・スズランちゃん
我らが光。信頼度200以上。大人になりたい寂しがり。むっつり気味。
・ドクター
大人。おおむね真面目なドクター。目元描写あり。
p.m.5:32 / 晴天 / 視界:17km
ロドス本艦 補給および人員移送の都市接続から5日後 都市近郊にて駐留中
医療部。この船において最も忙しい場所であり、ロドス・アイランドという企業の理念を実践する最も重要な場所。数多くの医療オペレーターたちや各地からの患者、その家族や投資者、慈善団体が行きかうこの場所は、今日も一日の昼の喧騒や慌ただしさを乗り越え、夜の静寂の中へと包まれようとしていた。
夜勤の人員との交代時刻。スズランは忙しい一日を終え、片づけをしながら帰り支度を整える。
彼女はもともとここの小児病棟にて患者として治療を受けていたが、改善の傾向の見えてきた今では、その恩返しをしたいという思いから、アーツの制御やオペレーターとしての技術を学び...補助術師オペレーターとしての素養を認められた今では、さらにロドスのためになりたいとケルシーの指導の元しっかりと医療の基礎を学び、その一環として療養庭園の手入れや掃除や物資の運搬、患者たちのメンタルケアや指導、話し相手として「見習い医療オペレーター」としての業務に取り組んでいた。
いつもの戦闘オペレーターとしての服ではなく軽装の内勤用の制服に身を包み、大きな九本の金色の尻尾が動くたびにふわふわと揺れる。支度を終わらせると彼女は疲れなど微塵も感じさせない笑顔で、同僚たちに挨拶をした。
「今日も一日ありがとうございました、みなさん、お先に失礼しますね!」
春風に揺れる、鈴のような優しい音色がオフィスに響く。端末に顔を近づけ、作業や整理に眉をしかめていたり、コーヒーやエナジードリンクを死んだ目で流し込んでいた医療オペレーターたちも、その声にぱっと笑顔を見せ、にこやかに手を振って見送る。
実のところ、今日一日は彼女自身、大変な一日だと感じていた。数日前の都市接続。それで新たに迎えることになった患者の人たちは未だロドスという新しい生活に慣れておらず、鉱石病に対し怯えたままの人、間違った医療により体調を崩しており、緊急で処置が必要な人、新しい人と前からいた人とのトラブル...それらの問題は接続解除から数日経った今でも尽きることはなかった。
実際に手術や投薬等、最前線で戦えるほどの力は持っていないスズランであったが、それでも朝からバイタルチェックや点滴の交換、施設の案内や問診表の作成、カルテの整理や医療指導の手伝い、パニックを起こした患者や、治療を怖がる子供たちのケア......その他さまざまなことに医療部中を飛び回ることは彼女の仕事であった。
しかし、それぐらいでスズランが笑顔を絶やすことも、元気さと優しさに影が落ちることはなかった。骨身には疲労が色濃く刻まれてこそいるが、それは彼女の決意した「ロドスのオペレーター」というあり方を崩す理由にはならなかった。良いことのために努力し、ただこうして人々をしっかりと助けることができた。その達成感と医療オペレーターとしての誇りが、彼女を笑顔でいさせた。
スズランも手を振り返し、達成感のままにエントランスを出て行こうとしていた時のことであった。
「やぁ、今日もお疲れ様、スズラン!」
その声に、パッと頭を向ける。
待合室のカウンターのそば、防護服のシェード越しににこやかな目線を向け、ゆっくりと手を振っているのは、まぎれもなくドクターだった。
「ド、ドクターさん!?どうしてここに...!?」
スズランが驚きながら近づくと、ドクターもそっと近づいてきて、すらりとした大きな手が彼女の両耳をかき分け、金色の髪を優しく撫でた。
「ちょうど帰るところだったかな?スズラン、医療部のお仕事お疲れ様。本当によく頑張ってくれたよ」
暖かい声が耳に響き、ふりふりとしっぽが反応してしまい、慌てて抑えようとする。手袋越しにも大きな手のぬくもりが伝わり、暖かいものに包まれているような気持ちだった。
「ド、ドクターさん...あ、ありがとうございます...!お忙しいでしょうに、見に来てくれたんですか...!?」
「ああ、ちょうど私も医療部にちょっとした用事があってね、せっかくだから様子を見ていこうと思ったんだ」
「え、そ、そんな...そ、そうしていただけて、とっても嬉しいです...!!!」
優しい言葉とぬくもりに、おもわず頬が熱くなる。意思とは関係なく揺れる尻尾は大きさもあって目立ち、少しでもおしとやかに、オペレーターとしてちゃんと...そんな思いによる抑えようという努力は、二本の腕で二本の尻尾を抑えた段階で無理があることが誰の目にも明らかだった。シェード越しの顔は見えづらいが、愛らしいものを見るようなドクターの目線を向けられていることはよく分かった。スズランは照れくさそうに目を伏せ、恥ずかしさに身を捩る。
「そ、その、ドクターさん、今日はですね、わたし...!」
自分がどんなに今日頑張ってきたか、どんなことがあったか、仲間とどんな話で盛り上がったか...
そんなことを伝えようと口を開いたとき、ふとその大きな耳に弾けるような笑い声と、小さな足音が聞こえてきた。
バン!と小児病棟側のドアが開き、入院服に身を包んだ子供たちが現れ、その後ろから困ったような顔の医療オペレーターが歩いてくる。
子供たちはきょろきょろとエントランスを見渡していたが、こちらを...正しくはドクターがいるのを見つけると、目を光らせてわちゃわちゃと駆け寄ってきた。
「ドクター!ドクターだ!」
「な、俺がいったとおりでしょ!?」
「わーい!遊んで、遊んでー!」
子供たちは無邪気にドクターにじゃれ付き、白衣の裾や手を引っ張り、細い足に抱き着く。
ドクターはそんな彼らの様子ににっこりと笑顔を向け、困り笑いの医療オペレーターに会釈をすると、スズランの頭から手を放し...髪の乱れを優しく整えると子供たちの方に向き直った。
「あっ......」
「スズランごめん、ちょっと待っててくれ... よしよし、みんな元気でいいことだけど、でももう遅いからなー」
彼は先ほどまでスズランにしていたように一人一人に柔らかな笑顔を向け、その頭を優しく撫で、温かく迎える。
子供たちもそんなドクターに喜び、見守っていた内気そうな子たちも一人また一人と、ドクターにじゃれ付いている。
その光景はもちろん、スズランにとってもほほえましいものであった。ドクターの優しさは彼女にとっても尊敬できる正しいことであり、彼女にとってもそんな彼を週に数回の秘書業務で支えられることは嬉しいことであった。一人一人に目線を合わせ、しっかりと向き合ってくれるドクターは小児病棟の子供たちにも大人気であり、スズランにとっても人生の先輩としてこうありたいという振る舞いであった。
「ねぇドクター!もっとこっちに来てよ!忙しいとか言っちゃってさー、俺たちだって寂しいんだぜ?」
「この前言われたハイビスお姉ちゃんのご飯のやつ、ちゃんと食べれるようになったんだよ!...おいしくないけどね」
「ははは、首につかまるのはやめてくれ、危ないからね...フードの紐もダメだよ、抜けちゃうと戻すのが大変なんだから...」
...はずであり、そうであるべきだった。
最初はにこやかに見ていた光景が、少しづつ別の感情が湧いてくる。喉の奥で形にならない言葉が疼き、口をつぐむ。胸がざわつく。
目の前で子供たちが...いや、自分と同じ年頃の子たちが、あんなに素直にドクターにじゃれ付いている。
ドクターの柔らかな笑顔、温かい手が、愛情が、彼らにも向けられている。ただそれだけのことだ。特別なことなんかじゃない。ただその事実が、心の奥に小さな棘のように刺さる。
「...どうして?」
無自覚に、アーツロッドをぎゅっと握りしめる。ドクターの大きな手が...ぬくもりが離れた頭の上に、夜の室内の空気が刺さるように感じる。彼女が今までの大変な人生で培ってきた、そして大事にしてきた良心や規範意識。その内でくすぶっていた気持ちが、まるで暗い靄のように心を覆い、ちくちくと心を刺激する。
羨ましさ、独占欲、害意...そう形にするにはまだ未分化な心の澱み。
「...私は我慢してるのに」
そんな彼女の気持ちに反応し、ぽうっと杖の先に光が灯る―――――
「スズラン?どうしたんだ、ぼうっとしてるみたいだけど...疲れてるんじゃないか?」
ドクターの声がその時、彼女を現実に引き戻した。
心配そうなドクターの眼差しと、物珍しげな子供たちの目線が彼女をまっすぐに見つめ、スズランはハッと我に返った。
「えっ...!?」
アーツロッドの光が消える。さっきまで自分が考えていたこと―暗い衝動の恐ろしさに、背筋が凍る。下を見ると手は真っ白に握りしめられていて...慌てて手を放す。カランコロンと音を立ててアーツロッドが落ち、そんな彼女を心配するように、エントランスのほとんどの人から視線が集まる。
「い、いえ...!だ、大丈夫です...!お、お先に失礼しますね、ドクターさん...!」
慌てて挨拶を呟き、杖を拾いなおす。後ろから聞こえる静止や心配の声を聞かないように耳をふさぎ、彼女は逃げるようにその場を離れた。
心臓がバクバクと暴れ、頬が熱くなる。涙が出てしまいそうだった。さっきまで私は、どんな顔をしていたのか?
ドクターの純粋な心配の目が、まるで鏡のように彼女の汚い心を映し出す。こんな自分が、あの人のそばにいるなんて、許されない気がした。
「~でさ...あ、あれ?今の...」
「うおっと...作業中だから、気を付け...あれ、リサちゃん?」
艦内を荷物を抱え、急ぐ。
もしかしたら誰か友達とすれ違ったかもしれない。お世話になっている人が挨拶をしたかもしれない。
だが、今のスズランにはそれに応えられる余裕が、残っていなかった。
居住区画、オペレーター用居室セル群。
医療区画を抜け艦内奥部へと足を進める。部屋が近づき人通りがなくなると、ゆっくりとその足取りは重くなり、胸の奥底でつかえていた気持ちがむくむくと再び膨らみ始める。金色の大きな耳はぺしょりと垂れ、もふもふな尻尾はまるで床に引きずってしまいそうに、重く揺れる。
「はぁ...私...どうして、あんなこと...」
とぼとぼと歩きながら、彼女は思う。まるで暗闇の中を歩いているよう。
医療部での仕事はもちろん大変だ。頼れる仲間や患者さんの笑顔が支えになってくれるとはいえ、人が亡くなることもあるし、いつか来る結末に怯える患者さんを必死に励まし、笑顔を絶やさないのはとっても大変なことだ...心身を削り、精神をすり減らすのはよくあること――でも、
スズランはそれくらいのことで、今日よぎった思いを、そんなことを考えてしまった自分を、許すことはできなかった。
何が不公平だ。何が我慢だ。私はちゃんと、自分の意志でこの道を選ぶことを決めたのに。
それでも...ドクターの声、優しい笑顔、手のぬくもり――それらが今も頭を離れず、心をぐちゃぐちゃにかき乱す。
胸がずきずきと痛む。まるで、心の中で触れられない何かを、何度も何度も、必死で握りつぶしているようだった。
自室にたどり着き、スズランはパスをかざす。ドアは静かに動作音を立てて開き、疲れ果てたスズランは倒れこむように部屋に入ると、後ろ手にドアを閉じる。
電気の付いていない部屋は暗く、静かな印象だったが、ベッドはサイドテーブルのやわらかなランプの光に照らされ、鼷獣のぬいぐるみが無垢な表情で彼女を迎える。
「はぁ...今日も一日...おつかれさまでした」
小さな声でつぶやき、彼女は船内作業用の制服を脱いだ。いつもの補助術師としての戦闘服とは違い、動きやすさを重視した制服はロドスの制式ジャンパーと白いワンピースで構成されており、上さえ脱いでしまえば、部屋着としても使える。
じっとりとした汗をかいた肌が空気に触れ、冷える。シャワー室の方に目が向けられるが...
「シャワーは...あとでも、いいですよね...」
ベッドの端に腰を下ろし、ぼんやりと呟く。体は鉛のように重く、心は暗く渦巻いている。
疲労が骨にまで染みつき、ストレスが胸の奥に絡みつく。そして、その思いの中心には、あの人がいた。
「ドクターさんは...みんなに優しくて...とっても素敵な人なんですから...」
頭に残るぬくもりを思い出し、そっと呟く。ドクターの手が触れた感触はいまだに髪に残っており、そこにまるで手を合わせるように、片手を当てる。
暗い部屋に一人座っていると、心の奥で自分の声が響いてくる。
(自分だけに、その優しさをくれればいいのに)
そんな思いは、想いは、汚いとわかっているのに。「スズラン」として、あるべきでないとわかっているのに、抑えられない。
スズランは無意識に太ももを擦り合わせ、体の奥でむくむくと膨らむ「いけない気持ち」に心臓が締め付けられる。
「こんな、気持ち...持ってちゃダメなのに...!」
彼女は首を振って、自分を戒める。ドクターへの気持ちは、敬愛と尊敬だけのはずだ。純粋にあの人を支えたい、信頼に応えたい。それなのに、胸の奥底でうごめく何か――愛、欲望、願い――が、静かに息を潜めている。
スズランは真面目で、強い子だ。ロドスの皆の前ではいつも礼儀正しく、優しく、純真な少女として振舞い、彼女自身それを規範としている、大抵の大人が絶望してしまうような辛く、苦しい鉱石病の現実にも正面から立ち向かってきた。
でも、こうして一人きりの夜になると、心の奥に押し込めた感情が、抑えきれず顔を覗かせる――そんな日も、ないわけではなかった。
「ドクターさんは...こんなわたし、知ったら...軽蔑しますよね...」
彼女はもちろん清純な心を持ち、ある種「無知」であった。しかしそれは、彼女がロドスで医療や人体について学ぶ中で、一部の生活に必要な「そういった」生理学的な知識、そして対処法の例などについて知りえていないということではなかった。
ある夜、気の迷いから始めてしまったこの行為。ススーロ先生が難しい顔をして顔を赤らめながら、自分のような幼い女性患者を集め説明した、あの授業の後...シャワーを浴びながら、そのことについて思い返していたあの時――背徳感に苛まれながらも、その魅惑に抗えない自分がいた。
スズランは意を決したように立ち上がり、部屋の隅に置かれたタオルを手に取る。ぶつぶつと声にならない言葉を漏らしつつも柔らかなタオルを小さなベッドに置き、毛布を取り払い、四角く畳みテーブルに載せる。
「ドクターさん...じゃなくて...うう...いえ...」
タオルを広げながら、震える声でつぶやく。このタオルは幾度かの失敗を教訓にしたものだ。シーツを汚してしまったあの夜の恥ずかしさ、朝になって慌てて隠した記憶が、胸を苛む。
「こんなこと...今回で最後、今回で最後だから...」
羞恥と自己嫌悪が頬を熱くする。ワンピースの裾を、ゆっくりとまくり上げ、白いタイツを脱ぐ。華奢な肌がランプの光に照らされ、心臓がさらに早く鼓動する。震える指で下着に触れ、するり...と白い布が落ちる。冷たい空気が肌に触れ、彼女は小さく身震いした。タオルの上に座り直し、膝を抱える。耳としっぽがそわそわと揺れ、緊張と罪悪感が絡み合う。
「こんな...えっちなこと...わたし...だめな子だ...」
ふぅ、ふぅと息を落ち着け、目を閉じる。ただ気持ちを落ち着けたかった。
一日の疲れ、胸のざわめきを、快楽にふけり忘れたかった。
ドクターの顔が浮かぶ。あの優しい笑顔、温もり。あの人に知られているのはまじめでいい子の「スズラン」だ。誰にも見られていないときのこんな自分を、あの人は知らない。あの人は純粋に自分を信頼してくれている。なのに、こんな行為に溺れているなんて。
「ドクターさん...ごめんなさい...こんなわたし...」
そっと指を口に運び、ちゅ、と口に入れる。ちろちろ、ちろちろと小さな舌がそれを不器用に舐め、唾液を纏った指先が光にきらめく。
震える手が体の下へと伸び、未成熟な秘裂に触れた瞬間、彼女は小さく息を吞んだ。
すーっ...すり...すり...♥
「うう...っ、ふぅ...っ!! だめ...なのに...!」
小さな、快楽の声が漏れる。最初はなかなか気持ちよくなれないまま、授業の実践、ちょっとした「わるいこと」への誘惑から始めたことだったが、幾度か回数を重ねるにつれ、スズランは少しづつ自分がどこを触ると気持ちいいのか、そして何よりも快楽を受け入れることを学んでしまった。個室の中だとはいえ慌てて唇を噛んでこらえるが、指先が不器用にさすさすと動くたび、電流のような感覚が背筋を走り、小さく悩ましげな声が漏れる。心がぐちゃぐちゃになる。真面目な、あるべき自分が「やめなさい」と叫ぶのに、体の奥からあふれる甘い波がそれを飲み込んでいく。
すり...すち...くちゅ...♥ちゅぷ...♥ぶるっ...♥
「ごめん、なさい...わたし...っっ!」
次第に、部屋に小さな水音が響き始める。すりすりと指がそこを刺激するたびに、ちゅこちゅこと溢れる液が音を立てた。スズランの大きな耳はその小さな音をしっかりと届け、彼女は羞恥で顔を真っ赤にする。
くちくち...♥ちゅぷっ...♥♥ぬちゅ、ぷちゅ...ちゅぷっ♥♥♥
「ふう...っつっ...! うあぁっ...! ああっ...んあぁ...っ!」
声を抑えようと口を抑えるが、快楽は彼女を逃がさない。指の動きが少しづつ速くなり、湿った音がさらに大きくなる。呼吸が乱れ、動きのたびにゆさゆさと大きな尻尾が揺れ、ぱす♥ぱす♥とシーツを叩き、リズムを奏でる。
あたまが、あつい。触れてもらった温もりが、熱く、焼き印のように彼女を焼き、アーツの炎のように、体の熱を燃え上がらせる。きゅぅっ、とお腹の奥が縮むような感触とともに、物寂しい気持ちが心を揺らす。
快感が増すにつれ、その炎は体の中で大きく燃え上がり...抑えていた心が、少しづつほころび始める。
「ドクターさん...」
その名前が、ぽろりと口から漏れた。心の中のもう一人の自分が、驚きと絶望に揺れ、「だめ」と叫ぶ。
だが、快楽の波はそんな戸惑いを飲み込む。指の動きが大胆になり、体の奥から熱い波が押し寄せる。
「ドクターさん...わたし...!わたしぃ...!」
くちくちくちくち♥ぐちゅぐちゅ♥ぬち♥ぬち♥ぐちゃ♥びくっ♥びくっ♥♥♥
抑えていた気持ちが、まるでダムが決壊するように溢れ出す。敬愛と尊敬で、「オペレーター、スズラン」としての気持ちで上塗りしていた心の奥底。そこに溜まっていた、欲望、性欲、愛情、願い。それらが一気に噴き出し、彼女の理性を押し流していく。顔をぐしゃぐしゃに歪め、熱い涙が頬を伝う。
「ドクターさんに...触ってほしい...!ほめてほしい...!嫌われたくない...!愛されたい...!」
「リサ」は腰を浮かせ、快感に身をゆだねる。指先はじゅぷじゅぷと小さく秘裂に埋まり、膣の内側を刺激する。快楽と感情が絡み合い、頭が真っ白になる。
「うぁ,,,!あっ、ああっ...!ど、どくたーさん、どくたーさん...!すき、すき、すきです...!うううぅっっっっ!!!!」
声が抑えきれず、部屋に響き渡る。こんな気持ち、快楽の中でしか言えない。普段の自分なら、こんな、汚れた恋心、心の奥底に押し込めるのに....っ!!!!!―――体の芯が熱くなり、快楽が頂点に達した。耳と尻尾、そして両足がぴんと張り詰め、びくびくと震え―――抑えきれず、ぷしゃっ♥と音を立て、断続的に潮を噴き出す。タオルに水跡がびしゃりと飛び散り、シーツにも濡れた痕が広がる。
「はぁ...っ...ああっ...!あああああっ......!!!!!」
頭が溶けたように真っ白になり、快感の波が全身を駆け巡る。愛しさが溢れ、脳が焼ける。喘ぎな声を上げながら、タオルをぎゅっと握りしめた。心臓がバクバクと暴れ、愛しさと罪悪感が胸を焼き焦がした。ドクターへの気持ちが...恋心が、こんな形で溢れてしまった。
「こひゅーっ♥こひゅーっ♥うひゅ♥んふーっ♥ふーっ♥......ふぅ...ふぅ...」
突き出された尻尾に押し上げられた腰が、ゆっくりと呼吸が落ち着くにつれ下ろされていく。
先ほどまでは文字通りに感情の絶頂にあったリサの心は、快感の波が引くにつれ落ち着いていき、彼女の心に残ったのは、鬱々とした重い闇だけであった。
「わ、わたし、しちゃった...ドクターさんを、こんなことに...」
タオルによる防護を超えてシーツの濡れた痕を見つめる。びしょ濡れのシーツはすぐに夜の冷気に冷え、ぺとりと足に張り付く。それはまるで自分がこんな淫蕩にふける汚れた人間だとその身をもって教えているように思えた。欲望のままにドクターを求めてしまった。ドクターは自分を信頼してくれているのに、それを裏切った。
「わたし...最低だ...」
体の震えは絶頂の名残か、罪悪感のせいか。自覚してしまった恋心は、まるで心を蝕む毒のようだ。人を好きになることは素晴らしいこと、誰かを愛することは素敵な事。両親たちから教えてもらったことが、ぐるぐると頭の中を回る。ドクターを愛しているのに、こんな汚い形でしか想えない自分が、悲しくてたまらない。ぽろぽろと涙がこぼれる。先ほどまで張り詰めていた四肢からは力が抜け、ぼんやりと放心しているしかできなかった。
その時、突然部屋のドアがノックされた。
「スズラン、まだ起きてるかな?渡しそびれた資料があって...入ってもいいかな?」
聞き慣れた声。ドクターの声だ。
心臓が凍り付く。九本の尻尾が一瞬で逆立ち、目を白黒とさせる。
「え...!?ど、ドクターさん...!?な、なんで...!?」
頭が真っ白になりつつもドアに目を向け、ハッと気づく。ドアはしっかりと閉まっていたものの、ロックの状態を示すランプは開錠の青い光を灯していた。疲れて帰ってきたまま、部屋の鍵をかけるのを忘れていたのだ。
ワンピースはしわくちゃ、下着は下ろされ、タオルとシーツには行為の痕跡が明らかだ。
こんな姿をドクターさんに見られたら...!
「ど、どうしよう...!こんなの...見られたら...死んじゃう...!」
恥ずかしさと絶頂の余韻で体も頭も動かない。少しでも、見えないように、知られないようにしないと――そう思いたいのにぐちゃぐちゃの頭の中は、最悪のシナリオがぐるぐる回るので精一杯。いままで積み重ねてきたすべてが、壊れてしまう。尊敬する人に、好きな人に、こんな汚い自分を...!ドクターの「スズラン」への信頼も、実績も、こんな形で裏切るなんて...!
「やだ...!だめ...!どうしよう...!!」
心が叫ぶ。考える時間もない。混乱した頭は咄嗟に、一番バカバカしい選択をした。
ベッドの上で横になり、目をぎゅっと閉じて寝たふりをすることにしたのだ。
「こ、これで...気づかれない...よね...?」
自分でもその無理さに心の中で泣き叫びながら、必死に息を整えようとする。
心臓はバクバクと暴れ、顔は真っ赤で汗が流れ落ちる。耳はぴくぴくと震え、尻尾は緊張で硬直している。そして何より、彼女のその痴態を隠してくれる可能性のあった毛布は、事前に几帳面に畳まれ、手の届かない遠くに置かれていた。
「お、おねがいします...神様...!き、気付かないで...!」
答えが返ってこなかったことで、ドクターは疑問に思いつつもドアに手を掛ける。鍵がかかっていないことに気づき、少し驚いた様子で部屋に入ってくる。もちろん部屋の中がこんな状況だと想像すらしていなかった。
「スズラン?...おや、鍵開いてたんだ。渡しそびれた書類なんだけど...寝ちゃってるかな?」
声が部屋に響く。新鮮な廊下の外気が部屋に吹き込み、スズランは気づいた。部屋に漂う、甘酸っぱいむせ返るような性の香り。行為の痕跡が、部屋中にべっとりと染みついているのだ。ドクターがフェリーンやヴァルポみたいな鼻の良い種族の人じゃなくても誰もが気付けるだろう。そう考えるだけでも心臓が砕けそうになる。
(も、もうむりだぁ リサは...リサはもうだめです....!!! パパ、ママ、先立つ不孝をお許しください...!)
ドクターは一歩踏み入れたところで、ピタリと動きを止めた。視線がベッドの上のスズランに注がれる。
部屋の電気こそ消されていたが、枕元のランプによってその姿は丸見えだった。ワンピースがまくり上げられ、下着は膝に引っ掛かり、タオルとシーツに濡れた痕を残したスズラン。秘所はまだとろとろと蜜に濡れて光り、誰の目にも自慰の後だとわかる状況。顔は真っ赤で、目はぎゅっと閉じられているが、その不自然さがすべてを物語っていた。
ドクターの目が丸くなる。
「...お、おっと...!?」
驚きと戸惑いが混じった声は、突き刺さるようにリサの耳に届く。彼女は心の中で絶叫した。
(バレてる...!こんなの、バレバレだよ...!ドクターさんに、こんな姿...!)
想像する中で...いや、想像もしないほどに最悪な状況だった。尊敬する相手に絶対に見られたくない姿...!
絶望感が胸を突き刺す。恥ずかしさで体が燃えるようだ。シーツの水跡、部屋の香り、こんな姿...何も隠せていない!寝たふりなんて、絶対にバレている。頭がおかしくなりそうだった...いや、もはやおかしくなっているのかもしれない。バキバキに壊れた心には、どこかでドキドキする自分がいた。このままドクターさんが...なんて、ありえない妄想が頭をよぎり、心がさらに乱れる。
(あ、あは、あはは!!!!どくたーしゃんに、全部、見られてる!!!スズランちゃんはもうおしまい!神様、わるい子のリサをいますぐころしてぇぇ!!!!!!!)
ドクターは一瞬...というには長く呆然としていたが、すぐに目をそらし、気を取り直すように小さく咳払いをする。スズランの鬱屈した恋心や欲望...そんなものをつゆにも思っていなかったドクターは、常識的に考えた。
(スズランも、もうそういうお年頃なんだ...自分が思ってるより、大人なんだな......)
「あー...書類を持ってきたんだが、おやすみ中かー。急ぎのものでもないし、また明日渡そうかー」
声はわざとらしいほど明るく、「見なかったことにする」ための優しさと努力がわかりやすく含まれている。
リサは心の中でそんなドクターの優しさに涙しつつ、恥ずかしさで爆発しそうになる。
(ドクターさん...こんなわたしを...嫌わないで...)
ドクターは書類を手に持ったまま、そそくさとドアの方に戻る。急いでがちゃがちゃとドアロックの端末を操作し、ドアが閉まってから数秒後に自動でロックする設定に変更した。
「じゃ、じゃあ、おやすみー!」
慌てた様子でドアを閉め、足音が遠ざかっていく。その足音はどこかもつれたように不規則で、どたばたと廊下の奥へ消えていった。
ドクターが出て行って数秒後...ピロンという電子音とともに、カチャリと音が鳴りドアロックが赤に光る。
部屋に静寂が戻った瞬間、スズランは止めていた息を吐きだした。
「はぁ...っ!はぁ....!う、うそ、う、うぇえ、おえ...!ぜ、ぜんぶ、見られ、ちゃった......!!!」
ベッドの上で体を丸め、ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。恥ずかしさと葛藤がキリキリと心と内臓を締め上げ、胃の中身を吐きだしてしまいそうだ。ドクターさんに見られたくないところを...心も、体も...、全部見られてしまったという後悔が、胸をぎゅっと締め上げる。嫌われるんじゃないか。不埒な女性と思われたんじゃないか。そんな恐怖が、頭をぐるぐると回る。でも、ドクターさんは優しく見なかったことにしてくれた。その純粋な優しさが、尊敬の気持ちをより強くするとともに、恋慕の気持ちを耐えきれないほどに膨らませる。
「なんでぇ...なんでこんなわたしに...優しいんですかぁ...?!!」
葛藤が募る。明日は秘書として手伝いに行くスケジュールだ。あの人は私が何もなかったように顔を出せば、触れることもなく迎えてくれるだろう。...それでもこんな汚い自分を見せてしまったこと、信頼を壊したかもしれないことが許せない。自分の罪を罰して、救ってほしい。私の罪を受け止めて、断罪してほしい...そんな身勝手な気持ちが渦巻き、目からぽろぽろと涙がこぼれる。
「ドクターさん...すきです...ごめんなさい、ごめんなさい...!悪い子のリサを...嫌いに...ならないでください...!」
ぎゅうぎゅうとぬいぐるみを抱きしめながら、恥ずかしさと後悔の涙が頬を濡らす。罰されたく、赦されたかった。積もりに積もってねじれ、屈折した恋心はこんな形でしか表に出せない。愛しさと罪悪感、自己嫌悪とうっすらとした期待、恐怖と尊敬が絡み合い、心に根を下ろす。
夜闇は深く帳を下ろし彼女を慰め、泣き疲れた彼女は鼻をひゅーひゅーと鳴らしながら、眠りに落ちる。淡い秘密は、ぬいぐるみと部屋の静寂だけが知っていた。
こちらの小説はゆなちさんのかわいいオナバレスズランちゃん(https://www.pixiv.net/artworks/128471988)のイラストから着想をもらいまして執筆いたしました。ちっちゃい子がちゃんとした後処理とかの知識もないのに感情のままやっちゃって焦るやついいよね...過激に誘っちゃうのもゆなちさんのfanboxで見れるのでぜひ
この度は引用等寛大なお許しを頂きまして、ありがとうございました!
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