カタリナさーん。こっちです!」

 

『お姉様』

「……ィーラ」

「え?」

「あ、ああ、いや」

 パラソルの下、ビーチマットの上で座っていたカタリナの口からこぼれたのは、一人の女性の名前だった。

 グランは名前こそ聞き取れなかったものの、カタリナの呟きに対し、興味がわいた。

 もしグランがカタリナの表情を注意深く観察していたら、カタリナの複雑な表情を察し、彼女をしばらく一人にしただろう。

「何か、考え事ですか?」

 カタリナは別に話す必要はなかった。だが、ヴィーラの顔が脳裏に浮かんだ途端、今自分が享受しているバカンスが、海ではしゃぐルリアを見ている自分が、許せなくなったような……懺悔にも似た感情のまま、言葉を紡いだ。

「騎士学校時代の頃、仲良くしていた後輩が一人いたんだ。気立てがよく、剣の才能があり、可憐で気品があった。よく料理も作ってくれて、私もつい甘えてしまってな。今回、このバカンスで君が色々と気を利かせてくれたから……思い出したんだ」

(いや……忘れてしまっていた、というべきか。忘れていいはずがないのに。私は……)

(すごいなあ。カタリナさんがここまで言うなんて、すごい人なんだろうな……。でも、カタリナさん、どこか表情が暗いような……?)

「カタリナさん、その人と何かあったんですか……?」

「……」

 あのカタリナが、答えに窮しているように見えた。

「あ!? ご、ごめんなさい。無神経でしたね……」

「いや、いいんだ。……私は……彼女にひどいことをしてしまってな……」

 グランも見た事のないカタリナの後悔の表情。カタリナは、旅に出てから短い期間であっても、グランの活躍を間近で見、頼りにし、背中を任せてきた。

 グランは数多の星晶獣を鎮めて空図の欠片を集めてきたのはもちろん、カジノ艇やサブル島での事件で、陣頭に立って戦い皆を導いてきた。

 だから、カタリナは無意識のうちに、グランを大きく見始めていたのかもしれない。全幅の信頼を寄せていたがゆえに、センチメンタルな感情が漏れた。

「カタリナさんが……?」

「……彼女は、本当に察しがいい子でな。私が欲しいと思った物は言葉に出さずとも持ってきてくれたし、いてほしい時に傍にいてくれた。だから、私は甘えてしまったんだ。私自身の望みを叶えるために。彼女の察しの良さに、彼女の優しさに甘えて、利用した……」

 カタリナが深い後悔を抱いていることは、グランにもすぐわかった。

「カタリナさんは、その人とは、もう会ってないんですか……?」

「……ああ……会おうと思えば会えるのだが……。いい別れ方をできず、それっきりなんだ……」

 カタリナの言葉そこで止まった。カタリナの視線の先では、ルリアとイオとビィが水をかけあって遊んでいる。ルリアがカタリナに手を振ると、カタリナも笑みを作って手を振り返した。

 グランはカタリナを尊敬している。剣の師匠であり、ルリアを守る守護騎士であり、その志と戦う姿は気品にあふれて美しい。

(カタリナさんの、力になりたい)

 中途半端な気遣いは無神経、一度踏み込んだのなら許される限界まで。グランは短い人生経験から脳内をフル回転させ、カタリナへの言葉を紡ぎ出す。

「カタリナさん……カタリナさんさえ良かったら、この旅の中で、その後輩さんに会いに行きませんか?」

「えっ!?」

「その人ってカタリナさんにとって大切な人で、仲直りしたい人なんじゃないかなって……細かい事情はわからないけど、僕にとってカタリナさんは、心から尊敬できる人なんです。帝国を相手に、たった一人でルリアを救って……旅の中でも何度も助けられたし、剣だってカタリナさんのおかげで凄く上達しました。だから、もしカタリナさんがその人に謝りたいなら、僕も一緒に行きます。カタリナさんがとても優しくて、強くて、困っている人を助けてくれる人だって、その後輩さんに伝えたいんです。カタリナさんが後輩さんにしてしまったことを、とても後悔していることも……」

「ふふ、大分お節介だな、君は」

「ご、ごめんなさい……」

「いや、すまない。気遣ってくれてありがとうグラン。本当に嬉しいよ。そうだな……いつになるかはわからないが、エルステ帝国との状況が落ち着いたら、会いに行くよ。ただし、君の手は煩わせないよ。私だけで、ちゃんと彼女に謝りたいんだ。たとえ、許されなかったとしても……けじめとして」

 カタリナの寂しげな微笑みを見て、グランは感情を揺さぶられた。

(カタリナさんが、こんな表情をするなんて……何もできないのかな、何か、できないか……今の僕に……)

 何もできはしない。詳しい事情も聞き出せておらず、その後輩本人も気楽に会えるものではないのだろう。

 だから、グランは、誠心誠意伝える事しかできなかった。一%でも、カタリナの悲哀を和らげたかった。

「……カタリナさんっ!」

「!? へっ!?」

 カタリナが思わず高い声を出したのは、グランの顔が間近にあり、その手がグランに握られていたからだった。

 カタリナが戸惑う中、グランは若さと感情のまま言葉を発する。

「僕はカタリナさんの事を、とても大切に想っています。カタリナさんが苦しんでいたり、悲しんでいることがあるなら、なんだって力になります。カタリナさんがいてくれるから、皆が笑顔で旅を続けられている。カタリナさんが支えてくれるように、僕もカタリナさんを支えたい。だから……!」

「わ、わかった。わかったから! 顔が近いぞっ! 手もその、離してくれっ」

「え、あああっ! ごめんなさいっ! つい……」

「まったく……」

 カタリナと口調は少々の圧力と照れがあったが、グランは慌てていて気付いていない。また、グランを申し訳なさそうに顔を伏せた瞬間、カタリナは微笑みを作っていた。

(まったく、感情的というか……けれど、私自身悪い気がしないあたり、彼の長所なのだろうな。素直さがなせる無意識の行動ということか)

 カタリナは驚いたものの、グランに嫌悪感は全く抱いていなかった。旅の中で築き上げた信頼と、困った人を放っておけない彼の今までの行動を見れば、決して下心があってカタリナの手を握ったわけではないとわかる。

(尊敬、か)

 カタリナはグランからの言葉を反芻する。

(いざ言葉に出されると、気恥ずかしいな……。君が私の事を慕ってくれていることはわかっていたが……)

 

『僕も、カタリナさんを支えたい』

 

「……頼りにしているよ、グラン」

「え」

「私はこの空の旅で、一人でできることには限界があると思い知らされた。乗り越えることができたのも、皆が傍にいてくれたからだ。ルリアも君も。だからもしもの時は、君に遠慮なく頼るよ」

 グランの成長はカタリナも認めている。

(まだ不安なところはあるが、それでも愛弟子の誠意には応えてもいいだろう)

 カタリナの言葉で、グランは「はいっ!」と力強く返事をした。

(だがグラン、口では君を頼りにすると言ったものの、そんな場面はきっと訪れない。私は……君を守らなければならない)

 カタリナの記憶の中の後悔は、もう一つあった。ザンクティンゼル、ルリアとグランが出会った運命の記憶。カタリナが思い返す場面の中には、グランが血みどろの中で息絶えている。

(私が守る。守ってみせる)

 そんな悲壮な覚悟は、数分後に霧散した。

(グラン! どこだ! 助けてくれ!)

「ねー、おねーさん! 良かったらビーチバレー入ってくれない?」

「ごはんもおごるよ!」

「他を当たれ! まったく! ああ、こんなに時間がかかるとは!」

 世話になるばかりでは性に合わないと、飲み物等の買い出しに来たカタリナだったが、今は後悔してグランを探していた。行きも帰りも、カタリナの水着の美貌に惹かれて若い男性が、ひっきりなしにナンパしてきている。

「あ、よかった! カタリナさん、こっちです!」

「グラン!」

 帰りの道中、グランが迎えに来ていた。荷物を持とうと来てくれたようで、普段のカタリナなら「いらない心配だ」と苦笑するところだったが。

「助かったよ……ではこちらの飲み物を持ってくれ」

「はい! 任せてください!」

(男のグランと一緒なら、ナンパされることもないだろう)

 そんなことはなかった。

「ねーちゃん、良かったらそこの海の家で一緒に」

「ことわるっ!」

「俺とスモウォーを」

「しないっ! なんだそれは! はぁ……」

 カタリナにとっては、買い出しよりも数多の男性からナンパされる方が大変だった。

グランは最初「さすがカタリナさんだなあ」なんて思って見ていたが、少し疲弊した様子のカタリナが、恨みがましくグランを見た。

「え」と驚いたグランだったが、カタリナがグランと合流した際の安心したような笑顔を思い出す。

(これって……僕がナンパの防止になることをカタリナさんは期待してたけど、全く役に立ってないってこと? 僕って、カタリナさんと並んで歩いてても、ナンパする人たちは全然気にしてない……!?)

 支えると先ほど言っておきながら、カタリナの救難信号に気づけなかったことと、男としての尊厳を揺るがす事態が起きていたことに気づいた。

 それでもグランはショックを推進力に変え、即行動する。

(カタリナさんがナンパされないようにするには……今の僕には、カタリナさんと釣り合うように急に男らしくなる、なんてことはできない。それなら……)

「カタリナさん、手を、つなぎましょうか?」

「ぇえ?」

「荷物は全部僕が片手で持てます。カタリナさんさえ良ければ、手をつなぐことで、ナンパする人もいなくなると思うんです」

「本気か? 確かに、そうかもしれないが……」

 今まで行く手を阻むような悪質なナンパもあり、その度カタリナは恫喝して睨み追い散らしていた。

(その面倒が無くなってくれるなら……ううむ)

 カタリナを見るグランの眼差しは、「役に立ちたい」と全力で語っていた。

「……わかった、任せる。皆と合流する前には、離してくれよ」

「もちろんです。それじゃあ」

 ぎゅっ、とグランはカタリナと手をつないだ。その瞬間、カタリナは自身へ近づこうとしてきていた男たちの気配が止まったことを察した。

「おお、頼もしいなグラン。効果覿面だ」

 カタリナはつい嬉しくなって、グランへウインクする。

 グランからすれば、手をつないだ途端に放たれた美女のウインクだった。

「あっ、い、行きましょう!」

 グランの胸が高鳴る。上ずる声、紅潮する頬を抑えきれない。早歩きにならないよう神経を使う。そんなグランを見てカタリナは、

(グラン……照れているのか……?)

 グランの手の温もりと、力強さ、そしてカタリナの歩幅に合わせるグランの気遣いを見て、

(……成長しているな、君は。無鉄砲さはそぎ落とされ、視野が広くなっている)

 カタリナの脳裏に浮かぶ、アルビオンに残した後輩の姿。こんな風に、彼女から手を握られたこともあった。

 カタリナに浮かぶ一つの夢想。もし、彼女とも一緒に、空を巡ることができたなら……。

(……やめよう。シュヴァリエはそれを許さない。でも……彼女ともう一度出会い、彼女が私を許してくれたならば……)

 一緒に手をつなぎ、あの懐かしき木陰で、サンドイッチを食べられるだろうか。

「カタリナさん、そろそろ……」

「あ、ああ、そうだな……」

 カタリナが考え事をしている間に、皆との合流地点が近くなった。周囲に観光客は多かったが、仲間にはあまり見られたくない

(グランも、困るだろうしな……)

 最後の事件はグランとカタリナが手を離そうとした直前に起きた。

「お姉さん綺麗だねー今時間ある? ん、こっちは弟さん、ちょっとお姉さんと話したいんだけど……」

 ガタイの良いドラフの男が、手をつなぐグランを払いのけようとする勢いでカタリナに迫ってきていた。

(こういう輩もいるか)

 カタリナが声を張り上げようとしたその時、

「僕の彼女です!」

 グランがカタリナを引き寄せ、カタリナを背に庇うように前に出る。

(……はは、いいじゃないか、グラン)

 カタリナは微笑ましさと喜びのまま、グランの肩へ頭を乗せる。

「私の彼氏だ。無駄な時間はよした方がいい」

 ドラフの男は口をパクパクとさせたあと、肩を落とし、最後はグランにサムズアップして「大事にしろよ」と白い歯を見せて去っていった。

 グランとカタリナの神経にほとばしる、謎の優越感。しばらく固まってドラフの男の背を見ていたが、カタリナの方が幾分早く再起動した。

(君の体は、ずいぶんと逞しくなったな。その分生傷も増えてしまったが……誰かを守る姿が、堂に入っている。私の支えになるという言葉も、あながち……)

 カタリナの心の中で、ゆっくりじんわりと広がる、ときめきのような温かさ。

 グランとカタリナは、彼氏彼女と言う言葉を本気にするほど頭はゆだっていない。けれどカタリナは、初めて感じた自身の心の温かさに、少しだけ従った。

「頼りになるな、グラン……ちゅ」

 が、完全な事故が起こった。頬に軽く触れるつもりが、グランが振り返った。

「「んんっ!?」」

 一瞬世界が止まり、即座に動き出す。グランとカタリナが俊敏に距離を取り、二人真っ赤な顔をして顔を背けた。二人共混乱の極みにあり、口がわなわなと震えている。

「ち、ちがう! ちがうぞグランっ! その、これはっ!」

「え、ち、ちがうんですか!? なにがっ!?」

「何がって、その、ああ、今のはその、ただの感謝だっ! かばってくれた、お礼をしようと……!」

「感謝で、これはその……刺激が強すぎるというかっ。ぼ、僕だって男ですし!」

「なっ、誰にでもするわけではない! 君だったから……!?」

 カタリナは自分で言っていながら窮し、顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。

 聞いていたグランも同様、近づこうとしたナンパ男たちはラブコメの波動を感じて近寄れない。

「わ、忘れろ。忘れてくれ、頼む……!」

 カタリナは自身の額に手を当てて完全に参っている様子。それを見たグランも追い打ちするようなことはしたくなかった。

「わかりました……行きましょうか」

 火照った体と茹った頭のグランが、離れていた手をカタリナへ差し出す。

「ああ……」

 カタリナも、当然のように握り返した。

(カタリナさんの唇……い、いや、僕は何を考えて……!)

(私は、なんてことを……! バカンスのせいで、浮かれてしまったのか……)

 仲間と合流前に手を離すという事すら忘れ、二人は無言で歩き続ける。

(カタリナさんって、僕の事を……? いや、でも忘れろって……)

 悶々とするグラン、カタリナもまた、唇と唇の触れ合いが事故であることは肯定しつつも、頬へ口づけようとしたのは自身の意思であることは明らかだった。

(感謝にしたって……本当に、私はどうかしていた……彼だって、私にこんなことをされて、喜ぶわけでは……)

 カタリナが女性として自己評価が低いのではなく、グランのことをとても誠実な人柄だと信じていたために、自らの行動を恥じているが故の消極的思考。

 しかし、当のグランはというと、

(水着姿のカタリナさんと手をつないでも、周りから僕は男として見られてない。キスまでしてもらったのに、忘れろって言われても、忘れられないよ……)

 グランは周りの目を引くような眉目秀麗とは言い難い。それでも腹筋は割れているし、精神的にも少年から男へ成長しつつある。

 グランにも、負けん気とプライドが芽吹いていた。敗北感と屈辱があった。それらを挽回し、糧とするために、グランは青いトキメキに従い、宣言した。

「必ず、カタリナさんに見合う男になりますっ」

 手を繋ぎなら、前を見据えていうグラン。カタリナは言葉の意味を飲み込むのに、数秒の時間を要した。

「……ふう、まったく……」

(君を、何か目覚めさせてしまったかな。だが……悪い気分では、ないな……)

「……期待している」

 互いの顔は見られなかった。しかし、互いの声はいつまでも耳の中で反響した。

(待ってて、カタリナさん……!)

 カタリナの脳内では、今までのグランとの旅の記憶、みるみる逞しくなっていくグランの姿が映る。

 最後に映ったのは、先ほどカタリナを庇ったグランの姿。

(……君なら、すぐかもしれないな)

 数秒後、二人紅潮した頬のまま手をつないで仲間達の元へ戻ってしまい、ルリアやイオから問い詰められ、ラカム・オイゲン・ロゼッタからは微笑ましい目で見られてしまった。しばらくカタリナとグランは言い訳と、一部団員からのからかいに四苦八苦することになったが、団の皆と過ごす中で、忘れられない楽しい思い出の1ページとなった。

 

 アルビオンで、カタリナが団から離れるまでは。

 城塞都市アルビオンには名門士官学校がある。街中であっても在校生の訓練用に魔物が放たれ、卒業生は優秀な士官として様々な国や軍隊で活躍している。

 カタリナ・アリゼとヴィーラ・リーリエはアルビオン士官学校時代に出会い、二人共トップクラスの成績で仲睦まじかったが、二人の関係は断ち切られることになった。

 アルビオンの武術大会決勝で対戦することになったカタリナとヴィーラ。勝者はアルビオンの星晶獣シュヴァリエと契約することになる。その契約は、アルビオン領主として一生を島の中で暮らすことを示していた。

 カタリナはこの頃から誠実な騎士であり順当に勝ち上がったが、シュヴァリエとの契約の事実を決勝直前に聞かされた。

 カタリナは、アルビオンで一生を過ごすことを受け入れられなかった。決勝は始まり、士官学校の歴史に残る激戦を繰り広げるカタリナとヴィーラ。

 ヴィーラは、カタリナの想いを知っていた。結果はヴィーラの勝利。

 戦う前に二人が示したわけではないから、八百長ではない。

 しかし、決勝という舞台、相手が信頼するヴィーラであるにも関わらず、どこかカタリナの剣技に身が入っていなかったのも事実だった。

(私はヴィーラに、領主の座を押しつけてしまった)

 カタリナに刻み付けられた暗い記憶、しかしエルステ帝国への士官、ルリアとの出会い、騎空団としての旅立ちの中、思い出す暇もなくなっていった。

 旅の行き先がアルビオンになり、ヴィーラと再会するまでは。

「お久しぶりです、お姉様」

 ヴィーラのカタリナへの想いは、強大になり暗く変質していた。エルステ帝国との和解のため、団を離脱するカタリナ。カタリナを取り戻しに行く戦いの中、カタリナとヴィーラは和解。和解の過程で、ヴィーラをアルビオンに縛る契約も解かれた。

 ヴィーラの騎空団加入の申し出を、グランは了承した。

(根は悪い人じゃないと思う。きっと、カタリナさんも喜んでくれるだろう……)

 グランの思い通り、カタリナとヴィーラは失った時間を取り戻していく。

 しかし、グランとカタリナの間には、不可視の壁が作られていた。

 

『必ず、カタリナさんに見合う男になりますっ』

『……期待している』

 

(カタリナさんは、待ってくれなかった……いや、しょうがなかったんだ。皆を守るために……それに、もう戻ってきてくれたんだから……)

(彼にあんなことを言っておきながら、私は……。いや、これで良かったのかもしれないな。今は彼も団の女性たちに人気があるようだし、ヴィーラだって、最近は彼とよく二人でいる。私は……邪魔をしないほうがいいだろう……)

 ヴィーラは狂恋の徒と呼ぶにふさわしい女性だった。カタリナへの想いは相変わらず独占欲と崇拝が入り混じり、カタリナへ近づくものは笑顔で敵意を露わにし、実力行使もいとわない。

 しかし、さすがにルリアは対象外であったし、暴力性も次第に軟化して、団の女性たちと普通に友人関係を築いて出かけることも多くなった。

 最近はグランと二人でいる、というカタリナの見立ても、あながち間違いではなかった。というよりヴィーラ自身が、自身の心境の変化の中心は、グランであることを認めていた。

 とある魔物との戦闘においても

「グランさん、先ほどは庇っていただき、ありがとうございました。ふふ、お姉様の指導の成果でしょうか。この調子ならいずれは、グランさんもお姉様のような素敵な方に……? 期待は、しておいてあげますね」

 アウギュステで、二人で語らった時も、

「もし私に、友と呼べる存在があったなら……きっとこんな感じなのでしょうね」

「僕はもう、ヴィーラさんと友達だと思ってるけど……」

「あら、随分と自己評価が……ふふ、冗談ですよ」

(ヴィーラさん、出会った時と比べると、とても優しくなったし、幸せそうな笑顔を見せてくれるようになったな……もっと、皆と馴染んでもらえるといいな)

 グランとて、当初ヴィーラのことを女性として特別想っていたとか、一目惚れしたという自覚はなかった。

 けれど、自他共に認めるカタリナ至上主義かつ排他的に見えて攻撃的だったヴィーラが、騎空団でグラン達と一緒に過ごすにつれ、みるみる態度が軟化し、団の皆のために行動してくれるようになった。

 その変化を間近で見ていたグランはつい、ヴィーラのことを目で追ったり、彼女と共に過ごす時間が多くなっていった。

 そしてグランとヴィーラにも、明確なきっかけがあった。

 ヴィーラがシュヴァリエと真の主従関係を結ぶ過程で、倒れたヴィーラを介抱し、ヴィーラが目覚めた時、その手を握っていたのは……。

「どうして、あなたなのですか? 私の手を握っているのが、どうして……」

 ヴィーラは涙を流しながらも、心には帰るべき場所に帰ってきた安堵の感情があった。グランの手を、握り返していた。

(ヴィーラさん……)

 そんなヴィーラと触れ合ってきた中でグランに芽生えた、ヴィーラへの庇護欲と、もっと幸せになってほしいという奉仕欲求。

 ヴィーラもまた、グランのことを、カタリナとはまた違うベクトルの特別な存在であることを認めていた。

 

 事件は、バレンタインで起こった。

「グランさん。もうすぐバレンタインですけど、また付き合っていただけますね?他の方から誘いを受けても私を優先してくださいますよね? 私達の絆なのですから……!」

 カタリナの壊滅的な料理センスでもたらされるバレンタインチョコ。カタリナは料理することそのものは趣味と言っていいほどに好んでいたから、カタリナからの手作りチョコのプレゼントは伝統となっていた。

 グランとヴィーラは、毎年カタリナのチョコを完食していた。しかもカタリナの目の前で、意識を半ば失いながらである。

 グランとヴィーラは半死半生になりながらも、このイベントを待ち望んでいた。カタリナからのチョコは味はともかく純粋に嬉しかったし、

(さて、今回のバレンタインの作戦を、グランさんと相談しないと……♪)

 バレンタインの直前と、チョコを食したあとの反省会。グランとヴィーラ、二人きりで過ごす時間は、毎年の当たり前のものとなっていた。

 そんな二人を見ていたカタリナは、

 

『必ず、カタリナさんに見合う男になりますっ』

『……期待している』

 

 複雑な表情をして、首を振ったあと、寂しそうな笑顔をして、サプライズプレゼントとして、二人の高級レストランデートをセッティングした。

 

 カタリナからのサプライズプレゼントは、グランとヴィーラの仲をより深くし、二人にとって宝物のような思い出として刻まれた。

「グランさんは私にとって戦友以上の――」

(ヴィーラさんに、そこまで言ってもらえるなんて……!)

 ヴィーラとて皆が振り返るような美女、当初は敵対していた彼女と日々を過ごしてきた末にこんなことを言われては、グランも嬉しさで舞い上がるほどだった。

(僕も成長できたかな。領主を務めてたヴィーラさんにここまで言われて、信頼してもらえて……ヴィーラさんにとって戦友以上の存在って、それって、もしかして……)

 グランが久しく忘れていたトキメキの感情、ヴィーラの姿が脳裏に思い浮かび、桃色の背景を形成する。しかし、ヴィーラの隣には、

 

『……期待している』

 

 亜麻色の長い髪、水着姿で微笑む美女の横顔。

 グランは、決して忘れていたわけではなかった。むしろ、数多の女性団員から明確に好意を告げられても番(つがい)になることがなかったのは、最初の誓いを忘れていなかったからだった。

 グランとヴィーラは食事を終えて帰路につくと、グランサイファーではカタリナに出迎えられた。結局グラン達はカタリナの手作りチョコにより、いつものバレンタインを過ごすことになるわけだが、カタリナが放った一言が、三人の関係にひずみを起こした。

「ヴィーラ、君がグランと、バレンタインを共に過ごしたそうに見えてな」

 ヴィーラは即座に否定しカタリナ一筋であることを告げたが、グランの心にはざわめきが起こっていた。言葉を告げたカタリナの瞳がグランを見た瞬間、寂しそうに揺らいだように見えたからだ。

(私の事は、気にしなくていい)

 そう、グランはカタリナに言われた気がした。

 その日から、何度かグランはカタリナと二人で話す機会を設けようとしたが、うまくいかない。

 グランも団長として忙しいからしょうがない部分もあった。が、根底としてカタリナがグランを避けていることに気が付いたのは、カタリナの日常をつぶさに見守り続けるヴィーラだった。

(お姉様、グランさんと何かあったのでしょうか? 喧嘩するような二人には見えませんが……)

 ヴィーラもまた、グランとカタリナの関係性を完璧に把握しているわけではない。信頼する仲間以上のものとは、想像もしていなかった。

 だが、最近一部の女性陣から人気が高まってきたグランが、とある女性団員にまるで恋人のようにスキンシップされた瞬間、傍にいたカタリナは、

「……っ……」

 一度頬を赤く染め、悲しそうに眼をそらし、誰にも気づかれぬようその場を離れていた。

(そん…………な……! お姉様が……グランさんを……!?)

 ヴィーラにとって青天の霹靂、しかも、グランがカタリナを好意的に想うならいざ知らず、あの色恋に疎いカタリナが、グランに対してわかりやすいほどの反応を見せている。

 ヴィーラが観察を続けていくにつれ、グランもまた憎からずカタリナを想っており、時間を作ろうとしているのがわかった。

 ヴィーラは複雑な心情で混乱している。

(な、なんなのですかこの状況は。お姉様とグランさんが、まるで、恋心を抱いたもの同士が些細なきっかけですれ違いを起こしている様な状況……! い、いえ、落ち着きなさいヴィーラ・リーリエ。私はお姉様のもの、お姉様は私のもの。お姉様の心を乱す危険因子は、あのトカゲと同じように……!)

『ヴィーラさんっ!』

「……っ……」

 ヴィーラとカタリナを隔てる障害は、常に排除してきた。しかし、ヴィーラとカタリナの新しい日常を作り、ヴィーラが知らなかった数多の幸せをもたらしてくれたグランに対して、ヴィーラは、

(……どうして、あなた、なんですか……)

 身動きが、取れなくなっていた。

 

To Be Continued...




サンプル版はここまでです。

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