学園アイドルマスターの紫雲清夏ちゃんが逆恨みでトイレ盗撮被害に遭い、しかもその画像を学校裏サイトに流出させられてしまうお話です。
※本作はPixivにも投稿しております。

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第1話

 昼休み……天気は抜けるような快晴。生徒たちが思い思いの憩いの時間を過ごしているとき、私の周囲だけは暗雲が漂っているようだった。頭の中で何度も響くのは、先週突きつけられたプロデューサーの言葉……

『今度の試験で結果が出なければ、あなたとのプロデュース契約を解消します』

私は思わず誰に向けることもなく頭を振ったけれど、プロデューサーのあの冷徹な“最後通告”が……失望の滲む声が頭を離れない。

 今のプロデューサーとは高校1年生からの付き合いだ。自分で言うのも何だけど、中等部の頃はそこそこ目立つ存在だった私を高等部進学と同時にスカウトしてくれた。それから1年半、私たちは二人三脚で初星学園で戦ってきた。私にとっても初めてのスカウトだった、プロデューサーにとっても初めてのプロデュースが私だった。初めて同士の2人。決して順風満帆だったわけじゃない。どちらかというと早熟型だったらしい私は中等部の頃よりも結果を残せなくて、心身の成長とともに実力を発揮し始めた同期たちや高等部入学の新たなライバルたちに埋もれてしまったのは確かだ。プロデューサーの育成方針も二転三転していた感は否めず、髪を染めてみたりメイクを派手にしてみたり……側から見ればお笑いだったかもしれない。でも、私たちは常にお互いを励まし合い、研鑽し合い、理想のアイドルを追求してきた……はずだった。

(プロデュース契約解除……私、プロデューサーに見捨てられたんだ……!)

私は屋上ベンチで頭を抱える……高校生になって身長が伸びたのを期に染めた金髪も、伸ばしたネイルも、プロデューサーに言われてやったことなのに……大した努力もせずに目立つことができた中等部とは違って、高等部に入って本気でアイドルを目指し始めたのはプロデューサーがスカウトしてくれたからなのに……!私はプロデューサーがいないと何にもできないのに……。

(それもこれも、あいつが……あいつのせいだ……)

紫雲清夏……あいつが私たちの前に現れたから……!

 

 紫雲清夏は高等部から初星学園に入学してきた、私の1年後輩にあたる生徒。身長168cmの高身長、15歳にしてB89・W58・H85という抜群のスタイル。キラキラの見事に染め上げられた金髪ストレート、人懐っこい緑の瞳にチャームポイントの泣きぼくろ、健康的な白い歯が輝く笑顔……ルックスだけで見ても初星学園でも上位一握りに食い込む。そこに加えてかつてはバレエ留学をするほど将来を嘱望されていたというエリート……入学当初から、彼女は有力なトップアイドル候補として噂されていた。

『ビジュアルやファッションセンスの点で似ている……あなたの強力なライバルになりうる存在ですね』

プロデューサーにそう言われたとき、私は身の引き締まる思いになると同時に、“あの”紫雲清夏と似ていると評されたことにうれしさを覚えた……覚えてしまったほどに、紫雲清夏は完成された美貌と雰囲気を併せ持つ存在だった。

 しかしどういうわけか、紫雲清夏には“やる気”が欠如していた。初星学園のアイドル科に入ったからには誰もがアイドルを目指すもの。それなのに、紫雲清夏は授業やレッスンをサボってばかりで、周囲からの期待をよそにマイペースに振る舞っていた。生まれ持った才覚にあぐらをかいているのか、何か人知れぬ事情があるのか……私は同じアイドル科の先輩として少しがっかりしたのと同時に、ホッと胸を撫で下ろしてもいた。プロデューサーは『紫雲清夏が私のライバルになる』と言っていたが、それは贔屓目だ。私の目からするとライバルにすらならない……紫雲清夏はあらゆる点で私の“上位互換”だった。もし彼女が本気になれば、私のような中途半端な生徒はその輝きに飲まれて存在感を失ってしまう……そうとしか思えなかった。何とも後ろ向きだけど、私は先輩アイドルとして紫雲清夏に打ち勝とうとするのではなく、紫雲清夏が本気にならないことを切に願っていた。

 紫雲清夏のサボり癖が学園内ですっかり定着した頃……油断していた私とプロデューサーを嘲笑うかのように、彼女は唐突に本気になった。きっかけはおそらく“紫雲清夏のプロデューサー”の存在……アイドル科の生徒なのにアイドルになる気がないという、ある意味でトップクラスの問題児をスカウトした変わり者……いったいどういう手段を使ったのか、彼は紫雲清夏を本気にさせた。持って生まれたものが違うのだろう、アイドルとして本格的なレッスンを受け始めた紫雲清夏の成長スピードは劇的だった。ものの数週間で最大の課題と言われていたダンス力をも巻き返し、定期的に行われる学園内試験で上位入賞を繰り返すようになった。恐れていたことが現実になった瞬間だった……紫雲清夏、彼女が本気を出して以降、私は常に彼女の後塵を拝するようになった。

『大丈夫。紫雲さんは強敵です……今までにない強敵ですが、あなたにだって積み重ねてきたものがあるはず』

プロデューサーはそう言ってくれた。でも……誰よりも私にはわかったんだ……紫雲清夏の圧倒的なアイドル力!

(勝てるわけない……勝てるわけないよ……)

そんな卑屈な精神状態もあって、ガタガタと調子を崩していく私……。

『今回の試験の内容を振り返りましょう。1位は紫雲清夏。あなたは4位……残念ながら次につながらない結果でした。……紫雲さんを意識しすぎてしまってはいませんか?』

『……ライバルとして意識しろって言ったのはプロデューサーでしょ……』

『意識しすぎなんです!紫雲さんはあなたを負かそうとしているわけではありません。あなたはあなたなりの魅力を審査員にアピールすれば……』

『私なりの魅力って何⁉︎ビジュアルも、スタイルも、パフォーマンスも、全部“紫雲清夏”の紛い物じゃない!彼女がダイアモンドなら私はジルコニアよ!』

『それは……』

嘘でも慰めでもよかった、プロデューサーの口から何か言葉が出ていれば、私も一旦は溜飲が下がっていたかもしれなかった。でも、プロデューサーは“何も言えなかった”。

中等部の頃のカワイイ系から高等部にかけてのギャル系への転身はプロデューサーが仕掛けたものだった。私の身長の伸びやルックスの変化に対応するためには、それが1つの解法だったんだと私も思う。でも……私とプロデューサーが2人で登っていたアイドルという山、その頂上にはすでに紫雲清夏が立っていたんだ。

 結果が出ているかどうかはともかく、緊密にコミュニケーションをとって2人で初星学園に挑んでいた私たちの関係はそこで決定的に変わってしまった。プロデュース方針は前例を踏襲するだけのなおざりなものになり、私は熱意もなくこれまで通りのレッスンスケジュールをこなしていた。努力も策もないジルコニアにはダイアモンドに対する勝ち目などなく、定期試験では当然のように紫雲清夏の圧勝。

(ケンカしたカップルってこんな感じなのかな)

試験後の控え室、私もプロデューサーも一言も話さない。沈黙、だけど肌がピリピリするほど空気が痛くて。ただ時間だけが過ぎていき……去り際にプロデューサーが放ったのが、あの言葉だった。

『今度の試験で結果が出なければ、あなたとのプロデュース契約を解消します』

 

 私の心はぐちゃぐちゃだった。プロデューサーを失うということ。まず第一に、初星学園で活動していく上でアイドルはプロデューサーを必ずしも必要としない。専属プロデューサーの存在が数々の優遇制度につながるのは間違いないけれど、プロデューサーなしで研鑽を続ける生徒たちもたくさんいる。だから、プロデューサーなんかいなくても私はアイドルを目指せる……

(うう……プロデューサーぁ……初めて私の才能を見出してくれて、ずっと励ましてくれて……ダメなときもあったけど一緒に乗り越えてきたじゃない……)

最後通告を突きつけられて改めて思い知る。初星学園で……もしかしたら本物の芸能界でもそうかもしれない……アイドルを目指し、アイドルとして活躍する裏には、パートナーと呼ぶべき存在が必要なんだと。プロデュース能力に長けていることも重要なのだろうけど、何よりもアイドルが表舞台では決して見せられないネガティブな部分を受け止めて、それを昇華してくれる人。一流の教師やコーチ、トレーニング施設が揃う初星学園で、唯一生徒自身が手に入れなければならないのは、一緒にアイドル戦国を歩むパートナー、プロデューサーなのだ。

(紫雲清夏……アンタさえ現れなければ……!)

そのときだった。昼休みが終わることを告げるチャイムが屋上に響いた。そして聞こえてきたのは耳馴染みのある声……彼女のボーカルを研究するために嫌になるほど聞いた声。

「んじゃリーリヤ、あたしは屋上に残るからさ〜」

隣にいるのは学園入学前からの親友であるという葛城リーリヤ。真面目に授業に出るように説得している葛城さんに対して、紫雲清夏はのらりくらりと受け答えしつつ、サボる意思は固いようだ。アイドルとしてのレッスンは真面目に受けるようになったようだが、授業はそうでもないらしい。説得を諦めた葛城さんが去っていき……学園の屋上にいるのは紫雲清夏と私だけになった。初秋の心地よい風が吹き抜けたけれど、私の心の燻る黒い炎は揺らぎもしなかった。

(紫雲清夏……アンタが私のプロデューサーを奪ったんだ……!)

この気持ちが“逆恨み”なのは誰に言われずともわかっていた。でも、それでも……私の怨恨は紫雲清夏を“キズモノ”にしなければ収まりそうになかった。

 

 私にまったく気づかない様子の紫雲清夏は屋上の防護網に手をかけて、秋の気持ち良い風を楽しんでいるようだった。だがその内心はまったく異なるに違いない。彼女の心には自信と夢があって、私の心には逆恨みでしか晴らせない、崩れかけの自我があるだけだ。そのまま屋上テラスでくつろぎでもするのかと思いきや、紫雲清夏は防護網から離れるとスタスタと屋上の端っこへ向かう。あっちにあるのは……

(紫雲清夏……もしかしてトイレ?)

屋上に1つだけあるトイレ。一応男女で分かれているものの、便器は学園では珍しく和式のみ、公園にある小綺麗な公衆トイレといったかなりコンパクトで簡素な構造のため、お互いの“音”が聞こえそうなのが問題で、普段は誰も使わない。だが屋上に1人しかいない(と紫雲清夏は思っている)今、催したのなら使わない手はないだろう。そのとき、私の脳内に1つの策が浮かび上がり、胸の暗い炎が燃え上がった……私は素早くスマホを取り出すと、正中線のしっかり通ったモデル歩きでトイレへと向かう紫雲清夏の後ろ姿を撮影した。そして彼女がそのまま女子トイレへと入っていったのを見届けると、駆け足で私もトイレへと向かった。

 

 ガチャリ、とトイレの個室がロックされたのを聞いてから、私もトイレに侵入する。屋上トイレには個室が2つしかなく、紫雲清夏は手前の個室を使っているようだ。

(屋上には誰もいない……誰も見てない……いける……!)

私は恥も外聞も衛生観念もなく、女子トイレの床にひざまづいた。いや、顔を擦り付けて土下座のポーズになった。そして動画モードにしたスマホを個室の下の隙間に近づけていく……!

(……この斜め前アングル、ヤバッ……)

さすがはトップアイドル候補と言うべきか……トイレの個室内でも紫雲清夏の“写真写り”は最高だった。両手でスマホを持って、両膝の間にスカイブルーのパンティを橋渡しにして、すらりとしながらもむちっと肉付きの良い太ももで豪快なM字開脚!金隠しがなんの役割も果たしていない、おまんこと顔がダブルで丸見え!両足をしっかり床につけて、ややお尻を落とし気味に座っているせいで斜め前からおまんこがほぼ完全に見通せる。私の持っている最新スマホのレンズなら、直毛タイプのジャリッと硬そうで黒々とした陰毛が恥丘に逆三角形に生えそろっているのがわかる。15歳の割にきちんと処理しているようだけど、陰毛1本1本の長さはまちまちのイガグリ状態で、その手入れ頻度は週1、2回程度だろうか……。陰毛の直下で柔らかく、うっすらと口を開くのは紛れもない女性器粘膜。やや赤みの強いピンク色で、包皮に包まれた陰核からへの字に伸びる小陰唇にクニュクニュまでもがカメラに映っている。

(え、え、ウソ、顔とおまんこがばっちり……この写真1枚流出しただけで紫雲清夏終わりじゃん……)

私はそのあっけなさに戦慄すら覚えた。今、紫雲清夏はつまらなさそうにスマホをいじりながら、おまんこを丸出しにしている。アイドルとして名刺代わりのその美貌と、アイドルとして絶対に見せてはいけない股間の粘膜を同時に晒した超絶個人情報満載のワンショットが、こうも簡単に撮れてしまうとは……。

 

チョロッ……チロロロロロロロ……

 

そして紫雲清夏は何の警戒心もなく、何の衒いもない黄色いおしっこを便器に垂れ流し始めた。人目を惹く派手なギャル系なルックスと基本的に明るく誰とでも仲良くなれる溌剌とした人柄の割には随分とお淑やかな放尿。紫雲清夏、その本質は単なるギャルではなく、バレエ留学に行かせてもらうほどのお嬢様……ギャルの人懐っこさと育ちの良さの二面性が彼女の愛される表現力につながっているのかもしれない。私が場違いな分析を始めた、そのときだった。

 

ボフッ、ブスゥッ……!

 

(なっ……えっ……おなら⁉︎紫雲清夏がおなら⁉︎)

ぷ〜んと漂う脂っこいおなら臭よりも何よりも、私は戸惑いを覚えた。今までずっとライバルだと、いや決して倒せない圧倒的強敵として立ちはだかってきた紫雲清夏が、目の前で屁をこいたのだ!こんなに困惑することがあるだろうか?笑えば良いのか、蔑めば良いのか、悲しめば良いのか……さまざまな感慨が去来しつつも、私はもう1つの最高アングルを求めて場所を移動した。紫雲清夏が入っている後ろの個室……そこに這いつくばって、壁の下の隙間にスマホを差し込む。

(……くあっ、これはキツいって……!)

私は思わず紫雲清夏に感情移入してしまった。スマホのカメラが冷徹なまでに捉えたのは、紫雲清夏の美しく引き締まった85cmのヒップと……女子なら口にもしたくないアソコ……“アナル”が鮮明に映っている。

(サイアク……こんなとこ撮られたらもう女の子として生きていけない……)

女の子らしいピンク色はピンク色だけど、ソーセージの断面のような灰色にくすんだピンク色なのが庶民的。さすがの紫雲清夏もアナルまではキラキラできなかったようで。ヒクッ、ヒクッと生き物のように括約筋が蠢き、その中心からピョコピョコと顔を覗かせるのはまさか……いや、ソレしかありえない……。

 

ヴスッ……

 

すかしっぺのようなおならとともに“ボロンッ”とアナルからこぼれ出たのは一口大の唐揚げサイズの、うんこ……うんこだ、紫雲清夏の黄土色のうんこ!何らかの繊維のようなものでアナルとつながり、プラ……プラ……と揺れている唐揚げうんこは妙に哀愁にまみれ、何か言いたげですらあって……だが次の瞬間!

 

ズリュッ、ズリュリュリュリュ!

 

アナルから勢いよく搾り出された一本グソに押されて、無情にも便器にぶち込まれた。キューンと気持ち良さそうに引き締まり、アスタリスク状のシワを刻んだアナルは間を置かずにまた膨らみ出す。『ほら、見ててね』と言わんばかりにぷくっ、ぷくっと膨張して……

 

メリリッ、リュリュリュリュリュ!

 

ゴツゴツの男らしいうんこがこれまた景気良く吐き出される!黄土色の一本グソはところどころがひび割れ、またねっとりとした塊を内包してふしくれだっていて、どこかプロテインバーを思わせる、1〜2日分のさまざまな食材が練り込まれたキメラ的なうんこ。『アイドルはうんこしない』なんて時代は終わった……けれど、今でもアイドルならば『私はうんこしま〜す』なんて絶対に言わない。なのに、なのに……

(あ……アイドルはうんこしない……けど、紫雲清夏はうんこする……うんこするんだ……!)

この紫雲清夏というアイドルは、自分がうんこをしているところを撮られてしまったのだ……彼女はうんこをするアイドル、すなわち“うんこアイドル、紫雲清夏”というわけだ……!

(紫雲清夏……悔しいね……絶対悔しいよね……)

どんな事情があったかは知らない。天賦のものを持ちながらそれを持て余していた紫雲清夏という少女。彼女は良きプロデューサーと出会ってやっとその才覚を花開かせた。それが……それなのに……。彼女に遠く及ばないアイドル崩れが、周到に計画したのではない、単なる思いつきで行ったチンケなイタズラ行為によってアイドルとして致命的なダメージを受ける。おまんこ、おしっこ、アナル、うんこ……全世界の女の子がひた隠しにするプライバシーの根っこの行為を、顔と一緒に撮影されてしまう。まさに今、蛹から羽化しようとするアゲハ蝶を指で捻り潰すような虚しさと快感……。

 

プーー……

 

紫雲清夏は小さなおならをしながら何度か足踏みをして、お尻をフリフリする。そしてまた恥じらいもなく膨らんでいくアナル……

 

……ムチッ、ズリュッ……ズリュリュッ……

 

紫雲清夏最後のひと搾りはこれまでになくネットリとした、硬めのクリームうんこ。黄土色の中にこっそり混じる黄色い粒はコーンだろうか……量的に言えば、コンビニサラダのちょろっと入ってるアレくらい。アナルにひっついていたうんこ粒がポチョン……と便器に落ちて、紫雲清夏にとって最悪の時間は終わった。

 

 紫雲清夏がペーパーを巻き取り始めたのを感じて、私は慌てて、しかし靴音を立てず静かにトイレを出た。そしてトイレから十分離れた遠方からスマホを構える。

(ぷっ……出てきた出てきた……)

トイレから出てきたのは当然、紫雲清夏。さっきまでおならぶっこきながら黄土色うんこしてたなんてチラとも感じさせないおすまし顔だ。これで“証拠”はすべて揃った。屋上のベンチに座り、スマホを見始めた紫雲清夏を置いて、私は密やかに屋上から去った。

 

●

 

最近はどこの学校にもあるという“裏サイト”。実は私たちの初星学園にも存在する……その名も“裏星学園”。いや、考えてみれば女子アイドルたちが切磋琢磨する初星学園こそ、裏ではえげつない誹謗中傷が行われる素地が整っていると言える。

 これまで、プロデューサーから禁止されていたこともあって、裏星学園にアクセスすることはほとんどなかった。これまでの私は、どちらかといえば真面目にレッスンに取り組むことでライバルを見返すという順当な道を選んでいた。だけど……

(あ〜あ、変わっちゃったな、アイツのせいで……)

私が立ち上げたスレッド、そこに流した画像には瞬く間にとんでもない閲覧数がついた。最後の情けとばかりに顔には目線、おまんこにはモザイクを入れてあげたんだけど……

『おい、これ紫雲清夏じゃね?』

『嘘だろ⁉︎高等部1年1組の紫雲清夏⁉︎』

『紫雲清夏だ!紫雲清夏のトイレ盗撮!ヤッベェ〜〜〜〜』

その並外れたルックスと存在感は目線程度では消せなかったらしく、1発で紫雲清夏だってバレてたのには笑った。

『M字開脚でまんこ丸見え♡』

『ピンクの割れ目ちゃんまで見えちゃってまちゅよ〜〜www』

『陰毛は黒なんだな……』

『当たり前だろwww日本人が陰毛まで金髪にするかよwww』

『おしっこ黄色wwwレモネードみてぇwww』

『清夏ちゃんのなら飲める♡』

でもアナルにはモザイクなし。当然だよね、性器じゃないんだから。

『紫 雲 清 夏 の ア ナ ル』

『残酷すぎwwwノーモザアナルwww』

『性器じゃないからノーモザでいいんだもんwww』

『生々しいってか肉肉しいwww』

『ギョウ虫のシール貼りてぇ〜〜♡』

そしておまちかねのうんこ画像にスレッドは大喝采!

『紫雲清夏のうんこキターーーーーーーー‼︎』

『うんこうんこうんこ〜〜〜〜!清夏っちのうんこ〜〜〜〜〜!』

『うんこだぞ〜〜www初星学園高等部アイドル科1年1組、紫雲清夏のうんこだぞ〜〜www』

『うおっ、でっっっwwwふっとwww』

『女の子が一本グソwwwゴツゴツwwwえげつねぇwww』

『清夏ちゃんもうんこするんだ……ショック……』

『↑そんなこと言いながらシコってます』

『アナルめくれ上がってるwww必死wwwウケるwww』

『あんな引き締まったウエストから3本もうんこ出すのwww』

『最後のうんこ、とうもろこし混じってね?www』

『ホントだwwwかわい〜いwww』

『お、俺、清夏ちゃんのプチプチコーンうんこなら食べれるかも……』

紫雲清夏のあられもない姿に湧くスレッドの人々だったけど、散見されたのはこんな意見……

『ざまぁwwwあいつ今まで散々サボりだったくせにいきなりトップアイドルヅラしててウザかったんだよwww』

『ホントそれwww授業もレッスンも出ないくせに妙に馴れ馴れしいしwwwうっざwww』

『これアングル的に絶対女子の仕業でしょ。いかに紫雲清夏が女に嫌われてるかわかるな』

『陽キャ気取りのクソサボり魔ギャルには当然の報い。スカッとしたわ〜〜www』

『こんな画像が出回ったらもう学園歩けないね。アイドルとして失格。お疲れ様でした〜〜』

うんこの決定的瞬間まで撮られて弱くなった紫雲清夏の立場を見るや湧いて出てきた同性アンチの群れ。これまでなら嫌悪感を覚えていたかもしれない状況にも、“紫雲清夏アンチ筆頭”として居心地の良さを私は感じてしまうのだった。

(こんなの……ハマっちゃうじゃん、裏星学園……!)

 

 ……とにかく、できることはやった。あとは結果を待つだけ。目線、モザイクありとはいえ自分のうんこ姿を学校裏サイトにアップロードされてまともでいられる女子なんかいないだろうけど……。

 

●

 

 私は呆然としていた。試験の結果は3位。定期試験としてはギリギリの合格ライン。紫雲清夏が現れてからというもの、久しぶりの合格を勝ち取ったわけだけど……。

(そんなわけない……!こんな状況は想像してなかった……!)

今回の定期試験、1位をとったのは誰でもない、紫雲清夏だったのだ。

 私の計画はこうだった。非常に簡単なことだ。紫雲清夏のトイレ姿を盗撮し、裏星学園に流出させる。きっと紫雲清夏はショックでレッスンに手がつかない、それどころか定期試験に出ないという選択をする可能性もある。ずっと紫雲清夏の後ろに立たされていた私は繰り上げで定期試験に合格する。そして、プロデューサーの最後通告を何とか撤回させる……という筋書きだった。それなのに……!

(紫雲清夏……なんて堂々たるパフォーマンス……!)

内情を知っている者ならば、彼女が成し遂げたことの凄みがより実感できるだろう。活発に使っている生徒はそれほどの数ではないにしろ、その存在は確実に全生徒に知れ渡っている裏星学園。そこに自らのうんこ姿をアップされて1週間も経たないうちに行われたライブ試験。自分のライブを見に来ている少なからぬ生徒が自分の排尿・排便を目撃したと想定される中で、あの弾けるような笑顔、観客を自然とノせるダンス、心に響くヴォーカル……。

(紫雲清夏……彼女こそトップアイドルの資質を持つ人……!)

 

 定期試験が終わった後、プロデューサーは私にこう言った。

「素晴らしい結果でしたね。発破をかけるために辛いことを言ってしまいました。本当にすみません」

結局、あの最後通告は単なる発破でしかなく……トップアイドルへの想い、プロデューサーへの依存、そして紫雲清夏への恨み……全部の気持ちが宙ぶらりんになった私は、レッスンにも授業にも身が入らなくなった。

 行き場もなくうろつき、たどり着いたのは屋上……授業時間中の今、屋上には誰もいないはず……そう、“彼女”以外は。防護網から運動場を見下ろしている紫雲清夏を遠目に眺めて、私はぼうっとしていた。

「ありゃっ、センパイもサボり〜?」

こちらに気づいた紫雲清夏が手を振っている。あの無邪気な人懐こい笑顔で。

(ああ、私は何やってんだろうな……)

 

(終わり)


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