俺が生まれるかなり前の話なんで詳しくは知らないけど、昔はこの辺りもたくさん人が住んでいて、子供の数も今よりもずっと多かったそうだ。
子供が多ければ遊び場も必要になる。
で、ブランコや滑り台とか、ジャングルジムなんかの固定遊具が設置されてた公園もあったのだ。
けど年を重ねる
遊ぶ人間が少なくなり使われる機会も減った遊具たちは、手入れもされず錆び朽ちて次々に撤去されていった。
そして公園は単なる空地に。
耕作放置地やら更地やらしかなかった村外れから、住宅地へ続く生活道周りの、自然の欲求に呼ばれた際の救済地としてトイレだけが残った。
だけど後年、空き地に小規模ながらも生活用品店なんかが出来たことで、ほぼ御役御免となり現在に至る。
……ただ用を足すだけ、ひとりこっそりと性欲処理をするだけなら、俺もお店のトイレを借りてただろう。
でも、ましろ母さんは言った「
具体的にどんなことをしてくれるのかはわからないが、
『お手伝い』が人目をはばかる事なのは、確かだろう。
まれに使われる事があるので、一応の管理をされている元・公園トイレは、和式の個室ひとつに手洗い場があるだけのシンプルなもの。
造られた当時はいわゆるポットン便所だったらしいが、ありがたいことに水洗式に改装されている。
改装する時、ついでに個室増やすか男用の小便器作っときゃ良かったとにとか思うが、当時は当時で出来ない理由があったんだろう。
覗き防止か高い位置に備えられた、ハメ殺しの小さな窓では足りない明るさを補うための電球に照らされた個室は、思ってたよりもきれいにされていた。
「
と、少し照れながらましろ母さんは個室に消え、残される俺。
……え、一緒に入って何かしてくれるんじゃないんですか、おかぁさん?
下された仕打ちに文句垂れてやろうとしてたら、閉ざされた扉の向こうから聞こえてきたごそごそとした衣擦れの音に、口を塞いで耳を澄ましてしまう俺。
少しして、ジョボジョボと水音が聞こえてくる。
塗装がはげ落ち、傷んだ地肌が覗く合板製の扉一枚を隔てて、女の人が用を足す音を、しかも母さんがしてるのを聞いてしまった。
ひとつ屋根の下で一緒に暮らして五年、そういう機会が無かった訳じゃない。
だが家族といえ、そういう時は無意識に配慮するから、こうまで露骨に耳にする事はなかった。
……いざ聞いてしまうと、こんなにも破壊力があるものだったのか。
ただの音だけ。いや音だけだからこそ、いろいろな妄想をしてしまうのだ。
ジャージスカートの裾を捲り上げ、下着をおろし足を開いて腰を落とす母さんの姿が、妙にはっきりと頭の中に浮かぶ。
自然と手が股間に降り、強い自己主張している如意棒を押さえつける。
――ああ、もうっ。パンパンで破裂しそうなのに火に油注いでくれちゃって、どうしてくれるんだよぉ。
ウォーターパークを出てから、
その間我慢していたのだろう、水を打つ音は終わらない。
続いている音が、さっき妄想した和式特有の体勢をとっている母さんのイメージを強くする。
想像なんかじゃなく五年前風呂場で見た母さんの裸、尻の谷間から続く茂みに覆われた肉溝が思い浮かぶ。
知らず知らずのうちに俺は綿パンのジッパーを下ろし、下着の中からいきり立ったモノを放り出していた。
先走り液にぬめった
自分に
「――うっ!」
暴発寸前になっていた肉棒は、母さんのあられもない姿の想像と右手の刺激に耐えられず、あっけなく弾けてしまった。
風が運び込んだ砂にまみれたコンクリート床へ白い汁をまき散らし、壁に背を持たれて荒い呼吸を繰り返す俺。
達したのにあわせるみたいに、扉の向こうから聞こえていた水を打つ音が止まる。
やがてペーパーが引き出される音に柔らかな肉と紙がこすれあう音が続き、勢いよく水が流される音を響く。
それを俺は萎えつつあるナニを右手で握って、しまいもせずに呆けたまま聞いていた。
音が止んで少しの間を置いてから扉が開き、うつむき加減で出てくるましろ母さんをボーっとしたまま見ていた。
どこかはにかみがちなのは、用足しを聞かれてたって意識があるからだろうか?
「……お待たせしまし、た?」
顔をあげた母さんが、ポロリしたままの俺を見て言葉を詰まらせる。
母さんの声で今の自分の格好を思い出し、慌ててしまおうとするが、
「――つ、うっ」
うっかりジッパーに引っ掛けてしまい、悶絶する俺。
「……
床に散ってる乾ききっていない白濁液と、腰をかがめて苦悶する俺のみっともない姿を見比べながら、呆れたような声音で母さん。
「
どこかホッとしたようで、それでいて残念そうな声の響きに、気を引かれて問いかけてしまう。
「よ、用意したって……なに、を?」
収め損ねた男性器を隠すように、中腰半身のまま顔だけ母さんへと向ける。
母さんは後ろ手にしていた右腕を前に回し、手のひらに丸められた
「今日、朝からずっと穿いていたもの、です」
穿いていたって、つまり下着かと驚いている俺。
「今日だけ特別って思ったんですけど……必要ないみたいですね」
照れながら言って、母さんは手の中のモノをトートバックに収めてしまう。
「それより優介くん。
と言いつつ、入れ替わるように俺を個室の中へと送り込む。
萎えかけていたモノは『母さんの脱ぎたてのパンツ』という存在に反応して、硬度を取り戻しつつあったんだけど、そこまでで。
いくら若いっても、出してすぐになんて超回復は期待できず。大きくならず縮こまらずの中途半端な状態。
鈴口から粘り気のある汁をたらしたままのみっともなさったら。あぁ情けない。
俺はペーパーを引っ張り出し、よだれをたらすせがれを拭い
少しばかりペーパーのカスが剥いた頭にへばりついたが、帰ってから風呂に入って落としてしまえばいいだろう。
……しかし、もったいなかったなぁ。
禁止された脱いだ下着を使わせてもらえてたかもしれなかったのに、水音で暴発させてしまうなんて。……それはそれとして、水音か。やばいな、これから家の中で意識してしまうかもしれん。
「優介く~ん、まだですか~?」
俺が新たな性癖の目覚めを確信していたところへ、扉の向こうから母さんの間延びした呼び声。
「もうちょっと~」
と答え、俺はついでとばかりに膀胱にたまっていたモノも解き放っといた。
さっきとは逆に俺の立てる水音を、扉の向こうで母さんは聞いているのだろうか?
ま、俺とは違って、そんな音に興奮なんかはしないとは思うけど。
すっきりさせた後、ナニを拭ったペーパーと一緒にザーッと流す。
「お待たせでした」
待たせたことを悪びれもせず、扉を開ける俺。
「もう、いいです?」
ちらっと俺を見て言う母さん。視線が微妙に下半身にへ向くのは、ポロリしたままのみっともないカッコしてたからだろうなぁ。
大丈夫って意味を込めてうなづくと、
「じゃ、またつかわせてもらいますね」
って、入れ替わりに個室へ入ろうとするましろ母さん。さっきしたばかりなのにと、わけわからずに立ち尽くしてる俺へ、
「……ええっと。その、穿き直したいなって」
トートバックの口を抑えて、もじもじしながら理由を告げた。
ああ、そうだ。今母さんはノーパンなのだ。スカートで隠されているとはいえ、穿いてないのといるのでは安心感が違う。
ヘヘヘと困った顔して笑うましろ母さん。
そういうことかと、わかった顔をして俺は入り口の前からどいて母さんを通し、あとに続いて個室に舞い戻る。
「な、なんで優介くんも入っているんですか?」
困惑する母さんへ、
「ん~、『お手伝い』してもらえなかったから、その穴埋めが欲しいかなって」
「――もらえなかったって、してあげる前に終わらせちゃったの優介くんでしょうに」
満面の笑みで言う俺へ、食い気味に言い返してくる母さん。確かにそれはそうなんだが。
「それはそれ、これはこれ。たださ、母さんが穿き直すとこ見せてほしいだけなんだ」
笑みを絶やさずに告げる俺、ジト目で睨む母さん。
しばしの間を置いて、母さんが大きなため息をつく。
「……見るだけですよ?」
「うん、見てるだけ」
もう一度ため息をついた後、トートバックから丸まった布を取り出し手のひらに隠す母さん。
俺にトートバックを渡し、背を向けて一段高くなっている便座台に立って、便器をまたぐ。
右の靴を脱いで足をその上に置き、尻を突き出すように腰を下ろし、中腰で手にした下着を右足に通す。
下着を穿くにつれ、スカートの裾も一緒に上がる。ひざ下あたりまで上げると、今度は左足。
和式便座を跨いだ不安定な姿勢で、下着を穿くという行為が上手くいくはずもなく、左足を通したところで母さんはバランスを崩してしまう。
「あっ」
「あっ」
あげた声が重なる。俺はとっさに腕を伸ばし、傾いてきた母さんの腰を支えた。
「だ……大丈夫?」
支えたまま声をかけると、
「な、なんとか。あの優介、くん……」
申し訳なさげに返事をしてくる母さんの声。含まれた意志をくみ取り、
「ん、わかった。支えとく」
腰に添えた手に軽く力を込めて、任せとけって気持ちを伝えた。
「……」
ましろ母さんはなにも言わず、俺に支えられるまま下着を穿き直していく。
両方の膝を通ったあたりで腰が立ち、重心が前に戻ったことで俺の支えは必要なくなり手を放す。
太腿の真ん中あたりまで捲れたスカートを眺めつつ、これはこれでよい光景だななんて思っていると、
「――さ、サービス、です」
言うや、母さんは上半身を前に傾けてスカートを捲り上げ、まだ下着に覆われていない尻を見せつけてきた。
突然の行動と剥き出しの生尻に見入り、固まってしまう俺。
軽い前傾姿勢で腰を突き出してゆっくりと下着をあげて尻を包む。それから下着の縁に指を入れ形を整える母さん。
スカートを下ろし靴を履き直して身体を起こすましろ母さん。でも、なぜかそこから動かない。
まるで、なにかされることを期待してるって感じた俺。離していた手を母さんの腰へ。
「――ん」
腰を触れていた手を滑らせて腰に、それから包むようにしてお尻を撫でる。
スカートの上から下着の外べりをなぞる、母さんのお尻の丸みを確かめるように。
触れている手のひらに押し付けるみたいに、腰を突き出してくる母さん。
トートバックは手を離れトイレの床に。脚を広げ上体を伏せた母さんは、壁に手をついて身体を支えてる。
ましろ母さんと俺の、荒い息遣いが個室に響き、夏の暑さに熱された空気が蒸れた体臭をこもらせた。
俺は堪えきれずスカートを捲り上げる、母さんは拒まない。
晒された下着は汗で張り付き、股座は汗とは違うなにかでしっとりと腑濡れぼそっていた。
「――母さんて、お尻触られると、弱いよね?」
意地悪とかじゃなく、自然と湧いてきた言葉に、母さんは頭を何度も縦に振り、
「ハイ、弱いんです。お尻触られるの好きなんです。そんな風にされちゃったんです」
されたと、自身の性遍歴を少し明かしてきた。
つまり、昔誰かにお尻をいじられるのを好きにされてしまったってことか。ムラッと嫉妬の火がともったところへ、
「優介くん、お願いします。――を触って」
ましろ母さんが切なげな声をあげる。よく聞き取れなくて間違いかもしれないけど、まさかの期待をこめて聞き返す。
「どこ? どこ触ってほしいの母さん?」
バスの中、バス停。そして五年前の風呂場。別段の反応を見せた
「――あな、です。
公園近くに人が居たら聞こえていただろう大きな声で、ましろ母さんは自分の感じる場所を叫んだ。
俺は声に突き動かされるように、肌に張り付いてる母さんの
生で見るましろ母さんのお尻。下着からから解放されてムッとした女の匂いが立ち上がる。
大きくて汗ばんでて艶々、火照りでうっすらと赤みがかかり、例えるまでなく桃そのもの。
魅入られたまま俺は中央に走る亀裂に指をかけ、谷間を開き奥底を覗き込む。
白い肌とは対照的にくすんだ菫色の秘裂。女の穴から滴ったねばつき白く濁った淫液にまみれて
ぷっくりと膨らみ、今にも内側にこもった熱を吹き出しそうな火口。
尻の穴、肛門。消化器官の末端なのに、不思議と汚いとかは感じない。
五年前に見たときと変わらぬ、いやもっといやらしく見える
「ゆ、優介くん、お願い。早くぅ……」
尻を揺らし、ましろ母さんが聞いたことのない声音で俺におねだりしてくる。
俺は右の人差し指を口に入れ、唾液をたっぷりとまとわせて、今か今かと待ち構えているそこへと突き刺した。
「ィイッ――」
挿し込んだ瞬間、母さんは短い嬌声をあげ背を逸らし、身体を震わせる。
唾液をまぶした程度の潤滑で、すっぽりと指を受け入れる小菊の門。そのスムーズさに母さんの経験度がしれた。
挿入されることに慣れている。きっと指なんかだけじゃなく、大人の玩具――きっと男性自身も。
絶妙な力加減で俺の指を咥え込む締め具合も、昔の誰かが教え込んだ結果。
そう思っただけで再び燃え上がる嫉妬の炎。
俺は人差し指を根元まで深く挿し込み、激しく出し入れさせながら訊いた。
「慣れてるよねっ、したことあるんでしょ、ここで?」
声をあげないためなのだろう、スカートの裾を口にくわえている母さんからの返事はない。
聞こえないふり? それとも本当に答えられないくらいの気持ち良さに酔っちゃっているのか?
苛立ちやら勝手な独占欲やらがないまぜになって、俺は奥まで挿した指をねじりながら抜いた。
「あ、あっあ――っ」
途端、母さんが咥えていた裾を放し、熱い喘ぎ声をあげ、挿し込んだ時と同じように身体を震わせ脱力する。
少し前に出したばかりだったから射精こそしなかったが、ギンギンになった俺のモノはパンツのうち柄を先走りでぬるぬるにしてた。
お互い言葉なしで後始末。
俺はパンツを拭っただけで大丈夫だったが、母さんは下着をべちょぺちょにしてて、結局ノーパンに戻った。
呼吸を整えて平静に戻ったのは、
互いに恥ずかしいところを見せあったからか、妙に気まずくて言葉も交わせないまま。
それでもここに居続けるわけにもいかず、どちらともなくとぼとぼ歩きだす。
俺が前、母さんは後ろ。微妙に距離を置いたまま家路を進む。
こんな空気のまま家に帰ったら、父さんだっておかしいって思うだろう。
意を決して話しかけようとしたとき――。
「――十代のとき、付き合ってた……いえ、付き合ってるって思ってた相手に仕込まれたんです」
ひとりごとみたいに、母さんが口を開いた。
「向こうからしたらただの遊び相手――ううん、オモチャですね。……そんなこともわからなくて、捨てられたくないからって相手の望むこと、なんでも受け入れてました」
この五年、尋ねることはなかったけど、いつかは教えてくれるだろうとなんとなく思っていたましろ母さんの過去。
「私は私だけって思ってました。けど向こうにしたらいくつか持ってるオモチャのひとつ。遊び飽きたらポイって――」
淡々と口にするけど、軽くはなくて。
「なんでもするからって縋り付いたら、その人のお友達の相手させられて。いっぱいひどいことされて、気が付いたら病院でした」
俺はその重たさに何も言えずにいた。
「妊娠してたんです……誰の子だったのかはわかりません。ひどいことされてダメになっちゃって、子宮ごとなくなっちゃいました。お腹の傷はその時のです」
あの傷跡はそういうこと。だけど大事そうにしてたじゃない?
「お風呂一緒にしたとき、覚えてますか? 言いましたよね。お腹の傷はもう二度とあんなことしないって戒めで、誓いなんですよ」
母さんの声音は柔らかく、優しく微笑んでいるようにも聞こえた。
「……って、心の方は律しているつもりでいたんですよ」
けど不意に口調が変わり、どこか投げやりに。
「だけど身体の方は忘れてなくて……。さっきみたいに気持ちいいことすると、止められなくなっちゃうんです。優介くんにもダメなとこ知られちゃいました」
自虐的なその言葉に、脚を止め、
「ダメじゃないよっ」
振りむいて俺は叫んだ。
「ダメなんかじゃない。――俺は、その、普段の母さんも好きだし、やらしくてダメな母さんは、もっと好きだ」
急に振り向いた俺に驚いた顔をしてる母さんへ、今思っていることをそのまま伝える。
パチクリと目を瞬かせ、それから母さんはおかしそうに笑う。
「――ったく、なんですかそれ? こっちは真面目に話してたのに」
でも、その笑みはどこか嬉し気で。
「……息子と
「母さんだから、ましろ母さんがいいんだよっ」
自分を卑下しようとする母さんへ、勢いで思いをぶつける俺。
きょとんとして、それからうつむき、上目使いをしながら俺へと近づき、赤い顔をして見つめながら母さんが言う。
「母親口説いてどうするんですか」
それから俺を抱きしめ、
「私も、優介くんが、いやらしいことしてくれる優介くんが大好きです」
ぼそりとつぶやいた。