◆
「ゔぎっ……や、やだぁ……やめ、で、ぇ……!」
真琴は腹の奥を抉ってくるような痛みに堪えかね、『お兄ちゃん』に懇願した。
しかし『お兄ちゃん』と呼ばれた人物──宇田川 浩二は、真琴の懇願を無視する。
というより、懇願に耳を貸す余裕がなかったのだ。
自身に懐いてくれていた真琴、可愛い弟のような真琴。
相沢 真琴は今年小学校5年生になったばかりの男子である。
浩二は都内某所のアパートに住んでいるのだが、真琴はその隣の部屋の子供だ。
母親はシングルマザーで、父親は訳アリで "もうどこにもいない" らしい。
真琴は浩二の周囲の他の者たちと違って、決して彼に軽蔑の目を向けない。
浩二は軽蔑の目で見られて当然だというのに。
そんな浩二に真琴は純粋な好意の視線を向けてくれる。
いや、向けて "くれていた"。
過去形なのは、そんなものはもう二度と向けてくれる事がないからだ。
「お、おにぃ、ぢゃ、ん……」
喘ぐ様に真琴が言う。
その様子が浩二を更に昂らせた。
「ごめんよ、真琴くん……本当にごめんッ……!」
口ではそういうものの、腰の抽挿を止めようとはしない。
ずちゅ
ぬぶり
ずちゅ
ぬぶりゅりゅ……ぐじゅぶぢゅぅ……!
肉と肉のぶつかり合う音と粘液質な音が混じり合う。
「あ゛ぁあっ! いだいっ! いだいよぉおお!!」
苦痛を訴える声が部屋に響く。
──痛いだろうなかわいそうに
そんな事を考えながら、浩二はさらに激しく責め立てる。
浩二の不格好なペニスが真琴の幼い肛門へねじ込まれ、突かれ、引き抜かれる。
下半身が痺れるような快感。
そして罪悪感──後悔。
──どうしてこんな事になってしまったんだろう
そんな思いが浩二を頭を過ぎった。
つい2時間前はこんなことをするつもりはなかったのだ。
浩二は真琴を犯しながら、そもそもの二人の出会いについて想いを馳せていた……
◆
良い年をして日雇い派遣で食いつなぐ浩二は、低収入特有のカロリーだけを重視した食事の日々を重ね、それはもう醜く膨れ上がっている──端的に言えばデブであった。
そんな浩二は当然派遣先の社員や、同じ日雇いの者たちから侮蔑の目で見られる事甚だしい。
ある朝、浩二はいつものように重い体を引きずるように起き上がり、派遣先の工場へと向かうための準備をしていた。
着古したシャツのボタンを留めながら玄関のドアを開けると、ちょうど隣の部屋の扉が勢いよく開き女が姿を現した。
真琴の母親だ。
だがいつものような落ち着いた雰囲気は微塵もなく、その表情は明らかに狼狽している。
髪は乱れ、片手に握られた鞄も不安定に揺れていた。
浩二は思わず視線をそらそうとしたが──
──心配だな
日頃周囲の目を恐れ、人と話すことを避けてきた彼にとって、それは異常とも言える感覚だった。
「……何かあったんですか?」
気づけば言葉が口をついていた。
女は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに肩を落とし、深い息をついた。
「実は……息子が熱を出してしまって……うちはリモートワークなんですが、今日はどうしても出勤をしなければならなくて……。でも一人で置いていくのが心配で……」
声が僅かに震えている様だ。
「……なら、俺が面倒を見ましょうか」
浩二は自分でも信じられないほど落ち着いた声で提案した。
言葉が出た瞬間、自分でも驚く。
──そういうキャラじゃないんだけどなぁ
そう思う浩二だが、内心助けを求めている人に手を貸せる自分を誇らしく思ってもいた。
女は再び驚いた表情を浮かべたが、すぐにそれが安堵の色に変わる。
「……本当に? でも……」
女は躊躇している。
当然だろう、浩二の見た目はなんというか……清潔感がない。
しかし──
浩二は力強く頷いた。
それを見て、女は「そういうことでしたら……」と頭を下げる。
勢いに圧された形もあるが、浩二が全くの赤の他人ではないというのも大きかった。
なるほど、確かにうだつはあがらない。
パッとしない。
しかし女は、朝顔をあわせればモグモグと挨拶をし、頭をさげてくる浩二の姿を見知っていた。
悪い人ではない、ただ対人関係が少し苦手なんだろう──そう思っていた。
だから信じたのだ。
「ええ、仕事に行かないと困るでしょう。俺、今日は本当は休みで、でも暇だったから出勤しようかなっておもってて。結構選べる立場なんです」
浩二はそう答えた──嘘だった。
浩二はただの日雇い派遣だ。
あとから職場へ欠勤の連絡を入れるつもりだったが、ただでさえ悪い立場が更に悪いものになることは明々白々であった。
しかし、そのときの浩二は自分が犠牲になることすら気にしなかった。
ただ目の前のこの母親とその子供を助けたいという気持ちが、自分でも信じられないほどに大きかった。
純粋な善意だ。
それがどこから湧いて出たものなのか、浩二自身にも定かではない。
ただ、日々うだつがあがらない生活をしている浩二は、心のどこかで変わりたいと願っていたのかもしれない。
女は再び頭を下げ、「ありがとうございます、本当に助かります……」と繰り返した。
浩二は少しだけ胸を張りたくなった。
◆
部屋は静かだった。
浩二の耳に聞こえるのは時計の針が刻む微かな音と、真琴の穏やかな寝息だけだ。
──何かあったらどうする。救急車を呼ぶべきか? それとも母親に連絡を……
不安を覚えながらも、浩二は布団の端を何度か直しては真琴の寝顔を確認していた。
幸い母親が出かける前に薬や食事を済ませてくれており、真琴の容体は安定しているようだ。
女から預かっていたお金を思い出し、頭の中で計画を立てる。
「昼ご飯はおかゆか……コンビニで何か良さそうなものを探せばいいな」
時計を見ると、昼まではもう少しある。
真琴が目を覚ましたら、改めて様子を見てから出かけるつもりだった。
・
・
・
昼ごろ、真琴が微かに唸りながら目を開けた。
「……んぅ」
寝ぼけ眼で部屋を見渡し、隣にいる浩二に気づくと一瞬戸惑いの表情を浮かべる。
「……誰?」
掠れた声でそう尋ねる真琴に、浩二は少し居心地悪そうに答えた。
「俺、隣の部屋の浩二だ。お母さんに頼まれて君の様子をみてるんだ。なにかあると、危ないから」
その言葉に真琴は少し考えるような顔をしていたが、やがてふにゃりとした笑顔を浮かべた。
「……ぁりがとう」
小さく呟くその声は体調の悪さを感じさせるが、安心している様子も伝わってくる。
「熱、まだ高そうだな。汗かいてるし、着替えようか」
浩二は腰を上げ、部屋の隅の収納から着替えを手に取り、真琴の布団を軽くめくる。
「じっとしててくれよ、すぐ終わるから」
真琴の小さな体をそっと抱き起こし、着替えを進める。
相手は男の子で、まだ幼い。
気にする必要はないと頭では分かっているのに、真琴の肌の白さに一瞬浩二は動きを止めてしまった。
──やけに綺麗な肌だな……
心の中で呟くが、すぐに我に返り、動揺を隠すように手際よく作業を進める。
シャツを脱がせ、新しい服を頭からかぶせ、腕を通す。
その間真琴は特に嫌がる様子もなく、浩二の指示に従ってじっとしていた。
「よし、終わった」
着替えを終えて布団に戻る真琴を見て、浩二は安堵の息をついた。
「……おじさん、ありがとう」
「おじさんかよ」
苦笑しながらも、真琴の礼には心の中で喜びを覚える。
「なあ、俺ちょっと昼ご飯を買いに行ってくるよ。すぐ戻るから、ちゃんと休んでてな」
「うん……」
真琴は力なく頷き、浩二は部屋を出る準備を始めた。
母親から預かったお金をポケットに入れ、玄関を開ける。
近所のコンビニに向かう道すがら、浩二はどこか軽やかな足取りで歩いていた。
◆
夕方、玄関から鍵が開く音がした。
「ただいま戻りました……!」
真琴の母親が急ぎ足で部屋に入ってくる。
彼女の顔には長い一日を終えた疲れと、それ以上の安堵の色が浮かんでいた。
「どうでしたか……真琴の具合は?」
浩二は立ち上がり、軽く会釈して答えた。
「落ち着いてますよ。昼ご飯の後も、ずっと寝てました。熱もだいぶ下がったみたいです」
その言葉に、直子の表情が一気に柔らかくなる。
「本当に……ありがとうございます。おかげで、なんとか仕事を終わらせることができました。……私、まだちゃんと自己紹介もしていませんでしたよね?」
直子は少し恥ずかしそうに微笑みながら続けた。
「私、相沢直子といいます。この子の母です。えっと、シングルマザーなんですが……。とにかく本当に、お礼の言葉も見つからないくらい助かりました」
直子の真摯な態度に、浩二はどぎまぎしながら手を振った。
「いや、そんな……隣人として当然のことをしただけですよ。真琴君もおとなしくて助かりましたし」
その言葉を聞いた直子はふと何か思いついたように顔を上げた。
「あの……もしよかったら、一緒に夕食を食べていきませんか? お礼というほどではありませんが……」
「えっ、俺がですか?」
浩二は一瞬驚いたが、断る理由もなく、むしろ誘われたことが嬉しかった。
「じゃあ……お言葉に甘えます」
直子は微笑むと、エプロンを取り出してキッチンへと向かっていった。
◆
「簡単なものになってしまいますけど……オムライスで大丈夫ですか?」
「オムライス……!」
浩二は一瞬目を輝かせ、次いで照れくさそうに笑った。
「いいですね、大好きです」
直子がフライパンを手に取り、カチカチと卵を割る音や、じゅっとバターが溶ける音が響く中、部屋には心地よい香りが満ちていく。
「手料理なんか久しぶりです」
浩二がぼんやりと呟くと、直子が振り返りながら笑顔を見せた。
「あら。じゃあ、今日くらいはゆっくり味わってくださいね」
浩二は頷きながら、その背中を見つめた。
・
・
・
「お待たせしました」
直子が皿に盛り付けたふっくらとしたオムライスをテーブルに運ぶ。
赤く鮮やかなケチャップで描かれたハートマークが少しぎこちないが、それが却って微笑ましかった。
「いただきます」
浩二はスプーンを手に取り、一口運ぶ。
柔らかい卵と、ほのかに甘いケチャップライスが絶妙に混じり合うその味に、思わず顔がほころんだ。
「……うまいです」
「よかった」
直子も安堵したように微笑む。その笑顔を見ながら、浩二はなんとなく不思議な感覚を覚えていた。
自分の生活にこんな暖かい食事や人の温もりが加わる日が来るなんて思ってもみなかったからだ。
◆
それから、浩二と相沢家の関係は少しずつ形を変えていった。
直子は月に何度かどうしても出勤しなければならない日があるらしく、そのたびに浩二に助けを求めるようになった。
浩二自身も断る理由はなく、むしろ頼られることが新鮮で心地よかった。
そんな日々を重ねていくうち、浩二と真琴の間にはどこか兄弟のような親しさが生まれていく。
・
・
・
ある日曜の午後、浩二は相沢家のリビングで真琴と向かい合っていた。
「ほら、これでいいか?」
浩二の手元には、紙とクレヨン。
真琴が描いた絵を真似しようと四苦八苦している。
真琴は絵が上手いのだ。
逆に浩二は下手糞で、
「違うよ、もっとこうやって線を丸くしないと!」
真琴は笑いながら浩二の腕を引っ張り、正しい描き方を教えようとしている。
その光景はまるで兄が弟に絵を教わっているようだった。
「はいはい、これでどうだ?」
「うーん、まあまあかも」
真琴の言葉に、浩二は肩をすくめて笑った。
◆
一方、直子はそんな二人の様子をキッチンから眺めていた。
「こんな風に真琴が楽しそうにしてるの、久しぶりかもしれない……」
彼女のつぶやきには、少しの感慨と安堵が混じっている。
真琴は小学校5年生になるが、学校には通っていない。
正確に言えば、とある事件のせいで通うのをやめてしまったのだ。
"そのこと" はいずれは浩二にも話さなければならないとおもうと、直子はどうにも気鬱になってしまう。
だが隠し続けるわけにはいかないという思いもあった。
浩二の不器用ながらもまっすぐな優しさが直子にそう思わせた。
──でも今は……
浩二も気を遣ってか、真琴が学校に通っていない事を尋ねては来ない。
その優しさに今は甘えようと直子は思っていた。
そうして真琴の面倒を見る日々を重ねるうちに、浩二も少しずつ自分の生活に対しても変わりたいという気持ちを強くしていく。
「もう少しちゃんとした仕事を探してみるか……いや、その前に体を絞らないと、か」
そんな風に思った、その矢先である。
・
・
・
「ごめんなさい! 明日から2日間、どうしても出張にいかなきゃならなくて……」
ある日、直子が手を合わせて浩二に頭を下げた。
「ああ、真琴君の世話ですか? 大丈夫です。僕の仕事は結構調整がききますから……2日くらいなら大丈夫なので。それにしても直子さん、聞いて良いのかわからないですけどどんなお仕事をされているんですか?」
浩二が尋ねると、直子は「あ、私、IT関連の仕事をしていて……具体的には、企業向けのシステムを運用したり、不具合があったときの対応をするエンジニアです。今回は、クライアント先のシステムのアップデートがあって、その立ち会いでどうしても出張しなきゃいけなくて……」などと、少し申し訳なさそうに説明した。
「へえ、すごい仕事なんですね。そんな大変そうなことしてるなんて知らなかったです」
浩二は素直に感心して言う。
自分ときたら日雇い派遣、工場で単純作業だ……と自嘲の思いもあるが、それよりも──
浩二は直子に眩いものを覚えた。
そんな憧憬の念が伝わったのか、直子は恥ずかしそうに笑いながら首を振った。
「いえ、そんな大したことじゃないんです。どちらかというと雑用が多いですよ。今回は少し特殊な案件で……」
直子が説明を続けようとしたとき、真琴が部屋の奥からひょっこりと顔を出した。
「お母さん、おじさん、何話してるの?」
「おじさんじゃないって!」
浩二がすかさず反応すると、真琴はクスクス笑いながらリビングへやってきた。
「ねえねえ、またおじさんが僕の面倒見てくれるの?」
その無邪気な問いに、直子と浩二は顔を見合わせて笑った。
「そうだよ。 "お兄さん" が2日間、君と一緒にいるからね」
浩二がそう言うと、真琴は元気よく頷く。
「じゃあ、また絵描き勝負しようね!」
「ああ、負けないからな!」
浩二がそう返すと、真琴は満足そうに笑って部屋へ戻っていった。
直子はその姿を見送りながら、改めて浩二に頭を下げた。
「本当に、いつもありがとうございます。浩二さんがいてくれて、本当に助かっています」
その言葉に、浩二は少し照れくさそうに首を掻いた。
「いえ、俺なんか本当に何も大したことしてないですから。それに、真琴君といるの、意外と楽しいんですよ」
直子の顔にふっと柔らかな笑みが浮かぶ。
その笑顔に浩二は、胸の奥が少し温かくなるのを感じた。
まるで家族ができたみたいだ──浩二はそう思う。
そうして直子の出張当日。
◆
「じゃあ、お願いしますね」
直子はそう言うと、小さく頭を下げてから仕事へ向かうため玄関の扉を開けた。
「行ってきますね、真琴。浩二さんの言うこと、ちゃんと聞くのよ」
「……うん、わかった」
真琴は直子に手を振りながら、浩二の横で見送っていた。
ドアが閉まり、静かになった部屋で真琴は浩二の顔を見上げた。
「今日から夜更かししていいってこと」
「駄目だ」
浩二のその言葉に、真琴はぷくりと頬を膨らませた。
◆
真琴にとって、浩二と一緒にいる時間は特別だった。
大好きな浩二と一緒にいると、心の中にふわりと安心感が広がる。
真琴には同年代の子ども、特に男子が特別苦手だった。
勿論理由はある。
その点浩二は年齢も離れていて、圧迫感を感じることはなかった。
──お兄さんは優しいし、僕に "アレ" をしろと言ってこない
そんな思いが、真琴を穏やかにしてくれた。
浩二と過ごす時間は、真琴の心の中の不安を忘れさせてくれるのだ。
・
・
・
「じゃあ、何して遊ぶ?」
浩二がソファに腰を下ろしながら尋ねると、真琴は少し考えた後、にこっと笑って答えた。
「お絵描き! また勝負しよう!」
「おいおい、またかよ。どうせ俺が負けるに決まってるだろ」
浩二が苦笑すると、真琴はケラケラと笑いながらクレヨンと紙を取りに行った。
その姿を見ながら、浩二も自然と笑顔になる。
「まあ、今日は勝つぞ。覚悟しろよ」
「ふふん、負けるのわかってるくせに」
真琴の言葉に浩二が肩をすくめる。
そして夜。
◆
「夕飯はデリバリーでいいかな?」
浩二が真琴に尋ねる。
「うん、僕ピザたべたい!」
真琴が笑いながら言うと、浩二はスマホを取り出して店を探した。
しかし
あー、と浩二が声を上げる。
「どうしたの?」
「いや、1時間くらいかかるみたいだ。待てる?」
「うん、大丈夫だよ」
◆
「だったら先にお風呂済ませちゃいな」
浩二がそう促すと、真琴は少し考え込むような顔をした後、にやりと笑って言った。
「じゃあ、一緒に入ろうよ」
「……は?」
浩二は一瞬、耳を疑った。その言葉に、いつかのことが頭をよぎる。
──あの白い肌……いや、違う、なんで今そんなことを思い出してるんだ
顔に浮かびかけた動揺を慌てて振り払うように、浩二はかぶりを振り、乾いた声で笑った。
「おいおい、お兄さんは君を100数えるまでお風呂から出さない鬼みたいなやつだぞ。それでもいいのか?」
冗談を飛ばすと、真琴は吹き出してケラケラと笑った。
「いいよ、100でも200でも数えてて! お兄さんには負けないんだから」
その無邪気な様子に、浩二の緊張が少し解ける。
「じゃあ先に入っててくれ。俺はピザを頼んでから風呂に行くから」
浩二がそういうと、真琴は「はーい!」とは楽しげに返事をして、浴室の方へと駆けていった。
その背を見送る浩二だが──半ズボンから見えるやけに白い脚が脳裏に焼き付いて離れない。
・
・
・
シャワー室。
「ほら、ちゃんと洗えって」
浩二はそういいながら、背後から真琴の髪の毛をわしゃわしゃとかき回す。
真琴はきゃっきゃと笑いながら、浩二の手から逃れるように身をくねらせた。
──うっ
浩二は真琴の白い肌から目を離せないでいる。
──いかんいかん
首を振って雑念を払うと、今度はボディーソープを手に取り泡立てる。
そのまま手のひらを使って、真琴の背中を撫で回した。
すべすべとした肌の感触に、思わずごくりと生唾を飲み込む。
「くすぐったいよー! あははっ!!」
無邪気に笑う真琴だったが、浩二が不意に手を止めると目で振り返り、浩二を見た。
「どうしたの?」
浩二の心臓が大きく跳ねた。
真琴の上半身、その胸部の二つの小さい乳首がやけに艶めかしく見える。
その突起を見ていると、なぜか下半身がむず痒くなった気がした。
「なんでもないさ」
そう言って再び手を動かすと、真琴は再び笑い出した。
そのあとは2人で湯船に浸かりながら他愛もない話をしたり、水鉄砲で遊んだりして過ごしたのだが……その間ずっと、股間の疼きが消えなかった。
いや、もう浩二には分かってる。
理解したくないだけだ。
──俺は
浩二はゴクリと生唾を飲み込んだ。
そう、浩二は真琴に欲情していた。
相手は子供だというのに。
男だというのに。
浩二の背にもたれる様にして湯船につかる真琴、そのうなじにむしゃぶりつきたい思いがむらむらと湧き上がっている。
ぺたり、と真琴の小さい尻が浩二のふとももへ触れた瞬間、浩二は自身の中で何かがぷつりと切れた事を感じた。
「なあ、真琴君」
そう言いながら、浩二は真琴の脚に指を這わせる。
真琴は無言だったが、ややあって「……なに?」と不安そうに答えた。
今度は浩二が無言だ。
無言のまま、浩二は指を真琴の内腿、そして鼠経部へと這わせていく。
ぴくりと真琴の身体が震える。
しかしその指はまるで淫蟲の様にうごめきつづけ、真琴の鼠径部や尻の割れ目など、きわどい部分をなぞっていく。
真琴の口から吐息のような声が漏れ、小さな身体が小刻みに震え始めた。
浩二のペニスは既に痛いほどに強張り、真琴の尻に押し付けられている。
◆
真琴は泣きたい思いで一杯だった。
"お兄ちゃんもそういうことをするんだ" という思いで胸がいっぱいだった。
真琴はまだ学校に通っていた当時、六年生だった男子生徒に性的暴行を受けた事がある。
そのときの記憶は今なお鮮明であり、思い出すだけで吐き気が込み上げてくるほどだ。
その六年生の男子は真琴に自身のペニスを触らせ、あろうことか口に含ませもした。
幸いに後ろの貞操は守る事が出来たものの、口内に放出された白い液体の苦さ、生臭さは真琴の心に大きい傷を与えるに至った。
結局そのことは後日教師に露見する事となり、件の六年生は退学──そして、真琴は不登校になってしまった。
だから苦手なのだ、男子が。
だから安心できるのだ、大人の浩二が。
そんな思いをよそに、浩二の指がとうとう自分の股の間に触れたとき───真琴は思わず声を上げた。
「……やめて……!」
しかし浩二はやめない。
空いている方の腕を真琴の胴体にまわして、強い力で締め付ける。
その力の強さは真琴に恐怖を覚えさせるには十分で──
「…………」
真琴は黙り込み、俯いてしまう。
それに図に乗ったのか、浩二はさらにエスカレートした。
「……出ようか、ベッドに行こう」
言うなり、真琴の返事を待たずに無理やり抱え込み、体も拭かずに寝室へと向かっていく。
──怖い嫌だ助けてお母さん……!
心の中で叫ぶも、その声は誰にも届かない。
◆
浩二はもう自分で自分を止める事ができなかった。
理性ではわかってはいるのだ、これはやばいと。
しかし真琴の白くて柔らかそうな肌を見るともう収まらない。
あの白い尻たぶを両手でつかみ、押し開いて、その奥を嗅いで、舐めて、思い切り穢したい思いで一杯だった。
もう我慢ができない。
ベッドに押し倒された真琴の上に覆いかぶさるようにして跨った浩二の目は血走り、呼吸は荒い。
その瞳の奥に宿るのは情欲の光だった。
一方の真琴は完全に怯えきってしまっている。
瞳に涙を溜めながら必死に首を横に振っていた。
「お兄ちゃ……」
だがそんな声は聞こえないとばかりに、強引に唇を重ね合わせた。
舌をねじ込んで口腔内を蹂躙する。
唾液を流し込みながら指で小さな乳首をつまんでやる。
乳首をつねってやるたびにビクンッと身体を震わせるのが可愛らしい──浩二のペニスの先端からは先走りの透明な液がにじみ出ていた。
──ああ、挿れたいこの幼い身体を無茶苦茶にしたい犯してしまいたい
浩二はキスをやめ、真琴の薄いピンクの乳首をまるでキャンディを舐める様にしゃぶりまわし、脇の下、腹、そして真琴の小さい小さいペニスをも口に含めた。
「あぅ……うぁ……やだ……やぁ……」
真琴は弱々しく抵抗しようとするものの、力の差がありすぎるため全く意味がない。
それどころかかえって浩二を興奮させられるばかりだ。
やがて十分に幼い肌味を堪能したのか、今度は真琴をひっくり返す。
俗に言うちんぐり返しの態勢だ。
視界に飛び込んでくるのはひくひくとうごめく真琴のアナル。
その穴に向かって顔を近づけていき、舌で舐め上げた。
すると途端にびくりと反応するものだから面白い。
さらに舌を突き入れてやると、きゅうっと締まるのが分かった。
可愛いものだなと思うと同時に、早く挿入したくてたまらなくなる。
しかし、まだ早いだろうと思いとどまる事にした。
まずは準備をしてやらねばならないからだ。
たっぷり唾液をまぶした指を一本、真琴の肛門へ挿入していく。
最初は浅い部分をゆっくりと出し入れを繰り返しながら徐々に深くしていき、第二関節まで入ったところで曲げてやる。
すると真琴が一際大きな反応を示したので、そこを重点的に攻め立てることにした。
指先でコリコリとした感触を楽しむように弄り回し、時折強く圧迫してやる。
そのたびに「あっ! やっ! だめぇっ!」という嬌声が上がるのだからたまらない。
しばらく続けているうちにすっかり解れてきたようだ。
そろそろいいだろうと思って人差し指を追加してみることにした。
二本同時に入れるのは難しいかと思ったが、案外すんなりと入ってくれたことに驚くとともに安堵を覚える。
「や、やぁ……」
さかさまになった真琴が苦しそうに拒否するが──
「うっ!?」
真琴の顔の前にペニスが突き出される。
体勢的にそうなってしまうのは仕方ないが、真琴の口元を狙ったようにぐりぐりと押し付けられるペニスの動きには、明らかに邪悪で淫靡な意図が込められていた。
──臭い……気持ち悪い……
顔を背けようとするのだが、うまくいかない。
せめて口をしっかり閉じて、二度と "アレ" を口に含むまいとするが──
「あっ!?」
肛門をこれまで感じた事がない感覚が襲い、思わず声をあげてしまった。
次の瞬間、口の中に何か異物──浩二のペニスが突き込まれる。
──やっ!! やだあっ!!
そんな声にならない叫びをあげるが、当然聞き届けられるはずもなく、喉の奥にまで侵入されてしまう。
口の中いっぱいに広がっている苦いようなしょっぱいような不思議な味を感じながら、必死になって耐えていると不意に肛門から指が引き抜かれる感覚があった。
そして同時に、さかさまでの強制フェラも中断され、姿勢を元の状態に戻された。
やっと終わったのかと安堵した次の瞬間。
真琴は強引にうつ伏せにさせられ、尻を突き出すような恰好を取らされた。
◆
白く形の良い真琴の尻。
先ほどまで浩二に散々に嬲られた尻の穴がひくついているのが見える。
穴の奥はさぞ柔らかいのだろう、浩二は一際大きい音を立ててごくりと生唾を飲み込んだ。
みりり、と音を立てるように、真琴の肛門にペニスが侵入していく。
「ひっ!? ぎっ!!」
違和感、そして痛み。
そのままゆっくり奥まで貫かれると、真琴は内臓を押し上げられるような感覚を覚えた。
苦しい、痛い、熱い、怖い……様々な感情がごちゃ混ぜになり、涙があふれ出てくる。
しかしそれも束の間の事だった。
ずちゅ、ずぶ──肉の穴に肉の棒がゆっくりと突き入れられ、同じ様にゆっくりと引き抜かれ。
「あ゙っ……! はひゅっ……ひ、い、ぎぃ……」
真琴は呼吸困難になったかのように息も絶えだえに喘いだ。
だがそれを繰り返されていくうちに、感覚に変化が訪れる。
──あ、れ……?
腸壁を擦り上げられ、前立腺を刺激されて、次第に快感を感じ始めているのだ。
尻の奥から何かがこみ上げてくるような感覚は、まるで便意の様であって便意ではない。
前立腺を刺激されている事で感じている快感の波、その予兆であった。
ぱん、ぱちゅっ、ばちっ、ぐぢゅんっ──肉同士がぶつかり合う音と粘液質の音が部屋中に響き渡る。
抽挿の速度は最初よりも大分早い。
「真琴君、ごめんな、ごめんな……っ!」
浩二は真琴の肛門からペニスを一旦引き抜いて、今度は仰向けにする。
真琴本人も気付いていないだろう、蕩け始めたその目に、浩二は視線を奪われ──
◆
「あっ♡~~~~……」
「お゙っ……!」
「ふぎぃ……」
抜いては挿す。
挿しては抜く。
浩二は正常位で真琴を犯していた。
小学校5年生の男子である真琴の肛門に、己の太く長く、形の悪いペニスをねじ込んでいた。
「んっ!」
真琴は目の端に涙を浮かべて、時折浩二にイヤイヤをする様に首を振り拒否の意を示しながらも、それでも自身の小さいペニスを硬くさせて体をくねらせている。
その様が余りに淫靡で、そして神聖にも感じられ。
「真琴君、ごめんよ、本当にごめんよっ! でもいいんだろ? こんな俺に、こんなデブで不細工な "おじさん"に犯されて、こんな風にされてっ……! 真琴君は気持ちよくなってるんだろ? 大丈夫だよ、もっと、もっと! もっと気持ちよくしてあげるからっ……!」
──真琴君を孕ませてやる。男の子だろうが知った事か
そんな狂った思考で、浩二は肉の槍で何度も何度も何度も何度も真琴の肛門を突き刺した。
・
・
・
数時間後。
「んちゅっ……れろ……」
真琴は小さい口で真琴のペニスを頬張り、舌でなめしゃぶり、奉仕をしている。
目は虚ろで精気のようなものを感じない。
しかしそんな様子とは裏腹に、真琴は肌を紅潮させ汗を滲ませ、その小さいペニスを硬くさせてさえもいる。
「気持ちいいよ、真琴君……」
浩二はそう言って、嬉しそうに真琴の後頭部を優しく撫でた。
浩二は真琴の行為に愛を感じていたのだ。
こんな醜い自分の醜いチンポを、愛なくしてどうして舐めしゃぶれる?
自分が無理やり、力づくでそうしたことも忘れている浩二は、そんな自己中心的な思いを抱いていた。
「真琴君は俺の事が好きなんだよね?」
浩二は真琴の頭を上げさせて、質問をする。
真琴は茫洋とした目で浩二を眺め、やがてこくんと頷いた。
それが心からの所作かどうか──そんな事は浩二には関係ないし、気付きようもない。
なにせ浩二は自身が受けた事のない好意を多く浴び、さらにこれまでずっと縁がなかった "色" の充足を得たせいでまともな精神状態にない。
同性愛&小児趣味という素養が元からあったかどうかは定かではないが、とりあえず今の浩二は幸せだった。
真琴からの "愛" は
──本当に、気持ちがいい
浩二はそう思い、ちらと時計を見る。
時刻は午後8時を回った頃だ。
ピザのデリバリ―が来る時間などとっくに過ぎていた。
だがもうピザなどどうでもよい。
浩二は真琴の裸体に目を遣り、むらりと再び、股間に欲の炎を灯した。
真琴の息遣いが荒くなる──当然、恐怖で。
しかしその様子も、今の浩二には恋人の愛を待ち焦がれる姿にしか見えないのだった。
夜は長い。
浩二にとってはたっぷり数時間。
しかし、真琴にとっては永遠にも続くような "夜" になるだろう。
(了)