光が届かない闇に包まれた海の中で、海の底へ潜水してゆく巨影があった。その巨影の正体は、潜水モードへと移行したナグルファル号だった。
ナグルファル号・船内
日菜「凄い…まるで潜水艦の様に海の中へ潜ってるよ…!」
日菜は目を輝かせながら窓辺にくっ付いていた。
ドリータ「いやいやいや。そんなに窓辺にくっ付いても、真っ暗で魚やら海の生き物やらが見えんぞ(汗)」
アストリット「海の中へ潜るのは、初めてよ。」
戦霊達「同感。」
アストリット達、霊界の戦霊達からにしては、海の中へ潜るのは初めてだった。
ルカ「この音はなんだ?」
バルト「ソナーだ。水中における音波を利用して、物体や深さを探知する装置の事だ。」
クレア「凄い技術ですね…」
クラウス「リリィ達がいる世界では、こんな技術があるのですか?」
クラウスは、クレアの肩の近くで海軍帽子を被る頭蓋骨の姿のままカタカタと喋っていた。
クレア「こ、怖いですよ…骸骨が近くてカタカタと…(汗)」
クラウス「す、すまない…クレア…」
クレア(なんで私の名前を知っているんだろう…?)
団長「ソナーの様子はどうだ?」
「まだ反応がありません。」
「微かに反応しますが…」
ジャック「近づいてきてるって事か。」
カレン「サン・テミオンって、もっと海の底なんでしょ?大丈夫なの?」
ドリータ「まあ安心せい。この船はどれだけ深海へ潜っても、潰れる事は無い。」
どんどん黒濁の海へ潜ってゆくナグルファル号。するとその時、ソナーが反応をキャッチした。
「強力な反応をキャッチしました!!」
テオ「ようやく着いたのか…!!」
ガレオン「結構長かったで。」
ナグルファル号はついに黒濁の海に眠るサン・テミオンに到着した。
その頃…
「報告いたします!!先日、我々が襲撃して来た戦艦が、このシュトロム神殿にあるサン・テミオンに到着した模様です!!」
シュトロム「ほぉ、今度はあっち側が襲撃して来たのか。」
オリヴィア「またあのガレオンとやり合えるのか!!血が騒ぐな!!」
オリヴィアはガレオンに敗れた屈辱を晴らす為に両手をバシバシと鳴り合わせた。
シュトロム「オリヴィア…其方の気持ちはわかるが、案ずる事は無い。」
オリヴィア「どういう事だ?」
シュトロム「あやつらが直でこの神殿を探そうとも、無意味だ。どこにあるのかはわからん。」
ミレイユ「つまり幻覚で、姿を消しているのか…」
シュトロム「ご明答…この神殿はミラージュバリアによって姿を消しておる。」
シュトロムが言う通り、海底神殿はミラージュバリアによって姿を消しており、何事も無かったかの様になっている。
シュトロム「あの戦艦が余の王国を探すのを苦戦している時に急襲を仕掛ける。そうすればあの戦艦は長期戦の果てに呆気なく轟沈する。」
アイリス「や、やり方が…ヴァンクラッドに似てるけど…(汗)」
シュトロム「アイリス、余の事をあやつと一緒にするのでは無い。」
アイリス「っ!!す、すみません!!」
シュトロム「よろしい。(そして、あの大海賊よ…余にチャンスを与えられた事を感謝するんだな…)」
一方その頃…
リリィ「海賊王国の在処を示すアイテムは、この奥の様ね。」
リリィ達は、海賊王国の場所を示すアイテムがあると言われている海賊港に足を踏み入れていた。
この海賊港は、王国設立前後ぐらいから、近海の海賊達が使っていたという。昔からの慣例で港内での殺しはご法度となっていたという。
だが今となっては、黒濁の海によって沈められた廃墟と化している。それよりも彼女達が驚いたのは…
リリィ「海の中なのに、息が出来るわね。」
カレン「魔法の海なのかな?自由に泳げるし、まるで人魚になったみたい。」
ジャック「しかし、地上よりも軽くなっていて、吹き飛ばされた時に受け身が取りにくいな…」
現在、海賊港の中へ進んでいるのは、リリィ、カレン、ジャック、ガレオン、そして戦霊のイリスとレオナの2人と2機と2体の合計6体のパーティである。
ガレオン「洞窟の中、こんな街があったのは驚きやで。」
カレン「昔は海賊達がここで暮らしていたんだね。」
カレンは歩くよりも泳いで行った方が早いと思い、スイスイと海賊港の奥へ進んで行った。リリィ達も負けず、カレンと同じ様に海賊港の奥へと進んで行く。
「キシシシ…!!」
岩陰から、海賊タイプの武装人魚達が現れた。
リリィ「ッ!!」
ジャック「やはりこの海賊港も、奴らの根城となっていたのか!!」
ガレオン「物騒な人魚やな!!ホンマに!!」
リリィ達は複数現れた武装人魚達に立ち向かった。
そして、この海賊港の奥深くには、巨大な錨の様な武器を持つ亡霊海賊がいた。
亡霊海賊「グルル…グギギギギ…!!」
亡霊海賊は歯軋りしながら苛立っていた。
『あの魚人野郎…いつかはぶっ殺して、海賊王国を再建してやる…!!!』
と、亡霊海賊は苛立ちながらリリィ達が来る事を待っていた。