同性でありながら彼女に恋をしてしまった王子の従者、森人のリゼは強引な手でイーファを奪い取ることにした。
主人であるセイカが不在の隙に少女の純潔を奪い──。
彼女を独り占めにする準備を経て、後宮の秘密部屋にイーファを閉じこめて──。
※Pixivリクエストにて執筆したものです
思い返してみれば、運命の出会いだったのだろう。
森人(エルフ)のリゼはアスティリアという国の第一王子に仕えている。
アスティリアは別の国、ウルドワイト帝国の属国であり──リゼが出会った『彼女』は帝国にある学園からやってきた少女だった。
イーファ。
耳こそ森人の特徴と異なるものの、精霊を視る目は森人の血によるもの。
美人の多い森人の血か、彼女もまた整った容姿をしており──リゼは一目見た時から彼女に親近感を覚えていた。
後から思えば、親近感だけではなかったのだ。
リゼはアスティリアの後宮出身。
後宮と言っても、今は才ある女性の学びの場。言わば人材育成機関なのだが、第一王子セシリオの結婚相手を探す目的があるのも事実で。
そんなリゼが、まさか──同性に恋をしてしまうなんて。
「……イーファ」
自覚してしまえば、想いは募るばかりだった。
可憐な容姿。
健気で、心優しく、真っ直ぐな気性。
微笑んだ際の、ぱっと花が咲いたような心安らぐ印象。
そのどれもがリゼの心を癒し、惹きつけた。
彼女と共にいられたらどんなにいいだろう。
幸い、イーファは王子セシリオにも気に入られていた。
リゼは率先してイーファを勧誘した。
後宮に入り、安定した環境に身を置かないかと。
──しかし、返答は芳しくなかった。
彼女は主のことを気にしていたのだ。
イーファの身分は『奴隷』だった。
主人はセイカ・ランプローグ。
帝国貴族の出身で、常人とは異なる才と気性を有した少年だ。
リゼは、セイカのことがどうにも好きになれなかった。
イーファを奴隷としているから、だけではない。
彼の周りには『精霊』が寄り付かない。
彼を恐れ、避けているからだ。
精霊が見えるリゼには当たり前の事実で──だからこそ、セイカを警戒せずにはいられなかった。
そして、同じく精霊の視えるイーファが、セイカを慕っている事実が信じられなかった。
どうしたらいいのだろう。
事態は差し迫ったところまで来ていた。
王子が「イーファを買い取る」と──つまり、奴隷の身分から解放すると宣言してもなお、イーファは首を縦に振らなかった。
少々困った性格の王子だ、まだ諦めてはいないだろうが、このままではイーファを手に入れられないかもしれない。
彼女が王子の妻となれば、リゼもまた傍にいられる。
それがどうしても叶わないというのなら。
「……私自身が、イーファを手に入れる。それしかない」
今日から数日、セイカは外出予定となっており、おそらく戻ってこない。
これを好機と、リゼは使用人に命じてイーファの分の食事に薬を盛った。
少量の眠り薬。
眠気を覚えた少女は宛てがわれた部屋で一人休み──リゼの来訪を拒む者は誰もいなかった。
◇ ◇ ◇
イーファは上等なベッドですやすやと寝息を立てていた。
こうして見ても、やはり美しい。
より血の濃いリゼでさえも見惚れるほどだ。
聞けば、過去にランプローグ家の人間から身体を求められたこともあるらしい。
それとなく聞き出した時のことを思い出して──リゼは抑えきれないほどの怒りを覚えた。
「セイカは彼らとは違うらしいが……わかるものか」
男とは、時に己の欲望を抑えきれなくなる生き物だ。
下半身の熱に唆され、いつイーファの純潔を奪わないとは限らない。
こうして夜這いに来ているリゼが言えることではないかもしれないが。
「……違う。私は、純粋にイーファを愛している」
言い訳するように呟き、持参してきた薬を口に含んだ。
すうすうと寝息を立てるイーファの顎に手をあて、口づけの形で薬を流しこむ。
こく、と、喉が鳴るのを見て、リゼは成功を確信した。
薬は胃に到達するとすぐに溶け、薬効を全身へと広げていく。
逆に眠り薬のほうは大した量でもなかったためじきに効果が切れ、傍に人のいるこの状態に少女の意識は覚醒へ向かう。
するとどうなるか。
「ん……っ、あれ、わたし……」
ゆっくりと開かれた少女の瞳。
その澄んだ輝きに見惚れながら、リゼは自分がこれから『それ』を穢してしまうことに罪悪感を覚えた。
それでももう、止まることはできず。
「気分はどうかな、イーファ」
「リゼ……さん? えっと、わたし……なんだか身体がぽかぽかして……」
半ば夢うつつの状態のイーファ。
彼女はぼうっとした表情のまま、媚薬が効いていることを証言してくれる。
ほっと息を吐いたリゼは「それは良かった」と微笑んで。
「お前はなにもしなくていい。すべて私に任せてくれた」
「え、それって……んっ♡」
再びのキス。
今度はしっかりと舌を入れて彼女の口内を味わった。
美味い。
まだ男の味など知らないであろう少女の唾液は清らかな味がした。
……まさか、自分にこれほどの独占欲があったとは。
「リゼ、さん……?♡」
媚薬によって頬を紅潮させるイーファに微笑みだけで応え、彼女の着衣に手をかける。
同性であるリゼにかかれば脱がせるのは難しくない。
あっという間に、可愛らしい下着姿になる少女。
本能的に恥じらいを感じるのか、身をよじらせるも──リゼはその動きを右手で押さえると、イーファの白い肌に何度もキスをした。
同時に左手を這わせて。
「はっ、あっ……♡」
徐々に性感を引き出され、甘い吐息が抑えられなくなっていくイーファ。
「良いだろう? 女同士なのだから当然だ。男などよりもよほど、お前の喜ぶところがわかる」
甘く、優しく囁きながら責める手をさらに激しくして。
徐々にきわどい箇所へと進ませた指が、可憐な唇から「あんっ♡」と明確な喘ぎ声を上げさせる。
「リゼさん、やめて……ください……っ♡」
懇願の声が上がるも、すでに少女は薬と快感で蕩けきっている。
「駄目だ。お前には今夜、私のものになってもらう」
「……どうして、こんなことっ♡」
「決まっているだろう? お前のことが好きだから。愛しているからだ」
少女の全身から甘い『女』の色香が発散され、リゼの五感を酔わせる。
自身も極度の興奮状態にあることを自覚しながら、ショーツ越しに少女の秘所へと舌を這わせて。
「お前は誰にも渡さない。セリカにも、王子にも。……だから私のものになれ、イーファ」
「っ、あああっ、リゼ、さんっ♡」
秘所から溢れた蜜が少女の太腿、そしてシーツを濡らす。
彼女がどれだけ悲鳴を上げようと、周辺のメイドや兵には「なにも聞かなかったことにしろ」と命じてある。
「あっ、だめっ、ふあっ、あああああんっ!?♡♡♡」
びくびくびくっ♡ と身を震わせながら絶頂するイーファ。
前戯が十分であることを確認したリゼは、とうとう少女を裸にすると「綺麗だ」と三度目のキスをした。
短く爪を切り揃えた指を二本、丁寧に茂みを整えられた秘所へとあてがい、
「力を抜いていろ。痛くするつもりはないが、初めてはどうしても苦しいものだからな」
「あっ……♡」
さすがの少女も、これから起こることがなんなのか察したらしい。
その瞳には戸惑い、嫌悪、それから悦びの色が浮かんで。
「わたし、『愛してる』なんて言われたの、初めてです……っ♡」
「そうか。ならば、お前の周りにいた男がその程度の人間だったということだ」
諦観。
逃れようのない状況に身を置かれた時、女というのはそれに身を任せようとする。
こわばっていた身体から多少の力を抜き、恥じらいながらも両足を開いたイーファはちょうどそんな心境だったのかもしれない。
それでも、今は構わない。
あてがった指を徐々に奥へと沈み込ませ、反応と抵抗を見ながら肝心の場所へ。
びくっ、びくっ♡ と快感に身を震わせながら、イーファは再度「あっ……♡」と甘い声を上げて、自分の処女膜の存在に気づいた。
軽く力を入れれば「はっ、ああっ!?♡」と嬌声が上がって。
「これならば、苦しめる心配はなさそうだな」
本格的に膜を破ろうと力を込める。
「はっ、あっ、あああああああぁぁぁぁっっ!!♡♡♡」
反応は、劇的なものだった。
媚薬が思った以上に効いているのか、破瓜の瞬間、イーファはびくんっ♡ と大きく身を跳ねさせ、歓喜の嬌声を寝室に響かせた。
絶頂の波は何度も何度も押し寄せ、リゼが指を抜いてもなおしばらく続いて。
ぽうっ、と、天井とリゼを見上げた少女はただ、艶めいた表情で呼吸を繰り返して。
「気持ち良さそうだな。……ならばもう少し、楽しもうじゃないか」
「あっ、リゼさっ、やぁ……っ!♡♡」
嫌と言いながら、ちっとも嫌な顔をしていないイーファ。
リゼは自身の自慰経験をもとに、少女を優しく、それでいて執拗に責め立てた。
男と違い、凶器の類は持ち合わせていないリゼには、ただ愛を注ぐしか方法はなく。
「……愛している。イーファ、私のものになってくれるな?」
何度も何度も、数え切れないほど絶頂させて。
シーツにも恥ずかしい染みを作らせた後、囁くように尋ねると──完全にうっとりとした表情となったイーファは、少女から『女』へと羽化し始めたことを表す艶めいた声音で、
「……はい、リゼさん……♡」
確かに、そう答えたのだった。
◇ ◇ ◇
それからしばらくの月日が経って──。
「やっと会えました、リゼさん……っ♡」
「ああ。私も会いたかった、イーファ」
アスティリアへと向かう馬車の中で、リゼとイーファは再会の抱擁を交わしあった。
あれから、数日後にはリゼたちは離れ離れになった。
一緒にいられる間は夜毎イーファの部屋を訪れ、愛を交わし、彼女の身体をリゼなしではいられないように調教したが、あまりにも時間が足りなかった。
『こうなった以上、私はお前を王子に渡したくはない。お前は私だけのものにする』
『はい。わたしはもう、リゼさんのものです。……他の人のものになるつもりはありません』
もしかしたらイーファはセイカに惚れていたのかもしれない。
しかし、その想いに本人が気づく前にリゼが快楽で上書きした。
初めて面と向かって愛を囁かれ、たっぷりと快楽を与えられたイーファは心からリゼのものになってくれた。
王子の求婚を断ったイーファはセイカと共に学園へ戻り──そして、リゼの準備が整うのに合わせて自ら失踪した。
アスティリアでそれなりの地位にあるリゼの手引き。
そこに、誘拐されるイーファ自身の協力が合わされば痕跡を消すことは難しくなかった。
「セイカはどうした?」
「セイカくんには手紙を残してきました。幸せになります、って書いてきたからきっと、わかってくれると……」
「そうか」
リゼはそっとイーファの頭を撫でた。
手紙は追跡されるきっかけになるかもしれない。完璧を期すなら悪手だろうが、それを咎める気にはなれなかった。
あの少年はなにをしでかすかわからない。
彼を諦めさせる助けになるなら何よりだし、イーファの恩人であることもまた事実、別れを告げられる権利くらいはあるだろう。
「リゼさん。これからどこへ行くんですか?」
「後宮だ。私以外は入れない秘密の部屋を用意した。まさか王子も、自分のための箱庭にそんなものがあるとは思わないだろう?」
多少不自由かもしれないが、イーファの失踪と時を同じくしてリゼまでアスティリアからいなくなるわけにもいかない。
生活費を稼ぐためにも、しばらくはなに喰わぬ顔で王子に仕えるほうが好都合だった。
そして──。
「ただいま、イーファ。いい子にしていたか?」
「あっ……♡ はい、リゼさんっ♡ わたし、ちゃんと待っていましたっ♡」
秘密の部屋に入ると、イーファはいつものようにリゼを出迎えてくれた。
生活に必要なものはすべて揃っている。
もともと貴族家で使用人同然の生活を送っていたイーファは身の回りのことはぜんぶ自分でできるし、物わかりのいい子なので問題はなかった。
服もたっぷりと用意した。
リゼの買い集めた可愛らしいドレスを纏い、リゼの顔を見るなり飛びついてきてくれる彼女。
その身体を優しく抱きしめ、自分だけが触れられるその柔らかさに至福の心地を覚えた。
と、少女は期待の眼差しでリゼを見上げて、
「あの、今日は、なにをしてくれますか……?♡」
「……ふふっ。お前もすっかりはしたない子になってしまったな?」
「っ♡ だって、仕方ないじゃないですか……♡ リゼさんがわたしを、そういうふうにしたんですから……っ♡」
うっとりとした瞳には嫌悪の色はまるでなく、リゼへの信頼だけがある。
リゼはそんなイーファに頷いて、
「今日はお前がここに来て一ヶ月だろう? だから、特別なことをしようと思う」
「え、特別なこと、ですか……?♡」
「ああ。とびきり特別な遊びだ。そろそろお前も部屋の中が飽きる頃だろう?」
遊びの始まりはそこから少し後、後宮がすっかり寝静まった後のことだ。
「ほ、本当に大丈夫なんですか……?♡」
「大丈夫だ。軽く眠りの香を炊いてきたからな……ほら」
見回りの兵すらも寝静まった夜の廊下は静かで、動くものは何一つない。
そんな中を、裸足の小さな足音だけが響いた。
リゼとイーファは二人とも裸同然の、薄衣一枚きりの姿だった。
リゼのすらりとした長身も、イーファの女性的な体型も、一応纏っているだけの衣ではさほど隠せていない。
窓の傍を通って月の光を浴びると衣が透けて白い肌が丸見えになってしまう。
「こういうのは嫌か?」
尋ねれば、イーファはふるふると首を振って、
「いいえ、その、楽しいです……っ♡」
誰にも知られない、秘密の散歩。
興奮によってこぼれた蜜が床の上に落ち、二人の歩いた痕を残して──。
たどり着いた後宮の中庭で、リゼはイーファに命じた。
「服を脱いで裸になれ、イーファ」
「……っ♡ はい、リゼさん……♡」
露出の快感に溺れているイーファは素直に従い、恥ずかしそうにしながらも衣を脱いで。
彼女の衣を受け取ったリゼは自分の着衣も剥いで、
「これでお揃いだな。……さあ、別の道を通って戻るとしようか? あまりのんびりしていると香の効果が切れてしまう」
「っ♡」
イーファの足取りは行きよりもずっと覚束なくなり、なんとか誰にも見つからずに帰り着くと、彼女はその場で、リゼの腕にしがみついたまま絶頂を迎えた。
びくっ、びくっ♡ と震えた後、呆けた表情で見上げてくる彼女を、リゼはお姫様抱っこで持ち上げて、
「さあ、ベッドに行こうか」
出発前に焚いておいた淫らな香も、いい具合いに部屋に満ちていた。
衣を床に放り捨て、裸のまま抱き合ってキス。
舌を絡め合うキスにもすっかり慣れたイーファは自分から何度もリゼを求めて。
指と舌が思うまま互いの身体を責め合う。
女同士の行為に決まった形は存在しない。
男女のような明確な終わりがないぶん、どうすることもできるし、どうやっても気持ちよくなれる。
シックスナインの格好を取り、互いの一番気持ちいいところを責め合い。
向かい合って座った状態で互いの秘所に指を入れて同時に絶頂して。
「……イーファ。私の処女をもらってくれるか?」
囁くように尋ねると、イーファは驚いたように目を見開いた。
「いいん、ですか?♡」
「ああ。それで私たちは本当の意味でひとつになれる。互いのかけがえのないものを互いに捧げ合うんだ」
「……っ♡ はいっ、リゼさんの初めて、わたしにください……っ♡」
ベッドに横になり、仰向けで相手を見上げる。
長い期間守り抜いてきた純潔を捧げる。
恐ろしいだろうと思っていた行為が、不思議とイーファ相手なら喜ばしく感じた。
同性の前で足を大きく開き──覆いかぶさるようなキスを受けながら、秘所の奥へと指を受け入れて。
とろけるようなキスの悦びが、破瓜の痛みをほとんど和らげてくれた。
奥から流れてきた血が、なによりの『はじめて』の証で。
知らず涙を瞳に浮かべながら、リゼは微笑んだ。
「これで、お互いに子供を作れるな」
「えっ……? 子供、ですか? でも……っ♡」
二人は女同士。
子供は作れないのではないか、という懸念はある意味正しい。
しかし、リゼは指を立ててあるものを示した。
精霊を視ることのできるイーファにもそれは視えて、
「それは……?」
「これは『精霊の卵』だ。精霊のもと、と言ってもいい」
卵、あるいは繭のような形をした小さなものが二つ。
基本、人工的に精霊を増やすことはできない。
しかし例外があり、精霊の使い手が仲良くなった精霊から力の欠片を受け取り、それを子宮で育てることによって精霊を生み出すことができる。
いや、文字通り『産む』と言ったほうがいいか。
「これをお前と一緒に育てたい。これが私とお前の子供になるのだ。……どうだろうか?」
尋ねると、イーファは無言でリゼの胸に飛び込んできた。
「良いに、決まってますっ♡ ……リゼさんとの赤ちゃん、わたしに作らせてくださいっ♡」
「……ああ、もちろんだ」
卵の片方をイーファに渡し、再びシックスナインの体勢を取る。
なにが起こるかわかるのか、精霊たちが嬉しそうに飛び回る中──二人は卵を持った手を互いの身体の奥へと挿入して、
「くっ、ううっ!」
「んっ、ああっ♡ ふあっ、んっ♡」
行為で解してきたつもりだが、それでも苦しい。
卵を子宮に『送る』ことのできる地点──膣の半分ほどに指が到達した時にはかなりの圧迫感があった。
だからこそ、これは信頼できる同士でしかできない。
二人は顔を見合わせ、微笑みあって、
「イーファ」
「リゼさん……♡」
優しくキスをしながら、互いの卵を送り出した。
温かなものがお腹の奥を移動し、やがて一番奥に落ち着く感覚。
胎動に似た感覚がずっと続く幸福に、思わず腹に手を当てて。
「これからもずっと一緒だ。なにがあっても、ずっと」
「はいっ。わたしを、ぜったいに離さないでくださいね、リゼさん♡」
数年後、あるいは十数年後。
とある国のとある森に、一組の同性の恋人たちが住み着いた。
視るものが視ればわかっただろう。
彼女たちの周りを、ものすごい数の精霊が飛び回っているのを。
その中には確かに、リゼたち自身の育んだ子も含まれていた。
二人はそれからも、末永く幸せに──。