※この作品はR-18です。

侯爵令嬢物語【完結】〜羞恥と快楽の果てに令嬢と女騎士の姉妹が選んだ甘美な隷従   作:ドン・ドナシアン

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52  少女たちの奸計─オプセリカ参り(6)

 湯から引き上げられた肌に、石造りの床の冷たさがじわりと沁み込んでくる。

 けれど、それよりも冷やされていたのは羞恥の方だった。

 

 両腕は、いまだ頭の後ろに上げたまま。チョーカーの後方に親指の根元の指輪を密着させられたままの姿勢は崩れず、どれだけ力を込めても剥がれない。まるで、肌そのものが石に呑まれたような錯覚すら覚える。

 両乳首とクリトリスの根元に嵌っている《レコル》と同じで、親指の指輪も、セリーヌの意思では外せない。この館に連れて来られてから、一度も外されたことはない。

 

 セリーヌは、湯座(とうざ)に座らされていた。

 館の洗い場に設えられた特製の座具。お尻を乗せる部分の中央には細く割れ目があり、下から液体や器具を差し込むことができる造りになっている。見た目は質素だが、用途は明白だった。貴族の屋敷にあるようなものではない──ここは、そういう場所だった。

 

 ──いまは湯の外にいる。でも、浴槽の中では寸止め責めが延々と続いていた。

 

 脇、腕、内腿、陰唇の輪郭。触れては止まり、撫でては引かれ、呼吸が乱れて、達しそうになったところで、またすっと離される。

 マッサージと称していたが、実際には愛撫となんら変わらない。それどころか、拘束されたまま抵抗もできず、熱い湯の中で意識がじわじわと蕩けていくようだった。

 

 そして──湯から引き上げられ、洗い場へ連れてこられる直前、すべてが明白になった。

 逃げられない。やめさせられない。ふたりの少女がなにをしようとしていたのか、ようやく理解できた。

 

「じゃあ、いまから“洗い”に入るね」

 

 ミナが小さく声を弾ませて、瓶を掲げる。とろりと重たい透明の液体が、ゆっくりと瓶の底を波打ち、淡い甘さと鋭い清涼感の入り混じった香りを、洗い場いっぱいに漂わせていた。

 

「このローション、覚えてる、ミナ? あたしたち、最初のオプセリカ訓練で使われたやつだよ」

 

 アヤが背後にまわり、くすくすと笑い声を立てる。

 

「痒くて死ぬかと思った。アヤなんて、唇の先っちょばっかり撫でて、ずっと放っておくの」

 

「ミナの方が意地悪だったくせに。筆でずっとくすぐってきて、わたしが泣いても止めなかったじゃん」

 

「だってドミナ訓練だったんだよ? 手抜いたら、怒られるもん」

 

 あまりに無邪気な調子。けれど、その言葉は、妙に重たく心に沈んでくる。

 

「それじゃあ……セリーヌは、いつ“お願い”してくれるのかなあ?」

 

 ミナが膝をついて、湯座の間近にしゃがみ込む。

 アヤはそっと耳元へ口を寄せた。

 

「ありがとうね、セリーヌ。あたしたちの練習台になってくれて。……ちゃんと頑張るよ。認められて、高級娼婦になりたいの。あたしたち、ほんとに必死なんだ」

 

 その言葉には、からかいでも調子づいた軽口でもない、真っ直ぐな熱が宿っていた。

 

「……それは、約束したから、練習台になるのは構わないわ。でも……やり方が、あまりに一方的よ」

 

 口に出した瞬間、自分でも驚くほど、声に力が入っていた。

 ──そう、さすがに、あれはひどすぎた。湯の中で、ふたりがかりで愛撫して、反応を読みながら、強引に言質を取られた形だった。

 

「まあまあ、その代わり、ちゃんと気持ちよくしてあげるから」

 

「うん。セリーヌが“欲しい”って言わない限り、最後まではしないけどね」

 

「その代わり──あたしたちの方は、ずっと触ってるかも」

 

 ふたりが笑いながら、手のひらにローションを垂らす。粘り気のある液体が、ぬるりと伸びていく。

 

「ひんっ……」

 

 次の瞬間、四本の手がセリーヌの肌に触れた。

 腕、腹、脚の付け根──慎重に、だが的確に、じわじわと塗り広げられていく。

 セリーヌは、一切の耐性を保ちたいと思っていた。

 けれど、どこまで耐えられるのか、それはわからなかった。

 正直、本当は全く自信はない……。

 

「これは、なんにも感じなければ、普通の洗浄液なんだけどね」

 

「性感帯としての反応が強いと、そこだけ痛いくらいの痒みが発生するらしいよ」

 

「うん、つまり、感じちゃうと痒みに変わるってこと。だから、セリーヌが感じなければ、ただのローションでしかないよ」

 

「間違っても、愛液なんか出さないようにね。愛液に混ざると、それはもうすごい痒みに変わっちゃうから」

 

 そんな説明を聞きながら、ミナとアヤはセリーヌの背中にローションを塗り広げていく。

 背骨の丘をなぞりながら、おしりへ向かって指先がなだらかな曲線を描いていく。

 肩甲骨、うなじ、腕の内側──どこまでも丁寧に、しかし迷いなく塗り込まれていく。

 まるで織物が肌に直接縫い込まれていくような、ぞわりとした感覚が全身を這い回った。

 

「んっ、んんっ……」

 

 ローションは胸元へと及び、ミナの指が乳房の丸みをやさしくなぞる。

 そのすぐ後を、アヤの手がなめらかに追いかけ、包み込むように肌を撫でる。

 やがて、胸の先端──乳首にローションが触れたとたん、セリーヌの口から息が漏れた。

 

「くっ……か、痒いっ……」

 

 胸の先端が、きゅっと縮こまり、瞬く間にひりつくような痒みに襲われる。

 脇腹、そして内腿にも、ローションが触れた部分から、次々に甘くも鋭い刺激が立ち上ってきた。

 

「あっ、あんっ、そこも──」

 

 くすぐったさと、痒みが、波のように折り重なって神経を揺さぶってくる。

 

「へえ、案外早いね」

 

「うん、やっぱり、敏感なんだ」

 

 そして──。

 

「ついに、ここだね……」

 

 ミナの指先が、セリーヌの鼠径部へと漂い、アヤが指先をそっと尖らせながら、性器のまわりをゆっくり撫でた。

 視界が真っ白になる。

 次の瞬間、股間に広がったのは、焼けるような痒みだった。

 

「ひゃああっ、なにこれっ……。か、痒いいっ……」

 

 セリーヌはのけぞり、背中を反らせながらも、腕は頭の後ろで拘束されたまま。

 逃げようにも逃げられず、身体の芯を貫く痒みにただ悶えるしかなかった。

 

「わはっ、ひどいことになってるよ」

 

「やだやだ、もう、すごいじゃない」

 

 暴れようとする身体を、ミナとアヤのふたりが押さえつける。

 指はまだ止まらず、ローションは股間にも丁寧にすり込まれていく。

 セリーヌの理性は、限界の淵へと追いやられようとしていた。

 

「あっ、あっ、ああっ……んあっ……あ……っ」

 

 ──しかし、激烈な痒みの発生の後は、ふたりの手は、一転して痒みの中心に触れなくなった。

 むしろ、その周囲ばかりを丁寧になぞり、なで回してくる。

 

「ほら、我慢して……。触ってないでしょ?」

 

 ミナが微笑を浮かべたまま、鼠径のすぐ上、骨盤の内側をゆっくり撫でる。

 

「ねえ、痒いのって、そこじゃないの?」

 

 アヤは、太ももの内側を親指で押し広げるように撫でながら、耳元でささやいた。

 

「くうっ……うそ、やめて……」

 

 セリーヌの声は震えていた。

 ほんの数指分、中心から外れた場所ばかりを責められて、それが余計に痒みを煽る。

 火照りが増し、痒みは渦を巻くようにして拡がっていく。

 でも、触れてはくれない。掻いてもらえない。解放されない。

 

「セリーヌ、お願いすればいいんだよ」

 

 けれど、セリーヌの首は、縦に振れなかった。

 でも、すぐにその決意は崩れた。

 

「んんっ、か、痒いの、そこが……っ。お願い──」

 

 セリーヌはついに声をあげた。

 

「うん、痒いんだね」

 

「よくわかったよ」

 

「でも、触って、じゃないから、なにもしないよ」

 

 ふたりがけらけらと笑う。

 その手は、絶妙に“そこ”を避けながら、なおも焦らすように動いていた。

 痒みと羞恥が入り混じり、セリーヌの心は限界ぎりぎりの場所に追いつめられていた。

 

「セリーヌ、今度はちゃんと、お願いしてみたら?」

 

「“触って”って、ちゃんと言ってくれたら……ねえ?」

 

 その言葉は、甘やかすように響いてくる。

 

「わ、わかった──。触って──。痒いの──」

 

 声に出した瞬間、涙が滲んだ。

 こんなにも惨めな台詞を、自分が口にするとは思わなかった。

 

「うん、ちゃんと触ってって言えたね」

 

「でも、触ってあげるって、約束してないよ」

 

 ふたりは笑う。

 すると、ミナが新たな小瓶を手に取った。

 先ほどのものよりも、色が薄く、匂いもさらに鋭さを増している。

 

「これ、仕上げ用のローションなんだって。さっきのより、三倍くらい効くらしいよ」

 

「どこに使おうかな。、セリーヌが“そこ”には、使うなというなら使わないかも。でも、セリーヌがお願いすれば、使うかもね」

 

 ふたりの笑みは変わらず優しく、残酷だった。

 再び手のひらに垂らされたローションが、内腿の上部にじわりと広がる。

 そして、脇腹の下端、肋骨の内側へ、ゆっくり、まるで肌に染み込ませるように塗られていく。

 そして、局部とクリトリスとアナルに塗り込まれる。

 

「ひぎいいいっ、んっ、ひぃっ……っ、だ、だめええ……」

 

 すでに限界に達していた神経が、さらに鋭い刺激で追い詰められていく。

 桁違いの痒みが襲いかかってきた。

 だか.触れたのは一瞬。

 すでに、ふたりの指は離れている。

 もう触れられていない中心部が、まるで熱病のように疼いていた。

 アヤは、セリーヌの首筋に頬を寄せ、ささやくように口を開いた。

 

「セリーヌ……お願いすれば、ちょっとだけ掻いてあげるよ?」

 

「ちょっとだけ、ね」

 

 ミナが補足するように笑う。

 その指先は、鼠径の際をなぞるように、熱を塗り重ねていく。

 

「言えば楽になるのに」

 

「ほら、“犯してください”って、ね?」

 

 言葉のひとつひとつが、セリーヌの耳の奥に突き刺さる。

 痒みは、いまや呼吸を奪うほどに強烈なものとなっていた。

 でも、ふたりが明らかに意地悪をしているのはわかってしまった。だったら、なおさら言いたくない。

 胸の奥にたまる涙と、嗚咽と、喘ぎと。……それでも、犯してはだめ。クロエとルシアンじゃないのに、言いたくない。

 

「くっ……くぅっ……っ、あ、ああ……」

 

 声にならない呻きが漏れる。

 目の前が、じりじりと黒く染まっていく。

 だが、まだ──まだ、口にはできなかった。

 セリーヌは、指先ひとつ届かぬ距離で、救済と屈辱の間をさまよっていた。

 

 その瞬間、ふたりの指が、ようやく痒みの芯をえぐるように擦りあげた。

 

「んくううっ──」

 

 熱い吐息が漏れ、身体がのけぞる。

 脈動のたびに、痒みが溶け、快感へと変貌していく。

 

 けれど──。

 それすらも、ほんのひとときの許しだった。

 

 ふたりは、なおもその最奥には届かせず、何度も寸前で手を止める。

 セリーヌが息を呑むたび、指先はひと撫でしただけで引き下がる。

 震える太ももに触れては、すぐに離れ、臀の輪郭を指先がかすめたかと思えば、ただ熱を残して遠ざかる。

 

「……やめて……そんな、周りばっかり……っ」

 

 セリーヌは呻いた。

 懇願にも似た声だった。

 けれど、ふたりの手は止まらない。

 いや、止まらないどころか、いっそう滑らかに動き始めた。

 

 指先が円を描く。

 ひとまわり、またひとまわり。

 乳首の周囲をなぞるように、じっくりと焦らしていく。

 内腿を撫で、膝裏をくすぐり、足の甲へと撫で下ろす。

 まるで焦点を外すこと自体が、訓練の一環かのように。

 

 セリーヌは歯を食いしばり、喉の奥で悲鳴を抑えた。

 堪えようとする意思だけが、ぎりぎりで崩れかける理性を支えていた。

 

 それでも、なおふたりは続ける。

 乳房の下の柔らかな窪み。

 脇腹の、痒みに直結する神経の走る筋。

 骨盤の縁を指でなぞるように、愛撫の圧を調整しながら、的確に「そこではない」場所を責め続けた。

 そのたびに、セリーヌは耐えた。

 

 だが──。

 

 次に問われるのは、もっと深い、もっと踏み込んだ“お願い”──

 

 それを口にしなければ、終わりは訪れない。

 それが、ここでの掟だった。

 

 ついに、セリーヌは口を開いた。

 

「……お願い、痒いの……。そこ……いちばん奥……、撫でるんじゃなくて、掻いて……指を、もっと強く擦って……っ」

 

 その瞬間、ふたりの指が、ようやく痒みの芯をえぐるように擦りあげた。

 

「ふあああっ」

 

 熱い吐息が漏れ、身体がのけぞる。

 脈動のたびに、痒みが溶け、快感へと変貌していく。

 

 けれど──。

 それすらも、ほんのひとときの許しだった。

 ふたりは、なおもその最奥には届かせず、何度も寸前で手を止める。

 セリーヌが息を呑むたび、指先はひと撫でしただけで引き下がる。

 震える太ももに触れては、すぐに離れ、臀の輪郭を指先がかすめたかと思えば、ただ熱を残して遠ざかる。

 

 お腹の下を、ゆっくりと、ぐるりと撫でる。

 そこが近づくたびにセリーヌの腹筋はひくつき、奥にある痒みが叫びをあげるようだった。

 しかし、決してその中心には触れない。

 触れそうで、触れない。

 指先が陰唇の縁にそっと置かれたかと思えば、ただなぞるだけで、また離れる。

 

 その繰り返し。

 くすぐるように、焦がすように、飢えをあおり立てながら、焦点をすり抜けていく。

 

 セリーヌは最初、救いのように思った。

 すぐに終わらせないことへの感謝すらあった。

 しかし、その想いは長くは続かない。

 

 痒みは、収まることなく、むしろ濃く、鋭くなっていく。

 擦られたことで目を覚ました炎は、触れられないことで鬱積し、飢えて、怒り始める。

 

 逃げられない。

 両手は後頭部に固定されたまま。

 身を捩っても、脚を閉じても、痒みの芯は決して沈まない

 

「……ちがう……そこじゃない……っ、そこじゃ、ないのよ……っ」

 

 掠れるような声が唇からこぼれる。

 だが、ミナが掻いたのは脇腹。

 アヤが擦ったのは、うなじだった。

 

「……やだ……違うのに……っ、なんで……っ」

 

 痒みは、核心にだけ沈殿していた。

 そこだけが、満たされない。

 

「……ねえ、もっと、はっきり言ってくれないと……」

 

 ミナが囁く。

 

「どこを、どのくらい、どうやって掻いてほしいのか……ね?」

 

 アヤも笑う。

 

 セリーヌは、一瞬ためらった。

 だが、次の痒みの奔流に呑まれ、言葉を絞り出す。

 

「わ、わかった……。お股と……」

 

「お股?」

 

「ここらへん?」

 

 ふたりの指が指数本分、離れた場所を揉むように動く」

 

「ひいいんっ」

 

 セリーヌは跳び上がりそうになった。

 でも、ふたりに押さえつけられる。

 だけど、違う。

 そこじゃない。

 あと、ちょっと。

 ほんの少し……。

 

「ちゃんと言えたら、ご褒美あげるよ、セリーヌ」

 

「うんうん、いやらしく、お強請りしてね」

 

 指が離れていく。

 今度はまた、放置。

 だめっ。もう我慢てきない。

 

「……クリトリスと……おまんこと、お尻の穴を……」

 

「よく、聞こえないなあ」

 

「うん、もっと大きな声でね。ちゃんとご褒美はあげるから」

 

 ふたりはどこまでも意地悪だった。

 恥辱に涙がにじむ。

 でも、言わないと、ご褒美はなし……。

 

「……クリトリスと……おまんこと、お尻の穴を……強く……とっても強く掻いて……っ」

 

 叫ぶように言った。

 しかし、その瞬間、ようやく、ふたりの指が「そこ」へと届いた。

 熱に焼けるような痒みが、ようやく掻かれ、揺さぶられ、ほんの短い間だけ安堵が訪れた。

 

「おっぱいも──。乳首もぎゅっ、ぎゅっ、ってして──」

 

「うんうん、ぎゅっ、ぎゅっだね」

 

「こんな感じかな?」

 

 股間を揉まれながら、左右から胸に手が伸びて、乳首を指で摘まれて乱暴に拗られる」

 

「ひあはあっ、気持ちいいの──」

 

 セリーヌは叫んでしまった。

 ふたりの手は乱暴だった。

 でも、いまはそれくらいがいい。

 身体ががくがくと震える。

 いきそう……。

 

 けれど、それも束の間。

 指が全部、離れた。

 また、ぎりぎりで……。

 

「あんっ」

 

 全身が脱力する。

 また、寸止め……。

 

「はい、ちゃんと言えたね」

 

「えらいえらい。でも……ご褒美は、ちょっとずつだからね」

 

 そして、再び焦らしが始まる。

 寸止めの地獄は、まだ終わらなかった。

 

 幾度も、触って欲しい場所を大きな声で言わされる。

 言えば、強く掻いてくれる。

 

 でも、必ず最後まではしない。

 寸前で終わる。

 

 セリーヌにも、わかってきた。

 最後までというのをセリーヌは、“お願い”してない。だから、“ご褒美”がもらえないのだ。

 それを口にしなければ、終わりは訪れないというのもわかった。

 

「お願い……もう、もうだめ……最後まで……果てさせて……──、最後まで犯して──」

 

 ついに、セリーヌの声が涙に濡れた。

 限界の果てで、抗いようのない衝動が、口をついて出たのだった。

 ミナとアヤは顔を見合わせ、微笑む。

 

「はい、よく言えました」

 

「じゃあ、いくね……。ご褒美だよ」

 

 ふたりは前後に分かれ、セリーヌの身体を優しく包み込む。

 ミナの指が前を、アヤの指が後ろを、それぞれの穴に指先を押し入れる。

 

「ひああっ」

 

 交互に、絶妙なリズムで、指が出入りする。

 前と後ろが、まるで共鳴するように、刺激を与え合う。

 

「っ──あっ、ああああっ……」

 

 膣の奥に押し上げると同時に、アナルの中でも指が蠢き、粘膜をなぞる。

 指先が、壁をこすり、少しずつ出し入れされるたびに、セリーヌの身体はびくんと跳ねた。

 クリトリスも刺激され、乳首と乳房も荒々しく揉まれる。

 

 ──来る、と思った。

 ようやく、これで解放される、と。

 ふたりの指の動きが徐々に深く、速くなり、全身が快感に震える。

 

「はっ……んっ、くうっ……」

 

 けれど。

 その刹那、寸前で動きが止まった。

 すべてが凍りついたように、指先がピクリとも動かなくなる。

 しかも、抜かれてしまった。

 

「……あっ……あああっ……なんで……なんで止めるの……っ」

 

 セリーヌは涙をこぼしながら、身体をよじった。

 痒みも、疼きも、焦れも、すべてが未完のまま身体に残った。

 

「ちゃんとお願いしたのに……ちゃんと……果てさせてって、言ったのに……」

 

 ふたりは顔を近づけ、くすりと笑う。

 

「だって……クロエ様に言われたんだもん。最後までは、させるなって」

 

「そうそう。勝手に果てさせたら、ご褒美もらえないんだって」

 

「それで、弟や妹たちに仕送りできなくなっちゃうのは困るしね」

 

「でも、ありがとう、セリーヌ。自分からして欲しいって、言ってくれて。セリーヌにそれを言わせるのが、ご褒美の条件だったんだ」

 

 その瞬間まで、どこかで「ご褒美」という言葉にすがっていた。

 最後には許してくれると、希望を抱いていた。

 だが、それすらも──罠だったのだ。

 

「ははは、じゃあ、練習台はもう終わり。ローションはちゃんと洗い流してあげるね」

 

「セリーヌには、ちゃんといい気持ちにさせてあげるから」

 

「最後まではしないねどね」

 

「セリーヌって、ほんっとに、可愛い。大好きになっちゃった」

 

 ふたりの笑顔は、どこまでも素直で、悪意のかけらもなかった。

 それが、むしろ堪えた。

 

 ──全部、クロエの差し金だった。

 

 その現実を突きつけられ、セリーヌは力を失ったように項垂れた。

 風呂場に満ちた湯気は、ゆっくりと静まり返っていった。

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