※機動戦士GundamGQuuuuuuXの5話から続くIF展開のR18作品です。
面白いですよね、ジークアクス…曲がオシャレでマチュが可愛い…
さて、そんなマチュがひどい目に合う話です。
5話でジークアクスをニャアンが操縦していたことからの話です。
6話が放送される前に思い付いた話で突貫工事なのでいろいろと薄いかもしれないです…
それとAI生成画像による挿絵があります。
Pixivでも投降してます。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
後ろから、徐々に距離が離れるハロが何か言ってる気がする。
もしかしたらニャアンが私に何か言ったかもしれない。
そこから
「っ…はぁっ…」
どこまで走ったか。どこまで逃げたか。分からない。
「…っ…私の…!」
クランバトルに間に合わなかったのは
ニャアンは間に合わない私の代理としてジークアクスで出場してくれた。
それは分かる。解る。理解っている――だけど…
「私と、シュウジ、だけの……キラキラ…!」
二人だけのモノだったはずなのに。
ニャアンにも、誰にも渡したくなかった。
私の、私だけのモノだった筈なのに。
「……っ……うぐっ……」
涙が溢れる。涙が止まらない。
なんで。なんでこうなったんだろ。
何がいけなかったんだろ。
ニャアンは、友達――だったのかもしれない。クラスの子よりも、近い存在。
だから、嫌いになりたくなかった。もっともっと、いろんなことを話して、いろんなことをしたかった。
「……ううっ……うわぁぁ……っ……」
だけど、ダメだ。盗られた。知られた。私だけ、私だけしか知ってほしくなかったこと。
「おい、嬢ちゃん。何してんだこんなところで」
「えぐぅっ、えぐっ……ひぐっ……っ……?」
声がした。誰かいる。顔を上げれば、髪の長い男の人が私を見降ろしていた。
どことなく、ニャアンに似てる気がした。いや、似てない。うん。
「なんでも、ない…」
「…寄ってけ」
そう言って、その人は背後にあるバーを指さした。
「ほれ、奢りだ」
「…あり、がと」
男の人の善意か、オレンジジュースの入ったグラスが渡された。
店の中に他に人はいない。入るときにみた立て札はcloseだったから開店してないのだろう。
「そんで、なんかあったのか?」
「…別、に…」
「別に、でハイバリーのお嬢様が来るような場所じゃねぇよ」
確かに、無我夢中で走ったからどこにいるのか分からない。
けど、もしかしたらさらに治安の悪い方に走ったかもしれない。
「それにキラキラがどうとか言ってたが」
「……盗られたの。私の…キラキラ…」
全部、ぶちまけたかった。ニャアンは悪くない。悪くないけど、ひどいことを言いそうだった。
ずっと黙ってたら、その言葉が私の中で破裂しそうで。
「その、キラキラってのは?」
「…よく、わかんない。けど、シュウジ…アイツと一緒にいるときに見える、私だけの…光景だった」
「なんだ、彼氏を取られた、ってことか?」
その問いに首を振る。
シュウジのことは…見てると、ドキドキするけど、そんなのじゃない、と思う。
それにシュウジも私のことをどう思ってるのか分からない。
「…まあ、なんだ。ムシャクシャしたときはパーッと発散するのが一番いいぞ」
「……だから、走った、のかも…」
「走ったって…まあ、体動かすってのはガキの健全な発散方法なんだろうが――」
そう言って、その人は何かをカウンターに置いた。
飲み薬のような小さいカプセルだった。
「なに、これ」
「栄養剤、なんて言っても信じねぇだろうな。まあ、ハイバリーのお嬢ちゃんが知らねぇ【悪い発散方法】って言っておく」
それを聞いて察した。
これは【麻薬】だと。
驚いたけど別に不思議じゃない。
ニャアンも密輸品なんかの運び屋をしてたし、私が参加していたクランバトルも非合法で――人の命が掛かった娯楽だった。
この人から言わせてみればお行儀のいい場所で育った私が知らないだけでイズマ・コロニーでこういったものがあってもおかしくはなかった。
「けど、私…」
「これを使った奴曰く『世界がキラキラして見える』ってさ」
「……………」
嘘だ、とは思った。こんな悪いものを勧めるヤツの売り文句を鵜呑みにするほど私はバカじゃない。
もし、これが昨日までの私なら隙を見て逃げたと思う。その後匿名の通報とか、そうしてた。
「……どう、使うの?」
自暴自棄、だとは思った。だけど、走っても逃げても、頭の中がグルグルしてる。
怖かった。考えれば考えるほど、ニャアンに全部取られると思って。
ジークアクスも、キラキラも、シュウジも…マチュとしての私が持ってたもの全部。
だから、もう二度とキラキラを見れないと思ったら、紛い物でも、求めちゃった。
「簡単だ。飲め」
「今日も来ねぇのかよ」
「まあ、いいんじゃね?もともとアイツ、ただの学生だったんだし」
「今だとニャアンが代わりに乗ってるしな」
カネバン有限公司内にあるモビルスーツ格納庫。
今日のクランバトルの準備をするナブたちは本来のパイロットであるマチュが不在なことを口にしていた。
どういうわけかザクのパイロットのジェジーでも操縦できないジークアクスを経験なしでも動かしたマチュのおかげでクランバトルに勝ち続けてきた。
しかし、バイナリーズとのバトルで実はマチュではなく運び屋のニャアンが搭乗していた。
「……マチュ」
「気にしなさんな。アレぐらいの年頃は繊細なんだよ」
本来マチュが着るはずのノーマルスーツを着て、マチュが乗るはずのジークアクスの前で俯くニャアンにアンキーがそう励ます。
しかし、物事を俯瞰して冷静に対処する彼女でもマチュが来ないことに内心では心配をしていた。
「(どうして、ジークアクスに乗らなくなったの…?)」
難民で運び屋として生計を立てるしかなかったニャアンにとって、マチュは初めてできた気の知れる友人だった。
ほんのわずかな時間、くだらない話をしたり、二人でシュウジのグラフィティを見て感想を言い合ったり、その三人で赤いガンダムの上で寝転がったり。
全てが新鮮で、楽しくて、ニャアンにとってはかけがえのない思い出になっていた。
だが、あの日。身動きが取れないマチュに代わってジークアクスに乗った日から彼女とは会えなくなった。
「(…私が、ジークアクスを…マチュのキラキラを盗ったから…?)」
その答えは、ニャアンには分からなかった。
「あはっ❤きらきらぁ♥♥すごぃ❤❤ぴかぴかしてりゅぅ❤❤」
「はっ、何言ってんのか分かんねぇよ」
その頃のマチュは、裸で、涎を垂らして、嬉しそうな顔をして腰を振っていた。
名も知らない男の上で、快楽を貪っていた。
「お゛っ❤❤また❤しゅごぃのくるぅ♥きらきらしゅりゅぅぅ❤❤」
「悪くねぇな。ハイバリーのガキなら高く売れるだろうし」
快楽に酔いしれ、涎を垂らすマチュを見ながら男は考えていた。
するとマチュは急に「あ、あれ、どうして」と怯え始めた。
男が時計を見れば、「時間通りか」とつぶやく。
「な、なんで…キラキラ…見えなく…」
「薬が切れたからだバカ」
「く、くす、り…?くすり…くすりぃ…!」
ハッとしたように、男の上から這うようにして近くのテーブルに手を伸ばす。
だがそれより先に男は「おっと」とテーブルの上の小さなケースを取り上げた。
「な、なにを…」
「コイツが欲しいか?マチュちゃん」
「ほ、ほしぃ、もっと、キラキラしたいぃ」
お預けをされた犬のように、だらしなく口を開けて涎を垂らしてモノを求めるマチュ。
しかし男は中身をマチュに渡そうとせずにケースを振って中をカラカラと鳴らす。
「けどなぁ、言ったようにタダじゃねぇんだよ。そら、お金」
「おかね…けど、もう…」
今まで貯めたお小遣いに、クランバトルで山分けされた地球に行くために貯めていた賞金。
一介の学生が持つには大金のそれも何度も薬を買うのに使ってしまい底をついた。
だが、男はニヤニヤして俯くマチュの顎に指を掛け、クイッと上げる。
「俺も欲しがる奴にお預けはしたくねぇ。けどお金がない。だったらよ、仕事して稼ぐか?」
「しご、と…そしたら、キラキラ、くれるの…?」
「そらよ」
ニャアンは運び屋の元締めの男にクランバトルの賞金を渡して情報を集めた。
今更ながら、ニャアンはマチュがどこに住んでるのかも知らないし、連絡も取れない。
カネバンの4人も知らないようで、シュウジですら聞いたことがないらしい。
だから、お金を使ってでも探すのにはこの男を頼るしかなかった。
探してどうするかは分からない。
もしかしたら、ジークアクスやクランバトルのことも忘れて今までの暮らしに戻ったのかもしれない。
会うことができても、何を言えばいいのかわからない。
勝手にジークアクスに乗ったことを詫びればいいのか、勝手にいなくなったことを怒ればいいのか、それともキラキラを盗ったことに許しを請えばいいのか。
どうしたらいいのか、ニャアンも分からない。だが、会わないことには何も始まらない。
「見た目が一致するガキの情報だ」
「…ありがと」
受け取った封筒を持ってニャアンは歩き出そうとする。
その中にマチュがいるかはわからない。それでも一つ一つ当たっていくつもりだった。
数歩、歩き出したところで「待て」と呼び止められた。
「そいつ、お前のなんなんだ?」
「……分からない。…けど、……友達、だとおもう」
難民の子供が非合法な仕事をすることは珍しくない。
運び屋なんて可愛いもので、中には強盗や連邦の残党の下っ端として人を殺めるやつもいる。
その子供たちの共通点は一つ――心から思う友達がいないことだ。
もちろん、ニャアンはその一人。
ずっと一人で生きてきて、誰も信用してなかったニャアンが友達だという相手。
「…一つ、お前にとって聞きたくねぇだろう情報がある」
「?」
ニャアンが向かった先は、難民スラムの中でも治安が悪い場所。
麻薬、窃盗、売春、暴力。
ありとあらゆる犯罪が横行するその場所を目立たないように、それでも急ぎ足でニャアンが進む。
「マチュ…っ…!」
『最近、見慣れないガキが一人、男相手に体を売ってる話を聞いた。どうやらヤクをやって頭がダメになってるんだが、そいつをウリに出してる奴が言うには【ハイバリーの生徒】らしい。外見は、赤い髪をして――』
ハイバリーに赤髪の生徒が生徒が何人いるのか分からない。
もしかしたら、マチュではないのかもしれない。
いや、マチュなはずがない。マチュなわけがない。
それでも、ニャアンは急ぐ。
急いだところで手遅れだろうが、急いだところで結果が変わらないだろうが、その事実を否定するために、
「はぁー、なんだよ、あのガキ。キラキラがどうとか」
「頭がパーになってるんだろ」
「っ!!」
男たちの会話が聞こえた。麻薬のやりすぎで幻覚や妄想に囚われる人間は多い。
だがニャアンは、その単語を聞き逃すことができなかった。
マチュも、自分も、それに囚われていたのだから。
「ここら、へん…!」
息を切らして、下卑た男たちにマチュのように金的をして聞き出した場所へと急いだ。
難民スラムの廃棄場。いろんな鉄くずやら生活用品の残骸やらが積み重なるゴミ捨て場。
「マチュ!どこ、マチュ!!」
いつの間にか雨が降り、ひどい匂いが立ち込める場所でニャアンが声を張り上げる。
いるはずがないと思っても、いるかもしれないと思ってしまう。
「マチュ!!!」
もう一度、声を張り上げる。だけど返事はない。
こんなところにいるはずもない。
きっと、違うんだ。マチュじゃない誰かだったんだと、思い込もうと
「――え?」
視界の端をとらえた【赤】。見間違いじゃない。
それは友達の色だった。
「マチューー!!?」
急いで駆け寄る。だが、そこにいた――あった――棄てられていた人物をみてニャアンは膝をついた。
「えへへ…キラキラ…いっぱぁい…」
「マ…チュ…」
それは、ニャアンが探していたマチュだった。
だが、彼女の――女の――人としての尊厳を踏みにじられていた。
服も纏わず、体がドロリとした白い液体に塗れている。
涙も涎も拭うことなく顔を汚し、焦点の定まっていない瞳が虚空を見つめていた。
「あはぁ…くろい…キラキラ……きれいぃ……」
「マチュッ…!」
そこにいるのがニャアンだとも理解できずに、ただ嬉しそうに手を伸ばすマチュ。
その手を取って、ニャアンは泣きながらマチュを抱きしめた。
「ごめんね……ごめんなさい……!」
「❤あはぁ♥きらきらぁ……もっとちょうらぁい……❤」