もしまふゆが奏に対し情欲を抱いてしまいその思いのままに襲ってしまったら...?という話

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第1話

まふゆが抱えていたその感情は、とても一言では言い表せぬ複雑なものだった。

奏と一緒に住み始めてからしばらくが経過し、母との確執がひとまず収まった頃。奏に対する友人としての親愛や迎え入れてもらった事への感謝、共に曲を作る仲間としての敬意といったこれまで持っていたものとは別の気持ちがあることを自覚したのだ。

一緒に穂波の作った食事を食べている時、米粒が付いた奏の口元に手を伸ばそうとして途中で引っ込めた。

シャワーを浴びるため着替えを抱える奏に、一緒に入りたいと言いかけ已の所でそれを引っ込めた。

ふと見える細い首筋、儚い手の甲、無防備な踝。それらが何気なく見える度、頭の中がいっぱいになってしまった。

自分の中にある空洞を埋めていくこの感情が邪で、許されないものであることは頭で理解している。だけど、正直に生きたいと思ったあの日から徐々に増していったこの思いを封印できるほど、嘘の力は強くない。

そんな雑念を抱えたままでは今まさに解いている英語の問題など頭に入るはずもなく、アルファベットの羅列が目の前を滑り出したところで冊子を閉じる。

あと少しだから提出までには間に合うだろう。気を紛らわせるため鞄の中身を整理しようとしたところで、ドアをノックする音が聞こえた。

ゆっくりとドアを開けた奏は、風呂上がりでかすかに湯気を立ち上らせ、まだ乾ききってない髪はやや乱雑に拡がっている。シャンプーなどが混じった香り、気の抜けた立ち姿。それらがひどく煽情的に感じ、目を離せずにはいられない。数瞬、二人の間に無言の時間が流れると、奏の着ているものが普段と違うパジャマであることに気がついた。

「その服は...」

「この前言った新しいパジャマだよ。瑞希が選んでくれたんだ。」

そう言いながら嬉しそうに頬を緩める奏がとても愛おしく、綺麗に見え、その輝きに焼き切られるかのように己の衝動を抑えていたものが消えたのを実感した。その実感が脳に届くより早く立ち上がり奏の元に大股で歩くと、少し屈んで色素の薄い唇に自分のそれを重ねた。

 

 

奏が感じていた違和感は、小さなものだった。

今までよりまふゆが自分を見る時の視線が強い気がする。一緒に暮らし始めてからなんとなく感じていたものの、同居し始めたから意識するようになっただけだという解釈に収まった。

この違和感も、この前瑞希と一緒に服を買いに行くことになった際、まふゆに変わったことがないか聞かれて色々考えた末ようやく表面化したものだ。それを瑞希に伝えると、少し逡巡した後「何か変なことがあったらすぐ教えて」とやや険しい表情で言われ、その顔に少し困惑しながらも友を守りたい故の真剣さだと解釈した。

 

そんなことを振り返りながら風呂を出ると、ぼんやりと身体を乾かし パジャマに着替える。全身を覆うふわふわなそれの可愛らしさは自分に不相応ではないかと思いつつ、瑞希が選んでくれたものだからと思い着ていく。

鏡に映ったシルエットは幼い子供のようで、これをまふゆが見たらなんと言うだろうと考えながら風呂を出たことを伝えにまふゆの部屋へ行った。

「まふゆ、お風呂出たから私はちょっと寝るね。明日は用事があるから昼過ぎには家を出ると思う。」

そう言ったもののあまり手応えを感じない。こちらを向いているが意識が向いていないような気がしてなにか邪魔をしてしまったのかと心配すると、まふゆがぽつりと喋る。

「その服は...」

ああ、見慣れないパジャマが気になっていたのか。そう考えた奏はご機嫌な顔をして返事をする。

「この前言った新しいパジャマだよ。瑞希が選んでくれたんだ。」

まふゆはなんと言うだろうか。顔を見つめながら次の言葉を待つと唐突に表情が変化した。いや、表情自体は変化していないがその質が一気に正反対になった気がする。そう感じた瞬間、まふゆがこちらに歩いてきて、唇を奪われた。

 

 

 

霜柱を踏みしめ、新雪に足跡を残していく時のように奏の口の中でまふゆの舌が遠慮なく入り込んでいく。突然のことに何が起こったのか分からない奏はまふゆの背中を叩き、ひとまず離れようと目論んだ。

だが衝動のまま動くまふゆを前にそれはなんの意味も持たず、呼吸の難しさと抱きしめられる力の強さにより風呂上がりで少し赤かった顔が益々赤くなるのみとなる。

全てを吸い取るようなそのキスは1分ほど経過した後ようやく解け、朦朧とした奏は自分の前から遠ざかっていく紫の瞳を見やりながらようやく許された呼吸の仕方を思い出していた。

産まれたばかりの仔馬のように不安定な奏の姿にさらに興奮したまふゆは、情報を処理しきれない奏の手を引き数歩歩くと、掛け布団をどかしてベッドの上へ乗せた。

ぽすっと音を立てベッドへ仰向けになった奏は、何かがおかしいことは理解しつつも言葉には出せない。状態を起こして様子のおかしい友に声をかけようとするがその様子のおかしさ故蛇に睨まれた蛙の如き様相を呈し、太ももの辺りにのしかかるまふゆの紫に輝く瞳を見つめているしかなかった。

 

 

ああ、私は「悪い子」だな。完全にポジションを取りきったまふゆがまず感じたことはそれだった。一瞬ここにいない人の顔が浮かびそうになったが、そんな雑念は無視して奏の体温を布越しに感じながらパジャマを脱がそうとする。

やたら外れにくいボタン、やめさせようと手で遮ってくる奏。今の彼女にとってそれらは興奮を加速させるための材料でしかない。ややあって上半身から全ての布が剥ぎ取られると、熱を与えられ薄赤く染まった白い肌が顕になる。少し触れればあっという間に濁ってしまいそうなその透明感へ躊躇無く手を伸ばした。

「まふゆ...ダメだよ...」

だがその手は奏の声に遮られる。

「嫌なの?」

思わず出てきた言葉の意地悪さに顔を曇らせ、それを見た奏はそっと手を重ねた。

「それはわからないけど...このまま続けたら戻れなくなっちゃうと思う。わたしはまふゆに後悔してほしくない。」

この期に及んでまだ他人の心配をするのか。そんな友達に、自分は欲望をぶつけようとしているのか。再び戻ってきた理性が衝動とぶつかり合う中で、その狭間から思いもよらない言葉が口をつく。

「奏は今も私のことが好き?嫌いになっちゃった?私は...奏が好き。」

先程重ねられた手を離し、ゆっくりと髪を撫でる。

「まふゆは私の友達で、救いたい人だから。嫌いになんてならないよ。」

そう言うと手を伸ばし、優しく頬に手を添えた。

非の打ち所がない返答。だがこの状況を好転させるものではない。その言葉の中に許しを見たまふゆはどうなってしまったのだろうか。

 

 

「ふっ...つっ...」

ずっと我慢していた奏の声が、吐息と一緒に発せられる。それは先程からずっと下腹部から喉にかけて優しく撫でられ続けたことで、徐々に今まで感じたことのない刺激に戸惑いを感じた故のもの。それは小さな声だったが、感覚の研ぎ澄まされたまふゆには十分すぎる大きさだった。

再びのキス。先程よりやや長く、より感触を愉しむもの。声を塞ぐように始まり、口の中の温もりと味のしない唾液を堪能すると、名残惜しそうに唇を離した。

 

脳が酸素不足を叫び、目の前が白黒に見えていく中で、奏はようやく自分の上からまふゆの重さが消えたことを実感する。だがまだ身体が動かず、下半身の服が脱がされ、まふゆ自身も服を脱いでいく様子を見守るしかなかった。

ようやく視界に色が戻り、上体を起こせるくらいになったところに見えたのは、ブラを外し胸が束縛から放たれた姿だ。意識がまとまらずその様子をぼんやり見つめていると、再びこちらに戻ってくる。

 

「あっ...ダメっ...」

今度は我慢する間もなく言葉が出てくる。性器の中にひんやりとした指を入れられ、中を弄られては致し方ない。不慣れ故全てが気持ち良い部分に当たるわけではないが、逆にそれが緩急となって快楽を増幅させる。

遠慮のないその指は奏にとってあまりにも激しいもので、だがそれを伝えることも叶わない。思わず腰が跳ね、それを抑えられ再び弄られると今度は上半身が跳ねた。

1秒が1分に感じられるほど長い快楽の時間はまふゆが手を離したことで終了し、奏は完全にリズムを失った呼吸とともにビクビクと身体を動かすことしかできなかった。

 

 

「奏...奏ぇ...」

骨が軋む感覚と、上に乗るまふゆの重み、柔らかい胸の感触を受け止めながら、自分の腿に股を擦り付け欲望の発露に勤しむ様子を見つめる。その目は今まで見た事がないほど楽しそうで、止めるにはあまりにもかわいそうだと思ってしまった。

マットレスのスプリングに衝撃を流しきれず、徐々に股関節への負担を実感するようになった奏は、衝動のままに動き気持ちよさを隠さないまふゆの目から涙が出ていることに気づく。

胸に、首筋に、髪に手が当たり鋭敏になった感覚がその刺激に強く反応する中で、背反するその事象の理由を考えると無意識の反応が左手をまふゆの背中に当てていた。

 

「奏...痛かった...?」

悦楽のまま動くまふゆがそれに気づき、腰の動きを止める。

「私...は...平気だけど...でも...まふゆが泣いてる...」

「えっ...」

言われるままベッドで手を拭い目元を触ると、自分が無意識のうち泣いてることを知る。

「大丈夫...?」

「わからない...奏...ごめんね...」

「私は平気だから...そんな顔しないで。」

「でも...こんな...」

「私はこれくらいで...変わらないから。もう今までのままじゃ...いられないかもしれない...けど。それでもまふゆは...私の大切な人。」

 

3度目のキス。今回は短く、浅い。それは奏がまふゆへしたもので、親が子へするような親愛の情が多分に含まれたものだった。

まふゆの脳内で、最後の糸が切れる。再び指を性器に入れ、今度は指と下で色素の薄い乳首を激しく触る。もはや互いに言葉は発せず、出てくる声は人間のそれではない。まふゆの衝動を受け止める奏は徐々に快楽が意識を塗りつぶしていくことを実感しながら、抗えず流されていく。

 

 

「いっ…はっ…ああぁぁ…! かっ…っ… 」

髪は乱れ、爪先がピンと張り、腰はのように何度も跳ねる。ついにその快楽が許容量をオーバーすると、奏は深い海のそこへ沈んでいくように意識を手放し、ガクンと力が抜けた身体がベッドへ沈む。

首筋や胸にキスマークのような、噛み跡のような印を付け享楽に耽っていたまふゆがようやくそのことに気づくと、先程とは打って変わって優しく奏を抱きしめた。




R-18を初めて書いたものの難しい...

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