新米戦闘員戦闘員シーコマンダー576号通称ジンは、厨房食糧倉庫の立哨を命ぜられる。しかし、それは、彼にとっての死に接点への道筋であった。
とあるマンションの一室であった。ここは、レッドシーシャークと言われた秘密結社の地上界での進出拠点である。スモールゲートと言われていた。都心部を始め地方都市に至るまで、こんなスモールゲートが、無数にあった。このスモールゲートの役目は、大きく、地上での作戦遂行から戦闘員の生み出しまで行っている。単独スモールゲートと地下豪で繋がっているゲートもあり、各ゲートが、色々な役目を果たし、一つの大きな基地のようになっている。このベッドシーシャークには、戦闘部隊があった。どんな作戦も忠実に遂行し、組織の下層で働く戦闘員である。組織への忠誠と従属を強いられる。
この忠誠と従属を確実にするために戦闘員改造手術が行われていた。戦闘員改造手術と言っても、そんなに難しいものではない。局部に。液体入りの管を挿入するだけのことである。麻酔とナイフなど簡単な道具で十分出来る。しかし、この改造手術の効果は大きかった。局部に埋め込まれたこの管の中から染み出した液体が身体内へと廻り始めると、液体の血中濃度が上る。忠誠と従属の戦闘化人間戦闘員シーコマンダーが出来上がる。
この改造手術には、副作用がある。管を挿入された男性性器は、管と同じサイズになる。端から見ると常に勃起しているように見えた。管の中の液体が、少しずつ染み出している分には、何等問題はないが、急激な上昇、管の破壊は、戦闘員のマラが、過敏反応と拒絶反応をする。性的興奮が一気に上昇し、自分の意思とは、関係なく、射精行為が行われた後、拒絶反応によって死が訪れる。戦闘員のマラは、本当の意味で急所を意味した。戦闘員に改造された者は、マラへの衝撃により管を破壊されれば、死の直前には性的興奮が頂点に達し、精液を垂らしながら死を迎えるという運命が待ち構えていた。
更に、シーコマンダーが身に纏っているコマンダースーツの裏側には、ゲルが塗られていた。このゲルは、戦闘員の肌とスーツを密着させ、スーツがまるで肌と同じような感覚を得ることが出来る。また、着用感が非常に気持ち良く、一度着るとその気持ち良さが忘れられなくなる。
スモールゲートで一人の戦闘員改造手術が行われた。
「どうだ。戦闘員に改造された気分は。」
「物凄く気持ちいいです。」
「今日からお前は、戦闘員シーコマンダー576号だ。通称ジンと呼ばれる。私は、ここのスモールゲートの隊長。カイだ。これから、お前の戦闘員養成を行う。直ぐに組織の役に立つ戦闘員に仕立てるのだ。まず基本だ。挨拶から始めよう。」
「まず、手を曲げ、今度は、天高く挙げるのだ。こうやるのだ。ジン、お前もやってみろ。」
「こうでしょうか。」
「その時の合言葉がある。イー!」
「イー!」
「上手いじゃないか。」
「カイ先輩、質問してもいいですか。その昔、劇画で見た戦闘員の挨拶に似ていますが。真似てるだけですか。」
「今にわかるさ。この奇声の意味が。真似てるわけではない。自然と、この言葉が出てくるようになる。」
戦闘員養成は続いたが、あまり時間をかけてはいられない。戦闘員を直ぐに使いのだ。次から次へと造り出されるスモールゲート。そこに送り込む必要があった。
「ジン。お前の配属先が決まった。スモールゲーイナンバー7000の厨房食料倉庫の立哨だ。言っておく、支援施設だが、決して、窓際ではないぞ。お前達戦闘員といえども、飯を食らう。食料は、重要だ。勿論、俺も食べる。敵に侵入され食材の中にでも、毒を仕込まれては、我々は簡単に壊滅だ。意外に重要なポジションだぞ。短い間ではあったが養成は、今日で終だ。」
「ありがとうございました。」
「ゲートの地下豪を使い7000まで案内する。挨拶が、違う。」
「イー!」
彼は、戦闘員シーコマンダーになって日が浅い。しかし、彼は、着実に死への道に迷い込んでいた。彼自身は、そんなことを感じるすべはなかった。敵対する組織が食料倉庫への襲撃を計画していた。警護にあたっている戦闘員達を皆殺しにし、各スモールゲートへの食料供給を絶とうしていたのである。その襲撃の日が、今日、ジンが配属された日であることなど知るよしもない。
指令通り、立哨に就いた。一番外側の厨房設備のある倉庫の入口が彼の配置だった。ここ7000は、5人程の戦闘員がいる。各配置は、一人ずつだ。倉庫側の入口。倉庫内と、配置する場所が多く。複数の配置が不可能なのだ。
「これより襲撃を開始する。まず厨房側と倉庫側の戦闘員を始末する。」
「気をつけろ。奴らは戦闘能力がアップされた戦闘員だ。不意をつくしかないぞ。こっちがやられることだってあるんだ。作戦は、計画通り遂行せよ。」
ゴトゴドゴト!
倉庫の外側で、もの音が聞こえた。
「誰。誰かいる。」
確認しようと、倉庫の外側を覗きに行った。角を曲がろうとした時であった。物影に隠れていた者のキックがジンの腹部目掛けて炸裂した。
ボコッ!
「イー!ゲボッ。何者だ。」
「死ね。シーコマンダー。」
キックは戦闘員の下腹部に入った。彼は、蹴られた時、無意識に戦闘員の合言葉が出たのに気が付いた。先輩戦闘員「カイ」のいっていた。そのうち意味がわかるさ。その意味が、今わかった。身体が反応したのだ。急所をやられたわけではなかったが、蹴られた瞬間、マラが反応してしまった。自分が、イー。と言ったのは、良いと言う意味が含まれていた。蹴られた反動で、厨房側まで、ジンはぶっ飛んだ。
コメント
厨房側まで飛んだジン。隠れていた男は、更に、ジンの腹部に蹴りをいれた。
「イー。イー。グエ~!ゲボッ。イー。イー。」
蹴りは、二発。
何度か蹴られ、段々、倉庫の奥へと怯んでいくジン。一番奥まで行った時であった。ジンは、立ち上がり反撃しようとした。しかし、時は既に遅かった。最後のキックが炸裂した。内蔵破裂キック。キックの衝撃で、ジンの胃が潰れた。
「イー。ゲボゲボゲボ。畜生。死ぬ。死ね。胃が。胃が。イー。イー。」
胃が潰れ、胃液が逆流し口から出始めていた。死への接点に向かっていたのである。それが証拠に、彼の瞳孔は、既に散大していた。
「シーコマンダーお前達。さっきから、いい。いい。って何がそんなにいいんだ。お前達の急所は、良く知っているぞ。もっと、気持ち良くなって死ぬがいい。もっともっと、イーイー、と叫べ。もっと叫べ。」
男は、壁際に倒れるジンのマラを管ごと踏み潰そうとしたのである。
「止めてくれ。管が壊れると。」
しかし、容赦なく急所を踏み潰した。
「イー~。」
彼の最後の言葉となった。そして、二度と立ち上がることがなかった。