すっとろい更新でまともに申し訳ございません。陳謝。
ルプノチウは雪の精である。ミケウパシ同様、白い羽毛を纏い丸みを帯びた身体。円な瞳に、眼と揃いの真黒の嘴。頭の上には飾り羽を生やしている。
彼等、雪の精の飾り羽は先端だけが焦げたように黒いため、兎の耳に例えられる。しかし彼のそれだけは黒い斑が星雲の如く密集し、羽根全体を黒く染め上げていた。
ところでアイヌの伝承には、兎の耳の先が黒いのは鹿の健脚を羨ましく思った兎が鹿を騙して脚を取り替えてしまう、といったものがあるそうだ。
欺かれた事に憤慨した鹿の投げつけた松明で耳の先端を焼かれた兎は、以降その焦げ跡が雪の中で目立ち、目敏い狩人に狙われることになったとか──つまり強欲は災難を呼ぶという教訓の物語だという。
「あら〜?否定しないんですね?」
「……あっ!?やっ、ちがう、ちがうから!いいまちがえた!いいまちがえただけだから!!」
「しかし、みー君も変わりませんよねぇ。相変わらず隠し事がてんでダメで……。はぐらかそうとしてるつもりなんでしょうけど、誰にも見られていない筈の痴態を目撃されていた驚きで頭が空転して、湧き上がった疑問を吟味する暇も無く口走っちゃった、ってところでしょうか?寸止めして我慢を命じても快楽には勝てなくて精液を思いっきり漏らしちゃう、みたいな……」
我慢できなかったことを指摘したら真っ赤になってぷるぷる震えてくれるんでしょうねぇ、と妄想を膨らませるルプノチウの腹の中は己の飾り羽同様真っ黒に染まっていたことだろう。円な瞳は細められ、邪な欲に起因する妖しげな光を湛えている。
「もう諦めて認めちゃいましょ?今更取り繕っても無駄なんですから、素直になって……いいことた〜くさんした方が君にとっても私にとってもおトクだと思いませんか?ね?ねっ?」
「そんなわけないでしょ!ぼくでもだまされそうになってることくらいわかるんだけど!?こーびしたところでぼくにめりっとないし、あ!あとしれっとぼくがだかれるがわになってるのもすご〜くしゃくにさわる!!よってきゃっか!!」
「あら〜……やっぱり、そう簡単に罠にかかってはくれませんか。予想はしてましたが残念ですね〜……」
「で?これでようはもうないんでしょ?だったらさっさとかえってほしいんだけど──」
しっしっ、と翼でルプノチウをはたいてさっさと帰るよう促すミケウパシ。おちょくられ、交尾を迫られたことにより蓄積したストレスは相当なものだったようで、羽毛は逆立ち、眉間には皺が寄り、嘴を無意識に歯軋りの様に擦り合わせている。
「そんなに拒絶しなくてもいいじゃないですか〜、いけずなんですから、もう」
「ひねくれてるわけでもいじわるでいってるわけでもないんだけどね!ルプノチウのひごろのおこないってやつだよ。ほら、かえってかえって」
つれないミケウパシに落胆したというポーズを示そうとしたのか、大袈裟に肩を落としてみせるルプノチウはそのまま羽ばたきふわりと浮く。
「そこまで言われては仕方ありません、正直なところ諦めはつかないですが割り切ることにしましょうかね〜……。あっ、でも。群れの皆はみー君が留守の間ナニをしていたか、とか、とっても気になってる様子だったので〜、訊かれたら答えちゃうかも──」
「は!?ちょっとちょっと!!なにいってるの!!だめにきまってるでしょそんなの!!」
顔面を蒼白にして飛び上がるミケウパシの勢いで雪煙が舞う。おや、と見下ろすルプノチウは近くの手頃な白樺の枝に留まる。ミケウパシが追い付いて来て、目の前でホバリング飛行に切り替えた所で口を開いた。
「みー君ったら……私、言ったじゃないですか〜。喋られたくなかったら犯されろ、って。落ち着いて話を聞けないといつか騙されちゃいますよ〜?」
「か、かりにきいてたとしてもそんなおうぼうなはなしれいせいにきけるわけないじゃん!てゆーかそのにたくぼくにふりすぎない!?もっとましなじょーけんにしてよ!!あ、そうだ……もしじょーけんがそのままなんだったらルプノチウがうそついてるっていいはってやるもんねー!これでとりひきむししてもこまらないぞ!ざんねーん!」
悲鳴をあげて条件の改善を訴えるミケウパシ。かと思えば唐突な上から目線で脅しをかけ始めた。一方のルプノチウは騒がしい同族などどこ吹く風といった様子で、自分の留まった枝に体重をかけてたわませて揺らし遊んでいる。
「みー君、よーく聞いてください。普段群れの皆に嘘を吐いたり揶揄ったりで煽って遊んでる君と、私。皆はどっちの話を信用すると思いますか〜?」
「え?えーっと……。あっ……」
「ね?おとなしく取引に乗った方が身のため──」
「い、いやいや……。そんなこというけどルプノチウだってぼくにさんざんうそをおしえてたじゃんか!!しんようはどっちもどっちだよ!」
「あ、その点についてはご心配なく。実はみー君の前以外では嘘を吐いてないんです!あなただけにしか見せない顔、ってやつですね〜、きゃっ」
取引をしない、という選択肢がひとつひとつ潰されていく。どうしよう、ばかりが頭を支配し、巫山戯る腹黒を引っぱたく余裕も無い。ここぞとばかりにルプノチウは再度ミケウパシを洗脳しにかかる。
「わかりましたか〜?どう足掻いても詰み、ですよね?それに私に犯された方が恥ずかしい時間も短いですし。ばらされちゃえばこれからずっと恥ずかしい思いをすることに……。となればどっちを選ぶか、みー君が間違える筈無いですよね?」
「……えっ、えっと」
「じゅーう、きゅーう、はぁーち、なぁーな……」
「あっ……!?……わ、わかった!いうことならきくから、まってぇ!まってってばぁ!!」
カウントダウンで焦らせ、更に思考を鈍らせる。これが止めとなったのか、ミケウパシは何が何だか分からないうちに頷いてしまうのだった。
「さ、どうぞどうぞ、入ってくださいな。ここならだぁれも来ないですよ、安心ですからね〜?」
「もう……ひなじゃないんだからやめてよね!」
赤子をあやす様な口ぶりの同族に、目を細め不満気なミケウパシが案内されたのは小さな洞穴だった。小さなとは言え彼等の体格ならば、高級ホテルの一室程度には余裕のある空間として扱えるだろう。
「それじゃあ、そこの雪が積もってる所に座りましょうか〜」
ミケウパシの背を左の翼で押して誘導するルプノチウ。洞穴の奥には、天井の穴から雪が舞い込む区画があり、彼はそこをベッドとして使うつもりの様だ。雪の塊を寝床として利用するのは、寒さに強い雪の精ならではの行動である。
土や汚れの一切混ざっていない純白の雪に渋面のまま浅く腰を下ろしたミケウパシだが、突如として背中に感じたふかふかの積雪の感触に面食らう。
「そうです、はい、いい子いい子……ふふふ……。みー君?もう我慢出来そうにないので〜、始めますね〜?準備は良いですかぁ?」
「っ……じゅんびできてないっていっても、どうせすぐはじめちゃうでしょ。それならいっそさっさとおわらせてよね……!」
犯人は当然、我慢の限界を迎えてミケウパシを押し倒したルプノチウである。瞳孔を開かせ涎を垂らし、可愛らしい精霊に有るまじき顔を見せる同族に、ミケウパシは背筋を震わせる。そして、行為の一刻も早い終わりと、己の負う傷が一寸でも浅いものになる事を祈るのだった。
「さて、昨日は散々お楽しみだったみたいですし解す必要は無いでしょうが念には念を。という事で失礼しますね〜」
「……んっ……もぞもぞする……」
手始めに、と言わんばかりにミケウパシの肛門を拡げるルプノチウ。じっとりと湿る直腸内の様子を目にすると満足気に一息吐き、腸内を掻き混ぜては指に絡まる腸液を舐めとった。そして再度羽を挿し込み、肉越しに前立腺を感じる場所を探り当てるべくまさぐり続ける。
羽根の柔軟性と、この同族に啼かされるのが癪だ、という思いから必死で声を抑えるミケウパシの反応の小ささが下手に噛み合い少々手間取ったが、ルプノチウは無事前立腺の膨らみを探り当てた。
「やっと見つけましたぁ、みー君の前立腺……うふふ……。此処を弄れば……」
「……んお゛ぉっ!?」
ぐりっ、と容赦なくツボを突く様に前立腺を刺激され、ミケウパシは悶える。性感を今まで殆ど感じてこなかった方向から与えられた所為で面食らい、半勃ちした陰茎から一筋の尿を迸らせてしまう。
「あら可愛い。昨日のアレで早くもお漏らし癖がついちゃいましたか?」
「ちがっ、いまのはちょっとびっくりしただけで──」
「おや、そうでしたかぁ。それは失礼しました〜」
謝罪しながらもにこにこ顔の同胞を睨みつけていると、連続で追撃をされる。一切緩むことが無い、寧ろ加速していく淫らな手つき。耐性のないミケウパシは腰を痙攣させ、黄色い染みを腹の羽毛に作るばかりだった。小さな肉茎が反り立って尿道を狭めようとしたが後の祭り。彼の膀胱は既に空になってしまった。
「………………っ……なにするのっ!!」
「みー君のおちんちんも元気になってくれましたねぇ。うん、やっぱり勃起している方が盛り上がりますね!下準備をした甲斐がありましたぁ。……さ、そろそろ挿れますよ?一緒に気持ちよくなりましょうね〜」
「ま、まって!まだじゅんびが……こころのじゅんびができてないから……!」
羞恥と怒りで暫くものが言えなかったミケウパシが復帰してきた頃には、ルプノチウの肉棒が会陰と肛門をつんつんとつつき回していた。まさに挿入3秒前、と言ったところである。首を痙攣のように振って拒むミケウパシの訴えも聞き流し、ルプノチウは己の雄を一息にミケウパシの柔穴に挿入した。念願叶った感動と、とろとろの腸壁がペニスを熱烈に抱擁する感触が、ルプノチウに不意の溜息を零させる。
「ふぅっ……んっ、あぁ……。やっと、繋がれましたねぇ?みー君……。」
甘やかな艶を一片孕んだ声が耳を掠める。これは果たしてあのどうしようもない腹黒の声なのだろうか?ミケウパシの思考は、下腹を埋め尽くして急所を快楽攻撃で貫く熱と、ふわふわと頭の中を擽り蕩けさせる囁きに完全に囚われてしまった。
「んぁっ……!?あ゛っ……はっ……はぁっ……!」
容易く埋め尽くされ、生命の維持以外には入ってくる快楽を享受しては更なる快楽を求めて媚びよ、という司令を送るだけと成り下がった脳味噌の命ずるがまま、ミケウパシは喘ぎ、穴を締め、腸液を溢し続ける。ガクガクと痙攣した腰のせいでルプノチウの性器を勝手に呑み込み、また喘ぐ。
「そんなに善がって貰えると雄冥利に尽きますね〜。みー君が自分から私のおちんちんを求められるようになった事ですし……」
ルプノチウは湿度のある笑みを浮かべ、ミケウパシの羽毛と贅肉で柔らかい腰を掴むと、狩人が獲物を解体するが如くミケウパシから逸物をゆっくりと引き摺り出す。舌舐りをすると、見ようによっては醜い面を引っ提げ半ばトリップしている雪の精の尻を一発張って覚醒させる。
「今から動いていくのでぇ、気絶しないように頑張って可愛くイき散らかしてくださいね〜?」
精霊は、天使と見紛う貌で悪魔の言を吐いてみせた。