東方二次創作劇場「月と太陽」 - 太陽の章 - 作:俄かさん。
太陽の花畑。
そこは四季折々の花々が咲き乱れる、まさに地上の楽園。
真夏の象徴でもあった向日葵と入れ替わるようにしていまは秋桜(コスモス)が満開となっている。
穏やかな日差しの下で金髪ポニテの少女は傍らに立つメイドの持つ日傘に守られるようにしながら、無邪気に色とりどりの秋桜の花々を摘み取っては花冠の作成に勤しむ。
「ねえ、さくや、どうこれ?」
「ええ、いいと思います。とてもお似合いですよ?」
「え、ほんと?やったあ」
できあがったばかりの花冠を被っては得意げに見せる少女の名はフランドール・スカーレット。
その少女の問いかけにふんわりとした笑みを浮かべながら頷くメイドの名は十六夜咲夜。
そんな二人を東屋の屋根の下で見守るのは、レミリア・スカーレットなる娘。
「しかし真っ昼間からあなたたちが表に出てくるとは意外ね。紫外線はあなたたちにとっては有害ではなくて?」
テーブルを挟んで真向かいに座るその娘へと花畑の管理人、風見幽香なる花守は素朴な疑問を呈す。
その疑問をレミリアは組を束ねる長としての風格を醸し出しながらくすりと一笑に付してのける。
「それは愛と勇気と努力と根性の賜物。わたしたちだって日々進化するわ。そういう運命なの」
「……それ、本気で言ってる?いくらなんでも少年漫画の読みすぎじゃない?」
「失礼ね、そうでもないわよ。ただ種を明かすのならば、うちの魔導師の魔法のおかげ、ということかしら」
「なるほど、そういうこと。それなら納得。けど吸血鬼は本来は夜に活動するものでしょ。あなたたちを見てるとその既成概念がどんどん壊れていきそう。ま、いいけど」
「けれどそのおかげであなたもうちのメイドの出す紅茶が飲める。悪い話ではないでしょう」
「それもそうね。だけどわざわざここに来たのには何か特別な理由なり事情でもあるんでしょ?」
メイドが淹れてくれた紅茶を飲みつつ花守はわずかに緑の双眸を細めやる。
その目線を静かに受け止めるレミリアはただ小さく意味ありげな笑みを浮かべるのみであった。
霧の湖のほとりに佇む洋館、「紅魔館」。
かつて「紅霧異変」なる異変の主舞台となったそこは、珍しい客を出迎えていた。
門前に立つ門番、紅美鈴はその客を見るなり、にこやかに笑みを浮かべてみせる。
「どうも霊夢さん。お待ちしていましたよ。どうぞ中に」
「ありがとう、美鈴。お邪魔するわね」
長身の大柄な赤髪の門番が見下ろす先に立つのはちんまい巫女。
それが本日の客人。
門番の案内で門を通り中庭を抜けて屋敷の玄関のドアを開けると、そこには一人の魔導師が待ち構えていたように立っていた。
その魔導師の顔を見るなり、霊夢はその表情を心持ち固くさせる。
「では、私はこれで。あとはお任せしますよ、副長さん?」
「おう、まかしとき」
顔合わせを済ませると門番は大きく伸びをしつつ、また持ち場へと戻っていく。
二人きりになったところで改めて魔導師は目の前の巫女を物色するかのように眺める。
その出で立ち、特に変わらず。ただ違うのは少し気の早い白のマフラーを首に巻いているところか。
「手紙は読ませてもらった。内密に、と書いてあったので組長やら他の面々は気を利かせて今は外出中や。ここに居るのはうちとコウモリ女、あと門番しかおらん」
「そう、ありがとう」
「まあここではアレや。詳しくは中で聞こうか」
「ええ、そうね。と、その前にこれ」
「おうなんや?」
「うちのツレからの頼まれもの。これとこれとこれ、ぜんぶあなたのものでしょう。返しといてくれって頼まれて」
「お、おうおう?」
巫女が携えていた風呂敷包みから取り出して見せるものはどれもこれも見覚えのあるものばかり。
禁書二冊に財布ひとつ。それらはすべてとある魔法使いに奪われたり盗られたりしたものだ。
あんの魔法使いめ、と魔導師はそれらを受け取りがてら、ちっと舌打ちする。
自分で盗んだものをわざわざ知り合いに返しに寄越させるとは大した根性である。
それはさておき。
二人は場を改め、移動用の魔法陣を介して開けた場へと移動していく。
辿り着いた先は、何故か屋上。そこにはこあなるコウモリ女が居て、二人に気付くなりぶんぶんと手を振ってのける。
それを苦笑い交じりに巫女は眺め、軽く手を上げるのみに留める。
「さて俄かには信じがたいが、とりあえずどれも検証してみんとなんとも分からん。まずは湖の方に向かって一発スペルかましてみい」
「わかった、やってみる」
魔導師に促され一歩前に出た霊夢は、いつものように幣をタクトのように振り上げていく。
「わー、また見られますね、あの技が」
「せやな、こあ。あいつの十八番といえば、あれしかあらへんし?」
スペルを発動させようとする巫女の傍ら、ひそひそと語らう魔導師とコウモリ女。
そして。
「 夢 想 封 印 っ 」
しーん。
「え」
「……おお?」
二人が見た光景は、なんとも期待外れ。
しばし呆けたように拍子抜けするようなその光景を眺めた後、スパンっと魔導師は手にしていたハリセンで巫女の頭を軽く叩く。
頭をシバかれ、巫女はきゃいんと子犬のような悲鳴を上げた。
「おう、どうなってんねん?おまえの十八番やろ?ただ声出して札ばら撒いとるだけやないか?肝心のエフェクトはどうした?」
「うう、ごめん。だ、だけど、一応、手紙には書いてたつもりだけど」
「そうかワザとでないか。スペルが使えんというのはホントみたいやな。じゃあ今度は飛んでみぃ」
「え、そ、それも」
「……これも検証や。おまえの根幹に関わる重要案件やぞ。つべこべ言わんとさっさと飛ばんかいっ」
げしっ。
「きゃー!?」
「え、ちょっとちょっと!!」
無情にも足蹴にされ、背を蹴りつけられた勢いで屋上から転落する巫女。
それを慌ててコウモリ女が空を飛んで巫女が地面に激突する寸前でがしっとその小さな身体を抱き捉えて事なきを得る。
「まさか空も飛べんと。……そういうことか」
再び屋上へと舞い戻る巫女とコウモリ女を見るなり、ここでようやく魔導師は事の重大さを認識するのだ。
スペルも使えない。
空も飛べない。
それがいまのこの巫女の抱えている問題。
そして前もってもらった手紙にはその問題に関わる一つの推測も書かれていた。
しかし、それも。
ひとまず魔導師はまた場所を改めることにした。
所変わって、図書館内。
その中央のフロアにて、巫女は恥辱に震えていた。
たくし上げたスカート。踝までずり下ろした白のショーツ。
スカートの端を掴むその手はぷるぷると震えていた。
その前にしゃがみ込んで正面から剥き出しのその股間を赤面交じりに眺めるは魔導師とコウモリ女。
巫女の股間には本来あるはずのない「それ」が生えていた。
いわゆる「ペニス」というやつだ。
「まさかとは思うがこれのせいで何も出来なくなったというオチか」
「みたいですねえ。確かに巫女というのは女の子でないと成り立ちませんし、いまの霊夢さんはどっちかというと」
「……男の娘、ってやつか」
あまりのベタなオチを前に、二人は顔を見合わせどうしたもんかと首を傾げる。
「ときに聞くが、こうなったのはいつぐらいや?」
「一週間以上前、かな。朝起きたらこうなってて。それから何も出来なくなってて。それで」
「ほむ。こうなったのには心当たりはあるか?」
「……ないわ。って、もう下ろしてもいい?」
「だめや、もうしばらく我慢しい」
『 Beantworte meinen Wunsch. "Enttäuschung" (我が願いに応えよ。「解呪(ディスペル)」) 』
ここで魔導師は魔導書を袂に呼び寄せ、「解呪」の呪文を試みるが。
「……あかん、ダメか。どうもこれは魔法やら呪いやらの類いやないらしい」
「ですねえ、なんかもう、ふつーに生えちゃってるし、これ。身体自体がそっくりそのまんま変わっちゃってるみたい」
「むう。……念の為に聞いておくが、これを知ってるのは他に誰がいる?」
「それは、霖之助。配達に来てくれた時に、つい。これを直接見せた訳じゃないけど」
「香霖堂の店主やないか。しかも男相手に。まあ、あやつなら心配は……ないか」
「ねえ、もう、いい?」
「ああ、せやな、もうええで。しかし、その、いろいろとすまん」
見上げてみればいまにも泣き出しそうな巫女の顔があった。
いまのありさまをみてこの娘が巫女と言えるかどうかはなんとも微妙なところではあるがそれはさておき。
申し訳なさそうな顔をする魔導師とは裏腹、コウモリ女だけは何故かその瞳を爛々とさせていた。
「ねえ、ぱちぇさん。霊夢さんをちょっとの間借りてもいいです?」
「おい、こあ。またいつものアレか?てか、いまは弁えろ。自重しい」
「えー、大丈夫ですよ、ちゃんとすぐに返しますからあ?」
「お、おい、ちょい待ちぃ」
すくっと立ち上がるなり自分よりも小柄な巫女を背後から抱きしめるや、そのまま巫女もろとも転移するコウモリ女。
あのコウモリ女も魔族の端くれ。系統的には「淫魔」の一種らしい。
上司である自分の制止も聞かず消え去った部下にやれやれと魔導師は嘆息するしかなかった。
コウモリ女に連れ去られる中で巫女の脳裏でリフレインされるのは、あの早朝の寝室でのやり取り。
定期的に配達に来てくれる香霖堂の店主を前に取り乱したように発したその言葉は。
「り、霖之助。わたし、わたしっ」
「ど、どうしたんだい霊夢?」
「……ちゃったの。えちゃったの」
「は?」
「生えちゃったのっ!!わたし、生えちゃったの、〇〇〇がっ!」
「はああ!?」
「おねがい、誰にも言わないでっ!!」
かくて巫女が連れられた先はお風呂場だった。
服やら下着やらリボンやらを外されて素っ裸にされ、ちょこんと風呂椅子に座らされていた。
そのしおらしげな様子を何故かうずうずしながら眺めるコウモリ女もまた裸であり。
(かわいい。霊夢さんってこんなにかわいかったっけ?でもあれは?)
いまにも背中から抱き着こうとした矢先、首元にくっきりと残る痣に気付く。
ただそれも深くは追及せずに、むぎゅうっとその背に自分の胸のふくらみを押し付けるようにしながら抱きしめていく。
「……こあ、苦しい」
「あ、ごめんごめん。ちなみに聞くけど、コレの処理の仕方ってわかりますぅ?」
「わかるわけないわよ、そんなの」
「そうですか。こうするんですよう」
「ひゃっ?!」
ここでこあは右手を伸ばして、豆粒くらいの大きさのそれを摘まみ上げる。
そこから始まる手ほどき。
緩急をつけたその手淫を前に、気付けばそれは皮も剥けてむくむくと硬く反り返っていく。
垣間見る巫女の横顔、その表情はどこかとろんとしていた。
その顔を見るだけで、きゅんっとまたこあは胸の高まりを覚えていく。
「あたしバカだからアレですけど。でもひとつだけ言わせてください。どんなに変わっても霊夢さんは霊夢さんですよ」
「ん、んうう。……あ、ありがとう」
それはただの気休めに聞こえるかもしれない。
でもそれでも悪い気はしなかった。むしろ、救われたような気がした。
じぶんはじぶん。そう言ってくれる存在がいたことだけでもうれしかった。
「ふあ、あ、んっ、んんっ……」
心が解されるついでに身体もまた解されていく。
こうして巫女はコウモリ女にいろいろと仕込まれていくのであった。