【マブ】間夫、あるいは間婦。遊女などの情夫、本命の客を意味する。転じて「本当」「真実」、あるいは「深い親愛」を表す。マブダチは「親友」の意味。

 普通以上アイドル未満の高校生、九郎。彼の目の前で、はるか未来の女子高生マチュが「おまんこ舐めさせてあげる」と脚を開いていた。
 九郎は芸能界で接待要員……男の代用品として搾取されていた。女の汚い部分ばかりを見せつけられて傷ついた彼の心を、マチュは誤解なく理解していた。そして助けられた恩返しに、自分の体を投げ出してくれたのだ。

「マチュの味を知りたい。本物の女の子を知りたい!」

 九郎はマチュの脚を広げさせ、パンツを脱がせて彼女のうすしお味を味わう。マチュは初めての口淫に驚きながらも悦び、二人の熱は高まっていく。
 だが絶頂の間際、キラキラの中から赤い巨人が姿を見せる。マチュはそいつを「シュウジ」「私のマブ」と呼んだ。
 マブとは本当、本物、本命。九郎のような代用品とは違う──少年の胸に火が灯り、九郎はマチュにむしゃぶりつく。嫌悪する性のテクニックを駆使してでも、マチュを引き留めるのか。それとも。
 マブって──「本当」って、なんだ?

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 俺はブレスケアとミンティアをかみ砕きながら、ネカフェの明かりを目指して走っていた。どす黒い空から、晩秋の大雨が東京のビル街を襲っている。

 ああ、キモチワルイ。雨もキツイが、何より、自分の口が臭い気がして仕方ない。

 

 今日も、知らないオバさんのマンコを舐めさせられたからだ。ちぇっ、なにが「九郎(くろう)くんは舌までセクシーね」「どうして弱いところが分かるの?」だ!

 俺は業界最大手アイドル事務所の練習生……と言えば聞こえはいいけど、実際はお偉いさん相手の接待要員。要は男娼だ。

 

 事務所の連中は「断れば違約金、いや、下手すりゃヤバい筋から『お呼び』がかかるぞ」なんて脅してくる。俺みたいな高校生のガキには、ホントかウソかも分からない。契約書なんて紙っきれが、こんなに恐ろしいとは思わなかった。

 

 俺はただ、ステージでスポットライトを浴びたかっただけなのに。キラキラの世界に憧れただけなのに。

 ああ、雨で冷えた手足が重い……。

 

 ◆◆◆

 

 ようやくたどり着いたネカフェの自動ドアをくぐる。とりあえずタオルを買って、濡れた髪を拭きながら、空席を探そうとしたときだ。

 

 俺の脳裏に閃光が走る。

 

 店の真ん中あたりで、極彩色の光がキラめいていた。見間違いかと思って目をしばたたくと、光はいつの間にか消えている。

 代わりに高校性らしき制服姿の女の子がぽつんと立っていた。

 

「あれ……え、クラバト、じゃない、何ここ、狭いし臭いし、どこ!? ねえ、シュウジ!?」

 

 女の子が周囲を見回し、デカい声で感情むき出しに叫んで……突然、店の入口へ向かって全力で駆け出す。

 つまり、俺の方へとまっすぐに。

 

「うお!?」

「え!? 邪魔なんですけど顔のいい男とか!」

「騒ぐんじゃねぇよネカフェでJKが!」

「いつのファッション!?」

「どこの学校だ!?」

 

 衝突──しない。女の子はバスケ選手みたいな身のこなしで俺をかわした。緑のスカートから伸びる脚に筋肉のしなやかさを浮かべ、入口のドアへ向かって走りだそうとする。

 

 また閃光。

 俺は少女の手首を掴んだ。

 

「ちょっと、何!?」

「え、あ、えーと」

 

 つんのめった少女がにらみ付けて抗議してくる。ネイティブな発音の日本語だ。ショートの髪が真っ赤で外国人かと思ったが、よく見れば黒髪を赤く染めているらしい。

 どうやら日本人らしいことに安堵しながら、俺は言葉を探した。

 

「その……外に出るなって」

「離してください。通報しますよ」

 

 赤いショートヘアの女子高生が俺をにらみ付ける。……あれ、男っぽい印象だったけど、よく見ると可愛いな。整った顔立ちの中で目がパッチリと開いている。

 まじまじ見ていると、大きな目が徐々にジト目へと変わっていった。

 

「なに、ヘンタイ? てか同い年くらいだよね。言っとくけど、通報したら子どもでも」

 

「待て待て、待てって。外はどしゃ降りだ。無駄に濡れて風邪を引くってチョイスはないだろ? ここで雨宿りしていけって」

 

 自慢じゃないが、俺はカンがいい。この小柄な女子高生がなんの雨具も持っていないことや、そもそも天候について何も意識をしていなかったことが、なんとなく分かったのだ。

 

「は? 予定表じゃ今日は晴れでしょ」

「……? いや、見れば分かるだろ」

 

 自動ドアの向こう、ほんの数メートル向こうでは、大粒の雨がアスファルトを叩いている。そもそも予定表ってなんだ? 

 

「うそ、ホントだ……私、どこにいるの……?」

「……なあ、えーっと」

「なによ不審者」

「違うって。俺、九郎。お前は?」

「ユズ……あ、ううん、マチュ」

「偽名かよ。傷つくだろ」

「教えるわけないじゃん。てか離せって」

「落ち着けよ。ここネットカフェなんだから、とりあえずココアでも飲んで雨宿りを……」

 

 少女がはて? と首を傾げる。

 

「ネット……カフェ?」

「マジ? ネカフェ知らんJK、令和にいる?」

 

 ◆◆◆

 

 その夜、色々あって、俺はマチュのオマンコを舐めることになった。

 

「いや何でだよ」

「声小さくしてよ、周りに聞こえちゃうじゃん」

「むっ……」

「辛かったんだよね? 汚いの舐めさせられて」

「まあうん」

「その気持ちをやっつけたくて」

 

 マチュは壁で仕切られたブースの中、フラットシートで脚を伸ばしながら、歯を見せて笑う。何て言うか、スゴ味があった。やると言ったら絶対にやりそうというか、なにか爆発的なことをしでかし(・・・・)そうというか……。

 

 身の上話なんかして、まずかったかな。こんなの、会って数時間の高校生同士がする会話じゃない。でもマチュが自分の話をしないから、つい俺の方から話してしまったんだ。

 

「やっつけるのが、なんで舐めろって話に?」

「お清めさせてあげる。私のはキレイだから」

「自信満々かよ」

「え、そりゃあ、その、まだ乙女だから……」

「まてまて言うな」

「おかしくないでしょ、女子高生だし」

「だから言うなって」

「そんなこと言って、実は期待してるよね。自分のお金で私を壁の中に入れてくれたクロウはさ」

 

 マチュは見透かしたように笑った。

 まあそうだ。俺は制服姿の女子高生と向き合って座り、ソックスを脱がせたところだった。生で見た踝(くるぶし)やふくらはぎがキレイで、生々しくて、その衝撃で我に返ったのだ。

 

 マチュの脚はすらりと長く、曇り一つない。だけど不思議な脚だ。筋肉のついた活発な感じなのに、傷がほとんどない。日光を浴びたふうでもないのだ。正体を窺わせないというか、まるで、別の世界から来たみたいに見える。

 

 あ、こいつ。もともと短めのスカートを、わざと少したくし上げやがった。

 

「んっ……いきなり撫で回さないでよぉ」

「あっごめん」

「手は正直だね」

「ぐぬ……ごめんて」

「謝らなくていいよ、もっと凄いのするんだし」

「でもさ、俺が出せるのはネカフェ代だけだぞ」

「むー。別にお金のためじゃない」

「それなら良し……いやいや、だからってさ」

 

 まあ、正直、興奮してる。ドリンクバーで潤したはずなのに、喉がもう乾いていた。

 だけど金のためじゃなくても……こんな子に、自分を粗末にする性行為をして欲しくない。

 

「それだよ、それが理由」

「なに?」

「私を可愛い、大切にしたいって思ってること」

「心を覗いてるつもりかよ」

「あ、ごめん」

 

(くそ、しゅんとした顔するな。抱きしめたくなるだろ)

 

 そう思った瞬間、マチュが照れたように笑う。

 ふっと音が止んだ。満席のネカフェを満たす喧噪も、安普請の建物を叩く雨音も消え、マチュの心だけが聞こえる……そんな錯覚が俺を満たす。

 

(私もクロウを抱きしめてあげたい)

(こそばゆいんだよ、そういうの)

 

 なんでかな。この子とは、分かり合えているという感覚がある。こんなこと、親ともなかった。友達とも、事務所の仲間とも、もちろん今まで「接待」した女たちとも。

 

 マチュが初めてだ。

 

 いつも俺が一方的に分かるばかりで……女たちは、それをセックスを盛り上げる道具として使うばかりで……。

 なのに、マチュは分かってくれるんだ。

 

「私、思ったんだ。クロウは本物の女の子を知らないから、本物の空を知らない私と同じだって。だから、私を舐めさせてあげたいって」

 

(本物の、空……?)

 

 考えを巡らせようとした瞬間。

 ぽふん。

 俺は、マチュに抱き寄せられていた。腰が抜けたような情けない格好で、スクールセーターの胸元に顔を埋めさせられている。

 

「……意外とさ、その……あるでしょ?」

「ぉ……う、ぅん……」

「感じて。これが私。クロウに感じてほしい」

 

 ふわり、心が浮き上がる。あるいは落ちたのだろうか。なんとも判然としない浮遊感は、目まいにも似ている。

 俺は恍惚となって、マチュに体重を預けて、制服姿の女子高生をシートに押し倒していた。

 

「ねえ、私から、聞こえるよね」

「……おう。ドッキドッキって……」

「暖かさは?」

「服、脱ぎたいくらいだ……」

「もう……触り心地は?」

「柔らかいのに、押し返されて、気持ちいい」

「ん、んん……匂い……どうかな……」

「ミルクみたいで……のど、乾いちまう……」

「んふ、ふぅ、ふぅ……じゃあ……味は?」

 

 それは分からない。乾いた口の中には、マチュの体臭しか忍び込んできていない。俺の汗臭さを混ぜるのが申し訳なくなるほど、甘いにおいだ。

 大本となるマチュの体は、どんな味がするんだろう。ましてや、それが一番大切な所なら……。

 

「確かめて。時間……あるから」

「時間……いつまで……?」

「たぶん、私のマブが迎えにくるまで……かな」

 

 マブ……マブダチのことだろうか。

 それとも男? 

 自分の発想が不愉快で、俺は顔に力を込めた。

 

「ぁ、顔こすりつけて、あ、んん……えっち」

 

 意外と大きな胸の柔らかさを堪能してから体を起こす。仰向けになったマチュの膝に手をかけると、彼女は顔に両手をあててもじもじ(・・・・)とした。

 

「な、舐めるだけね。入れたりしないでね」

「ああ、しない。キスは?」

「ゃっ……し、したことないから、ダメ」

 

 唇の前で小さくバツを作る。可愛いなクソ。

 ふーっと、俺は熱した息を吐く。スカートの中に手を入れ、ウエストのゴムに指をかけた。

 

「脱がすよ」

「うん……」

 

 マチュがお尻を少し浮かせた。子どもみたいに体温を高めている。

 脱がせた下着は、知らないブランドのボクサーパンツだった。色気はないが、この子らしいと思わせる。湿り気があるが、不潔な感じではない。匂いだけが濃く染みついていた。

 

「嗅がないでよぉ」

「わざとじゃないって。いい匂いだから、鼻が」

「ひくひくしてるじゃん……」

 

 俺は犬のように這いつくばった。木の壁に囲まれた小さなオリの中で、スカートを乱した女子高生の股間に顔を突っ込み、匂いのもとへと近づく。

 間近にある女の子の太ももには、うっすらと汗が浮いていた。

 

「……」

「……」

「……ねぇ、なんか言ってよぉ……」

「いま、感動してる」

「な、なんで?」

「きれい、だから……」

 

 そう。初めて、乙女の園を見たからだ。

 

「すごいぞマチュ、すごく君らしい」

「うー、なにそれぇ」

「真っ直ぐで、ありのままで、汚れてないんだ」

「ぁう、ううー」

「乙女って、こんなに美しいものなんだな」

「あぅウウ」

 

 頭上から、羞恥でたまらなそうな声がした。M字に開いた脚がゆらゆら揺れる。

 マチュの秘裂は、ひとすじの割れ目だった。谷間は暗く、底の赤みが見えない。茂みの長さはバラバラだけど、庭園のように全体で調和している。

 

「ほ、他の女の人とさ……比べて……どう?」

「は? 比べものになるもんか。こんなにきれいなの、俺は生まれて初めて見たんだから……!」

 

 抑えたつもりの声が上ずる。ぺちぺち、マチュが頭を叩いて抗議してくるので、俺ははっとして口をつぐんだ。

 

「ばかぁ。ばれて、見られたらどうするの」

「ごめ、マジごめん。静かにする。静かに……」

「はぅ、その距離で喋らないでぇ……」

「静かに見るよ、静かに……マチュのここ、他の誰にも見せたくないから……」

 

 食い入るように視線を注ぎながら、吐息で撫で……抑えきれない感動を、切れ切れの声で訴える。

 マチュは、羞恥にもだえ……少しずつ、大切なところを潤わせ始めた。朝露を浴びた花園のように、生命の輝きを示している。

 

「マチュ」

「なに……」

「キラキラだ。マチュのオマンコ、キラキラだ」

「ばか、あほ、死んじゃえ」

 

 またぺしぺしと叩かれる。でも気にならない。マチュと同じように、俺も興奮している。それも、ものすごく、だ。この子を濡らす液体を味わいたい、味覚で存在を確かめたいと、心の底から願っている。

 

「あ、だめ、待っ……」

 

 ぶちゅり、と、俺は唾液をたっぷり出しながら口いっぱいに吸いついた。

 マチュは、自分の口をぱしっと押さえたようだ。

 

「っ~~~~!」

 

 くぐもった声が、満席で騒がしいネカフェのブース内を満たす。マチュは恥ずかしさからか、腰をぐねぐねと揺すった。

 

「…………っ、ぅ…………!」

「ん、む、ふぅ、すぅぅ…………れろっ」

 

 マチュはうすしお味だった。甘みはなく、舌触りはさらりとして、澱みや穢れのないストレートな辛口。

 それでいで芳香は濃い。俺をうっとりさせる蜂蜜のような香りが鼻腔を満たし、脳を酔わせる。

 

「ぴちゃっぴちゃっ……れろっ、ずずっ……」

「…………! っ、っ、……!」

 

 女子高生の秘所全体を、ゆっくり、大きく舐め回す。太ももの付け根、入る穴と出る穴の間、肌色の肉ビラをぐるぐる舐めて、吸い取り、味わい、飲み下す。二回、三回、四回、五回……。

 

 ああ、マチュってうまい。なんで、たかが体液がこうまで美味しいんだろう。量も多いし……それに、女の子の門も充血し、ヒクついて、ピンク色を見せ始めている。いくら俺が女慣れしているからといっても、まだ舐め始めて数分なのに。

 

(相性がいいってことか? 俺たち、運命……)

 

 そう、思ったときだ。

 俺の脳裏に閃光が走る。

 キラキラの宙(そら)に、赤い巨人が見えた。

 

『帰ろう』

 

 巨人がマチュを呼ぶ。少年の声だ。

 

「あ、シュウ、ジ……?」

 

 マチュが細い声で男の名を呼ぶ。口を抑えていた手を放し、宙(そら)にさまよわせる。

 頭がカッとなる。俺はマチュの両脚を肩に載せ、舌で秘裂を探った。

 小豆ほどの突起がある。

 

「ひっ……そこは……!」

 

 マチュは慌てて口を押さえた。キラキラの宙(そら)と巨人は消え、俺たちは再びネカフェの狭いブースへと魂を引かれる。

 

 ぢゅっ、包皮の上からマチュの突起を吸う。

 ビグ、と腰全体が大きく震えた。俺の肩に乗っている脚もそうだ。多分、つま先までピンと伸びているだろう。

 

「ん゛……! ん゛……!」

 

 マチュはシートの上で思い切りのけ反っていた。仮眠用の古い枕を渡してやると、すぐさま顔をうずめる。はー、はー、と何度も荒く息を吐き出した。

 

「ぁ、ぁ、ぁ、ぁ……」

 

 この、たぶん宙(そら)の彼方から来た女子高生は今、イキかけだ。腰を揺すり、脚をピンと伸ばし、熱く息を吐きながら、とどめを刺されるのを待っている。

 俺を求めている。あの巨人よりも、俺を。

 

(落とす)

 

 そのためには、多点責めだ。

 

 ひとつ、色も形も桃のようになり始めた秘部にびっちりと口で吸いついて、粘膜の浅いところをびちゃびちゃ舐める。

 

 ふたつ、鼻を使って小豆大の突起を刺激する。敏感なところを傷つけないよう、包皮の上から鼻先でぐいぐいと押す。

 

 みっつ、あごで割れ目の下、お尻の穴に近いところをこする。すでに愛液まみれで、にゅるんとした心地よい感触を伝えてくる。 

 

 首と舌をたっぷり動かして、俺はマチュの秘部全てを嬲った。顔に感じる粘膜が熱い。ブースの中がサウナみたいに感じられる。

 

「~~~~っ! っ! っ! ゃ、ぁ、っ!」

 

 泣くような声。しなやかな脚が暴れる。

 でもまだまだ。こんなくらいでは、絶頂させても浅いオーガズムにしかならない。逃げ場無く、体の芯まで快楽電流を味わわせてやらなくっちゃあ。

 

 よっつ、脚を押さえていた手を伸ばし、スクールセーターの胸元を探る。C……いや、アンダーが細いから、CよりのDカップか。多分スポーツブラのようなものをしているはずだ。

 

 発育のいい乳房を揉みしだく。柔らかい桃をつかむくらいの力でコネて、円をえがくようにして揺する。そうやって快楽を予告しながら、先端を探した。

 

 きゅ、と指先で挟むと、彼女はまた、腰を左右に揺すりだす。枕で視覚を遮っているからか、腰つきに恥じらいがない。緑のスカートをあられもなく乱し、男にしゃぶられる下半身をうごめかせる。 

 

「じゅるる、びちゃっ、じゅるるっ」

「ぅんっ、ぅ゛っ、んん゛っ、うんっ」 

 

 俺は全身を汗びっしょりにしながら、溢れるうす塩味をすすり、乳房をあやして乳首を甘やかし、絶頂寸前の状態をしばらくキープしてやった。

 マチュは枕を顔に押しつけたままうなり、イヤイヤするように首を左へ、右へと振り続ける。

 

 やがて、熱い液体が圧力をともなって迸った。マチュの膣内が収縮しているんだ。あとは少し焦らしてやれば、思考までジャックできる。

 十分に充血した突起の上で、舌先をそろそろと動かす。包皮の上から、優しく撫でるように……。

 

「ん……んん゛っ……」

 

 マチュがじれったそうに腰を揺するけど、俺はまだ動かない。舌先で敏感な部分をなぶる。唾液をたっぷり出して、派手な音をさせつつも強くはせずに。マチュの視覚と聴覚を、俺が占有する。

 

「ぅ……ぁ……あ……」

 

 マチュは腰を浮かせ、俺の口に秘部を押しつけてきた。だけど無視。あくまで優しく、丹念に責め続ける。

 

「ん……んん……」

 

 もどかしそうに腰がくねる。また愛液が溢れてきていて、舌に甘みが乗る。たぱぱっと放出される液は粘度を増していて、マチュが切ない疼きに支配されているのを教えてくれた。

 

「あ……ぁ、ぁ……」

 

 ああ、恥ずかしいよな。スカートをぐしゃぐしゃにして、ほかの人がいるネカフェで男におまんこペロペロされて……それで自分から腰を浮かせて、お尻まで愛液垂らしてるんだから。

 

「ん、ん゛……ぅ……」

 

 マチュが腰を揺すりながら、枕から顔を離す。じっとりした半目、でも、うるうると光る瞳が俺を射抜いた。

 

「クロウ……」

「マチュ」

 

 ささやき声に答えてやると、マチュはこくこくとうなずく。

 十分だ。この子の頭が俺にイカせてもらうことでいっぱいなのが、手に取るように分かった。

 

「ん……んんっ」

 

 ぬる、と舌先で突起をくすぐる。マチュの腰がびくつく。快楽に緩みきった女子高生の肉体が、もっとして、と俺に媚びている。

 

(落ちろ!)

 

 クリ包皮の根元を甘噛みして、敏感な中身を吸い立てる。

 

「~~~~っ」

 

 マチュの全てが引きつった。

 

「ぁ、ぁぁぁ~~………………♡」

 

 枕の下から、だらしのない声。びっく、びっく、と腰が大きく上下し、やがてくたりとシートに落ちる。

 俺は口を拭いながら、ゆっくりと体を起こした。彼女の脚を肩から下ろし、小柄な体の隣に寄り添う。

 

「はー、はー、ぁ……はー、はー………………」

 

 枕をずらして、マチュが朦朧とした顔を見せる。酸欠になっていたのか、顔中を真っ赤に染めていた。

 何か喋ろうとするのを制し、軽く抱擁する。

 

「ぁ、ぅ……」

「ゆっくり息をして。……そう、上手」

「はー、ぅん、すぅぅ……」

「よしよし、頑張ったな」

「んぅ……ゃ……」

 

 耳をくすぐると身をよじるが、構わず首筋をたどり、頭を撫でる。マチュはくすぐったそうに首をすくめながらも、俺の胸に頭を預けてきた。

 ……落ちてる。

 

 経験上、ここで唇にキスしてやればイチコロだ。エクスタシーの中でするアフターキスには、男慣れした年増女だって虜にする魔力がある。どう見たって乙女のマチュを手玉に取るなんてわけない。

 

「ふー、ふー、ふー……」

 

 マチュの呼吸が落ち着いてきた。俺は彼女の顔を上げさせ、唇を近づける。

 

「はー、ふー、んふ……」

 

 まぶたが半ば落ち、どこか遠くを見ているかのようなマチュは、迎えるように、ちょっとだけ口を開いた。

 

 分かってんのかな、こいつ。もしも俺がピンク色の唇にキスしちゃえば、それでもう、お前は寝ても覚めても俺のことばかり考える女の子になっちゃうんだ。言われるがままに金でもなんでも差し出して、都合のいいオナホ扱いされて……。

 

「なあマチュ」

「……ぁ、ああ……クロぉ……」

「……ありがとう、オマンコ舐めさせてくれて」

「へ?」

 

 汗まみれのおでこにキスしてやると、マチュはぱちぱち瞬きした。

 

「へ、あ……?」

「マチュのおかげで、女の子のオマンコはすごく素敵なものだって思い出せたよ。ありがとう、俺なんかを慰めてくれて。マチュは優し……あだっ」

 

 頬をつねられる。それも照れ隠しで軽くとかいうレベルじゃなく、ジト目のマチュに思いっきりつねられている。

 

「ムカつく。なんで、したいことしないの」

「い、いやだって、分かるだろ」

「そんなの全然カッコよくない。悔しくないの」

「そりゃあ」

 

 マチュには帰る場所がある。待っている「マブ」がいる。最も大切な場所に触れさせてもらったのに……こんなに悔しいことはない。

 

「だけど、俺は男なんだ」

「やめなよ、自分を傷つけること言うのは」

「男の形をしてるだけの、セックスの玩具じゃない。本物の男だって思いたいから」

 

 マチュはジト目のまま、つねっていた指を離した。代わりに、すりすりと撫でてくる。

 

「今どき男とか女とか流行らないよ」

「昔も今も、未来も、一緒だろ」

「ダサっ」

「う、うるさいな」

「……はぁ。もう出ようか」

「え?」

「雨、止んだみたいだし」

 

 マチュが天井を指さす。安普請の建物を叩いていた雨の音は、もう止んでいた。

 

「あ、ああ」

 

 俺は慌てて身支度を整える。スマホの時計は、朝六時を表示していた。

 

 ◆◆◆

 

 ブースの料金を払って外に出るとき、マチュが自動ドアの前で立ち止まった。俺の方を振り向いて、「あのさ」と口を開く。

 

「雨、止んでるよね」

「うん」

「どんな空が見えるんだろ」

「青空だろ?」

「本物?」

「……? 偽物の空なんかないだろ」

 

 女心と秋の空……だったか。昨日はどす黒い顔を見せていたけれど、今はきっと、無垢で穏やかな青空が見えているに違いない。

 

「ふーん……そっか。そうなんだね」

 

 マチュは俺を見つめたまま、グッと身を沈める。緑のミニスカから伸びる脚に、力が込められていくのが分かった。

 大きな瞳がキラキラしている。それこそ青空のような曇り一つない輝きが、まぶされたように光っていく。

 

「───クロウ!」

「な、なに」

「君がしなくても! 私はしたいことをさせてもらう!」

 

 飛び出す。マチュは青空が待つ外に背を向けて、俺の胸へまっすぐに踏み出した。

 

「うおっ」

 

 俺は見蕩れていた。躍動感あふれるマチュの走り、目の前をぶち抜くように伸ばされた小さな手───ギュッとつむった瞼(まぶた)の震えと、突き出された唇。

 そして、現れた時と同じように、マチュは唐突に消えた。極彩色の光だけを残して、俺の前から。

 

「は?」

 

 俺は間の抜けたキス待ち顔を虚空に突き出しながら、呆然と立ち尽くしていた。

 

 

 ◆◇◆◇◆

 

 風の音が耳を裂く。飛行機のドアが開いたんだ。

 視界に広がる青空に、俺は歓声を上げた。

 

「キラキラだ!」

 

 アクションカメラの固定を確認し、インストラクターの合図を待ち──勢いよく宙へ飛び出す。

 遠ざかっていく機体に手を振ってから、俺はぐるりと地上へ向き直った。ゴーグルの向こう、雲の間に、地上の姿を確認する。

 

「ははは! 見える! みんな小せぇんだ!」

 

 落ちている。俺は重力に引きずられている。

 でも飛んでいる。俺は本物の空を飛んでいる。

 自由だ。

 

「マァァァァチュ!」

 

 腹に力を入れて、叫ぶ。

 

「俺が見えるか、聞こえるか!? 君はこの空を見てるのかぁぁぁ!?」

 

 加速する重力の中、白い雲がキラキラと砕けて広がる。地上なんてまだ遠い。マチュが見てても、聞いてても、伝わりゃしない。返事なんかあるわきゃない。

 分かってる。もう二度と会えない。

 

「もう一度! 君のオマンコを舐めたぁぁい! 

 君を! 俺の『マブ』にしたいんだぁぁっ!」

 

 こんなこと叫ぶの、おかしいよな。変だよな。

 

「それでもさぁ! 好きなんだよなぁぁぁぁ!」

 

 やがてパラシュートが開き、ふわりと舞い上がる感覚に変わる。ぐるりと見渡せば、涙の中で太陽が笑っていた。

 

 ──この時の動画をYouTubeに投稿しちゃったのは、まあ、やっぱ、ちょっと、俺はおかしくなっていたんだろう。ああ、もちろん「バカスww」「キモッww」て笑われたよ。

 

 でもバズった。めちゃくちゃ入ってきた金の力で、俺は事務所を脱退した。気づけば「スカイダイビング系YouTuber」として、それなりにキラキラした世界を手にしていたんだ。

 

 それでも、空を飛ぶたびに熱い液体が頬を伝い、口の中に入ってくる。あーあ、こんな塩っ辛いのより、俺はマチュのうすしお味を舐めたいんだけどな。

 

(了?)




読んでいただき、ありがとうございます。お気に入りや評価いただけて、励みになっております。
ノーマークだったマチュが可愛すぎたので大急ぎで書きました。
皆さんもう見ました? 見てない? じゃあすぐに劇場へいった方がいいですよ!

Pixivにも投稿しています。向こうでもブクマもらえると嬉しいです。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23891143

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