5000文字程度
休み時間のことだった。
教室の真ん中でいつも騒がしくしている女子たちが、ことさらに騒がしく会話をしていた。
「……だからぁ…………なめくじが……」
「?」
女子から出てくるとは思えない単語に、少し興味をそそられる。
私は少し集中して、その女子たちの会話に耳を澄ませることにした。
「でもなめくじ肌にのっけるとかキモくなーい? あたしマジムリなんだけど」
「昔あったドクターフィッシュ? ってのと同じようなもんらしーよ?」
「なんか美容用にヒンシュカイリョーされてるっぽいね。私はやんないけど」
これだけ情報が集まれば十分だろう。
私は盗み聞きを切り上げて、ネットで少し調べてみる。
「…………」
どうやら、品種改良したなめくじを使ったデトックスらしい。
絵面がやばい以外は好評で、別に法に触れているわけでもないようだ。サンプル画像として見せられたなめくじが女性の肌を這う画像はマジで絵面がやばかったが。
そのまま調べるのをやめたら、そこで終わりだった。
そもそも美容に興味とかないし。
身長が伸びるなら考えたが、そういうわけでもない。
私が興味をひかれたのは、掲示板で見たとある一文だった。
『これ、ケツのなかに入れたらめっちゃ気持ちいいらしいな』
その発言に対して情報ソースを求めるレスに、返答としてエロ動画サイトのURLが貼られる。
「…………」
私はそれとなく周りを見て誰も見ていないことを確認してから、ミュートにしてその動画を再生することにした。
動画はマンションの一室で撮影されているようだった。
カーテンは閉め切られ、明かりも少し抑えめ。
私も何度か見たことがある、白いマイクロビキニの女性がアダルトグッズの実演をしているチャンネルだ。
『――――。――』
口パクで何か話しているところはスキップ、実演のところまで飛ばす。
『いざ実演!』とテロップが出た後、女性はベッドに寝転がってビキニの上を取り外し、なめくじを自身の肌に――乳頭に這わせた。
しばらく気持ちよさそうにする女性の姿と、乳頭を這いずるなめくじの姿が映される。思ったほどじゃないので、このくだりも飛ばす。
そして、結構な時間を飛ばした後、そのシーンが来た。
女性は糸を引くビキニの下を脱いでベッドの端っこに投げると、固定してあったカメラを手に取り、股の間――アナルの窄まりが見える位置に置いた。
乳頭の時点で相当気持ちよかったのか、まんこの方も相当濡れている。
映像の外からなめくじを乗せた手がにゅっと伸びてきて、少し迷ったような感じで動きながら、やがてアナルの方へと運ばれていく。
手の上をのたのたと這いずるなめくじは指先で方向転換させられ、その進行方向には本来出すこと専用の穴。
なめくじはゆっくりとした動きで尻穴の表面を撫ぜて――その中に入り込んだ。
びくん――と、女性の体が跳ねた。
しばらくすると、映像として代わり映えしないことに気づいたのか、カメラが再び固定位置に戻されるが、その間も体がたまに震えていることがわかる。
女性はカメラを戻してベッドに寝転がるが、その動きはなまめかしく、全身には玉のような汗が浮き上がっていた。
無音で、のたうち回る女性。
ベッドのシーツをつかみ、必死に大きな快楽をいなそうとしている様子が映され続ける。時折潮を噴きつつ、くねくねと自分の体を動かす様は見ているだけでも興奮を誘った。
「…………」
私は不安になって、再び周囲を見回した。
不安になったのは――映像を見ていて、自分の乳首が固くなってきたのを感じたからだ。
「あっ」
そして、次の授業が始まろうとしていることに気づいた。
私は急いで端末の電源を落とし、カバンにシュート。
次の授業の準備を終えて――密かに決意する。
(このなめくじ、飼ってみよ……)
すり合わせた太ももの間から、くちゅりと湿った音がした。
※ ※ ※ ※
両親共働き。一緒に食事するどころか家に帰ってくることすら稀。
ただしお小遣いは山ほどもらえる。
成績も習慣になってる予習復習のおかげで悪くなく、友達はいない。
暇な時間が多い。
というわけで、私は幼いころから一人遊び――要するにオナニーにはまっていた。
家に帰ればすぐに自室へ引っ込み、クローゼットに隠したあれやこれやを使って日々快楽に耽溺する。
それが私の日常だった。
さすがに処女膜ばかりは取ってあるが、それもいつまで残るのか。
そんなことを思いながら家に帰ると、家のドローンステーションに荷物がやってきていた。学校の休み時間に注文しておいてよかった。
「ふんふふーん」
鼻歌を歌いつつドローンから荷物を受け取り、二階にある自室に戻って開封。
すると、中からガラス瓶に入ったなめくじと、説明書が出てきた。
商品名は『デトックススラッグ』。そのまんまだ。
注意事項は色々。死なせないためにはうんぬん、エサには老廃物が必要なので定期的にうんぬん。汚れは分解吸収するため洗う必要はないが、どうしても気になる場合は濡れタオルで優しく拭き取ってとかなんとか。
そして――気になる注意事項。
「”体内に入ってしまった場合の対処法”……うわ、こんなのあるんだ」
えーっと?
「”基本的には放置してください。半日経過しても出てこなかった場合、食事を制限すれば老廃物を消化し終え、出ていきます”」
なるほど。断食すれば出てくるのか。
運動部の学生とかが興味本位でやったら大変だろうな。次の日の部活は諦めなきゃいけなさそうだ。
まあ私帰宅部だから関係ないけど。
注意書きも読み終わったところで。
「さて、と……やっぱキモイな少し」
昔、下校路で見た以来のなめくじはやっぱり気持ち悪かった。
ごくりと喉を鳴らしてから、そろそろと瓶の中に手を伸ばす。
「うわ、登ってきた……手触りは、うーん。悪くない?」
むしろ、ちょっと気持ちいい?
ひんやりとしていて、ぬるぬるも程よい感じ。
これで肌触り悪かったら捨てるつもりだったが、お小遣いを結構な量減らしたかいはあるというものだ。
私はいったんなめくじを瓶の中に戻してから、準備を始めた。
まずカバンの中から授業用のタブレットを取り出し、今日の授業を復習。
復習が終わったので、これで後顧の憂いなく快楽に耽溺できる。
「…………よし!」
服を脱ごう。
制服を脱ぎ、クローゼットのハンガーにかけていく。
次に下着だ。ブラジャーとショーツを脱いで。
「濡れてる……洗濯機に入れとこ」
全裸に靴下で一階の洗濯機に向かい、下着とついでに靴下を放り込み、素足で戻る。
そして髪を結んでいたゴム紐をほどいて、姿見の前に立つ。
「うーん、やっぱり育たないな……」
毛が生えてないお子様おまんこに、平らな胸。
見事なまでのロリ体型で、一向に成長の気配がない。まあ、そろそろ諦めもついてきたからいいけどさ。
「…………」
やや肩を落としながら、ガラス瓶を拾ってベッドに座る。
ちょっと固く締めすぎたフタに手こずりながら開封し、再びなめくじを手にのっけて、一呼吸。
今からこのなめくじをアナルに……。
アナルに……このなめくじを?
「しょっぱなからこれをお尻は……ちょっとな」
うぞうぞと蠢く軟体に、ちょっと怖気づいた。
「……まずは胸からかな」
まあ胸っていうほどのものはないから、どちらかというと乳首かな。
私が期待にぷっくりと膨らんだ勃起乳首になめくじを這わせようとすると、なめくじはそのことがわかっているかのように蠢き、乳首の上に乗った。
「ん……ふっ」
ひんやりとした感触に少し声が漏れ、続いてやってきた快楽に吐息が漏れる。
私はなめくじの負担にならないように、ゆっくりとベッドに寝転がった。
そして目をつむり……なめくじが肌を這う感覚に意識を集中させる。
「……っ」
やばい。
想像以上に気持ちいい。
さっきの動画で、撮影者の女性がなめくじを胸に這わせてた理由が動画映えじゃないことを理解した。
これ、体表を這わせるだけでも結構気持ちいいんだ。
ねっとりと、全体を丹念に舐るような動き。
でも人間の舌では絶対に再現不可能な、なめくじ特有の動き。
病みつきになりそうだ。
「……ふっ、…………んぅっ」
乳首がどんどんと硬くなっていくのがわかる。
シーツが愛液で湿っていく感覚で、タオルを敷き忘れたことを思い出した。
このシーツ後で洗わなきゃな……と思い、その思考もなめくじが這いずる快楽によって丁寧になめとられていく。
「もっ……一匹、買っとくんだったかな……っ」
もう片方の乳首が寂しすぎる。
けど、片方だけでこうなのに、両方の乳首に這わせたら一体どうなっちゃうのか、それが怖かった。
そうこうしていると、頭の奥に火花が散るような感覚が走り始めた。
枕をつかみながら、何もすることなく、ただ与えられる快楽に集中する。
なめくじが這っていき、快楽の終点に連れて行ってくれるのをただ待つ。
そして、たどり着いた。
「――――っ!!」
私は情けなく腰を持ち上げながら、潮を噴いて絶頂した。
抑えた嬌声が数秒間続き、止まる。
ぜえぜえと荒い吐息が口から漏れる。
びくんびくんと体が痙攣し、それに呼応するようにして断続的に潮が漏れた。
「ふーっ……ふーっ……! ……マジか」
乳首でイッたことならあるが、まさか片方だけで潮噴いてまでイくとは。
恐るべしなめくじ。これデトックス用とかただの方便で、実際はアダルトグッズとして開発されたんじゃなかろうか。
しかし……乳首でこれなら、アナルに。
いや、それよりおまんこに入れたらどれくらい気持ちよく……。
「……でもさすがに処女はなー」
うん、まずアナルの方を体験してからにしよう。
アナル開発は面倒くささとか、やりすぎたときのリスクとかが目について始める前からやめてしまった。だからほとんど手つかずの状態だが、せっかくの機会だし、このなめくじに任せてみよう。
というわけで。
「なめくじー。乳首はまた今度ねー」
なんだかかわいく見えてきたなめくじを手にのせ、お尻の方へと持っていく。
はじめての行為に、少し緊張する。
「入れられる、かな?」
そもそも結構固く閉まっているわけだが、入る場所として認識してくれるのだろうか。
そう思った私だが、その考えは杞憂だったらしい。
なめくじはずるずると手からお尻を這いあがっていき、そのままアナルに――
「ん、く……っ!」
――あ、これヤバいヤツだ。
侵入していく感覚が、腸壁を舐めるように進んでいく感触が、わかりすぎる。
お腹のなかにある確かな異物感。それが徐々に徐々に、奥まったところにまで移動していくのが鮮明に理解できる。
「これ……っ! やっばぁ……ッ!!」
それはまるで、快楽の濁流だった。
あの動画の女性のように、全身を汗みずくにしながらのたうち回るしかない、暴力じみた快感。
絶頂に達するのも、当然だった。
「んっ、ふぅううううっ! イ――――っ!!」
一回目。
がくがくと足が震え、腰が持ち上がる。
「あっ、やっ、またっ! ――――ッッ!!」
二回目。
潮をまた噴いてしまった。ベッドどころじゃない大惨事だ。
「まって、やだ! むりむり無理ムリむりぃ……っ!」
三回目。
目から涙をこぼし、弱音を吐きながら絶頂した。
「~~~~~~ッ!」
四回目。
人の言葉を忘れて、ただ快楽に身をよじるだけの存在になった。
そして――
「……お、おわ、った?」
ずるぅ……っ、と。
私の腸内から這い出てきたなめくじ。
「え……? あっ、や……っ」
一仕事終えたばかりのそれは、ゆっくり私のお尻を這いあがっていき。
私の体に備わった、もう一つの穴の方へと進んでいく。
「まって。だめ、ダメだから……っ!」
へこっ、へこっ、と腰がカクつく。
そんな情けない、抵抗にもならない動きを意に介さず。
なめくじはゆっくりと、私に見せつけるような緩慢な動きで登っていく。
「はっ、はっ、はっ、はっ――!」
呼吸が、荒くなる。自分の心臓が鼓動を強めたのがわかった。
だって、そこにいれたら、絶対に終わる。
声が抑えられなくなって近所にバレちゃうし。
病みつきになって勉強の復習忘れちゃうし。
人間じゃ満足できなくなっちゃうし。
何より、そう、何より。
私、なめくじにハジメテを捧げることに――
「――――~~~~~ッッッッ!!」
五回目。
私はなめくじに処女を捧げる興奮だけで絶頂した。
(あ、やば――これ、おわる……っ)
意識がトぶ寸前。
ずるり――と、なめくじが私の秘所に侵入する音がして……私はまた、絶頂した。
※ ※ ※ ※
それから数分後。
びしょ濡れになったベッドで意識を取り戻した後、姿見で確認すると……私の処女膜は、綺麗さっぱり舐めとられていた。
想像通り、私はなめくじ相手に処女膜を捧げることになったわけだ。
「なんか……クツジョク」
ガラス瓶をにらみながらそう呟くも、なめくじに人間の言葉は通じない。
悠然とガラス瓶のなかで蠢くだけだ。
ただ、得られた快楽的には大満足だったのも確かなので――
「もう一匹、飼おうかなあ……」
――私はそう呟いて、さらなる快楽への期待に身体を震わせた。