動画のプロットそのままなので読みにくいかも。
いつかリメイクしようかな?

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狂気山脈最終報告

センパイの呼び出しはいつも突然だ。

今日はメシ食ってる最中にメールが来た。

「今からいよ」即座に食事を中断し、家を飛び出る。

緊急出動できるオレって消防隊員になれるかも。

「今出ました。ジムに行ってからにしますか?それともすぐに向かいますか?」「パスタ作るからすぐに来いよ」まぁ、ジムは毎日行ってるし、センパイのしごきは結構キツイからジムはやめとくか。

家に着くとちょうどパスタができあがっていた。

「今日は珍しくウリじゃないんだな。」オレはセンパイのペットだから首輪をつけられて全裸で食わされる。

すると、今日はいきなり妄想ゲームが始まった。

 

センパイ「拓也は戦車にひかれても死なないんだよな」

拓也「ウッス!」センパイ「じゃあ、拓也は裸のまま戦場を駆け抜けても死なないんだよな」

拓也「ウッス!」

センパイ「拓也はどんな攻撃を受けても痛くないんだよな」

拓也「ウッス!」

センパイ「よし!拓也は標高10000mの登山に挑戦しても死なないんだよな!」拓也「ウッス!」

センパイ「よし!じゃあこれから始めるか!」

拓也「え?」

そういうとセンパイはそのまま俺を引っ張って、アウトドア関連の品々がある店に拓也を連れていく。

 

拓也「え?なんすか?」

センパイ「実はさ、昨日会ったガイジンの登山家にお前の事紹介したら興味持ってくれてさ」

センパイは嬉しそうに言う。

 

センパイ「その人は有名な登山家でさ、ある山に挑戦するためのメンバー集めで世界中を旅してるらしいんだけど、なかなか集まらないらしくて、困ってたんだ」

拓也「それでオレっすか?」

センパイ「ああ、そうだよ。

お前なら絶対大丈夫だって」

センパイの言葉を聞いてオレの心の中に不安が広がっていった。

 

拓也「あの……オレ、高所恐怖症なんすけど……」

センパイ「しらねーよ、そんなの」

拓也はこの店で、登山用のヘルメット・ハーネス・リュックサックなどを購入していく。

自費で購入したから出費が痛いぜ。

そして装備してそのまま、俺は店に出勤してマネージャーに会った。

 

マネージャー「拓也?なんですかその格好は」

拓也「じつは、センパイにハメられて登山することになったんです」

マネージャー「へぇ~そうなんですか。

わかりました。

ところで、どこに行くんですか?」

拓也「狂気山脈です」

マネージャーは持っていたスマホをパタンと落としてしまった。

 

マネージャー「狂気山脈?正気ですか?」

拓也「はい、狂ったようにヤリまくりたいんで」

マネージャー「そういうこと聞いてるんじゃないんですよ、本当に上るんですか?」拓也「もちろんですよ」

マネージャーはしばらく黙り込んだあと、携帯を拾い上げてこういった。

 

マネージャー「わかりました、その代わり私もマネージャーとしてあなたに同行します」

そういうと、すぐさまアウトドア用品店に車を走らせた。

 

そして次の日から、拓也とマネージャーの訓練が始まった、まずは登山の基本知識の勉強だ。

 

拓也は、もともと体育会系なので勉強嫌いではなかった。

しかし、いきなりこんなに大量の資料を読むことになるとは思わなかった。

 

そして、この日も仕事終わりには、例によってウリドラを仕込まれていた。

 

拓也はもう何回イカされたかわからなかった。

 

センパイはそんな俺を見て満足げな表情を浮かべている。

 

センパイはこう言った。

 

センパイ「おめーのケツの穴マジやべーよ、女みてーだよ」

拓也「くそぉ、いつか復讐してやる!」

それから2日後、拓也とマネージャーは登山に挑戦だ、今回登る山は標高7200メートルもある、しかも酸素濃度が平地に比べて半分しかないのだ。

 

拓也は生まれて初めて飛行機に乗った。

それも、かなり高いところまで飛ぶというのだ。

正直ビビっていた。

 

そしてついに、空港に着いた。

拓也は心臓バクバクだった。

 

拓也「ちょっとマネージャー?なんでこんな高い山に登るんだ?」

マネージャー「それはですね、あなたを鍛えるためですよ」

拓也「えっ!?どういうことだ?」

マネージャー「10000mの山を登るのなら、これぐらいの山は登れないとダメですよね」

そうして、以上な高さを誇るこの山を二人で登ることになった。

簡潔に結果を言うと、登山は成功した。

 

マネージャー「よくやりました!これであなたの体力はかなりアップしましたよ」

拓也「やったぜ!」

こうして、無事訓練を終えた二人は、次のウリの仕事のために東京に戻った。

 

数ヶ月後、いよいよ登山本番となった。

 オーストラリア某所。

登山道具が所狭しと壁に

かけられたロッジの中、暖炉がパチパチと音を立てて

部屋を温めている。

拓哉は、目の前の椅子に座っている男を見つめる。

男は身長180センチほどで、白髪の短髪をしていて、筋肉質な身体つきをしている。

年齢は50代前半といったところだろうか。

 

その男を中心として、名がその場に集まっている。

いずれも、色とりどりのウェアを来た登山家たちだ。

拓也の格好は、上下黒のスポーツウエアで身を包んでいる。

 

男が口を開いた。

 

K2「今日は集まってくれてありがとう。僕はケヴィン・キングストンだ。イニシャルをとってK2と呼んでくれると嬉しい。もちろん、イニシャルに恥じないよう、K2は単独で登頂している。今回、パーティのリーダーを務めることとなった。よろしく頼むよ」

拓也「ウッス!」

K2「今回のパーティはここに集まった6名だ。初対面の者も多いだろう。まずは自己紹介をしてくれ」

まずはK2の右隣だった拓也が自己紹介を行うことになった。

 

拓也「ウッス!オレの名前はタクヤです!18歳です! 好きなものは、センパイです!嫌いなものは、センパイ 以外の人間です!センパイがいない世界なんて生きてる意味がないと思っています!センパイのためならオレは何だってします!センパイが望むなら、どんなプレイでも受け入れます!センパイとセックスできるなら、エベレストだって登ります!センパイはオレにとって神であり、恋人であり、ご主人様でもあるんです!センパイのことを思うだけで、オレは勃起してしまいます!センパイのことを考えるとオレはいつでもどこでもセンパイと合体したくなるんです!センパイ、オレはセンパイが大好きだぁーーーーーーーーーーー」

俺の超絶自己紹介テクニックに、周りのみんなはドン引きしていた。

 

拓也「センパイのことを考えるだけでオレはイっちまうぜぇーーーー」

マネージャー「拓也?黙っていてくれませんか?」

次はマネージャーの自己紹介だ。

 

マネージャー「名前は 佐藤といいます。年齢25歳。好きな食べ物は、キムチです。趣味は読書です。特技は、人の嘘を一瞬で見抜くことです」

拓也「すげぇ……マネージャーすげぇ……」

でも拓也の自己紹介の方がインパクトがあったな……。

 

続いて、K2の左隣の女の人が自己紹介した。

 

目つきは鋭いが、整った顔立ちをしており、美人といえる。

 

長い黒髪は後ろで一つに束ねられている。

 

肌は雪のように白く、まるで氷で作られた人形のような印象を受ける。

 

穂「穂高梓です。日本生まれ。医者をしてます。今回はパーティの医療スタッフとして参加させてもらいます。職業登山家ってわけじゃないから、皆さんのように先鋭

登山の実績があるわけじゃないけど、それなりに山は登ってるつもり」

拓也は彼女を見て、こう思った。

 

(こいつヤバいやつだ)

ケヴィンが肩に手を当てながら補足する。

 

K2「彼女は僕が個人的に声をかけたんだ。信頼していい。そこいらの自称・登山家よりよっぽど登れるよ。国境なき医師団で紛争地帯を走り回りながら働く傍ら、休日にはいろんな山をやってる。技術も知識も十分だ。信頼していい」

拓也「へぇ~」

次に、一番奥に座っていた背の高い男が立ち上がって自己紹 介を始めた。

 

スコット「俺は、スコット・アヴァロン。31歳だ。アメリカ出身。職業 はフリーのカメラマンだ。主に風景写真を撮っている。今回 はこの山を撮影するために同行させてもらっている。気軽に接してくれると嬉しい」

拓也「おぉ~」

最後にK2の右隣に座っている 若く、軽薄そうな表情の男。

身にまとっている衣服や装備がいずれも高級品であることが一目でわかる。

この場にいる誰よりも金持ちそうだ。

 

男はニヤついた表情を浮かべている。

 

コージー「コージーだ。出身はオーストラリア。よろしく」

拓也は彼を見たとき、なぜか嫌悪感を覚えた。

理由はわからない。

 

拓也は直感的にこの男は危険だと悟った。

 

ケヴィンが補足する。

 

K2「彼は今回の登山隊のスポンサーとなってくれた、オスコー財団の御曹司だ」

コージー「御曹司だなんて言い方、やめてくれよ。俺はいわゆる金持ちのボンボンとは違う。自らの足で、自然に抗う一流のアルピニストだ。今回の登山だって、親父がカネを出さなかったとしても俺は登っていたさ。いいか、俺は、俺の力で登るんだ。オスコー家の力で登るんじゃない」

拓也「ふぅん……」

K2「……だそうだ。よろしく頼むよ」

自己紹介が終わると、K2が立ち上がり、登山の概要について説明を始める。

 

K2「さて、概要を説明しよう。御存知の通り、この科学の時代においても、かの南極大陸は謎のヴェールに包まれた土地だ。そこについ先日、驚くべき山脈が発見された」

拓也「えぇ!?マジすか!」

K2「誰が呼び始めたか知らないが、“狂気山脈”。最高峰の推定標高は 1 万 300 mにもなるという。エヴェレストを 1,000 m以上も超える、世界最高峰さ」

拓也「エベレストより高い!」

一同、ざわつく。

 

スコット「信じがたい話だが……」

マネージャー「本当です。私もニュースで様々な話を見るまで信じられませんでした」

K2「先日、大規模な登山隊が組まれた。名だたる登山家たちが参加していた。しかし、彼らは失敗した。帰還者0だ。そのあまりに大きな失敗を前に、各国は尻ごんでいる」

拓哉は思わず口を開く。

帰還者0とは、あまりに非現実的すぎるぜ。

 

拓也「あの、生還者0っていうのは……」

ケヴィンが答える。

 

K2「文字通りの意味だよ。

誰も帰ってこなかった」

拓也「……そんな」

コージー「だから、俺が行くのさ」

そう言うと、コージーは立ち上がった。

 

コージー「俺の名はコージー・パウエル。

この俺こそが、 狂気山脈の頂きに立つ男だ」

こいつ立ち振る舞いが

いちいちキザだな……。

 

K2「だが、僕たちは登山家だ。今までにない大きな山が姿を表した。臆している場合じゃない。何が起こるかわからない、危険な挑戦になる。だが、夢がある。そうだろう?」

拓也「ウッス!オレはセンパイのために行きます!センパイ とセックスするためにオレは生きているんです!センパイとセックスできないなら、オレに生きる意味はないんです!センパイ!センパイ!センパイ!センパイ!センパイ!センパイ!センパイ!センパイ!」

コージー「おい……お前うるさいぞ……」

拓也「アッ……すまん……」

K2「南極上陸の許可や、そこからの移動手段などはオス

コー財団が手配してくれた。

狂気山脈周辺は気候条件

が厳しく、安全上の観点から航空機が飛ばせない。

 

だから、南極上陸後、南極調査隊の犬ぞりを借

りて山脈の麓、おおよそ 4,000 m地点まで移動する。

 

そこから、標高差 6,000 mの登山だ」

拓也「すげぇー」

K2「目標は、山脈最高峰ただひとつ。

航空写真から割り

出された地形図を元に、最も登頂確率の高いルートを

割り出した。

第一次登山隊が通ったのと、恐らくほぼ

同じルートだ」

拓也「おおっ」

俺は手を上げたK2「何か質問は?」。

 

K2「どうした?タクヤ」

拓也「はい。

もし、途中で天候が悪化したり、雪崩が起きた らどうするんですか」

ケヴィン「その場合は、撤退することになるね」

拓也「撤退するんですか!?」

スコット「それは仕方がない。

無茶はできないからな」

拓也「そんなぁ~」

ケヴィン「他に質問はあるかい?」

拓也「はい」

俺は挙手をして立ち上がる。

 

拓也「なんだい?タクヤ」

拓也「もし、頂上に行く前にみんなが疲れ果ててしまった 場合は、どうするんですか」

コージー「はあ!?ふざけるなよ!なんなんださっきからお前はうるさかったりバカみたいな質問したり!」

コージーは席を立った。

 

コージー「こんなくだらないことに付き合ってられるか!」

コージーは部屋を出ていこうとする。

 

K2「コージー、待ちなさい」コージーは足を止める。

 

K2「キミの言い分はもっともだ。

だけど、僕は今のままじゃいけないと思う」

コージー「どういうことだ」

K2「たしかにこの北京原人はバカだ。だが、馬鹿にもできることがある。」

コージー「俺には、俺のやり方があるんだ。俺が俺の力だけで登るんだ。誰にも邪魔はさせない」

K2「コージー、この登山隊の目的は、キミの個人的な達成感を満たすためにあるんじゃない。

この登山隊は人類の科学力を結集させて、未踏の地を開拓し、未知なる領域を切り開くために結成されたんだ」

コージー「わかっている」

K2「それに、コージー、君は一人で登るわけじゃない」

コージー「……ッ」

K2「僕たちと一緒に登るんだ」

コージー「……」

コージーはゆっくりと席に戻った。

 

K2「……よし、では改めて、さて、作戦を立てよう。

主に装備に関してだ」

K2は装備に関して二つの案を出した。

まずA案は、長期の登山に耐えうる十分な装備を運んでいくスタイルで。

動きは鈍くなる。

一部を捨てることでBへ切り替え可能だ。

B案はなるべく装備を軽量化するスタイル。

 

 素早く行動ができ、体力消耗を抑えることができるが、装備による様々な恩恵を得ることが難しくなる。

 

拓也は迷わず、K2が提示したB案を推した。

 

コージーは渋々といった様子で同意したが、スコットとマネージャーの二人は、慎重な姿勢を示した。

 

スコット「慎重に行こう。

A案だ」

マネージャー「私もスコットさんの意見に賛成です」

コージー「何を言っているんだ。

スコットもマネージャーも。

 

登山家ならわかるだろう。

リスクを恐れていては何も始まらないぞ」

穂「コージーさんの言う通りですよ。

スコットさん、マネージャーさん」

コージー「……フン」

スコット「……そうだな。

わかった。

コージーを信じよう」

マネージャー「スコットさんがそう言うなら……」

コージー「決まりだな。

それじゃあ、早速準備に取り掛かろう」

登山開始まで残り数週間だ、拓也はそれに備えてその間に少しでも体を鍛えておこうと思い、ランニングに出かけた。

 

マネージャーはその間、食料や燃料の調達などの雑務をこなしていた。

 

コージーは登山の準備のため、オスコー財団が用意した施設にこもりっきりだった。

 

穂はというと、いつものようにトレーニングルームにこもっていた。

 

スコットは数週間の間に、何度か俺とセックスをした。

 

俺とスコットはセックスをするたびにどんどんと仲良くなっていった。

 

スコット「いよいよ明日だね。

タクヤ」

拓也「ああ。

ついに……ついにこの時が来たぜ……」

スコット「緊張しているのか?」

拓也「え?あ、いや別に……」

スコット「大丈夫だよ。

タクヤならきっとうまく行くさ」

拓也「ありがとうございます……」

スコット「でも、タクヤ。

無理だけはしないでくれ。

愛しているよ」

スコットは優しくキスをして、部屋から出ていった。

 

拓也はベッドの上で横になった。

 

拓也(本当に……本当に、ここまで来た……。

オレはもうすぐ……)

拓也は興奮を抑えきれず、眠れなかった。

 

そして、とうとう登山当日を迎えた。

 

船を降り、南極へ降り立つと、そこは厳寒の真白き大地だった。

ペンギンたちが、奇怪なものを見るような目で俺たちを出迎える。

もしかして、拓也が激エロ雄ペンギンに見えるから視線をむけているのかな(笑)。

今日の拓也の衣装は、例の南極調査隊の服である。

 

拓也「うぉーっ!寒い!南極すげー!なんか、すげー! すげー!すげー!すげー!」

スコット「タクヤ、あまり騒ぐな」

拓也「あっ、すんません」

スコット「はしゃぎたい気持ちは分かる。

だけど、もう少し静かにな」

拓也「ウッス」

拓也はペンギンたちに視線を向ける。

 

拓也「あのー、すみませぇ~ん」

拓也が話しかけると、ペンギンたちは一斉に拓也から逃げていった。

 

コージー「おい……お前何やってんだよ……」

手配どおりに南極調査隊の雪上車を借り、犬ぞりの

犬たちとともに乗り込む。

見渡す限りの純白の大地を

進んでいく拓也たち。

 

マネージャー「……あ、あれ?」

スコット「どうした?」

マネージャー「あ、いえ、なんでもありません」

コージー「どうせまた金がないとか言い出すんだろ?」

マネージャー「違いますよ!」

K2「どうしたんだ?みんな、浮かない顔をして」

スコット「実は、犬が一匹足りないんだ」

穂「え!?」

スコット「どうやら、途中ではぐれてしまったらしい」

コージー「まったく、使えねぇ犬どもだ」

数日の行程を末、ついに南極

横断山脈へとたどり着いた。

 

 南極の山々はおおよそ全てが氷河に埋まっており、

氷の上に辛うじて山頂の頭を突き出しているにとど

まっている。

気候が苛烈さを増す中、さらに氷河を進

み、目標の座標へ向かう。

どこまでも続く、白銀の世界。

 

穂「……なんか、寂しいところですね」

拓也「そうかぁ?俺はワクワクしてきたぜ」

コージー「お前のそのポジティブさが羨ましいぜ」

穂「コージーさんは怖くないんですか?」

コージー「怖いさ。

でも、それ以上に俺はここに 来たかったんだ。

だから、このチャンスを逃したくない」

穂「コージーさん……」

コージー「それに、今はお前もいるしな」

穂「私もコージーさんと一緒に行きますから。

絶対に」

コージー「ありがとよ」

K2「進めば進むほど、人類の文明から遠ざかっていく。ここには本当に、手付かずの自然しかない。まさに神の聖域だ。かつて、エベレストを登ったマロリーたちも、ここまで不安じゃなかっただろうな」

拓也「え?何か言ったっすか?」

スコット「タクヤ、余計なことは考えなくていい。

ただ、前だけを見てろ」

拓也「うっす」

マネージャー「お二人ともK2さんの話を聞いてあげてくださいよ、

リーダーなんですよ!?」

スコット&拓也「「サーセン!!」」

 数日後、目的の山脈……つまり、氷河に埋まってい

ない、天を劈く山脈に突き当たった。

狂気山脈だ。

 

見た感じは普通の山に見えるが、やはりここは 違う世界なのだ。

俺達人類には想像できないような 過酷な環境に違いない。

 

ここから先は、雪上車では入れない。

雪上車をそこ

に停め、犬ぞりで移動を開始する。

拓也が犬に近づくと、

犬たちは一斉に警戒態勢に入る。

 

拓也「あぁ~、お前らそんなビビッてたらダメだぜ。

こいつらはオレの友達なんだ。

ほら、挨拶しろって」

犬「ウゥ~ッ!」

拓也「おいおい、大丈夫だって。

そんなにふるえてんじゃねーよ」

犬「ガクブル……」

コージー「拓也、犬は俺たちを警戒してるんじゃない、お前を警戒してるんだ」

拓也「え?なんでだよ?」

コージー「

お前が狂ってるからだろ」

拓也「ひゃっほう!」

コージー「褒めてねぇよ!」

拓也「よぉーし、行くぞおおお!」

コージー「聞けよ!」

スコット「ははは、元気だな。

それじゃあ行こうか」

拓也「うっす!」

コージー「……チッ、仕方ねぇな」

穂「コージーさん、素直じゃないんだから」

コージー「うるせぇ!」

スコット「コージー、怒らないでくれよ」

コージー「怒ってねぇよ!」

スコット「そうなのか?それなら良かった」

コージー「あぁもう!」

スコット「コージー、あんまり騒ぐなよ」

コージー「誰のせいだと思ってんだ!この野郎!」

 犬ぞりでの移動目標は標高 4,000 m地点まで。

なだ

らかな斜面で危険地帯もなく、行程は

順調だ。

 

拓也「なぁなぁ、この犬たち賢いなぁ」

コージー「犬はお前より賢そうだな」

穂「ふふっ、確かに」

拓也「

いやいや、オレの方が賢いっすよ!」

コージー「それはどうかな」

拓也「へっ、やって見なきゃわかんねぇだろ?」

コージー「やってみるか?」

穂「ちょっ、ちょっと!喧嘩しないでください!」

 しかし、標高 3,000 m程に達した頃、異変は起きた。

 

「グルルルル……」

マネージャー「どうしたの?」

「グオオオッ!」

突然、犬たちが暴れ始めたのだ。

 

コージー「みんな、落ち着け!」

スコット「どうして急に……!」

穂「大変!犬が立ち止まりました」

 犬たちが、唸り声を上げ、足を止めてしまった。

 

拓也「お、おい、マジかよ!」

マネージャー「嘘でしょう!?」

スコット「これはまずいことになったな」

拓也は犬の様子をみて、犬が

怯えていることに気づいた。

 

拓也「あいつら、あんなに怯えちまって……。

オレに任せろ!」

拓也は犬に向かって走り出し、吠えた。

 

拓也「おいおい、お前らビビっちまったのか?オレはお前らのご主人様だぜ?ほら、こっちに来いよ!」

すると、犬たちは拓也の方を振り向いた。

 

そして、一斉に駆け寄ってきた。

 

コージー「あっ!」

穂「やった!」

スコット「よし!」

そして、拓也に犬たちは飛びついた。

 

拓也「うおっ!」

犬たちは拓也を舐め回すように顔を擦り付ける。

 

拓也「いてっ、いてっ、いてっ、やめっ、やめっ、止めっ、てっ、止めっ、てっ、止めっ、てっ、てっ、うっ、うっ、うっ、」

マネージャー「拓也君、すごい!」

コージー「あははっ!犬に襲われてるぞ!」

穂「どうしたのかしら」スコット「はははっ!さすがだな!」

しかし犬は引き返して行ってしまった。

 

コージー「オイッ……! マジかよ、何だってんだ」

スコット「大丈夫かい?拓也」

穂「拓也さん!」

マネージャー「拓也くーん!」

拓也「……ハッ!」

マネージャー「拓也!」

拓也「……マネージャー!大丈夫です!」

スコット「よかった。

でも、一体何故……」

K2「……行程が 1,000 m伸びただけさ。

行こう」

拓也「...ウッス!」

スコット「ああ」

コージー「わかったぜ」

穂「はい」

マネージャー「行きましょう」

こうして一行は先へ進むこととなった。

 

ただ、進むのは明日から、いよいよ本格的な登山が始まろうとしている。

拓也はテントのなかで

寝転んでいた。

考えることは

一つ。

 

『あの犬はなんだったんだろう』

その答えを考えているうちに眠気に襲われた。

 

拓也は深い眠りに落ちていった。

 

翌日、拓也は高度3000Mの大地で目覚め、出発した。

 

今日はまず1000mの登山だ、とK2から告げられる。

 

拓也はその言葉を聞いて身震いをした。

 

K2はそんな拓也を見て言う。

 

拓也は少し考えて言った。

 

K2「怖くなったのかい?」

拓也「……いえ、武者震いッスよ」

K2は笑って言った。

 

K2「そうか、ならいいんだ」

そして一行は歩き出した。

 

しばらく歩くと、山の上から何か音が聞こえた。

 

穂「なんか変な音しませんか?」

コージー「確かにするな……」

その音は段々

大きくなってくる。

 

スコット「落石だ!」

コージー「まずいな……!」

穂「逃げないと!」

スコット「急ごう!」

穂「はい!」

スコットは先頭に立って走り出した。

 

コージー「待ってくれ!」

マネージャー「急いでください!」

穂「置いていかないでー!」

コージーとマネージャーと穂もスコットの後を追う。

 

一方、拓也とK2は動かなかった。

 

拓也「淫獣拓也達はこのまま登ったほうが良さそうだな」

拓也はそう言ってK2を見る。

 

K2「ああ、我々の位置から逃げるのはこんなんだからな」

なんでこんなことになっているのかというと、拓也の進むペースが遅いからだ。

 

だから、K2と拓也は遅れてついていくことにしたのだ。

 

そして、拓也とK2を置いていった四人はというと……。

 

スコット「ハァハァ……」

コージー「もうだめだぁ……」

穂「私達 死んじゃうんですか!?」

コージー「ちくしょう!この山 絶対おかしいぜ!」

マネージャー「なんとかしないと……」

かなり危機的状況に陥っていた。

 

みな精神的に疲れていた。

開始一日でこれは厳しい。

 

ただ、なんだかんだ4000mまでたどり着いていた。

 

穂「もう足痛くて歩けないですぅ~」

コージー「オレもだぜ」

そして拓也たちも

ようやく追いついたようだ。

 

コージー「やっと来たか!」

拓也「変態登山ボーイ!お待たせしました」

拓也もテントを張り、休息を取ることになった。

拓也はテントの中で、

自分の携帯電話を見ていた。

ここはもちろんキャリアの電波なんて届かないから、センパイからの着信がかかってくることはない。

なんだかそれが寂しく思えた。

メール一通でも届かないかな?と思って拓也は携帯をいじっていた。

 

 テントの外から、ケヴィンが声をかけてくる。

 

K2「おい、外に出てみろ。

すごい空だぞ」

その声につられてみんな外に出た。

 

穂「うわー、きれい……」

コージー「すげぇな」

スコット「美しいな」

マネージャー「ええ」

拓也も外に出る。

 

K2「どうだ、すごいだろう」

拓也「ああ、すごいな」

 外に出てみると、満天の星空にオーロラが出ていた。

 

穂さんが雪を溶かして湯を沸かし、コーヒーを入れている。

 

パーティの皆に配る。

 

穂「はい、どうぞ」

拓也「ありがとうございます」

コージー「ありがとな」

スコット「感謝するよ」

マネージャー「いただきます」

K2「では、いただこう」

拓也はK2と二人でコーヒーを飲んでいる。

 

K2「……こんな美しい夜空は初めてだよ」

拓也「俺もです」

ケヴィンは星を見ながら言う。

そしてゆっくりと語り始めた。

 

K2「今、ここに居る私たちは幸運だ。そうは思わないか? 登山家たちにとっての栄誉は数あれど、やはり、世界最高峰・人類初登頂、これに勝るものはない。エドモンド・ヒラリー、テンジン・ノルゲイ……あるいはジョージ・マロリーかもしれんが。

彼らが初めてエベレストを登ったとき、その栄誉は二度と他のものには手に入らなくなってしまった。その筈だった。しかし、今になって、新たにエベレストを超える前

人未踏の世界最高峰が発見された。こんなチャンス、後にも先にも、きっとこの一回きりだ。登山家にとって、こんな幸運なことがあろうか」

拓也「そうですね」

マネージャー「この機会を逃したら……」

スコット「一生後悔するな」

しばらくして、ふとコージーが軽い口調で漏らす。

 

コージー「いやあ、それもこれも、第一次アタック隊

が失敗してくれたおかげっすね」

拓也は、場の空気が凍りつくのを感じた。

 

コージー「あいつらがヘボかったおかげで、俺たちはこうして登山できてるわけだし。

ホント、ありがたいですよね~」

スコット「コージー!」

コージー「なんだよ」

スコット「それは口に出して言うことじゃない!」

拓也「スコットのいう通りだぜ。

彼らを貶めるような発言は慎むべきだんだよな」

誰かの失敗を喜ぶなんて、あってはならないことだ。

 

コージー「でもさぁ……」

穂が「貴方、何を言っているのか分かっているの?」とギン目で詰め寄る。

コージー「うっ……」

穂「さっきから黙って聞いていれば……ふざけないでください!」

コージー「だってさぁ~、実際そうじゃん?彼らが失敗したおかげで、俺達にチャン

スが巡ってきた。

違うか?」

マネージャー「いい加減にしなさい!」

穂「最低! 貴方それでも登山家ですか!?」

コージー「なっ!? なんで俺が怒られなきゃいけないんだ!? 俺はただ事実を述べただけだぜ!」

しばらく反応を静観していたケヴィンが、最後にこう締めくくった。

 

K2「その話は、これ以上よそう。もう寝よう。明日から本番だ。みんな、頼むぞ」

拓也「ああ、そうだな。

今日はもう寝るか」

スコット「お休み」

コージー「ちぇ、わかったよ」

みなそれぞれのテントに戻る。

拓也はこの討論で、一つだけ気になった事がある。

この話でケヴィンはただ一人、コージーを否定していなかった。

まさかあの人も、そう考えてるなんて

ことはないよな……。

 

拓也は不安を抱えながら眠りについた。

 

早朝、朝食を食べる。

 

スコット「よし、準備完了だ。

行こうか」

コージー「うぃーっす」

穂「はい」

拓也「了解」

K2「さて、では出発しよう」

一同は歩き始める。

今回も1000mの登山を目指して進んでいる。

 

コージー「昨日は悪かったな」

拓也「いや、別に気にしてねぇから」

コージー「そっか、よかったぜ」

穂「私も言い過ぎました。

ごめんなさい」

コージー「いやいや、俺こそ……」

スコット「おい、どうしたマネージャー?」

マネージャーの顔を見ると、ひどく青ざめていた。

 

マネージャー「……なんでも、ないです」

この体調の悪さは高山病だなとガタイで分析、拓也は心配する。

 

拓也「大丈夫っすか? ちょっと休憩します?」

マネージャー「いえ、平気です。

それより、少しペースを上げましょう」

大丈夫なわけないじゃんかそんな顔色で、と拓也は思った。

そういえば、二人で山登りした時も、最後のアタックの時はマネージャーの体調がすぐれてなかったなと拓也は思い出す。

 

マネージャーって、真面目で丁寧だから、ずっと自分の身を削って頑張ってんだよな、そう考えるとウリもマネジメントも同じに思えてくる。

 

あれは何年前だったかな。

マネージャーと初めて撮影に行った時も、風邪ひいて今にも倒れそうなくらい真っ青な顔をしていて、俺に「今日は無理しない方がいいんじゃ……」って言われてたっけ。

 

でも「私はあなたのマネージャーですから、最後までやり遂げます」って言って、結局最後までやり切ったんだよな。

 

その時の表情は今でも覚えている。

凛とした表情に、強い意志を持った瞳。

とても綺麗だと思ったし、スゲーと思った。

思い返してみれば今回の登山もセンパイに無理やり押し付けられた罰ゲームみたいなもんなのに、一緒に参加してくれた。

 

やべ、迷惑ばかりじゃん、マネージャーに。

なんか申し訳なくなってきた。

 

コージー「おっと、また雪が降ってきたぞ。

急ごうぜ」

スコット「ああ、分かった」

コージーとスコットが駆け出す。

もうすぐキャンプ地だぜ、マネージャーを俺が支えてやんねーと。

 

そう決意して、拓也も後を追う。

 

無事に標高5000mにたどり着いた。

俺たちはキャンプ地を設営し、そこで一泊する事にした。

 

拓也「ふぅ~、なんとか着いたな」

コージー「おうよ、ここならテント張っても大丈夫そうだな」

スコット「さて、食事の準備をするか」

穂「手伝います」

スコット「ありがとう。

じゃあまずは薪集めから始めようか」

スコットが集めた木を、穂が火をつける。

 

スコット「よし、じゃあ調理を始めるぞ」

スコットは鍋を取り出した。

 

このキャンプ地には二泊三日停滞した。

高地順応ってやつらしい。

 

朝、拓也は起き上がった。

 

コージー「おはよう」

拓也「おぉ、おはよ」

コージー「どうだ調子は?」

拓也「いいぜ」

コージー「そいつぁ良かったぜ。

さて、飯食うか」

朝食をとっていると、ケヴィンの顔色がすぐ

れないのに拓也は気づく。

拓也「ケヴィン、大丈夫か?」

ケヴィン「ん?……あぁ、問題ないよ」

拓也「嘘つけよ。

体調悪いんじゃないのか?」

ケヴィン「ちょっと夢見が悪かったんでな」

拓也「どんな?」

ケヴィン「.....第一次登山隊が、まるで山に喰われるかのように次々に死んでいく、ゲホゲホ」

痰が絡んだような咳を数回する。

コージー「……おいおい、冗談きついぜ」

穂「……本当なんですか?」

ケヴィン「あぁ、間違いないよ」

第一次登山隊、拓也はオーロラのしたで行った会話を思い出した。

やっぱりケヴィンは

あの時……。

 

スコット「さあ、行こうか」

多少の体調不良で停滞していられる余裕がないので、予定通り出発となった。

 

しかし、やはりと言うべきか、ケヴィンが足取り重く歩く。

 

コージー「大丈夫か?」

ケヴィン「あぁ、平気だ。

少し疲れただけだよ」

穂「……」

スコット「無理はするなよ」

穂とコージーは心配そうな目で見る。

 

今日は標高 5,000m 付近……事前に、第一の関門であると

言われていた地点に到着した。

 

 “ショゴス乗越”。

 

 狂気山脈の主脈へ至る乗越……峠だ。

ここでは一度稜線に出る。

気流の関係上、ショゴス

乗越は常に爆風が吹いており、危険が伴う地点だ。

拓也の今日のファッションはパンク系だ。

 

そのせいもあってか、風の勢いが増してきた気がする。

 

スコットとケヴィンは強風に煽られ、転倒してしまった。

 

スコット「ぐあっ!」

ケヴィン「うわっ!」

コージー「大丈夫か!?」

斜面で転ぶってことは、滑落でイク可能性があるんだよね。

 

スコット「うぅ、足を捻ったようだ」

コージー「俺が担いで行く!」

コージーはスコットを担いだ。

 

コージー「穂、悪いけど先行ってくれ!」

穂「分かりました!」

穂は先へ進んだ。

 

コージーは懸命にスコットを運ぶが、風が強く思うように進まない。

 

拓也とマネージャーも、全身に浴びせられる爆風に

苦戦していた。

 

マネージャー「うぅ……飛ばされそうです」

拓也「マネージャーしっかりしろ!俺に掴まれ!」

マネージャー「は、はい!」

マネージャーは拓也にしがみついた。

 

マネージャー「あ、ありがとうございます!」

拓也「いいから!」

マネージャー「すみません!」

漢ぶってた拓也だけど、ホントは足滑らせて滑落しないか心配でアンアン喘ぎたくなったし全身が恐怖で震えが止まらなくて仕方なかった。

 

一歩一歩、慎重に歩を進める。

 

そしてようやく稜線に出た。

穂の姿が見えた。

 

穂「あと少しです!」

穂の声を聞いて、みんな奮起する。

 

拓也も負けていられねーと歩みを早める。

が、その時、突風にあおられた。

 

拓也「うおっ!」

拓也は体勢を崩し、崖を落ちていった。

マネージャーは何とかその場に踏みとどまる。

 

穂「拓也さん!?」

コージー「拓也!」

コージーは叫んだ。

 

拓也は4m以上?10m以下?ぐらいの高さを落ちた。

 

全身を強く打ち、意識を失いかけたが、必死に堪えた。

 

拓也「くっそー…あー…痛ぇ」

幸いにも拓也のギリシャ彫刻のようなガタイのおかげで、落下によるダメージは最小限に抑えることができた。

 

コージー「生きてるか?」

拓也「あぁ、何とかな」

コージー「慰安係がこんなとこで死んでもらっちゃ困るぜ拓也!」

拓也「……てめえ」

コージー「はいはい」

コージーは軽口を叩くが、内心ほっとしていた。

 

こうして、無事全てのメンバーが6000mに到達した。

 

マネージャー「みなさん、おめでとうございます!ついに、ここまで来ましたね」

コージー「いや~、なかなか大変だったな」

スコット「あぁ、本当に」

ケヴィン「そうだな」

穂「私も、やっと辿り着けて嬉しいです!」

 高度 6,000 mを超え、ショゴス乗越を越えた頃、山

はその姿を大きく変えた。

あまりの強風のためか、は

たまたその特殊な地質の影響か、全ての雪が吹き飛ば

された、漆黒の山脈が姿を表したのだ。

拓也はそれを見て、

感動した。

 

拓也「凄いぜ……これが狂気山脈の本当の姿なんだな……」

この漆黒の大地は今まで見てきた黒という色の中で、一番綺麗に思えた。

 

拓也「これこそまさに……"神の領域"」

スコット「この景色は、一生忘れないな」

ケヴィン「うん。

僕もそう思うよ」

コージー「だな」

穂「はい」

 また、視界の果てまで、目もくらむような高峰群が

続いていた。

ここから先、登山隊は、無数のピークを

トラバースしながら、漆黒の山脈の最高峰と

推定されるピークの取り付きまで移動していく。

これからどんな困難が俺たちを迎えるのか、想像もつかない。

でも、俺は登るぞ。

俺の愛する人のためにも。

そして、仲間達と無事に下山するためにも。

 

拓也は決意を新たにする。

 

穂「どうしました?」

拓也「何でも無いぜ」

穂「そうですか」

拓也たちはテント設営にかかった。

かけた時間は、およそ3時間。

かなり手際よくできたと思う。

夜になると、気温は氷点下を下回った。

しかし、みんな慣れたものだった。

すぐに眠りにつくことができたし。

テントの中で行うときの寒さにも慣れた。

 

夜。

拓也は夢を見る。

 

 漆黒の山脈を、無数の人影が列をなして登っている

ように見える。

俺たち以外に登山隊なんていたっけ?と拓也は

思った。

 

だが、そんなはずはない。

すると、山が鳴動する。

ズルリ、と山が身じろ

ぎすると、ひとり、またひとりと、まるで山に飲み込

まれるように登山者たちは消えていく。

拓也は必死に 叫ぶが、声は届かない。

 

 漆黒の山脈に無数に空いた「うろ」から、飲み込ま

れた人たちが無残な「残骸」と成り果てて、吐き出さ

れていく。

漆黒の谷が、あっという間に、虹色に染まっ

ていった。

拓也はその光景をみて、

吐きそうになる。

 

拓也「うっ……ぐっ」

 そして、虹の谷の一部となりはてた登山者たちの中に、俺は見つけてしまった。

――「南佳也似サーフ系ボディビルダー拓也」

の姿を。

 

「ここにいたのか……?こんなところで何やってんだよ」

返事はなかった。

ただ、虚空を見つめているだけだった。

 

「おい!答えてくれよ!」

そこで目が覚めた。

拓也は起き上がる。

 

すぐさま隣のスコットを見ると、脂汗をかいて酷い

表情で目をさましていた。

 

拓也「スコット、大丈夫か?」

スコット「あぁ、なんとかな。

ちょっと嫌な夢を見ただけだ」

拓也「オレもだ」

スコット「奇遇だな」

拓也「あぁ」

同じ夢を見ていたようだ。

 

次の日の朝、皆テンションが低いように感じた。

こんなことってあるのかな?みんなで同じ夢を見るなんて……。

 

穂「おはようございます」

スコット「あぁ、穂か」

穂「どうしたんですか皆さん、元気が無いみたいですけど……」

コージー「まぁ、な。

昨日の夢がな……」

穂「そうなんですか……」

彼女も見たのだろうか。

 

穂「みなさんも、見たんですよね……あの夢の事……」

コージー「ああ」

今日はいよいよ7000mを目指してアタック開始だぜ!拓也は

気合いを入れ直す。

さすがに疲れは溜まっているものの、まだ行けるはずだ。

 

拓也たちは漆黒の大地を歩き続ける。

途中、何度も休憩をとりながら、少しずつ進んでいく。

 

拓也「あとどれくらいなんだ?」

マネージャー「もうすぐですよ」

なんだか1000m登るのに慣れてきたなと思っていると、拓也の第六感に反応が、上から何かが落ちてくるような感覚が伝わってくる。

 

拓也「上だ!」

マネージャー「え?」

拓也は全員を後ろに突き飛ばすようにして庇った。

 

ドゴォォォォォォォォォン!!!!! 拓也の背中に岩の塊が直撃し、そのまま前のめりに倒れる。

 

穂「拓也君!!」

穂たちが駆け寄る。

幸いにも拓也のギリシャ彫刻のような肉体には傷一つ付いていなかった。

 

穂「大丈夫ですか!?」

拓也「あぁ、問題ないぜ。

それにしても、どこから落ちて来たんだろうな」

見上げると、そこには小さな亀裂があった。

 

そこから落ちて来たものらしい。

 

拓也「でかい石だったな、あれは」

穂「そうですね、直径50cmはあるんじゃ無いでしょうか」

拓也たちはさらに進んで、標高7000mにたどり着いた。

 

ここから先は酸素濃度が極端に低くなるので、高所順応しなければ死んでしまう。

 

まずは、睡眠から入る事になった。

 

夜。

テントの中。

真夜中。

 

拓也はふと目が覚めてしまった。

 

横ではスコットが寝息を立てている。

 

スコットを起こさないよう、静かに体を起こす。

 

そして、外の空気でも吸おうとテントを出た。

 

月明かりが、漆黒の大地を照らし出している。

 

夜の静寂が心地いい。

 

すると、テントからコージーが出ていくのに気づいた。

 

拓也「どうした?」

コージー「クソだよクソ。

トイレに行くんだ。

何なら一緒に行くか?」

拓也「いや、遠慮しておくよ」

外でスカトロとか、ウンコがカチカチになって話にならないぜ。

 

コージー「そうか。

じゃあな」

拓也「あぁ」

コージーは

暗闇の向こうへ消えていった。

 

拓也は再び眠りにつく。

 

しばらくして、拓也はまた目が覚めてしまった。

 

なぜまた目が覚めてしまったのか、それは外からコージーの

叫び声が聞こえたからだ。

 

拓也「コージー!?」

拓也は急いで外に出る。

 

そこにいたのは、血まみれで倒れているコージーの姿だった。

どうやら、崖から落ちたらしい。

 

拓也「おい!しっかりしろ!」

拓也は必死に声をかけるが、返事は無い。

完全に意識を失っているようだ。

 

拓也「くそっ!」

拓也はコージーを背負い、他のみんなを揺すり起こす。

 

穂「う~ん……なんですか?」

拓也「コージーが落ちた!」

穂「えっ!?」

コージーは既に虫の息だ。

出血の量が多い。

 

このままだと危険だ。

 

コージー「うぅ……淫獣拓也はもうダメだ……」

コージーが目を開けて言った。

この言い方的にせん妄にでもかかっているのかなとかガタイで分析

しつつ、 拓也「そんなこと言うなよ!助けてやるから!」

コージー「無理だ……ビルダー拓也はもう死ぬ運命なんだよ……」

コージーは諦めかけている。

 

拓也「まだ助かるかもしれないだろ!」

拓也は彼を手当てするべくまず止血する。

 

拓也「ちくしょう!死ぬなよ!死んだら誰が俺のケツ掘ってくれるんだよ!」

コージー「ハハッ……やっぱりお前は変態だなぁ……」

コージーは弱々しく笑った後、 意識がまた消えていった。

 

その後、彼の命を救う為に、拓也は応急処置を行った。

 

拓也は、自分の知識を全て動員して、治療に専念した。

 

しかし、コージーの呼吸はどんどん弱くなっていく。

 

穂「どうしよう……!」

マネージャーたちも駆けつけてきた。

 

マネージャー「一体これはどういう事ですか?」

穂「分かりません……!」

その時、コージーの口が小さく動いた。

 

コージー「……淫乱だぜ」

その言葉を聞いた瞬間、拓也の中で何かが弾けた。

 

拓也は、大きく息を吸い込んだ。

 

そして、

「ウオォォォォォォォ!!!!!」

雄たけびを上げた。

コージーの脈拍は、完全に止まってしまったのだ。

 

穂「拓也さん!?」

拓也「俺は……ビルダーだ!」

拓也は、自分の身体を鍛え始めた。

 

腕立て伏せ、腹筋、スクワット、懸垂。

 

拓也はひたすら己を虐め続けた。

 

ケヴィン「やめろ!拓也!

それ以上やったら死んじまうぞ!」

しかし、拓也の耳にはもはや何も届いていない。

 

拓也の身体には、血管が浮き出ていた。

 

筋肉がパンプアップし、全身の毛穴からは汗が流れ出ている。

 

拓也「コージーの仇は、俺が討つ!」

そして、夜が明けた。

拓也「ふぅーっ」

拓也は息を整えた。

 

あれだけ自分を追い込み、限界まで肉体を追い込んでも、なお、拓也の肉体は健在であった。

 

コージーの亡骸の前で、手を合わせる。

 

それからコージーの衣服を身につけた。

 

拓也「コージー、借りるぜ」

マネージャーたちがやってきた。

 

マネージャー「拓也、あまり自分を責めないで下さい。貴方は悪くありません」

拓也「いいや、あの時俺がついていっていれば、こんなことにはならなかったんだ。」

マネージャー「そうかもしれませんね。

ですけど、拓也は何も悪いことはしていないじゃないですか。

だから自分を責めちゃダメですよ」

拓也「ありがとうございます。

そう言ってもらえると少し楽になります」

他のメンバーも亡骸の前で、各自不安を口にした。

 

穂「どうしてこんなことに」

スコット「コージー……お前は最高の仲間だったよ」

ケヴィン「まいったぞ……オスコー財団になんと伝えれば

いいんだ」

拓也「そうだ!電話だ!早くしないと!」

穂「ちょっと待ってください!こんな所じゃ電波なんて届きませよ!」

拓也はセンパイと連絡が取れたらいいなと持ってきた携帯を

握りしめ、電話をかけようとした。

が、当然繋がらない。

早くコージーの家族に会って、事情を説明しなければ。

 

穂「どうするの。

撤退する?それとも続行?」

ケヴィン「どうするべきなのだろうな……皆の意見を聞か

せてくれ」

拓也「俺は続けたいです!このままじゃ終われません!」

スコット「俺もだ。

まだ終わっていない気がする。

それに、今更引き返すことなんかできないぜ」

マネージャー「私もです」

ケヴィン「よし、では続けよう。ただし、ここから先は今まで以上に慎重に行動しなければならない。何が起きるか分からないからな。」

これでいいんだよな、コージー……。

 

8000mまでの行く手にアイスフォールがある。

無数の氷の柱が連なり、氷の裂け目がいくつもの深遠を覗かせている。

要するにクレパスがたくさんあるようなものだ。

さらに不気味なのは、それらのアイスが、山肌の黒を透かしているのか、

あるいはなんらかの成分が混じっているのか、ヌラヌラと玉虫色に輝く黒色であることだ。

見た感じ、溶けたチョコレートのような質感だ。

加えて、勾配が極めて急なため、どうしても氷壁の垂直登攀が発生してしまう。

上るためには、その垂直壁をよじ登るしかない。

クライミングの経験なんていままでなかった拓也は、

恐怖の感情を抑えながら必死で氷壁に取り付いていた。

しかも深夜から寝てなくてうまく休憩がとれなかったせいで、体力の消耗が激しい。

 

拓也「あとどれくらいなんだ?」

ケヴィン「この調子だと、夕方までには辿り着けるはずだ」

ヤバいぜ、気分が悪くなってきた。下の景色がふと見えて、一瞬吐きそうになった。

拓也は高所恐怖症だから、なおさらキツかった。

でも、ここで弱音を吐くわけにはいかない。

ここで吐いたら一気に不安が広がって狂うからな。

 

拓也「もうひと頑張りだぜ、うおお!」

そして、ついに8000メートル地点へ到達した。

やったぜ、ここまで来れたぞ。拓也はなんだか限界を超えた気がした。

でも拓也を縛るものは増えていくばかりだ。

テントを設立し、コージーのジャンバーを探っていると、中から手紙が出てくる。

デナリーへって書いてあった。中身は見なかった。

拓也の心の中で、ますます後悔がにじみ出ていく。

お母さんももういない拓也と違って色々手を回してくれる人がいたんだなって思うと

今を生きる自分に責任がのしかかってくる。

 

深夜。拓也はまた夢を見ていた。切り立った巨大な漆黒の壁を登っている。

翼が生えているかのようなスピードで登り進める。

なぜって、拓也の体中に、まるでエネルギーが充満したかのように力がみなぎっていたからね。

でも、足首を掴まれる。下を見下ろすと、そこには腐った肉がへばりついた白骨の登山者が、

拓也を奈落の底へ引きずり降ろそうとくびりついていた。

 

拓也「うわぁぁぁぁぁぁ」

拓也は必死に振り払おうとするが、相手はしつこく食い下がってくる。

そして、とうとう腕を捕まれてしまった。

 

拓也「くそっ、離せよっおらぁ!」

すると、相手の手は、信じられないほど強い力で拓也を引っ張ってきた。

 

???「堕ちろ 堕ちろ」

やがて、拓也の腕がミシミシと音を立て始めた。

 

??「この山を最初に登るのは、オレだ」

拓也「助けてくれぇ!!」

白骨が喋る。しかしその声に、そして白骨がまとっているウェアに、心当たりがある。

 

拓也「コージーなのか!?」

コージー「そうだよ、お前の大好きなコージーさ お前…ビルダー拓也ともう死ぬ運命なんだよ」

引きずり降ろされまいと、必死に登る自分の手が、見れば腐りはじめていた。

 

拓也「そんなっ、やめてくれよ!」

コージー「お前は堕ちたんだ。お前はもう死んだんだよ!」

拓也「いやだつ淫獣拓也は生きる生きてみせる!」

肉が剥がれ落ち、白骨が覗く。掴んでいた岩肌が骨を砕き、拓也は谷底へと落下していく。

その先に待っていたのは、深い闇の世界だった。

 

意識が覚醒する。

嫌な汗だ。

あれは……なんだったんだろう。スコットの方を見ると、

またもや揃って同じような夢を見ていたらしい。

 

拓也「おはよう。なあ、スコット。俺達の夢に出てきたあの男、もしかしたら、コージーじゃないか?」

スコット「コージー…?俺が見たのは……友人だった」

拓也「そうか……。」

スコット「俺たちをあの世に呼ぶために、山がこの夢を見せたんだろうな」

彼は、一粒の涙をこぼし、それから黙ってしまった。

テントの外にて山頂を見据えながら、穂が口を開く。

 

穂「ここからは、もう長期の停滞ができないわ。8,000mを超えると死の領域に突入する。

眠っているだけで体力を消耗していく、人が生きていけない領域。

しかも、天候も今まで以上に不安定になるわ。出発のタイミングの見極めには慎重を要する」

マネージャー「はい……」

拓也「ウッス…」

穂「揃って同じ夢……それもひどい悪夢を見た。

医学的に見て、既に低酸素による幻覚が発生している可能性もあるわ。

撤退の判断をするなら、ここかもしれないわよ」

拓也「……」

 

拓也は言葉が出てこなかった。

ここで下山すれば、たしかに俺たちは助かるかもしれない。

でもここで降りたら男婦を連れて死人をだしながら無謀な登山に挑戦した愚か者共として、

世界中から賠償と謝罪を求められるだろうな。

第二次登山隊として会見に出席した時、

いつものようにシャワーも浴びずに種付け競パン姿で登壇したら

感謝祭の時みたいに自己紹介は飛ばされるし拓也の容姿と経歴は思いっきり罵倒された。

7200m登ってるから一応は許されたけどここで降りるのは後ろめたかった。

結果を出さずに帰る勇気がなかった。

 

拓也「でも、俺たちは登らなきゃならないんだ。

どんな危険を冒してでも。それが、俺たちの使命だから。」

スコット「ああ、そうだ。俺たちは登らなければならない。」

スコットも同じ気持ちだった!

以前に増してひどい咳を断続的にするようになったケヴィンが立ち上がる。

 

ケヴィン「天候は悪くない。食糧も体力も、まだ余裕がある。引き返す理由は、ないさ」

一同は、ついに登頂を開始した。

これから断崖絶壁に挑み、命綱なしのロッククライミングに挑む。

一歩間違えれば、奈落の底へ転落してしまう。

拓也が唾を飲むと、となりでケヴィンが血痰を吐き、崩れ落ちる。

 

マネージャー「大丈夫ですか!?」

肺水腫と脳浮腫を併発しているのか、絶え間なく咳をし、

息はヒューヒューとか細く、時折血痰を吐き、意識は朦朧としている。

 

穂「まずいわね……重度の高山病を発症している。これ以上は命にかかわるわ」

だがケヴィンは、何とか立ち上がろうとする。

 

拓也「だめだ、これ以上進んだら本当に死ぬぞ!」

ケヴィンはうなされるよう、虚空に向かって呟いた。

 

ケヴィン「コージー……おまえの言うとおりだ。

私は、第一次隊が失敗したと聞いたとき、しめたと思ってしまった。バチが当たったんだ…許してくれ」

拓也はその言葉を聞いて、胸が締め付けられる思いがした。

 

スコット「ケヴィン……」

穂は彼を連れて、7,000mの地点に残しているキャンプ地まで引き返すという。

 

穂「あなたたちはどうするの?」

拓也「ビルダー拓也は行くよ。頂上まで登りたい。」

スコット「俺もだ。ここまで来て、降りるなんてできないんだ、本当に。」

使命感にとらわれた俺たちの答えは早かった。

 

マネージャー「拓也?スコット?」

マネージャーは決めかねているようだった。

やがて意を決すると、決断を下す。

 

マネージャー「私も行きます。ケヴィンさんをお願いします。」

穂「本当に、山頂を目指すのね」

拓也「はい」

穂「こっちは、ケヴィンの応急手当をするわ。でも、この症状は降ろさないと完全な治癒は無理。

待ってられる時間の猶予はあまりないわ」

拓也「俺たちは必ず戻ってくるんで。それまで、お願いします」

穂「えぇ、信じてるわ。必ず戻って来なさい。」

3人は無言のまま、岩壁に取り付いた。

 

このチームのリーダーがいなくなってしまったことに拓也は少しの不安を覚えていた。

しかし、リーダー不在という状況下においても、3人の心は折れなかった。

それは、彼らがこれまで歩んできた道のりが、決して生半可なものではなかったからであろう。

拓也は必死に二人の無念を背負って、前に進む。

 

拓也「絶対に生きて帰ろう!」

3人は、黙々と登っていく。さっきの場所からかなり登ってきたはずなのに、未だ景色に変化はない。

緊張の糸は切れることなく張り詰めたままだ。

足元は黒い氷、踏み外しでもすれば即死は間違いないだろう。

拓也は一人で背負うプレッシャーに耐え切れず。

言葉をダラダラ漏らしていった

 

拓也「なぁ、スコット」

スコット「なんだ?」

拓也「お前、なんで登山を始めたんだ?」

スコット「……俺は小さい頃から山が好きで、よく家族で山登りに行ってたんだ」

スコット「普段仕事が忙しくて構ってくれない親父も

登山の時はハメ外して楽しんでたから家族で楽しめた。

このカメラだって親父の奴なんだ。あの人、写真を取るのが好きだったからこれでよくとってた。」

拓也「そっか」

スコット「親父は日本の富士山を写真に映すのが夢だったんだけど、

叶わなかった。日本で事故に遭ってさ、親父が死んで俺は脚の骨を折って入院してた…」

スコット「その時、病院の窓から見えた富士山がすごく綺麗でさ、

悔しかったよ。未だに富士山は登れてない」

スコット「登山を始めたのはそのトラウマを払拭して富士山を写真に映すためさ、

だから山から逃げたくなかった」

拓也「ごめんな、こんなこと聞いて」

スコット「いや、話せてよかったよ」

スコット「なあ、拓也」

拓也「ん?」

スコット「もし、このまま何事もなく頂上まで着いて、無事に下山できたらさ……」

拓也「おう」

スコット「俺と二人で富士山に行こうぜ!」

拓也「そうだな!楽しみにしてるよ」

スコット「あぁ、約束だ」

 

若干拓也の気持ちが軽くなってこのままの勢いで1000m登る…はずだった!

二人を悲劇が襲う。

 

拓也「なっ!?」

スコット「ぐあっ!」

スコットの体は宙に投げ出され、そのまま氷の斜面を転がった。

 

拓也「スコット!」

スコットの姿はそのまま拓也の視界で小さくなって、消えていった。

標高9,000mあたりに、風よけができそうな岩の陰があった。

 

マネージャー「ここで休憩にしましょう……」

拓也「ウッス……」

 

俺たちに悲しんでいる暇はなかった。引き返してスコットを探したいという気持ちがないわけではない。

でもさっきから拓也の目は山の山頂にしか向いていなかった。

チキショー!はめられたぜ。

この山の大気には媚薬が含まれてるな!

さっきから登りたくて登りたくてガタイが悶えてたまんねー。

ふと、横を向くと、一人の死体を発見する。

 

マネージャー「どうしました!?」

死んだ登山家は、衣服などが凍っているが、

皮膚や肉が半ば溶けかけており、一部分の骨が露出していた。

拓也はその死体をみて、戦慄する。この死体、凍死とは明らかに違う。

拓也はこの死体をみて、昨日の夢を思い出した。

 

マネージャー「これは一体……」

足を負傷しているが、行動不能になるほどではない。

適切な処置を行えば、歩いて降りることは可能な傷だ。

横にはザックが落ちていて、荷物を漁ると、残っていた燃料や食糧のほかに、手記を手に入れる。

拓也は、その手記を読むことにした。

 

「第一次登山隊は、山頂を踏むことなく壊滅した。

道中、未知の生物と遭遇し、襲われ、皆狂気に侵されて死んだ。

最後に残った私とパートナーの2人でなんとか登頂を目指すも、大黒壁を登りきることができず、落下。

私は足を負傷し、パートナーは背骨を強く打ち付け行動不能となった。」

 

拓也「……」

ハァハァ喘ぎ続けている拓也には、最初に書かれてあった部分が理解できなかった。

 

「後に続く者のために記す。この先、頂上直下に、”大黒壁”の垂直登攀が待ち構えている。

”大黒壁”は黒い岩肌と氷壁が、途切れ途切れに表れるミックス帯だ。

ここからが要点だ。“大黒壁”の登攀の際に、岩肌を傷つけてはならない。

岩肌を傷つけると、粘性の高い石油のような液体が染み出してくる。

 

「この粘液は金属を腐食し、肌を溶かすため、登攀が極めて困難となる。

当然、ハーケンは打込めないし、アイゼンを履いて岩を踏むこともできない。

私はこれに気づかず、アイゼンとピッケル、そして指のことごとくをダメにした。

この壁を登るには、氷がへばりついている場所を慎重に選びながら進むか、

ピッケルとアイゼンを捨て、フリークライミングで進むしかないだろう。」

 

拓也「……」

マジかよぉ!?岩肌を傷つけたらヤバイって……。

チョーSだよな!

というかそんな手指が溶ける液体が出てくる山なんて聞いたことないから意味がわからなかった。

 

「私は足を引きずって降りることもできたはずだ。

なのに、何故かこの場所から動くことが出来ない。

山頂から目が離せないのだ。このままでは私も仲間も、ここで朽ち果ててしまう。

今の満身創痍の状態で、登頂は無理だ。

ならば、せめて動ける私だけでも降りなければ。

しかし、なぜだ。私はどうしても、ここから降りることができない。」

 

拓也「え?」

拓也は手記を読んで、少し違和感を感じた。

得体の知れないものが、腹の底から這い上がってくるような感覚を覚えた。

まるで今の俺と同じ様な心情じゃないか。

登山家ってのはみんなそうなのか?

俺みたいなネコでつらくても快感を見つけて喘ぎながら山を登っているのか?

 

マネージャー「どうかしました?」

拓也「いえ、なんでもないです」

 

「Mr.スコット。きっと私を見つけ、あの山の頂を目指す友よ。

ああ、君が今すぐにあの山を諦めて引き返してくれればどれだけよいことか。

だが友よ、私は知っている。

最高の登山家である君が、そんな選択をとりようがないことを。だから、覚悟して向かってくれ。

そして願わくば、君がこの山を制覇してくれんことを。」

 

拓也「……ッ!!」

この文面を読んだ瞬間、拓也の中で何かが弾けた。

 

マネージャー「どうしたんですか?大丈夫ですか!?」

拓也「ウッ……ス」

正直、限界を感じていた拓也だったけど、この手紙を読んで、なぜか勇気が出てきた。

絶対に登頂してやる。そう思った。

だってさ、拓也は今、色んな人に支えられてここにいるんだもん。

この山に敗れ去った登山家達の夢と拓也の願望、絶対に登って見せるぜ。

ここまで来て引き返すなんて、できるわけがないんだよね。

登頂してからカ尽きて死ぬなんて、もう考えない俺は、俺たちは、生きてこの山を登りきるんだ。

狂気山脈最高地点、その頂に至る道に立ちはだかる、最後の関門。漆黒の、巨大な岩壁。

 

”大黒壁”

 

天をつんざく黒い壁が、強烈な威圧感をもって小さな拓也を見下ろしている。

ところどころに氷が張り付き、あるいは岩肌がむき出しになったミックス帯。

こんな場所地球のどこにも存在しない。まさにクレイジー。

超低酸素、強風、極寒……高度1万mに至らんとする

その熾烈な環境を抜きにして見れば、その壁自体は、慎重に昇りさえすれば、登攀可能に思える。

でもこの黒い山肌に一つでも傷つければ、ドロッとした粘液が滲み出てくるらしい。

まるで精液みたいだ。

淫獣の精液まみれの壁に登るなんて、正気の沙汰じゃないぜ。

拓也はこの壁をフリークライミングで登るか、

氷が張った場所をうまく伝っていくかでマネージャーと相談した。

 

拓也「フリークライミングで登りたいです」

マネージャー「アイゼンとピッケル無しで登るということですか?本当に危険ですよ?」

拓也「はい」

マネージャー「…拓也、あなたはもう立派なプロです。もう私が言うことはありません。行きなさい」

拓也「ありがとうございます!」

 

こうして、拓也はフリークライミングで壁に挑むことに決まった。

マネージャーは氷をうまく伝っていくルートを選択した。

どっちも危険な手段だから、どっちか選べと言われても難しい。

だからお互い無理に引き止めることはしなかったし、

そもそも二人とも早く登りたくてたまんねーって様子だからそこまでトークをかわさないのがエチケット。

 

とにかく、俺は装備をぬいで裸になる。

そして、壁の一番低い場所に足をかける。そこから壁をホールドしていく。

壁をホールドしている最中に、もし滑ってしまったら、

それはオレの死亡を意味するんだろうなと嫌な予感がしていた。

壁の表面に付着する白い結晶が、風に吹かれて飛ばされていく。

凍った壁を伝って、ビルダー拓也の指にまとわりつく。

 

「真の救世主ってのはさ、絶望感漂ってるときに現れるんだぜ」

セックス中に合ドラキメたダチの言葉を思い出す。

そして俺は天に向かう、まずは右足、左足、左手、右手、次は左腕、右腕、胴体、下半身、頭。

全身を使って壁を掴んでいく。拓也のギリシャ彫刻のような肉体が、汗の雫とともに躍動する。

腕の筋肉が悲鳴を上げている。乳酸が溜まってパンパンだ。

左腕、右腕、胴体、乳首、デカマラ、ケツマン。

拓也は一心不乱に登った。ただ下半身の疲労だけには注意した。

マネージャーはいま無事なのかとか考える余裕はなかった。

全身の細胞が躍動する。アドレナリンが放出され、脳が覚醒する。

この感覚、久しぶりだぜ。

インパルスが脳内で駆け巡る。永久記憶のシナプスが活性化する。

もうすぐ頂上だ。

 

拓也はついに手をかける。大黒壁の登攀を終え、山頂の稜線を進む。

切れ立った山脈の山頂部分は痩せた岩稜が続くが、

もはやここまでを昇りきった拓也にとってはそれほど困難ではなかった。

やがて、マネージャーも登頂に成功した。

 

マネージャー「お疲れ様です」

拓也「うっす!」

 

そして、ついに。二人は神々の座、山の頂を踏みしめる。

 

やったぜ、登頂成功だ!ついに俺は誰も成し遂げられなかったこの偉業を成し遂げたんだ。

この偉大な山を制覇したのは、俺が初めてなんだ!

 

「うぉおおおおっす!」

思わず雄叫びを上げる。

マネージャー「おめでとうございます」

マネージャーと熱い抱擁を交わす。

拓也「うっす!あざっす!……うっす!」

 

不思議と風はやんでいた。眼下に、これまで登ってきた漆黒の山脈と、

その先に、視界の果てまで続く、純白の大地が広がっていた。なんだか世界が違って見える。

白い図面に筆を置いた直後のような光景。

ここから世界創造が始まるのではないか、と勘違いさせるような、

原始的な風景。拓也はそんな印象を受けた。

拓也は、今までに見たことのない景色を見て、感動した。

 

マネージャー「きれいですね」

拓也「はい」

マネージャー「私もこんな景色を見るのは初めてです」

推定標高10,363m。地球上の最も高い位置に、今、拓也たちはいる。

拓也はここでマッスルポーズをとった。

 

拓也「見て下さい」

マネージャー「あの、そろそろ服を着てもらえませんか?見ていて寒いです」

拓也「うっす!」

 

拓也は服を身に着けた。そして、来た道を引き返す。

引き返していたはず……だった!。

1本道だったはずだし、ルートの目印も張ってきたはず。

 

拓也「あれ?ここはどこだ?」

周囲を見回す。どういうことだろうか。通ってきたはずの道が、断崖絶壁と切れ落ちている。

目印のロープも、その奈落へと続くかのような崖の底へ落ちていた。

明らかに来た時と山頂の様相が変わっている。

山の形が変わったとでもいうのだろうか。

これじゃまるで山が生きているようだ。

 

拓也「なんだよ、ここ。変な場所だな」

マネージャー「そうですね」

みるみるうちにガスもたちこめ、風が強まり、あっというまに吹雪の様相を呈してきた。

近くから、雷鳴も聞こえ始める。

マジかよぉ!?急激に天気が悪くなるなんて、この山はチョーSだよな!

 

拓也「なんかおかしくないっすか?」

マネージャー「そうかもしれません」

 

拓也たちは耳を傾ける。「オオオオオオォン」と、うめき声のような音が聞こえる。

この山にもイエティがいるのか!?マジで!?とか一瞬考えてマジ困惑。

この山の山頂には、本当に何かいるかもしれない。拓也は背筋が寒くなるのを感じた。

 

―――吹雪が強まっていく。

 

拓也「ちょっとヤバくないっすか?」

マネージャー「そう…ですね」

 

拓也たちは吹雪に遮られて何も見えない中、手探りで歩き始めた。

山頂稜線に沿って歩く。方向感覚も失ってしまった。

登ってきたはずの場所……大黒壁までたどり着けない。

拓也は焦りを感じ始めていた。このままだと遭難してしまう。

切れ落ちた断崖絶壁は、懸垂下降で降りることも不可能では無さそうだが、

何度か途中で支点を取り直さないといけないのと、天候の荒れも関係して非常に難易度が高い。

おそらく、命綱があっても無理だろう。それに、もし仮に降りたとしても、無事である保証はない。

 

拓也「あーっ!おぅううっす!」

思わず雄叫びを上げる。

吹雪の轟音のせいで、自分の声すらも聞き取れない。

それでも、叫ぶことで、自分を鼓舞する。

 

拓也「ウオーッ!」

叫んだ瞬間、突風が吹いた。

 

マネージャー「うわーっ!」

マネージャーも悲鳴を上げた。

突風に煽られて、崖の下がはっきりとみえた。

崖の下に、うぞうぞと蠢く不気味な粘液状の生物が、

ゾロゾロと山肌の空洞から這い出してきている姿が見える。

 

拓也「なんだアレ!」

マネージャー「なんですか?」

拓也「ほら、アレ!」

マネージャー「何のことですか?私はあんなのしらないですし

見えてませんし知らない知らない知らないみてないみてないっ!!」

拓也「マネージャー!」

 

今のスライムみたいな化け物を見てしまったせいか、マネージャーがマジ狂いし始めた。

絶壁から身を引いて、うずくまってブツブツとつぶやきまくり震えまくり。

マネージャーを引っ張って断崖部から少し引き返した稜線上で、拓也たちは相談していた。

 

拓也「帰り道ってあるんですかね?」

マネージャー「わかりません、もう私には何もわかりません、

断崖絶壁は降りられないし、ここに助けがくることは全くありません。

私は怖くてここから動ける気がしませんし、もうどうしようもありません」

 

マネージャーはもう、登山家としてこの山と戦うことを止めた。となると、使える登山家は拓也だけ!

でもマネージャーの言う通り、もう助からないんだよね。

俺も戦いを放棄して、早く楽になった方がいいかな。

ああ、そう思うと気持ちがよくなってきたぜ、いまならその辺のつまんねー女ともセックスできそうだ。

死ぬときって、セックスより気持ちいいって雑学で聞いたことあるな。走馬灯が駆け巡る…。

 

拓也の目がはっと覚める。そうだ、俺はセンパイのペット。

ご主人様の期待に答えられないでどうするんだ。

それに、俺は狂気山脈の登頂に成功したクライマー拓也!

ここで諦めたら名がなくぜ!拓也はマネージャーを背負って、歩き始めた。

視界の中で崖の側面に、洞がいくつかあるのを発見する。

 

拓也「あっ、洞窟!」

洞の中は湿っていて少しあたたかい。壁には管状の脈が這っている。

さわると粘ついた液体が手につく。

もしかしたらここはなんらかの生物の体内なのかもな、

とかこのねばついた感覚からして雄膣の中かもしれないとか考察する。

この山の正体を見破るためには、

常識の範囲を超えた考えを起こさないとついていけないように思えてきた。

 

そんなことを考えていると、地響きのような、しかし規則的な鳴動を聞き取る。

ドクンドクンとまるで拍動のようだ、と拓也は思った。

俺はこの鼓動から正体をつかみ取った。

信じられないし妄想に見えるかもしれないけど、絶対にこういうことだと俺は全身で感じる。

 

拓也はこう考察した、この山は、何か巨大生物の胎内なのだ。

山の形が変わったのは、出産の為だ。地殻変動は、その産みの苦しみによるものだ。

吹雪は、子を産む為に母胎が激しく震えているからだ。

恐らく、この山は、この惑星の生態系の頂点に位置する生命体によって造られたのだろう。

そして、今まさに出産しようとしているのだ。

拓也が登頂したことによって。

 

拓也は知っていたはずだった。大いなる山の前に、人類など塵芥に等しいことを。

だが、忘れていた。あまりに壮大で、あまりにも神々しかったからだろうか。

拓也は、自分が偉大なる存在を怒らせてしまったのではないかと思い始める。

しかし、今以上に、山への畏怖を魂で感じることはなかった。

狂気の中で、ようやく拓也は真の意味で自覚した。

己が矮小なる存在であると

だがここで恐れてはいけない、と拓也は自分を鼓舞する。

自分は選ばれた者だからだ。自分には使命があるのだと。

 

拓也はこの中をさらに進むと、洞の内壁はまるで消化管のヒダのように何かにまとわりついている。

これは何なんだろう?

もしかして、卵ではなかろうか。

だとしたら壊さなきゃと近づくと、壁から突き出た突起があった。

それは人間の頭蓋骨のように見えた。

近づくと、無数の溶けた遺体を見つける。

そうか!これはかつて空を飛んでいたんだ!

 

拓也「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

拓也は死体を見て吐き気を催す。

もしかしたら俺もマネージャーみたいにヤバい方の狂いを起こすかもしれないな。

旅客機はボロボロで消化されかかっているが、

乗客らしきものは見当たらない。ただ、積載物が残っているだけだ。

金属物、およびタンパク質性のものは溶解しているが、消化液は布類などは溶かさぬようである。

遺体も、骨と衣類だけはしっかりと残っている。

拓也は荷物の中から、ある物を拾い上げる。

 

それは、二人分のパラシュートだった。

マネージャーは気絶しているだけだから、

うまく使えば俺たちは助かるかなとか一瞬考えたけど、

K2や穂、スコットがまだこの山のどこかにいるって思ったら、これでさっさと脱出するのはダメなんだよね。

俺は恐怖心を押し殺して、この洞窟を進む、これが雄膣なら、どこかに出口はあるはずだ。

 

だが、内壁は想像を絶するほどの太さだ。

しかも、どこまでも続いているように思える。

拓也は、自分がどこへ進んでいるのかすらわからない。

でもここで諦めたらまたこの山を登ろうとする輩がたくさん出てきそうだぜ!

だから俺がこの山の真実を世間に発表するんだ。

GYM-Kのホームページでね。

 

おお、出口だと駆け寄ろうとすると、謎の異音が聞こえ始めた。

なんだか不気味だ。この音を聞いていると、頭がおかしくなりそうだ。拓也達は、急いで出口に向かう。

なんとか脱出することができた。さっさと出れてよかったぜ。

背後から、何かが迫ってきている気がしたからな。

 

拓也たちは命からがら、あの狂気の山脈から脱出した。

ケヴィンと穂とは直ぐに合流できた。ケヴィンは若干体調が悪そうだったが、無事だったようだ。

マネージャーも肉体は無事だったぜ!

ただ、非情に悔しいことにスコットと会うことは叶わなかった。

とにかく拓也の登山はこれで終わった。若干病院へ入院して、それからしばらく休暇をとった。

拓也は思う。もう二度と登山なんでするもんかってね。

 

あのあと狂気山脈について穂と会見を開いたら自己紹介が

スルーされることはなかったけど世界中が拓也に対して、謝罪と賠償を求めてきたし。

特にオスコー財団からの追求はすさまじかった。

お前らのせいだからな。

ただ、センパイは相変わらずだった。

拓也のことを責めたりしなかった。

むしろ、よくやったと言ってくれる。まあそれだけで、拓也としては満足だ。

 

今、自分の肉体美をアピールするため、トレーニングを続けている

世間の非難なんかに負けるものか。

富士山のふもとを走りながら、俺は携帯で掲示板に書き込みを行う

 

サーフ系ボディビルダー拓也

ttp://◯◯.◯◯◯◯.jp/surfinbody

胸囲107センチだって

すごいわね。

 

拓也の登山家人生はここで終わる、、、、はずだった!


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