侯爵令嬢物語【完結】〜羞恥と快楽の果てに令嬢と女騎士の姉妹が選んだ甘美な隷従 作:ドン・ドナシアン
「足、痛くないですか」
歩きながら、クロエがぽつりと言った。
しかし、クロエは、セリーヌの返事を待たずに歩き続ける。振り返ることもない。その背中が、なぜかいつもより小さく見えた。
「……平気よ」
セリーヌは短く答えた。
本当は、手枷の擦れる感触が背中に残っていて、脚も熱に浮かされたままだったけれど、そんなことはどうでもよかった。沸きあがった愛欲の熱が、身体の内側をしつこく疼かせていた。
いつのまにか夜になっていた。
どこを歩いているのかは、わからない。けれど、廊下の空気が、さっきまでのエリアとはわずかに違っている気がする。あのノヴァたちのいた空間の華やかさと熱気が、いまはどこか遠くなっていた。
クロエの背中が、妙に静かだ。
肩が少しだけ張っていて、歩幅もほんのわずか不規則に見える。誰も気づかないような揺らぎだけれど、セリーヌにはわかる。
クロエは、いま、緊張している?
そして、一枚の扉の前で足を止めた。セリーヌもクロエの横につく。
見覚えのある装飾。貴族のオプセリカたちが並んでいたエリアに、また戻ってきたのかもしれない──。そんな予感だけが、微かに頭をよぎる。
クロエがノックをする。
返事はない。
代わりに、魔道錠が外れる小さな音がした。乾いた、しかし確かな音だった。
「ここが、最後のオプセリカ参りになります。中の男性の指示に従いください」
クロエの声は、静かだった。
けれど、その語尾には、やはり、かすかな緊張の翳があった。
扉の内側には、高級感のある室内が広がっていた。壁には金糸の織物が掛けられ、天井からは繊細な細工の施されたランプが柔らかな光を投げかけている。部屋の中心には、四隅に太い柱を持つ大きな寝台が据えられ、その上には若い女性が拘束されていた。
女性は仰向けに寝かされ、両手両足は寝台の四隅に引かれている。四肢は緩みなく伸ばされ、白布が胸元から太腿のあたりまで覆っていたが、その露出された手足が生々しく目に飛び込んでくる。
寝台のすぐ横には、車椅子に腰かけた老人がいた。落ち着いた身なりに、威圧的ではないが存在感のある男だった。
「今夜、依頼をしたオプセリカはお前か。わしの代わりに、このオプセリカを満足させてやって欲しい」
老人は静かに口を開いた。セリーヌは、視線を背後に立つクロエに移す。
クロエが小さく頷いた。すでにほかのオプセリカに奉仕する経験をしてきたセリーヌは、ここでも同じ役割を果たすのだと理解した。
セリーヌは、特にためらうことなく寝台へと歩みを進めた。
寝台のすぐ手前で動きを止める。
布がかけられていた。薄い、麻混じりの白布。胸元から太腿のあたりまでを覆うように、丁寧に掛けられている。それが逆に、露出された手足の存在感を際立たせていた。
また、寝台はかなり大きく、大きめの寝台の三倍はあるのではないだろうか。
両腕は寝台の左右の隅方向に斜めにまっすぐに引かれ、指先まで神経が通っているような、張り詰めた緊張が感じられた。細すぎず、肉づきがよすぎることもない──女性らしい輪郭のある二の腕と、引き締まった手首。皮膚は白く、血の気は少なめだが、磨かれている。
脚も同じだった。膝から足首にかけて、滑らかに流れるような曲線が続いている。細く、長い。そして、ただ細いだけではない。どこか、鍛えられている印象があった。貴族の肉体ではある。けれど、そのままではない。筋肉の配置に、意志の痕跡のようなものが宿っている。
この女は、自分の肉体に無関心な人間ではない。
そして、セリーヌは気づく。
髪が、長かった。
黒い、艶のある髪が寝台の縁を越え、さらに下へと流れ落ちている。寝台の下で丸くまとまるほどの長さがあった。きちんと整えられていて、手入れを怠っている印象はまるでない。
セリーヌが寝台の上にあがると、老人の声が再び響いた。
「わしは、もうこの身体では女を抱けん。だが、ある筋から、こいつを預かった。口惜しい話よ。これほどの肉体を抱けぬまま、朽ちていくとはな……」
老人は皮肉に口元を歪めると、淡々と続けた。
「だからこそ、見届けたい。わしが抱けぬなら、その代わりに……お前が、この肉体を味わい尽くしてくれることをな」
その言葉に、セリーヌは一瞬だけ表情を曇らせた。だが、次の瞬間には平静に戻り、静かにうなずいた。
セリーヌは、寝台の上にあがった。
スカートの裾が静かに広がり、床に触れる。後手に枷を嵌められているため、両手は使えない。けれど、そうした姿勢を取ることは、いまのセリーヌにとって特別なことではなかった。
脚のあいだに顔を近づける。白布の端が、微かに揺れた。寝台に拘束された女性の身体が、逃れようとするように身じろぎしたのだ。枷の金具がきしむ音が、控えめに響いた。
その反応も、見慣れたものだった。
セリーヌが顔を近づけると、拘束されていた女性と初めて視線が交差した。認識阻害具がつけられているはずなのに、その女性は、セリーヌの顔をはっきりと見ているような──そんな驚愕の色を浮かべた。
女の口にはボールギャグが嵌められて声が出ないようにされていた。
「んぐうっ」
ついで、口元が震え、大きな呻き声が漏れた。まるで、信じられないものを見たというように。
しかし、女の耳にある認識阻害具の《ヴィサリエ》は、顔だけじゃなく、声も気配も、セリーヌの認識を邪魔する。いまのセリーヌには、彼女が知り合いだとしても、それを知る方法はない。
セリーヌは戸惑いながらも、その反応に心を波立たせた。
「気にせず、進めてやってくれ」
老人の声が割り込んだ。
「は、はい……」
「なあに……。やってきたオプセリカが若いから、驚いているのだろう。年寄りの相手を想像していたところに、お前のような娘が現れたら、そりゃあ、驚くというものさ」
含み笑いを浮かべたその口調には、嘲りでも怒りでもなく、ただ冷ややかな観察者の色があった。
まあ、奉仕は初めてではないし……。
顔は見えない。声も届かない。だが、責める指先や舌の動きに、全身で応じてくる反応は、言葉よりもずっと雄弁だった。
この女性も、同じだ。
脚のあいだから感じ取れる熱気と緊張。自分を受け入れないという意志。あるいは、まだ屈していないという硬さ。それらはすべて、セリーヌの目を、舌を導く指標になる。
ふと、白布の下に視線を滑らせた。
腹部の滑らかな輪郭が、布越しに透けて見えた。肋骨の浮き立ちも、脇腹のくびれも、美しかった。布の向こうに、かすかに肌が起伏しているのが見えた。少しだけ身体を前へ傾け、顔をさらに近づける。手が使えないぶん、身体の重心と角度で距離を調整していく。
「んんんっ、んんんっ」
──抵抗が、強まった。
女性の全身が、わずかに跳ねた。ボールギャグが軋んだ音を立て、拘束具がまた軋んだ。
だが、セリーヌは動じなかった。
唇の端を湿らせ、頬にかかる髪を息で吹き飛ばすと、そのまま布の隙間に顔を滑り込ませる。空気が変わった。皮膚が、彼女の吐息に反応して、細かく震えていた。
布を引き剥がした瞬間──セリーヌは、息を呑んだ。
「んんっ」
女性の呻き声に羞恥の響きが混じった気がした。
そして、その理由はすぐにわかった。
目の前にある股間が、すでに濡れていたのだ。
粘液が、割れ目の奥から滲み出している。濃く、ぬめりを帯び、陰毛の根元まで光っている。舌も指も、まだ触れていないというのに。
思わず見つめたまま、動きを止めた。
いま初めて見る女性の身体。けれど、その反応は、すでに何かの快楽責めに晒されたあとのようだった。
──寸止め責め?
ふと、そんな言葉が浮かんだ。
セリーヌ自身が、つい先ほどまで味わっていた愛欲の焦らし。その記憶が、ぴたりと重なる。感じることを許されず、絶頂の寸前で何度も引き戻される感覚。その果てに、身体は拒絶と欲望のあいだで引き裂かれ、ただ濡れていく。
この女性も、もしかして?
寝台の枷で引かれた腕が、わずかに震えていた。
口でさらに布を引く。
布が胸元から滑り落ちると、乳房が露わになる。かたちの整った、重すぎない胸。柔らかそうな質感が、そのまま空気に解かれていく。
乳首が、硬く立っていた。
淡い紅色。輪郭がくっきりと盛り上がり、わずかに脈打っているようにも見える。室内の灯りが微かに滲んで、そこに汗の粒が光った。
汗は、乳房の谷間にも、みぞおちにも流れていた。けれど、それは苦悶の汗というよりも、火照った身体が熱を外に逃がしているような、そんな印象を与えた。
「んんっ、んんっ、んんっ」
女性はなにかを言いたそうに必死に顔を動かす。
でも、ボールギャグに阻まれ、口から迸るのは、言葉になってない呻きと、ギャグの穴から吹き出る唾液だけである。
セリーヌは、わずかに喉を鳴らした。
この身体は、たしかに拒んでいる。声も、動きも、拒絶の意志に満ちていた。けれど──それだけではなかった。
肌が反応していた。
汗腺が開き、乳首が立ち、粘膜が潤んでいる。
心は拒んでいても、身体はもう、抵抗しきれていない。そんな確信めいた直感が、セリーヌの胸に沈んでいった。
自分と同じだと思った。
あの時、クロエに初めて触れられたときも、舌を這わされたときも。心は恐れていた。だが、身体は──正直だった。
セリーヌは、息を整えた。
そして、股間に顔を寄せた。湿り気の匂いが濃くなる。ぬめりのある粘膜のすぐ上に、吐息をそっと落とす。
その熱に、女の下腹が微かに跳ねた。
肌が、わずかに粟立った。
セリーヌは、舌を這わせる準備を整えた。責めるのではない。最初は、ただ触れるだけ。反応を見極め、拒絶と欲望の境界を、ゆっくりと探っていく。
「……そのまま、そうじゃ。まずは、胸からなぶってやれ」
寝台の横で、老人がしわがれ声を落とした。
セリーヌは頷かず、ただ視線を移した。
女の乳房は、汗で濡れていた。谷間に溜まった雫が、ゆっくりと肌を伝って滑り落ちる。乳首は赤く立ち上がり、震えていた。吐息をかけると、そこに細かく粟が立つ。
唇を寄せる。
吸うのではない。ただ、そっと舌先で撫でる。濡れた筋が、乳首の周囲を一周し、ゆっくりと中心へ。尖りきった突起に、舌の裏側を押し当てて転がす。
女の身体が跳ねた。
「ん、んっ……んぅぅっ……」
声にならない声が、ボールギャグの奥から漏れる。手足が枷に引かれ、寝台が軋んだ。
セリーヌは、乳房全体に唇を這わせた。舌で輪郭をなぞり、柔らかい肌を口内で包むように、ゆっくりと吸い、吐き出す。もう片方の乳首にも同じ動作を繰り返す。左右交互に、熱を込めて。
「んんっ」
舌の先で乳首を弾くと、女の太腿がぴくりと跳ねた。
セリーヌは感じた。──反応が、もう、堰を切ったように溢れ出していることを。
「そうじゃ、それでいい……。わしのかわいいオプセリカよ。もっと、もっと感じさせてやれ」
老人の声が背中から重く落ちる。
セリーヌは、唇を開いたまま、乳首を舐め続けた。尖った突起に舌を絡め、螺旋を描くように押し当てる。やわらかい乳房の下に鼻を埋め、もう一方の乳首に舌先を這わせる。あたたかく、湿った香りが鼻を抜けた。
「……っ、ん、んふううっ──」
女の呻きが、ひときわ高くなる。
呼吸が速まった。肋骨が持ち上がり、みぞおちが苦しげに波打つ。乳首が硬く脈打ち、肌の奥から火照りが滲むようだった。
そして──その瞬間が、来た。
女の背中が、寝台の上で大きく反った。胸が突き出され、乳首が震えたまま、極限まで尖る。手足が強く引かれ、枷の鎖が限界まで軋む。
「んん──んっ、んんぐうううぅう……っ……」
喘ぎでも、叫びでもない。喉の奥を搾り上げるような、ねじれた声だった。
セリーヌは、目を閉じたまま、胸に舌を押しつけていた。
──達したみたい……。
はっきりとわかった。熱の放射、脈の拍動、肌の震え。すべてが、絶頂の証だった。
この女性は、胸への愛撫だけで、ひとつの頂を越えたのだ。
セリーヌは、唇をそっと離した。
目の前にある乳首が、脈を打ちながら、静かに硬さを失っていくのを見つめていた。
セリーヌは、唇の端をぬぐいながら、少しだけ姿勢を変えた。
女性の腹部に、わずかに汗が浮かんでいるのが見えた。滑らかな肌が灯りを淡く反射し、薄く色づいた腹筋がかすかに波打つ。
「……感じやすい、ひと……」
小さく呟く。セリーヌは膝をわずかに進め、舌先をゆっくりと滑らせるようにして、女性の下腹部へと触れた。
「んっ……ふ、んぅ……っ……」
震えが走る。女性の腹が、舌の感触に反応して持ち上がるように跳ねた。脚枷の鎖が軋む。
セリーヌはゆっくりと、丹念に舌を這わせた。臍の下から鼠蹊へと、肌の温度を感じ取りながら、じわじわと進んでいく。
「うん……ぅぅっ……んんっ……」
声が、熱を帯びていく。喉を詰まらせた呻きが、口枷の奥で何度も反響する。
その反応に、セリーヌの身体も熱を帯びていた。緊縛された両手が背中で動かせないのが、逆に集中を強める。
股間の前、赤く膨らんだ粒が、ぴくりと震えた。
その様子を見ていた老人が、くぐもった声で言った。
「クリトリスにも、口づけてやるといい……。芯まで、教えてやれ」
セリーヌは、そっと顔を寄せる。唇が、膨らみの中心へ触れた。唇で吸い、舌でゆっくりと転がす……。
「んぅっ……ぅぅぅぅんっ……っ」
まるで雷が落ちたように、女性の身体が跳ねた。脚が突っ張り、腰が持ち上がり、腹筋が痙攣する。
熱い液体が、唐突にセリーヌの顔にかかった。
「きゃっ……」
思わず短い悲鳴が漏れた。
女性の股間から噴き出した液体は頬から顎、鎖骨にかけて飛び散り、ぬるりとした感触を残した。塩気に混じって、かすかに鉄のような匂いが鼻をかすめる。
それは、体温よりも少し熱を帯びた、独特の匂いと味だった。
「……っ、いまのは……?」
セリーヌが小さく呻く。
「ははっ……達したか。舌ひとつで、よくぞここまで──。しかも、潮まで噴きおって」
老人の揶揄うような声が、寝台の横でくぐもった笑いを含んで転がった。
でも、潮って、なに?
いまのが、そうなの?
セリーヌはちょっと首を傾げた。
「んぐううっ、んぐううううっ」
そのときだった。寝台の上の女性が、泣くような声を漏らしながら、激しく身をよじらせた。
口枷を噛みしめた頬が紅潮し、汗に濡れた頬に涙の筋が走る。
羞恥に耐えている──そう、セリーヌには思えた。怒っているのではない。自分の知らない誰かに、あんな姿を晒してしまったことに、ただひたすら恥じているのだ。
「大丈夫です。わたしも、オプセリカです。ヴェールスなんです……。もっとたくさんの恥を晒しました。全く問題ありませんよ」
セリーヌは、静かに優しく声を掛けた。
反応はない。だが、さっきまでのような強い反発の動きは、ほんのわずかに収まった気がした。
セリーヌは、再び顔を伏せる。
舌が肌に触れる。柔らかい、濡れた感触が、女性の脚のあいだをゆっくりと撫でた。
「んっ……んふううっ……っ」
再び、激しく身体が跳ねる。女性の脚が、弓なりに反る。
肩から腰まで、緊縛された肢体が、まるで鞭のように反応していた。
セリーヌは、またひとつ、確信した。
この女性は、今日出会った誰よりも、敏感だ──。
老人がまた笑う。
「その調子、そのまま続けてみるがいい……。その身体は、調教の余地を残しながらも、実によく仕上がっておる」
セリーヌは、女性の内腿をゆっくりと舌でなぞった。汗の味がした。塩と体温、そして肌の香り。
舌先が、ゆるやかに秘裂の周囲をなぞる。唇が柔らかく、花弁を押しひらくように吸い寄せた。
「んんんっ……んくぅぅうっ……っ」
女の全身が、びくん、と震えた。
筋肉が緊張し、かすかに痙攣を繰り返している。
セリーヌの唇が、そっと秘核に触れた。
その瞬間、寝台の上の身体が跳ねあがるように反り返った。
「んんんうううっ、んぐっ……んんうっ……っ」
脚が震え、手足の拘束が軋んだ。
その姿を見て、セリーヌははっきりと感じた。
この女性の奥深くに、快楽が刻まれつつあることを。
セリーヌは、舌先で秘核をやさしく転がしはじめた。
唇で包み、押しあて、ねっとりと舐め回す。
そのたびに、女性の喉奥から押し殺された声が漏れ、腰が震え、腹部が跳ねた。
「んふううっ」
その様子を、セリーヌは全身で受け止めながら、奉仕を続けていた。
口づけるたび、舌を這わせるたび、拘束された身体が身悶えた。
ときにぴんと脚先が張りつめ、ときに膝が折れ、無理な体勢のまま全身を打ち震わせる。
セリーヌは、まるで壊れやすい陶器を扱うように、けれど確実に、その身体の芯に快楽をねじ込んでいく。
舌先で秘裂を押し広げ、ひとすじ奥へと入り込んだ。
「んぅ、ぅんんんっ……んっ、んうっ」
女の吐息は熱を帯び、唾液が喉奥でこみ上げ、鼻を鳴らす音さえ濡れている。
秘核を吸い上げながら、セリーヌは下唇でそっと擦り上げる。
甘く尖った粒が、触れるたびに硬さを増し、痙攣に似た脈動を伝えてきた。
「そこじゃ……そこを集中的に、なぶってやれ。そうじゃ……それでよい……」
老人のくぐもった声が、艶を帯びて響く。
セリーヌは、その声を聞き流しながら、ただ舌に集中した。
舌が跳ね、すべり、沈み、揉みこみ、そして吸い上げる。
とめどなくあふれる粘液が、セリーヌの唇を濡らし、顎に伝い、頬を伝って顎の先へ垂れた。
「んぐううううっ──」
女の太腿が限界まで突っ張り、拘束具がギチギチと音を立てている。
乳首も、下腹も、すでに赤く腫れ、息が続かないような荒い呼吸が寝台の上に満ちていた。
セリーヌは一瞬顔を上げ、女性の表情を見ようとしたが、認識阻害具がそれを許さない。
それでも、確かに感じた。
女性のすべてが、セリーヌの舌を、唇を、求めていた──。
セリーヌはふたたび顔を伏せた。
今度は、少し荒々しく、秘裂の奥を押し広げるように舌をねじ込んでいった。
「んんっ……んうううっ……っ、んぅぅ……」
身体が反り返り、寝台がわずかに軋んだ。
セリーヌは、その反応を糧に、さらに深く、さらに執拗に、舌を操りつづけた。
「んんっ、んんっ、んんんんっ」
口元に満ちる熱、濡れた肌、くぐもる喘ぎ声。
快楽の極みへ向かう、その先を──セリーヌは追っていた。
そして、再び女の身体が震えた。
「んっ、んんんううぅ……っ」
全身が硬直し、腰がびくびくと跳ね、脚が小刻みに震える。
絶頂……。
セリーヌは一度顔をあげる。すでに、セリーヌの顔は女性の体液でびしょびしょだ。
「ふむ、また達したな。見事な反応よ。おぬしの舌は、まさしく逸品じゃ」
頬に、またひとすじの雫が垂れた。
セリーヌはそのまま、ひと呼吸の間を置き、舌を這わせ続ける。
そして、また数秒後。
「んんんっ、んぅぅっ……っ」
もう一度、女の身体が硬直する。背筋がしなり、腹部がひきつけるように跳ねる。
四度目の絶頂──。
今度も、また、あの潮というものが、女性の股間から噴き出て、セリーヌの顔を汚した。
「ほれ、今度も……。まったく、よう噴くわ。なんとまあ、素直な躰じゃのう」
繰り返される波のような興奮が、全身を包んでいた。
セリーヌは、押し寄せる快楽の奔流に、ひたすら忠実に応えていた。
──まだ、いける。
セリーヌは、顔をほんの少しだけ横に向け、女の脇腹に頬を寄せた。
熱い息が、白い肌に触れた。
ふるりと、女の身体が揺れる。
唇を、いま一度、秘核に這わせる。わずかに冷えた粘液の膜の下に、脈打つ柔肉がまだぴくりと震えていた。
「ん……んくっ……んっ……っ」
女の声が、かすれた息に混じる。
すでに四度、波に呑まれながらも、身体はなおも反応を見せる。
セリーヌは、そのたびに、舌の角度を変え、わずかに強く吸い上げ、また柔らかく転がした。
「ほう、まだけっこう感じておるの……。これは、まだまだ終わらぬな」
老人のしわがれ声が、ねっとりと耳朶を撫でた。
セリーヌは返事をせず、ただ女の身体に応える。
四肢を縛られたまま、女の腰が、勝手に浮こうとする。
もがき、身を捩りながらも、そのすべてが、セリーヌの口元へと押し寄せてきた。
「んんん……っん……っんぅ……んううっ……っ」
喉の奥から洩れる悲鳴のような声が、幾度となく部屋の中に反響した。
舌を秘裂に差し入れたまま、セリーヌは唇で秘核を軽く啄ばむ。
女の身体がびくびくと痙攣し、次の瞬間──。
「ぅんんっ……んうああっ……っ」
濃密な液体が、またしても弾けるように吹き出した。
セリーヌの顔が、頬まで滴で濡れた。
熱く、甘い匂いが鼻を満たす。
いまや、セリーヌの顔は女性が股間から噴き出したものでびしょびしょだ。
折角、クロエたちが整えてくれたドレスも化粧も、濡れてしまった。それは少しだけがっかり。
でもいい。
セリーヌの舌で、こんなに可愛く感じてくれたのだから……。
「ふふっ、よう噴いたのう。これは、そちの手柄じゃ……まだまだ、試したくなってくるわい」
──はっしした。
意外なほどに、すぐ後ろで、声がしたのだ。
「きゃああ──」
まさか、と振り返ることはできなかった。その直後、その老人に後ろから身体を押さえつけられたのだ。
「ちょ、ちょっと──」
暴れて逃れようとするが、思いのほか力が強い、寝台に四肢を拡げて拘束されている女性の上にうつ伏せにされて動けなくされた。
腰を掴まれて、両膝を立てた高尻の姿勢を強引にとらされる。
「クロエ──。助けて──」
必死に名前を呼ぶ。
だが、返事はない。必死に左右に顔を動かして周囲を見る。いつの間にか、クロエはいない。ここにいるのは、身体の下の女性のほかには、セリーヌと老人だけになっていた。
そして、後ろで布ずれの音……。
「えっ……」
セリーヌは震えた。
スカートがめくられた。剥き出しになったお尻の下から、なにかが迫ってくる。
拘束された両手は使えない。逃げようにも、女の身体に押しつけられたまま、脚も動かせない。
「いやあああ──。やめてえええ──」
絶叫した。
犯される──。
いまこそ、確信した。
必死に腰を動かして避けようとした。だが、力の強い老人の腕が万力のような力でセリーヌの腰を固定していまう。
熱と硬さを帯びた肉の先端が、彼女の股間に押し当てられた。
「いやああっ……。やめてええっ──」
声をあげた。
その直後、老人の男根がセリーヌの股間に貫かれた。
「いやああああ」
セリーヌは悲鳴をあげた。
「んんんんっ」
同時に、犯されているセリーヌの身体の下の女性が吠えるように声をあげた。