※この作品はR-18です。

Lily EP2 ~黒濁の海に沈んだ王国~   作:YU-GO

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第20話 ~アウストリアの逆鱗~

全ての元凶、ダゴン。今海底神殿では、ダゴンの邪気によって凶暴化した人魚達が一斉に襲い掛かり、ジャック達はそれを迎撃をしていた。

 

そして、その奥では、白百合の女騎士と神眼の剣士が互いに武器を取って構えながらダゴンを強く睨みつける。

 

ダゴン「クハハハハ…まさかこの我を倒せるとでも?それは無意味な事よ。」

 

ダゴンはとぐろを巻いたままリリィとテオを見下している。

 

リリィ/テオ「………………」

 

二人は動かず、その場で構えを取り続けている。

 

ダゴン「……………………」

 

ダゴンも二人を見下しているのか、微笑んでいるのかわからないまま様子を見続けている。

 

テオ「………………ッ!!!」

 

長い沈黙の中、先に動き出したのはテオの方だった。テオはダゴンの身体に斬りつけようとするも、ダゴンの憑依体であるラギアクルス希少種の肉質は硬く、テオの攻撃が弾き返される。

 

ダゴン「無駄な足掻きよ。この肉体は余りにも心地良く、それに闇の力すらも出せる様になっておるのだぁ!!!」

 

ダゴンは闇の電撃を帯びた尻尾でテオを攻撃した。

 

『バチィィィ!!』

 

テオ「ぐああっ!!」

 

リリィ「テオ!!」

 

リリィはダゴンの攻撃によって吹き飛ばされたテオを助けようとするが、ダゴンの攻撃にいち早く気づいて、その攻撃を避けた。

 

イリス「デュランと同じか…いや、それ以上の戦闘力なのか…?」

 

ダゴン(ふむ…白百合の女騎士とやら、何やら髪の色が紅い様だが…まさか、黒犬とやらに敗れて、凌辱を受けた哀れな姫騎士のイリス・アルケーディアだった様だな…今やその姫騎士は戦霊となりて、リリィに憑依して力を与えておるのか…)

 

ダゴンはそれを考えながら、リリィの攻撃を防いだ。

 

ダゴン(戦霊…まさかセシルとやらも、いずれは戦霊へと転生する…か…なんとも厄介な存在よ…)

 

リリィ「てりゃああぁぁぁ!!!」

 

『ガキィン!!!』

 

ダゴン(だが、今は戦闘に優先すべきだな…!)

 

◇◆◇

 

アイリス「お姉様…起きて…起きてください…」

 

ボタリカで姉のミレイユと合体し、アレイスへとなっていたアイリスは、ボタリカが崩れ落ちて、分裂して戻っていた。だがミレイユは白目を向いたまま気を失っていた。

 

アイリス「どうして…どうしてこんな事に…全てが、あのダゴンっていう奴によって…!!」

 

アイリスはダゴンを憎んだ。ヴァンクラッドにやられた事を、クラーケンにやられた事も、そしてシュトロム、いや、彼も含めて、あの善意があったヴァンクラッドもアウストリア王国と自分の運命を狂わした元凶が、目の前にいる事を。そしてその元凶に立ち向かっているリリィとテオを見て、アイリスは無力さを感じた。

 

アイリス「私は…私はどうすれば…!!」

 

 

???『何勝手に絶望してやがるんだぁ!!!?アウストリアの姫さんよぉ!!!』

 

 

アイリス「!!?」

 

アイリスは何者かの声を聞いた時、辺りを見回りした。だが周囲は、ジャック達が人魚達を迎撃している光景だけで、ダゴンに立ち向かうリリィ達にも見えた。

 

アイリス「だ、誰!?」

 

???「今目の前にいる。お嬢の前にな!!!」

 

アイリス「………!!!?」

 

アイリスの目の前にいたのは、ヴァンクラッドに類似した霊だった。

 

アイリス「ヴァ、ヴァンクラッド…!?」

 

ヴァンクラッド(善)「そうだ。俺が真の大海賊のヴァンクラッドた。だが、アンタが知ってるヴァンクラッドとは違え。ダゴンに狂わされる前の俺だ。」

 

アイリス「じゃあ…なんで…君が…ここに?」

 

ヴァンクラッド(善)「俺にもわからねえが、気づいたらお嬢の前にいてな…それに今は長く語る暇は無え所だ。」

 

 

ダゴン「グハハハ!!どうしたぁ!?」

 

『バチィィィィン!!』

 

リリィ「きゃあああ!!」

 

テオ「がああッ!!」

 

 

アイリス「リリィ…テオ…!!」

 

ヴァンクラッド(善)「お嬢の秘められた力を解放してやれ…アンタの…アウストリアの力をな!!」

 

アイリス「……………ッ!!!!」

 

ヴァンクラッドの声を聞いたアイリスは、涙を拭きながら立ち上がり、内なる力を解放した。

 

するとその背後には、アウストリア王国の者達が霊の姿として現れ、アイリスに力を与えた。

 

「姫…!」

「姫様!!」

「船長!!」

「お嬢!!」

「アイリス…!」

「アイリス姫!!!」

 

アイリスの頭から多くの声が聞こえた。

 

ヴァンクラッド(善)「思う存分…元凶であるダゴンのクソ野郎をぶっ潰してやれ…!!立ち向かっている戦士と共にな…!!!」

 

◇◆◇

 

リリィ「くっ…!!」

 

テオ「ちっきしょ…!!」

 

ダゴン「グハハハハハ!!どうした?さっきまでの威勢は何処へ行った?」

 

リリィとテオは、ダゴンとの戦闘で疲労していた。それに対してダゴンは余裕があり、二人を見下している。

 

ダゴン「大したものよ。ここまで我の動きについて来た事を。だが、それも終わりを告げる。」

 

ダゴンは全方位帯電攻撃の準備を取り、リリィ達に止めを刺そうとした。

 

ダゴン「闇の化身である我に逆らった事を後悔し、そして深きものである我に殺される事を光栄に思え。ちっぽけな下等生物どもよ!!」

 

テオ「姉さん…みんな…済まない…!!!」

 

テオは敗北と死を覚悟して目を瞑った。

 

 

『こんな所で…諦めるんじゃない!!!!』

 

 

謎の一閃がジャック達を襲う人魚達を襲い、周囲の人魚達を葬った。

 

そして、超帯電攻撃を準備していたダゴンもその攻撃を受け、攻撃は妨害された。

 

ダゴン「な、何事だあ!?」

 

ジャック「何が起きたんだ!?」

 

ガレオン「わからへんでぇ!!」

 

クラリス「あ、あれ!!」

 

ジャック達はクラリスが指を刺した方角を見ると、水色のオーラを纏った女海賊、いや、女義賊が舞い降りた。

 

◇◆◇

 

ダゴン「貴様…何者だ。」

 

アイリス「我が名はアウストリア。アイリスでは無い者。私は貴様を倒す者!!」

 

リリィ「アイリス…!?」

 

テオ「この姿…それにこのプレッシャーは!?」

 

テオは不思議に思った。今までの疲労が抜け落ちていき、再戦可能な状態へとなっていた。

 

 

ジャック「な、なんだ…この神々しくも威圧なプレッシャーは…!?」

 

ガレオン「まるで、覇王色の様なオーラやけど、どっか神聖さがあるで…(汗)」

 

ルカ「覇王色…知らない名前だな…」

 

 

ダゴン「ほお…この力で我を葬る気か。面白い。こっちもその力を解放してやろう。」

 

ダゴンはそう言うと、アイリスが纏うオーラとは異なるオーラを放った。その色は青くも黒く、禍々しい色をしていた。

 

 

リリィ「アイリス、私も戦うわ。」

 

テオ「僕も同じ想いだ。アイツを倒すのを。」

 

アウストリア「リリィ、テオ…ありがとう…!!」

 

 

ダゴン「仲間を連れてか…まあ良い。全員纏めて掛かって来るが良い!!!希望がどれほど絶望の前では無力なのかを!!!」

 

 

アウストリア「これが最後の戦い…!!行くよ!!みんな!!!」

 

リリィ「ええっ!!」

 

テオ「ああっ!!!」




topics
アウストリア
アイリスが覚醒した姿。その姿は神々しく、アウストリアの逆鱗そのもの。ヴァンクラッド(善)とアウストリア王国の者達の想いが、彼女が覚醒する鍵となった。

ヴァンクラッド(善)
ダゴンの宝玉によって狂わされる前のヴァンクラッド。元々は勢いと豪快さで全てを解決する仲間思いの大海賊。本来彼がイメージしていた海賊王国は、海賊の海賊による海賊の為の王国だったという。

精神だけが生きており、ダゴンに対しての憎悪が強かったが、何かしらの影響でアイリスの前に現れ、彼女に力を与えた。
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