拓海は自室でベッドに腰掛けていた。パーカーやズボンはハンガーに掛けて、シャツとパンツだけの姿になっている。床に置いたカゴの中には黒のタンクトップとツナギみたいなズボン。そして、下着。
隣のバスルームからシャワー音。2周目に入ってから、性交体験は幾つも重ねて来たが、今回は尋常じゃない位に興奮していた。
「(オレの意思で選んだからな……)」
川奈を自室に招いた後、最初は談笑していたのだが、話が2周目に入った後の性事情に移ってからおかしくなって来た。
結局、これだけ色々な相手と関係を持ったのに相手が男であることの方が多いだとか、掘られてばっかりだとか。
『最近はご無沙汰だし、明日から忙しくなるだろうし……』
今までは状況に流されることが多かったが、これは拓海にも断れる逃げ道を作った上での問いかけだった。
少し前までなら、直ぐに頷いていただろう。だが、今は霧藤達との時間が頭を過って、首を縦に振るのが躊躇われた。
『私じゃ、ダメかな?』
恥じらう川奈を見て、天秤は欲望の方に傾いた。あまりに制動が弱かった。気づけばパーカーとズボンを脱いでいた。
シャワー音が止んで、川奈が出て来た。普段まとめている髪を解いた彼女は一層可愛く、バスタオルを巻いて大事な場所は隠していたが、それでも凝視してしまった。
「澄野。目が怖いって」
「ご、ごめん」
やはり、拓海も男だった。入れ替わる様にしてシャワーを浴びていたが、既に股間は屹立していた。全身を丁寧に洗って、腰にバスタオルを巻いて出て来た。
2人でベッドに腰掛け、どちらが何を言い出すことも無く、川奈が先にタオルを取り払った。彼女もまたスタイルが良く、思わず形の良い双丘に手が伸びていた。手にすっぽりと収まり、揉んで、触って、なぞる。
「おっぱい、好き?」
「……好き」
男子ですから。拓海もバスタオルを取り払うと、ギンギンに怒張したモノが姿を現わした。ベッドに倒れ込む。
キスを交わしながら、川奈の匂いを嗅いでいた。微かに臭う工業油の臭いが、より強く彼女を感じさせてくれた。
「あんまり嗅がないで……」
「ごめん。良い匂いがしたから」
こんな楽しい時間を直ぐに終わらせるのはあまりに惜しい。色々とやりたい。今まで押さえつけていた反動の様に、拓海の中にあらゆる欲望が殺到していた。向かった視線の先は、川奈のおっぱいだ。
「挟む?」
「ぜひ!」
力強く頷いだ。彼女に跨り、双丘の間にモノを置いた。ギュッと挟み込まれた。絶景かな。谷間に陰茎が隠れては、顔を出した亀頭の先端を川奈の舌がチロチロと舐め上げて来る。
「あ、出……」
勢いよく精液が放たれた。ここ10日間に溜め込んでいたこともあり、量、勢い、濃さの全てが今までにない程だった。
川奈は白濁液まみれになった自分の顔を指でなぞって、口に運んだ。普段の行動からは考えられない位に色っぽい仕草だった。
「そんなに興奮した?」
「メッチャした」
既におつむが吹っ飛んでいるのか、先程からバカみたいな感想しか出て来なくなっていた。一度出したが、まだ足りないと言わんばかりに愚息は屹立したままだった。
「じゃあ、澄野にもして貰おうかな」
川奈が両脚を開いた。薄く生えた金色の茂みの先はピッチリと閉じられている。以前に雫原とした時と同じようにゆっくりと開いて、顔を近づけた時。彼女は開いていた脚を閉じて、拓海の頭部を固定した。
「ん!?」
顔面を女性器に押し付けられている。これは彼女なりの命令ということだろうか。何をすればいいか分からず、必死に舌を動かしていた。
徐々に舌先が湿り気を確認できるようになった頃、解放された。準備は整った。後は入れるだけだが、拓海がポツリと漏らした。
「な、なぁ。川奈。その、凄く情けないことを言うんだけど。良いかな?」
「どうしたの?」
拓海は素直に打ち明けた。以前に雫原とした時、男性相手とばかりしていたので、途中で萎えてしまったこと。お尻に指を突っ込まれてイったこと。……話している内に情けなくて、萎えて来そうになった。
「大丈夫! その為に、これだけ間を開けたんだから!」
「腹が減っていたら何でも美味いみたいな……」
だが、実際に今の自分はちゃんと勃っていた。川奈が四つん這いになり、お尻を突き出していた。後背位の体勢を取っていた。拓海は挿入した後、彼女の臀部を掴んで腰を前後に動かした。
ちゃんと彼女の膣内で勃っている。尻を揉みながら、あるいは自分のモノを締め付ける様に寄せてみたりと。刺激的には申し分なかったのだが……。
「あの、やっぱり。対面でやりたい。もっと、川奈の顔を見たい」
「え? うん、分かった」
互いに顔を紅潮させながら、対面座位にシフトした。互いに向かい合って、川奈が上に乗って動き始めた。
拓海は彼女の臀部に手を当てながら、乳首を舐っていた。舌先で転がしたりしながら、吸い付きつつ、上目遣いで見上げていた。
「ねぇ、澄野。そんなにおっぱい好き?」
「好き!」
と言ったら、顔に双丘を押し付けられた。胸、尻、美女。
男が渇望する欲望を一斉に満たされたことで、拓海の相棒も我慢できなくなったのか、限界が近付いて来た。
「川奈! 出すぞ!」
「んっ!!」
のけ反る彼女をホールドして、モノを奥深くまで突き入れてから達した。彼女の中か引き抜くと、ゴポリと精液があふれ出して来た。
――
2人共シャワーを浴びた後、産まれたままの姿で一緒にベッドの中に入っていた。このまま去るのはあまりに惜しいし、暫くは一緒に居たかった。
「なんだか、すごく遠回りした気がする」
「そりゃ、自分から墓穴掘っていたし」
川奈の奇行は目に余るものがあったが、ギリギリ拒否しなかったのは彼女だったからか。あるいはもっとヤバいのが居たからだろうか。
「澄野を取られたくなくて、つい。気持ちが先走っちゃって。でも、こんな風に一緒に居られるなら、もっと早くに打ち明けていれば良かったって思っている」
こうして、自分の隣で微笑む彼女を見ていたら、心の底から同意できる話だった。もっと間近で見たくて、彼女の腰に手を回して抱き寄せた。
「でも、こうして一緒に居られて良かったと思っている」
「霧藤さんが居るのに。そんなこと言っちゃうんだ?」
と、言われて拓海は口を噤んでしまった。ハーレムルートなんて物が許されるとは思っていないが、川奈と一緒に居たいと思っているのも事実だ。
「それを言われると、困るな……」
「最近、ずっと霧藤さん達に構いっぱなしだったからイジワルしたくなっちゃって。また、こうして一緒に過ごしたいな」
可愛い。あまりに可愛い。もしも、彼女がもっと早い段階で手を出して来ていたら、自分は霧藤に今ほど関心を向けられていただろうか? と、我ながら最低な思考が出て来たので頭を振った。
「次もあるかは分からないから、今はこの時間を」
そして、互いにベッドの中で抱擁し合っていた。互いが混ざり合ったかのような、1つに回帰した様な、至福の時間だった。