久しぶりのISの二次創作なので、単語とか名前とか、色々と間違っているかもしれません。
キャラの口調に違和感があるかもしれませんが、ご了承ください。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……ここは、どこなの?」
世界の裏側にある、決して表に知られることのない鉄製の建物。その地下深くにある濃灰色に包まれた薄暗い牢獄の中で、ボロを纏った1人の少年が目を開いた。
彼の体は、人によっては見るに堪えないほど痩せこけており、髪も肌も乾き汚れていた。長い期間放置されているせいか、辺りには、鼻が歪む程の生臭さと腐敗臭を孕んだ異臭が立ち込めている。さらに湿気でジメジメとした空気が牢獄内を包んでいるのもあって、たとえ人が来ようとしても、すぐに踵を返して逃げてしまうほどの不快感が漂っていた。
「僕は、なんでここに?」
少年は開いた目で牢獄の手摺を見るともなく見ながら、自身がここに閉じ込められるまでの事を思い出そうとする。ゆっくりと、空腹に呻きながら思い出した彼は全てを思い出し、軈て諦めたように息を吐いた。
「そうか、僕は……死ぬんだ」
目覚めてから早くも、全てのことを思い出した少年は細い声で呟き、この先に待つ自分の行く末に絶望する。
彼はこの施設を建てた国、具体的には国の一部の組織が極秘裏に作り出した人工生命体、いわゆる試験管ベビーであり、遺伝子強化試験体の製造に成功したとある国から秘密裏に横取りしたデータを基に製造された成功試作体1号である。
しかし産み出されて早々、彼らの期待した通りのデータを残せなかった彼は、成功体1号から失敗作1号へと転落し、処理のためにこの牢屋に押し込められた。
彼は決して脆弱だったわけではなく、身体的能力等は人並み以上のものを持っていた。ただ、彼らが望んでいた結果よりも遥かに下回ってしまっただけだ。さらには、男の性別として生み出されたため、パワードスーツ『
ここは、彼にとっての墓場である。生みの親であるこの国は、己の利益のために他国から技術を盗み、勝手に彼を作り出した挙句、期待外れと分かればこのように放置して餓死するのを待つ。いや、もしかしたら存在すら忘れて、この地下の上で次の試作体の製造に取り組んでいるのかもしれない。どちらにしろ、彼は見捨てられたのだ。
「……なんのために、僕は」
この世に生まれてきたのか、少年は力なく言おうとするも、飢餓状態に陥った体はそれ以上の言葉を続けさせなかった。ただ薄れゆく意識とともに、自身の細い枝のような黒ずんだ腕を見ながら、細胞の死を待つのみであった。
「…………」
「?」
気がつくと、少年の目の前に見知らぬ人影があった。牢獄の外にある点滅する電灯の暗い明かりを頼りに、彼は人影を見つめる。恐らく衣服と思われるものを纏っているそれは、彼が僅かな生活の中で得た知識からスカートであるのとは分かった。
「ふー。全く、どこの軍も懲りないよね〜。くーちゃんの時のこと思い出して腹立ったから潰してやったけど、どうせまたやらかすよ〜」
「…………」
「どーしたのー? くーちゃん?」
「束様」
そして聞いたことの無い声が2つ。声からして、その正体が女性であることはわかった。いつの間にいたのか、どこから入ってきたのかも分からない。
「……あなたは、どうしてそんなに」
震えるような声を出す目の前の女性に、少年は顔を上げ、彼女の顔を目に映した。見た目はまだ子どもで、両目は閉じられている。しかし閉じながらも、彼女は何処か悲しみが籠った眼を向けていることは彼にも理解できた。
そんな彼女の顔を最後に、少年の視界はボヤけ、意識は完全に暗闇に包まれた。
◇◇◇
世界の何処か、または世界の外れにある秘密の
ケーブルが植物の根のように床を覆い、さらにその上を歪な形をした機械の数々が壁かオブジェのように立ち並んでいる。部屋全体が暗いのも相まって、時折点滅する機械のランプが不気味さを纏っていた。
「紅椿と箒ちゃんのマッチング率と絢爛舞踏のパワーは……ふむふむ、今の状態ならこんなもんかなぁ」
その中でも、比較的綺麗に掃除された広い部屋に設置した特殊な装置の中で、自称天才であり、全世界のトップアイドルという名のお尋ね者こと篠ノ之束は、世界一でオンリーワンな可愛い妹のために造った『紅椿』の晴れ舞台の映像及びその後の活躍を再度チェックしていた。いくら妹のために新造した最新の高性能専用機とはいえ、彼女はまだ使い始めたばかり。自身の才能を理解しつつも、なんのかんの言ってもしもの事態が起きないようにちょくちょく観察はしているのだ。
「まあ、このままいけば『あの時』みたいなパワーを発揮できるかもしれないね」
あともう一味付け加えるかぁ、と呟くと、束は装置のハッチを開扉させる。明るい外の空気を吸い込みながらふいーっと首を捻り、コキコキと骨を鳴らした。
彼女のすぐ傍らには製造途中の無人機が数体並んでおり、頭部パーツの内部が剥き出した状態で静かに佇んでいた。その顔は、この世のものではないかのような、少なくとも人間を含む生命体とは似て非なる異様な形相をしていた。
「……た、束……様。お昼です」
あれやこれややっている束のもとに、銀髪の少年がトレイを持って近づく。トレイの上には、山積みにされた大量のコロッケが載せられていた。
「ん? ああ、もうそんな時間かー。今日はなに?」
「コロッケです、沢山作りました……お、お口に合うといいんですけど」
「あ、そう。じゃあ貰おっかなー」
束は適当に返すと、腕を伸ばしてトレイから直接手づかみでコロッケを口に運ぶ。
「んー、なかなかいけるねー。これカボチャ? それでこっちが牛で、クリームもあるんだねー。前よりも美味しくなってるよー」
「あ、ありがとうございます」
少年はぱあっと子供らしい嬉しそうな笑顔を浮かべる。
しかし、束は彼に目を向けず、数十個はあるコロッケを口の中へ放り込みながら、片手で黙々と作業を続けた。出来たてで熱々の筈なのだが、彼女にはそんなものは関係のないことらしい。あっという間に平らげていく。
「束様」
「おぉくーちゃん! おかえり!」
とそこへ、愛しの娘であるクロエ・クロニクルがお使いから帰宅した。束は顔をはみ出し、打って変わって彼女に笑顔を向ける。そしてそのまま飛び跳ねるように彼女の前まで歩いた。
「どうだった? 変な奴らにつけられなかった?」
「はい、特に何も。それよりも美味しそうなパンが手に入ったので、良かったら」
「いいよいいよ〜、丁度主食が欲しかったからね〜」
束はクロエを豊乳に飛び込ませながら、彼女のサラサラとした長い銀髪をあやす様に撫でる。生まれながらの天才故にほぼ全ての他人を一個人として認識しない束にとって、自身の認知に変化を齎したクロエは唯一1人の人間として、自分の娘として見ることができるのだ。
「お昼の方は?」
「ん? あー、この子が作ったコロッケを食べてるよ」
「そうですか。上手く作れましたか?」
「は、はい。前よりも美味しいと言って貰えました」
「そう、お役に立てましたね」
「あ、ありがとうございます。クロエ様」
クロエは微笑みながら、自分よりも背丈が少し低い彼の頭を撫でる。彼は恥ずかしがりながらも彼女からの褒美に子どもらしく顔を緩ませた。彼にとって、クロエからの言葉が何よりの褒美なのだ。
「ではご褒美に何か食べに行きましょう」
「ほ、本当ですか?」
「ええ。束様、よろしいでしょうか?」
「全然いいよ〜、でも周りには気をつけてね〜」
「はい。さあ」
「は、はい……」
彼がクロエから差し出された手を恐る恐る握り締めると、二人は手を繋いでラボを後にする。
その2人の背中を、束は笑顔を貼り付けたまま、クロエが買ってきたパンを頬張りながら見守った。
確かにこのパンはクロエの言う通り、なかなか美味な方ではある。が、やはり束にとっては、クロエの手料理が一番美味しいと感じていた。
「ま、彼のはくーちゃんの次かなー」
その呟きは、既に出ていった2人に聞こえることはなかった。
◇◇◇
「おまたせしました。ホットティーとオレンジジュースでございます」
「あ、ありがとうございます」
我が家から少し離れた場所にあるオシャレな喫茶店。そこのテラスセキにて、一仕事終えた彼とクロエは一時のティータイムを堪能していた。空は透き通るほどの蒼が広がっており、その中を細く白い魚のような雲が泳いでいた。時々吹くそよ風が、2人の銀髪を撫でて揺らす。
「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
「いえ、また後で注文します」
「かしこまりました」
店員は軽く会釈をすると、2人を生暖かい横目で見てから店内へと引っ込んでいく。彼はソワソワとしながらその後ろ姿を見つめた。
「あまりソワソワしていると目立ちますよ」
「す、すみません。久々にクロエ様とお出かけしたので、ワクワクしちゃって……こ、子どもみたいですみません」
「あなたはまだ子どもです。いえ、私もまだ子どもですけどね」
クロエの微笑みに、彼はドキッと胸を鳴らして俯く。
2人は束から外出許可を貰うと、各地にある喫茶店をまわっては、こうして甘いものを食しに来ている。しかしここ最近は束の手伝いでクロエが忙しかったため、今回は久々の2人きりでの外出になる。
「さっきの人、どうして僕達のことをあんなに見ていたのでしょうか?」
「さあ、何故でしょう。きっと姉弟か何かと勘違いしたのではないでしょうか」
「く、クロエ様と姉弟だなんて、そんな……畏れ多すぎます」
実際、こうしてテーブルを挟んで向かい合って座る2人は、他者から見れば仲の良い姉と弟にしか見えない。場所によっては子どもな彼らに声をかけていたことだろう。幸い、この周辺の治安はいい方なので、その心配はない。それに万が一彼女達に手を出せば、親である束が黙っていないだろう。
「……クロエ様」
彼は太腿の間で手を組み、指先をモジモジとさせながら赤い上目遣いでクロエを見た。
「1つ、お訊きしてもよろしいですか?」
「はい」
「束様は……どうしてあんなにも冷たいのでしょうか?」
彼は、純粋な疑問をクロエに投げかける。
クロエはティーカップを持ったまま表情を強ばらせ、彼に訊ねた。
「冷たい。なぜそう思うのですか?」
「その……いつも僕と目を合わせてくれないし、まるでいるけどいないように思われているみたいで……あそこにいた人たちみたいな」
あそこにいた人達、その言葉を聞いた瞬間、クロエはピクっと眉根を動かす。
生まれた時から知らない大人に囲まれ、知らない部屋に連れていかれ、自分の役目のみを言い渡された彼。だが気がつけば罵倒と冷たい視線を受け、失敗作としてあの牢獄に閉じ込められていた。そんな彼を拾ったのがクロエであり、彼にとってクロエは主のような存在であった。そしてその親である束もまた、彼にとっては主の1人である。
しかし、その束は彼に対して比較的冷めた接し方をしていた。有象無象のように無視、とまではいかないが、少なくとも親しい仲とは言い難い態度を彼に向けていた。昼食を差し出した際も、束は彼に目を向けることはなかった。
「僕、あの人たちからはいつも1番目の出来損ないって言われてました……束様も、僕のことをそう思って冷たく──」
「それ以上はやめなさい。束様は、そのようなことを考えるお方ではありません」
「す、すみません……」
一喝するように言葉を投げられ、彼は縮こまるように頭を下げる。クロエはカップをソーサーに置くと、強ばった顔を緩ませ、慰めるような口調で言った。
「仮に、束様があなたをあそこに閉じ込めた者たちと同じような考えのお方だったとしたら、私を拾うことも、あなたの向かい入れをお許しになることもなかったでしょう」
「は、はい……」
「……ご安心なさい。束様はあなたの事を疎ましくは思っていません。思っていたとしたら、あなたの手料理は食べてくれませんもの」
クロエにとって、束は命の恩人以上の存在であり、彼女のためならどのような命令にも従う忠誠心を持っている。もっとも、束の場合は興味のある人間以外は蚊帳の外状態なので、IS関連なら兎も角、生命に関しては出来損ないとか出来損ないじゃない等以前の話にはなるかもしれない。しかし少なくとも、彼女はクロエを拾い娘として迎え入れ、そのクロエが彼を連れていきたいと申し出たのを許可した。その時点で、彼女がそこらにいるような凡人と同じ考えではないというのをクロエは理解していた。
「僕、束様のために役に立ちたいです」
「なら、今のあなたにできることをしましょう。それだけでも束様のお役に立てるのですから」
「は、はい……あと」
「?」
何故か自分を見ながら顔を赤くしてモジモジとする彼に、クロエは心の首を傾げた。
「何か言いたいことでも?」
「……く、クロエ様のお、お手伝いも頑張ります。僕にとって、クロエ様は拾ってくれた……大切なお方ですから、はい」
モジモジした結果、ようやくでてきた言葉は何の変哲もないものであった。
「…………」
「クロエ様?」
「……あ、いえ、そう、ですか……では、早速デザートの注文をお願いします」
「はい」
クロエがにっこりと微笑むと、彼は命令通りに店員に声をかけ、デザートのイチゴパフェを2つ注文する。彼はパフェを美味そうに頬張り、子どものように破顔し、幸福に満たされた。そして、クロエが密かに悶々としていたことに気づくことはなかった。
◇◇◇
「束様、パンが焼けました」
「おお、ありがと〜」
別の日、今日の料理当番になっていたクロエは、いつものようにドロドロか黒焦げ……よりはマシになった半焦げのパンを、ディスプレイを操作する束に差し出した。
「どうでしょうか?」
「うん、美味いぞ〜」
一目で不味いと分かるパンを、束は嫌な顔一つせずに笑顔でガツガツと齧っていく。不味いとも言わない束の姿に、クロエはいつものように申し訳ない気持ちになった。
「けど、この前よりも上手く焼けるようになったね」
「ほ、本当ですか?」
「相当練習したんだねぇ、分かるよ。特に焦げた部分が減ったよね〜」
嬉しそうに応えた束に、クロエは顔を上げる。いつも美味いとしか言わない束が、今回は具体的に感想を述べた。それだけでも、クロエは嬉しさで心を満たされた。
「あ、ありがとうございます……」
頭を下げるクロエの顔を、いつの間にか立ち上がった束がにゅっと覗き込んでいた。いつもの満面の笑みのまま、んふふっ、と声を漏らした。
「それもこれも、あの子の影響なのかな?」
「はい、実は……え、な、何の話ですか?」
「ん〜? 隠さなくてもママには分かるよ〜? 最近のくーちゃんは色々と勉強してるんでしょ?」
「そ、それは……」
閉じた瞼の中でクロエは目を泳がせる。
束の言っていることは事実であり、ここ最近のクロエはネットワークを通して料理について勉強している。料理だけでなく、ちょっとしたファッションや化粧等々、歳頃らしいジャンルについて手を出していた。
そして、男性と女性に関するそっち系のことについても少々…………そんな娘の怪しい言動は母親である束にはお見通しであり、そういうことに興味を抱いた彼女の成長を純粋に喜んでいた。
「いいよいいよ〜、成長することはいいことだ〜」
「は、はい……」
「……それで、いつやるんだい?」
「え、やる?」
「くーちゃん、あの子のこと襲うんでしょ?」
「はい……え? な、何を仰ってるんですか!?」
笑顔で飛んでもない発言をする束に、クロエは一瞬真顔になり、すぐさま林檎のように顔を真っ赤に染める。
「分っかりやすいな〜」
「か、揶揄わないでください!」
「ムキになる姿も可愛いよ〜」
「あ、あぅぅ……」
恥ずかしさのあまり、クロエはその場で頭を抱えて小さく唸るように声を上げる。どうやら、クロエの彼に対する内に秘めた(つもりの)思いも、密かにやろうかなぁと思っていた計画も、初めてなりに調べた際に残った卑猥な履歴の一覧も、束には筒抜けらしい。
「で、実際の所はどうなの? 彼のことどう思ってるの?」
「……わ、分かりません。私もこのような気持ちは初めてで……」
「なるほど、それで手探りにやってきたと……気づいたのは何時から?」
「……前の、臨海学校の時に観てたあれです」
「あー、あれかー」
あれ、というのは、束が可愛い妹にISをプレゼントし、織斑一夏達が
束は銀の福音と交戦をする専用機持ちの姿をモニター越しに観戦し、その後ろでクロエと彼は覗くように並んで座って観ていた。その際、彼はクロエと瓜二つなドイツの代表候補生の姿を見て『あの人、クロエ様みたいで可愛いですね』と呟いた。
それ以来、クロエの心の中に、モヤモヤとしながらも正体不明な熱いものが現れ始め、今に至ることになった。ついでに彼がその候補生に見蕩れる度に、クロエは炭同然まで焦がした料理を束に差し出していた。なんともわかりやすい。
「……束様……この気持ちは、なんなのでしょうか?」
「んふふ、それはねくーちゃん」
不敵な笑みの束は耳打ちでクロエに話し、その内容にクロエは閉じた瞳を瞬きさせながら、更に顔を真っ赤にした。
「……さてと、私は行くところがあるから、明日の朝まで2人でお留守番お願いねー。あと攻めるなら早めにやっておいた方がいいよ〜」
「え、あの」
「あとこれ、束お母さんからのプレゼントだよ〜。上手くやってねぇ」
困惑するクロエを横に、束は彼女の手に何かを握らせ、意味深な言葉を残してラボを後にした。
残されたクロエは俯き、去り際に手渡された『束さんスペシャル』と書かれた小袋を見つめる。サラサラとした感触がする袋の裏面を見ると、その効果について一言だけ書かれていた。
暫くしてクロエは顔と両腕を上げて、覚悟を決めたようにぐっと両手を握りしめた。
◇◇◇
「…………」
場面は変わって、彼のために用意された6畳程の硬い床と壁で構成された自室。そこで彼は、ベッドで仰向けになりながら、白色の灯りに照らされた天井をぼんやりと見つめていた。
「なんなんだろう、この気持ち……」
自分はクロエに拾ってもらい、こうしてここで生活をしている。束もクロエも命の恩人であり、感謝しても感謝しきれない。そしてその気持ちは好意であり、その好意は親愛である。
しかしここ最近、クロエに対しては妙な気持ちを湧かせていた。親愛という言葉とはちょっと違うそれは、常に彼の心をモヤモヤと霧をかけている。ハッキリとした例えがあるならいいのだが、まだまだ若い彼には、そういった知識はなかった。
ふぅ、と溜息を吐くと、突然扉がノックされた。彼らの住処を知っているものも、こうしてノックするものも限られているため、彼はベッドから起き上がり、姿勢を正してから「どうぞ」と言った。
入ってきたのは、予想通りクロエであった。そしてその両手には、ティーカップを載せたトレイを持っている。
「すみません。寝ていましたか?」
「いえ、寝てません。少し考えごとをしていただけです」
「そうですか。上がっても構いませんか?」
「は、はい」
クロエが入室すると、ティーカップから湧き出る湯気が後ろへと揺蕩う。扉を閉め、トレイをテーブルに置いた。
「実は以前、束様からお土産にと頂いたインスタントコーヒーがあったので、よければ一緒にお茶でもしようかと」
「こ、コーヒー、ですか?」
彼はクロエに近づき、カップを覗く。中はクロエがいつも作る焦げたパンのように黒い液体が並々に注がれており、コーヒー特有の匂いが部屋に漂う。匂いと見た目だけでも苦いと分かるそれに、彼は思わず顔を顰めて後退った。
「そうでした。あなたはまだ飲んだことがありませんでしたね」
「は、はい……に、苦いのは苦手で」
「ふふ、なら、今日は試して見ましょうか?」
「え? でも」
生まれは鉄の子宮だが、彼は1人の人間である。そして舌の作りもまだまだ成長途中であり、コーヒーのような大人な飲み物は子どものようにまだまだ苦手だった。コーヒーだけでなく、例えばピーマンやゴーヤなどの野菜も苦手で、自分が料理担当の日は、そういった食材は避けていた。
「そう、ダメですか……なら仕方ありません」
クロエは暗い口調でトレイを持ち上げようとする。折角クロエが自分とお茶をするためにコーヒーを入れてくれたというのに、自分はそれを断るつもりなのか。彼の中で生まれた葛藤が、クロエを落ち込ませてはいけないという気持ちが、彼女の手を止めた。
「の、飲めます。僕、コーヒー飲みます」
「そうですか? それは良かった」
そう言うと、クロエはソーサーに載せたティーカップを彼に差し出した。彼はそれを受け取ると、ゴクリと唾を飲み込んで縁に口をつけ、少しだけ啜った。予想通り、コーヒー特有の苦さが舌の上を痺れさせた。
「(う、苦い……)」
「どうですか?」
「は、はい、美味しいです」
凛とした表情のクロエに彼は作り笑いをしながら応える。どれだけ苦くても、拾い主であるクロエが入れてくれたコーヒーを美味しくないとは言えないのだ。
「(が、我慢して飲まなきゃ)んっ……」
苦さを誤魔化そうと、喉を鳴らしながら勢いよくコーヒーを飲み干していく。熱さと苦さに時に吐きそうになりながらも、彼は底が見えるまで一気に飲み干した。
「あ、ありがとうございました……こ、コーヒーって、意外と美味しいんですね」
「ええ、そうでしょう」
白い歯を見せて微笑むクロエに、彼は思わずドキリと胸を鳴らした。まただ、最近は彼女を見るとこうやって胸の鼓動が早くなるのだ。しかし、もし彼女にバレたらどうしよう。彼は誤魔化すために、口の中に広がる苦味をたっぷり味わい、邪な考えをその中に沈めようとした。
「あれ……」
「どうしました?」
「いえ、なんだか……んっ」
沈めている途中、突然、彼は全身が疼くような痺れに近いものに襲われた。ピリピリとしたような感覚は、痺れているかのように肌を敏感なものにしていく。しばらくすると、内側から発熱したような火照りが襲い始めた。特に股間部分は異常なまでに熱を持ち、彼はその違和感に手を伸ばしてモジモジとした。
「く、クロエ様……僕、なんだか凄く体が熱くなってきました」
「それは大変ですね」
訴える彼に、クロエは冷静に言葉を返す。
「では、とりあえず収めないといけませんね。さあ、私を見てください」
「え?」
「さあ、早く」
「? は、はい」
疼くのを耐えながら、彼は見上げる。見上げた先には、至近距離でこちらを見下ろすクロエの少女顔があった。しかしその顔は、少女と呼ぶにはどこか淫靡で、口許の緩みには妖気さが漂っている。閉じた瞳がギラギラと光っていることは、彼も彼なりに直感で察した。
「あの、クロエさむぐっ!?」
クロエは彼の頭をそっと手で挟むように添えると、そのまま唇を重ねた。突然の口付けに彼はどうすることも出来ずにフリーズし、何をされているのか理解できない状態に陥った。
「ん、んんっ♥……んふっ♥んにゅ……♥」
口と口が隙間なく密着し合う中、クロエは舌先を彼の中へとねじ込む。
唖然と開く歯の隙間を潜ると、桃色の歯茎をなぞり、奥で佇んでいた幼い舌肉を撫で、そのまま表面で包み込む。唾液と唾液を混ぜ合うために、螺旋を描くように体を踊らせた。
コーヒーの苦味、そのコーヒーの中に混入させた物の残り粕の味を堪能しながら、クロエは彼と唾液を交わした。
「……れぇっ♥」
途中でクロエは口を離す。目を閉じたまま舌を突き出すその姿は、少女と呼ぶには大人びていた。その舌を引っ込めると、入り込んだ彼の唾液をゴクンと呑み込む。苦いのはコーヒーのせいもあるが、後味にくるピリつく感覚は、混入させた『アレ』の味だろう。
「どうですか? 私の舌の味は?」
「……や、柔らかくて、甘い味がしました。な、なんですか、これ」
「これはキスというものです。人間が異性や同性と性的な行為を及ぶ時によくやる手段のひとつ……だそうです」
「せーてき?」
性的という言葉の意味を彼はまだ知らない。
しかしそれが子どもではいけないことなのは、勘の鋭さで理解できた。
「いいですか。あなたは今、性的に興奮しているんです。それはごく当たり前のことだから、心配する必要はありません……けど、このまま放置するのは危険です。今すぐにでも疼きを取らないと、大変なことになります」
「大変なこと?」
ぽうっとした顔で彼はコクりと首を傾げる。
しかしクロエは答えてはくれず、彼に迫った。
「解決方法は1つ……私と、セックスをしましょう」
「セックス?」
「人間の欲求を満たすための行為の1つです。そうしなければ、あなたは一生その疼きと付き合うことになりますよ」
脅し口調のようだが、彼にはぼうっとした返事しか返せない。ただ体が痒くて、悶々として、けれどそれを大好きなクロエが解決してくれるという。大切な人からの提案を無下にできるほど、彼は愚かではない。
「……や、やります……その、セックスを」
彼の口から言質を取ったクロエは、目を優しく閉じたまま口を弓なりにさせた。平然を装ってはいるが、ディープキスもあって、彼女の体にも混入させた物の一部が体に流れてしまい、微妙に興奮していた。
「では」
クロエは彼の目の前で、長い銀髪をなびかせながら、自身の纏っているドレスを脱いでいく。腰を締め付けるスカートのファスナーをジーっと降ろし、足元へとふわりと落とす。
「ク、クロエ様……?」
そしてスルスルっと流れるようにスカーフと上服を脱ぎ終えたクロエは、前に束からプレゼントされた黒い花柄の控えめな下着を見せつけるように彼の前に立ち塞がる。
ゆっくりと手を後ろに回して、ブラジャーのホックを上から順に1つ、2つと外していき、隠された胸部を露にした。
小さいながらもほんのりとした彼女の胸部は、穢れを知らないほどに白く、先端の小さな桃色の突起が彼の目を奪った。
「(ああ、とうとう見せてしまった……いや、ここまでやったのだから、ここで引く訳には)……どうですか?」
「す、凄く……綺麗で……あっ」
彼がいい切る前に、クロエは彼の股間部で膨らむものをズボン越しに右手で掴むように触る。
ズボンを挟んでいても分かるぐらい、彼の一物は硬くなっていて、クロエが指先で軽くこするだけで彼は腰を抜かしそうになる。
「あ、ああっ」
「(これは確か……勃起。となると次は)もうこんなに硬くなって……特にここが疼いて仕方ないのですね」
「は、はい…………」
「では直ぐに気持ちよくさせて、楽にしましょう」
「え、だ、ダメです、そんな」
「私に逆らいますか?」
「そ、そういうわけでは」
「安心してください、怖がる必要はありませんよ」
クロエは自分の顔の前に彼の膨れる股間部が来るようにその場でしゃがみこみ、慣れない手つきで彼のズボンのボタンを外し、ジッパーを降ろし、ブリーフと一緒に足元へと落とした。
「あっ」
彼のズボンとパンツを下ろすと、中から年頃には不釣り合いなほど、やや大きいものが彼女の顔の目の前でぶるんっと弾けた。クロエは思わず声をあげる。上手く洗えていないのか、竿の至る所にチンカスがまとわりついている。
「こ、これは……」
「い、 いつからかは、わからないです……クロエ様の裸を見るとこうなっちゃって……」
「(いや、そういう問題では……)」
彼はセックスを知らないはずなのに、体は意識以前から性欲というものに目覚め始めていたのか、クロエの裸を見ると、時々こうして股間を硬くさせてしまうのだ。
しかし、クロエにとって今問題なのはそこではない。
男として性的に興奮したら勃起してしまうことも、多少の性的知識を蓄えているクロエでも分かる。
問題なのは、勃起した彼の竿の大きさだった。彼の年は推定してもクロエよりは歳下であり、一般人と比べたら童顔やら児童体型寄りの部類に入る容姿をしている。
そんな見た目とは裏腹に、彼の肉幹は同じ年頃の男子と比べても、比べ物にならない大きさだった。
彼が来たばかりの頃、共に入浴した際はここまで大きくはなかったはずだ。
「(あれは通常時で、こっちが勃起時……こんなにも違うだなんて)」
豹変する化け物、これは束から渡された物の影響ではない。
恐らく、生殖も視野に入れて処置を施されたのだろう。竿を包んでいる皮は既に剥けており、肌よりも黒い色をした彼の膨らんだ亀頭がクロエの鼻先に独特の臭いを嗅がせていた。
「(これが実物の男性器…………なんておぞましくて……)」
「クロエ様……あの、恥ずかしいです」
「……何も、恥ずかしがらなくていいですよ。私に任せてください」
「で、でも。こんな汚いもの……」
そう言うと、クロエはクンクンと探るように彼の肉幹を嗅ぐ。軽くペチンと叩いてくると、思わず悲鳴を上げそうになる。
「……あう!?」
それを誤魔化すために彼を見ながら微笑むと、クロエは口を大きく開き、舌先を出しながら彼の亀頭を頬張った。
「んんっ……♥」
じゅぼっ…………ぼぼぼ♡
じゅぼぼっと彼の肉幹が口内に受け入れられていく音を響かせながら、クロエは亀頭先から徐々に竿を飲み込んでいく。初めて味わう男性器の独特の味に、彼女は眉間に皺を寄せる。しかしやめることはできないため、そのまま根元まで唇を畝らせた。
「だ、ダメですクロエ様。そ、そんな……あっ」
「ふっ……んふっ」
女の子のようにか細い彼の言葉を無視して、クロエは肉幹をゆっくりと、根元から皮を引っ張るように扱いていく。誰かに教えて貰った訳ではなく、独学で学んだことを頼りに口から喉奥をオナホールへと変える。
「(これが男の……この子の生殖器の味)」
初めて味わう肉幹の生臭い味にクロエは吐きそうになりながらも、ビクついて我慢する彼の姿に興奮し、口擦りを続けた。本来ならこんなものを口にするのは生命体として拒否反応が出るはずなのだ。
「ふっ、んっ♥(なんだろう……この癖になりそうな味は)」
しかし、不思議とクロエは彼の肉幹に対して不快感を覚えず、寧ろ吐きそうなぐらい臭いはずのチンカスも、彼女の舌は塩っぽい味として変換していた。チロりと舐めとると塩辛い味が味覚に広がり、そのまま唾液と一緒に嚥下した。
「く、クロエ様ぁ……何だか僕、変に」
ぶぶぶっ♡ぶぶぶぶっ♡♡
「あ、あぁ……」
クロエの震える頬肉に吸い込まれ、彼は怯えながらも今にも溶かされてしまいそうな口の中の刺激に頭を蕩けさせる。立っていることがやっとで、今も脚元はガクガクと震えている。
「んっ、んんっ、んんっ!! (ああ、美味しい♥……そして子鹿のように震えるこの子はなんて可愛いのだろう)」
自分の中にある彼を愛おしいと思う気持ちが性欲を通して内側で言語化し、蛇のように波を描く舌となって彼の肉幹を舐めた。ただでさえ狭いのに蠢くものだから、彼は只管悦びの声を漏らすしかなかった。
「あ、ああ」
「んっ……んふっ♥」
「あうっ!」
時折、内頬に亀頭先を押し付けたり、あえて裏筋を押し潰すように角度を変えたりと、クロエはあらゆるやり方で彼の肉幹を攻める。
そんな攻めに、彼は足のプルプルを増しながら女々しい声をあげる。
「(あ、ペニスの先から苦い汁が)」
ペニスを覆うように唇を尖らせ、竿部分の形に合うように頬を窄めて肉幹を柔らかく締め、前後に頭を動かしていると、亀頭の先から苦い我慢汁が溢れ出てきた。苦いながらも粘ついたそれを、クロエは舌先で絡め取りながら、肉幹全体に塗りたくるように舐める。この先をらもっとやりやすくするためには、こうした方がいいのだ。
「く、クロエ……様、僕、なにか出そうで」
力なく涎を垂らしながら訴える彼、どうやら絶頂を迎えるらしい。しかしクロエはそのまま続けず、我慢汁の糸を引きながら、一旦口元を離して彼を見る。
「まだダメです、もっと出せるようにしないと」
「だ、出せる?」
ぐにゅっ♡
「はぅっ!?」
突如、睾丸に走る刺激に彼は声を出す。クロエは両手で彼の股からぶら下がる2つの玉をぐにぐにと握り始めたのだ。
「あ、つ、潰れちゃう……」
ぐにゅり、ぐにゅりと、クロエは玉袋越しに睾丸を掌に乗せて、指先で捏ねるように触る。潰すほど強いわけでもなく、かといって擽ったいくらいに弱いわけではない、潰れるか潰れないか、その瀬戸際の力加減で玉を握るクロエのテクニックに、彼は意識を少し飛ばしかけた。
「んっ……んぢゅっ♥じゅるるっ♥」
玉袋に手を出しながら、再び肉幹を咥えて扱く。睾丸本体を触ったおかげか、我慢汁はぴゅるびゅると押されるように流れていく。
「(なんでしょう……この、心の底から湧き上がるものは)」
あ、あ、と震える彼の反応を楽しみつつ、クロエはタマタマの硬さに夢中になった。ゴムボールよりも固く、ゴルフボールよりも柔い玉は、握る度に絶妙な弾力を彼女の指に返した。
「く、クロエさまぁ……僕、何かでちゃ……あぁ」
しばらくして、彼は体の奥から襲い来るジンジンとした謎の刺激に身体を震わせて腰を弾き始めた。顔は痺れたように蕩けている。
「(来る……あれのことでしょうか?)」
どうやらその時、すなわち射精の時を迎えるようで、事前に学習していたクロエはそのことを察して、肉幹の扱きを速め、手の平で玉袋をコロコロと転がし始める。
じゅぼっ♡じゅぼっ♡じゅぼっ♡
「んふっ……んうっ♥(出して……あなたのものを私の口に……)」
「だ、ダメ……きちゃ、あ、あぁぁっ!」
びゅるっ…………びゅるるるるるるるっ!
「っっっ!?!? …………♥」
彼が喉奥から叫んだ瞬間、亀頭先から堰き止められていた子種汁、即ちザーメンがポンプのようにクロエの口腔へと雪崩込む。
びゅぶっ♡どびゅっ♡どびゅびゅっ♡
「んぐっ…………んんんっ♥」
その1回の量は彼の見た目からは想像出来ないほどに多く、あっという間にクロエの頬袋に溜まって膨らませる。溜まりきらない分は唇の隙間から漏れ出て、床へと滴り落ちる。
初めて味わう生臭い苦味とマグマのように熱い精液にクロエは目を見開きながら、喉を鳴らして彼の子種を胃袋へ嚥下していく。
「ま、まだ……出る」
「ん…………」
「あっ」
クロエはあまりの快感に昇天しかける彼の下半身を抱きしめ、倒れぬようにギュッと抱擁する。肉幹は未だに震え続け、彼女の喉奥で、人間が1度に吐き出す平均を軽く超えた量を流し続ける。
ちゅうぅぅぅ…………ぬぷっ♡
「ん……沢山出ましたね。どうですか? 気持ちよかった?」
「は、はい……なんだか、死んじゃいそうなくらいに……」
全身の力が抜けた彼の体を、クロエはそのまま誘うように支えてベッドへと寝かせ、残りの衣服をゆったりと脱がせた。
大の字になった彼の裸は改めて見るとやはり成長途中で、まだ性的な知識など持ち合わせていないと言われても納得できる幼さだった。だからこそ、余計に陰部の獣が目立っていた。
「クロエ、様……ぼく……」
「何も言わなくてもいいです。まだ足りないのでしょう? 私もあなたの精液を飲んだせいか、体が火照ってきましたから」
「だ、大丈夫ですか?」
「ええ、かなりまずいです。だから、これから2人でそれを落ち着かせましょう」
これから何をするのか、クロエは事前に把握している。初見で行為を見た時は体が固まってしばらく脳がフリーズしてしまったが、繰り返し見直して脳にインプットした今ならやれる。この抱えてきた気持ちを晴らして彼を自分のものにするなら、今この瞬間が吉だ。
「さあ、よく見てください」
クロエの呼び掛けに彼は応じ、顎を引いた。
いつの間にか自身の腰周りに跨った彼女が、ツルツルとした股下を見せつけるように膝立ちをしている。毛根から生えていないのか、陰部は驚く程に白い肌を保っていて、しかし潤った割れ目は確かに成長した女性のそれだった。
「あ、ああ……」
彼は思わず見蕩れてしまう。苦しいと分かっていても目が離せない。その興奮は再び肉幹に血液となって流れ出し、海綿体を充血させ、反り立つ獣を蘇らせた。
「これは……」
勃起した肉幹がペチペチとクロエの腹部に触れる。ここに定規があるのなら、長さを計って自身の腹に当てていたかもしれない。猛々しくグロテスクな姿に、クロエは生物としての生殖的本能から湧き上がった笑みを浮かべた。
おそらく彼のものがこの年齢でこれほどまで成長しているのは、あわよくば他の試験体と交尾をさせて繁殖力を試そうという、研究者の実験の産物だろう。あいにく本題を想定した試験体としては失敗作として捨てられてしまった彼だが、そのついでの実験によって、彼は今、恩人であるクロエと情熱的に繋がろうとしている。その点だけは、クロエも彼を作った某国には感謝はしている。
「クロエ様……」
「安心してください。さあ、力を抜いて」
クロエに言われた通りに彼は脱力し、背中をベッドに任せた。クロエは両手を陰部に伸ばすと、陰唇に添えて割れ目を左右に開いた。瞬間、穴からとろりとした愛液が滴り落ち、亀頭先を濡らした。膣穴はヒクヒクとひくついており、彼の肉幹を喰らいたいと呻いていた。
「はぁ…………んんっ♥」
クロエはゆっくりと間違えないように膣穴をあてがい、腰を下ろしていく。
低身長かつ華奢な体つきの彼女だが、内側に隠れた媚肉は行為を行うには十分に発達しており、彼の巨根を滑らせるように呑み込んでいく。
じゅぷぷぷっ♡♡
「ひぅ、ううんんぅっっ……♥」
初めての挿入のため、当然だが痛みは伴う。血が滲み出るかのような裂ける痛みが彼女を襲い、悲鳴を上げさせる。しかしこの悲鳴の殆どは快感による歓喜の声である。彼女は今、遺伝子強化試験体としてではなく、少女クロエ・クロニクルとして、雌の声をあげているのだ。
……とくんっ゛♡
「!? ……ふぅ、ふぅ…………♥」
彼の肉幹を根元まで咥えると、先端が奥をつついた。敏感で性感帯でもあるそこを突かれたことで、クロエに微弱な電撃が走る。それを息を荒らげることで耐えた。
「く、クロエ様……クロエ様の中……きつくて、すごく、温かいです…………とけちゃいそう……」
「……わ、私も…………あなたの……ものが……熱い…………」
クロエは腹部に手を添えて、自分の腹の中に収まる彼のモノを撫でる。華奢な体のはずの彼女の膣内は、年齢不相応の彼のモノでさえもこうして受け入れてしまっている。勿論、狭さゆえのキツさはあるものの、彼にとってはどちらにしても快感を与えられるだろう。
「…………んぅ♥」
「あ、あぁ…………っ!」
クロエは腰を上げて肉幹を根元から擦りあげる。姿を見せた獣はヌルっとした愛液を竿全体に纏わりつかせており、彼女の体が沈むとまた呑み込まれていった。
「ふつ、んっ……は、あっ♥ふぅ、んぅ、っ♥」
数回慣れさせた後、クロエは一定の感覚で腰を上下に振り始めた。肉幹が膣口を出入りする粘着音が静かに響き、じっくりと興奮を作っていく。
ぬちゅっ♡ねちゅっ♡ぷちゅっ♡
「はぁ、はぁ、あぁ……あっ!」
「く、んんぅ! っ、っ♥ぅぅ……ふぁ♥あぁ♥」
彼の腹部に両手を置き、膝のステップを効かせながらクロエは体を揺する。殆ど脂肪のない小ぶりな尻肉が腰に叩きつけられる度に、彼女は喘ぎ声を弾ませた。
「あ、いい、いぃ♥はぁん♥あぁ! んぁ♥」
長い銀髪が彼女に合わせて淫らに咲く。室内の灯りを跳ね返して、銀髪は鮮やかな色を作り上げた。
ぬちゅっ、ねちゅ、じゅぷ、じゅぼっ♡
暫く経つと粘着音は徐々に滑らかになっていき、やがて水音を奏で始めた。肉幹の猛体は愛液によってたっぷりと潤っており、瑞々しく膣穴を出入りしている。また、彼女の肉壺も彼の肉幹の形を覚え始めており、キツキツだった内部は少しづつサイズに合わせて擦るようになった。
「はぁ、あ、あ、あ…………!」
「(す、すごい、これが、セックス……セックス、セックス♥)」
彼が苦しみと喜びを複雑に絡めた吠声をあげる中、クロエは頭の中を桃色1色に染めていた。
肉幹は、容赦なく彼女の敏感な箇所を突き上げている。腹部と腰部にある部分、そして奥深くに眠る口、その全てを彼の肉幹はずるりと掠めて押し潰している。これほどの快感を与えられて、彼女の頭の中が理性を保てるはずなかった。
「はぁ、はぁ、いいっ♥きもちぃ゛♥もっと、もっとおっきくしてくださいっ♥もっとわたしのきもちいいところをついて♥あぁん♥」
閉じた瞼の端から水滴を溢れさせながら、クロエは懇願するように喘いだ。口を開いたまま喘いでいるため、彼女の唾液は雫となって彼に飛沫する。時々口端に付着すると、彼は無意識にそれを舐めとった。
じゅぼっ! じゅぼっ! ぢゅぼんっ!
「んい゛いぃぃ♥」
潜ること数十分、肉幹の先がようやく彼女の奥口を啄いた。肉壺内はすっかり彼の形を覚えたようで、まるで奥へ誘うかのように形に合わせて締まっていた。肉襞の一つ一つが黒ずんだ肌に密着し、浮き出た血管から細かなシワ、裏筋の膨らみまで、全てをぎゅうっと圧縮させるように絞る。そんな状態で腰を動かしていたら、彼は快楽に落ちるはずもなかった。
「あ、く、クロエ様……ぼく、またきます! さっきの、き、きちゃいそうっ……!」
「はぁ、い、いく゛♥わたしも、いきますからぁ゛♥いっしょにいってぇ♥」
────────どぷんっ♡♡
どびゅるっ♡びゅるるるっ♡
「あぁぁ゛ぁぁっ♥」
腰が根元までを包み込んだ瞬間、肉幹は最高潮まで高まり、栓のようにギチリと肉壺を塞ぐ。そしてその勢いのまま、亀頭先から濃度の濃い精液を迸らせた。
びゅぶぶっ! どぷっ! どぷんっ!
「あ、あぅぅ……」
「(あ、あつい……これが、中出し……♥)」
彼が腰を震わせる中、クロエは初めて子宮内へ注ぐ精液の熱さと壁に張り付く粘着力に身を悶えさせた。律動して吐液する雄物の動きに合わせて、小柄な体が小刻みに痙攣した。
「クロエ、様…………これが、セックスなんですか?」
「んっ……ええ、これが、交尾……♥」
クロエはニヘラとさせた顔を彼に向ける。彼の顔は蕩け切っており、今にも溶けてしまいそうなくらいに緩んでいる。
…………ぢゅぼっ♡
「うっ!? ……く、クロエ様、ぼ、ぼく、まだ……!」
「ぁ♥いぃ♥ん゛んっ! まか、せてぇ♥ぁア゛っ♥」
肉幹の脈が収まり萎れるその前に、クロエは再び腰を動かし始めた。今度は最初から激しく、搾り取る勢いで。
「ふっ、んンっ……んぅ、ああっ、あ、あ、あぇ♥」
常に彼の前では見せている平然さを忘れたかのように、クロエは淫らな喘ぎ声をあげる。何往復も体液を混ぜ合い、たっぷりと中出しをされたことで、彼女の肉壺はぴっちりと肉幹に絡まりつつ、滑らかな摩擦で肉撫でる。壁に張り付いた彼女の名器な肉襞の一つ一つが黒い表面を擽るように先端を蠢かせ、チューブを捻り出すように擦りあげた。
「あっ! あっ、あ、ぅんうっ♥」
クロエは膝を立てるとベッドに足の裏を付け、股座をM字に開脚させた状態で前のめりになった。幼い胸板の下辺りに両手を添えながら、彼の蕩けた顔を見下ろす。
これは学習する中で覚えた体位の1つであり、蜘蛛のような見た目からスパイダー騎乗位と呼ばれているらしい。現に今のクロエは、彼というご馳走を貪り食らう雌蜘蛛のように秘裂をくぱぁっと開かせ、精液という名の餌を搾り取っている。腕を寄せているのもあって、成長途中の小さな2つの隆起が薄い谷間を創った。
ぱちゅっ、ぱちゅっ、ぱちゅっ、ぱちゅん♡♡
「ぁ、んぁ゛♥ぁ゛♥ぁあ゛♥」
喉から呻く嬌声を上げながら、クロエは下半身を器用に揺さぶり続ける。尻肉を上げて肉幹をずるりと擦り上げたあと、杭を打ち付けるように彼に叩きつける。時折腰を畝らせるその姿は、見た目とは不釣り合いと思うほどに淫乱で熟していた。
「(いい、きもちぃ゛♥これ、いい♥セックス♥ちんぽ♥ちんぽぉ♥)」
横に細めた目元をとろんと緩ませ、口から舌を垂らして唾液を滴らせる。唾液は銀色に輝きながらトロリとした糸を引いて彼の裸体に降りかかり、少しの冷たさを与えた。
「(ちんぽっ♥ちんぽぉ♥んひぃぃ♥)ああーッ♥」
己に秘めていた性の本性なのか、はたまた母兼主人である彼女特製のアレの影響なのか、彼女の脳内は卑猥一色に染まっていた。自身が遺伝子強化試験体であることも、彼が同じ経緯で生み出された同輩であることも、今この瞬間だけは、頭の中から消えていた。
ただ、自分の体の中で暴れる肉幹に喘ぎ、腰を振って性的欲求を満たす。それだけが今のクロエ・クロニクルの頭を埋めつくしていた。
「あぁ、で、でちゃう……っ! また、く、クロエ……さまぁ……!」
淫らに咲き乱れる拾い主の姿に、彼の睾丸はビュクビュクと激しく脈動して子種を生成する。玉袋の内部では、尾を持つ種の群れがビチビチと跳ね回っている。
「あ、だして♥だしてくださィっ♥あなたのセーシっ、わたしのなかにぃぃ゛♥」
────ブビュッッッ♡
「んんん゛っ!? ……イッ……くぅうぅうぅうううっっぅ♥」
腰が深くまで沈んだ瞬間、カリ首が奥にある肉襞を引っ掛け、噛み合うようにぎちりと硬直した。
そしてそのまま亀頭先から灼熱のように熱い精液が放たれ、彼女の子宮に向かって白線を描いた。
その熱さ、そして性感帯を突き抜ける快楽に、クロエの視界はバチバチと白く弾け飛んだ。劈くような叫び声をあげながら、秘穴から体液を噴出させた。
ビュルルルっ♡ビュブルルッ♡
「あ、ぉ゛っ♥(す、すごい……あんなに出したのに、まだ出てる……♥)」
彼の幼い見た目からは想像出来ない程の排液量。まさに種馬としての用途も含めて生み出された証である。
「ふぅ……ふぅ……ぁぅ♥」
ぬぽんっ、と膣穴から肉幹が抜け落ちると、クロエは彼の傍らに気絶するように倒れる。彼女の子宮は既に精液によってパンパンに満たされており、濡れそぼった割れ目からゴポッという音を立てて白濁液が溢れ出した。
ご……ごぼっ♡
「(こんなに出して……)」
ゴポゴポと零れが止まらない膣穴の違和感を感じながら、クロエは恍惚とした表情で湿った息を彼に吹きかけた。全身の毛穴からは多量の汗が染み出しており、彼女の白い肌を艶やかに彩っている。一部は玉になってその表面を流れ、ベッドシーツへと伝い落ちて白濁液のように染み込んだ。
「(ああ、けど……なんて満たされているのだろう……心の奥が埋まって、お腹の内側から温まっていく……)」
一方的な嫉妬から始まったクロエの計画は、主である束の後押しによって成功し、今こうして彼と一線を越えた。
実に満たされている。そして彼女はようやく理解し自覚した。束の言う通り、彼女が彼に持っていたのは、家族愛や親愛といったものに加えて、異性としての恋愛感情、つまり彼女は彼を異性として意識していたのである。それは彼を拾った当初はなかったものであり、少しずつ、生活を共にしていくうちに彼女の中に芽生えたのだ。そこに独占欲まで着いてきてしまったものだから、クロエ・クロニクルはこうして欲望のままに行動を起こした。
「(しかし、まさか彼の生殖器がこれほどまでとは……下手をしたら、本当に理性が飛び散ってしまいそう)」
「く、クロエ様……」
熱が冷め、理性が戻り始めた脳内で独りごちていると、今まで仰向けで受け身でいた彼が身動ぎ、クロエの女体に擦り寄ってきた。クロエ自身は初めての性行為と絶頂によって体が痺れたように動けない。そんな彼女の体の上に彼は重なった。
「(何だか、様子が……)」
「僕、もっとしたいです……うずうず、止まらないんです」
苦しみの涙を堪えたような顔をしながら、彼は上半身を起こして、下半身のモノを見せつけた。
先程、彼はたっぷりとクロエの中に射精した。にも関わらず、彼の肉幹はその身を反り立たせ、剛直に血管を滾らせていた。
萎えるという言葉を知らないかのような獣の姿に、クロエは思わず恐怖に顔を歪めて「ひっ……」と悲鳴を上げてしまった。まさかこれほどまでに性豪だとは。
「ま、まって……と、とりあえずいったんやすまぁぁぁあん♥」
彼女の返事を聞く前に彼は動き、クロエの膣穴へ雄を捩じ込ませた。自身なら少しは加減してしまうこの行為を彼は容赦なく叩きつけ、熱棒で無慈悲に彼女の名器を穿った。
ぱちゅっ! ぱちゅっ! ぱちゅっ! ばちゅっ♡
「ひぅっ!? うぅっ! んぅぅ! ぉお!? ら、め……ぁあっ!? あひぃっ! あぁんっ!」
肉壺をグチャグチャに掻き混ぜる勢いで彼は腰を激しく振り下ろす。既に3回も絶頂を迎えて吐精したというのに、肉幹は充血してみっちりと膨張を保ったままクロエの体内を出入りする。ギシギシと軋むベッドのスプリング音が彼の打ち付ける力の強さを証明している。
「はぁ、あ、クロエ……さまぁ!」
「んぁっ、んあ゛っ♥あぁ♥ぁあ゛♥(に、逃げられない……♥)」
一方的な猛撃にクロエは穢れたように喘ぐ。かえしのように亀頭の鰓が、ウネウネと生える粒粒とした肉襞を引っ掛けてずるんと擦る。
「クロエさま、クロエさま……!」
彼はクロエの名を呼びながら、性欲に従うままに彼女を求めた。クロエはこの快感と狂いそうな思考から逃れようと藻掻くが、華奢な女体を彼ががっちりと抱きしめているため叶わない。オマケに両脚を挟まれた種付けプレスの姿勢で腰を打ち付けられている。逃げようとしても、敏感な箇所をどちゅりと突き上げる肉幹の快楽に体に電流が流れてしまい、力が入らない。
「ぉ゛っ♥おおっ♥ォォ゛♥(ま、まずい……は、早く逃げなくては……)」
このままでは完全に理性が崩壊する。先程以上な有様になって戻れなくなるかもしれない。それだけは避けなければどうなるか分からない。
「(わ、ワールド・パ────)」
クロエは自身の生体同期型IS『黒鍵』を展開し、『ワールド・パージ』を発動させようと目を開いた。黒い眼球と金色の双瞳が室内灯を跳ね返し、彼の視界を仮初の世界で包もうとする。
────どっちゅんっ♡♡
「あぁぁぁぁぁぁぁ゛!? ♥」
が、その直後に彼の太い亀頭が彼女の再奥にある最も敏感な箇所を突き上げた。深く口付けを交わす音とともに、クロエの子宮が強烈な一撃をその身に受けて撓む。
今まで味わったことのない昇天してしまいそうな快感と痺れに、クロエの眼内はバチバチと弾ける火花を散らした。漂っていた電流のような空気は一瞬で霧散し、見開いた彼女の特殊な眼球が天井を見向くだけだった。
ぬぶっっ! ずぶっ! ずぼっ! ぶちゅッ! ぶちゅッ!!!
「ひ、ひぎっ、いぎぃ!? ィグッ……イ、ぃく、いぐぅ♥いきし゛ぬっ♥っぅう♥」
瑞々しい深いキス音が肉壺内部に響く度に、クロエの細い背中は仰け反り、腹底から口元にかけて雌の咆哮が震え出る。
身体から魂が抜け出すような痛撃、本来は開いてはいけない部分がメリメリと、幾度も突き抜かれることで軟らかに開いていく。
それによって溜まっていた精液が逆流し、膣道の畝りに逆らって結合部から流れ出す。
「(こ、こんなの……ダメ……死ぬ…………死んでしまう……ぉぉ゛……♥)」
残った理性が削られていく。肉襞が抉り擦られる毎に、脳みそが白色に茹だる。
肌の痛覚が麻痺していく。
栗の花のような香りが鼻腔をツンと刺激し、荒い口呼吸を強要させる。
「(私は…………わたし…………は…………♥)」
走馬灯のような光景が、映画のように流れる。
遺伝子強化試験体として生み出され、一通りの実験を受ける日々。その日々の中身の殆どは痛みと苦しみ。
人としてではなく兵器として扱われる冷たい記憶。
束に拾われ、娘という役割とクロエという名前、家族の優しさというものを与えられ、クロエ・クロニクルとしての人生を歩み出したあの日。
彼を拾い、面倒を見、人間特有の感情を湧かせた瞬間。
そして今、自分はこうして目の前で子どものように高い声を上げながら灘らかな胸山に顔を埋め、獣のように腰を振る彼と交わっている。
こんな快感、生まれてから味わったことはない。
これを拒否する必要が何処にある。
必要があるから気持ち良く感じているのだから、恐れることはないのではないか。
「んぃっ、ぃ……ア゛♥あっ、♥……ううっ、! っ、ふぁっ、おお゛っ♥」
クロエは両腕と両脚を彼の背中に回して、そのまま締め付けるように彼の幼い体を抱き、細い指が爪を立てて背中の肌に食い込ませる。
「あっ、あっ♥あぁっ♥」
最早、彼女の中に深い思考はない。
ただ今、与えられている悦びを受け入れ、快感に流されるように喘ぐ。
いいではないか、このまま彼と一緒に肉欲の海に沈んでも。
「クロエさまぁ……ぼく、また、で……でちゃう……うぅっ!」
「ぃぃ、いく゛、いく゛、い────」
────ぶちゅっ♡
「く゛ぅぅうう゛ぅ゛うっっ♥♥」
亀頭が子宮を押し潰し、開いた輪っか状の口に先端を押し込み、鈴口から直接精液を噴射させた。もう数回目の射精だというのに、彼の肉幹からは睾丸で跳ね回っていた子種達が大量に吐き出されている。あまりの射精量は既に白濁に満たされていたクロエの子宮の内容量をゆうに超えており、肉幹と陰唇の狭間から溢れんばかりに漏れ出し、汗と共にベッドシーツへと染み込んでいった。
びゅぶっ、びゅぶっ……びゅぐんっ!
「あ、あぁ…………♥」
肉幹が脈を打つと、合わせて2人の体も跳ねる。強く抱き締め合い、溶け合うように絡まるその姿は、一線を超えて体で愛し合う男女の姿だ。
「(ああ……こんなに…………もう♥)」
「ク、クロエさまのおまんこ……気持ちよすぎて……ぼく、まだ……」
「はぇ?」
ぶちゅんっ♡
「お゛ぉお!?」
激しく律動する剛直。しかし彼の目覚めてしまった性欲は治まらず、ただ連続で彼女の体を求めて腰を揺らした。
抵抗する力も拒否をする気持ちも残っていないクロエは、ただ彼に屠られるままに女体を淫らにくねらせた。
◇
始めてから既に数時間。窓のないラボ内では外の様子は分からず、時を刻む時計やディスプレイに映る時刻表だけが唯一知る方法だった。それは彼の部屋の中も同様である。
パンッ♡パンッ♡パンッ♡パンッ♡パンッ♡
「ぉ、ぉ、ぉ、ぉ♥」
彼の部屋に置かれたデジタル時計は、的確に時間を刻んでいる。おっぱじめてから既に10時間は経過しているのだが、今の2人の頭には時間という概念が欠落しており、ただ性的欲求を満たすことだけを考えていた。
「ぉ、ぉ、ぉ、ぉぅ゛♥ぉぅ、ぉう♥ぉ゛……♥」
うつ伏せの姿勢で顔をシーツに埋め、彼に尻を突き出しながら、クロエはオットセイのような枯れた鳴き声を上げながら、虚ろな黒目から涙を流す。
もう何度絶頂したのか、何度子宮の中に出されたのか、何度精液を胃袋へ流したのか分からない。途中から考えるのを放置し、ただ快楽に浸ることだけを考えていた。
「(ちんぽ……ちんぽ……ちんぽ…………ちんぽぉ♥)」
──────びゅぶっ♡♡
「あ゛ぁ〜〜〜…………♥」
パンッと腰を再奥まで打ち付けると、彼はクロエの灘らかな乳房を手の平で掴み、残りカスのように精液を吐き出した。子宮にはもう入らない。入りきらない分はベッドシーツに滴り落ち、白濁の湖を作り出している。既にシーツはドロドロの精液と2人の汗で汚れきっており、室内には甘く苦く酷く澱んだ異臭が漂っていた。
「……く、クロエ……さま…………」
性豪・絶倫の如く吐精し続けた彼は、とうとう体力が限界を迎え、クロエの上に乗っかるように倒れた。
「……く……ろえ…………さま………………すき……」
「はぁ、はぁ…………わらひも……しゅきぃ♥」
クロエはアヘ顔を晒したまま、荒い息を吐く彼の呼吸と心音を背中で感じ取った。
彼女は出しまくり擦りまくりながらも未だに硬さを保つ肉幹の浮き出た血管の疼きを、彼は犇めく肉襞の愛撫を受け止めながら、深い眠りの海の中へと落ちていった。
◇◇◇
篠ノ之束、彼女を招待という名の誘い出しのために用意されたスイートルーム。その別室にて、クロエと彼は拘束された状態で床にしゃがみ込んでいた。
「うぅ、ごめんなさい……僕のせいで」
彼は俯きながら、必死に涙を堪えてクロエに謝罪する。その涙には、裏組織に捕まり、人質として扱われる恐怖もある。それはクロエも同じだが、ひっくと泣きそうな彼を見ているおかげで逆に冷静になったのか、拘束された手で彼の髪を撫でた。
「謝らなくても大丈夫、あなたは悪くありません」
「でも、僕が呑気にデザートなんて頼んだから……こんなことに」
「いえ、これは彼らに気がつけなかった私に問題がありますから」
彼らがここに連れて来られたのは、『
そして臨海公園前のカフェにて、彼女はカフェオレを、彼はミルクココアを飲みながら、IS学園に色々と『悪戯』を仕掛け、無事に届け物を届けた。
「しかし、まさか織斑千冬にバレるだなんて……」
「ええ、あれは予想外でした」
「それにあの人……凄く、怖かったです……」
「同感です。なんなら私達を連れ去った連中の方がマシなくらいです」
「そ、そうですか……僕、あの荒っぽい人……怖いです」
任務を無事に遂行し、そそくさと逃げようとしたが、その前に自分たちの存在に気がついた織斑千冬に乱入され、『ご挨拶』をされた。空間を突き刺すその形相は、まさに地上最強という名が相応しいと思わせるほどに恐ろしく、彼は思わず泣きそうになった。泣きそうになりながらも、クロエを守るように立ち塞がった。
織斑千冬が去った後、彼らはお疲れ様の意味も込めてデザートを注文し、沈む夕陽と橙色に輝く海面を眺めながら、甘味を食べさせあい、織斑千冬への恐怖を甘い一時で埋めた。
そして帰ろうとしたところを亡国機業に捕らえられてしまい、現状に至る。彼らは自分達を人質にして、束に自分達専用の機体を造らせようとしているようだった。
「束様は、造るでしょうか?」
「いえ、特別なことでも起こらない限り、あの方は造らないでしょう。だから、私達を人質にして、強要させようとしているのです」
彼にもクロエにも、束が彼らのためにISを造るなんてことはしないと容易に想像できた。しかし、自分達がこうして交渉材料として使われたら、彼女はどうするだろうか。諦めて造るのか、自分達を見捨てるのか。少なくとも、後者は絶対に有り得ないというのは理解できた。
「束様は、どうすると思いますか?」
クロエは閉じた瞼を彼に向けながら訊いた。
彼は洟を啜ると、彼女に向き直り口を開いた。
「束様なら、クロエ様にナイフを突きつけられているのを見た瞬間に、相手をボコボコにすると思います。あの方は、全てがおーばーすぺっく、ですから。機関銃の弾なんてグーで殴り飛ばします……あ、でも、もしかしたら仲良くなって、これから一緒にお仕事をする、なんてことになるかも」
「……そうですね。私もそう思います」
けど、と言葉を繋げて、クロエは彼の髪を一撫でする。
「私だけじゃなくて、あなたの場合でも、束様は助けてくれます。束様にとって、あなたも家族なのですから」
「そう……ですかね。認められ……たのかな」
「私は、
「…………はい」
彼は堪えた目を細くして笑い、クロエも返すように笑った。薄暗い中で2人寄り添い微笑み合うその姿は、絆の深い姉弟か、それ以上の関係のように見えた。
「ところでクロエ様。裸エプロンってなんですか?」
「……どこでそんな言葉を?」
「あれ、クロエ様、お仕事のときに言ってませんでしたっけ。そういうのもあるのですねって」
「……では、帰ったら教えてあげますね」
「はい!」
「ん〜、甘いな〜。ただでさえ甘いケーキがさらに甘く感じちゃうな〜。あー、でもこのくらい甘い方が頭の回転に効くし、ちょうどいいかなぁ」
そんな彼らのやり取りを、束はケーキを口に運びながら、小型カメラからの映像越しにのんびりと観ていた。
テーブルには注文した料理の数々が並び、端には既に食べ終えた料理の皿がタワーのように積み重ねられている。
「あの、篠ノ之博士……あの件のことは」
彼女の横から亡国機業の幹部、スコール・ミューゼルが恐る恐る訊ねた。
ここへやって来て早々、束は彼女が要件を言う前に即座に吹き飛ばし、メンバー全員をあっという間に制圧した。スコールの愛する彼女はぶっ飛ばされ、頼りにしていた少女のISは解体された。今は、全員同じテーブルを囲みながら、強制的に束の娘の惚気話を聞かされている。
「だからー、まどっちの専用機なら造ってあげるって。そんでまどっちも私にちょーだい」
「それは困ります……」
「じゃあ代わりに愛娘の話を最後まで聞いてよ。最近、あんな調子で四六時中ラブラブしっぱなしなんだから」
「そう……いつ話しかけますか?」
「2人が落ち着いてからかなー。本当は今すぐにでも助け出したいんだけど、結構いい雰囲気だからねー」
「はぁ……」
「この調子なら束さん、早くもおばあちゃんになっちゃうかも〜。でもきっとくーちゃんそっくりで可愛いだろうな〜」
追加注文でやってきたステーキに手を伸ばしてがぶりと噛みつき頬張りながら、束は大きな独り言を彼女達に投げる。これにはスコールも苦笑するしかない。
「くーちゃん、最近になってようやくママって呼んでくれるようになったんだよ〜。母の日なんて束さんのために手作りの──」
その後、亡国機業は束博士とその家族の惚気を朝まで聞かされることになるのだが、それまではまだまだ長い。
「……まあ、今の世界、少しは楽しいかな」
束の呟きは、誰にも聞かれることはなかった。
書きたくなるキャラの体型が偏っている気がする。