去年の春、僕の家のポストに投げ込まれていた名前の書かれていない手紙。
あれから1年近くをかけ、その差出人を探してきた僕の旅もそろそろ終わる。
最後まで残ったのは九州に住む二人。
そのうちの遠藤晶は違うことがわかった。あとは松岡千恵だ……。
「あれぇ? あんた……」
突然誰かに名前を呼ばれた。だけど僕は振り返る前に相手が誰だかわかった。
「千恵! なんでこんなところにいるの?」
千恵に会ったのは、晶に真偽を確かめた帰りの夜行列車内。
本当はその足で福岡に向かうはずだった。でも千恵に電話をしたら留守だった。
それで一旦東京に帰るところだったんだけど、こうして千恵に会えるとは……。
こんな偶然ってあるんだなぁ。
「あたしさぁ、大阪に武者修行かねて出張ライブに行くとこなんだよ」
千恵が話してくれたことによると、ライブの他にオーディションもあるという。
それに受かればプロとしての道が開けるのだそうだ。
そうすぐ高校生活も終わる。千恵は将来のこと、まじめに考えてるんだなあ……。
「聞いてもらいたいこともあるしさ。ここで立ち話もなんだから、あんたの席行ってもいいか?」
「あ……いいけど千恵、連れは?」
「メンバー? もちろんいるよ。でも二人だけで話したいんだ」
なにやら真剣な表情で千恵が言う。
「じゃあおいでよ」
「ああ」
僕は千恵と一緒に自分の席に向かった。
「すごいなオイ、シングルデラックスじゃないか! あたしらなんかB寝台ソロだぜ?」
ちょっと奮発した僕の席を見て千恵が目を丸くする。
「もう日本中旅しなくてもよくなったからね」
そう。今までは確信を得るために日本中を旅していた。でも結果がどうあれその旅ももう終わる。
「ん? どういうことだ?」
「な、なんでもないよ。ははは……そういえばなんでこの列車なの? 新幹線だってあるだろ?」
あわてて話題を変えた僕に
「採算の取れない路線は全国規模で廃止されてるんだってな?」
あまり鉄道に詳しくなかったはずの千恵がそんなことを言った。
そんな話は僕も聞いていた。ただ、この夜行列車が廃止されるという話は寡聞にして知らない。
「だからさ、これもいつなくなるかわかんないし、あるうちに乗りたいってうちのメンバーが、さ」
「なるほどね。九州と東京じゃ飛行機のほうが便利だし早いもんな。みんなそっち使うかもね」
「そうそう。まぁ、ゆっくり行くことも旅の楽しみだとは思うけどね」
うんうんとうなずきながら千恵が答える。そして
「あんたは乗りなれてるかもしれないけど、あたしは初めてだろ? なんかいいよな、こういうのも」
そう言って僕に笑いかけた。その笑顔のままで
「それはそうとあんたはどうしてこの列車に乗ってるんだい?」
屈託なく聞いてきた。
「ち、千恵に会いに来たんだよ。そ、そうしたらる、留守だったから……」
とっさのことにどもってしまう。
「怪しいなぁ……ま、誰でも人に知られたくない秘密はあるからね。聞かないでいてやるよ」
どこか釈然としない素振りを見せながらも、千恵はそれ以上は追及してこなかった。
「ところで話ってなぁに?」
そう聞いた僕の顔から、千恵は照れたようにちょっとだけ視線を逸らす。
一瞬の間のあと、何かを決心したように
「恥ずかしい話だけどさ……不安なんだよ」
と、僕の顔を見つめたままポツリと言った。
「サウザンブラックなら実力はあるし、不安なんてないんじゃないの?」
素直な感想だった。
いつも自信に満ち満ちている千恵が弱音を吐くところなんて初めて見た。
「自信はあるよ。でもさぁ、所詮は福岡で人気があるってだけだろ?」
「でも福岡から全国区になったバンドはいっぱいあるだろ?」
「だけどさぁ、全国に通用するのか、プロとしてやっていけるのか。それを考えると怖いんだよ」
「う〜ん……」
音楽のことは僕にはよくわからない。適確なアドバイスができないことが僕は腹立たしかった。
「実は昨日、あんたに電話したんだ……こんなこと、あんたじゃなきゃ言えないからさ……」
普段は男っぽい千恵が弱気な表情ですがるように僕を見た。
「留守電だったからどうしようかと思ってたんだけど……こうして会えたんだからよかったよ」
そう言った千恵の目は潤んでいるようにも見えた。
「千恵……」
何か言葉をかけなければ……。
そう思うのだが、僕には千恵の名前を呼ぶことしかできなかった。
列車の規則的な振動と、わずかな揺れだけが僕たちの間に流れる。
遠くの民家の明かりが闇の中を後方に流れていく……。
しばらくの沈黙のあと、千恵がうつむいたまま言った。
「な、なあ……」
「なに?」
「あたしに……勇気くれないか? あんたの行動力とか強さとかを……分けてほしい」
「いいけど……どうすればいい?」
僕が答えると、千恵は顔を上げて
「抱いてほしい」
はっきりそう言った。……言ったあと、これ以上ないというほど赤い顔をしてまた下を向いた。
部屋に入ったあと、僕たちはずっと立ったままだった。
心を決めた僕が寝台に腰を下ろすと隣りに千恵も座った。そのまま千恵を抱き寄せる。
顔の輪郭がぼやけるほどに近付く。千恵の顔が目の前にある。
大きな瞳、かわいらしい鼻、小さな唇。
温かい気持ちで僕が見つめていると、それに気付いた千恵が急に下を向いた。
「そんなに見たら恥ずかしいよ……」
「恥ずかしくなんかないって」
細いあごをそっとなでながら顔をこちらに向かせる。
と、せわしなく視線が宙を泳ぎ、僕と目を合わせないようにする。
本当に恥ずかしいのだろう、抱き寄せた体が少しずつ熱くなっていくのがわかる。
「千恵……好きだよ」
その言葉を聞いた途端、千恵の視線が僕の瞳で止まり、そのまま動かなくなった。
「あたしも……好きだよ」
そう答え、千恵は静かに目を閉じた。
ゆっくりと唇を重ねる。
緊張からか、千恵の歯が小刻みに震えているのが感じられた。
「大丈夫。怖くないから、僕がずっとそばにいるから」
千恵の目を見ながらささやく。
「……うん」
小さく、だけども力強く千恵がうなずいた。
もう一度、今度はさっきよりも丁寧に唇を合わせる。
無意識に僕の服をつかむ千恵の手はとても小さく、そして弱々しかった。
(千恵も女の子なんだ……)
軽く合わせただけの唇をそっとずらし、あごから真っ白な首筋にすべらせる。
「きれいだよ、千恵」
そして、そう言って千恵の髪を優しくなでる。
「ぎゅってしてくれよ……」
恥ずかしそうに小さな声で千恵が言う。
「うん」
それに応え、千恵を抱く腕に力をこめる。
「……もっと強く……壊れるぐらいに……」
「ああ」
言われたとおりに、僕は強く抱きしめた。
「……うん。うれしいよ」
僕の腕の中にある千恵の肩は、小さくて、力を入れたら折れてしまいそうなほど細かった。
「あんたにこうされてると……落ち着くよ」
千恵が笑顔を見せた。
窓の外が明るくなる。
どこかの駅を通過しているようだ。
だけど僕たちは行為を続ける。二人だけの時間。誰にも邪魔されない僕たちだけの時。
肩に手を回し、耳に息をかける。
びくんっ
千恵の体が小さく震えた。
そのまま軽く耳たぶを噛む。
「……ん」
小さく吐息を洩らし、僕に身を預ける千恵。
意識しているのかそうでないのか、千恵のふたつのふくらみが僕の胸に押し当てられる。
千恵が身じろぐたび、そのふくらみが僕の胸に当たる。
「好き……あんたを感じさせてくれよ」
幾分上気した頬で千恵がそう言った。
僕は左手で細い肩を抱いたまま、右手を千恵の胸にあてがった。
そのまま包みこむようにして軽くもみあげる。
「くっ……」
小さな声を洩らし、千恵が体を震わせる。
「ごめんっ! ……痛かった?」
あわてて手を離す。
「ち、違うよ……」
真っ赤な顔でうつむく千恵。
「……うん」
もう一度ゆっくりと手を胸に当てる。その手を通してふくらみが伝わる。
ブラジャーのせいか、少し抵抗のある固い感触を指先が感知した。
たっぷりと重量感のある千恵の胸。それを指の腹や手のひらで何度もこねるようにいじくる。
そのうち、シャツとブラの上からでもわかるほど固くなった突起が感じられた。
「服の上からでもわかる……」
「ば、ばか……。気、気のせいだからな……」
思わず口をついた感想に、千恵が怒ったように抗議する。
「………」
僕は何も答えずに、固くなった乳首をシャツの上から指先で円を描くようになでまわした。
「はぁ、はっ……んっ」
それに合わせるかのように千恵の呼吸が荒くなる。
「あんっ…そんなの……んんっ」
指で押しつぶすようにして千恵の胸の先端を攻める。指先で転がす。はさんでつまみあげる。
「そ、そこ……」
いつもの気の強そうな感じはとうに消え失せ、千恵はオンナを感じさせる声を洩らした。
右手をTシャツの下から潜りこませる。しっとりと汗ばむ千恵の肌が僕を淫らな気持ちにさせる。
「あ……ん…」
ゆっくりと手を薄手のブラに持っていく。
そうして手で包みこむように力をこめると、千恵は僕の背中に回した手でシャツをつかんだ。
「な、なんかヘンだよぉ……」
ブラを下からずらし、固く尖った乳首を僕がつつきはじめると千恵が切なげに言った。
「気持ちいいの?」
「んぁ……そこ、気持ちいい……あ、あたしの胸が……あたしのじゃないみたい……」
「千恵……」
そう声をかけ、左手を下にすべらせる。そしてジーンズのベルトに手をかけた。
「はずすね」
「そ、そんなとこさわられるの……恥ずかしいよ……」
千恵の声を聞き流し、ベルトをゆるめる。
続いてボタンをはずし、ジッパーを下ろす。
腰の後ろに手を回し、ジーンズを下げようとすると千恵が腰を浮かせて協力してくれた。
「あ、あんたがは、初めてなんだからなっ!」
引きつった調子の声で千恵が言う。
「そう…なの?」
「あ、あたしをなんだと思ってるんだよ!」
「ごめん、そういう意味じゃ……千恵ってすごくかっこいいし、もう彼氏いるんだと思ってた……」
「あんたのこと……ずっと好きだったんだよ」
「ありがとう。……僕もずっと、千恵のことが」
その続きは千恵の唇にふさがれた。
唇が離れる。
「千恵……」
「……うん」
千恵が僕の目を見てうなずいた。
左手を静かにショーツの中に差し入れる。
「あっ! そこ……やだ、あ、はぁ…あん」
指先が茂みに触れると、千恵はいやいやをするように首を振った。
「恥ずかしいよぉ……あたし、はぁっ……」
茂みの上を指でゆっくりとなぞる。
「こ、こんなことされたこと……ない」
羞恥に染まる千恵の顔を見ながら、僕は指をさらに奥へと潜りこませた。
恥毛の感触の中に、ぬるみを帯びた小さなふくらみを指が探りあてた。
「ひゃんっ!」
淫蜜にまみれた敏感な場所に指が触れた瞬間、千恵が体を震わせた。
「すごい……千恵のここ、こんなになってる……」
「は、恥ずかしい……」
そんな様子に興奮した僕は、そこを中指と人差し指でこねるようにしてまさぐった。
そうして千恵の淫裂の下から上に向かってなぞりあげる。
と、蜜がからんでぐちゅぐちゅと淫猥な音が立った。
「ひゃうっ! ああっ、あん、んんっ!」
自分の股間から響くいやらしい音に、千恵は顔を赤らめて否定するように首を振る。
「聞こえる? 千恵のここ、えっちな音させてるよ?」
「だって、だってあんたが……んんっ!」
そろえた指で筋をなぞるように動かす。敏感なところを何度もくり返して上下になぞる。
「あぁ、んあぁ! ひんっ、いっ……」
千恵に痛みを与えないように注意して、力を加えずにひだをくじり続ける。
「んんっ、あん……んふぅ、くぅぅ……」
そのたびに淫溝からは湿った音が立ちのぼり、千恵は切ないうめき声を上げた。
初めて聞く千恵のそんな声に、僕の興奮もあおられる。
いとおしさ。もっと乱暴にしたい衝動。さらなる快感を与えたい欲望……。
それらがないまぜになった気持ちで、僕は千恵の股間で指を動かしつづけた。
「ひゃぁっっ! んんんっ、むんっ……」
千恵は時折、激しく体を痙攣させる。同時に嬌声が上がる。
僕の指がクリに当たるたび、その声は大きくなった。
それだけではなく、千恵は僕の指に合わせて腰を使いはじめた。
その目が恍惚の色に変わっていく。その肩が小刻みに震えている……。
「いつも一人でこんなことしてるの?」
クリから指を離し、千恵の顔を覗きこむように聞いてみる。
「してないぃ……そんなこと、してないよ……」
そう答えながら、千恵は僕の目を見ようともしない。
「ホントのこと知りたいな? だって千恵感度良すぎじゃない?」
「……してない……してませんっ! ほ、ほんとだって」
語尾は小さくてよく聞き取れない。
僕はヒクヒクと震える媚肉のまわりでじらすように指をうごめかした。
「ううんっ……」
口を半開きにし、切なげに僕を見上げる千恵。
「ねぇ……お願いだよ、ねぇ……」
そしてせがむように自分で腰を動かしながら、自分のそこを僕の指に近づけようとする。
「だーめ、さわってあげないよ。千恵、自分でこんなことしてるんでしょ? 言ってごらん?」
意地悪く問いただす僕に
「……うん」
小さく千恵がうなずいた。
あの千恵がオナニーを!
そう思うと、僕の心によこしまな火が灯った。
「いつもこんなこと自分でしてるの? どんなこと考えながらしてるの?」
千恵の濡れそぼったひだを、触るか触らないかのところで円を描くようになでまわしながら聞く。
「……うん、してる……だからお願い、もっと、もっとさわって……」
「どういうこと考えてしてるの?」
さらに追い討ちをかける。
「あ、あんたのこと……いじわるッ! お願い……」
「僕のこと考えながら、毎日こんなことしてたんだ……」
「うん、うん……してるよ、あたし…毎日…自分で、自分で…あんたのこと思いながら…あぁんっ」
「千恵!」
それを聞いた僕は、性の欲望に衝き動かされるように千恵の敏感な場所を指でかき回した。
「あひっ、ひ……あぅ…ひんっ!」
口の端からよだれを垂らし、千恵はくり返し体を引きつらせる。
「あ、あたし、もうっ! もうっ……」
絶頂が近いのか?
そう思った僕は突起をこする指の動きをさらに強めた。
「はぁっ! もう、イッ…くっ……」
声にならない叫びを上げ、千恵の体が突っ張った。
……そして静かに力が抜けた。
「イッちゃった? ふふっ、千恵ってこんなにエッチな女の子だったんだ?」
まだ息の整わない千恵をからかうように聞く。
瞬間、千恵は耳まで真っ赤に染めて
「ち、違うよ……あたし、そんなんじゃ……」
唇を噛んでうつむいた。
「もしかして何度もイッてたの?」
その言葉を聞いた途端、千恵はあわてて首を振る。
「ち、違う……あたしそんなにエッチじゃない……」
「うそ」
「う、嘘じゃ……」
「自分でいっつもいじってたんでしょ? いっぱいイッてたんでしょ?」
そう言いながら、僕は愛液であふれるそこをかき混ぜるように指を動かす。
「んんっ!」
同時にビクンッと千恵が肩をすくめる。
「うそつくと、もうさわってあげないよ」
「い、いや……」
「どうなの?」
「いじわる……」
僕を責めるように目で見る千恵。
「イッちゃった?」
「……うん」
「『うん』じゃわからないよ。イッちゃったの?」
「イ、イキました……」
恥ずかしそうに千恵がうなずいた。
「もっとしてほしい?」
こくん
千恵が首を振る。
「ちゃんと言わないとわかんないよ」
「もっと…してほしい……」
「ふふっ、千恵かわいい」
そう言って、僕は千恵に口づけた。
「んっ……ま、待って」
「え?」
「今度はあたしが……あんたにしてあげるよ」
そう言うと千恵は僕の股間に手を伸ばした。
千恵はおずおずとジーンズ越しに勃起に触れる。そして形を確かめるように指でなぞりはじめた。
「か、固くなってる……すごい……あんたのここ、こんなに固くなってるよ」
そう言いながら、千恵はぎこちない動きでジーンズのジッパーを下ろしていく。
なかなか下りていかないジッパーに焦れたのか、千恵はもどかしそうに小さな手をジーンズの中に忍ばせる。
そうして、トランクスに手を入れるとゆっくりと指をからませた。
「ああっ、気持ちいいよ千恵……」
思わず快楽の声が洩れる。千恵に握られた僕のモノは張り裂けそうにビクビクと脈打った。
「固いよ……こんなに固いなんて……すごい……こんなになっちゃうんだ……」
そこから先はどうしたらいいのかわからないのだろう、モノを握ったままで千恵が言う。
「な、なぁ……どうすればいい?」
「そ、そんなこと聞くなよ」
恥ずかしさに顔が熱くなる。
「わ、わかんないよ……こう?」
僕の目を見ながら、千恵は握った手をゆっくりと上下に動かしはじめた。
「ううっ!」
「気持ちいい? ねぇ、気持ちいい?」
「……うん、気持ちいい……」
「あたしの手で気持ちよくなってるんだね……あんたを気持ちよくさせてるんだね……」
千恵がうれしそうに言う。
「ああ、すごくいいよ……千恵ぇ……」
自分の手が僕に快楽を与えているのがうれしいらしく、千恵が微笑む。
そしてその手が、指が、徐々に大胆な動きをしていく。
「ねぇ、どこが気持ちいいの?」
「そこ……もっと上……先のふくらんだところとその裏側」
より大きな快感を求め、自分の性感帯を千恵に伝える。
「ここ?」
それに応じるように千恵の指が僕の先端をなでまわす。
そればかりでなく、千恵の指は僕を上下にしごき上げたり、下から指を立ててなぞったりする。
「あぁっ! 気持ちいいよ千恵……」
これまで味わったどんなものよりも強い快感に溺れていく……。
僕を高まらせる千恵の動きが少しずつなめらかになっていく。
「あ……濡れてる」
びっくりしたように千恵が言う。
「うん……」
「男の人も濡れるんだ……これって精子? 射精したってこと?」
「違うよ……気持ちがいいと最初にヌルヌルの液が出て来るんだ。精液とは別に」
「本当に気持ちいいんだ……」
いたずらっぽく千恵が笑う。その目がいやらしく僕を見つめる。
「濡れるっていっても千恵ほどじゃないけどね」
そう返し、僕はいきなり千恵の乳首をつまみあげた。
「ひゃんっ!」
そしてもう片方の手を千恵の股間に差し入れると、敏感になった突起をショーツの上からつつく。
「あ、いや……ひゃうっ! そ、そんないきなりされたら……あんっ!」
あえぎ声を上げた千恵は思わず僕のモノから手を離してしまう。
それにかまわず、僕は千恵の胸とクリとを攻めつづけた。
「あ……あん……ひぁ……」
手が離れたことに気付いたのか、千恵はあわてて僕のモノをつかみなおす。
それでも股間から立ちのぼる快感に手がおろそかになる。
「あんっ、あぁ……んんっ」
千恵は淫らな声をあげて快感に身をゆだねていた。
「千恵……」
名前を呼びながらショーツに手をかける。
ショーツはちょうど股間のあたりが大きなシミになっている。
それを見た千恵は
「や、やだぁ……恥ずかしいよ」
そう言って頬を染めた。
「千恵」
もう一度声をかける。
「……うん」
千恵がうなずくのを確認してから、僕はショーツをお尻のほうからゆっくりと脱がしていった。
僕が脱がせやすいように、千恵が腰を浮かせてくれる。
「ありがとう」
「バカっ!」
お礼を言った僕を責めるように千恵が小さな声で言ってにらんだ。
ショーツが股間から離れるとき、べっとりと付いた愛液が糸を引いた。
「すごいよ千恵……こんなに濡れてる……」
素直な感想が口をついた。
それを聞いた千恵が、これ以上赤くなれないというほど真っ赤になってうつむいた。
僕も手早く下着を脱ぐ。そうして
「入れるね」
そう千恵に声をかけた。
「う、うん……」
うつむいたまま千恵が答えた。
千恵の股間にひざをつく。膝の裏に手をあてがい、千恵の秘部をあらわにする。
そうして勃起を濡れそぼった千恵の陰唇に押し付けた。
「あ、当たってる……」
「うん。これから千恵とひとつになるんだよ」
「う、うん……」
勃起で千恵の肉ひだをかきまわす。そうして肉棒に吐液をまぶしていく。
「くちゅくちゅしてる……あたしのと…あんたのが……」
僕は先端の割れ目で千恵の肉突起を弾くように刺激した。
「あ、あんたのが……当たってる……」
「気持ちいい?」
「……うん」
二人の性器がこすれあうたび、淫らな水音があたりに響いた。
「な、なぁ……本当にそんなのが入るのか?」
怯えた感じの千恵の声。
「そういう風にできてる」
「で、でもさぁ、そんなに大きいんだぜ……」
「怖い?」
「………」
返事はない。
「僕を信じて。ね?」
手を千恵の頬に当ててささやく。千恵は不安そうに僕を見つめたが、
こっくり
静かに、だけど力強くうなずいた。
「行くね」
「……うん、来て」
先端を少しだけ千恵に埋め込む。と、千恵が大きく息を吸い、吐いた。
入り口に少し沈めたまま千恵を見る。千恵がしっかりとうなずく。
「いいよ、入れても……でも、ゆっくりな」
「ああ」
そう答え、千恵に負担をかけないよう静かに静かに勃起を挿入していった。
「ああぁぁっ!」
千恵が大きく首を振って悲鳴に近いうめき声を立てる。
僕が千恵の中に入っていくたびに千恵の顔が苦痛にゆがむ。
それでも千恵は必死になって僕を受け入れようとする。
ゆっくり、ゆっくり、千恵の中を確かめるように慎重に腰を送り込む。
「あぁっ、あんたのが、あんたのがわかるよ……」
根元まで収める。
入れたばっかりなのにもう限界が近付いていた。
千恵の痴態を見、手指で昂ぶらされていた僕はいつ射精してもおかしくない状態だった。
処女を喪ったばかりの千恵も早く終わってあげたほうが苦痛は少ないだろう。
「千恵……もうすぐ終わるからね」
「はぁはぁ……え?」
「イキそうだよ……」
「射精……するんだね……」
千恵の中で前後する肉棒は赤く染まっていた。千恵の純潔。……処女の証。
限界だった。
「千恵……イク」
千恵の中から引き抜くのがやっとだった。
その直後、
びゅるっ! ずぴゅっ! どぴゅっ! びゅくっ!………
ビクビクと脈動する陰茎から白濁の粘液がほとばしる。
飛び散った体液が千恵の下腹部から胸のあたりにまでまき散らされる。
「うぅっ! むぅっ……んんっ!」
食いしばった歯から悦楽のうめきを洩らし、僕は射精を続けた。
大量に精をぶちまけ、肉茎にみなぎっていた力が失われていく。
「はぁはぁはぁ………」
性の愉悦の余韻にひたりながら、僕は大きく息をついていた。
「熱い……」
千恵が自分の下腹部を汚したこってりとした精液の感触に声を上げる。
そしてそれに手を伸ばし、指にからめると
「精子って……ヨーグルトみたい」
そう言ってぎこちなく微笑んだ。
服を整え、僕たちはベッドに並んで腰を下ろした。
そして千恵が落ち着いた声で前を向いたまま言う。
「明日のオーディションだけどさぁ」
「うん」
「あんたに元気もらったから大丈夫な気がしてきたよ」
そう言って僕を見て笑顔になった。
「僕でも千恵の役に立てたんだね」
「なに言ってるんだよぉ! あんたはいつもあたしに力をくれた。そうだろ?」
声のトーンが高くなる。
「……そうなの?」
「もうっ! ほんっと鈍感だよな! ま、そこがあんたのいいところかもな」
言いながら僕の肩に頭を預けてきた。
「実はさ……今まで黙ってたことがあるんだ」
千恵が僕の顔をまっすぐに見据えて言った。
「え?」
思いつめたような千恵の表情にちょっとだけ不安がよぎる。
「あたし、去年の春、あんたに会いに東京まで行ったんだ。……差出人のない手紙、あったろ?」
「……うん」
「あれ、あたしが出したんだよ」
やっぱり千恵だったんだ!
「あんたにとってはすごく迷惑なんじゃないかって考え直して、それで名前書かなかったんだ」
心臓がドキドキして言葉が出てこない。
その間も千恵の告白が続く。
「あんたが会いに来てくれた時も本当はものすごく嬉しかったんだけど、言い出せなくてさ」
僕も何か言わなければ……。だけど言葉が出てこない……。
「なんだか恐くて、素直になれなくて……ごめん」
言い終わると千恵がぺこりと頭を下げた。
(一年近く遠回りしちゃったけど、やっと僕たちはお互いに分かりあえたんだ……)
僕は頭を下げた千恵の肩に手を置くと、
「ずっと一緒にいるよ、千恵」
やっとそれだけを口にした。
「ほんとか?」
千恵の顔にみるみる生気が宿る。
「もちろん」
「えへへ、うれしいよ。あたし、あんたを好きだって思う気持ちは誰にも負けないよ」
言いながら千恵の瞳が潤みはじめる。
「それと、あたし、こうと決めたらとことんまで突き進むタイプだぞ」
ぐすっと鼻をすすりながら千恵が言葉を継ぐ。
「ひょっとしたらストーカー向きの性格なのかもしれないからな」
「それはちょっとだけ困るなぁ」
そう返すと、僕は笑って千恵を抱きしめた。
「好きだよ……あんた」
千恵もそう答え、静かに目を閉じた。
「僕もだよ、千恵」
二人の唇が、また重なった。