手袋フェチの大学生田中晋一は酷すぎるパネマジにあい、心も身体もズタボロだったところを同じネット上のフェチ友である坂本に紹介される形で撮影モデルと一対一で写真を撮れる撮影会に行くことになる。それは、平凡な田中の人生を大きく変えるものだった。

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田中晋一‥‥ 手袋フェチを持つ平凡な大学生。リアル友達は非常に少ないものの、ネット上には何でも話せる親友、坂本がいる。
安曇結衣菜‥‥田中が一目惚れした美少女撮影モデル。19歳。
坂本‥‥田中のネット上での親友。同じ趣味性的嗜好を持ち、何でも話せる仲。


高嶺の花は撮影モデル

『ったく〜、ガマ大王みたいな見てくれのあんな態度悪い女に当たるだなんて最悪だよ。』

冴えない大学生の田中は、高校生の頃から夢にまで見た念願の初ピンサロの狙っていた女がまさかのパネマジであり、宣伝写真とは全く違う容姿と横柄すぎる態度に圧倒された90分を過ごしたせいで心身共にズタボロになりつつ夜の寂れた街をトボトボ歩いていた。

『ちきしょー、これじゃああんまりだぁ、ここは愚痴るか!』

転んでもただでは起き上がらないぞと固く歯を噛み締めつつ、今日ありのままに起こったことをネットのフェチ友、坂本にDMで書き込む。

「アメフクラガエルの妖怪みたいなとんでもねぇガマ女でしたよ。俺の汗水垂らして溜めたバイト代どうしてくれるって話ですよ〜。ガッペ悲しいっ!」

感情の思うがまま書き込み5分後、スマホがピコンと鳴る。気になって液晶を見てみると坂本からの新着メッセージが届いていた。

「とんだやばい店に巻き込まれてしまったようですね。さぞ辛かったたことでしょう。風俗とは違うのですけどね、撮影会って、知ってます?」

撮影会、聞いたことはあるが実態は掴めない。なんとなくソフマップにグラビアのお姉さんが集まるイメージを思い出すくらいだろうか。

「撮影会?無理ですカメラ持ってないし。それに‥‥‥」

すぐさま返信しようと文字を打ち込んでいる間に、更なる坂本からのメッセージが届く。しかもどうやらURLリンク付きのようだ。

「この撮影会スタジオは素人さんもファッションモデルやアイドルや女優の卵も働いてるので、とにかく女の子のレベルが高いんですよ。それにカメラもレンタルしてくれるし、大丈夫ですよ。基本ヌードオッケーなので、手袋嵌めた可愛い女の子の写真も撮り放題、ですよ‥‥‥」

ゴクリ、と田中は唾を飲む。なんだと?乃木坂レベルの美女達がヌードを‥‥?しかもどんなシチュエーションでも撮らせてくれる‥‥?期待と不安半分でリンクを開いてみると、そこには坂本の言う通り尋常でない程美しいモデルさん達の宣伝写真が所狭しと敷き詰められ、目線が自ずと合ってしまった。

『非の打ち所がない程に美しい‥‥最高かよ。』

宣伝写真をスクロールしつつ見ていくと、黒髪ツインテールにした広瀬ア●スのような美少女の姿がふと目に飛び込んできた。

『安曇、結衣菜‥‥』

田中は身体の中で何かが弾け、轟くのを感じていた。恋もしたことがない、彼女がいたこともない、風俗マンになるぞと意気込んでいたものの初回で撃沈という苦虫噛み潰し童貞にとってはよくわからないがこれが、恋というものなのではないかと思わず期待で笑みが溢れる。

『安曇結衣菜、今度の金曜夜19時から50分間かぁ、この娘にしよう。』

思い立ったら即行動というべきか、気付けば予約フォームボタンをタップし液晶に現れた予約完了の4文字を眺め満足そうな笑みを浮かべていた。

『よし、あれも‥‥‥』

クローゼットから田中は趣味で購入したハンドモデルフィギュアに嵌めさせる用の革、サテン、ベロア、ナイロンの4つの手袋を取り出しリュックに詰め、3日後の支度をする。

そして3日後。

『スタッフから説明も受けたし、あとは10分後に来る安曇結衣菜を待つだけ、だな。』

期待に胸を躍らせながら、スタジオ内の椅子で美少女を待つ。

コンコンっ、ガチャッ。

心地のよいノック音の後、一度も染めたことのない純真無垢な黒い髪、透き通った白い肌、フランス人形のような澄んだ瞳、くっきりときた大きな二重の圧倒的美少女が扉を開けて入ってきた。

『はじめまして‥‥安曇結衣菜、ですっ。』

宣伝写真通り、いや、宣伝写真よりも遥かに美しい美少女は恥ずかしげに挨拶する。その姿に思わず見惚れてしまう。

『では、どの衣装で撮りますか?』

服を脱ぎ、意外にも胸の主張が激しい悩ましい身体付きだということが一目でわかる生まれたままの姿で佇む安曇はにこやかに問いかける。

『え?あぁ、じゃあこの制服と‥‥白いナイロンの手袋で……』

今まで見てきた女性の中で一番美しいと言っても過言ではない程の安曇を前に緊張し、少々テンパりながらも田中は白と紺色のお嬢様風ゲームレプリカ制服と手の甲に3本線の付いた白い礼装用の手袋、紺色のソックスを手渡した。

『わかりました。可愛い制服‥‥♡』

ゲームのヒロインが着用していた制服のコスプレ衣装が可愛くて照れているのだろうか、安曇の方も顔がほんのり赤らんでいる。

『田中さんって、コスプレ好きなんですか?』

『ええっと、あれよあれよ。制服好きなのよ。』

『こんな清楚で愛おしい制服、私に着こなせるかなぁ‥‥』

何を言ってるんだ、絶対似合うって。口には出さないが心のなかでそう思いながら田中は安曇の顔を優しい眼差しで見つめる。

安曇は言葉とは裏腹に慣れた手つきで制服を身に纏っていき、その後白い手袋もスルスルと片手ずつ嵌めていく。やがて田中の思い描いていた超理想的な美少女女子高生そのものが誕生した。

『制服に白の手袋、案外似合わないと思わせてかなり似合うんですね。この手袋、ミッキーちゃんみたいで可愛い♡』 

『お嬢様学校とかだと、未だに制服の1つとして手袋が支給されてるところもあるんだよ。すっごくそういうの可愛いなぁって思ってさぁ。安曇さん本当にお嬢様学校のJKみたいで可愛すぎる‥‥‥』

他愛もない会話をしながら、本能的にシャッターを切り続ける。

知らなかった世界の話を聞いて驚く顔、関心を寄せる顔、無邪気に笑う顔、幼さの中に時折見せる艶めかしい大人な顔、性欲なのか使命感なのかは一眼レフを介し安曇を見つめる俺にもわからないが自分がこの娘を、撮ってあげなきゃ。記憶を刻んであげなきゃ。なんてことを脳内で考えていた。

『もうっ、褒め上手すぎお兄ちゃんっ。いくら褒めたって結衣菜からは何も出てこないよ。』

最初の方は少し堅苦しかった安曇は完全に解れ、俺のことをお兄ちゃん、一人称を結衣菜と呼ぶようになっていた。

『手袋嵌めた女子高生がピースしてる写真、こんな感じ?』

白い手袋を外し、今度は黒い革の手袋に替えると、両手で顔の横でピースサインをしてきた。清楚な白と紺の制服と合わせると、何故か自然にコントラストとなっているようにすら見える黒い革の手袋。フェティッシュな構図そのものなのに何も知らなそうな純真無垢な眼差しを浮かべている当の本人‥‥こんな娘が彼女だったらいいのに。パンツの中の逸物が興奮のあまり昂ってくる。しかしそれを悟られないように無我夢中でシャッターを切り続けた。

ピピピッ!!ピピピッ!!

互いに感情が最高潮に達したところで、撮影時間50分の終了を告げるタイマーが部屋内に鳴り響く。

『楽しいことしてると時間って、あっという間に過ぎ去るものですねぇ。』

『私、お兄ちゃんと離れ離れになりたくない‥‥‥。』

瞳を潤つかせ、今にも泣きそうな眼差しで安曇はこちらを見つめると、脱いだ私服のポケット部分からメモ用紙とペンを取り出す。

『心も身体も、言いくるめられて丸裸にされちゃった。お兄ちゃんばっかりずるいですっ。結衣菜だってお兄ちゃんのこと、全部支配してやるんだから。はいっ、これ私のEXのアカウントID。貴方を私の専属カメラマン兼恋人見習いに認定しますっ♪スタジオの皆にはナイショだよ‥‥。』

心から嬉しそうに微笑みながら、安曇はメモ用紙を手渡してきた。一気に事が進んだ感じというか、現実離れぶりというか、感情に圧倒されるあまりマヌケな表情を浮かべていたのかもしれない。そんな俺の顔を見て安曇はクスクスと笑っている。

『安曇さん‥‥本当に‥‥いいの?』

『うん、どうせ撮るなら私を撮れーっ!貴方専属フェチモデルになってあげるんだからっ♪』

いつの間にか私服に着替えていた安曇はニコニコと笑いながらウインクした。

『あと、安曇じゃなくて、結衣菜って、呼んでくれる……?安曇だと恋人って感じ、しないじゃん?もうお兄ちゃんは結衣菜のダーリン、なんだからっ♪』

恋愛を知らないうぶな女の子を弄んでいるんじゃないよなぁと一瞬不安になりつつも、自分の願いが現実となったことに喜び、気付けば結衣菜のことを抱きしめていた。

『もう、抱きしめなくたって私、消えたり溶けたりしないよっ、眠れなくなるくらいDM送ってあげるんだから。』

かくして、撮影モデルとの恋愛日常が始まったのだった。


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