塩見周子さんがネチネチお偉いさんにイカされつづけてしまっているお話 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
原作:アイドルマスター
タグ:R-18 アイドルマスターシンデレラガールズ 塩見周子 強制絶頂
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「これ同業者の評判いいんだよ、おじさんとしては悔しい、やられた感がある」
「おおきに、と言ってええんでしょうかね」
「なんか奥歯に挟まってる?」
「……あれ、炭酸がきつすぎて、好きやないんです」
「おいしそうに見せてるのにね」
「そういう商売ですから」
青い空に白く長く飛行機雲が尾を引き、それに向けて右手を伸ばすアイドル・塩見周子のバストアップが画面に映っている。着衣は白地に青のトップスと、右肩側だけカットされたアシンメトリーのフリルブラウス。つるりとしたデコルテの素肌にさらさらした汗の雫が滴り、ほっそりした首筋にショートボブの毛先が絡む。左手にサイダー入りのボトルを握っている。いずれもまぶしくシズル感を盛っている。
大手清涼飲料水メーカーが周子を起用したコマーシャルが終わって、男はテレビの電源を消した。
「それ、暑くない?」
「近くまで来たら涼しうなりまして」
テレビの横で気だるく返事する周子は――ぎらぎら照りつく暑い夏にむせ返るほどきつい炭酸のサイダーをきんきんに冷やして、という――コマーシャルでのようすからかけ離れた姿だった。畳敷きの上で木の座椅子にだらりともたれ、湯呑みのほうじ茶をすすったりまんじゅうをかじったりしていた。パーカー、キャミソールにタイトなジーンズという出で立ちもかけ離れていた。
涼し気な美貌と肌とすらりとした手足が、シチュエーションと服装の違いを乗り越えて、彼女がアイドル・塩見周子その人だと判断させた。
「これおいしい、うちのじゃないにしては」
「その格好で浮かなかった?」
「ここの風情に合わせて浴衣でも……とはいきませんで」
「周子ちゃんに似合いそうだけど」
「したら、キャップとかサングラスとかで顔隠しにくいやないですか」
「さすが有名人っ」
「有名人を売りさばくご商売に言われましてもね」
部屋の外も、コマーシャルに負けず劣らず青い空だった。
その空の下の光景はまったく異なっている。鬱蒼とした木々や苔むした石段、川床が透けて見えるほど澄んだささやかな清流が広がっている。それらを横目に周子は一人で歩いてやってきた。歩くうちに京都の市街地でかいた汗が引いていた。
男が周子を呼び出した場所は、京都の山側にある純和風の宿の一室だった。宿の付近は春に山桜、秋に紅葉、冬にスキー目当ての客でにぎわう。夏もかつては京都内外の避暑地として親しまれていた。
男が広縁にある冷蔵庫から、さっき周子が宣伝していたサイダーと同じラベルのボトルを取り出した。わざわざ持ち込んで冷やしていたらしい。
「ああ、このぐらいのお仕事だったらおじさん10でも20でも引っぱってこれちゃうよーって話の“マクラ”でしたかね、おじさんらしいシャレを」
「ふだんなら余裕で引っぱってこれちゃうポーズしなきゃだけど、周子ちゃんにはいまさらでしょう」
「ハッタリ商売ご苦労さまで」
「周子ちゃんから言われると本当にそう思う」
男が周子に“引っぱって”きた案件は、彼女がアイドルとして頭角を現す前から数えれば20も超えていた。
「10件とはいかないがシンデレラガール相応の案件ですとも、こうして久しぶりに呼び出すからには」
「お高い女になりやがって、とかおっしゃりたいんで?」
“引っぱって”もらえる見返りに、周子は男へ枕営業をしていた。
「おじさんは昔の周子ちゃんより、いまのお高い周子ちゃんのほうが好みだよ」
「のんべんだらりが抜けきってなかったころと比べてます?」
数年前、高校を卒業した周子は京都の実家(老舗の和菓子店であり、男もたまに贈答品として使っている)から追い出された。実家で“のんべんだらり”しようという姿勢が親の目に余ったせいだった。それから、興味がないわけでもなかったので芸能事務所に転がりこんで、アイドル活動を始めた。
そういう事情だと男は聞いている。容姿がよく家族仲がよくない少女にありがちなルートである。
周子は早く実績や収入を得たいと焦っていた。男がそこに漬けこんで枕営業に手を染めさせた。周子がアイドルとして知名度を上げて忙しくなると、枕営業は頻度を減らした。
「浴衣に着替えたほうがいい」
「あーた、そういう好みでしたっけ」
周子は枕営業を嫌がりつつ、はっきりと手切れしたがってはいない。事務所の担当プロデューサーや同僚アイドルに知られたくないのだ、と男は勝手に想像している。周子の所属事務所は業界大手であり、看板アイドルのスキャンダルをもみ消すために相応の代償を払えるが、事務所に頼れば周子は知られてしまう。かといって男に泣き落としなどをかける気もないと見える。
人に頼るのが下手なところは売れる前よりひどくなっているかもしれない、とも男は想像する。
「服が濡れたら嫌でしょ」
「……誰が濡らすよ?」
「周子ちゃんが」
周子はただ男へ身を任せるだけでよく、フェラチオなどの奉仕をしない約束となっている。周子が処女だったころからの了解が、暗黙裡に延長されている。
奉仕を抜いているぶん、男が周子をこってりともてあそんでいる。
「ここのお風呂使ってもいいどすか?」
「ノドが渇いたら、経口補水液も冷やしてあるよ」
男が手を伸ばしかけて、周子のパーカーの襟元からのぞくデコルテがこわばった。
※
「周子ちゃんって、体がチョロくなるほど心が強情になってる気がする」
ひどい評価を聞かされても、周子はろくに反論ができなくなっていた。背中を丸めて胎児のように縮こまるのがせいいっぱいにされてしまっている。
「さすがに一晩いくらの女とは一味違うね」
「……そういうお姉さんみたいんに、できんって、知っとるでしょ」
「だからあたしと比べるんじゃない、ってか。確かに」
周子は宿の布団にごろりと寝転がりながら、彼に背を向けて縮こまっている。白い薄手の木綿に浅葱色の桔梗柄をあしらった浴衣が、周子の肌にぺったり貼りついている。それらのうっすらとしたニュアンスが、色白な肌の紅潮している風情を引き立てている。
周子は浴衣に着替えさせられ、その浴衣がもう汗を吸ってしまっている。彼の目と手にそうさせられてしまった。周子の“体がチョロ”いと評した彼の手管がハッタリではなく確かだった。濡らされずやりすごしたい、との思惑が溶けて崩れた。
「久しぶりだから、周子ちゃんの体の具合を忘れちゃってたらどうしよう、と思ってたけど」
「……やらしーことばっか、覚えてからに」
アイドル・塩見周子のスタイルは、公称が身長163センチにスリーサイズ82-56-81となっている。
男はそれを数値どおりにすぐれていると思うが、むしろ彼女の首や手足に惹かれる瞬間が多い。
「忘れられないもんで」
「あたしは忘れ……られてもええのに」
周子のショートに近いボブの毛先が、生え際からうなじにかけて汗と絡んで肌にわだかまっている。周子のプライベートを覗き見たような背徳感、優越感が男の胸元でうずく。
一般的に、女性は首と肩の筋肉、肩や胸郭の骨が男性より小さい。それを意識していない人でも、見ればシルエットやボリュームの違いから男性らしさ・女性らしさをしっかりと感じ取る。人の体を見せて魅せる分野では大きなポイントとなる。例えば、肩や首をどう見せるかによってトップスのタイプが変わるほど重視されているのもそれゆえである。
周子の首筋や肩、背中は身長の割に細い。各人が記憶へ無意識に積み重ねてきた女らしさを強烈に呼び起こす。それらは彼が周子に目をつけたきっかけの一つだった。首や肩なら、バストやヒップよりセックスアピールが秘めやかで、男性の目を引きつつ女性にも受け入れられやすい。言い換えれば、広告商売からすると売りこみやすい。
「んは、ぁ……っ……ゃ、ん……」
彼の手を周子がしっしっと手で払う。牽制するように太ももとふくらはぎをもぞつかせる。そうした周子の手足も、彼が周子を特別視するゆえんである。
「周子ちゃんって、実家のお店でどんなふうに売り子さんしてたの」
「……昔の話よ、そんなん」
周子の容貌やスタイルは確かにすぐれているが、芸能界のトップ層ともなると並ぶ人材もそれなりに見つかる。
しかし手足の所作まで含めると話が変わる。
「昔ったってせいぜい一昔でしょ、周子ちゃんが言うなら」
周子はモノを売る所作を体得している。
単純な例としては、菓子や小物を指でつまむとき、周子は親指、中指、薬指で影絵のキツネのような形をする。やり方だけなら礼法の講師でも教えられる。周子はその指の形や腕の伸ばし方を、わざとらしい気取りでなくさりげない上品さ、と印象づけられる。そこまでできる人間は周子の同世代にまれである。彼が“高く”なっても周子を使うゆえんである。
「勧学院の雀かな」
「はぁ」
「……門前の小僧と同じ意味だよ、でも雀のほうがかわいいでしょ」
「あーたにかわいい言われてもね」
人間の随意運動は主として手足で行われる。すなわち人間の体でもっとも雄弁に肉体言語を語りうる器官は(首と顔を除けば)手足である。そして同じ手足で語るとしても、売るための語法・文法は演技やダンスのそれらと異なる(服のコンセプトを売るファッションモデルと、自身の外見を売るグラビアモデルの違いが最たる例である)。
加えて、顔や言葉に気を取られがちな世間が見落としているものの、手足は隠したい内心をも語る。
「ん、ぅ、あっ……その、さわり、かた……ぅ、あっ……!」
彼は度重なる枕営業を通して周子の体を開かせた。こぼれ落ちた内心を覗く目が、それに応じて動く手が、苦渋の行為にだんだんと引きずりこんでいった。
「ゔっ、く、っ……!」
「こんど来て、っておじさんに聞かされたときから、もう期待してた?」
「……あまり言わんほうがええよ、そういうの」
「えらそうな男は嫌われてしまうか」
周子は寝転がったままの背中を、男からうなじから腰にかけてそろそろと撫でられる。丸めた背中からうっすら浮く背骨を、浴衣の薄布越しに感じる。それだけでこれまでの行為を思い出してしまう。
「おじさんは期待してたけどね」
脇腹からへその下に入りこもうとする気配を、肘打ちで押しのけようとする。男から笑われるぐらいの加減しか出せず、入りこまれてしまう。
「っ……! やらしい、手つき、ね……」
「かわいいんだよな、周子ちゃんのポルチオ」
口先でどうにか反抗する。
ポルチオ。枕営業に手を染めたばかりなら知らなかったし、それからしばらくは鼻で笑ったりまゆに唾をつけて聞き流せた言葉だった。子宮の入り口。乳首やらクリトリスやらと違って奥深い性感帯で、そう簡単に目覚めない――目覚めずに終える女性が大半らしい、と男が知ったふうに評した――が、そのぶん生まれる快楽も、深く重く響く。
「くっ……ぅ、ぅう……っ! く、くすぐったい、わぁ……」
肌の上から指先でくにくにと揉み、手のひらでずしずしと振動を与える。記憶から雷に打たれたようなポルチオ快楽が呼び起こされかける。拒絶するように太ももを閉じて下腹部を力ませると、彼の手がますます響いてしまう。
「懐かしいな、最初のころもそう言ってた」
当初の枕営業は周子にとって退屈だった。初回など、裸を見られ手足や背中を愛撫されただけで終わった。乳首やクリトリスに快楽を植えつけられるまでも何回かかかった。退屈なほどの緩慢さに油断して、周子はズルズルと枕営業を続けてしまった。
「また濡れてきたね、サイダー飲む?」
「遠慮しとくわ……ぁ、ぉ……しゃべりながら、さわるの……」
「舌を噛んじゃう?」
「……あほらしぃわ」
初めて挿入され処女を奪われたとき、同時に乳首やクリトリスを刺激され、ペニスをねじこまれたまま絶頂に追いやられた。まさかイカされるわけがあるまい、という根拠のない自信を、何度も何度も絶頂を重ねられバラバラにされた。処女喪失という特別な場面と重なって、その記憶がいまでも周子を揺さぶっている。
「ぁ、はっ……ぁぁっ、くっ……ぉ……っ……」
それから枕営業でポルチオ開発が始まった。浴衣ごしに手のひらで揺さぶられるだけで一回ごとのそれを思い出してしまう。お尻と腰の境目、内もも、恥丘と、少しずつポイントをずらして、反応をじっくりと探られる。
ペニスやバイブレータで膣奥を意識させられながら乳首やクリトリスでイカされてきた――あまりに執拗に焼きつけられた快楽のせいで、記憶と現実が混濁していく。
「濡れて透けた浴衣ごしの周子ちゃんも、きれいだ。ほかの人に見せびらかせないのが惜しい」
手のひらに力を込められ、子宮のあたりをぐうっともまれる。生理痛のときでさえあいまいなそこの感覚が、圧されてから元に戻ろうとすると、どくん、どくんとはっきり脈打つように感じられる。
何度絶頂させられても、それを快楽と認めたくはない。
「広告屋さんらしいわ……こんなときでも、見せびらかすこと考えとるなんて」
「塩見周子ほどのアイドルからそう言われると、褒め言葉に聞こえてしまう」
「褒めとらんからね」
周子が男を振り払おうとする腕や手の動きが鈍くなる。手振り一つ見せるだけで、どう拒んだら本当に不快なのか、あるいは快楽を怖がっているのか、手がかりを与えてしまう。周子がそう気づいたときには手遅れに近かった。
「イカされるの、辛いかな」
「……別、にぃ」
「プロデューサーくんとかお仲間とかのためなら、イカされちゃってもどうってことないよね」
「あたしが、そんな健気な子に見えるの……おじさんの目、節穴じゃないの……?」
男が周子の拒絶を手がかり以上に面白がっている、とも気づいてしまった。
けれど無抵抗は耐えがたい。
「ひっ……も……もう……くっ……ぁ、んんんっ……!」
「あたしがおじさんから仕事とってきて早く名を売らなきゃ……みたいな雰囲気だったよ、前は。いまは君らもえらくなったものだけど」
膣口に触れられるまでもなく、膣奥快楽を高められてしまう。ぶじゅ、ぐじゅ、と泣き言のように膣口から水音が漏れて、また浴衣を濡らしてしまう。
「でも、こうしているときだけは前の周子ちゃんみたいだ。芸道は初心忘れるべからず、ってか」
「……あーたこそ飽きもせず、ようやるわ」
「もっと歯を食いしばってがまんして」
「そっからじゃ見えないでしょ」
「吐息の音とか、首筋とかでわかる」
ポルチオだけでなくクリトリスも責められる。手で阻もうとしても、太ももで閉ざそうとしても、隙間から秘所を探られ、開かされ、刺激され、絶頂させられる。喘ぎ声を押さえつけても何度も絶頂させられ、そのうち胸元が痙攣したように痛みだす。ひゅうひゅうと喘息のような音が鳴って呼吸がままならなくなっている。
「……しんどい?」
「は、はん……ちょうど、ええ、ぐらいやわ……っ……」
下腹から湧き上がる快楽に比べて、胸元の息苦しさはずっと受け入れやすかった。
「それはよかった」
手でのポルチオ責めによって、浴衣がこれ以上の周子の体液を吸えないほどずぶ濡れにされるころには、むしろ息苦しさにすがっていた。どれだけ快楽にむしばまれても、この体のウエストより上は男を撥ねつけられる、とどうにか信じられた。
※
「手ぇ貸すよ」
「さっきまでべたべた触ってたくせに」
「転んでケガでもしたら嫌だよ」
浴衣と布団に大きなシミを作らされたあと、周子は覚束ない手足に鞭打ってちゃぶ台まで這って、またお茶を淹れて飲んで(男の視線も、冷蔵庫のサイダーと経口補水液もあえて無視した)一息ついた。
それから部屋付きの小さな露天風呂に向けてよたよた歩いた。部屋から露天風呂の洗い場までの道のりは、素面なら歩いてもコマーシャル1-2本ぶん流れるあいだにすたすた歩いてたどり着ける距離だった。抵抗と絶頂でくたびれた足だと、のろのろぺたぺた踏みしめる足運びでどうにか、という具合だった。
「なんであーたも入ってくるんよ」
「おじさんが泊まってる部屋のお風呂なんだけど」
「洗いっこしよーって仲じゃないでしょ」
男が露天風呂まで着いてくることは予想していたし、それを避けられるものなら避けたかった。避けられないと予感していた。けれど、とにかく火照らされ濡らされてしまった肌をさっさと洗い流したかった。
「お風呂なら心置きなくびちょびちょになってもらえる、と思って」
「悪趣味やわー……あ、こらっ」
彼に尻肉をいきなりつかまれ、びりり、と背筋の神経が高ぶる。足がぐらついて、とっさに湯船から伸びる2本一組の手すりを握った。ひやり、かちかちと素っ気ないステンレスの銀色の円筒面に、周子の白い肢体がゆがんで映った。
「賭けをしようか」
「あんなぁ、人がべとべとの汗ぇ流してくつろごうってときに」
「周子ちゃんがその手すりにつかまって、腰砕けにならずにがんばったら、今回は終わりでいいよ」
山あいの露天風呂に吹く微風が汗だくの素肌に涼しかった。背後からぬるりと聞こえてくる“賭け”は寒々しかった。
「で、あーたは腰砕けにさせようとするんでしょ」
「じゃあ、腰砕けになるまでおじさんが周子ちゃんに触れるのは手だけってことにしよう」
周子はしぶしぶ振り向いて彼のようすをうかがう。彼も手ぬぐい1枚持っただけの裸で、半勃起といった勢いのペニスが“終わり”で済まさないつもりだ、と物語っている。
けれど本当に彼を根負けさせたら終わるはず、と妙に信じていた。彼はこれまで自分で言い出したことは、口約束でも常にそのとおりにしてきた。
例えば、周子がこれ以上ないほど入れられたらまずいときに挿入するのが、周子の処女喪失以来の暗黙の了解となっていた(周子にそうしてほしい理由などなかったが――彼がいつもそう宣言し、そう実行してきたので、そういうこだわりなのだ、と――しぶしぶ受け入れていた)。
「シャワーぐらい浴びたいんやけど」
「周子ちゃんが汗だくのままじゃないと嫌だな」
「あーたネチっこいからなぁ、あたしいつまでがまんしてればいいのやら」
「おじさんとがまん比べしたら負けちゃいそう?」
言いつつ、彼は洗い場の一角から洗面器を一つつかんで周子の足のあいだに置いた。
「漏らしたくなったらこれに向けてしてね」
「ここまでなめくさられたら、いっそ笑えてくるわ」
侮られたらただで済まさない、済ませられない、こんごの自分の売り値にかかわるから。華やかに見られる業界で身についてしまう、救いがたい習い性である。
「っ……ふ、ふっ、ローションぐらい使ってもええんよ?」
「周子ちゃんはすぐトロトロになってくれるから」
「褒め言葉みたいな顔して言うなや」
周子は2本一組の手すりのあいだに立って、腰のそばで両手それぞれ手すりを握っている。重心を両足から手すり側にずらしてみる。手のひらをへこませるステンレスの感触が冷たく固く頼もしい。
彼は周子の足元にひざまずくように陣取って、周子の内ももや女陰やウエストを見上げている。
「周子ちゃんは下から見上げるのがいちばんいい女な気がする」
「ひょっとして脚フェチなん?」
「もうちょっとむっちりしてるほうが好みかな」
内ももをつるりと撫でられ、つい腰が引ける。けれど両手が手すりをつかんだままで、なんなく追いつかれる。
お腹の奥がむずつく。足の指がネコの手のようについ丸くなる。
「ふ……んぅ……」
ぽってりと冷めやらぬ大陰唇とクリトリスをすりすりと撫でられる。男の指に誘われるように、膣口から愛液がにじむ。にゅぷ、と粘膜が押し開かれて指が侵入してくる。濡れそぼった膣口がたやすく受け入れてしまう。濡れたクリトリスに指の腹を添えられ、くるくる円を描かれる。早くも腰が浮いて太ももが震える。
「もっと前屈みのほうが、やり過ごせるんじゃない?」
「うるさいわぁ……んっ……人のカラダのこと知ったふうに」
「あと、尻もちついちゃうより、おじさんを下敷きにしたほうが、周子ちゃんは痛くなさそう」
勝利を疑わない彼の顔に、片膝をぐりぐりと押しつけてやる。再びクリトリスに指が迫ってくるが、寸前で止まる――先に足を下ろしたほうがいいよ――視線で呼びかけられ、いやいや下ろす。
「は……ぁ……っ……」
敏感なところを指の腹でこすられる。漏れそうになる反応を、必要以上に手すりを握りしめて押しとどめる。ぴくり、ぴくりと腰が小刻みに震えてしまう。くちゅ、くちゅっといやな音がする。クリトリスに指の腹が押し当てられ、円を描いてこねまわされる。
「クンニありにしときゃよかった」
「ふ、はっ……うかつなことで……」
「周子ちゃんのこれ、指についたのなめたら格好悪いよね」
「笑わせて腰砕けにするんはズルくない?」
「ごめんごめん」
男の愛撫に意識が吸い寄せられていきそうだが、あらゆる手立てで抗う。
「周子ちゃんの味は特別なんだよ」
「それ聞かされてよろこぶとでも?」
「見た目や声と違って、味は売り物にできない」
「お触りだってほんまは……んん、くっ……!」
会話していると彼の責めがわずかに散漫になる。
「おしゃべりしてると、湯冷めしちゃうかも」
「じゃあ、あーたがくしゃみしたら終わり」
「いきなりルール追加かい」
「そもそもあーたが諦めたら終わりって、のがおかしい」
クリトリスをつままれる。開かされた両脚に力が入り、内ももにうっすらと筋が浮かぶ。
「ん、ぅん……っ」
周子の揺れる下腹部や尻を見ながら、男が追撃を見舞う。くにっ、くにゅっと指の腹がクリトリスを押し倒す。彼の指が愛液でぬめってくる。
「Gスポットもいいかな」
「イヤミったらしー、ぼくいまから本気ですーみたいな」
男は膣口をかき分けて指先を曲げ、周子のクリトリスを根元側からこりこりと刺激する。じわっ、じわっと快楽がこみ上げてくる。膣口から愛液がこぼれてくる。
「くっ……うぅん……っ……っっうぅー……ぅ……!」
手すりを握ってしまって、乱れる呼吸や嬌声を押し殺し切れなくなる。
彼がもう片方の手で周子のへそ周りをくすぐってくる。
「くっ、ふぅぅう……っ! ぉ……く、ぅ、ん……っ!」
へそのくぼみを手のひらでぐりぐりとこねられる。愛液ごとクリトリスや膣壁をこすられる音が、ぐちゅ、ぬちゅ、と籠もった響きに変わる。耐え難くて、ポルチオを逃がすように背中を丸めてしまう。
「きついかな」
「んぐ……ぅぅ、けっきょくそっちも……ん、は、ぁ……っ!」
お腹の奥から熱がぼうっと燃え広がり、投げ返そうとした悪態が湯気よりも儚く消える。Gスポット責めにいそしむ指を、八つ当たりのように締めつける。かえって彼の指の形をみっちり意識してしまう。敏感な膣粘膜がさらなる責めに悶える。
彼の両手がたしなめるように、内と外からぐりぐりと奥に迫る。
絶頂がすぐそこに迫ってくる。
「まっ……待って……んんぅううっ!」
Gスポットに引っ掛けられていた側の指がずるりと引き抜かれ、周子の意識に白い火花が弾ける。同時に膣口から透明な水しぶきが二度、三度と噴き出し、男の手にぶつかって洗面器に滴り落ちる。
「あっ……えっ……く、ぅ……んぅうッ!?」
「これっぽっちで抜ける腰じゃないよね」
潮噴きの余韻も冷めやらぬうちに、女陰へ再び指が当てられる。
周子は腰をよじって指の狙いを外そうとするが、男の指が巧みに後を追ってきて、膣口やクリトリスをねちねちと責められる。くにゅっ、くにゅっ、ぬちゅちゅっと指の腹や関節でくすぐられ、引っかかれ、しびれさせられる。
へそからポルチオを責めていた手が下ろされていた。
「く、ふぅ、う……なぁに、そっちの手は、疲れちゃったん……?」
「うん、周子ちゃんほっそりしてるのに腹筋すごくて、ぐいーっ! って気合い入れなきゃキかないんだ」
「へぇ……おじさんが体力勝負はきつそうだねぇ……」
「周子ちゃん相手じゃなきゃ勘弁だ」
減らず口を装った応酬が、徐々に彼へ傾いていく。
度重なる刺激で周子の太ももがぶるぶる震え、腰がズルズル沈み、汗と愛液と潮がまざった汁がだらだらと垂れ、洗面器も周子と彼の足元もぬらつかせる。
「勝負、なら……早くしてよ……湯冷め、しちゃうじゃん」
「湯気がほかほか出そうな肌させながら言われても」
洗面器の表面がやけに滑らかで、上で耐える周子の姿をうっすら映している。ぼんやりしていて、周子自身がまさに責められている、という行き掛りがあってようやく周子かも、と判別できる程度である。周子の羞恥を煽るのに――おそらく男の興奮を煽るのにも――ぎりぎり足りてしまう。
「く、ぅ……ひ、ぅ……っ!」
これ以上男の好きにさせまい、と心に決めていても、ぬるぬるの股間をねっとりまさぐられて、腰がよじれてしまう。ポルチオ責めの名残が頭の芯まで響いてきて、恥ずかしい体液をぱたぱたと垂らしてしまう。いくら手すりを握りしめて耐えても、そのぶんだけ膣奥から愛液が押し出され、男の手や腕を濡らす。
洗面器の水面がべちゃべちゃと揺れる。
「っく、く…………くううう、うゔぅっ……!」
男から腰周りや脇腹をくすぐられ、本当に無防備になってしまったとき、へそ側からのポルチオ責めを見舞われる。腰ががたがた沈んで、すんでのところで踏みとどまる。下から見上げている男の顔が近くなって身震いがひどくなる。腰の奥からぞくぞく這い上ってくつ快楽を、歯を食いしばって必死で押しとどめる。背中の産毛が逆立ち、ぞくぞくする脂汗が浮かぶ。
男が急に周子のへそから矛先を映し、腹筋の溝にそって指先でなぞりあげてくる。
「い……っく、い、い、い……ッ!」
何も押しつけられていない秘所がいっそうオーバーに、無言で叫ぶように痙攣し、びしゃびしゃと激しく潮を噴いてしまう。
「あ……は、ぁ……ぅ……く、ぅ……」
ついに周子は男へしなだれかかってしまう。彼の肩や首も、周子に負けず劣らずどくどくと脈拍のように肌の下からわなないている。そのくせ彼の両手の指が、女陰とクリトリスにあてがわれたまま、なだめるように、勝ち誇るように撫でさすってくる。その優しげな素振りが憎らしいく、もどかしい。その手を振り払おうとして、バランスを崩してずるりと体勢を崩してしまう。
「久しぶりで、堪え性も鈍っちゃったかな」
「……ちょっと、休ませてな、ねぇ……?」
「じゃあ、それをなめて飲みきったらいいよ」
周子が息を吸って吐いたあと、無言で洗面器を払いのける。からんころんと軽く騒々しく音が響く。泡混じりの潮噴きの名残が洗い場の床にだらだら流れていく。
「ひどくムリヤリにイカされたくって、そんなことしてるの?」
「……ご想像にお任せするわぁ」
彼は周子の上体を手すりにもたせかけると、潮噴きの名残に足を滑らせかけながら脱衣所へ向かっていった。
どうせろくな展開にならない、と捨て鉢になりながら、周子は目を閉じた。
※
「あ、はっ……んぐ……うっ、あお゙……ぉお゙ッ、い、いっ……っ……!」
周子はセックスで膣奥まで痛みを感じている。そこまで痛むのは処女喪失のとき以来だった。痛みを引き金に、どうしてこうなってしまっているんだろう、との悔恨がぼんやり再燃した。
「う、ぎゃ、ぅう……!? ごめん周子ちゃん、ちょっと後悔した……」
「……ぁ、ほ……が……ふっ……ふ、ぅ……っ、うゔぅっ……!」
しかし痛みが、奇妙に冷たく細かい。
「……これだったら、まだお酒とかのほうがマシだったかな……」
男が冷蔵庫に冷やしていたサイダーを持って戻ってきて、開栓して、しゅわしゅわと弾ける中味を正常位の結合部に垂らしてから周子を犯しているせいだった。粘膜に炭酸が響いて、性感にざわざわ水をさしていた。
「ひっ……んぅ……っ! ま、まぁ……好きに、したら……? そういう約束、やし……」
男にとっては周子への挑発か背徳のスパイスのつもりだったらしいが、周子はかえって冷静になった。
痛みで感覚が麻痺してきて、周子にほんの少しの、男に対して呆れるぐらいの余裕が戻ってくる。
驚愕や悔恨が収まったら、男のそれが行き当たりばったりすぎて当てつけとも呼びがたい趣向だ、と実感できた。単にポルチオをイカされるよりいくらかマシだ、と判断できた。
「ふっ……ふ、ぅ……っ! んんぐぅ……!」
周子は洗い場で男に前から抱きすくめられ、対面座位で貫かれている。正常位を打ち切って周子の背中や腰へ手を回して、体ごと揺さぶるようにしている。
ペニスの張り出したカリにごりごりと粘膜をえぐられ、下腹部と陰毛でクリトリスもすり潰されるように刺激され、痛みと快楽の入り混じる感覚でずきずきと感じさせられる。壊れてしまったように、かひゅ、けひゅっ、とノドから奇妙な悲鳴が細く途切れ途切れにあふれてくる。
そうした生理反応の割に、周子は内心で割り切れていた。
「……サイダー、見るたびに、こんなん思い出したら、いや、やな……」
「え、ぇ……それは、ちょっと」
わざとらしくつぶやく。
仮に“思い出し”てしまうようになっても、男に責められている記憶が、この間の抜けたサイダーでぐだぐだになる。それなら周子の内心ではじゅうぶんお釣りが来る。
「あほらしいことするから……お仕事でこんなんへまは、かんにんよ……?」
男のピストンが周子の膣奥をひっきりなしにこすり回してくる。呼吸が困難で息苦しくて、そのぶん男の必死さも伝わって周子の笑いを誘う。お腹の奥でぶんぶん回っている重たい快楽と、笑わされて軽くなってしまった意識の境目がぐちゃぐちゃに波打つ。
いっそ他人事のように――自分はこの男の奇妙なセックスに付きあわされているだけ――笑い飛ばしてしまおうか、とひらめく。
「んひぃっ、お゙っ、ほぉぉおっ……ぐ、んんっあ……あ、いっく……!」
尻たぶを鷲づかみされ、ずしずしと突きこまれ、ポルチオを執拗に責められる。達してしまう。膣肉がにゅぐうっとすぼまって、そそり立った陰茎にすがるように締めつけてしまう。前の潮噴きより弱々しい体液がちょろちょろと漏れる。
「ふ、ぁ、はは……ぉお゙っ……! 笑わせ、ながら、イカせたら……ひた、かんじゃ、って……んぅうう、ぉ……!」
痙攣の収まらない手足で、男の背を挑発するようにぺちぺち叩く。どれだけ必死にイカせようとしてもこれではしまらない、と煽る。
男がはぁはぁと息を荒げたあと、周子の尻肉をぐにゅりと揉みしだきながら、膣奥をずんずんと小突きまわす。
「んひっ……ぃい……あぅ、んッ……んぎゅ、く、ぅうう……っ……」
周子に背筋を甘ったるく痺れが駆け上がってきて、絶頂感がずうんと重たく、深くなっていく。やれるものならやってしまえ、と自棄を起こす。どれだけテクニシャンぶってイカせに来られても、炭酸飲料をぶっかけるなんて趣向ならシャンパンファイトの出来損ないがせいぜい、と毒づく。
ポルチオ快感がどんどんふくらんで上に吊られていく。腰の奥からずしりと広がる多幸感が、まんざら屈辱的でもない気がして、だんだんタガが外れてくる。あられもない嬌声を垂れ流す。
「お゙っ……ほ、ぉゔっ……! ぉ、く、ばっか、一つ覚えみたいに……んお゙……ぉお゙ッ、い、いっ……っ……!」
男の腰使いが小刻みのまま速くなる。周子も反撃のように膣肉や手足できゅっきゅっと締め上げる。男の上体がぶるっと震えて、周子の最奥でどくっどくっと射精が始まる。絶頂と絶頂の合い間でそれに気づいて――またアフターピルを飲ませる気か、ただの便利な薬じゃなくて副作用だって――瞬き何度かののちに膣奥からの快楽が怒濤のように膨れ上がり、恨みがましさごと押し流されて深く達してしまう。
「ぁ、ゃ……なぁに、まだ……? 何度、やっても……んっ、ほぉおっ……そ、そこっ……んっ、んくっ……!」
男が体をあお向け側に傾けて、対面座位から騎乗位の体勢へ。
「ふ、ふふっ……こんなされても……あたし、サービスなんて、シてあげないよ……」
「……周子ちゃんは見上げるのがいいな、って、やっぱり」
「減らず口を……」
男のペニスが抜けず収まらず、周子は下から膣奥を突き上げられる。ぱつぱつ、ばちゅばちゅ、と肌のあいだで精液も愛液も汗もよだれもぐちゃぐちゃになってやかましく鳴り響く。また男が手で周子のへそ周りをぐいぐいと揉みこんできて、さすがの周子も本気で悶える。
「ひぃっ……お゙っ、おっ……そ、こ……ま、た……?」
「周子ちゃんの、おめこさんってさぁ……おおおッ!?」
「ッ……わ、笑かせんでって……いまどき、ボケたじいさんでも、そない言い方……ッぉお……♥」
「ちんぽぎゅっとしてくれるの気持ちいいけど……反応が目によく見えるほうがいいな」
それから周子は、泣き笑いで表情筋までぴくぴく痙攣させられるほどイカされた。意識を何度も飛ばされ、そのたびにポルチオ快楽で揺り起こされた。
足腰がまったく立たなくなって、男の肩をしぶしぶ借りて脱衣所までよたよた移動した。
「座ってられる? 飲み物とってくるよ」
男は脱衣所に一脚だけあった椅子に周子をもたれさせると、これまたよたよたした足取りで水しぶきも拭わないまま脱衣所の扉を開けた。
あちこちチカチカと白んでいる周子の視界に、脱衣所の鏡が、それに映された自分の姿が入ってきた。
「うわ、ひど……こない、笑え……ぁ、ははっ」
男がいないと、気を張ろうとしてもはかどらなかった。
自嘲とともに、しこたま注がれた精液がごぽごぽ漏れて座面を汚した。その醜態から目を背ける前に涙があふれて、周子自身の視界を閉ざした。
(おしまい)