七囚人の1人であるアケミとゲヘナの風紀委員長ことヒナ。もしも武器を使わず、己の力量のみで戦えば、どちらが勝つのだろうか。
力ではアケミが圧倒的有利であり、体格差も大柄の彼女の方が有利。
対して、ヒナはその小柄な体型からは想像がつかないフィジカルの持ち主であり、力こそ劣るものの、それ以外の部分ではアケミと対等に戦えるポテンシャルを秘めている。
その筈だった。
リングの上では、まさに地獄と言って差し支えない光景が広がっていた。
「ぐっ!!」
アケミの拳がヒナの顔面を捉える。その威力は、ヒナの鼻から血が噴き出す程であり、同時に彼女の華奢な体はコンクリートの床を勢いよく転がり、コーナーに叩き付けられる。
試合が始まった序盤は、フットワークを活かしたヒナの拳と蹴りがアケミを翻弄していた。
しかし、現在はまるで立場が逆転し、アケミの豪快なパンチの連打にヒナはコーナーから脱出する事すら叶わない状況。
その光景に、観客の生徒達は息を飲みながらただ2人の戦いを見守るしかなかった。
「……ヒナが圧されてる?」
「だってアケミはあの伝説のスケバンなんだぜ。銃を持たせりゃヒナが有利かもしれねぇが、腕っぷしならアケミの方が断然有利だ」
リング上の光景に、生徒達の殆どがヒナの敗北を確信していた。
「はぁ……はぁ……っ!」
「あら、もう終わりかしら? ゲヘナの風紀委員長も大した事ないですのね」
アケミは息切れ一つしていないのに対し、ヒナは肩で息をしている。
その差が、両者の実力差を如実に表していた。
「……まだ、終わっていない」
「ふふっ、そうこなくては」
アケミはニヤリと笑うと、ヒナの側頭部を目掛けてハイキックを繰り出す。
「くっ!」
ヒナは咄嗟に両手でガードするも、勢いを殺す事が出来ず、再び背中からコーナーに叩きつけられ、その衝撃に肺の中の酸素が吐き出される。
「かはっ……!」
「まだまだ、これで終わりじゃないわよ!」
アケミは拳を握りしめると、コーナーに激突したヒナの鳩尾目掛けて打ち込む。
「がっ……!」
アケミの拳は、ヒナの柔らかい腹部に突き刺さる。ヒナの身体は、それこそ小学生の時と変わらず華奢な身体だ。そんな身体にヒナの体幹と同等の拳が深々とめり込めば、内臓のダメージは計り知れないだろう。
その威力に、ヒナは口から胃液と血を吐き出し、鳩尾を押さえてその場に蹲る。
「げほっ!! ごほっ……っ!!」
「ほらほら!! もう一発!!」
アケミは蹲るヒナの顔面を膝で蹴り飛ばす。
「ぶっ……!」
鼻に膝がめり込み、グシャリと音をたてながら血が盛大に噴き出てアケミの身体を赤く染める。
鼻骨が砕け、整った顔立ちが台無しだ。
「っ……はぁ、はぁ……」
涙目で砕けた鼻と鳩尾を抑えながら、必死に立ちあがろうと、足に力を入れるも、その隙を見逃す程、アケミは甘くはない。
アケミは、ヒナの頭部にある角を鷲掴みにすると、そのまま強引に持ち上げた。
「っ、あ……!」
角を掴まれたヒナは痛みに顔を歪め、アケミの腕を引き剥がそうとするも、彼女の腕力に敵うはずもない。
「は、放して……」
「そうはいきませんわ。これから観客の皆様に、素敵な光景をお見せするのですから」
アケミはそう言うと、角を持つ手に力を入れる。
「あ……がっ!」
アケミが手に力を込める度に、ヒナの頭蓋骨に亀裂が入るような痛みが走り、彼女は苦悶の表情を浮かべる。
そして…
ボキリと、ヒナの特徴的な角が、半ばで折れてしまった。
次の瞬間、リング上でヒナの絶叫が響き渡る。
「っ!! あぁぁぁぁぁあっ!!」
角を折られた激痛に、ヒナは人前を憚らず、泣き声を上げながら絶叫した。
そんな光景に、観客達は言葉を失う。
「う……そ、だろ……?」
「……角を……へし折った」
リング上の惨状に、観客達は言葉を失った。
ヒナの特徴的な角が折られた事によるショックもあるが、それ以上に、ゲヘナにおいて最強の一角とされる彼女が、完膚なきまでに叩きのめされている事実が、彼女らにとっては衝撃的過ぎたのだ。
「片方だけ折れているのはバランスが悪いですわね」
既に満身創痍のヒナに対して、アケミはそう呟くと、彼女のもう片方の角を両手で鷲掴みにし、力任せに根元から砕いた。
「これでよし」
アケミは満足そうに呟くと、ヒナの腕鷲掴み、そのままコーナーの上へとのぼり、彼女の身体を持ち上げた。
「っ、あ……」
「さぁて、ここからお楽しみタイムよ!!」
アケミはそう言って笑みを浮かべると、ヒナの身体を持ち上げたまま勢いよくコーナーから飛び降りる。
そして、そのままリング外のコンクリート目掛けて、ヒナの頭部を叩きつけた。
「がぁっ!!」
鈍い音と共にコンクリートが砕け、頭部に強い衝撃を受ける。
「まだまだ!!」
アケミはそのまま何度もヒナを持ち上げてはコンクリートに頭を叩き付ける行為を繰り返し、その度に彼女の頭部ダメージを与え続け、鮮血が辺り一面に飛び散る。
「っ……あ……やめ、も……死ぬ…死んじゃ……」
ヒナの口からか細い悲鳴が上がる。その度に何度もコンクリートに叩き付けているうちに、その悲鳴すらも上がらなくなった。
最早、彼女に意識があるかどうかすら分からない状況だ。
そして数分後。アケミはようやく手を止めた。
「ふぅ……そろそろ終わりにしましょうか」
リングの上に投げ捨て、大の字になって動かないヒナを尻目に、アケミはリングに上がると、勢いよく走り出し、ヒナの秘部に向け、爪先で思い切り蹴り上げた。
アケミの爪先がヒナの秘部を抉り、激痛が走る。
その痛みに身体をビクンと跳ねさせ、ショートタイツから赤みの混じった小水が垂れ流され、ヒナの股間を中心に水溜りができる。
「あらあら、その年でお漏らしだなんて、みっともないですわね」
鼻を砕かれ、頭蓋骨にも重篤なダメージ。更には恥骨すらも砕けた衝撃で、ヒナの純潔の証である膜すらも破けてしまった。
尊厳すらも奪われて尚、身体をビクンと痙攣させる事しか出来ないでいるヒナ。意識もないにも関わらず、次の瞬間にはヒナの頭と首を、アケミは自身の剛腕で締め上げ、彼女の身体を持ち上げた。
「さぁて、そろそろ仕上げにまいりましょうか」
そう言って、アケミはヒナの首と頭部を万力の様に締め上げる。
「う……あ、が……」
ヒナの口から苦悶の声が漏れ出る。だが、アケミは緩めない。
顔を胸で圧迫され、呼吸もままならぬ状況の中、ミシミシと骨が軋む音が聞こえ、そして……
ボゴンッ!という、聞き慣れない音と共に、ヒナの四肢がだらりと垂れ下がる。
頭蓋骨が砕かれ、首の骨すらも折れたのか、ヒナは白目を向いたまま、ぴくぴくと痙攣をしていた。
「あら、少しやりすぎちゃったかしら?」
アケミはそう呟くと、ヒナの首から手を放す。
解放された事で支えを失ったヒナの身体は、そのままリングへと落下し、鈍い音と共にリングに沈んだ。
そこで漸く、ゴングが鳴らされ、アケミの勝利として決着がついた。しかし、アケミの勝利に、観客達は言葉を失った。
その後、担架で運ばれたヒナだったが、砕けた頭蓋骨の破片が脳を傷付けたらしく、そのまま意識を取り戻したとしても後遺症が残ると医師から診断を受けた。
この出来事はゲヘナにおいて大きな波紋を呼び、ヒナが敗北した事実に生徒間では様々な噂が飛び交ったのは、また別の話。