※この作品はR-18です。

東方二次創作劇場「月と太陽」 - 太陽の章 -   作:俄かさん。

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霊夢の太陽が輝く!絆と遊び心で切り開く、守矢への最終決戦!


「 その十七話 」 霊夢の復活

それはいつか見た「ゆめまぼろし」。

遠い遠い「過去の想い出」。

 

 

けもののむすめ けもののむすめ

けもののむすめが ふくきるな

 

けもののむすめ けもののむすめ

けもののむすめが にあしであるくな

 

「人里界隈」、その裏通り。

 

同じ年頃の少年少女の集団の輪の中でいじめられている「裸一貫の娘」。

着ていた「巫女装束」は取り上げられ、なにも着ていないその小さな身体に盛大に水までぶっかけられる。

そんなひどい仕打ちに晒されながら、その娘はただ蹲って泣いていた。というより、泣くしかなかった。

 

「非人の親」から産まれた子供もまた「非人」。

この世に生まれ落ちた直後からその額に刻まれた「烙印」を見られたが最後、こうしてむごい仕打ちを受ける羽目になる。

それがこの娘が耐え難い「博麗の巫女」としての修行から逃げ込んだ先の人里ではびこる「因習」そのもの。

 

「おうっ、てめえらっ、なにしやがってんだっ!!」

 

得物代わりの箒を振りかざし、その現場に威勢よく飛んできたのは「金髪娘」。

そこから始まる大乱闘。

 

明らかに多勢に無勢なれど、軽快な立ち回りでその娘は男女問わずその箒で矢継ぎ早に叩きのめす。

「わーん、覚えてろー!」成敗されたいじめっ子どもは、捨て台詞とともにその場から蜘蛛の子を散らすように逃げ出していく。

 

「……けっ、そんなのいちいち覚えてられっかよ?っと、ああ、そうだ」

 

いじめっ子どもがいなくなっても未だに泣き続ける娘に、金髪娘はそこらに落ちてた装束を投げ寄こす。

それを慌てて受け取る「非人の娘」。それに袖を通した後で、また思い出したように泣き出す。

そのさまを見た金髪娘は、苛立ち交じりに発破をかける。

 

「おうクソガキッ!いつまで泣いてんだ!!」

「ふぇ?」

「おまえのことだよ、クソガキ」

「……れいむ。クソガキじゃないもん」

「へ、それがおまえの名前か、悪かったな。まりさ。……あたしの名前だよ」

「まりさ。いいなまえ」

「だろっ、いいだろっ。おまえもいいなまえじゃん。あたしら、気が合いそうだなっ」

「ふえっ?」

 

とびきりの笑顔を浮かべる「霧雨魔理沙」とそれをきょとんとした顔で見上げる「博麗霊夢」。

この二人はこうして出会った。

 

それからその十年後。

 

 

「おう、霊夢、クソ巫女!いい加減起きやがれっ!!」

 

西行妖の内部、妖夢もろとも障壁を越えた魔理沙は己の両腕が焼けるのも構わずに強引に霊夢を太極図から引きはがす。

肌が焼け、肉まで漕げるようなその臭いさえも今は構う暇などない。

 

「起きろ、起きろ馬鹿っ、てめえはこんなとこでくたばってんじゃねぇのぜ!」

 

その身体、「とても青白く」、そして「とても冷たく」。

僅かに戦慄く唇から漏れる息は「とてもか細く」。

 

あのときと同じように何度も何度も呼びかけても、大事な親友は一向に目覚める様子を見せない。

しきりに揺すったその拍子に垣間見えるその額の烙印。

それを見るなり、魔理沙はうっと息を詰まらせる。

 

「……馬鹿野郎。生まれがなんだよ、育ちがなんだよ。おまえはおまえなんだぞ。だから起きてくれよ、起きてくれよ」

「あぶない、魔理沙さん!」

 

せっかく助けた親友の変わり果てた姿に悲嘆に暮れるあまり、無防備となった背面を襲う「数多の触手」。

それを咄嗟に妖夢は「白楼剣」で一刀両断に切り捨てる。

その威力、「幽霊十体分を一度に成仏せしめる」程度の威力。

びちびちと地面に叩きつけられる触手の肉片を見るなり、そこで魔理沙はようやく我に返る。

 

「お、お、……妖夢?助かったのぜ」

「礼には及びません。次は早苗さんを助けないとっ!」

「あ、ああ、そうだったな。でもこいつ。……やっぱりこいつのせいで霊夢がこんな目に遭ったんじゃねーだろーな?」

「なに言ってんですか、魔理沙さん。もしそうなら早苗さんまで囚われてることなんてないじゃないですか?」

「あ、ああ、そうだな。そうだよな。……に、しても」

 

一度は停滞していた「はず」の西行妖が「また」動き出している。

奪われた動力源の片割れを取り戻そうと四方からどす黒い粘液にぬめつく触手を伸ばし、じわりじわりと周りを取り囲んでいく。

 

「くそっ、冗談じゃねえ、ミイラ取りがミイラになってたまっかよ!?」

「だから早く、早苗さんも助けて、ここから抜け出さないと!」

「うっせえ、分かってんよ!」

 

どんな局面でも終始冷静な妖夢の発破に怒声で返す魔理沙。

その次の瞬間、二人の身体は同時に木の葉のように弾き飛ばされるのだった。

 

 

「冥界の桜守」、西行寺幽々子。

「境界の管理人」、八雲紫。

 

この二人「亡き今」、西行妖の暴走を止められる者はもはやいない。

その結果。

 

(……ん、あれ、あたし、どうなったんだ?どうなっちまったのぜ?)

 

朧げな意識の中、「絶望」という暗闇の只中で魔理沙はただ呆けたように首を傾げる。

霞む視界の先には、得物を奪われ、半霊もろとも触手に囚われてむごたらしく蹂躙される仲間の姿が見えた。

 

(そうか。あたしら、触手に弾かれてそっから意識失って。……ってか、妖夢。ざまあないな)

 

ずたずたに着衣を切り裂かれた挙句、逆さまに吊るされ、股を開かされ、穴という穴を触手で犯される妖夢。

声を奪われ、それでも必死に逃れようとまるで蓑虫のように身体をくねらせながらあがく仲間と目線がかち合うなり、魔理沙は弾かれたように動こうとする。

しかしそれも適わず、すぐに自分も同じような状況に陥ってることを即座に悟る。

 

(あーあ、結局、こーなるのかよ。勘弁してくれよ。こっちゃもう「死んでんだぞ」。死体蹴りなんて勘弁してくれよ)

 

悪態をついた手前、この状況果たしてどうしたものか。

普段は胡散臭いだけだったあの二人の守護者の存在が、今になってそのありがたみが痛いくらいに身に沁みる。

 

(くそ、やっぱ、ダメか?)

 

ダメ元でもがいてみたけれど、やはり無意味だった。

その身体はきつく束縛され、身じろぐことすらもはやままならぬ。

ひとしきりもがいたところで目の前にてらてらと照り光る一際太いそれが迫って来るのが見えた。

 

(うわ、ふってぇ。馬のナニかよ。そんなの入らねーぞ?……せめて優しくしてくれよなぁ?)

 

しまいには自分もあの仲間と同じように嬲られて終わるのか。

思い出したくもないが、性的暴行を受けるのはこれで「二度目」だ。

 

「ん、うむっ、んん……」

 

ちらりと改めて妖夢の方を見ると、妖夢は既にくったりと力尽きて、ただ虚ろな眼差しで虚空を眺めては白濁と破瓜の鮮血に塗れた逸物へと舌を這わせていた。

その悲惨な陥落ぶりを目の当たりにするなり、魔理沙の性根もここでぽっきりと折れてしまう。

 

(……へへ、もう、終わりか。ここまで、か)

 

いまのいままで散々ついてた悪態もここまで。

抵抗する気力も完全に消え失せ、魔理沙は口元に押し付けられるそれへと服従のキスをしようとした、瞬間。

 

 ぱ ん っ 。

 

突然、響き渡る「柏手」ひとつ。

 

(っ?なんだ?)

 

不意に辺りは白一色の世界へと変わった。

それと同時にふわ、と感じる浮遊感。

 

「……馬鹿ね、何やってんのよ?」

 

すぐ耳元に聞こえるのは、聞き慣れたその声。

その声を聞くなり、魔理沙ははっと我に返るや否や、驚きのあまり大きく双眸を見開く。

 

「れ、霊夢!?」

 

気付けばその小さな巫女に抱き支えられていた。

それまで瀕死の状態だったはずの巫女は、それを感じさせぬほどに確固たる覇気に包まれていた。

が、しかし。

 

「……あれ、おまえ?いつもと全然違くね?」

「ん?わたしはわたしよ。……あなたもそう言ったわよね?」

「んだよ、それ、聞いてたのか?ずっけぇ、もしかして狸寝入りしてたのか?」

「ばか、そんなことしてないわよ。で、何がどう違うの?」

「あー、まず、髪と瞳の色。おまえ、黒に茶だったよな。なのに、今は紫。あと服も変わってら。その典型的な巫女装束ってやつ?」

「あらそうなの?そんなのどーでもいいじゃん?」

「どーでもいいっておまえなぁ?そこで平常運転に戻るかふつー?」

「なによもう、知らない!」

「お、おぅい?!」

 

その姿変わっても、中身は普段通り。

久しぶりに交わす他愛のない幼馴染みどうしの掛け合いもそこそこに、霊夢は着地するなりぽいっと魔理沙を放り捨てる。

 

その首に揺れるのは、あの「お守り」。

それがきっと、この奇跡の根源。

ただ風に弄ばれ当てもなく吹き流れるだけのそれは、「あるべきところ」へと戻っていた。

 

しかしそれを気にすることなく霊夢はくったりと倒れ伏している妖夢へと駆け寄り、背に手を添えるだけで「回復」させる。

 

「……ん、う、うんん」

「大丈夫、妖夢?」

「あ、れ、霊夢さん。……霊夢さん、なんですね。よかった。覚醒したんですね」

「ええ、おかげさまで」

「わたしは、大丈夫です。それよりも早苗さんを」

「うん、わかってるわよ」

 

穢れという穢れそのすべてが打ち払われた世界の中で、ただ一人未だ救われぬ「もう一人の巫女」。

その巫女の前に立つなり、ざっと霊夢は大きく両手を拡げる。

 

「さなえ!こっちにおいで!みんなと一緒に帰ろう!!」

 

それは「言霊」。

その言葉の力によって、太極図に囚われたままの「陰の巫女」はぴくんっと震える。

 

『セン、パイ。……でも、わたしは。霊夢さんを、みなさんを巻き込んで、こんな酷い目に遭わせて』

 

その閉じられた双眸から溢れ出るのは、紛れもない「悔恨と懺悔の涙」。

この東風谷早苗という娘もまた、被害者であると同時に加害者でもあることは明白だった。

 

けれど霊夢はそれにまったく動じず、「なに言ってるのよ」と鼻で笑う。

 

「そうやったのも理由があってのことでしょ?もうめんどくさいわ。許してあげるからさっさとこっちに来なさい!」

 

声高らかに響き渡るその言霊、強く、ただひたすらに強く「迷える巫女」を解放へと導く。

その言霊に圧されるように涙に濡れる双眸見開き、自力で抜け出す早苗。

 

「センパイ。……センパイっ!」

「あーもー、しょーがないわね?」

 

生まれたままの姿で腕の中に飛び込み、泣きじゃくる早苗を優しく慰める霊夢。

それをよかったよかったと嬉しそうに見つめる妖夢と、けっと舌打ち交じりに口元をへの字に曲げる魔理沙。

ひとしきり早苗を慰めた頃合いで、改めて霊夢は早苗と魔理沙のありさまを交互に眺める。

 

「……あら二人とも、素っ裸ね。さなえはともかく魔理沙はすこぶる生々しいわ」

「あ?そりゃ誰のせいだよ、誰の?」

「はい、わたしですっ。妖夢はさっきの回復と一緒に服も復元したしー、二人もまとめて面倒みちゃうね?」

「え、センパイ?それってどういう?」

「まず、さなえ」

「はい?」

「……セーラー服!」

 

 ぽ ん っ 。

 

「わ、せ、センパイ、これ、外の世界の女子学生の格好ですよ?どうして知ってるんですか?」

「あー、それ、霖之助に教えてもらってたのよ。外の世界の学校じゃ、そういう制服があるんだってね?」

「そ、そうなんですか?」

「そうそう、ついでに下着は黒にしたわ。完璧ね!」

「ふぁっ!?セ、センパイ!!」

 

(……なんだよあいつら、あのときまで険悪の仲だったのにここに来て急にイチャイチャしやがって?)

 

二人の事情を知らない魔理沙は魔理沙で、そんな二人の様子にぷくすっと頬を膨らませる。

いわゆるジェラシーというやつ、である。

そこにかけられる声。

 

「はい、次、魔理沙!」

「お、おおっ?!」

 

 ぽ ん っ 。

 

一瞬にして変わるそのコスチューム。

いつもの黒白のエプロンドレスではなく、紫を基調とした「魔女っ子」スタイル。

いつぞやに脱ぎ捨てたっきりの三角帽子もしっかりと被ってる。

 

「おうおうなんだよ、このごキゲンな格好は?」

「あら嫌なの?せっかく服の色もわたしの髪の色と同じにしてあげたのに?」

「あーうーん、それってある意味おまえとおそろか。な、なら文句は言わないのぜ」

「なによー、魔理沙、照れちゃって?」

 

そこへ「蚊帳の外」に捨て置かれた妖夢がおずりと手を挙げながら声をかける。

 

「あ、あのー、みなさん?そろそろ外に出ません?」

 

それではたと我に返る三人。

そして霊夢は早苗を解放しがてら、神妙な顔つきをしてのける。

 

「さなえ」

「はい、センパイ」

「ここから先、わたしたちはどこへ向かえばいいのかしら?」

「ああ、では。妖怪の山、その山頂。『守矢神社』に」

「……わかったわ」

 

そこはまさしく「最終決戦の舞台」。

その向かうべき場所を示された霊夢は、力強く両手を天へと突き上げる。

 

それとともに生み出される「太陽」。

それはまぎれもない揺ぎなき「復活と希望の輝き」。

 

「いくわよ、みんな!」

 

その輝きに内側から照らされ、咲かせていた花という花を散らしながら朽ちていく山桜。

崩れゆくその只中で声高らかに叫ぶ霊夢の合図とともに、皆は一同に集まりそして決戦の舞台へと転移していくのだった。

 

 

 

 

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