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(……ふぅ。温かいお湯が、疲れた身体にじんわりと染み渡る)
木々に囲まれた、大自然の静寂の中。
わたしは手付かずの天然温泉に肩まで浸かりながら、小さく息を吐き出した。
「……今回の任務、結構大変だったねーフェイトちゃん」
「うん……でも、こんなにいい温泉を見つけられて、ラッキーだったね、なのは」
隣で微笑むなのはに、わたしも心からの笑顔を返す。
時空管理局の任務で、私達は道なき道を越えて、こんな深い山奥までやってきていた。激しい魔法戦と過酷な疲れを癒やしてくれるこの秘湯は、私達にとって本当に最高のご褒美だった。
なのはの白い肌が、お湯の熱でほんのりと桜色に染まっているのを見て、同じ女の子であるわたしもなんだかホッとして、心が解けていくのを感じていた。
――ガササ。
「えっ……」
その時だった。私達の他に誰もいるはずのない、こんな山奥の秘湯で。明らかに違う音が聞こえたのだ。
驚いて岩陰の向こうを振り返ると……そこには、大きなサバイバルの荷物を地面にどさりと下ろし、汗と泥にまみれた服を今まさに脱ぎ捨てようとしている『大人の男の人』が立っていた。
(え……? おとこの、ひと……っ!? ど、どうしてこんな山奥に……っ!)
ボフッ!と、全身の血が顔に集まっていくのが分かった。
お互いに、全くの一糸纏わぬ全裸。しかも、相手は全然知らない大人の男の人だ。男性に対する免疫が全くないわたしは、あまりの羞恥心に心臓が破裂しそうになって、咄嗟にポコポコポコッ……と、顔の半分までお湯の中に沈み込んだ。
(ど、どうしよう、どうしよう……っ。裸、見られちゃった……っ!)
お湯の下で、自分の肩を抱きしめるように縮こまる。
パニックで、自分の金色のツインテールがウサギの耳みたいにピクピクと震えていることすら、気づけなかった。
そんなパニック状態のわたしとは対照的に、なのははすごく冷静だった。
「あっ、こんにちは!」
なのはが、持ち前の明るさで元気よく挨拶をしたのだ。
(な、なのはっ……!?)と心の中で驚きながらも、わたしもこのまま黙っているわけにはいかない。
「こ、こんにちは……」
お湯から目だけを出したまま、おどおどと小さく頭を下げた。
男の人も予期せぬ遭遇に硬直していたみたいで、ちょっと抜けた声で「こ、こんにちは……」と返してくれた。
(なのはが普通に挨拶してくれたおかげで、なんとかやり過ごせそう……。よかった……)
そう、安堵のため息を漏らそうとした、その直後だった。
わたしの視線が、男の人の顔から下へと移動してしまった瞬間――わたしの思考は、完全に真っ白に染まった。
(――っ!? あ、あれって……っ!?)
全裸の男の人の、股間。
そこには、大人の男性の『それ』が、隠されることもなくぶらぶらと揺れ動いていた。
保健の授業の図解で見たことはあったし、そういうものが付いているという知識はあった。でも、そんな薄っぺらい知識なんか、目の前の『現実』の前では何の役にも立たなかった。
図解なんかとは全く違う、赤黒くて、太い血管がミミズみたいに浮き出た、重たそうな肉の塊。
(こ、こわい……。なんだか、別の生き物みたいにぶらぶらしてて……っ)
未知の生物を見るような怯えで、身体がガクガクと震える。
でも……どうしてだろう。あんなに怖くて、目を背けたいのに。わたしは水面から目を出したまま、どうしてもその『大人の雄の象徴』から、視線を外すことができなかった。
一泊の野宿と激しい登山をしてきたからだろうか。距離があるはずなのに、大人の男の人の生々しい存在感と、濃い汗の匂いが伝わってくる気がして。怯えと、それ以上の強烈な『好奇心』が入り混じって、目が釘付けになってしまっていたのだ。
「あ、あの……お兄さん……」
隣で、顔を真っ赤にしたなのはが声をかけた。
「その……えっと……お兄さん、温泉、入らないんですか?」
(ええっ!? な、なのは、なにを言ってるの……!?)
わたしはお湯の中でさらに身を縮めた。大人の男の人と一緒にお風呂に入るなんて、絶対に無理だ。
「い、いやっ! 流石に女の子二人が入浴しているのに、全裸の俺が入るわけにはいかないよ!」
お兄さんは慌てて両手で股間を隠し、背を向けようとしてくれた。その紳士的な言葉に、わたしは心の底から安堵する。お兄さんが悪い人じゃなくて、本当によかった。
でも、冷静になったお兄さんの口から、私達にとって一番恐れていた『疑問』がこぼれ落ちたのだ。
「ちょっと待て……ここまでの道のりは、プロの登山家でも遭難しかけるほど険しい獣道だったぞ? 野宿の装備もないこんな少女二人が、一体どうやってこんな山奥まで来たんだ……!?」
(っ……!?)
その言葉に、わたしとなのはの肩が、ギクリ!と大きく跳ねた。
しまった……!
私達は魔法を使って空を飛んできたから気にもしていなかった。でも、一般の女の子が、水着もタオルもサバイバル装備も持たずに来られるような場所じゃなかったのだ!
(ど、どうしよう……っ! 魔法のことがバレたら、部隊の規則違反になっちゃう……!)
もしこの人が怪しんで、警察や下界の人に話してしまったら。任務にも、私達の生活にも大きな支障が出てしまう。
魔法という絶対の秘密を隠蔽しなければならないという強烈な焦燥感が、わたしの中から「全裸の男の人に対する羞恥心と警戒心」を完全に吹き飛ばしてしまった。
「そ、そそ、そんなことよりっ! 早く温泉に入りましょうよ!」
「そ、そうですよ! こんな山奥で裸のままだと、お兄さん風邪ひいちゃいますよっ!」
なのはと目を合わせ、お互いに頷き合う。
わたし達は、濡れた裸体を晒すのも構わずにバシャリ!とお湯から立ち上がった。そして、まだ状況が呑み込めていない全裸のお兄さんの両腕を左右からガシッと掴み。
「うわっ!? ちょ、ちょっと君たちっ!」
ドボンッ! と大きな水しぶきを上げて、お兄さんはわたし達に引っ張られるがまま、温かいお湯の中へと引きずり込まれた。
「ぷはっ! いやでも、本当にどうやってここまで……」
「あーっ! お湯がとっても気持ちいいね、フェイトちゃん!」
「う、うん! お兄さんもそう思いますよねっ!?」
お湯に入った後も魔法のことを追及しようとするお兄さんの口を塞ぐように、わたしとなのはは必死にお兄さんに身を寄せた。
お兄さんの左右からピタリと張り付いて、両腕にガッチリと抱きつく。お湯の温もりと一緒に、わたしのまだ未発達な胸元が、お兄さんのたくましい二の腕にむにゅりと押し付けられる。
「…………っ!」
透明なお湯の下で密着する、スベスベとした素肌。至近距離でお兄さんが息を呑み、言葉を詰まらせたのが分かった。
(ご、ごめんなさいお兄さん……っ。でも、魔法のことがバレるわけにはいかないから……っ)
申し訳ないと思いながらも、わたしは目をギュッと瞑って、細い腕に力を込めた。
その時だった。
(あ……え……?)
お湯の浮力でふわふわと揺れていた、お兄さんの股間の『あれ』。
それが、わたし達の肌の感触にあてられたせいか、じわじわと熱を持ち始めたのだ。血流が集中して、太く、硬く、そして上を向いて大きく膨張していく。
(お、おっきくなってる……っ!? な、なんで……?)
お湯の中で、みるみるうちに硬さと質量を増していく異物の存在に気づいて、わたしは息を呑んだ。
性の知識に極端に乏しいわたしには、男の人の身体がどうしてあんな風に変化するのか、全く理解できなかった。赤黒く腫れ上がって、ドクン、ドクンと脈打っている巨大な肉棒。
それを見た瞬間、わたしの頭の中に、全く別の恐ろしい勘違いが閃いてしまったのだ。
「お、お兄さんっ、ここ、すごく赤く腫れてます……!」
わたしは透明なお湯を透かして、お兄さんの股間を指差した。
怯えと、本気の心配で声が震える。
「さっき私たちが無理やりお湯に引っ張った時に、どこかの岩にぶつけて怪我しちゃったんだ……!」
「ち、違うよフェイトちゃん! そういうことじゃなくてっ!」
なのはが林檎みたいに真っ赤な顔をして、必死にわたしを止めようとする。
でも、わたしの心配は止まらなかった。未知の現象を前にしたわたしの目には、猛り狂っておっきくなっていくお兄さんの肉の棒が『内出血して腫れ上がった痛々しい大怪我』にしか見えていなかったのだ。
「でも、こんなに赤く腫れ上がって……ビクビク脈打ってる……! お兄さん、とにかく一度、あそこの岩肌に座って休んでください!」
わたしの焦りと善意に背中を押される形で。お兄さんはお湯から半身を出して、浅瀬の岩肌に腰を下ろすことになってしまった。
浅瀬の岩肌に座らされたお兄さん。
温泉の半分まで浸かっているわたしとなのはの目の前――ちょうど私達の視線の高さに、お兄さんのはち切れそうなほど赤黒く腫れ上がって天を仰ぐ巨大な肉の棒が、ドンッとそそり立つ形になってしまったのだ。
「にゃははは……」
目の前に突きつけられた大人の雄の象徴に、なのはは顔から湯気が出そうなほど赤くなりながら、乾いた笑いを漏らしている。
一方のわたしは、未だに「痛そう……どうしよう……」と、赤黒く脈打つそれを本気で心配そうに見つめていた。
「あのね、フェイトちゃん……これはね……」
見かねたなのはが、濡れたツインテールを揺らしてわたしに身を寄せると、耳元で内緒話のようにヒソヒソと囁いた。
『怪我じゃないの。男の人は、女の子とくっついたりして興奮すると……あそこが、あんな風におっきくなるんだよ。勃起っていうんだけど……』
(えっ……?)
なのはから教えられた、大人の男の人の身体の仕組み。
最初はキョトンとしていたわたしだったけれど、やがてその言葉の意味を――今、目の前で起きている現象の理由を、完全に理解した瞬間。
「えっ……あ……っ」
ボンッ! と。
わたしは自分の顔が一瞬にして茹でダコのように真っ赤に染まるのを感じた。
怪我なんかじゃない。わたし達の身体が密着したせいで、目の前のお兄さんの身体が、こんなにいやらしく変形してしまったのだと悟ったのだ。
「えっ、だって……わ、わたし……っ」
わたしは自分の未発達な小さな胸元を隠すように両腕を交差させて、おどおどと視線を泳がせた。
さっき、わたしがお兄さんの腕に自分の胸を押し付けちゃったから……だから、お兄さんは……っ。
「ごめん……本当にごめん……」
パニックになるわたしの前で、岩肌に座ったお兄さんは、両手で深く顔を覆い隠してしまった。
「さっきお湯の中で……二人の胸が当たって、その……興奮してしまったんだ……。大人げない、最低な男だよ俺は……」
お兄さんは、心底からの自己嫌悪に陥っているようだった。
わたしの純粋な心配に対して、下劣な身体の反応を返してしまった自分が情けないのだと、ひどく落ち込んでいる。
でも、お兄さんがそうやって深く反省して縮こまっている間も、冷たい外気に触れたお兄さんの大きく腫れ上がったそれだけは、目の前の私達の濡れた裸体にあてられて、ビクッ、ピコピコッ!と元気よく跳ね続けていた。
(お兄さん……)
顔を覆って小さくなっているお兄さんを見て、わたしの胸がギュッと痛く締め付けられた。
あんなに大きくて怖いのに、男の人の身体は自分でもコントロールできないんだ。
ちゃぷん、と。なのはがお湯を揺らして動いた。
わたしとなのはは、お互いに顔を見合わせた。言葉にしなくても、通じ合っているのが分かった。
だって……。
「……でも、お兄さんがこうなっちゃったのは、私達のせいですよね」
なのはが、真剣な声で静かにそう言った。
「お兄さんは、私達のために外に出て行こうとしてくれたのに……私達が、無理に引き留めてお湯の中に引っ張ったから……」
なのはが真っ赤な顔のまま、でも真っ直ぐにお兄さんの目を見つめてそう言った。
「だから……お兄さんがこんなに苦しそうなのは、私達の責任です」
わたしも、なのはの隣でしっかりと頷き返す。
お兄さんは全裸のまま、自分の身体の反応を恥ずかしがって、申し訳なさそうにうなだれている。
でも、よく考えたら悪いのは絶対にお兄さんじゃない。私達が無理やり引き留めて、お湯の中に引っ張ったから、お兄さんはこんなに苦しい思いをしているんだ。
あんなに赤黒く腫れ上がって、今にもはち切れそうにビクビク脈打っているのを放っておくなんて、そんなのできない。
「私達に……お手伝い、させてください」
なのはと一緒に、わたしはゆっくりと手を伸ばした。
そして、おずおずと差し出したわたしの小さな指先が、熱を帯びてテカテカと怒張したお兄さんの『おちんちん』の竿に
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