「ママ、よなかにパパにいじめられているの?」
三歳の希美が、冴子に訊いた。
「どういうこと……?」
真剣な瞳で見つめて来る娘を見て、冴子は訝しんだ表情をする。
「だって、ママ、はだかでパパにのっかられて、ないてたじゃない?」
「あ……」
冴子が眼を丸くして口を押さえた。
「いつもパパとママ、なかよしなのに、よるになるとパパ、こわくなっちゃうの?」
「あ……」
言葉を失っていた冴子が、ふっ、と微笑んだ。
「希美、それはね、大好きな人同士が、愛し合っているの……」
冴子が頬を紅く染めながら、希美の眼を真っ直ぐにみて、言う。
「あいし、あう……?」
希美には、まだ言葉の意味が頭に入っていない。
「だいすきなのに、パパは、ママをなかせるの?」
希美の頭には疑問が残る。
「う~ん……」
冴子は少しの間悩んでいたが、意を決して希美の肩に手をかけた。
「希美、パパとママはね、その時、ひとつになってるの」
「ひとつ? どうやって?」
冴子はいったん眼を伏せたが、あらためて希美の瞳を覗き込んで言った。
「パパは、おちんちんついてるでしょ?」
「うん」
「その、おちんちんが大きくなって、ママのここに入るの……」
冴子は自分の股を指さした。
「えっ? えっ?」
希美の理解が追い付かない。
「それって、いたいの?」
「う~ん……痛くない、かな……」
「じゃ、なんでママはなくの?」
「それはね、パパとひとつになれて、嬉しくて泣いてるの……」
「ふ~ん、そうなんだ……」
「それは、とっても気持ち良くて、パパがもっと大好きになるの……」
冴子の顔がさらに紅くなる。
「じゃ、のぞみもパパとひとつになる! パパがだいすきだから!」
希美が寝静まった頃合いを見計らって、裕也がむっくりと身体を起こし、冴子の布団に潜り込むのを、希美は薄目で見ていた。
今から思えば、娘にセックスしていることを気づかれたのなら、場所を変えることもできたはずだ。それをしなかったということは、夫婦のセックスが気づかれていることを、冴子が裕也に黙っていたのだろう。
掛布団がもぞもぞと動き、ちゅっ、ちゅっ、と唇を合わせる音が聞こえる。
やがて、掛布団がめくれ、豊かな乳房をさらした冴子の上半身が現れた。
裕也が冴子の乳首に吸い付いた。
(パパ、あかちゃんみたい……)
ついこの間まで、希美も冴子の乳房に甘えていた。
「あっ……ふんっ……ううんっ……」
冴子の息が荒くなっている。
目を閉じた冴子の口角が嬉しそうな表情に見える。
(ママ、くるしそうないきをしてるけど、きもちいいのかな?)
裕也が冴子の首筋から脇の下、脇腹まで舌でたどっている。
(パパ、ママのからだをペロペロしてる……おいしいのかな?)
やがて、冴子の下半身が露わになり、裕也は股に顔を埋めてじゅるじゅると音をたてて吸い付いた。
「あん……はんっ!」
(えっ、やだ、パパ。ママのおしっこでるところなめてる……きたないよ……)
「あんっ……いいっ!」
冴子がシーツを掴んで、腰を揺らしている。
(えっ、いいの? ママ、きもちいいのかな?)
裕也が冴子の股から顔を外し、上体を起こした。
裕也が硬直して反り返ったペニスを晒した。
(えっ? パパのおちんちん、あんなにおっきくなっちゃうの? なんで?)
裕也と一緒にお風呂に入った時、希美が見たペニスとは全くの別物になっていることに驚いた。
冴子が身体を起こし、四つん這いになって裕也のペニスを咥えた。
(おちんちんって、パパのおしっこがでるところだよね? パパもママもきたないのへいきなのかな?)
裕也の表情を見ると、眼を閉じて微笑みながら、顎をそらしている。
(ママはおちんちんたべてるんじゃなくて、くわえてるんだね……パパうれしそう……きもちいいのかな?)
ひとしきり冴子が口で奉仕した後、再び冴子が仰向けになった。
裕也はペニスに手を添え、冴子の股の間に身体を入れた。
大きなペニスが、冴子の中にゆっくりと埋まっていく。
(えっ? あんなおっきいおちんちん、ママのなかにはいっちゃうの?)
「あっ、あっ……ああんっ!」
冴子が息を詰まらせ、声を上げた時、裕也のペニスは完全に冴子のなかに入り込んだ。
(わあ、パパのおちんちん、ぜんぶはいっちゃった! ほんとだ! パパとママがひとつになってるっ!)
幼い希美の胸が興奮で高鳴った。
「あんっ、あんっ、裕ちゃん! いっ、いいっ……!」
裕也が腰を振るたび、冴子は声をあげ、身体をくねらせる。
(ママ、とってもきもちいいんだ……いいな……)
希美が四歳になったとき、難病にかかった冴子の入院はすでに半年を超えていた。
美人で、健康的な自慢の母が、骨が浮き出すほどすっかりやつれてしまっていた。
「希美、よく聞いて……」
病院のベッドで二人きりになったとき、冴子がぽつりと言った。
「ママ、もうすぐ遠いところに行って、希美に会えなくなちゃうの……」
「ヤだ!」
「ごめんなさい……でも、どうしようもないの……」
「ヤだ、ヤだ、ヤだヤだヤだっ! ぜったいヤだっ!」
首をぶるんぶるんと横に振る希美を見て、冴子の眼から涙が溢れだした。
「希美、幸せになってね……パパは絶対希美を幸せにしてくれる……だから、パパの言うことをよく聞いて……」
冴子が逝ってしまうことを絶対に認めたくない希美は首を振り続けた。
「希美。パパはママがいなくなったら、ダメになっちゃうかもしれない……その時は、希美がパパを支えてあげて!」
希美が振る首は、弱々しくなった。
駄々をこねても、冴子が逝ってしまうという現実は変わらないのだ、と幼い希美は思い始めた。
「パパがつらいとき、希美がママのかわりをしてほしいの……お願いっ……」
希美の手をとって、冴子が泣き崩れた。
幼い希美の心の奥に、強い覚悟と決意が灯った。
(のぞみ、ママがいなくなったら、パパのおよめさんになる……!)
冴子が亡くなってからの裕也は、ダメにはならなかった。
幼い希美の世話をするために、工場での夜勤を断って、日勤で残業もせずに帰ってきた。
食事の用意に洗濯など、慣れないことを必死にやってくれた。
だが、時折冴子の位牌の前で声を殺して泣いている裕也の背中を見た。
希美は裕也といっしょに風呂に入り、夜は同じ布団で寝ていた。
希美も裕也を助けたい、と思い、掃除や洗濯はもちろん、料理も覚えて小学校に入るころには、食事の準備は全部希美ができるようになっていた。
夜ひとりで留守番できるようになったので、裕也は夜勤に復活した。
やはり夜勤は深夜手当などがあり、収入が多いので、裕也も希美の助けを喜んでいた。
希美の初潮が小学五年生で始まり、胸も膨らみはじめた。
生理用品やブラジャーについては、裕也はよくわからないこともあり、隣に住む主婦に助けを求めてなんとか乗り切った。
「希美、そろそろ、一緒にお風呂に入るのは、やめよう……」
ある日、湯船につかりながら、希美の膨らみかけた胸から目を逸らして裕也が呟いた。
「どうして?」
「それは、希美が大人の女の人の身体になってきたからだ」
「なんで? 大人のママとは何時もいっしょに入ってたじゃない!」
希美が抗議する。
「希美は、ママとは違うんだ……」
「どうして? 希美、パパのお嫁さんになるのに!」
希美は冴子が亡くなってから、裕也と結婚する、と言い続けた。
裕也は、嬉しいね、ありがとね、と希美に応えていたが、希美が成長するにつれ、だんだん希美の言葉に渋い顔をするようになった。
もちろん、希美も世間一般で父娘が結婚はしないものだ、とされていることは知っている。
だが、希美は冴子のかわりに裕也と結ばれるつもりでいる。大人になれば、裕也と結婚できる。早く大人になりたい、と希美は強く願った。
中学になり、胸が急速に発達し、顔立ちが母親に似てくると、希美は周りの視線が変わってくるのを嫌でも感じた。
美人だね、可愛いね、とよく声をかけられたが、ママの娘なんだから、あたりまえじゃない、としか思わなかった。
ただ、いらぬ敵意を受けないために、自分の美貌を褒められても「いえ、そんなことないです。私なんて……」といって否定することだけは、意識していた。
中学では、同学年のみならず、先輩からもたくさんの告白を受けたが、すべて断った。
近い年代の男子は子供にしか見えない。
中には、どうして付き合えないの? 誰か好きな人でもいるの? と食い下がる子も多く、「私が好きなのはパパなの」などと言えるわけもなくて、本当に面倒だった。
かといって、年上の男性ならばいいかといえばそんなことはない。特に中年の担任教師は、何かと困っていることはないか、相談にのるよ、と露骨に近寄ってくる。
同学年を含め、男は希美の身体を裸に剝いて妄想していることだけは、希美は密かに確信していた。
ただ、父親の目線が希美が冴子に似てきたことで、少し変わってきたのは、希美としても嬉しかった。
父親の裕也なら、自分の裸を妄想して興奮することを許せる。むしろ欲情してほしいとさえ希美は思っていた。
裕也が本気で愛していた冴子に似てきた娘を抱いててくれたら、嬉しい、と希美は思う。
裕也と身体を重ねて、恍惚の表情で悦びの声を上げる冴子に、自分の姿を重ね、希美は胸を熱くさせるのだった。