いつもまふゆが攻め側なのは私が歳上である以上心苦しい。歳上なのだから、リードすることは無理でもせめて気持ちよくしてあげたい。
そう言い出した私が発端となり、今夜は私が攻めることになった。のけれど。
やはり、経験がない私ではドギマギしてろくに行為へと及ぶこともできない。まふゆに触れようとして、触れれない。
そんな私に痺れを切らしたのか、まふゆが先に動きはじめた。言い出しっぺは私なのに、結局出来なかったなと罪悪感を抱く。
まふゆは私の利き手を掴んで、中指と薬指だけを口内へぬるりと入れた。
正しく、ねぶる。の言葉がぴったりなくらいに私の指に唾液を擦り込ませていく。ほぼ無感情なまふゆの口周りに唾液が垂れていく光景と、入っている指が私の指だと思えば思うほど興奮は昂る。
ぐちゅ、ぬちゅ、とまふゆから音が発せられる。ただの唾液の音がこんなにも脳を揺さぶらせるくらいクラクラと来るものがある。
5分?10分?体感時間が意味をなさないけれど、やがて気が済んだのかまふゆは加えっぱなしだった指を口から外した。
まふゆの口と私の指が糸を引く。糸自体が重いのか、重力に負けてすぐに垂れてしまっていた。
「はい」
とまふゆは言いながら、先程まで口の中に入れていた手を自らの秘所へ誘導する。
ここまでお膳立てされてはいくら経験がないと言えど、少しでもいいからまふゆに気持ちよくなって欲しいと決心するには充分だった。
ゆっくり、痛くないように指を進めていくけれど、奥に到達したら到達したでどう動かせば良いのか混乱してしまう頭をぐっと堪えて、くの字に曲げて伸ばすを繰り返す。ちら、ちらとまふゆの顔を見ながら指の動きだけに留まらないよう耳を甘く噛んだり空いてる方の手を太ももにそわせたり。
所詮、経験のない私では微々たる手腕。けれど、それ以上にまふゆは心地よさを感じていたらいいなと淡い気持ちを願いながら精一杯、奉仕をし続ける。
まふゆからの反応は無い。声も、顔色も全く崩れないどころか変わりもしない。でも、こうして私からの奉仕を拒否せずにいる。それだけで、何だか嬉しくて。考えて言葉を出すよりも言葉の方が先に出てきてしまう。
ひたすら、まふゆに好意の言葉をぶつけた。奉仕しているのは私のはずなのに、切なくて切なくてどうしようもなくなってくる。
切なさの頂点に届きそうな時、まふゆは私を抱きしめた。もしかして、私の拙い手で良くなってくれたのかと期待していた。
「もういいよ」
その一言を聞いた瞬間、一気に身体の昂りが冷めた。やっぱり、私が下手だったから中断したのだろうか。情けないなぁ。歳上なのに全然良いところもないし、ちっとも心地良さなんてあげれなかった。
「大丈夫。多分......気持ち、良かったと思う。」
まふゆは嘘は言わないから恐らくそうなんだろうけど、どうにも慰められているような気がして。ごめん、と気がついた時には謝っていた。
勝手に1人で盛り上がって、舞い上がっておいて。これじゃ、ただの自慰と変わりない。まふゆに負担を掛けてばっかりだ。
自己嫌悪の渦に自分から突入しようとした時、まふゆの舌が突如として私の口の中へと入り込んできた。急なことで酸素が足りなくなって、息継ぎもまともにできない。鼻で空気を吸うという至極単純な方法も、口を開けて顔をまふゆから背ける方法も、つい先程まで病みかけた脳じゃ正常に処理できないんだ。
私の舌の根を撫でながらつついたり、上顎を舌先でちろちろと舐めて私の知らない性感帯をどんどん掘り当てていく。
息が本当に持たない。と意を込めてまふゆの背中を叩いたらすぐに離してもらったけど、未だに抱き締められて身動きが取れない。よろしくない口寂しさを植え付けられた。
「してもらったから、次は私の番」
気のせいか、まふゆの声がワントーンくらい低くなって顔も少しムッとしているような。そんなふうに見えて、背筋に冷たいものが走ったのも気の所為だと強く信じたい。
その後、いつもより激しかったまふゆとの行為が癖になりそうで。結局、初めてのタチが失敗に終わったのも有耶無耶になっていた。