「痴漢」という行為にハマってしまった、稀有な宇宙人だ。
たくさんいる「痴漢友(ちかんとも)」の中でも、今日は極上な「ケーイチサン」との痴漢の日。楽しみすぎてナカにローションを入れすぎた気もする。
ところでなんで地球に来たんだっけ。
私に名前はない。なぜならば、私は地球上の「人間」という個体ではないから。
しかし身体的構造はほとんど似ている。内部構造とかいろいろが、人間のそれに近い。ただ肌の色がほのかに青みがかっていて、通常ならば白目の部分が黒であること以外は。
私がどうして地球にやってきたとか、どうして人間の女子高生の姿をしているのかとか、今となってはもうどうでもいいのだ。
今日は、ケーイチさんとの「痴漢」の日だ。
私は快楽が大好きで、さまざまな形で追い求めた結果、「痴漢」という背徳的行為にハマってしまった。インターネット上には『痴漢アプリ』なるものが存在する。痴漢したい者、されたい者が相互に交流して合意的に痴漢を行うマッチングアプリのようなもの。
当然私も利用していて、たくさんの『痴漢友(ちかんとも)』がいる。――が、今日はその中でもとびきりトップクラスの……ケーイチさんに会える。
「やぁ、待たせたね。びったゃん」
約束通り、3号車の出入り口付近の窓際、鉄棒のあたりで待っていると、背後から柔和な声が聞こえた。これは痴漢なのだから、振り返ってはいけない。私は窓の方を向いたまま、返事の代わりに、ケーイチサンの股間のあたりに触れて見せる。とんでもないものが、すでにとんでもない状態でそこにあることがわかって、まるで電撃が走った気持ちになった。期待で胸がぞくぞくする。そして、今更ながら私のハンドルネームは「びったゃん」だ。
「じゃ、シよっか」
通勤電車の人であふれかえる3号車の片隅で、私たちは準備を始める。決してバレないように。この瞬間もまた背徳的でぞくぞくする。私が長い丈のスカートを履いているのは、挿入部分を見えにくくするため。厚手のマフラーを巻いているのは、声の漏れを少しでも軽減するため。胸が大きくてブラジャーでなくニップレスなのは、お互いが興奮するため……。
普段こういう瞬間、大抵の人間は羞恥心もあってか、ゴソゴソと手間取る。だが、ケーイチサンは手慣れている。見た目はそんなことに一切興味がなさそうな、笑顔がやわらかい、ふんわりとした物腰のサラリーマンにしか見えないが。素早くびったやんのスカートの中に手を差し入れ、パンツをずらして、私の秘所に指を滑らせる。
「あは、すっごいローションつっこんできたんだ。ここに来るまでに漏れちゃうでしょ」
私にしか聞こえないボリュームで、とてもいい声で、ケーイチさんは囁く。耳がぞくぞくする。窓の反射に見える笑顔は一切変わらないのに。
「だって今日、ケーイチサンと、だから」
「ふふ、うれしいね」
私が模している人間の姿はおよそ150cm前後、対してケーイチさんは180㎝。この身長差には理由がある。
「じゃあ僕も我慢できないから、さっさといくね」
それは一瞬。ケーイチサンが私の腰をぐっと掴んで、ずらしたパンツからその怪物を私の中に挿し入れた。
「~~~~~~っ!!」
私は事前に大量のローションを詰め込んできたため当然だ。ケーイチさんの膨らんだ大きなイチモツは、一瞬で私の「奥」に滑りこんだ。そしてその身長差である。私の身体はケーイチさんのそれに貫かれて、足はつま先が触れるか触れないか程度の、まるで宙づりになってしまう。
私はマフラーを押さえて快楽が声にならないように耐える。
「じゃ、がんばってね。声出しちゃダメだよ。」
そう言うとケーイチさんは手慣れた様子でビジネスバッグからなにかしらの本を取り出し、片手で私を固定しながら、素知らぬ顔で本を読み始める。もちろんカモフラージュだが、ケーイチサンのそれはあまりにも冷静で。こちらのナカはきゅうきゅうとケーイチさんのそれを締め付けているのにもかかわらず、ケーイチサンは感じているのかどうかすらわからない。
一方で、ケーイチサンの下半身はゆっくりと、私のナカを出たり入ったりして刺激してくる。
(ああ、きもちいい、きもちいい、もっと、ほしい……)
そんな気持ちすら彼が悟っているのかそうでないのかわからないが、ゆっくり、ゆっくりと確実に私のナカをかきまわしていく。たっぷり入っていたローションがぬちょぬちょと音をたて、ぼたぼたと地についていない私の足元に落ちた。
「あはは、音すごいな。ローション入れすぎだよ。聞こえちゃったらどうするの?」
そんな状況でもケーイチサンは張り付いた笑顔を崩さない。だから、いい。彼は痴漢慣れしている。だから、面倒なことがない。ちんぽが人一倍大きいのも最高だ。
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ
ケーイチサンの腰のスピードがあがる。確かにローションの音が少し大きい。「バレそう」。その背徳感こそが私を快楽のドツボへと叩き堕とす。あぁ、きもちがいい……。
私の大きな胸の突起はとっくに硬くなって、厚手のカーディガン越しにすら浮き出ているのが分かる。気持ちよくて気持ちよくてたまらない、私は思わず、近くの鉄の棒に縋りついた。大きな胸の谷間に鉄棒が食い込む。
すると、すぐ近くに座っていた学生服を着た少年とふと目が合った。コードレスタイプのイヤホンをしているが、少し顔を赤らめて驚いた様子で、こちらを見上げている。恐らく青年には、屹立した乳首のたわわな胸と、顔をひどく赤らめた私が映っているのだろう。ローションの音も、もしかしたら聞こえているのかもしれない。近いし。
私はにっこりと笑って、口元に人差し指を立てて、「ナイショ」と少年に示した。
ぐちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅ!!
そうこうしている間にもケーイチサンの攻めも激しくなっていく。片手でガッチリ身体を押さえられ、力強く、きもちいいところを何度も突き上げてくる。
「ひ……ひぐ……」
「だめ、声出したらだめだよ」
ケーイチサンの甘い声に頭がくらくらする。頭がキモチいいでいっぱいになる。でもこの享楽を、快楽を今まさに味わっているのは私とケーイチサンだけ。これだけ人が出入りする環境だというのに。世界で今一番、頭がおかしくなっているのは私なのだ!
これだから、痴漢はやめられない。
「じゃあ俺そろそろ降りるから終わりね、バイバイ」
ケーイチサンがそう囁くと、ケーイチサンのイチモツがドクンと脈打ち、私のナカにドクドクと粘性の液が注がれていくのが分かる。
(―――ッ!)
声を上げるのを我慢して、がくがくと震える両足を何とか隠すように努めて、私のナカはそれを惜しむように、ケーイチサンのイチモツが引き抜かれた。
床には透明とも白ともとれない液体がぼたぼた落ちたあとがあった。
「じゃーねびったゃん。また今度」
それだけ囁いて、ケーイチサンは颯爽と電車を降りて行った。振り返って挨拶などしてはいけない。これは痴漢なのだから。
そんなことよりも、ケーイチサンの余韻でしばらく僕はくったりとドア越しによりかかってはぁ、とあまい吐息を零した。
(ケーイチさん、たまんないな……)
通う学校もない、ただの痴漢専用の女子高生である私はなんて幸福なのだろう。ケーイチサンのそれが残るあたりにゆっくりと触れ、幸福の舌なめずりをする。
体内構造は人間とほぼ似ていても、遺伝子構造は全く異なる。ゆえに人間における「中出し」をされても、何の意味もないのだ。快楽だけがそこに残る。
(はぁ、さいこーだった)
これだから、痴漢はやめられない。――特に、ケーイチサンとのそれは。
気がつけば再び痴漢アプリを開いている。私は何で地球に来たのだったか。
まぁ、どうでもいいや。
ケーイチサンはサイコパスだと思います。